❶1990年~2022年までの日本経済衰退31年間の結果報告・・・もっと早く知っとけば!高度成長期で学んだ「蔵」を売ってしまった奴隷根性の日本人?

日本経済を支えるのは国防費ではなく大学の研究費だ!日本には工業の原料、資源が無い!

●資源が無いから日本人は、頭で勝負するしかない!


2022年は、日中国交正常化50周年という記念すべき年、北京オリンピック開催の年。習主席と岸内閣の友好の記念となる年です。日本政府・岸内閣が近隣三国である中国・韓国・ロシア側に合わせるか、AUKASの側に合わせるか、を世界は興味をもって見ることでしょう。AUKASは2021年10月に発足したオーストラリア (AU)、イギリス (UK)、およびアメリカ合衆国 (US)の三国間の軍事同盟です(最高の軍事機密が密集した原子力潜水艦)。ここに日本は存在していません、この点がポイントでしょう(日独伊は歴史的に信用されていない?)。日本は被爆国であり、非核三原則がある。しかし日米間の安全保障はありますが日本が仮に憲法改正すれば日米安全保障はいらない、という安倍氏二階堂氏の会派の政治家たちの考え方もあります。また岸田内閣は人権非難決議法に反対した唯一の政治家で、人権非難決議法案は、中国の新疆ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区や香港に加えてミャンマーも例示し、「信教の自由への侵害、強制収監をはじめとする深刻な人権侵害、ジェノサイドが発生している」として即時停止を求める内容で、日本は民主主義の国なのに、岸政権はジェノサイドはOKだと、習主席や、かつての天才ヒトラーと共通項を持つ人間なのだろうか?。それとも、まだ中国に忖度して経済優先で行こう、と思っているのか?とにかく、彼は2021年度は改正国民投票法などを成立させ、まあ2022年は日本の政治家は混乱している時期でもあるので、一元化できません。かなり深く「明治から昭和までの歴史」を知らなければ解明できません。


八幡製鉄所の技術者たち!こっから始まる!
最後は、切り札は「人の知恵」だ!

日本製鉄がトヨタを訴えたワケ
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昭和を切り開いた人たち。岸信介の「ファミリー」

松田賢弥『絶頂の一族―プリンス安倍晋三と六人の「ファミリー」』(講談社、2015年)

  安倍一家:母・安倍洋子(岸信介の長女)、
父・安倍晋太郎、兄・安倍寛信、弟・安倍晋三



   日本・原子力の父:中曽根康弘




何もかも大きく中国へ舵を切った日本。最初は「ODA」で中国への謝罪を含めた日本からの投資だったが、最近は中国からの投資をもとに「日本の技術」や「日本の頭脳」を中国へ輸出している。日本の大切な「蔵」を売ってしまった!

上海の製鉄所建設
写真は『大地の子』 (1996年)より

30年以上前、右肩上がり経済、高度成長期の象徴!新幹線だ!
この、「新幹線の技術」と「新幹線の運行システム」をセットで、中国へ手渡してしまった。中国との「平和友好」の名のもとに。というか?日本の犯した罪悪感のもとに?
中国では自分たちが開発した、と言っているが、とにかく「中国式新幹線」は「一帯一路」の鍵となった。ちなみに「インドネシアの高速電車」は「中国式新幹線」で、台湾のは、
日本の新幹線だ。中国EVが発売された時中身の技術がドイツの技術であった。ドイツが発明したEV技術を中国企業の名前で売っているのだ!嘘も方便、偽物も方便、土・空気は汚染放題、・・外へ出る華僑たち、亀たちは「中華思想」の具現化だ。昔からそうやって14億の民は生きていて、これからも生きていく。


中国ダイムラーがこんなEV車を作りました!あなたは乗りたいですか?私は命が惜しいので、決して「中華製」のEV車には手を出しません。世界中に広まっても。とにかく、メイドインチャイナの食品と同じです。遅すぎたが、2022年からは、それが「どの国で作られ、原料はどこから来たのか、モノづくりに中国人が関わっているのか?」を見極めて買い物をしたい。






小松左京の小説「日本沈没」が復活か?


 

 2021年10月23日 TV番組を見て、たまたま録画した・・・。小松左京の小説「日本沈没」もすごかったが、この番組も興味深い内容だ。この小説では、沈むの?沈まないの?とにかく架空の話に過ぎない。

【落合陽一】南海トラフ地震や首都直下地震、富士山噴火。天災リスクのリアル
428,230 回視聴2021/03/18

世間では徐々に武漢コロナ後の世界についての議論がされるようになってきた。しかし、忘れてはならないのが、日本が「災害大国」だと言われるほど、歴史的に多くの自然災害に見舞われてきた事実と今後も“起きる”という現実だ。武漢コロナにより日本の災害対応への弱点が露呈したとの指摘もある。近い将来に発生すると想定されている南海トラフ地震や首都直下地震、富士山噴火などにどう備えていくべきか?東日本大震災から10年をむかえた今、日本を生き抜くために何が必要かを考える。


夢の電池! 全固体電池がもたらす未来図 ~第一人者に聞く メリットや課題は?~【Bizスクエア】
自動車のEV化に欠かせない電池の開発。その切り札として期待されているのが「全固体電池」です。電池の常識を変える「全固体電池」とはどういうものなのか? 研究の第一人者をスタジオにお招きしてお話を伺います。

【ゲスト】
菅野了次(東京工業大学特命教授)
【コメンテーター】
細川昌彦(明星大学経営学部教授)

★「Bizスクエア」★
・BS-TBS 毎週土曜日 午前11時から
・CS放送「TBS NEWS」

大学は世界中の学生や研究者も一緒に学んでいるし、技術は普遍的なものだから、完全にブラックボックスにすることは難しいでしょうね。それより特許関係をしっかり管理してもらいたい。全固体電池の技術は車だけではありません。将来、巨大な蓄電所を作れれば日本の電力問題を解決できる.
菅野教授の偉大さが良くわかりました。研究とは時間がかかるものですね。
日本は技術開発の安全保障にもっともっと力を入れてスパイ防止法を強化すべきと思います!!!!!




2021年まで、日本の「蔵」をタダ同然で隣国に売り、その挙句、日本が「経済沈没」であったとしても、2022年からは、日本再出発の年になってほしい、、、




日本の経済安全保障
【5つの重点施策】
この小項目1つ1つが、今後の日本の国家としての浮き沈みに関係してくる。日本の政治家の国際感覚が貧しいことを利用して、中国や韓国が日本にお金を出すので「日本の技術や人材」をよろしくね!と言われても簡単には契約しないことだ。日本の工業に限れば、経済が低成長でも日本国内に工場さえあればなんとかなる。
今まをでのように中国、韓国などへ日本の製鉄技術や軍事技術を簡単に日本国外へ
流出させてはならない。中国では全権法で特許権とか外資関係の約束事も関係なく、技術を盗むようにして自国技術として世界にアピールして信用させて売っていくつもりだ。

毎年、防衛費だけはGDPの1%を超えて2%に近づけて行くけれども、
予算の配分を、本気で考えるなら、この5大項目に多くの予算を付けてほしい。

日本の経済安全保障
裏で進むロシア、韓国の共同事業も忘れてはいけない。韓露の合弁事業を択捉島でやろうとしている韓国もそうだが欧米のように「人権を柱の中心にした民主革命」から民主主義になった国ではなく、真似した民主主義の国だから考え方だけ社会主義に転んでも不思議ではない。2021年中国、韓国、ロシアが共同で「日本に領土要求させない」ための同盟話を進め,北方4島を経済特区にして韓国の水産業社と共に合弁事業を行っている。



明治以来、日本の重工業を支え続けた八幡製鉄所の技術者たち!

