ベートーヴェンのピアノ名曲弾きの9人衆

ベートーヴェンのピアノ名曲弾きの9人衆とは、ベートーヴェンのピアノ曲を弾くピアニストのことで、第一位はヴィルヘルム・ケンプとマウリツィオ・ポリーニやグレン・グールドのピアノ・ソナタ全集。全集盤は商業主義的意味と記録的意味から出たもので個人が収集するなら、上記3つを聴きこなしたい。
 グレン・グールドのものも良いが、グールド曰く「私は、ピアニストではなく音楽家かピアノで表現する作曲家だ」と言う。伝統重視、作曲家尊重主義のピアニストも多いので個人の判断で聴きたい。
 
  次にリチャード・グードのベートーヴェン・ピアノソナタ全集。彼のピアノソナタ全集は隠された名盤。初期作品、中期作品には良い演奏がある。特に秀悦な演奏はピアノソナタ第5番、第6番、第7番とピアノソナタ第11番や第24番が良い。
 話は変わるが、ピアノ・ソナタ第1番、第2番、第3番をリチャード・グードとグレン・グールドとヴィルヘルム・ケンプとを聴き比べたところ、ヴィルヘルム・ケンプを聴いて初めて曲想が理解できたものがあった。この鑑賞方法は全32曲のピアノ・ソナタすべて、で聴いてみたい。女性ピアニストのエリー・ナイやタチアナ・ニコラーエワの演奏は、それだけの価値ある。かつて園田高弘氏が言っていたように、ベートーヴェンのピアノ・ソナタは女流ピア二ストに向いている面がある。女流の2人は録音の面でマイナスだが演奏は本物。



アニー・フィッシャー


第5・6・7番と第24番はベストな演奏。
初期のピアノソナタならば
リチャード・グード
が良い。

 次にリチャード・グードと同じアメリカ出身のピアニスト、マレイ・ペライヤ。マレイ・ペライヤは今後、ピアノ・ソナタ全集やピアノ協奏曲集を出してくれれば買いだ。ただ指の故障で演奏を中断している。空前絶後のピアノソナタ第23番≪熱情≫を映像で聴いたので、全集盤が完成すれば、マレイ・ペライヤがベスト盤になるはず?しかし、可能性は低い。
やはり音質と演奏がそろって名盤だろう。

マレイ・ペライア
注目のピアニスト



 次にチリ出身のピアノ界の巨匠クラウデイオ・アラウ。
彼はフィリップス・レーベルにピアノ協奏曲集がある。音質が抜群に良い。巨匠アラウの全32曲のピアノ・ソナタ、全5曲のピアノ協奏曲集をまた聴いてみたくなった。

クラウディオ・アラウの有名なP協奏曲集
【P協奏曲集は、一生の宝物になるCD盤だ】

クラウディオ・アラウ


 




 


 同じレーベルにアルフレッド・ブレンデルのピアノ・ソナタ全集が出ている。音質はフィリップス・サウンドと言われるくらいなので間違いない。写真はデッカ盤(ステレオ録音の時代の盤)。
アルフレッド・ブレンデル
1970年代のステレオ録音
【多分2度目の全集盤】
シューベルトのピアノソナタ集
のCD盤はさらに素晴らしい。





超有名な天才グレン・グールド
♪残さなかった曲は第4番・第11番・
第19番~第29番(第23番≪熱情≫は残している
)










 








エミール・ギレリス(鋼鉄の鍵盤弾き)
ピアノのタッチが硬い。



ケンプ(シューベルト弾き)
ピアノのタッチがやさしい。自分の中ではケンプ
先生は、伝説のピアニスト。いつか全32曲を通しで聴いてみたい。



70歳のマウリツィオ・ポリーニ【第4番を70歳で録音。華やか、晴れやかな感じ・・・に弾く!!】
他にも9番・10番・11番も演奏している。
ポリーニの演奏は綺麗過ぎて印象に残らない、
と言われるが、これを聴けばそれが、このソナタの曲想に一致していると分かる。
ポリーニのうなり声もピアノの一部に聞こえる。


















 録音は古いがシューベルトのピアノ・ソナタで有名なヴィルヘルム・ケンプ、鍵盤の獅子王バックハウスも注目だ。その流れで若いポール・ルイスもいる。しかし、まだ、この新人は買いではない。
 リヒテルやグレン・グールドは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲を全てCD化してはいないが、今現在の情報化社会では、この中の歴史的名盤を発見することは容易い。
 スヴァトラフ・リヒテルとグレン・グールドとマウリツィオ・ポリーニの3人の演奏は、録音・演奏ともに、自分の中では神の域。次にクラウディオ・アラウ(フィリップス・サウンドのゴージャスな録音)とアルフレッド・ブレンデルは大船に乗った感がある。

リヒテル
メロディアの貴重なCD
【一生の宝物になるCD盤】


 
 音質的に厳しいが9人目は女流ピアニストのエリー・ナイで、特にピアノソナタ第4番と第14番≪月光≫と第21番≪ヴァルトシュタイン≫が名演だ。他にも女流ピアニストでは、タチアナ・ニコラーエワのベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集が有名。音の良いライブ録音盤だが、時々高音がうるさい。
 日本人では、その園田高弘氏の演奏が有名で、若いころから32曲の連続演奏会を毎年やっていた。ベートーヴェンの最後の3大ピアノ・ソナタをNHK・FM放送で聴いて感動したのが園田高弘氏の演奏だった。本物の演奏を聴いた感じがしたが、国際的な知名度では上位5人には届かない。
 もちろん全集物では一番は決められないが、曲目では決定的な演奏があり、個人の耳ですぐに判断できる。ベートーヴェンのピアノ・ソナタやピアノ協奏曲は鑑賞された歴史が長いので、書物やCDやコンサートなど判断材料が豊富にある。
もし購入するのであれば、音質はこの際考慮せずに「神の域」を超えるような個性的な演奏がいい。ベートーヴェンのピアノ・ソナタは、自分には生涯聴きたい曲集です。


グレン・グールド【ノーベル賞級】
アニーフィッシャー

エリー・ナイ
独逸コロセウムの12枚組の
CDアルバム
【これは一生の宝物となるCD盤だ。】

  

※「神の域」:500回でも1000回でも聞きたくなる演奏のこと

●最初期のピアノ・ソナタ 

 初めの3曲が「作品2」としてまとめられ、恩師ハイドンに献呈された。若いベートーヴェンらしい緊迫感、緊張感のある主題で楽しみたい。演奏の方は、グレン・グールドとリチャード・グード(発音的にはグッドが正しい?)の演奏が良い。できれば作品2として3曲まとめて聴きたい。

 ピアノ・ソナタの旅路に幸運を! 




1番ヘ短調Op.2-1:

 ヴァルトシュタイン伯爵による「モーツァルトの精神をハイドンの手から受け取りなさい」という言葉に送られ、ハイドンに師事すべく故郷のボンを後にウィーンへと旅立ったベートーヴェンであったが、その指導力に不満を抱き1793年には既にハイドンの元を去っていた。

   作品2の3曲は、1795年(ベートーヴェン24歳)の時、作曲。

 

 17953月ブルク劇場で最初の公開演奏会(ピアノ協奏曲第2番作品19)。

 ピアノ・ソナタ第1番は、特に第4楽章の第1主題が印象に残る。現代的でしかもクールでカッコいい主題をベートーヴェンは持ってきてくれた。


  1795年8月末、ハイドンが帰国。恩師への感謝を込めた「ピアノ・ソナタ第1~3番」作品2が演奏会で披露される。


宇宙空間に浮かぶ金星と戦闘機の飛行機雲






ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調Op.2-1:(P)グレン・グールド

若しくは(P)ヴィルヘルム・ケンプ(19分24秒)


グレン・グールド
クールでカッコいい演奏。   


ピアノソナタ第1番


    













ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調Op.2-1:(P)リチャード・グッド

リチャード・グ-ドのCD盤
ピアノソナタ第1番:グ-ドの演奏もふさわしい

リチャード・グード

1943年、ニューヨーク州ブロンクス生まれ。エイヴリー・フィッシャー賞を受賞。録音も数多く、中でもアメリカ人ピアニストとして最初のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音が有名である。グールドとグードは、歴史に残る北米の(ベートーヴェン弾きの)二大ピアニストだ。



第2番イ長調Op.2-2:


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第2番イ長調Op.2-2:(P)グレン・グールド


グレン・グールド【ノーベル賞級】
クールでカッコいい演奏。
ピアノソナタ第2番:グールドの演奏がふさわしい。















ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第2番イ長調Op.2-2:(P)リチャード・グッド

(P)ヴィルヘルム・ケンプ(23分50秒)【味わい深い演奏で曲に合う】


若しくは(P) ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第2番イ長調作品2の2:(P)アニー・フィッシャーStudio recording1977-1978(21分15秒)


リチャード・グッドのCD盤:
グードもレベルの高い演奏だ。



第3番ハ長調Op.2-3:

曲想は、ピアノ協奏的な華麗さと軽やかさが特徴だ。




ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3番ハ長調作品2-3:(P)グレン・グールド


グレン・グールド【ノーベル賞級】
華麗なピアノの弾きまわし方がカッコいい。
華麗な感じはビートルズ、ポールサイモン
の一部の曲にも通ずる。
ピアノソナタ第3番は
グールドの演奏が好ましい。















ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3番ハ長調作品2-3:(P)ブルーノ・ゲルバー(26分17秒)


若しくは(P) マウリツィオ・ポリーニ(23分31秒)

若しくは(P) スヴャトスラフ・リヒテル(26分51秒)

ブルーノ・ゲルバー

南米出身のピアニスト
第3番を得意にしている!
すごくいい演奏だ!!



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3番ハ長調作品2-3:(P)リチャード・グード


リチャード・グッドのCD盤
第3番は軽やかでソフトな演奏をしている。




第4番変ホ長調Op.7:

作品7は、1797年(ベートーヴェン27歳)の時、作曲。


 第4番作品7はベートーヴェンの全32曲のピアノ・ソナタの中でも第29番≪ ハンマークラヴィーア≫に次ぐ、野心的な大作。それがこの第4番だ。ピアノ・ソナタなのに、敢えて交響曲のような規模への憧れから、この第4番まで4楽章ソナタ形式にこだわり続けて作曲している。第5番以降は、ピアノ・ソナタでスタンダードな3楽章形式の作品が多い。

 第4番の演奏の方は、なぜか?グレン・グールドの演奏が残っていない。天才が演奏と録音に対して賢明になったのか?仕方ないので、全集盤にこだわったアニー・フィッシャー、エリー・ナイ、マウリツィオ・ポリーニの盤で聴きたい。


ハイドンの言葉『作品2は私も大いに気に入りました。しかし白状すれば、今度の作品7は、ますます幻想にかられているように思えます。』
・・・前途多難だが、ベートーヴェンは、なにかから自信を得て、ハイドンから離れて、晴れやかに独自のスタイルをこの曲で表したのだろう・・・恩師からの卒業的な曲!と思えば、ぴったりの曲想だ!


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第4番 変ホ長調 作品7:(P)マウリツィオ・ポリーニ:2012年最新録音盤【エリー・ナイより5分も早く弾ききっている!】

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第4番≪最初の傑作、大きなソナタ≫変ホ長調 作品7:エリー・ナイ(31分05秒)【ベートーヴェンが乗り移ったかのように神がかっている】

18歳のマウリツィオ・ポリーニ
(ショパン・コンクール優勝時のCD盤)
自分の中では、一生の宝物。
特にP協奏曲第1番は「神の域」に達した演奏
をしている。

70歳のマウリツィオ・ポリーニ【第4番を70歳で録音。華やか、晴れやかな感じ・・・に弾く!!】
他にも9番・10番・11番も演奏している。
ポリーニの演奏は綺麗過ぎて印象に残らない、
と言われるが、これを聴けばそれが、このソナタの曲想に一致していると分かる。
ポリーニのうなり声もピアノの一部に聞こえる。



エリー・ナイ【一生の宝物になる盤】
Pソナタ第4番:エリー・ナイの演奏がふさわしい。






















この曲の「幻想的な面」が分かる31分05秒。
エリー・ナイ【一生の宝物になる盤】
(31分05秒)【ベートーヴェンが乗り移ったかのように神がかっている】



エリー・ナイ【一生の宝物になる盤】
この曲の「幻想的な面」が分かる31分05秒。




●ハイドンから離れてからの初期のピアノ・ソナタ 


初期のピアノソナタなら
グードも良い演奏をする。


グレン・グールドとリチャード・グード(発音的にはグッドが正しい?)の演奏が良い。作品10の3曲はベートーヴェンが1796年(ベートーヴェン25歳)にヨーロッパ演奏旅行の前後に作曲された。

 若きベートーヴェンはドイツ東部のベルリン、ライプツィヒ、ドレスデンなどを巡った。

 完成は1798年春(ベートーヴェン27歳)に『ピアノ・ソナタ第5~7番』作品10が完成し出版される。


 作品10の3曲とも熱心なパトロンのマルガレータ夫人に献呈される。できればグレン・グールドの演奏で、作品10を3曲まとめて聴くべき。



第5番ハ短調≪小悲愴≫Op.10-1:

 3楽章形式の、引き締まった曲になっている。

 有名な第8番と同じハ短調で書かれたから、≪小さな悲愴≫と呼ばれるようになった。

 最大の聴きどころは、第2楽章のアダージョが大変に美しい。しかも、たっぷり時間をかけている。6分21秒(グールド盤)。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第5≪小悲愴≫ハ短調Op.10-1:(P)グレン・グールド

超有名な天才グレン・グールド


ピアノソナタ第5番≪小悲愴≫















ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第5≪小悲愴≫ハ短調Op.10-1:(P)リチャード・グード

リチャード・グッドのCD盤はベスト演奏だ!






第6番ヘ長調Op.10-2:

 ベートーヴェンの演奏旅行先、ライプツィヒ。ライプツィヒといえば、まずバッハ先生の聖トーマス教会。ベートーヴェンは、ここにも多分訪れただろう。

バッハが音楽総監
を務めた聖トーマス教会(ライプツィヒ)

リチャード・グッドのCD盤はベスト演奏だ!



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第6番ヘ長調Op.10-2:(P)グレン・グールド

6番は9番のような「美しい庭」のような作品。
楽しさ溢れる演奏はグレン・グールドで。






ピアノソナタ第6番




ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第6番ヘ長調Op.10-2:(P)リチャード・グッド

リチャード・グッド!





第7番ニ長調≪壮大にして重要な≫Op.10-3:

 作品10のほかの2曲(第5番と第6番)が3楽章形式をとって、引き締まっているのに対し、第7番は4楽章形式の大作になっている。

 第7番の第2楽章は悲劇的な楽章。第12番葬送の第3楽章に似ている。

 第7番の第2楽章ラルゴはグレン・グールドの演奏で聴きたい。10分39秒。


ベートーヴェンも歩いたであろう世界文化遺産の
ライプツィヒ旧市街(階段状の屋根)

リチャード・グッドのCD盤はベスト演奏だ!



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第7番≪壮大にして重要な≫ニ長調Op.10-3:(P)グレン・グールド

グレン・グールド
第7番は第4番と同様に4楽章形式を取る。
今までのピアノソナタを聴くと、
ベートーヴェンの転機となる曲は、4楽章形式を取るのか?







ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第7番≪壮大にして重要な≫ニ長調Op.10-3:(P)アニーフィッシャー

アニーフィッシャー

アニーフィッシャーのCD盤






8番ハ短調《悲愴》Op.13:

3楽章形式。

ハ短調。



 1799年(ベートーヴェン28歳)、10月『ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫』作品13を出版。


 
有名な第5番≪小悲愴≫と同じハ短調で書かれたから、第8番は≪大きな悲愴≫と呼ばれるようになった(標題は作曲者自身がそう呼んだらしいから)。







≪悲愴≫を演奏する天才グールド

≪悲愴≫はベートーヴェンの初期ピアノ・ソナタ作品の頂点に立つ名曲。超有名な名旋律の第2楽章のアンダンテ・カンタービレは特別な思いで聴くことが多い。4分46秒(グールド盤)、5分27秒(リヒテル盤)。


 この≪悲愴≫の演奏はグレン・グールドが、決定的な演奏をしている。


道・土手・堀(岸田劉生)



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫ハ短調作品13:(P)エリー・ナイ


エリー・ナイ【一生の宝物になる盤】
Pソナタ第8番:エリー・ナイの演奏。



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫ハ短調作品13:(P)リヒテル【神の域】


5分27秒(リヒテル盤)
第二楽章は聴きものだ!!!



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番≪悲愴≫ハ短調作品13:(P)エフゲニー・キーシン(ライブ録音)

エフゲニー・キーシン






第9番ホ長調Op.14-1:

 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番と同時期に作曲している。ベートーヴェンの弟子アントン・シンドラーは「最も内容豊かな優れたものであるにもかかわらず、あまり一般に認められていない曲」と評している。

第9番は美しい庭のような作品。

温もり、軽やか、移ろう庭を眺めながら・・・
ピアノ・ソナタ第9番。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第9番 ホ長調 作品14の1:(P)タチアナ・ニコラーエワ



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第9番 ≪優美≫ホ調作品14-1:(P)アルフレッド・ブレンデル:1970年録音盤


アルフレッド・ブレンデル

10番ト長調≪対話≫Op.14-2:

 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番と同時期に作曲している。ベートーヴェンの弟子アントン・シンドラーは「最も美しい小品」と讃えている。作品14も第9番、第10番と続けて聴きたい。主題がユーモラスな男女の対話を表している、とされる。


グールドのピアノタッチは素晴らしく雄弁だ。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第10番≪対話≫ト長調作品14の2:(P)タチアナ・ニコラーエワ



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第10番≪対話≫ト長調作品14の2:(P)グレン・グールド

グレン・グールド

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第10番 ≪対話≫ト調作品14-2:(P)アルフレッド・ブレンデル:1970年録音盤


アルフレッド・ブレンデル


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第10番≪対話≫ト長調作品14の2:(P)リチャード・グッド

リチャード・グッドのCD盤はベスト演奏




11番 変ロ長調≪大ソナタ≫Op.22:

 

 残念ながら、第11番はグレン・グールドの演奏が残っていない。


 このころのベートーヴェンは一段と作曲意欲を示し、前10曲を凌ぐ大作を完成。前期様式の集大成的な作品と言われる。ベートーヴェン支持者ブロウネ・カミュ伯爵に献呈。



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第11番 ≪大ソナタ≫変ロ長調 作品22(P)タチアナ・ニコラーエワ





●中期ピアノ・ソナタ :ベートーヴェン“傑作の森”(ロマン・ロラン)と呼ばれる時期のピアノ・ソナタ集


12番変イ長調≪葬送≫Op.26:


 第1楽章が変奏形式、第2楽章がスケルツォ、第3楽章が葬送行進曲、第4楽章がロンド形式で、ソナタ形式で書かれた楽章が1つもない型破りの「ピアノ・ソナタ」を作曲。

 前代未聞の形式から、第3楽章から第4楽章にかけて曲想のギャップが有り過ぎる。演奏にはそれを感じさせない方が聴きやすい。

 ショパンは、全32作品の中で、この第12番変イ長調≪葬送≫を愛していた。ショパンのピアノ・ソナタ第2番に影響を与えた作品。全曲の核となるのが、圧巻の第3楽章で「ある英雄の死を悼む葬送行進曲」である。ショパンのピアノ・ソナタ第2番の第3楽章が、やはり「葬送行進曲」である。

 演奏は、クラウディオ・アラウと女流演奏家3人が抜群に抜きん出いる。



ベートーヴェンの葬儀の時に流れた曲が第3楽章だった。
それをシューベルトも聞いていた。


ピアノ・ソナタ第12番≪葬送≫変イ長調作品26:(P)マウリツィオ・ポリーニ:ライブ録音




ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番≪葬送≫変イ長調作品26:(P)グレン・グールド

グレン・グールド:
第3楽章から第4楽章にかけて、曲想の
ギャップがありすぎる。聴きずらい。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番≪葬送≫変イ長調作品26:(P)エリー・ナイ


エリー・ナイ【一生の宝物になる盤】



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番≪葬送≫変イ長調作品26:(P)スヴァトラフ・リヒテル

【期待していたが、音が悪くて聴きづらい】第3楽章は、かなり怖い感じ。第3楽章から第4楽章にかけて、曲想のギャップがありすぎる。

    

スヴァトラフ・リヒテル


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番≪葬送≫変イ長調作品26:(P)エリー・ナイ

エリー・ナイ【彼女が演奏するとベートーヴェン自身が弾いているような錯覚に陥る。】

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番≪葬送≫変イ長調作品26:(P)クラウディオ・アラウ

クラウディオ・アラウのCD盤




13番変ホ長調≪幻想風ソナタ≫ Op.27-1:

 1801年(30歳)、『ピアノ・ソナタ第13≪幻想ソナタ≫&14番≪月光≫』作品27と、『ピアノ・ソナタ第15番≪田園≫』作品28を作曲。


 作品27の2曲、≪幻想風ソナタ≫と≪月光≫は、いずれも幻想曲をスケッチしたため、ベートーヴェン自身により≪幻想曲風ソナタ≫と命名された。第13番変ホ長調≪幻想風ソナタ≫は、さらに曲の重心が最終楽章に移された作品でもある。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番≪幻想風ソナタ≫ 変ホ長調 Op.27-1:(P)グレン・グールド

グレン・グールドが弾くと楽しくなる。
ピアノ・ソナタ第13番≪幻想風≫はグールドの演奏。



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番≪幻想風ソナタ≫ 変ホ長調 Op.27-1:(P)アニー・フィッシャー

アニーフィッシャー





ファジル・サイ

14番嬰ハ短調≪月光≫Op.27-2:

写実的、歌謡性のグレン・グールド、抒情的なファジル・サイ、リチャード・グード、ヴィルヘルム・ケンプ。ここは個人の好み、趣味で判断して聴きたい所。

 この曲の比較鑑賞は楽しい、面白い。



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調≪月光≫Op.27-2:(P)ヴィルヘルム・ケンプ




ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調≪月光≫Op.27-2:(P)グレン・グールド


グレン・グールドのCD盤


グレン・グールド






ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調≪月光≫Op.27-2:(P)ファジル・サイ



ファジル・サイ【「月光」は注目に値する】



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調≪月光≫Op.27-2:(P)レイフ・オヴェ・アンスネス

     

ノルウェーのアンスネス【注目】


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調≪月光≫Op.27-2:(P)エミール・ギレリス【この曲の重心が置かれた最終楽章は賛否両論、好嫌が別れる。】

エミール・ギレリス【最終楽章は賛否両論】
ジャケット写真はカッコいいのだが・・・。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調≪月光≫Op.27-2:(P)エリー・ナイ【自分は好ましくない・・】


エリー・ナイのCD盤

第2楽章の演奏が良いものを選ぼう。





15番ニ長調≪田園≫Op.28:

 作品27も作品28もほぼ同時期に作曲しているが、革新的な作品27の2曲から一転、作品28は伝統的様式を選ぶ。≪田園≫の名称は当時田園趣味の音楽が流行ったため。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第15番≪田園≫ ニ長調 Op.28:(P) ヴィルヘルム・バックハウス1961年録音(デッカ)

ヴィルヘルム・バックハウス
バックハウスの演奏は逆転ホーマー的演奏で神がかっている。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第15番≪田園≫ニ長調 Op.28:(P)クラウディオ・アラウ



クラウディオ・アラウ


●難聴で聞こえなくなった頃のピアノ・ソナタ集

 1802年終わり(31歳),ハイリンゲンシュタットの危機が去ると、今までの作品に決別し、改めてピアノ・ソナタに向かって作曲した。それらの曲が作品31の3曲。失意と決意の中で作曲されたこの3曲は、古典的なたたずまいと明るい曲想に戻っている。その結実が輝かしく、壮麗な第21番≪ヴァルトシュタイン≫に向かっていく。

 個人的には第21番≪ヴァルトシュタイン伯爵≫は、17番≪テンペスト≫より好きな曲想だ。第22番風変わりな、特異な≫も明るくて、好みの曲だ。さらに第23番≪熱情≫以降も傑作が続く。


16番ト長調Op.31-1:

3楽章形式。


 1802年(31歳)、『ピアノ・ソナタ第16から18番』作品31の3曲と第17番≪テンペスト≫作品31を作曲。

 第16番から始まる作品31の3曲は、1805年(34歳)にまとめて出版される。また3曲とも誰にも献呈されていない。

  この第16番から、ベートーヴェン自身の想像力が最高潮に高まる長い時期が到来する。「傑作の森」への第一歩を踏み出す。1806年(35歳)までの間に、交響曲≪運命≫・≪田園≫、ピアノ協奏曲≪第4番と第5番≫、ピアノ・ソナタ≪ヴァルトシュタインと第22番と熱情≫などの傑作が続けざまに書かれた。

 


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第16番 ト長調 Op.31-1:(P)グレン・グールド

グレン・グールド


第16番、第17番、第18番はグールドが特別な愛情を抱いていた作品。特に、この第16番はお気に入りだった。





17番ニ短調≪テンペスト≫Op.31-2:

3楽章形式。

ニ短調。

 ≪テンペスト≫という謂れは、弟子のアントン・シンドラーがこの曲と≪熱情≫の解釈について尋ねた時に、ベートーヴェンが「シェイクスピア作品の『テンペスト(嵐)』に聞け!」といったことに由来。

 終楽章に重点が置かれた作品。演奏はアニーフィッシャーとスヴァトラフ・リヒテルとヴィルヘルム・ケンプを比較しながら鑑賞したい。グレン・グールドも良い。




ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番≪テンペスト≫ニ短調 Op. 31-2:(p)ヴィルヘルム・ケンプ【第17番は彼のオハコ】

    
第14番、第23番、第29番も「神の域」と言える演奏だった!

ヴィルヘルム・ケンプ【第17番≪テンペスト≫の演奏は絶品】
ピアノ・ソナタ第17番:演奏はヴィルヘルム・ケンプが一番良い。






ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番≪テンペスト≫:(P)マウリツィオ・ポリーニ


マウリツィオ・ポリーニ


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番≪テンペスト≫:(P)クラウディオ・アラウ



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番≪テンペスト≫ニ短調Op.31-2:(P)グレン・グールド


天才グレン・グールド
グレン・グールドのCD盤アルバム写真

    

第16番、第17番≪テンペスト≫、第18番≪トランペット≫はグールドが特別な愛情を抱いていた作品。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番≪テンペスト≫ ニ短調Op.31-2:(P)エリー・ナイ【音が悪かった!良くない!】


エリー・ナイ【ピアノの反響音が気になる。】




ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番≪テンペスト≫ニ短調 Op. 31-2:(p)スヴァトラフ・リヒテル【名演だが、軽く弾きこなしているので、良くない!】


スヴァトラフ・リヒテル【有名なメロディア・レーベルの盤】
メロディアの貴重なCD




18番変ホ長調≪狩り≫Op.31-3:

 充実した中期作品の1つ。≪狩り≫という名称は主に第4楽章の主題が狩猟用の角笛(ホルン)を想起させることに由来。この曲はベートーヴェンにしてはモーツァルト風に聴こえる。非常に楽しく、愉快な曲想だ。演奏はエリー・ナイよりグールドかアニーフィッシャーで聴きたくなる。



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第18番≪狩り≫変ホ長調作品31の3:(P)グレン・グールド【天才グールドなら楽しい気分になれるが、、、物足りない】

グレン・グールド
CD盤






第16番、第17番、第18番はグールドが特別な愛情を抱いていた作品。



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第18番≪狩り≫変ホ長調作品31の3:(P)エリー・ナイ【音が少し痩せて聞こえる、、でも名演】

エリー・ナイ


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第18番≪狩り≫変ホ長調作品31の3:(P)クラウディオ・アラウ【大船に乗った演奏!決定版だ!】

クラウディオ・アラウ


19番ト短調≪やさしいソナタ1≫Op.49-1:

 グールドの録音は第19番以降は録音を残していない。ただし第23番≪熱情≫と後期3大ピアノ・ソナタは録音を残してくれた。


 作品49の2曲は、ベートーヴェンが家庭教師をしている弟子たちのために、やさしい練習曲風に作曲した作品。演奏はアルフレッド・ブレンデルで聴きたい。アニーフィッシャーも良いが前者より音質は落ちる。ブレンデルの演奏は、音質の良さも相まって優しさに溢れている。

  

 

ピアノ・ソナタ第19番≪易しいソナタ1≫ト短調 作品49の1:(P)エミール・ギレリス








20番ト長調≪やさしいソナタ2≫Op.49-2:

第20番は、そよ風に流されるような曲想。音質の良い名演で聴きたい。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第20番≪やさしいソナタ2≫ト長調作品49の2:(P)クラウディオ・アラウ

(P)クラウディオ・アラウ
フィリップス・サウンドのCDはゴージャスなサウンドだ!




ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第20番≪易しいソナタ2≫ト長調作品49の2:(P)アルフレッド・ブレンデル


アルフレッド・ブレンデル


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第20番≪易しいソナタ2≫ト長調作品49の2:(P)アニーフィッシャー【第2楽章を元気よく、テンポよく弾いているが?良くない】



 21番ハ長調≪ヴァルトシュタイン≫Op.53:


 1803年(32歳)、11月から12月頃、『ピアノ・ソナタ第21番≪ヴァルトシュタイン伯爵≫』作品54を作曲。

 ヴァルトシュタイン伯爵は、ベートーヴェンの故郷ボン時代からの経済的支援者(パトロン)。1792年(21歳)にベートーヴェンが故郷ボンからウィ―ンへ出立する際に「モーツァルトの精神をハイドン先生から受け取りなさい」と助言された。

 しかし、ベートーヴェンがハイドン先生から学ぶべきものは少なかったらしい。それだけ、若いベートーヴェンは勉強していた。

 21番ハ長調≪ヴァルトシュタイン≫の第2楽章は出版前に、≪アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調 WoO.57≫と差し替えられたもの。


 1805年(ベートーヴェン34歳)、この21番ハ長調はヴァルトシュタイン伯爵に献呈された。この年の4月7日に交響曲≪英雄≫を公開演奏。


  この≪ヴァルトシュタイン≫は「ピアノのための英雄交響曲第3番」ともいわれる程、充実した作品。1803年(ベートーヴェン32歳)、難聴とともに模索していたベートーヴェンにパリ・エラール製の最新式ピアノが贈られ、これに刺激されて、輝かしくも壮麗なピアノ・ソナタが生み出される。ベートーヴェン自身は、その後も最新のピアノに熱中している。

  


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番≪ヴァルトシュタイン≫ハ長調 作品53:(P)ウラジミール・ホロヴィッツ1974年録音【神の域】

ウラジミール・ホロヴィッツ1974年録音盤は、決定打と言ってよい!





ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番≪ヴァルトシュタイン≫ ハ長調 作品53:(P)エリー・ナイ

エリー・ナイ


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番≪ヴァルトシュタイン≫ ハ長調 作品53:(P)クラウディオ・アラウ



作風の転換点となった2つのピアノ・ソナタ⇔第22番≪風変わりな、特異な≫と第23番≪熱情≫


 1802年~1805年は、作風の大転回点となる。


 第22番ヘ長調≪風変わりな、特異な≫Op.54は、交響曲第3番《英雄》が書かれた時期に作曲された。22番は風変わりな、特異な曲だ。しかも、明るい。ベートーヴェンのユーモアを思う?、と思わせるような曲。かなりベートーヴェンに似つかわしくないようにも聴こえる。

 演奏は、何色にも聞こえて、音質の抜群なリチャード・グッドかクラウディオ・アラウの演奏が聴きやすい。ケンプの演奏は、多数の旋律が良く聞こえる、不思議な演奏。演奏に間があり音も良い。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第22番『秋の印象派』ヘ長調Op.54 :(P)ヴィルヘルム・ケンプ Rec.1965【神の域】

第14番、第17番、第23番、第29番も「神の域」と言える演奏だった!




ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第22番 ≪風変わりな、特異な≫ヘ長調 作品54:(P)ヴィルヘルム・ケンプ Rec.1965【名演】

ケンプのCD盤
Pソナタ第22番:ヴィルヘルム・ケンプ先生 の演奏がふさわしい。



23番ヘ短調≪熱情≫Op.57:

リヒテル
メロディアの貴重なCD


 1805年(34歳)春頃、『ピアノ・ソナタ第23番≪熱情≫』作品57を完成。

 

 交響曲第3番《英雄》が書かれた時期に作曲された。作風の転換点ともなったのが、この≪熱情≫。ベートーヴェンの三大ソナタとは≪悲愴≫、≪月光≫、≪熱情≫のことだが、レコード会社の宣伝広告用だ。≪熱情≫の第1楽章がベートーヴェンの苦悶、第2楽章が静かな反省、第3楽章がベートーヴェンの勝利、を表している。≪熱情≫はベートーヴェンの中期ピアノ・ソナタ作品群の頂点に立つ

この≪熱情≫の演奏も神様リヒテルが、決定的な演奏をしている。もし見つけたら買いだ。



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番≪熱情≫へ短調 Op 57:(P)リヒテル【神の域】

スヴァトラフ・リヒテル
メロディアの貴重なCD



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番≪熱情≫へ短調 Op 57:(P)マウリツィオ・ポリーニ【逆転ホーマー的演奏、ピアノの粒立ちが心地よい】






ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番
≪熱情≫へ短調 Op 57:(P)グレン・グールド

グレン・グールド

♪ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調 作品57≪熱情≫は、グールドの行った「伝統破壊」の中でも最も有名なものといわれる。重苦しいテンポで弾かれた第1楽章は多くの批判を呼んだ。グールド自身、そのライナーノートで「なぜこの曲に人気があるのかがわからない」など、この曲への嫌悪感を表明している。







ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番≪熱情≫へ短調 Op 57:(P)マウリツィオ・ポリーニ【ステージでの凄演】


マウリツィオ・ポリーニ
ベートーヴェン全集

これで巨匠になった!


マウリツィオ・ポリーニ




ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番≪熱情≫へ短調 Op 57:(P)エリー・ナイ


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番≪熱情≫へ短調 Op 57:(P)ファジル・サイ


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番≪熱情≫へ短調 Op 57:(P)アルフレッド・ブレンデル


他、多数ある。23番≪熱情≫はベートーヴェン・ピアノソナタ演奏の指標になる。本気で鑑賞するなら若い演奏家は避けたほうが良い。



●三つの長調の曲⇔第24番嬰ヘ長調≪テレーゼ≫・25番ト長調≪かっこう≫・26番変ホ長調≪告別≫


1809年(38歳)、『ピアノ・ソナタ第24番≪テレーゼ≫』作品78と『ピアノ・ソナタ第25番≪かっこう≫』作品79を作曲。翌年に第26番≪告別≫作品81を作曲。


 ≪テレーゼ≫は、≪熱情≫を作曲した4年後に作曲される。作曲者が生涯にわたり友情を育んだ伯爵令嬢、ピアノの教え子でもあったテレーゼに捧げられた曲。

 第24番から第26番まで3曲続けて聴きたい。



24番嬰ヘ長調≪テレーゼのために≫Op.78:

テレーゼと婚約まで行ったベートーヴェン。4年後に婚約解

消。二人は生涯独身に終わる。



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第24番 嬰ヘ長調 作品78≪テレーゼ≫:(P)リチャード・グッド【グードのベスト演奏!】

リチャード・グッド【第5番、第6番、第7番と、この第24番はベストな演奏。】





ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第24番 嬰ヘ長調 作品78≪テレーゼのために≫:(P)クラウディオ・アラウ


クラウディオ・アラウ



25番ト長調≪かっこう≫Op.79:

カッコウの感じが出る演奏が良い。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第25番 ト長調 作品79≪かっこう≫:(P)ファジル・サイ【神の域】



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第25番 ト長調 作品79≪かっこう≫:(P)ヴィルヘルム・バックハウス

ヴィルヘルム・バックハウス


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第25番 ト長調 作品79≪かっこう≫:(P)エミール・ギレリス【名演】

エミール・ギレリス
【ポリーニのように異常にテンポが速すぎなくて、
ギレリスのテンポがちょうど≪カッコウ≫には良いかもしれない?】



26番変ホ長調≪告別≫Op.81a:

ベートーヴェンの五大ソナタなら≪悲愴≫、≪月光≫、≪熱情≫、≪葬送≫そして、この≪告別≫。

 第26番変ホ長調≪告別(ナポレオンがウィ―ン侵攻のため、ルドルフ大公殿下がウィ―ンを離れた際の別れ)≫の表題は、ベートーヴェン自身が第1楽章の草稿に書いたもの。第2楽章は≪不在(ルドルフ大公殿下のウィ―ン不在の期間をさす)≫、第3楽章は≪再会(敬愛するルドルフ大公殿下帰還)≫と書き込まれている。


ベートーヴェンが作曲を伝授した弟子・友人であるルドルフ大公殿下。
20年間親交をを深め、ベートーヴェンは彼から年金を貰った。
お互いに作曲した作品を献呈しあっている。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番≪別れ≫変ホ長調作品81-a:(P)クラウディオ・アラウ



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番≪告別≫変ホ長調作品81-a:(P)ヴィルヘルム・バックハウス


ヴィルヘルム・バックハウス


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番≪告別≫変ホ長調作品81-a:(P)ダニエル・バレンボイム


ダニエル・バレンボイム
【演奏の印象はギレリスに似ている、しかし、
この26番告別のベートーヴェンの音楽はバレンボイムが良いだろう】


27番ホ短調Op.90:

2楽章形式。

全32曲中、唯一のホ短調の作品。

 1814年(43歳)8月16日、『ピアノ・ソナタ第27番』作品90を完成。

 ベートーヴェンの伝記を書いたシンドラーによると、このころのベートーヴェンは作曲は充実期に入っていたが、回復が望めなくなった耳の病と経済的困難と結婚への望みが絶たれた頃で、ベートーヴェンは第1楽章に「頭と心臓の闘い」、第2楽章に「恋人との対話」と書くべきものだと、シンドラーに語ったという。



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第27番 ホ短調 作品90:(P)スヴャトスラフ・リヒテル:【ラベル】プラガ

スヴャトスラフ・リヒテル:【ラベル】プラガ




●円熟期(晩年)の2つのピアノ・ソナタ1816年~1818年

 第28番≪ドロテア・チェチリア(女性)≫イ長調作品101第29番≪ハンマークラビア≫変ロ長調作品106を完成。

どちらも4楽章形式の大曲。


 

1818年(47歳)、ロンドンのブロードウッド社から贈られた6オクターブの音域を持つ最新式のピアノが贈られる。このピアノで第29番は作曲している。


  この2つのピアノ・ソナタは円熟期のベートーベンの作品。第28番作曲の後すぐに、演奏時間が最大の曲である第29番≪ハンマークラビア≫に取り掛かる。どちらも曲想が難解なので分かりやすい演奏が良い。


 全32曲ある中でソナタ形式(4楽章形式)の作品は全10曲ある。その中で、第29番≪ハンマークラビア≫が最後のソナタ形式(4楽章形式)となる。


28番≪ドロテア・チェチリア≫イ長調Op.101:



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第28番≪ドロテア・チェチリア≫イ長調 Op. 101:(P)スヴャトスラフ・リヒテル:【ラベル】プラガ

スヴャトスラフ・リヒテル:【ラベル】プラガ




ベートーヴェン:ピアノソナタ第28番〘ドロテアチェチリア〙イ長調 作品101:(p)ブレハッチ【ノーべル賞級】

ラファエル・ブレハッチ






最晩年の4っつのピアノ・ソナタ:諦観・哲学・幻想・柔軟・・・が演奏には必要。≪第28番あたりから後期のピアノ・ソナタ作品に入る。≫


29番≪ハンマークラビア≫変ロ長調Op.106:

 4楽章形式。


 1817年(47歳)の秋から書き始められ、翌1818年の9月に完成。1819年9月に≪ハンマークラヴィーアのための大ソナタ≫と題して出版された。 

 ルドルフ大公に1819年(49歳)に献呈。29番が≪ハンマークラビア≫となったのは、作品101≪ドロテア・チェチリア≫以降のピアノ作品には必ず「ハンマークラヴィアのための」を記すようにしたため。

 ベートーヴェンのピアノ・ソナタで一番長い演奏がこの第29番変ロ長調≪ハンマークラビア≫であり、2番目に長い演奏は第4番変ホ長調

 最も演奏時間の長い≪ハンマークラビア≫は、シンフォニック(交響楽的)な作品のためピアニストにとって難解な曲の1つ。空前の大ソナタとなった。


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番 ≪ハンマークラビア≫変ロ長調作品106:(P)エリー・ナイ


エリー・ナイ


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番 作品106≪ハンマークラヴィーア≫変ロ長調:(P)マウリツィオ・ポリーニ



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番 ≪ハンマークラビア≫変ロ長調作品106:(P)スヴァトラフ・リヒテル

スヴァトラフ・リヒテル



●ここから、最晩年の3っつのピアノ・ソナタに入る。ピアノ・ソナタの旅も終盤だ。


 個人的に最も好きなベートーベンの後期ソナタの3っつグールドの演奏で3曲を通して聴くことが多い。グレン・グールドの演奏は歌謡性が多く、気構えることなく音楽を楽しんで鑑賞できる。これで物足りない時はアニー・フィッシャーの演奏が音質・演奏共に良い。また音質的に厳しいがバックハウス、ケンプの演奏も良い。特にニコラーエワ、スヴァトラフ・リヒテルは好みだ。比較視聴しながら楽しみたい。

 これら3曲中、第32番だけが2楽章形式をとる。この曲をもってベートーヴェンのピアノ・ソナタの旅も終わる。

 この後のピアノ作品には、≪ディアベリの主題による33の変奏曲≫作品120などが続く。


30番ホ長調Op.109:

細くて暗い小道から、急に明るく輝く風景に出会う・・・。



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ: 後期3大ピアノ・ソナタ op. 109, 110, 111 :(P)マウリツィオ・ポリーニ:1998年4月25日に東京でライブ

マウリツィオ・ポリーニ

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ調作品109:(P)アルフレッド・ブレンデル:1970年録音盤


アルフレッド・ブレンデル


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番ホ長調Op.109:(P)グレン・グールド

グレン・グールド



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 作品109 :(P)アルフレッド・ブレンデル


アルフレッド・ブレンデル


 

31番変イ長調Op.110:

彷徨いながら、また同じ道に来てしまう・・・




ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調Op.110:(P)グレン・グールド

   

グレン・グールド


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調Op.110:(P)マウリツィオ・ポリーニステージでの凄演】

マウリツィオ・ポリーニ



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調Op.110:(P)スヴァトラフ・リヒテル

スヴァトラフ・リヒテル【歴史的名演】

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変イ長調Op.110:(P)アルフレッド・ブレンデル

32番ハ短調Op.111:

全ピアノソナタの頂点に燦然と君臨する曲。曲想はショパン:ポロネーズ第4番に近い。




ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番ホ短調Op. 111:(P)マウリツィオ・ポリーニステージでの凄演】






            ステージ上のマウリツィオ・ポリーニ(演奏終了直後の姿)
【音質と演奏が揃った、危うく体がばらばらになりそうな凄演】

























ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番ハ短調Op.111:(P)グレン・グールド【ノーベル賞級】







マウリツィオ・ポリーニ

マウリツィオ・ポリーニ


マウリツィオ・ポリーニ



●≪パルティータ(変奏曲)、その他のピアノ小品≫:


 ベートーヴェンは変奏曲(パルティータ)の天才で多くの変奏曲を作曲した。

 1823年(52歳)4月、ピアノ独奏のための≪ディアベリ変奏曲の主題による33の変奏曲≫作品120が完成。

 数ある変奏曲の中で、ベートーヴェンの≪ディアベリの主題による33の変奏曲≫作品120が頂点と言われている。

 ディアベリ変奏曲は、ぜひマレイ・ペライアの演奏で聴きたい。これが最後のピアノ作品の最後の旅だ。


ベートーヴェン: ≪トルコ行進曲≫による6つの変奏曲 ニ長調 Op. 76(P)アルフレッド・ブレンデル


ベートーヴェン: ≪バガテル(ピアノ小品集)≫:Op. 33 & 126:(P)グレン・グールド


ベートーヴェン:『わが心はうつろになりて』の主題による6つの変奏曲 WoO.70:(P)アルフレッド・ブレンデル


ベートーヴェン:≪エロイカ変奏曲 変ホ長調≫:(P)グレン・グールド


ベートーヴェン:≪トルコ行進曲≫ Op.76 ニ長調  (P)キーシン 


ベートーヴェン:アルバムの綴り イ短調 WoO.59≪エリーゼのために≫:(P)エリー・ナイ


ベートーヴェン:アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調 WoO.57:(P)エリー・ナイ


ベートーヴェン自身が使ったピアノ(独逸語:ハンマークラヴィア)



ベートーヴェン:≪ディアベリの主題による33の変奏曲≫作品120:(P)マレイ・ペライア


マレイ・ペライア
注目のピアニスト



ベートーヴェン:イギリス国歌≪ゴッド・セーブ・ザ・キング≫による7つの変奏曲 作品78:(P)アルフレッド・ブレンデル


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ≪選帝侯ソナタ第1番≫ 変ホ長調 WoO 47 no.1:(P) ギレリス1985年::(ベートーヴェン13歳)【選帝侯ソナタは3曲あるが、演奏会では皆無。】



アニー・フィッシャー
ベートーヴェン全集
リチャード・グード

スヴァトラフ・リヒテル【神の域】


グレン・グールド
 ベートーヴェン全集
エリー・ナイ

                                



マレイ・ペライア
注目のピアニスト


リヒテル【神の域】
メロディアの貴重なCD



アルフレッド・ブレンデル
1970年代のステレオ録音

エリー・ナイ
【一生の宝物になる盤】




タチアナ・ニコラーエワ
ベートーヴェン全集
【多少、ピアノの反響感あり】



アルフレッド・ブレンデル
ベートーヴェン全集


クラウディオ・アラウ






ファジル・サイ:独自性のベートーヴェン













                【画像は順不同に満載】

ベートーヴェン≪ ピアノ・ソナタ全32作品≫を聴くための『鑑賞案内』

はじめにニ長調作品(2)ト長調作品(4)から聴いて、次に変ホ長調作品(4)を、それから初期作品から順に聴くとよいかもしれない。劇的ソナタ(8番、第14番、第17番、第23番、)や劇的(32)と呼ばれる5曲は後回しに聴いてほしい。全32曲のピアノ・ソナタは、彼の人生をよく知ったうえで、自分の推薦する順番に聴いてほしい。不幸にも商業主義に乗っかって、いきなり劇的四大ソナタ、三大ソナタのネーミングを見て、聴いてしまったとしても、今一度、聴きなおすとよいでしょう。世間一般常識のあふれかえるベートヴェン像をきっぱりと捨て去りましょう。ベートヴェンは“かっこいい”と分かるでしょう。“蒙古大王”とは言わせませんよ、“マコトニオ・モロイ(1930年生まれ、気鋭の前衛作曲家)”さん!