             日中共同の製鉄プラント事業


中国近代化にODA供与              (日本国際貿易促進協会 相談役)
 1980年代になると、日中関係は政治・経済両面で最良の時代となった。それを象徴するのが対中ODA(政府開発援助)である。1979年9月、当協会創立25周年の式典参加のために来日した谷牧副総理一行は日本政府との会談で第一次円借款の供与で合意した。

 日本側は中国側代表団に対して、記者会見の場で「感謝の意」を表明するよう要求したが、谷牧氏は「そんなことをすれば私は帰国できない」と言って拒否したという。国交正常化時に国家賠償請求を放棄した中国にとって、日本からの借款に対し「感謝」すれば、中国の国民感情を逆撫でする。このことを日本側は考慮しなかったのだろうか。

 その後日本政府の対中円借款は、2007年に終了するまで28年間にわたり合計約3兆円が供与された。鉄道港湾発電所通信などのインフラ建設にこの資金が投入され、中国経済の近代化に大きく貢献した。最近になって中国政府要人は公式の場で中国の近代化に対する日本政府の協力に感謝の言葉を表明するようになった。

宝山での日中協力
 この時代を象徴するもう一つのプロジェクトが上海宝山製鉄所建設での日中協力である。日本の新日本製鉄の全面的協力の下で、輸入鉄鉱石を使用する臨海製鉄所を上海に建設することが合意され、1978年12月に着工した。このプロジェクトの経緯は山崎豊子氏によって「大地の子」として小説化された。完成までには紆余曲折があったが、上海宝山製鉄所は中国の主力製鉄所として順調に発展していることは周知の通りである。

突然のプラント契約中止
 1980年代の最大の困難は1981年に発生したプラント輸入契約の中止問題であった。中国は建国以来一貫してプラント輸入を重視してきた。建国初期はソ連東欧から156項目のプラントを導入し、機械工業などの基礎を築いた。1970年代、特に文化大革命が終わった1976年以後は、日本を含む西側諸国から機械、化学などの分野で多数のプラントを輸入する契約を締結した。ところが外貨の資金繰りがつかず、1980年の年末になり中国は突然すべてのプラント輸入契約の中止を通告してきた。関係諸国は困惑し、中国の国際的信用は急落した。契約当事者であった中国技術輸入総公司の某副総経理が自殺するという悲劇も起こった。

 日本政府は円借款とは別に商品借款を供与し、日本政府は中国の資金不足の解決に協力した。結果的にはほとんどの契約は数年以内に復活した。しかしこの問題以後、中国は大規模なプラント輸入はやらなくなり、もっぱら外国企業の対中直接投資の導入に力を入れるようになった。
耳を疑う「中外合弁」の提案
 1978年8月、日中平和友好条約が締結され、復活した鄧小平副総理がその批准書交換のため10月に来日した。鄧氏の復活で予想された中国の路線転換は、同年12月の中国共産党第11期3中全会で改革・開放政策が決定され、現実のものになった。

 当協会は10月から12月にかけて中国機械工業代表団一行19人を受け入れ、私は全日程を随行した。団長は第一機械工業部の周建南副部長(現中国人民銀行周小川行長の父)であり、筆頭団員として中国機械設備進出口総公司の賈慶林総経理(現全国政治協商会議主席)が加わっていた。同団が日立製作所の日立工場を参観した時に、周団長が日立の吉山博吉社長(当協会副会長)に「中国に投資して、合弁事業をやってほしい」と依頼した。

 周団長の発言は3中全会で党の正式決定がなされる直前であったが、個別の対外交渉で合弁提案をすることは党中央の了承を得ていたものと思われる。自力更生を旨とし、内債も外債もなく、資本主義国との経済関係は貿易のみにとどめてきた中国。その高官が日本の大企業に対して合弁会社設立を提案するとは、正に晴天の霹靂であった。一瞬、聞き間違いではないかと耳を疑った。吉山社長は周団長の要請をしっかりと受け止めた。2年後に製造業における日中合弁事業第1号となる福日テレビ(カラーテレビ製造)が福州に誕生した。

自分は技術移転に注力
 翌1979年1月1日には米中両国の国交が樹立された。同年7月、中国は中外合弁経営企業法を制定公布した。中国が対外経済関係において、商品貿易プラント導入技術導入に加え、外資導入に踏み切り、そのための法整備を開始した。これ以降中国は外資導入を柱とする対外経済政策を30年以上ゆるぎなく実行し、今や「世界の工場」、「世界の市場」として、世界第二の「経済大国」になった。私はそのスタートに立ち会ったことになる。

 当協会は事務局内にいち早く「合弁推進グループ」を設置し、日中合弁企業設立を促進した。当協会は地下足袋メーカーである力王が江蘇省南通市で合弁事業を立ち上げるプロジェクトに全面的に協力し、成功に導いた。福日テレビとほぼ同時期であった。

 私自身は日本の経済が外資導入ではなく、技術導入とその消化・吸収・革新によって発展してきた経験から、「中国も技術導入を主とすべきだ」との考えを持っていた。そのため、1980年代の前半は合弁促進には力を入れず、引き続き対中技術輸出に努力した。しかし1990年代に入ると、対中直接投資が日中経済関係の主流になった。

 今世紀に入って中国は「創新型社会」の建設「自主ブランド」の確立を重視するようになったが、その前途はかなり険しいと感じる。
倍々ゲームで拡大した日中貿易
 1949年に新中国が成立してから1972年の国交正常化までの民間貿易の時代に、23年をかけて日中貿易額はやっと9億ドルに達しただけであった。ところが正常化後は、72年11億ドル、73年20億ドル、74年33億ドル、75年38億ドルと毎年ほぼ倍々ゲームで貿易が拡大した。

 政治関係の正常化があってはじめて経済交流は発展するという「政経不可分の原則」がみごとに実証されたと言えよう。中国向けプラント(生産設備一式)輸出に対する日本輸出入銀行の融資が適用されるようになった。身近なことで言えば、ビザが東京で取得できるようになり、訪中する毎に一次使用のパスポートを取得する必要がなくなり、通常のパスポートが使えるようになった。

 貿易が増大した具体的な原因の一つは、国交正常化により日本側の貿易の担い手が一気に拡大したことにある。限られた企業がさまざまなリスクに立ち向かいながら日中貿易に取り組んでいた正常化以前と異なり、全ての日本企業が対中貿易事業に参入することが可能になった。

 商社をはじめとする日本企業が相次いで北京事務所を設立するようになり、商談の場は広州交易会から次第に北京へ移行していった。また、米中関係の好転に伴い、それまで使われることのなかった米ドルが決済通貨として使われるようになった。

主役は鉄鋼、機械と原油
 貿易上特筆すべきことがある。74年4月に大慶原油の輸入が始まったことである。中国が戦略物資ともいえる原油の対日輸出に踏み切ったのも国交正常化の結果であった。当協会が組織した日本中国石油輸入協議会及び国際石油の2窓口を通じて、年間1000万トンを超える中国原油が輸入されるようになり、対中輸入の最大品目になった。

 1970年代に日中貿易を押し上げたもう一つの分野はプラント輸出である。文化大革命により停滞した工業生産能力を拡大するために、中国は日本はじめ欧米諸国から各種プラントを積極的に輸入する政策を実行した。72年から76年にかけて日本からは化学繊維、火力発電、エチレン、ポリエチレン、アンモニア等のプラントが相次いで輸出された。

 1978年の日中貿易額は50.8億ドルとなった。輸出30.5億ドルのうち鉄鋼、機械、化学品がそれぞれ54.1%、20.8%、14.6%を占め、輸入20.3億ドルのうち原油は37.4%、食料品16.6%、繊維及び繊維製品15.7%という構成であった。
宿願の国交正常化実現
 1972年2月のニクソン訪中後、日本政府は急速に対中交渉を進め、半年後の同年9月29日には日中国交正常化が実現した。翌年2月、中国の駐日大使館仮事務所が東京のホテルニューオータニに開設された。アメリカが首脳訪中後6年かけて実務交渉を積み重ね、1978年末になってはじめて国交樹立にこぎつけたのと大きな違いである。

 1950年の朝鮮戦争勃発以後、東西冷戦構造の中で全面的対立を続けてきた米中間には民間経済交流の歴史が皆無であった。これに対し、日中間には民間貿易の経験が蓄積されており、日本の経済界は突然訪れた日中国交正常化にすぐさま対応することができた。

 当協会は日中国交正常化直前の1972年8月に行われた三菱グループ訪中団(団長=田実渉三菱銀行会長)日本経済人訪中団(団長=稲山嘉寛新日本製鉄会長)派遣に協力した。

来日相次ぐ中国の技術視察団
 当協会の仕事も急激に拡大した。従来から貿易の窓口であった各輸出入総公司が日本で商談を行う貿易団を派遣してきたが、それ以外に国交正常化まで往来が極めて少なかった中国の各工業部門が派遣する技術視察団の来日が急増した。技術視察団はいずれも買い付けのための事前調査であったから、日本の関係企業から大いに歓迎された。正常化の翌年1973年に当協会が受け入れた技術視察団を当協会の「国際貿易」紙から拾ってみると、工作機械、合成ゴム、電子技術、鉄道技術、食品機械等となっている。まるで「工業は日本に学べ」といわんばかりの勢いであった。

 当時の来日団の受け入れ方式は、団が来日してから帰国するまで全面随行であった。同じホテルに泊まりこみ、全訪問先に案内し、日本側受け入れ先の通訳も担当するいわば「三同(同喫、同住、同工作)」というハードなものであった。私は1973年に結婚したが、この年には年間200日前後も家を留守にしたと思う。視察団のメンバーは極めてまじめで、熱心に視察や説明の内容をメモし、夜はホテルでミーティングを行い、視察結果について整理確認するという作風であった。私は通訳者として粛然たる気持ちをいだき、団側の通訳や専門家の助けを借りながら、とにかく正確第一を心がけた。

正月に自宅へ招待
 1973年10月から74年1月にかけて中国機械進出口総公司貿易小組(団長=黄文元第3進口部経理)一行11人が中古の建設機械と作業船の買い付けのために来日し、日本で越年した。元旦に当協会の受け入れスタッフは手分けして彼らを自宅に招待した。私は団員の李天相工程師等3人を6畳1間のアパートに案内し、すき焼きを食べてもらった。「日本人の家庭を初めて訪問した」と大変喜んでくれた。こんな交流ができたのも国交正常化の賜物であった。

日本工業展覧会の役割
 国交未回復の中で、1950年代には日中民間貿易協定が第1次(1952年)から第4次(1958年)まで締結された。1958年~1960年の日中貿易全面中断を経て、60年代に入ると日中貿易は友好貿易とLT貿易(注)の2ルートで行われるようになり、「車の両輪」と言われた。

 商品の実物を見ることは売買双方にとって必要不可欠である。当協会は中国で日本の工業製品を展示し、展覧会終了後それを売却するという活動を実施した。最初は1956年10~12月の北京上海日本商品展覧会であり、北京では125万人が入場した。毛主席も会場を訪れ、「看了日本展覧会、覚得很好、祝賀日本人民的成功」と揮毫した。その後、58年武漢広州日本商品展覧会、63年北京上海日本工業展覧会、65年北京上海日本工業展覧会、67年天津日本科学機器展覧会と継続した。

 私が協会に入った翌年の69年3月には日本工業展覧会が北京で開催された。しかし上海会場は展示品に対する日本政府のココム規制(出品不許可、持ち帰り条件付き許可)に抗議して中止した。当時の厳しい雰囲気を今でも思い出す。

中国展では経済発展を宣伝

 一方、中国側も中国国際貿易促進委員会が主催する展覧会を日本で開催した。1955年中国商品見本市(東京・大阪)、64年中国経済貿易展覧会(東京・大阪)、66年同(北九州・名古屋)である。いずれも100万~200万人が入場した。国交正常化以後の1974年(大阪、東京)と1977年(北九州)にも開催された。当時の中国は社会主義計画経済の時代、輸出商品は農産物、原材料、軽工業製品が中心であり、展覧会も商品見本市というより中国の経済発展情況を宣伝し、中日友好を強化するためのものといった色彩が強かった。
中国が国連の議席回復
 アメリカのベトナム戦争、中ソ対立の激化、中国の文化大革命といった国際情勢の下で、貿易業界の宿願である日中国交正常化はまだまだ遠い将来のことだと思われていた1971年、新しい風が吹いてきた。10月25日、国連総会においてアルバニア等23カ国による「中国招請・台湾追放」提案が圧倒的多数で可決され、中国の国連議席回復が実現した。それに先立つ3月下旬に名古屋で開催された第31回世界卓球選手権大会に中国が6年ぶりに参加し、大会後アメリカ選手団等が訪中した。いわゆるピンポン外交である。これを契機に中米政府の秘密交渉が加速され、キッシンジャー大統領補佐官が秘密訪中し、翌1972年2月にはニクソン大統領が北京を訪問した。私は入院していた病院のテレビで毛沢東-ニクソン会談を見て、なんとも言えない複雑な思いをした。
国交未回復、文化大革命といった政治情勢の下で、広州交易会は単なる貿易商談の場ではなく、関連の対外経済交流の舞台でもあった。交易会の開催期間にその会場を利用して「日中技術交流」も行われた。まだ対中輸出実績のない新製品について、メーカーの技術者が交易会参加という形式で訪中し、交易会会場や付近のホテルの会議室を使い、約1週間の日程で中国側が組織する技術者グループに対して、性能や使用方法等を説明し、質疑応答を行うというやり方であった。

 当協会等が日本企業の紹介希望新製品リストを取りまとめ、中国国際貿易促進委員会技術交流部に提出し、中国側がその中から実施項目を10項目程度選び通知してくる。それを受けて、各メーカーの技術者たちがまとまって交易会に参加する。その世話係が私の初訪中の仕事であった。

黄坤益先生との出会い
 中国国際貿易促進委員会技術交流部からは黄坤益先生(後に国家専利局局長、専利とは日本の特許のこと)がまとめ役として広州に来ていた。黄先生は少しも傲慢なところがなく、年若い私に対しても謙虚な態度で対応し、仕事以外の雑談の中では「毛沢東選集」を読むように静かに勧めてくれた。夫人は医者であり、当時「裸足の医者」として河北省の農村部で巡回医療に従事していた。選集の中からの引用集である「毛沢東語録」を朗読することが商談開始への通過儀礼という雰囲気の中で、黄先生は一味違う風格であった。初めての訪中で黄先生と知り合ったことが、その後長く中国と付き合う私のエネルギーの元になったような気がする。後に当協会が知的財産権分野で中国と交流を行うようになった時、黄先生は国家専利局局長として当協会の活動を支持してくれた。