ともかく、いろいろな本、資料を読まずにベートヴェンへの先入観を捨てて聴く方が良いでしょう。この『鑑賞案内』も資料なのですが・・・。私的に偏った、ある意味自由な『鑑賞案内』は、他の本や資料より楽しめるでしょう。一曲平均、20分の時間的ゆとりを持てれば、難しく考えずに気軽に誰でも楽しめます。

さっそくピアノ・ソナタというジャンルの“新約聖書”、若しくは彼の人生にたびたび訪れたという“閃き”というダビンチ・コードの読み解きに行きましょう。

 

●初期ピアノ・ソナタ -情熱あふれる若きベートーベンの軌跡-

 17931801 初期

1番ヘ短調Op.2-1”多彩な光の粒子

01-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1番 ヘ短調 作品21 (P)グレン・グールド(1818)【イメージの多彩さを引き出した演奏】:

若しくは(P)アルフレッド・ブレンデル(1733)【強弱・速さが適切】:

若しくは(P) スヴャトスラフ・リヒテル(2025) 【落ち着いた演奏で味わい深い演奏で曲に合う】:ライブ録音

若しくは(P)ヴィルヘルム・ケンプ(1924) 【落ち着いた演奏で味わい深い演奏で曲に合う】:

若しくは(P) マウリツィオ・ポリーニ【和音はきれいだが速すぎる、残念】:演奏スタイルがフィッシャーのように急ぎすぎるし速すぎる。

 

ベートーヴェンの憧れの作曲家、モーツァルトの《交響曲第25番》の旋律によく似た主題が出てきます。フィナーレは、この時代のブリティッシュ・ロックともいえる、まさにビートルズのように若く野性味あふれた音楽です。つまり「伝統をぶっ壊せ」です。ジョンレノンのように芸術の中での“プロテスト・ソング”なのです。

今までのピアノ・ソナタではハイドン由来の伝統的な三楽章構造がスタンダードであるのに対して、その慣例を破ってむしろ例外に属する四楽章ソナタを第一番~第四番まで作曲をしている。このことが若いベートーヴェンの挑戦の始まりです。

第一番は、グレン・グールドのバッハ風のピアノタッチが心地よい。グールドの演奏は宇宙からやってきた異星人、流星、・・などイメージの多彩さを引き出した演奏で面白い。ブレンデル、リヒテルも落ち着いた演奏で味わい深い。

 

 

第2番イ長調Op.2-2

02-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第2番イ長調作品22 (P)ヴィルヘルム・ケンプ(2350)【味わい深い演奏で曲に合う】

若しくは(P)アルフレッド・ブレンデル【知的な学者的な演奏もよい】:曲想にぴったり寄り添った好演

若しくは(P)ファジル・サイ(2313) 【ライブ感がある】:サウンドが素晴らしい・好演

若しくは(P)アニー・フィッシャーStudio recording1977-1978(2115)【ライブ感がある】:演奏は一流なのに音源の取り方が悪い、音割れがする。エンジニアが悪すぎるので           フィッシャーは多分この全集が世の中に出ることを躊躇っていたと思う。だとしたらマイクの取り方に原因があったかもしれない?

 

ベートーベンにとってピアノ・ソナタは自身の実験の場でもありました。この作品には、4楽章構成を意識した交響曲のような音を連想させるような部分が垣間見えます。第2番はベートヴェン弾き、伝道師と言われたヴィルヘルム・ケンプの演奏は聴いてみたい。

アルフレッド・ブレンデルは、やはり研究者・学者的な微細な楽譜に忠実な感じがして、またポリーニ同様にミスタッチも皆無だ。曲の分かりやすさもある。曲想も良く聴くと曲想にぴったり寄り添った好演だ。第2楽章のぽつぽつとしたタッチ、きわめて美しく演奏している。Deca,フィリップスはサウンドが素晴らしいし、これで良いと結論が出た。

【参考】アルフレッド・ブレンデル:Alfred Brendel,193115日~2025617)は、チェコ出身でクロアチアに育ったオーストリーのピアニスト。ウィキペディアによると1960年代以降、次第に国際的な名声を得るようになるが、1970年にフィリップスと専属契約を結び、リリースしたレコードでその名声を決定づける。1960年代にベートーヴェンの全ピアノ曲を録音した初のピアニストとなる。1970年代にベートーヴェンのピアノソナタ全曲を録音(フィリップ)した。 1982年から1983年にベートーヴェンの全ソナタ32曲を欧米の11都市、77リサイタルで演奏。1996年にベートーヴェンの全ソナタの全曲を録音(3回目)した。ブレンデルの演奏は、華麗さや派手さはないものの、中庸を行く知的で正統的な解釈で音楽ファンを惹きつけている。ブレンデルの演奏は時に「知的」と評される。シューベルトのピアノ作品群のレコーディングで京都賞を受賞。ブレンデルはピアニストの最大の仕事は自分を誇示したり、音楽に自分の解釈を付け加えたりせずに作曲家の意思を尊重することと考えていると語り、「私には作曲家や特に曲に対して責任がある。と述べている。

【参考】アニー・フィッシャー(Annie Fischer, 19147月5 - 19954月10)ハンガリー出身ブタベスト生まれ:ウィキペディアによると最大の遺産は、ベートーヴェンのピアノソナタ全集のスタジオ録音です。このプロジェクトは1977年に開始され、15にわたって取り組まれました。完璧主義者であったフィッシャーは、生前はこのセットのリリースを許可しませんでしたが、彼女の死後、CDでリリースされた。

 

 

 

第3番ハ長調Op.2-3

03-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3番ハ長調作品2-3: (P)ヴィルヘルム・ケンプ(2541)【味わい深い演奏で曲に合う】:

若しくは (P) アルフレッド・ブレンデル(2635)サウンドが素晴らしい・好演】:

若しくは (P) スヴャトスラフ・リヒテル(2652)1975年ライブ録音【リヒテル節は確信的・交響楽的演奏】:リヒテル節は節々に強弱を強く打つ

 

若しくは(P) マウリツィオ・ポリーニ(2331) :【和音はきれいだが速すぎる、味やコクが不足】名曲を急いで弾いてもろくなことはない

 

冒頭の、森の木陰から小動物がひょっこり顔を出すようなかわいらしさが印象的です。ベートーヴェンの交響曲第2番の第2楽章の印象的な部分を思い出す。また第4楽章は、“三和音”の水平移動による軽やかな駆け上がりが、心地よい。

ベートーヴェンが続けて4楽章構成に挑戦した4曲を聴いてみたいときは第1番をグレン・グールド、第2番をケンプやアルフレッド・ブレンデル、第3番をヴィルヘルム・ケンプ、第4番をエリー・ナイの演奏で聴くことが多い。

 

第4番変ホ長調「最初の傑作、大きなソナタ」Op.7

04-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第4番 変ホ長調 作品7: (ピアノフォルテ) エリ-・ナイ(3105)【ベートーヴェンが乗り移ったかのように神がかっている】:

 

若しくは (P)アルフレッド・ブレンデル(3105)同音連打がきれいだ】:ブレンデルのベスト録音と言ってもよい。

 

若しくは(P)マウリツィオ・ポリーニ2012(2601)【なんとなく薄味だが和音が美音なので曲に合う】:ミスタッチで完璧に弾ききっている。後期の3っつの作品にもあてはまる。

 

リーツラーは第4番≪大きなソナタ≫作品7のソナタをベートーヴェンの「最初の傑作」と呼んでいる。第4番からの作品は一段と曲の質が急上昇していく。ベートーヴェンは自信をもってフランス語で「大きなソナタ」であると「独立した作品番号」を作曲者自身がつけている。“同音連打”の使い方が見事な傑作楽曲です。特にエリー・ナイの演奏はベートーヴェン自身が演奏しているかのようです。第1楽章冒頭はすでに後年の第21番ハ長調“ワルトシュタイン”を思わせます。一方、第4楽章冒頭の“同音連打”は、まるで異空間から音楽がフッと現れたような不思議な感覚がします。

4番≪大きなソナタ≫は個人的に大好きな曲の一つで、いつでもエリー・ナイやブレンデルの演奏で聴けることが本当に幸せだ。

 

【参考】エリ-・ナイ(ドイツ語: Elly Ney, 1882927 - 1968331日)はドイツの女性ピアニスト。ベートーヴェン作品の解釈で名を馳せ、1940年にボン市からベートーヴェン賞を授与された。彼女の晩年の作品をすべて収録した12枚組CDは最大の遺産となった。 

その12枚組CDの中のリーフレットから読み解くと、エリー・ナイの思想・哲学は何度も引用された言葉「心から発せられたものが、再び人々の心へ伝わりますように」です。

彼女は数十年にわたりザルツブルクのモーツァルトテウムで教鞭を執りました。言葉と音楽を通して若者に人生のより高次の価値観を伝えることが彼女の使命となった。かつてロシアのピアニストのスヴァトラフ・リヒテルに今でもインスピレーションを受けられるピアノの巨匠はいるかと尋ねられたところ、彼は「巨匠はいないが女性はいる。それはエリー・ナイだ!」と答えた、と言われている。ヴィンケルマンが提唱した「高貴な簡素さと静かな壮大さ」という古典主義の理想に照らされた、ますます洞察力に富んだ解釈で聴衆を魅了した。個人的な思い入れにかかわらず演奏される作品への忠実さ卓越した技術はゆるぎないものだった。

 

第5番ハ短調「小悲愴」Op.10-1

05-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第5番≪小悲愴≫: (P)グレン・グールド(1132)【第2楽章に重きを持ってきたアイデアと天才の名演】:第2楽章(6分21秒)の美しさや濃厚さは奇跡に近い。ブレンデルにも負けてはいない。

若しくは (P) アルフレッド・ブレンデル(1934)ライブ録音盤【さわやかな名演】:ブレンデルのベスト録音と言ってもよい。何といってもブレンデルの和音の良さと全体のバランスが計算されている。第2楽章(906)の美しさは、グードより濃厚で味わい深い。これがライブ録音なのは奇跡だし、ここにいて聴くことができたことが幸せだ。

 

若しくは(P) リチャード・グ-ド(1750)【薄味だが、すばらしい名演】:第2楽章を少し急いで弾いている感じするのが残念だ。グールドからするとかなり離された感じするが、それは録音技術にも関係すると思っている。グールドはソニーの技術、ブレンデルはフィリップス・サウンドの技術者たちだ。

 

第5番は3楽章構成のハ短調です。ハ短調では、交響曲第5番≪ハ短調シンフォニー≫も有名ですが、この作曲家を象徴する調で傑作が多いからです。ピアノ・ソナタ第5番も“付点のリズム”が目立つ力強さに、“ベートヴェン”を感じるでしょう。このようにベートーヴェンには、短調に傑作が多いが、将にこのピアノ・ソナタ第5番も傑作です。特に第2楽章は必聴で、聴きどころです。第二楽章アダージョ・モルトは、全32曲の中でも“きわめて美しい”若しくは “片思いの高貴な人物“のようです。ほかの演奏家が伝統的、平凡な演奏になっているところを、グレン・グールドもアルフレッド・ブレンデルは、第2楽章のアダージョ・モルトを最も美しく演奏している。特にブレンデルは最高です。

【参考】天才モーツァルトの“散歩調”の旋律に学んだだろうし、ハイドン先生の指導からも・・・。初期作品群の中で最も印象に旋律

 (P)グレン・グールド:【第2楽章アダージョ・モルト621秒】

(P)リチャード・グード:【第2楽章アダージョ・モルト807秒】

(P)アルフレッド・ブレンデル:【第2楽章アダージョ・モルト906秒】

 

第6番ヘ長調5月の美しい庭」Op.10-2

06-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第6番:ヘ長調作品102(P) リチャード・グ-ド(1323)【まさに逆転ホーマー的演奏】:まさにこの曲の王道を行く表現をしている。7分40秒以降の素晴らしさは言葉にできない。

 

若しくは(P)マウリツィオ・ポリーニ(1441)【和音が美音なので曲に合う】:長年聴いたので愛着があり、聴きたくなる

 

若しくは(P)グレン・グールド(1039) 【力みが見られるが、曲に合う】:彼自身のベスト演奏

 

個人的に大好きな曲だ。現代の巨匠ポリーニの演奏で十分楽しめたが、いろいろな演奏家で聴きたくなる。第2楽章“アレグレット“は暗い地中から美しい草花が徐々に顔を出すよう。リチャード・グ-ドがまさに朴訥とした演奏で、逆転ホーマー的演奏をしている。特に第三楽章のブレストはすばらしいグードの演奏が聴ける。第11番と,この第6番「5月の美しい庭」はリチャード・グードのベートーヴェン全集ではベスト演奏になる。もちろんグレン・グールドも”彼自身のベスト演奏“で自由に楽しく没入している演奏だ。

【参考】リチャード・グード(Richard Goode, 19436月1 - )はアメリカ合衆国クラシック音楽ピアニストベートーヴェン室内楽を得意とする。) 1943ニューヨーク州イースト・ブロンクス生まれ。カーティス音楽院ルドルフ・ゼルキンミェチスワフ・ホルショフスキに師事。第1クララ・ハスキル国際コンクールに入賞し、エイヴリー・フィッシャー賞を受賞録音も数多く、中でもオルフェウス室内管弦楽団との共演によるモーツァルトの協奏曲や、ベートーヴェンピアノ・ソナタ全曲録音が有名である。リチャード・ストルツマンと共演したブラームスのクラリネット・ソナタの録音によって、グラミー賞を受賞した。現在は内田光子とともに、マルボロ音楽学校の共同監督を務めている。

 

 

第7番ニ長調「壮大にして重要な」Op.10-3

07-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第7番≪壮大にして重要な≫ニ長調作品103(P) リチャード・グ-ド(2249) 【まさに逆転ホーマー的演奏】

若しくは (P)アルフレッド・ブレンデル(2429)【好演】

 