1971年の日中貿易額は9億ドル
 会期1カ月の広州交易会が閉幕すると参加者は北京行きを申請する。申請者全員が認められるのではなく、必要性に応じて中国側が選定する。認められて北京に行く商社員は「北上組」と呼ばれていた。彼(彼女)たちは次の交易会まで半年間北京の「新僑飯店」に滞在して、北京の各総公司と継続や新規の商談を行う。次の交易会で新しい北上組が決まり北京にやってくると交代して日本に帰るというローテーションであった。

 こうした情況の下で、日中貿易額は国交正常化直前の1971年でもわずかに8.9億ドル。日本の主要輸出品は化学品、繊維品、鉄鋼、機械等であり、主要輸入品は食料品、油脂原料(大豆)、繊維原料等であった。工業製品を輸出し、原料を輸入するという構造であった。

(注)1962年に結ばれた「日中長期総合貿易に関する覚書」に基づき始められた半官半民的な貿易形態。双方の代表者の廖承志(Liao Chengzhi)氏と高碕達之助氏の頭文字LとTをとってLT貿易と称された。1968年以後、名称は覚書貿易(Memorandum Trade)の英文頭文字をとってMT貿易に改められた。
片寄浩紀 日本国際貿易促進協会 相談役






タイトル:1990年~2022年までの日本経済衰退32年間の結果報告。

日本は古くは新幹線、八幡製鉄所の技術者をはじめ、
大学や企業や町工場の技術者など知的人材が豊富にいた。その人たちが中国へ流出し始めたのが1990年代である。しかし、あまりにも中国に流れすぎてしまった。
中国にある日本企業の工場、日本にあるイオンのような大型施設は、中国全土に行きわたり、中国を支え、今や中国人のものになっている。(非常事態では、外国企業を中国人の物にできる。)
 日本は経済的軍事的な重要特許は、中国へ流出させていないらしい。しかし、それも怪しくなった。その原因はどこにあるのか。
日本は政府とは独立したCIAが存在しなかった結果、現在のようになったのかな?実はそれが原因だ、と思う。日本は中国に負けないように情報を中国から得る活動をしなければいけない。日本政府の人たちに気づいてほしい。かつての日本は、日本の安全にかかわる全ての情報を手取足取り指導、伝達したのだ。今では、中国に日本の頭脳は必要ではない。中国国内に一流の研究者がいるのだ。
2021年に、米国在住、90歳の日本人物理学者がノーベル賞を取っている。このように、米国に渡らなければ研究できない実態がある。実際に
日本の大学にはポスドクが増え、研究費は減り、日本学術会議も独立した機関でなくなった。
日本は、経済では中国に傾き、依存しつつある。そうしなければ
アメリカも日本もEUも生きていけない時代が来てるのか、今からくるのか?
 日本は今現在GDP3位だが、日本は、かつては、GDPが1位になりつつ時代があった。その日本の高度経済成長時代を振り返って欲しい。そのとき日本は、1990年代に半導体が原因で、トヨタや半導体メーカーが、アメリカからかなりのバッシングを受けた。その結果、世界1位の半導体生産量が無くなって中国、韓国、台湾へ移動してしまった。しかし、今現在、中国がアメリカからバッシングを受けているのか、と言えば、そうでもなさそうだ。かつてのようなトヨタの車がハンマーで壊されたような映像は、中国のテレビには流れない。そう、米国は中国に忖度し始めたのだ。これは自由主義民主主義の負けを意味するのではないか?中国の人民はは監視されながら自由を満喫している。この人民自由主義に世界が移行しつつあるのが現実なのだ。
 振り返ると、日本は中国を侵略しながら、破壊した。その後、第2次世界大戦では、アメリカに奇襲攻撃して、その結果負けた国でした。そこで中国は国連の場で、今でも自らを「被害者の国、後進国」と言っている国ですから。このように都合のいい、貪欲な国が、今や世界をリードしつつある。
 戦後日本は平和憲法非核三原則を貫いたが、中国・ロシアはそれをうまく利用し続けたのだ。日本はそのことが全く理解できていない。気づいていない。平和憲法非核三原則の「揺らぎ」が政府内に起こっている。日本政府とその役人はもっと近現代の歴史をもっと学ぶべきだ。
 その結果、31年間自らを「後進国、被害者の国」という中国は、加害者の国である日本の援助を手鳥足取り受けて、日本人の技術と日本人の知識を受けながら、「高度経済成長」を走り続けたのだ。その勢いは「日本の高度経済成長期に匹敵する」か、若しくは、それ以上だ。その成果がIT分野では、現在の「5G製品」として姿を変えて静かに世界中に広がりつつあるのだ。現在の「5G製品」は「中華思想」という言葉の意味を、まさしく具現化した製品だ。
 中国の半導体技術は世界一だ。中国は、自前の「量子コンピュータ」を使った中国版デジタルネットワークを完成しているので
アメリカも日本もEU も、その技術が欲しいと思っているくらいの凄い技術だ。この「中国の量子暗号技術」を他国がハッキングしようとしても永久に破れない技術らしい。中国のサイバー空間、ネットワークは仮想性が強く、決して破られることは無い。人工衛星にも5Gを積んで宇宙から監視できるようになっている。
中国が日本やアメリカのネットワークに入り込めても、
日本やアメリカは中国のネットワークには入り込めない。
国ごとに量子によるデジタルネットワークを完成するしかないが、かなり中国に遅れてしまった。
テンセントやファーウェイ集団は日本、アメリカ、EUからの優れた学者や技術者集団を持っているから、資金力、技術力では太刀打ちできない。現在の「5G製品」と「量子によるインターネットワーク」を使って中国共産党ハッカー集団のやりたい放題が始まっているのだ。中国は「自国の作った国家安全法」「自国の作った個人情報保護法」などを盾に、自国に都合よく、徐々に世界を統一していくのだろう。あらゆる場所に「中国の統一基準」を作るだろう。
 話は変わるが最近、東大で、光、量子によるコンピュータが完成させた教授がいましたが、
彼は今現在、日本にはいません。東京大学の大学院に優秀な中国の「海亀」と呼ばれる留学生たちがいっぱいいて、技術など学び、今や光触媒の藤嶋先生もいません。共同研究者らと共に中国へ渡ってしまったのだから。独立法人で亡くなった日本学術会議は政府への忖度で「研究も、何もできなくなってしまった」機関になった。財界の偉い人の言葉「団体でも個人でも、何も言えないことが一番よくない!」を政府にプレゼントしたい気持ちだ。
とにかくその結果、光触媒で水素を取り出す技術が日本に無くなってしまったのだ。日本は世界トップの研究者を中国に流出させてしまったために次世代エネルギー競争に敗れつつあるのだ。
 したがって、2021年の今現在中国は世界一の軍事技術・戦略物資を持ちつつあるのだ。




菅 義偉:自由民主党所属の衆議院議員、日韓議員連盟会長。二階 俊博「日本で最も親中派の議員」


政府が日本の「蔵」を中国に渡して、どうするのだろうか?
日本学術会議を解体した総理大臣。日本の大学はどこへ向かうのか?
大学の研究が政府や企業から「独立」した「自由」なものになってほしい。

日本は貿易でも外交でも、どの国とも「属国」のようにならないでほしい。
日本はその「技術」を「売り」にして、他国に「恩」を売っていけばよい!
決して日本の「蔵」をただで渡してはならない。



文化勲章受章に際して 公表された肖像写真
 
 私は他の人のことを気にすることが得意ではない。中国での暮らしは素晴らしいと思っています。
おそらく、私のような研究者にとってはこれが最後の貢献になるでしょう。
中国では好きな研究を何でもできるからです。私は日本人のように視線を気にしながら人と協調しながら生き行くことはできません。
それが日本に居たくない理由の一つです。



2021年の日本の経済安定重要項目の人材流出防止はザル項目になってしまった!
一流の学者ほど日本には居づらい。日本では設備のかかる研究はできにくい。
日本では政府もどこも基礎研究に関心が少ない。
日本ではすぐにお金になり、世の中から、すぐに認められるような研究だけが「研究」となってしまった!
監視されるような研究予算のあり方では、このままでは日本の大学は死んでしまう。




 東京大学大学院に在学中の1967年春、水溶液中の酸化チタン電極に強い光を当てたところ、酸化チタン表面で光触媒反応が起きることを発見。この現象は共同研究者の本多健一の名前と合わせ「本多-藤嶋効果」と呼ばれる。それらの業績が認められ、2004年に日本国際賞を受賞している。 2013年4月に東京理科大学光触媒国際研究センターを開設しセンター長に就任、同センターにより光触媒の多様な応用展開を実現。また、学長職の現在も2014年に光触媒による伝染病撲滅装置の試作品を完成させるなど、様々な研究を実践し続けている。2021年8月末、自ら東大で育成した博士号を持った学者や優秀な中国人留学生や東大研究チームと共に破格の待遇で中国の上海理工大学に移籍した。上海理工大は今後、藤嶋先生を中心とした巨大な研究所を新設する。
2021年 上海理工大学 教授に就任。

おそらく2,3年後に中国から初のノーベル物理学の受賞学者が生まれるでしょう。




2021年のノーベル賞学者、残念ながらアメリカ国籍。



米国の国籍を取った理由、アメリカ人になった理由を聞かれて・・・
米国では好きな研究を何でもできるからです。私は日本人のように視線を気にしながら人と協調しながら生き行くことはできません。
それが日本に居たくない理由の一つです。研究費も10倍多い。



 米国プリンストン大の上席研究員で、今現在90歳で現役の気象学者の真鍋淑郎さんが、2021年のノーベル物理学賞に選ばれた。真鍋さんは、大学卒業後アメリカにわたって、間もなく米国籍を取得している。その選択が成功したのだ、と本人が語っているのが印象的だ。
 30年前から、日本では大学の研究予算が軍事の方に取られて、まともに研究できない、と言われてきたが、ここにきて当たってしまった感がある。





これを見ると中国に入ってきた外国資金・外国企業は中国企業に負けつつある?
いずれGDP世界1位になっていくだろう?アメリカのノーベル賞経済学者の予想が外れますように祈るしかない。


4大化石燃料【シェールガス、シェールオイル、オイル、カーボン】は、価格が下がる、と思えない。
日本は「石油備蓄」、自然エネルギーやオイルから「全個体蓄電池」に電気を蓄える?
    

北朝鮮と同じ主張をする国だな。

 
 中国政府は、中国は質の高い民主主義を実践してきたなどと主張する新たな白書を公表しました。アメリカのバイデン政権が2021年12月、友好国などを招いて「民主主義サミット」を開くのを前に、独自の主張でこれに対抗するねらいがあるとみられます。中国政府は2021年12月4日、記者会見を開き「中国の民主」と題する白書を公表しました。白書では「中国の近代化では、西洋の民主主義モデルをそのまま模倣するのではなく中国式民主主義を創造した」としたうえで、中国は独自に質の高い民主主義を実践してきたと主張しています。そのうえで「民主主義は多様なものであり、国によって形態が異なるのは必然だ」として「国が民主的かどうかは、その国の国民が判断することで、外部が口を挟むことではない」などと主張しています。記者会見で、中国政府で対外宣伝を担う国務院新聞弁公室の徐麟主任は「民主主義は少数の国家の専売特許ではない」と強調し「アメリカは民主主義のリーダーだと自慢しているが、実際は民主主義を掲げて、社会制度や発展モデルが異なる国々を抑圧している」と非難しました。アメリカのバイデン政権は、中国を「専制主義国家」と位置づけて批判を強める中、2021年12月9日から2日間の日程で友好国などおよそ110の国や地域の首脳などを招いて「民主主義サミット」を開催する予定です。中国としては、これを前に中国には中国の「民主主義」があると独自の主張を強め、アメリカに対抗するねらいがあるとみられます。


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中国の楊潔篪(よう・けつち)中央政治局委員(中央)はアラスカ州での米中会談でアメリカに、アメリカ流民主主義の押し付けをやめるよう主張した。


 
楊潔篪(よう・けつち)氏は延々と独自の主張を展開した。それは中国の内政から外交にわたってその政策の正当性を主張するとともに、アメリカは内政干渉をやめるべきで、アメリカこそ国内に数多くの人権問題などを抱えていると非難するなど、いつもながらの内容だった。
 聞く相手がうんざりするほど延々と自説を展開するのは、首脳会談や外相会談などで中国がよくやる手法だ。2019年12月、北京で行われた安倍晋三首相と習近平国家主席の会談でも、安倍首相が新疆ウイグル自治区での人権問題や香港問題に言及した途端、習近平氏が顔色を変えて延々と自説を唱えた。このため、日本側が辟易したことがある。
 ただ、今回の楊氏の発言で興味深かったのがアメリカ流民主主義に対する批判だった。楊氏は「アメリカや西側世界は国際世論を代表するものではない。世界の圧倒的多数の国々は、アメリカが提唱する普遍的な価値観やアメリカの意見が国際世論を代表するとは考えていない」などと述べ、民主主義の伝道者であるかのように振舞うアメリカを非難した。
 その大前提にあるのは、「アメリカにはアメリカ流の民主主義が、中国には中国流の民主主義がある」という理屈である。中国の主張はまったく異なる。「民主主義のかたちは一つではなく、各国にそれぞれの民主主義のスタイルがある」というのだ。もちろん、これは中国に都合のいい勝手な理屈以外の何物でもない。中国は自分たちも自由や民主主義を大事な価値として独自のやり方で実践していると、臆することなく主張している。こうした中国流民主主義を「民主主義とは似て非なるもの」と一笑に付すことは簡単だが、それでは済まないのが現実である。中国の政治や法律など統治システムのすべてがこの理屈で成り立っており、それに基づいて外交や安全保障などの国家戦略が構築されている。それを踏まえたうえで西側諸国は対処しなければならないのだ。では先進民主主義国の民主主義と中国のいう民主主義の決定的な違いはどこにあるのだろうか。そのキーワードは「人民」という言葉にあるだろう。

習近平主席をはじめ、中国の指導者はしばしば「人民」という言葉を使う。その一方、われわれになじみのある「国民」という言葉はほとんど使わない。中華人民共和国という国名をはじめとして、憲法や法律も、人民を使っても国民という言葉は使われていない。

問題は人民という言葉の意味だ。中国憲法では第1条で、「中華人民共和国は、労働者階級が指導し、労働者、農民の同盟を基礎とする人民民主主義独裁の社会主義国である」と規定し、さらに第2条で「あらゆる権力は人民に属する」「人民が国家権力を行使する機関は、全国人民代表大会および地方各クラス人民代表大会である」などと定められている。