若しくは(P) マウリツィオ・ポリーニ(2038) :【和音が邪魔して、しかも速すぎる】

上昇する旋律の冒頭を聴いただけでは何が始まるのか分からない、きわめて不思議な魅力のある楽曲ですコロコロとした楽しげな第1楽章のユニゾンの冒頭、第4楽章の断片的な冒頭に注意したい。ここでは、すばらしいリチャード・グードの演奏が聴ける。第2楽章“ラルゴ”は、忍び寄る難聴の深刻さを表すこれ以上ないほどに暗く重い曲ですが第12番≪葬送≫の第3楽章に似て美しい。その病気に対峙する苦悩も感じるが、光輝く瞬間、いろいろな表情、表現がみられる。ここでもグードがベスト演奏している。あまり、聴く機会のない作品だが、音楽の歴史ではきわめて重要な作品だろう。

Wikipediaによると、ベートーヴェンの弟子であった作曲家カール・チェルニーは、この作品1034楽章構成ピアノ・ソナタを「壮大にして重要な」作品であると評した。

 

8番ハ短調「悲愴」Op.13

08-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番《悲愴》:(P) スヴャトスラフ・リヒテル(1730)【神の域】:やはり演奏家ではスヴャトスラフ・リヒテルより右に出る人はいないでしょう。

 

若しくは (P)アルフレッド・ブレンデル(1927)

若しくは (P)グレン・グールド(1441)

若しくは (P)エリー・ナイ(2124)

グラーヴェの重く暗い序奏を持つ名曲です。グラーヴェとは速度表記“重々しく荘重に演奏しなさい”という意味なので、表現力、音楽の始まりに味わい深いコクを出す演奏を期待したい。ベートーヴェンの全曲の中でもこれ以上ないほど優しく美しい第2楽章をはじめ、全曲にわたって魅力的な楽曲です。

 4楽章構成、ソナタ形式は基本的に提示部・展開部・再現部の3部構成ですが、大曲の場合には「序奏」が入ることがあります(もちろんソナタ形式では序奏がない場合も多々ある)。 ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「悲愴」第1楽章では、重々しい音で1分以上にわたり序奏が入ります。これは非常に斬新な切り口です。しかもこの序奏が展開部で調を変えて登場し、さらに序奏のフレーズが最後のコーダにおいても形を替えて登場する。作曲家はいろんな意図で序奏をつけているのだろうが、このベートーヴェンの“悲愴”のように序奏に重きを置いている曲もあるのです。「序奏」はイントロとしての役割だけでなく、曲に勢いをつけるまさに「助走」なのです。

ウィキペディアによると、ミュージカル・タイムズ誌に1924に掲載された論説は、本作「悲愴」の主題にはベートーヴェンも称賛を惜しまなかったルイジ・ケルビーニ1797に発表したオペラメデア』の主題と、非常に似通った部分があるとしている。他にも、同じくハ短調で本作と同様の楽章構成を持つヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトピアノソナタ第14の影響も取り沙汰される。とりわけ、第2楽章アダージョカンタービレの主題はモーツァルトの作品の第2楽章に見られるものと著しく類似している。また、未完に終わった交響曲第10の冒頭主題が同主題に類似したものだったという研究成果が発表されている。

 

 

第9番ホ長調“優美"Op.14-1

09-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第9番 ホ長調 作品141(P)タチアナ・ニコラーエワ(1414)【歴史的名演】ライブ録音

若しくは (P)グレン・グールド(1029)【個性的で好きな演奏】

若しくは (P)アルフレッド・ブレンデル(903)【優雅でさわやかな好演】

若しくは (P)ゲルハルト・オピッツ(1416)【速すぎる】インスピレーションを感じさせない

 

8番「悲愴ソナタ」ほど、それほど劇的ではない主題への転換を示すのが、この第9番ホ長調と次の第10番ト長調のつのソナタである。第8番とうって変わって、しなやかで優雅な曲想です。優雅で、さわやかさを感じさせます。

演奏の方はタチアナ・ニコラーエワがロシアの劇場でライブ録音した演奏が、劇場の反響やピアノの個性が気にはなるが、躍動していてよい。第10番『対話』、第11番『イタリ-風の大ソナタ』までの3曲を聴いてみたい方は、ぜひタチアナ・ニコラーエワの演奏を推薦したい。好演している。この3曲はピアニストの個性が光る演奏で聴いてみたい。

 

10ト長調「対話」Op.14-2

10-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第10番≪対話≫ト長調作品142:  (Pグレン・グールド(1706)【天才の名演】曲想にぴったり寄り添った演奏で誰もまねできない

 

若しくは (P)アルフレッド・ブレンデル【やさしい・さわやかな好演】

若しくは (P)タチアナ・ニコラーエワ(1655) 【歴史的名演】ライブ録音

若しくは (P)ゲルハルト・オピッツ(1659)【好演】第2楽章のちょっとしたピアノタッチが楽しいし、“対話”している感じがする。実力のある、ゆとりある演奏だが、 ピアノの反響と速すぎるテンポやこもった音が気になる

 

若しくは (P)リチャード・グード(1519)【速くていいのか?】

若しくは (P)ファジル・サイ(1550) 【速くていいのか?】

第9番が“優美”なら、この第10番は“甘美”と称したい。第2楽章の行進曲風の緩徐楽章は、グレン・グールドやアルフレッド・ブレンデルの方がニコラーエワより“落ち着いて美しい”かもしれない。ファジル・サイやリチャード・グードはかなり速くなっているので良いとは思えない。

ゲルハルト・オピッツはアニー・フィッシャーのように曲の全体を俯瞰したような、流れるような演奏だが、ピアノの反響と速すぎるテンポが気になる。ピアノの音が遠く、こもった感じもあるが、この第10番『対話』に関してはコロコロとした、かわいらしさや優しさが見られて幸福感を感じさせた。

 

11番変ロ長調「イタリア風の大ソナタ」Op.22

11-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第11番 ≪大ソナタ≫変ロ長調 作品22: (P)ファジル・サイ(2424)【サイの最高の名演】:本領を発揮した演奏

若しくは (P)タチアナ・ニコラーエワ(2635) 【歴史的名演】:ライブ録音

若しくは (P)アルフレッド・ブレンデル(2440)【さわやかな好演】

若しくは (P)クラウディオ・アラウ(2824) 【さわやかな好演】

 

若しくは (P)ゲルハルト・オピッツ(2603)【好演】:本領を発揮した記憶に残る個性的な、ユニークな演奏。しかし少し音が遠いし、こもっている。

 

若しくは (P)リチャード・グ-ド(2319):【ファジル・サイより速いのが残念だ】

 

完全にソナタ形式を習得したことに対するベートーヴェンの強い自信が現れた作品で、ベートーヴェン自身が特に誇りとしていた作品が第11番だ。彼は出版社に向けて「このソナタは成長しました」と記しているウイリアム・S・ニューマンもこのソナタの中に「メンデルスゾーンに先立つ新しい魅力と優美さ、それにイタリア風の抒情性」を見出している、と記している。

 ファジル・サイの第11番は“サイの最高の名演奏”となっている。一方リチャード・グードの弾くピアノもコロコロとした高音が特徴的で、おそらくリチャード・グードの全集ではベスト演奏になるだろう。雄大で充実した作品だ。ゲルハルト・オピッツに関しても、おそらく彼のベートーヴェン全集ではベスト演奏になるだろう。驚きの“ベートーヴェン弾き”だ。やはり彼の特徴はアニー・フィッシャーのように曲の全体を俯瞰したような流れるような演奏だ。

 

【参考】ゲルハルト・オピッツGerhard Oppitz, 19532月5 - )は、ドイツ出身のピアニスト5歳でピアノを始める。11歳でハイルブロン (バーデン・ヴュルテンベルク州) にてモーツァルトニ短調協奏曲KV.466で公式デビュー。ハイルブロンのユリウス・ロベルト・フォン・マイヤーギムナジウム高校)を卒業後、シュトゥットガルト芸大パウル・ブックに、ミュンヘン音楽大学フーゴー・シュトイラーに師事した後、1973にはヴィルヘルム・ケンプに出会う。1977にはドイツ人 (旧西ドイツ) として初めて、第2ルービンシュタイン国際ピアノコンクールで優勝。1981にはミュンヘン音楽大学の史上最年少のピアノ科教授として就任し、2012まで教鞭を執った。ドイツ国内はもとより世界各地で活躍しており、レコーディングも数多い。現在の専属契約先はドイツ・ヘンスラー社。

 

 

12番変イ長調「葬送行進曲」“英雄の終焉”Op.26

12-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番≪葬送≫変イ長調作品26(P)エリー・ナイ(2300)【神の域】:歴史的名演

若しくは (P)アルフレッド・ブレンデル(1956)【圧倒的な自信に満ちた演奏】:しなやかでゆったりし落ち着くベスト演奏をしている。全体のまとまりもある。

若しくは (P)クラウディオ・アラウ(2059) 【記憶に残るごつごつとした名演奏】フィリップス・サウンドが素晴らしい。

 

若しくは (P)マウリツィオ・ポリーニ:ライブ録音(1902) ライブ録音盤【神がかった名演奏】: 生き生きとテンポよく演奏し、高みに上昇する感じがポリーニの良いところだ。第3楽章、第4楽章になるとおとなしく静かに終わってしまった感じがする。

 

 

メイナード・ソロモンによると、作品26≪葬送≫、27-1≪幻想風≫,27-2≪月光≫という次の作品グループによってベートーヴェンは伝統的なソナタ多楽章形式から離れて、より自由な表現を与えることができるように、また全体のクライマックスを最終楽章に置くことができるようになった。これ等の三曲はどれも冒頭にソナタ形式によるアレグロ楽章をもっていない“組曲風の構成”になっている。第一楽章のソナタ形式というものは「想像力に身をゆだねたりするだけでなく、完全な自由をもって即興する」欲求をくい止める役割を持っていることに気づいた。そのために作品2627-127-2という次の作品グループは前奏や導入を必要としたのである。ベートーヴェンは第一楽章の中に、ある一つの着想の流れに自分自身を束縛することに我慢ならなくなったのである。

12番変イ長調「葬送行進曲」作品26は第3楽章に葬送行進曲を置いた名曲。ソナタ形式の楽章が一つもなく、第1楽章には美しい主題の変奏曲が配置されています。

自分が第12番を聴くときは、ある人物が“亡くなった”ということで聴く動機と言った、間違った聴き方ではなく、ベートヴェン自身が当時市民革命の英雄として崇拝した同年齢のナポレオン・ボナパルトが皇帝になって戦争ばかりに走って“裏切られたという思い”が作曲の動機であった、と思われる。ボナパルトの“終わり=死”を曲として残したと、解釈するのが正しいかもしれない。そんな聴き方を『第12番変イ長調「葬送行進曲」作品26』ではしてほしい。決してあなたの身近な人の”死”ではない。これは交響曲第3番にも言える。その意味では『交響曲第3番≪英雄≫:ロブロフォン・マタチッチ指揮チェコフィルハーモニー管弦楽団1959年』を聴くと、将にボナパルトの人生が描かれていることが分かる。この演奏は、輝かしい演奏スタイルではありませんが、古い銀食器のような、将にいぶし銀の≪英雄≫です。

 

 

13番変ホ長調「幻想曲風ソナタ」Op.27-1

13-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番≪幻想風≫ 変ホ長調 Op.27-1(P)アルフレッド・ブレンデル(1600)【しなやかでゆったりし落ち着く】:決して聞き逃すことのできない名演

若しくは (P)クラウディオ・アラウ(1726)【聞き逃すことのできない名演】:

ブレンデルと同様に音質が抜群に良い

 

若しくは (P)ゲルハルト・オピッツ(1543)【個性的な名演】:ピアノの反響など音質的なものが気になる

若しくは (P)マウリツィオ・ポリーニ(1517)【好演だが・・】:幻想風になってないか?

若しくは (P)グレン・グールド【かなり”グールド風に傾いた演奏”】:幻想風になってない・・

ここでは第1楽章のゆっくりと“妖精の森”に入っていくような幻想的なピアノタッチが欲しい。各曲が夢のような即興性を帯びたゆっくりした導入楽章で始まり、次にスケルッツオの間奏が入り(作品271≪幻想曲風ソナタ≫では抒情的なアダージョ楽章が入る)、そしてクライマックスとなる急速な楽章によって閉じられることになる。

メイナード・ソロモンによると、作品272≪月光≫の場合には、最終楽章は、もはやロンドではなく、十分に成熟したソナタ形式の楽章になっている。作品271≪幻想曲風ソナタ≫は第2楽章のしなやかさと勢いが同居した不思議な世界観が光ります。各楽章がそれぞれ明確な色を持っています。2人の巨匠たち『ブレンデル、アラウ、』がベスト演奏をしている。個人的には1番好きな曲で、いつでも2人の巨匠たちの演奏で聴けることが本当に幸せだ。

 

 

14番嬰ハ短調「月光」Op.27-2

14-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番≪月光≫ 嬰ハ短調 Op.27-2(P)エフゲーニ・キーシン(1559)【神がっている】:ライブ録音

若しくは(P)ヴィルヘルム・ケンプ Rec.1965(1357)【逆転ホーマー的演奏】

若しくは(P)ファジル・サイ (1536)【聞き逃すことのできない名演】:ライブ録音

若しくは (P)グレン・グールド(1050)【誰もなせない個性的・鮮やかな演奏】

 

若しくは (P)ゲルハルト・オピッツ(1457)【聞き逃すことのできない名演】:ライブ録音盤。

 

 クライマックスとなる急速な楽章によって閉じられることになる。最終楽章は、作品272≪月光≫の場合に、もはやロンドではなく、十分に成熟したソナタ形式の楽章になっている。第2楽章のミステリアスな雰囲気と硬質な雰囲気が同居した不思議な世界観が光ります。各楽章がそれぞれ明確な色を持っています。良く聴いてみるとヴィルヘルム・ケンプの演奏は決定的演奏、としか言いようがない。逆転ホーマー的演奏だ。このことは第17番『テンペスト』にも言える。またグレン・グールドやファジル・サイもこの名曲を納得のいくまで鮮やかに弾ききっている。天才エフゲーニ・キーシンは神の域にかかっている。

 

メイナード・ソロモンによると、(わずか14分の作品だが、)作品271≪幻想曲風ソナタ≫によって新しい衝動や楽想を表現する可能性を探ろうとするベートーヴェンの試みは1801年に終わったわけではなく、のちにもう一度この方法を取り上げることになる。その代表が第23番≪熱情≫。しかしベートーヴェンの創作の旅におけるこの時点で、別の『傑作の森』への仕事に向かっていた。

 

【参考】エフゲーニ・キーシン(197110月10 - )キーシンは、ロシアイギリスイスラエルの国籍を持つピアニストロシア出身の世界的ピアニストで、英国とイスラエル国籍も持つ。10歳でモーツァルトピアノ協奏曲第20K.466)を弾いてデビューし、11歳で初リサイタルを開くなど、幼い頃から神童ぶりを発揮した。 12歳の時にドミトリー・キタエンコの指揮するモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団との共演時に弾いたショパンピアノ協奏曲が発売され、世界中の注目を浴びることとなった。ピアニストとして以来、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ロンドン交響楽団アバドカラヤン小澤など多くの著名オーケストラ指揮者と共演を重ねている。早くから才能を認められてピアニストとして活動したため、マスタークラス等で世界的に著名な教師に師事し、コンクール入賞歴はほとんどないが、国際的ピアニストとして世界各地で演奏、さらに録音活動を積極的に続けている。好きなピアニストとして、ラドゥ・ルプーマレイ・ペライアアンドラーシュ・シフなどを挙げている。

 

15番ニ長調「田園」Op.28

15-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第15番≪田園≫ ニ長調 Op.28(P) ヴィルヘルム・バックハウス 1961年録音(デッカ)(1922) 【歴史的名演】:神がかっている。

若しくは (P)アンドラーシュ・シフ (2353)【シフの最高の演奏】:眼前で弾いているような美音。

若しくは (P)グレン・グールド(2146)グールドの最高のベスト演奏

 

若しくは (P) ラドゥ・ルプー(2321)【名演】:ライブ録音盤。息をのみこんで聴いているのだろうか?咳する人が少なくて良かった。

 

若しくは (P)アルフレート・ブレンデル (2623)【名演】

 

個人的に大好きな曲だ。具体的な描写はないものの、この愛称からか、雨のポツポツという音や鳥の声、バグパイプの音が聞こえてくるようです。上機嫌なベートーヴェンといった感じです。バックハウスの演奏は歴史的名演で神がかっている。アンドラーシュ・シフもラドゥ・ルプーも最高のベスト演奏をしている。驚きの連続だ。アンドラーシュ・シフもラドゥ・ルプーを聴いた後のオピッツの表現は受け入れがたい。演奏スタイルがまるで逆方向だ。

 ベートーヴェンは作品28≪田園≫の静かで内省的なソナタは、通常の四楽章のソナタ形式に戻り、その中に情緒の重みを伝統的な手法で配置した。劇的なものの成就を懸命に追及するベートーヴェンの多くの作品の場合と同様に、この作品28≪田園≫のソナタも、困難を極めた創造的な努力が成就することから得られる安らぎを祝福し、そして、それなりに伝統主義に戻っている.

 

●中期ピアノ・ソナタ -深い感動を呼ぶ“傑作の森” -

18021813 中期

 

16ト長調『陽に向かう』Op.31-1

16-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第16番 ト長調 Op.31-1(P)グレン・グールド(2001)  【天才グールドが特別な愛情を抱いた曲】

若しくは (P)アルフレッド・ブレンデル(2415)【優雅で美しく丁寧だ】:落ち着いていて丁寧で聴きやすい

若しくは (P)クラウディオ・アラウ(2511)【好演】:音質がゴージャスで優雅で美しく聴きやすい。第二楽章をを聴けばアラウのファンになるだろう。

 

若しくは (P)ゲルハルト・オピッツ(2323)【名演】:ピアノの音が遠くに聞こえる感じだ

1803年33歳で、作品31-1,2を出版した。よくピアノの演奏会で聞かれる、陽に向かう楽しめる名曲です。個人的に好きな曲に入る。第1楽章はベートーベンらしい力強さとノンストップさを楽しめます。グレン・グールドが特別な愛情を抱いていた作品が第16番と第18番「狩り」だといわれています。グールドは作曲家を超えたグールドの曲にしている感がする。優雅な旋律とカデンツァ風な旋律がモーツァルト風にも聞こえる。自分も先ず聴いてみたくなるのは、いつもこの二曲からです。  

グレン・グールドの全集で好きな曲は第1番、5番「小悲愴」、8番「悲愴」、10番「対話」、14番「月光」、15番「田園」16番『陽に向かって』と後期作品も含めて、「稀代の天才」としか言いようがない。

 

 

17番ニ短調「テンペスト」Op.31-2

17-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番≪ザ・テンペスト≫

(P) スヴャトスラフ・リヒテル(2347)【圧倒する名演】やはり聞き逃せない!ピアノの神様と言われるゆえんだ。

若しくは (P)ヴィルヘルム・ケンプ:YouTubeでの最高のライブ映像 (1922) 【逆転ホーマー的演奏】

若しくは (P)マウリツィオ・ポリーニ(2222)【ポリーニはライブ盤が最高だ】

 

若しくは (P)ラドゥ・ルプー(2407)【好演】

 

第二楽章アダージョは8分以上の長くて美しいアダージョである。第一楽章は急いだ感じの演奏もあるがケンプもポリーニも急がず騒がず良く弾けている。この2人の演奏が、計算された演奏の方が、美しく、心に訴えかけてくる。スヴャトスラフ・リヒテルの演奏は、この人より右に出る人はいないでしょう。

 “テンペスト”とは嵐を意味しますが、その名の通り嵐のように特に第三楽章のように心を揺さぶる激動の音楽です。心が苦しくなるような仕掛けが満載で、途中から投げ出したくなる。と言っても、嫌いな曲ではない。そう何回も聞けるような曲ではない。後期5大ピアノ・ソナタと同じです。ベートーヴェンの短調作品を聴くときは長調作品と違ってかなりの覚悟が必要です。

 

 

18変ホ長調「狩」Op.31-3

18-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第18番≪狩り≫変ホ長調作品313(P)エリー・ナイ【名曲の神がかり的演奏】(2351)

若しくは (P)グレン・グールド(1711) 【彼が特別な愛情を抱いた曲】

若しくは (P)アルフレッド・ブレンデル(2635)ピアノの音が美しい、細かい音もよく聞こえて楽しめる】

 

和音で始まり、主和音が現れるのは8小節目でやっと、という不思議な曲です。付点のリズムが非常に愛らしく、明るく、そのモチーフは全曲を統一しています。

 

19番ト短調「心落ち着くやさしいソナタ1Op.49-1

19-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第19番 ≪やさしいソナタ1≫ト短調 作品491(P)エミール・ギレリス(933) 【名曲の名演奏】

若しくは(P)クラウディオ・アラウ(819) 【好演】速度も適切、音質が良い。前へ、前へ小気味よく推進してゆく!

 

比較的易しい曲、小さな曲『ソナチネ』で、子どものピアノ演奏会でもよく耳にする曲です。2楽章から成る短い曲です。寂しい感じのする出だしだが「心落ち着く名曲」だ。終楽章はほの明るくかわいらしい。ギレリスが良い演奏をしている。ピアノ・ソナタ≪選帝侯ソナタ第1番≫(1056)とピアノ・ソナタ≪選帝侯ソナタ第2番≫(1521)2つもギレリスの演奏も良い。珍しくクラウディオ・アラウのぴったりの曲想で演奏もうまい。

 

 

20ト長調「心落ち着くやさしいソナタ2Op.49-2

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第20番≪やさしいソナタ2≫ト長調作品492(P)アルフレッド・ブレンデル【第9番・10番のように美音で好演している】速度が適切でちょうど心地よい。コロコロしたリズミカルな美音はフィリップス・サウンド

若しくは(P)クラウディオ・アラウ(903) 【好演】音質が良いが、ゆっくり過ぎるきらいがある。

 

19番と同じく、小さな曲『ソナチネ』で、こちらもピアノの発表会でよく耳にします。2楽章から成る短い曲です。この第20番は、10番、16番、25番と同じくト長調の曲で、明るくかわいらしい、心の落ち着く名曲です。最後の第2楽章はアンコール曲として良く演奏されます。第2楽章はモーツァルト的散歩調のやさしさ溢れた楽章。

 

 

21番ハ長調「ヴァルトシュタイン伯爵」Op.53

21-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番≪ヴァルトシュタイン≫ハ長調 作品53(P)ウラジミール・ホロヴィッツ1974年録音(2350) 【逆転ホーマー的演奏で神がかっている】

若しくは(P)アンドラーシュ・シフ(2617) 東京ライブ2008年【最高の好演】シフの代表する名演のような気がする

若しくは(P)リチャード・グード(2340)【グード最高の名演】

若しくは(P)ラドゥ・ルプー(2615)【好演】味わえる良さがある

若しくは(P)ヴィルヘルム・ケンプ(2355) 【名演】速さの強弱、小気味良さ

 

“同音連打”に乗って、何かが始まりそうなワクワクする主題で幕を開けます。終楽章は、広大な大地に立っているような気持のする感動的な音楽です。

この≪ヴァルトシュタイン≫は「ピアノのための英雄交響曲第3番」ともいわれる程、充実した作品。1803(ベートーヴェン32)、難聴とともに模索していたベートーヴェンにパリ・エラール製の最新式ピアノが贈られ、これに刺激されて、輝かしくも壮麗なピアノ・ソナタが生み出される。ベートーヴェン自身は、その後も最新のピアノに熱中している。

 

 

22ヘ長調『秋の日の印象』Op.54

22-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第22番ヘ長調Op.54 (P) ファジル・サイ【逆転ホーマー的演奏で神がかっている。】(1115)

若しくは (P)ヴィルヘルム・ケンプ Rec.1965 (1208)【ケンプの名演】味わい深い名演だ

若しくは (P)アルフレッド・ブレンデル(1246) 【好演】少し平凡

《フィデリオ》や《英雄》などの大曲が書かれた時期に作られた、2楽章から成る小品です。第2楽章は湧き上がるようなモチーフと、ひらひらと落ちていくようなモチーフによって全曲が形作られ、まるで絵画の“印象派”のような雰囲気の曲です。

 

23番ヘ短調「熱情」Op.57

23-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番≪熱情≫(P) スヴャトスラフ・リヒテル(2333)【決定的でこれ以上は望まない】人間業ではない!

若しくは (P)スヴャトスラフ・リヒテル・イン・ニューヨーク1960年ライブだが聞き逃せない

若しくは (P)マウリツィオ・ポリーニ (2417)【イタリア系の芸術派のピアニスト】聞き逃せない劇的ライブ録音盤だ。全く後期3大ソナタにもいえるけど、マイクの取り方がすばらしい!一技術者だろうが、歴史に残る録音技術だ!感謝するしかない。

 

若しくは (P)グレン・グールド【かなり緊張感が高い名演】一癖も二癖もある超個性が≪熱情≫には向いているのが分かる。この曲は、例えばブレンデルのような“楽譜に忠実な演奏家”には向かないのがわかる

 

若しくは (P)エリー・ナイ(2544)【古典的名演だが、音響が悪い】“ドイツ系ベートーヴェン弾き大家”

若しくは (P)ヴィルヘルム・バックハウス(2125)【オルフェオのステレオ録音】当時のオールドファッション的、古典的な音質は耐えられる

 

若しくは (P) ゲルハルト・オピッツ(2535) ライブ録音盤【緊張感が高い名演】最後の方でもっと“個性”がもっと欲しい、、最後3楽章の最後が良くない。そう言えばファジル・サイの演奏も同じだったかな?

 

 この第23番は、ピアノ協奏曲第4番、交響曲第4番の作曲された年に完成した。“静寂”と“爆発”の対比が実に繊細に計算しつくされた名曲です。その“爆発”に当たる第3楽章は、炎の中で悪魔が踊るような曲で、他の演奏家と比較したくなる。その中でも別格のリヒテル、そしてマウリツィオ・ポリーニは最高です。じっくり聴きたいときはグレン・グールドとバックハウスが最高です。第23番ヘ短調「熱情」に限って言えば、キリがないけれどもロシア系のピアニスト、キーシン、ギレリス、ホロヴィッツ等も聞き逃せない。

 

24番嬰ヘ長調「テレーゼ令嬢」Op.78

24-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第24番 嬰ヘ長調 作品78≪テレーゼのために≫:(P)リチャード・グ-ド (958)【逆転ホーマー的演奏】

若しくは(P)アンドラーシュ・シフ(1111)【優美!シフの名演】ライブ録音

若しくは(P)ポール・ルイス【好演】

若しくは(P)アルフレッド・ブレンデル(1035)【好演】愚直、作曲家を崇拝!

 

若しくは(P)アニーフィッシャーStudio recording1977-1978(732)【急流を流れるような演奏】

作曲者が生涯にわたり友情を育んだ伯爵令嬢、テレーゼに捧げられた、深い喜びを感じる2楽章の小品です。テレーゼは1806年にベートーヴェンと婚約していたが4年後婚約解消している。推測だが、身分の違い、才能が違いすぎたか、二人は独身のまま人生を送っている。この第24番嬰ヘ長調はテレーゼに捧げられた「愛の記念碑」である。

この第24番「テレーゼ」と第6番『五月の美しい庭』、第7番『壮大にして重要な』、第11番『イタリア風の大ソナタ』、第15番『田園』はリチャード・グードのベートーベン全集ではベスト演奏になる。

 

 

25ト長調「かっこうのお喋り」Op.79

25-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第25番 ト長調 作品79≪かっこう≫(P)ファジル・サイ【神の域にかかっている】(854)

若しくは (P)クラウディオ・アラウ (1013) 【好演】速度も適切、音質が良い。前へ、前へ小気味よく明るく楽しく推進してゆく!

3度による飛び跳ねるようなモチーフが散りばめられた楽しい第1楽章で、“かっこうのお喋り“で聴きものです。確かに鳥の囀り(コッコウー、さえずり)のような、鳥の会話のように聴こえる部分もあります。第3楽章は、短いですが“明るく楽しくエキゾチックな音楽”です。ファジル・サイの演奏は全体的にわずか9分余りの演奏時間であるが、本当にベートーヴェンの引き出しの多さを感じさせられます。このことは第26番変ホ長調にも当てはまる。

 

 

 

26変ホ長調別れ・不在・再会Op.81a

26-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番≪告別≫変ホ長調作品81-a(P) ファジル・サイ (1536) 【神の域にかかっている】

若しくは(P) アルフレッド・ブレンデル(1640)【ベスト演奏】

 

若しくは(P)アンドラーシュ・シフ(1647) 【シフの最高の演奏】眼前で弾いてるような美音。シフの録音はHiFi感がすごい。エンジニアによってこれほど変わるのか!48kHz,24bitで聴いています。ヘッドホンはゼンハイザー、DACFOSTEX HP-A3。音量はPC50パーセント、DAC側はマックス近く。

 

若しくは(P) マウリツィオ・ポリーニ(1613) 【少し忙しの感じ・名演】

冒頭の下行の3音に「Le-be-wohl(告別)」という歌詞が付けられています。この3音は“告別の動機”として、後世の作曲家も暗喩として使っています。ベートーヴェンは別れ・不在・再会と楽譜に記しています。

ファジル・サイもアルフレート・ブレンデルの演奏も良く聴いてみると、全く“曲の常に本質を突いていて安心感”がある。

 

●後期ピアノ・ソナタ-円熟期のベートーベンが残した音楽の新たな境地は“自由” -

18141827 後期

 

27番ホ短調“頭と心臓の闘いOp.90

27-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第27番 ホ短調 作品90(P)ファジル・サイ(1148) 【個性的でベスト演奏だ!】聞き逃せない演奏だ。グールドが演奏しているかの様で生き生きとしている。

若しくは(P)スヴャトスラフ・リヒテル:【ラベル】プラガ (1231)【神の域にかかっている】

若しくは(P)ヴィルヘルム・ケンプ(1414) 【落ち着いた演奏でベスト演奏】

若しくは(P)ヴィルヘルム・バックハウス:モノラル盤(1139)音質が落ちるが演奏は良い

 

27番は2つのソナチネ、第2224番と同じ二楽章構成の小品だ。激しい闘争心を感じる第1楽章と、楽観的な第2楽章という対照的な2つの楽章による”かなり変わった”“不思議な”作品です。この曲はリヒノフスキーの恋愛話を音化したものと伝えられている。アントン・シンドラーによればベートーヴェンは第1楽章を「頭と心臓の闘い」、第2楽章を「恋人との対話」と書くべきものだったと語ったという。全32のピアノソナタの中で、この曲だけが自分自身のためだけに捧げているような感じで、他者に聴かせるために作曲はしていないような感じに聴こえる。ベートーヴェン自身が何かに自問自答している。

 

◎作品101/106/109/110/111は“百番台””ドイツ哲学・思想” と言われる後期の5

 

28イ長調「ドロテア・チェチリア」Op.101

28-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ28番≪ドロテア・チェチリア≫イ長調 Op. 101(P) ラファエル・ブレハッチ 【生きる意欲が増してくる演奏】(2045)

若しくは(P) ヴィルヘルム・バックハウス:ステレオ盤:(1859)【第2楽章の入りも良く、全体的に曲の本質をうまくとらえている】バックハウスのベスト演奏だ!