先進民主主義国で当たり前のように言われる国民主権という言葉はなく、中国は人民主権の国なのである。では、国民と人民は同じなのか。中国近現代史が専門の小野寺史郎・埼玉大学准教授の『中国のナショナリズム』(中公新書)によると、建国初期のころ、毛沢東主席は「抗日戦争期は抗日戦争に参加した階級、階層はみんな人民であり、日本帝国主義者、漢奸、親日派は人民の敵である」「解放戦争期(国共内戦)は、米帝国主義とその走狗、官僚資産階級、地主階級、国民党反動は人民の敵である」と述べている。そして、「社会主義建設期は建設事業に賛成し、擁護し、参加する階級、社会集団は人民であり、社会主義革命に反抗し、敵視し、破壊する社会勢力は人民の敵」としている。周恩来首相はよりクリアに定義している。「人民と国民には区別がある。人民は労働者階級、農民階級、反動階級から目覚めた一部の愛国民主分子である」としている。そして、人民に含まれない人たちについては「中国の一国民ではあるので当面、彼らには人民の権利を享受させないが、国民の義務は遵守させなければならない」と説明している。つまり、国民と人民は異なるものであり、国籍を持つ国民全員が人民であるというわけではない。人民は中国共産党の掲げる思想や政策を支持する国民の一部の人たちであり、それを支持しないで批判や反対する国民は人民ではないのである。そればかりか人民に属さない国民は、人民の敵であり、人民が持つ権利は行使できないが、法律を守るなどの義務を負うというのだ。半世紀以上も前のこうした毛沢東や周恩来の考えが、まさか今日も生きていることはなかろうと思いたいところだが、残念ながら現行憲法を見る限り、国民と人民を区別する考え方は明らかに継承されている。さらに中国の憲法には「いかなる組織ないし個人も社会主義体制を破壊することを禁止する」とも記されている。つまり人民ではない国民に対するさまざまな弾圧や抑圧が法律上、正当化されているのだ。中国の論理からすると、中国共産党が一党支配する現在の中国政治を批判する人は、中国の国籍を持っていても主権を行使できる人民ではなくなるばかりか、人民の敵となってしまう。中国のさまざまな法律に基づいてさまざまな権利を奪われてしまううえ、言動が規制されてしまう。
 新疆ウイグルにおける大規模な人権弾圧も、中央政府に批判的な活動をする人権派弁護士や作家、ジャーナリストらの拘束も、彼らを人民の敵であると規定することですべて正当化される。そして習近平体制の下でこうした弾圧がますます強化されていることは、毛沢東や周恩来の唱えた国民と人民の区別が今日も厳然と生きていることを証明している。
 先日閉会した全国人民代表大会で認められた香港の選挙制度改正は、この理屈をついに香港にも徹底させることを意味している。香港の場合、人民と愛国者が同じ意味で使われており、新たな選挙制度では香港の政府や議会など統治システムには愛国者しか参加できなくなる。立法会選挙に立候補しようとする者が愛国者であるかをチェックするのは、人民主権を守るために当然の合法的な手続きであるということになる。その結果、香港の民主化や独立を主張する人々は愛国者ではない、人民の敵となるのだ。
 米中高官会議における楊氏の発言にみられるように、中国が独自の民主主義論を今後もますます前面に出していくだろうことは明らかだ。そして、中国の論理は世界中の独裁者や権威主義的国家にとっては実に都合のいいものであり、感染症のようにあっという間に世界中に蔓延しかねない。そうした国々が中国を中心に手前勝手な民主主義論を掲げて結束したときに国際社会はどうなるのか。これは民主主義と権威主義のいずれが優れているかという次元の話ではなく、民主主義が直面している危機だろう。先進民主主義国を中心に国際社会が連携してその価値を高める努力をしなければ、手前勝手な民主主義が国際社会に広がりかねない。世界は今、そんな状況にある。
 2021年12月2日、楊潔チ中国共産党中央政治局委員・中央外事活動委員会弁公室主任は、天津で韓国のソ・フン(徐薫)国家安保室長と協議を行いました。
 楊政治局委員は、今年と来年は習近平主席と文在寅大統領が定めた「中韓文化交流年」であり、来年は両国の国交樹立30周年にあたると述べ、中国側はこれを契機に韓国側と共に、相互尊重、平和共存、ウィンウィンの精神に基づき、ハイレベル交流と戦略的コミュニケーションを強化し、実務協力と統合的発展を深め、国民感情を高めていきたいと表明しました。さらに、楊政治局委員は「中国側は一貫して朝鮮半島の南北関係の改善を支持している。『デュアルトラック』構想の段階的、同時的のアプローチの原則に基づき、対話と協議による朝鮮半島問題の解決を主張し、すべての関係者と共に朝鮮半島の平和と安定を守り、長期的安定を実現するために建設的な役割を果たしていきたい」と指摘しました。ソ・フン室長は「韓国側は、対中関係の発展を非常に重視している。中国側とのハイレベル交流を緊密にし、経済・貿易、文化、新型コロナ対策など、各分野の実務協力を深め、北京冬季五輪開催を積極的に支持したい」と述べ、「韓国は中国と共に、半島の恒久的な平和構築のため、たゆまぬ努力を続け、地域協力を絶え推進し、多国間主義を守っていきたい」と表明しました。

永久政権、習近平の言葉。
EU、日本などの民主主義人民共和国に対する?ものなのか?しかし
礼儀の知らない、このような態度には中国にも韓国と同じように、日本は同じ
「アジア人」として静かに接するしかない。
政府もマスコミも日本の内情を韓国にも中国にもあからさまにしてはいけないのでは?NSSは
賢くなってほしい。アメリカのCIAのように!





また短命政権?か、日本内閣の戦略らしい?どうかお願いして、
これが決め手になってほしい。
20年から30年はかかるであろう日本が考えた「経済安全保障」、成功してほしい。
NSS、90人?少なすぎないか?20人なのか?



たまたまyahoo! NHKニュースを見て、次の記事が目に止まった・・・。

サイバー攻撃 中国共産党員の男ら警視庁事情聴取も その後出国 政府の圧力から
2021年4月20日 18時58分 

 JAXA=宇宙航空研究開発機構などがサイバー攻撃を受け、中国人民解放軍の指示を受けたとみられるハッカー集団の関与が疑われている問題で、警視庁が攻撃に使われたレンタルサーバーを偽名で契約していたとして中国共産党員の男ら2人を任意で事情聴取していたことが分かりました。2人はその後出国していて、警視庁が引き続き行動などを調べています。

 
 警視庁によりますと、JAXA=宇宙航空研究開発機構が2016年にサイバー攻撃を受けその際に日本国内のレンタルサーバーが使われて日本に滞在歴があるシステムエンジニアで中国共産党員の30代の男が偽名で契約していたことが分かりました。

サーバーを使うためのIDなどはオンラインサイトを通じて「Tick」とよばれるハッカー集団に渡り、中国人民解放軍の指示でサイバー攻撃が行われたとみられ、警視庁は男を私電磁的記録不正作出・供用の疑いで書類送検しました。

これまでの捜査でこの男のほかに日本にいた中国人元留学生も偽名でサーバーを契約していた疑いがもたれていて警視庁が2人を任意で事情聴取していたことが捜査関係者への取材で分かりました。

このうち中国共産党員の男は偽名でサーバーを契約してIDなどを転売したことを認めましたが、すぐに立件することは難しく2人はその後出国したということです。

元留学生には中国人民解放軍のサイバー攻撃専門の部隊「61419部隊」に所属する人物が、妻を通じて指示をしていたとみられ、警視庁が引き続き2人の行動などを調べています。



知的財産権、イノベーション、技術開発が盗まれ続けている。日本政府は気を付けてください!