若しくは(P)ヴィルヘルム・バックハウス:モノラル録音:(1714)【好演】

若しくは(P)リチャード・グード(2102)【好演】

 

若しくは(P)マウリツィオ・ポリーニ(2017) 【音がうるさく聞こえる】

若しくは(P)スヴャトスラフ・リヒテル:【ラベル】プラガ (2027)【音がうるさく聞こえる】

若しくは(P) スヴャトスラフ・リヒテル【音がうるさく聞こえる】

 

この曲は「名曲中の名曲」と言える。アントン・シンドラーによると、作曲者自身はこの作品が「印象と幻想」を内に有すると語ったという。曲はドロテア・エルトマン夫人(旧姓グラウメン)へと献呈された。ドロテア・チェチリアとは尊敬の念を込めた「聖女ドロテア」の意味である。メンデルスゾーンやシンドラーも称賛したほどの優れたピアニストであった彼女は、このとき既に10年来のベートーヴェンの弟子であった。夫人の演奏を高く買っていたベートーヴェンは1817223日の書簡で「かねがねあなたに差し上げようと思っていたもので、あなたの芸術的天分とあなたの人柄に対する敬愛の表明になるでしょう。」と書き送ってる。

曲想がピアノ・ソナタ第15番≪田園≫と似ている。ブレハッチが常に「ベートーヴェンは生きる意味を問いかける」と話すベートーヴェンのピアノ・ソナタ第28番イ長調。ブレハッチの演奏が決定的でこれ以上は望まない。演奏はポリーニもリヒテルもブレハッチとバックハウスには及ばない。

 ベートーヴェンの後期5作品には独逸哲学的思想のような掴みどころのない所がありますが、第2楽章の行進曲はシューマンの《交響曲第3番「ライン」》を髣髴とさせるような親しみやすさもあります。

 

29番変ロ長調「ハンマークラヴィーア」Op.106

29-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番 作品106≪ハンマークラビア≫(P) ヴィルヘルム・バックハウス1956年:カーネギーホール:ライブ演奏 (4042)モノラル録音決定的な歴史的名演】:56年にして音質はかなり古く、ピアノの音が遠くに聞こえる感じだ。しかし第三楽章アダージョも第四楽章のフーガの勢いきれいに録音されている。並ぶものはリヒテルくらいかな?

若しくは (P) スヴャトラフ・リヒテル(4254)1975年ライブ録音/ステレオ録音【歴史的名演】:構成のしっかりした分かりやすい演奏。

 

若しくは (P)アンドラーシュ・シフ(4401) ライブ録音【好演】:曲想が現代的で、きわめて音質が良く、うるさく聞こえない。単調でもなく好きなピアニストなので、ずっと聞いていたい。

 

若しくは (P)クラウディオ・アラウ(4540)【渾身のアダージョ】:きわめて音質が良い。第三楽章アダージョもゆっくりしたテンポで、説明的で分かりやすく、きわめて美しい。しかし第4楽章、最後のフーガをもっと勢いをつけても良いように思う。この曲の一番の山場がフーガなのだから。

 

若しくは (P)アルフレッド・ブレンデル(4516) ライブ録音【知性派の巨匠も好演】

 

若しくは マウリツィオ・ポリーニ1977年録音 (4304)【名演】:第一楽章は和音がきれいでテンポも適切だが、二楽章以降は単調すぎてメリハリもなく良くない。

 

30分を超える第4番「大きなソナタ」以来久しぶりに大規模な四楽章構成のピアノ・ソナタを作曲した。4楽章ソナタは初期の4つのソナタもそうだったように「壮大な形式の実験場」だった。高い技術と想像力を駆使して、新しい“ピアノ”(フォルテピアノ)という楽器が出せる表現を極限まで引き出している。この挑戦する魂がベートーヴェンらしさ、と言える。45分余りの言わずと知れた長いソナタで、第三楽章のアダージョだけで一曲分くらいあります。理解するのに難解な曲で、コンサートの曲にのぼるようになったのは今世紀に入ってからである。弾きこなせるピアニストも少なく、長く鑑賞する気になれなかった。第三楽章のアダージョだけエリー・ナイは演奏を残している。(エリー・ナイの全曲演奏は存在していない)。第三楽章のアダージョだけで20分近くかかるので、単調にならずにアダージョを分かりやすく、クラウディオ・アラウのように美しく弾いてほしい。

 

ここから『後期3大ピアノ・ソナタ op. 109, 110, 111、ポリーニが1998425日に“東京ライブ”で決定的な感動を呼ぶ演奏をしている。

30番ホ長調Op.109

30-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 作品109(P)マウリツィオ・ポリーニ:1998425日に東京でライブ (1820)決定的な感動を呼ぶ演奏

若しくは(P)アンドラーシュ・シフ(2013)ライブ録音【シフの最高の演奏】眼前で弾いてるようなやさしい、優美な美音。シフはただ作曲者の声だけが聴こえてくる。

  一方、演奏者本人を感じさせるグールドの演奏はどうか?グールドの後期3大ピアノ・ソナタは薦めたくない。彼はなぜか知らないけれど、この曲に入り込みすぎてしまったかもしれない。個人的に偏った意見では、ベートーヴェンのピアノ曲はBGMではない。またクラシック音楽を単に商業主義的に扱ってもいけないということだろう。

 

若しくは(P)エリー・ナイ(2039)【第3楽章はベートーヴェンそのもの】魔法のような演奏

若しくは(P)グレン・グールド(1302)【ブレンデルやシフと真逆の力にみなぎる演奏】ちょっと良くない。しかし、この演奏も好演している・・・

若しくは(P)アルフレッド・ブレンデル(1820)【これ以上にない落ち着き払った鉄仮面のような美しい演奏】演奏の基準を決定する演奏、逆にそれを超えていない・・・

 

30番は個人的に最も好きなベートーベンのソナタです。強風、弱風、そよ風の流れるような、季節の移ろうような変化に富んだ第1楽章に続き、真逆の対照的な美しい第2楽章。そして、ドイツ哲学ような、バッハの《ゴールドベルク変奏曲》のように、沈積して行く。大御所のポリーニとエリー・ナイは、これ以上にない好演だった。これ以上の演奏は存在しないだろう。アンドラーシュ・シフとあわせて、この3枚で十分だ。ブレンデルは第30番も第26番もベスト演奏している。じっくり聞きたいときはエリー・ナイの演奏で、特に第3楽章だけ聴くことが多い。

ベートーヴェンの後期5作品中、特に「後期3大ピアノ・ソナタ op. 109, 110, 111」 は三曲で一つの作品と、とらえた方が良い。三曲通して1時間あまり。まさに、別格の後期三大ピアノ・ソナタはピアノ曲の頂点といえる。

 

31番変イ長調Op.110

31-ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110(P)マウリツィオ・ポリーニ:1998425日に東京でライブ (1920) 決定的な感動を呼ぶ演奏

若しくは (P)エフゲーニ・キーシン  (2405)【ライブ録音】

 

若しくは(P) ヴィルヘルム・バックハウス:ステレオ盤:(1631)良い演奏、じっくりと聞きたくなる

若しくは(P)アルフレッド・ブレンデル(1955) 【これ以上にない落ち着き払った美しい演奏】演奏の基準を決定する演奏、逆にそれを超えていない・・・

若しくは(P)エリー・ナイ(2207)【ナイの“ごつごつとした”演奏】速度が遅い

 

終楽章にフーガを配する革新的なソナタ。そのフーガ主題は第1楽章の冒頭ですでに暗示されています。51歳になったベートーヴェンが自身の人生を振り返っているかのような“調べ”が聴こえる。続けて第32番を作曲しピアノソナタの最後となった。その年にヨゼフィーヌ(長年のピアノの教え子)を亡くして傷心したからと言われている。

 

32番ハ短調「さよならフーガ」Op.111

32―ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 作品111(P)マウリツィオ・ポリーニ:1998425日に東京でライブ (2416) 決定的な感動を呼ぶ演奏

 

若しくは(P)アンドラーシュ・シフ(2720) ライブ録音【シフの最高の演奏】眼前で弾いてるような優美な音質。和音が極めて美しいポリーニ的演奏で素晴らしい。知情意が揃った、これ以上は望めない演奏だ。

若しくは(P)エリー・ナイ(2914)【ベートーヴェンが最後に使用したフォルテピアノでの演奏らしい】宮澤明子の月光ソナタのような音質。最後に使用したチェンバロ?それだけでも“驚きと感動”だ。ベートーヴェンが弾いている“まさにその音楽”だろう!

若しくは(P) ヴィルヘルム・バックハウス:ステレオ盤:(2121) 良い演奏、じっくりと聞きたくなる

 

後年のベートーベンを印象付けるものは、二楽章構成のフーガと変奏曲です。この最後のピアノ・ソナタもまた、最終楽章は大規模な変奏曲です。

 

 

32曲を聴いてみて、その分類を試みた・・・

『ベートーヴェンピアノ・ソナタの中のピアニスト』

ベートーヴェンのピアノ・ソナタの全体に対して演奏の質、神がかり的な印象など最も推薦できるのは次の7人だ。ヴィルヘルム・バックハウス、エリー・ナイ、スヴャトスラフ・リヒテル、ヴィルヘルム・ケンプ、グレン・グールド、リチャード・グ-ド、ファジル・サイ、アンドラーシュ・シフ。次にピアノ・ソナタの部分的な完成度が高かったのが、マウリツィオ・ポリーニ、アニー・フィッシャー、クラウディオ・アラウ(フィリップス・サウンドの録音はゴージャスです)、オピッツ、ブレハッチ、ギレリス、ブレンデル、キーシン。

 

 

 

 

次に、これらのピアニストから”ベスト演奏で自分が好きな作品”を分類をしてみた・・・(注意)その曲に最も似合うピアニスト、ではありません。

ヴィルヘルム・ケンプ(独逸)

1 ヘ短調、2 イ長調、第3 ハ長調、第14 嬰ハ短調 作品272《月光》、17 ニ短調 作品312《テンペスト》、22 ヘ長調 作品54 『秋の日の印象』、第27番≪頭と心臓の闘い≫、31変イ長調・・・

エリー・ナイ(独逸)

4 変ホ長調 作品7 「最初の傑作、大きなソナタ」、8 ハ短調 作品13《悲愴》、12 変イ長調 作品26《葬送》、23 へ短調 57《熱情》、30/31/ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調

7

スヴャトスラフ・リヒテル

1 ヘ短調、第3 ハ長調17 ニ短調 作品312《テンペスト》、第23 へ短調 57《熱情》、27 ホ短調、第27番≪頭と心臓の闘い≫、第29番変ロ長調「ハンマークラヴィーア」、30/31/32

10

グレン・グールド(カナダ)

1 ヘ短調、第5 ハ短調 作品101「小悲愴」、8 ハ短調 作品13《悲愴》、9 ホ長調、10 ト長調 作品142 ≪対話≫、14 嬰ハ短調 作品272《月光》、15 ニ長調 作品28《田園》、第16番ト長調、第18変ホ長調「狩」

9

リチャード・グ-ド()

6 ヘ長調 作品102 「五月の美しい庭」、7 ニ長調 作品103 「壮大にして重要な」、11 変ロ長調 作品22 ≪イタリー風の大ソナタ≫、24 嬰へ長調 作品78《テレーゼ令嬢》、28 イ長調 作品101 ≪ドロテア・チェチリア≫

5

マウリツィオ・ポリーニ()

4 変ホ長調 作品7 「最初の傑作、大きなソナタ」、12 変イ長調 作品26《葬送》、17 ニ短調 作品312《テンペスト》、23 へ短調 57《熱情》、26 変ホ長調 作品81a《告別》、30/31/32

8

ファジル・サイ(トルコ)

11 変ロ長調 作品22 イタリー風の大ソナタ≫、14 嬰ハ短調 作品272《月光》、22 ヘ長調 作品54 『秋の日の印象』、25 ト長調 作品79《かっこうのおしゃべり》、26 変ホ長調 作品81a《告別》、第27番≪頭と心臓の闘い≫

6

アニー・フィッシャー(ハンガリー)

2 イ長調

1

ヴィルヘルム・バックハウス(独逸)

15 ニ長調 作品28《田園》、23 へ短調 57《熱情》、第27番≪頭と心臓の闘い≫、28 イ長調 作品101 ≪ドロテア・チェチリア≫、第29番変ロ長調「ハンマークラヴィーア」1956年カーネギーホールライブ、第30/31/32・・・

8

ブレハッチ

28 イ長調 作品101 ≪ドロテア・チェチリア≫

1

アルフレッド・ブレンデル

2イ長調Op.2-2ピアノ・ソナタ第3番ハ長調、4 変ホ長調 作品7 「最初の傑作、大きなソナタ」、第5 ハ短調 作品101「小悲愴」7 ニ長調 作品103 「壮大にして重要な」8 ハ短調 作品13《悲愴》、第9 ホ長調、10 ト長調 作品142 ≪対話≫11 変ロ長調 作品22 ≪イタリー風の大ソナタ≫、12 変イ長調 作品26《葬送》、13 変ホ長調 作品271《幻想曲風ソナタ》、第16番ト長調、第18変ホ長調「狩」、第20ト長調「心落ち着くやさしいソナタ2」、22 ヘ長調 作品54 『秋の日の印象』24 嬰へ長調 作品78《テレーゼ令嬢》、26 変ホ長調 作品81a《告別》、29 変ロ長調 作品106《ハンマークラヴィーア》、第30番ホ長調Op.10931変イ長調

18

クラウディオ・アラウ

11 変ロ長調 作品22 ≪イタリー風の大ソナタ≫、12 変イ長調 作品26《葬送》、13 変ホ長調 作品271《幻想曲風ソナタ》、第19番ト短調「心落ち着くやさしいソナタ1」、25 ト長調 作品79《かっこうのおしゃべり》

5

オピッツ

10 ト長調 作品142 ≪対話≫16ト長調『陽に向かう』、23 へ短調 57《熱情》ライブ盤

3

ギレリス

19番ト短調「心落ち着くやさしいソナタ1

1

キーシン

14 嬰ハ短調 作品272《月光》、31変イ長調

2

ラドゥ・ルプー

15 ニ長調 作品28《田園》、17 ニ短調 作品312《テンペスト》、第21番ハ長調「ワルトシュタイン伯爵」

3

シフ

15 ニ長調 作品28《田園》、第21番ハ長調「ワルトシュタイン伯爵」、24 嬰へ長調 作品78《テレーゼ令嬢》、26 変ホ長調 作品81a《告別》、29 変ロ長調 作品106《ハンマークラヴィーア》、第30番ホ長調Op.109ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調

7

 

 

≪分類して分かること≫

アルフレッド・ブレンデルは全集を3回も録音。聞き逃しもあり、今現在2026年の段階では、”ピアニストの得意曲やその曲に対する特別な思い”は伝わるピアニストはグールド、ルプー、オピッツ