加藤官房長官「実態解明が進むことに期待」


 
 加藤官房長官は、午後の記者会見で「攻撃を受けた企業などに対し、警察から個別に注意喚起を実施しており、現在のところ情報流出などの被害は確認されていないと報告を受けている。警視庁で一連の攻撃に対する捜査を継続して行うと承知しており、まずは、警察当局における実態解明が進むことを期待したい」と述べました。

また「今回の捜査によって得られた攻撃主体の意図、手法、背景などについては必要に応じ、政府内の関係機関で情報共有を行い、今後の対策に活用していくことになると考えている」と述べました。





中国外務省 報道官 「理由もなく推測すべきではない!!」







JAXA=宇宙航空研究開発機構や防衛関連の企業など日本のおよそ200にのぼる研究機関や会社が大規模なサイバー攻撃を受け、警察当局の捜査で中国人民解放軍の指示を受けたハッカー集団によるものとみられることが分かったことについて、中国外務省の汪文斌報道官は、20日の定例の記者会見で、事件については「把握していない」と述べました。

そのうえで「中国はサイバー空間は仮想性が強く、追跡が困難だと強調してきた。サイバー事件を調査する際には十分な証拠に基づくべきであり、理由もなく推測すべきではない。中国はいかなる国や機関がサイバー攻撃の問題を口実に中国をけなすことやサイバーセキュリティーの問題を卑劣な政治目的として利用することに断固として反対する」と述べました。







2021年10月23日 たまたまyahoo!ニュースを見て、次の記事が目に止まった・・・。

中国人の日本留学 「電子とコンピューター工学」が人気

【10月23日 CGTN Japanese】中国の留学コンサルティング会社がこのほど発表したデータによりますと、現在、海外へ留学する中国大陸部の学生のうち、主体となっているのは依然、大学院志望者で、「電子とコンピューター工学」は中国人の日本留学において人気の専攻であることが明らかになりました。

 中国の修士課程留学の専攻上位15位のうち、商科が最も多く、全部で7専攻でした。同時に、コンピューター、電子工学など理工系がトップ15にランクインし、近年上昇傾向にあります。「電子とコンピューター工学」はアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ドイツ、オランダ、日本で十大人気留学専攻の一つとなります。

 また統計によりますと、2020年、中国人留学生数が最も多い10カ国は、アメリカ(37万2532人)オーストラリア(16万5809人)イギリス(12万9045人)カナダ(9万8565人)日本(9万4047人)ドイツ(3万9871人)ロシア(3万7515人)、フランス(2万8436人)ニュージーランド(1万9550人)オランダ(4697人)でした。
これら10の国には「国家安全保障の危機」があることを忘れないでほしい。

 中国教育部が2020年12月に発表したデータによりますと、改革開放以来(1978-2019年)、中国の各種留学者は合わせて656万600人に達し、うち165万6200人は現在、海外で勉強あるいは研究をしています。490万4400人は学業を終え、423万1700人が学業を終えて中国に帰国し、学業を終了したグループの86.28%を占めています。その彼ら、彼女らが中国共産党員になって中国という国を支えているのだ。
(c)CGTN Japanese/AFPBB News CGTN Japanese







海外留学中の中国人留学生の状況に関する最新の年次報告書「中国留学発展報告」が先日発表されました。その中では、留学後、就職などのため中国に戻ることを選択する留学生が増えていることが示されています。

 報告書は、近年、グローバル化のもとで発展してきた中国企業は、留学後に帰国する中国人留学生を引き付ける上で重要な役割を果たしてきたとしています。


日中経済貿易センターが招いた失態?

(公社)日中友好協会は各都道府県日中友好協会のスパイ事件?


中国は職業教育の国際化に力を入れており、「一帯一路(Belt and Road)」沿線国のみならず、ドイツや日本など世界中の先進国との交流展開にも高い期待を寄せています。これは「2021年中国国際サービス貿易交易会(CIFTIS)」に出展した教育産業の関係者が記者に明らかにしたことです。

 同交易会の「教育サービス」展には60社以上の各国の教育機構、企業が出展しています。中でも、海外8か国の合わせて53校からなるブースには、各国の学生たちが制作した手工芸などが展示されています。また、北京留学中の各国の学生たちも「一日体験スタッフ」として駆けつけ、来場者と気軽に会話を交わすシーンがありました。



(CLAIR メールマガジン 2015 年 1 月配信)
  時代とともに移り変わる中国の留学ブーム 
~中国人留学生は「ウミガメ」から「コンブ」へ~ 
                              北京事務所 

はじめに 
中国では、海外から帰国し た留学生のことを「海亀(ウ ミガメ)族」と呼びます。中 国語で、海外から帰ってくる という意味の「海帰」と、「海 亀」の発音(いずれも haigui) が似ていることが由来です。 大海原で長い間経験を積み、 成人すると故郷の海岸へ戻っ てくる海亀のように、母国に 恵みをもたらすという意味が 込められていたとも言われて います。
かつて、中国のエリート階層の代名詞だった「海亀族」ですが、最近では、就職できず
ブラブラしながら仕事を待つ「海待族」と呼ばれる若者が増えてきました。「海待」と「海
帯(中国語でコンブの意味)」の発音が似ている(いずれも haidai)ことから、彼らは「海
帯族」とも揶揄されています。

本稿では、時代とともに移り変わってきた中国の留学ブームを、「海亀族」という言葉と
ともに振り返ります。

改革・開放とともに盛り上がった留学ブーム。華やかに活躍した「海亀族」

中国で最初の留学ブームが起きたのは、1970 年代末から 80 年代中頃にかけてです。
中国では、1966 年に始まった文化大革命の影響により、留学生の派遣が長い間中断され
ていました。その後、1978 年に改革・開放政策が実施されると、欧米諸国との経済格差
を取り戻そうと、高度人材育成のため、留学生の大量派遣政策がとられました。この時期
の留学は、ほとんどが国費留学であり、厳しい選抜試験を突破した、中国トップレベルの
学生たちが派遣されていました。彼らは帰国後、国家に分配された職業(国営企業の役員など)に就き、中国の発展に大きく貢献しました。
その後、1980 年代末から 1990 年代初めにかけて、2回目の留学ブームが起こりまし
た。この頃には、中国の改革・開放がさらに進み、成績の優秀な学生が、海外の奨学金を
取得することも可能になっていました。それらを活用し、海外で修士号・博士号を取得しようと、大量の私費留学生が現れたのです。彼らは中国に最先端の技術を持ち帰り、国内 の労働市場で高く評価され、相場を大幅に上回る高報酬を得ていました。そのため、「海亀 族」は、学力も収入も高い、エリート階層の代名詞でもありました。


 留学生数の増加と質の低下。「海帯(コンブ)族」の出現 
3回目の留学ブームは、2000 年前後から現在にかけてです。留学の若年化の傾向が強 まり、高校を卒業した後、直接海外の大学に入学する留学生が出てきました。学力が足り ず、国内の有名大学に進学できない学生たちが、親の財力によって国外の大学へ留学する ケースが増えてきたのです。また、留学の大衆化もいっそう顕著になりました。中国の急 激な経済発展により、一般家庭の所得が上がり、多くの家庭にとって、子どもの海外留学 が手の届くものとなってきました。 しかし、海外留学の若年化や大衆化を背景に留学生の数が増加する一方、彼らの質の低 下が指摘されるようになりました。また、欧米諸国の景気低迷を受け、中国に帰国する留 学生が急増しました。その結果、各界で活躍する「海亀族」がいる一方、思うような職に 就けず、海に漂うコンブのようにゆらゆらと仕事を待つ「海帯族」が現れ始めました。