”楽譜に忠実なピアニスト”はブレンデル、アラウ、ポリーニ、グード。

”抜群の美しいサウンド”のピアニストはブレハッチ、シフ、ブレンデル、グード。

”巨匠と言われているピアニスト”はリヒテル、ケンプ、バックハウス、ブレンデル、ポリーニ、アラウ

”今後巨匠になってほしい期待の星”は、キーシン、サイ。

 

 

 

次に、『その曲に最も似合うピアニスト』

17701792 ボン時代 13歳で作曲した少年時代-

選帝侯ソナタ 変ホ長調 WoO. 47

ギレリス

選帝侯ソナタ ヘ短調 WoO.47

ギレリス

選帝侯ソナタ ニ長調 WoO.47

ギレリス

17931801 初期-情熱あふれる若きベートーベンの軌跡-

ピアノ・ソナタ第1 ヘ短調 作品21”多彩な光たち

グールド、ブレンデル

ピアノ・ソナタ2 イ長調 作品22”夢見る風景の移ろい

ケンプ、ブレンデル

ピアノ・ソナタ第3 ハ長調 作品23”小動物のいる美しい深い森

ケンプ、ブレンデル

ピアノ・ソナタ4 変ホ長調 作品7 「最初の傑作、大きなソナタ」

ナイ、ブレンデル

ピアノ・ソナタ第5 ハ短調 作品101「小悲愴」

ブレンデル、グールド

ピアノ・ソナタ6 ヘ長調 作品102 「五月の美しい庭」

グード、グールド、ポリーニ

ピアノ・ソナタ第7 ニ長調 作品103 「壮大にして重要な」

グード、ブレンデル

ピアノ・ソナタ第8 ハ短調 作品13《悲愴》←劇的ソナタ

リヒテル、グールド、ブレンデル

ピアノ・ソナタ第9 ホ長調 作品141『優美』

ニコラ―エワ、グールド

ピアノ・ソナタ10 ト長調 作品142 ≪対話≫

グールド、ブレンデル、ニコラ―エワ

ピアノ・ソナタ第11 変ロ長調 作品22 イタリー風の大ソナタ≫

サイ、オピッツ

ピアノ・ソナタ第12 変イ長調 作品26《葬送》“英雄の終焉”

ナイ、ブレンデル

ピアノ・ソナタ13 変ホ長調 作品271《幻想曲風の大ソナタ》

ブレンデル、アラウ

ピアノ・ソナタ第14 嬰ハ短調 作品272《月光》←劇的ソナタ

キーシン、サイ、ケンプ、グールド

ピアノ・ソナタ第15 ニ長調 作品28《田園》

バックハウスグールド、アンドラーシュ・シフ

18021813 中期-深い感動を呼ぶ“傑作の森” -

ピアノ・ソナタ16 ト長調 作品311『陽に向かって』

グールド、ブレンデル、オピッツ

ピアノ・ソナタ第17 ニ短調 作品312《テンペスト》←劇的ソナタ

リヒテル、ケンプ

ピアノ・ソナタ18 変ホ長調 作品313 ≪狩り≫

ナイ、グールド

ピアノ・ソナタ第19 ト短調 作品491 『心落ちつくやさしいソナタ1

ギレリス、アラウ

ピアノ・ソナタ20 ト長調 作品492 『心落ちつくやさしいソナタ2』

ブレンデル、アラウ

ピアノ・ソナタ第21 ハ長調 作品51《ヴァルトシュタイン伯爵》

ホロヴィッツ、アンドラーシュ・シフ、グード

ピアノ・ソナタ22 ヘ長調 作品54 『秋の日の印象』

サイ、ケンプ

ピアノ・ソナタ第23 へ短調 57《熱情》←劇的ソナタ

リヒテル、ポリーニ

ピアノ・ソナタ第24 嬰へ長調 作品78《テレーゼ令嬢》

グード、アンドラーシュ・シフ

ピアノ・ソナタ25 ト長調 作品79《かっこうのおしゃべり》

サイ、アラウ

ピアノ・ソナタ26 変ホ長調 作品81a《告別》(別れ・不在・再会)

サイ、アンドラーシュ・シフ

18141827 後期-円熟期のベートーベンが残した音楽の新たな境地は“自由” -

ピアノ・ソナタ第27 ホ短調 作品90 ≪頭と心臓の闘い≫

サイ、リヒテル、ケンプ

ピアノ・ソナタ28 イ長調 作品101 ≪ドロテア・チェチリア≫

ブレハッチ、バックハウス

ピアノ・ソナタ第29 変ロ長調 作品106《ハンマークラヴィーア》

ポリーニ、バックハウス、アンドラーシュ・シフ

ピアノ・ソナタ第30 ホ長調 作品109

ポリーニ、アンドラーシュ・シフ

ピアノ・ソナタ第31 変イ長調 作品110

ポリーニ、キーシン

ピアノ・ソナタ第32 ハ短調 作品111「さよならフーガ」←劇的

ポリーニ、バックハウス、アンドラーシュ・シフ

 

 

次に、AIで統計を取ってみた・・・

『ベートーヴェン ピアノソナタ32 調別分類』

長調(23)

調

ハ長調 (2)

3 Op.2-3 / 21 Op.53「ワルトシュタイン」

ニ長調 (2)

7 Op.10-3「壮大にして重要な」 / 15 Op.28「田園」

変ホ長調 (4)

4 Op.7 「最初の傑作、大きなソナタ」  / 13 Op.27-1「幻想曲風ソナタ」 / 18 Op.31-3「狩」 / 26 Op.81a「告別」

ホ長調 (2)

9 Op.14-1 / 30 Op.109

ヘ長調 (2)

6 Op.10-2 「五月の美しい庭」/ 22 Op.54「秋の印象」

嬰ヘ長調 (1)

24 Op.78「テレーゼ」

ト長調 (4)

10 Op.14-2 / 16 Op.31-1 / 20 Op.49-2 / 25 Op.79「かっこうのお喋り」

変イ長調 (2)

12 Op.26「葬送」 / 31 Op.110

イ長調 (2)

2 Op.2-2 / 28 Op.101「ドロテア・チェチリア」

変ロ長調 (2)

11 Op.22 / 29 Op.106「ハンマークラヴィーア」

短調(9)

調

ハ短調 (3)

5 Op.10-1 / 8 Op.13「悲愴」 / 32 Op.111

嬰ハ短調 (1)

14 Op.27-2「月光」

ニ短調 (1)

17 Op.31-2「テンペスト」

ホ短調 (1)

27 Op.90

ヘ短調 (2)

1 Op.2-1 / 23 Op.57「熱情」

ト短調 (1)

19 Op.49-1

『“調”別の分類からわかること

使われた調は16種類のみ

*ロ長調・ロ短調、変ニ長調、嬰ニ/変ホ短調、変イ短調、嬰ト短調、嬰ヘ短調、嬰イ短調などは1曲もありません。当時のピアノの調律・響きの都合もあり、♯♭の多い調は避けられる傾向がありました。

*例外的なのが嬰ヘ長調(24番『テレーゼ』)で、32曲中もっとも特殊な調性。

最多は変ホ長調とト長調(4)

*ト長調は比較的軽い規模の作品(Op.14-2『対話』 , Op.31-1(16) , Op.49-2『やさしいソナタ2 , Op.79『かっこう』)に集中。

*変ホ長調は逆に大規模・英雄的な作品が多く、《英雄》交響曲や《皇帝》協奏曲と同じ性格の調です。

ハ短調の3曲は「劇的なベートーヴェン」の系譜

Op.10-1《小悲愴》 Op.13《悲愴》 Op.111《さよならフーガ》 と、初期・中期・最後を貫きます(交響曲第5番ハ短調『運命』、Op.18-4Op.37と同じ系列)

短調の全ソナタは長調へ解決する傾向

Op.90(27番ホ短調)の終楽章はホ長調、Op.111(32番ハ短調)の第2楽章はハ長調など、「暗明」の構図が見られます。

逆に《熱情》Op.57 と《月光》Op.27-2 は短調で終わる稀な例。

後期5曲の調配置

Op.101《ドロテア・チェチリア》(イ長調) Op.106《ハンマー・クラヴィーア》(変ロ長調) Op.109《第30番》(ホ長調) Op.110《第31番》(変イ長調) Op.111《第32番》(ハ短調)。最後の3曲は E–A–c と、意図的な調的まとまりを指摘する研究もあります。

 

『調別一覧(37曲版)

長調(26)

調

番号付き

番号外

ハ長調

3 Op.2-3 / 21 Op.53「ワルトシュタイン」

WoO 51

3

ニ長調

7 Op.10-3「壮大にして重要な」/ 15 Op.28「田園」

WoO 47-3

3

変ホ長調

4 Op.7 「最初の傑作、大きなソナタ」  / 13 Op.27-1 「幻想風ソナタ」/ 18 Op.31-3「狩」 / 26 Op.81a「告別」

WoO 47-1

5

ホ長調

9 Op.14-1 / 30 Op.109

2

ヘ長調

6 Op.10-2 「五月の美しい庭」/ 22 Op.54「秋の印象」

WoO 50

3

嬰ヘ長調

24 Op.78「テレーゼ」

1

ト長調

10 Op.14-2 / 16 Op.31-1 / 20 Op.49-2 / 25 Op.79「かっこうのおしゃべり」

4

変イ長調

12 Op.26「葬送」 / 31 Op.110

2

イ長調

2 Op.2-2 / 28 Op.101「ドロテア・チェチリア」

2

変ロ長調

11 Op.22 / 29 Op.106「ハンマークラヴィーア」

2

短調(11)

調

番号付き

番号外

ハ短調

5 Op.10-1 「小悲愴」/ 8 Op.13「悲愴」 / 32 Op.111

3

嬰ハ短調

14 Op.27-2「月光」

1

ニ短調

17 Op.31-2「テンペスト」

1

ホ短調

27 Op.90

1

ヘ短調

1 Op.2-1 / 23 Op.57「熱情」

WoO 47-2

3

ト短調

19 Op.49-1「心落ちつくやさしいソナタ1」

1

使用調は16種類のまま。番号外5曲は既存の調(変ホ長調・ヘ短調・ニ長調・ヘ長調・ハ長調)に収まり、新しい調は1つも増えません。

 

『ベートーヴェン ピアノソナタ32曲で四楽章構成の曲と三楽章構成の曲を分類して何かわかることはないか?』

結論から言うと、ベートーヴェンのピアノソナタ32曲を「四楽章構成」と「三楽章構成」で分類すると、彼の作風の変化・美学・時代背景がかなりくっきり見えてくる。 以下、まず分類 → そこから読み取れることを深掘りする。

🎼 四楽章構成のピアノソナタ(初期から中期を中心に11曲)

ベートーヴェンのピアノソナタで四楽章構成なのは次の 13曲となる。

  • 1Op.2-1
  • 2Op.2-2
  • 3Op.2-3
  • 4Op.7)「最初の傑作、大きなソナタ」
  • 7番「壮大にして重要な」
  • 8番「悲愴」
  • 11番「イタリア風の大ソナタ」
  • 12番「葬送」
  • 13番「幻想曲風の大ソナタ」
  • 15番「田園」
  • 18番「狩り」
  • 29番「ハンマークラヴィーア」Op.106
  • 31番変イ長調(作品110)

特徴

  • 初期の3曲(Op.2)はハイドン的クラシック様式の継承。
  • 4番、第7、第8番、11番、第12番「葬送」、第13番、第15番「田園」第18番「狩り」は規模拡大の試み。
  • 29番「ハンマークラヴィーア」は後期における巨大構造の再登場。

🎼 三楽章構成のピアノソナタ(中期に多い)次の 14曲となる。

  • 5番「小悲愴」
  • 6番「五月の美しい庭」
  • 9番「優美」
  • 10番「対話」
  • 14番「月光」
  • 16
  • 17番「テンペスト」
  • 21番「ワルトシュタイン」
  • 23番「熱情」
  • 24番「テレーゼ令嬢」
  • 25番「かっこう」
  • 26番「告別」
  • 28番「ドロテア・チェチリア夫人」
  • 30番 ホ長調
  • ※後期は2楽章・1楽章が増えるため、三楽章は中期に集中。
  • 2楽章構成の曲は、第19番「やさしいソナタ1」、20番「やさしいソナタ2」22番「秋の印象」、第27番ホ短調の4曲だけ。

🎼 分類して見えてくること(ここが本題)

① 四楽章=「交響曲的」ソナタ、三楽章=「凝縮されたドラマ」

四楽章構成は、 交響曲のような大きな物語構造をピアノで再現しようとする意図が強い。

特に Op.2 3曲は、 「ピアノで交響曲を書こうとしている」と言われるほど。

一方、三楽章構成は ドラマを凝縮し、密度を高める方向に向かう。

  • 「小悲愴」「対話」「ワルトシュタイン」「テレーゼ」「かっこう」「告別」「ドロテア・チェチリア」など三楽章構成は最多の14曲。
  •  ベートーヴェンの代表的な“劇的ソナタ”は三楽章構成が多い。

②「熱情」「月光」「テンペスト」は三大劇的ソナタだ。

  • 中期は三楽章が主流 →中期後半は二楽章(2224)

 →後期は二楽章(27番、第32)

  • 最後の第32番は二楽章構成

構成の変化はベートーヴェンの美学の変化と一致する。

時期

主な構成

美学

初期

四楽章多い

古典派の枠組みを拡張しつつ継承

中期

三楽章が主流

劇的・英雄的・凝縮された構造

後期

二楽章が増える

内省・精神性・形式の自由化

つまり、 楽章数が減るほど、内容は濃密になり、形式は自由になる。

③ 四楽章ソナタは「形式の実験場」だった

特に、後期に突如現れた第29番変ロ長調≪ハンマークラヴィーア≫(Op.106)は象徴的。

  • 1楽章:巨大なソナタ形式
  • 2楽章:短いスケルツォ
  • 3楽章:深い瞑想のアダージョ
  • 4楽章:フーガによる構造的極限

後期に再び最後の四楽章構成曲を採用したのは、 「形式そのものを再構築する」という意識の表れ。演奏時間はゆうに40分から45分である。非常な難曲として知られている。ブレンデルは、この曲で腕を負傷した、と言われている。

④ 三楽章ソナタは「感情の劇場」

三楽章構成のソナタは、 感情の流れが一筆書きのように連続する

例:

  • 悲愴:序奏→激しい第1楽章→歌う第2楽章→疾走する第3楽章
  • 熱情:緊張→激情→破滅的フィナーレ
  • ワルトシュタイン:明るさ→静寂→勝利

四楽章よりも 感情の推進力が強く、物語が直線的に進む。

 

🎼 まとめ:分類すると見えてくるベートーヴェンの姿

  1. 初期は交響曲的な四楽章でクラシック様式を拡張。
  2. 中期は三楽章で劇的・英雄的な凝縮美を追求。
  3. 後期は楽章数を減らし、精神性と形式の自由を極める。
  4. ≪ハンマークラヴィーア≫は後期の巨大構造として四楽章が復活し、発展し転機となる。

つまり、 楽章数の変化はベートーヴェンの作曲美学の変化そのものを映している。

 

 

『理想のオーディオ装置について』

   パソコンにミュージック・プレーヤーの無料ソフト「MediaMonkey 2024」をインストールする。インターネットにアクセスしない設定で使うとよい。音楽ファイルを聴いている途中で音が途切れて「バッファ中」の表示が出てくるからだ。

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これが必要となる。これはDACのヘッドホン・ジャックに差し込んで使う。2台のヘッドホンの切り替えはDAC側のノブの切り替えで行う。