 中国のグローバル化とともに低下する留学の優位性。

「海亀族」はやがて死語に かつて中国の将来を背負う一握りのエリートの特権だった海外留学。現代において、留 学は特別なことではなくなり、「海亀族」がもてはやされる時代は終わりました。中国国内 の教育レベルも上昇し、国際交流の機会も多様化したことから、国内で学ぶ学生と留学生 の間で、知識量や視野の広さなどの格差は縮小してきています。就職には、留学生よりも、 中国国内のマーケット情報に精通した国内残留学生の方が有利という見方もあります。 一方、中国の留学熱は冷めません。ある調査では、中国の留学需要が 2015 年に 319 万人に達するとしており、海外を目指す若者は、今後も増え続けると予測されています。 留学生の優位性は将来的にますます低下していくことが予想されます。しかし、それは、 中国のグローバル化が進展し、成熟してきたことの現れでもあります。「海亀族」という言 葉が死語になる日も、そう遠くはないのかもしれません。
中国社会で使われる「海亀」という言葉は、今や日本の事情通やビジネスマンの中でも広く知られるようになった。海外大学・企業で知識や経験を蓄え、本国に帰国し活躍するエリート学生や“留学派”を指す言葉だ。

 ただ、本来なら「海帰」と書くべきだが、多くの留学派たちの帰国後の現実は厳しく、そこから同じ発音の「海亀」という自嘲的な新造語が誕生したという経緯はあまり知られていない。また海亀は「海帯」と呼ばれることもある。ここで言う海帯とは昆布のことで、「ありふれていて珍しくない」ということを揶揄する意味がある。

 近年、海外から中国に帰国する海亀の数は、増加の一途を辿っている。参考になる統計としては、留学帰国者数のそれがある。中国に帰国した留学生の数は2018年に51.94万人とされ前年比8.01%の増加をみせている。2019年の帰還者数はさらに増え、およそ60万人に達したと試算されている。

 なお中華系メディアによれば、2020年はコロナ禍の影響もあり、海亀の数は歴代最高の80万人に達するとも報じられている。本来、海外の大学・大学院で学んだ留学生たちは、中国よりも現地で就職することを望むケースが多い。しかし、コロナ禍による経済萎縮や米国を中心とした反中感情の高まりは、留学生たちが帰国せざるを得ない状況を加速させている。

 また、2020年に中国国内大学を卒業した新卒社会人は約874万人と、こちらも歴代最大規模だ。中国では近年、高学歴化が進み就職競争が激しくなってきたが、20年から今年にかけてさらに就職難の時代に突入するとも予測されている。中国で働く海亀のひとりの趙氏(28歳)は言う。中国東北部遼寧省出身の彼は、19年7月にオーストラリアから帰国し、20年8月から江蘇省・蘇州市のある大手紡織企業の国際営業部で働いている。

「最近、中国国内メディアで、海外の優秀な人材が『祖国の呼びかけ』に応じて大挙して帰国するブームが巻き起こると宣伝していますが、帰ってきた人々のほとんどが就職に苦しんでいます。国家レベルで発展させようとしている最先端科学技術分野では、天文学的な報酬を払って優秀な留学派を取ろうとしていますが、そんな人材ってあくまで少数派です」

 一方、「文系の留学生たちの就職は厳しい」と趙氏は自身の経験から説明を続ける。

「オーストラリアで修士課程(金融学)を終えてすぐに帰国した私の場合も、当初就職がうまくいきませんでした。主な理由はほとんどの会社が“経歴者”を募集していたからです。幸い自分は父親の友人が地元で運営している小さい貿易会社で一年間インターンシップするかたわら、人材エージェントの就職コンサルティングサービスを受けてやっと今の会社に就職できました。約1万元(16万2000円)くらい人材エージェントに払いましたが、親からの全幅の支援がありました。親戚内や地元における親のメンツも考えなきゃならなかったので就職活動に必死でしたよ」

 海亀たちの給料事情も非常にシビアだ。海亀のうち、40%の海亀たちは、国内大学卒業者とほとんど初任給に差がないとされている。国内大学卒業者の平均年俸の3倍水準となる30万元をもらうエリート海亀は5%未満である。前出の趙氏の給料は入社一年目で約7000元(約11万4000円)。就職できたことをよしとし、給料にはおおむね満足しているという。一方、親戚のはとこはびっくりするくらいの高給取りだそうだ。

「米国に留学していた親戚(36歳)は、ジョージア工科大学でポスドクの研究者をやっている間に杭州のある国家重点大学のポストに採用され2018年に帰国しました。杭州市と大学が求める科学技術人材の条件をうまくクリアしていたので、80万元(約1300万円)の定着費と新築マンションが無償で提供されましたよ。会社に就職してから一度会いに行ったことありますが、想像以上の豪華な家だったのでびっくりしました」(趙氏)

 同じ海亀内にあっても新たなヒエラルキーが形成されようとしている中国社会だが、中国政府は現在、海亀の帰還を奨励する政策を取り続けている。

 地域ごとに差異はあるものの、例えば、戸籍の取得が空の星を捕まえるように難しいと言われる北京・上海などの「一線都市」で、留学派人材に戸籍を与える「落戸制度」がその典型例だ。中国最先端都市と呼ばれる深圳では、高級人材が帰国して企業する場合、最大500万元(約8,170万円)まで、無償で創業支援資金の援助を受けることもできる。国内大卒者も巻き込んだ格差のピラミッドは、今後も拡大していくとみられる。





 ただ少子高齢化が進み優秀な海外人材の獲得が急務となっている日本においては、才能を持つ隠れた中国留学派を取り込むチャンスともなる。中国国内の就職競争に揉まれる海亀=海帯たちの実情は、日本経済の行方にも直結すると考えればウォッチしていく価値が高まりそうだ。(北中所長補佐 仙台市派遣)

海外人材呼び戻し政策
 中国では急速な科学技術の発展を遂げ、先進国レベルへとキャッチアップするために、海外からの優秀な研究開発人材を招聘する「海外人材呼び戻し政策」を実施しており次の様な「海外人材呼び戻しプログラム」を通じた様々な優遇制度を設けている。

長江学者奨励計画

国内外の優秀な学者を中国の高等教育機関に招致することを目的としたプロジェクト。同計画は1998年にスタートし、香港の李嘉誠氏率いる企業グループ「長江基建有限公司」が多く出資したため、この名がある。

春暉しゅんき計画

海外にいる留学経験者の中国国内での共同研究や学術交流等の短期帰国を支援するプロジェクト。教育部の主導で1996年より実施。


百人計画

中国科学院が取り組む海外人材呼び戻しプロジェクト。1994年の計画スタート当時、中国科学院の目標は2000年までに100人の研究者を誘致することだったので、「百人計画」と名付けられた。

留学人員創業園

海外にいる中国人材の帰国と起業を奨励するための優遇政策。1994年から、国家科学技術部、教育部、人事部の呼びかけで多くの地域に「留学人員創業園」が設立された。
 下図に示す通り、海外からの留学帰国生数は1990 年代以降、増加傾向にある。第十次五ヵ年計画(2001-2005 年)では「国外の教育資源を合理的に利用し、ハイレベル人材の養成ルートを拡大する」と示されている様に、中国政府は海外留学を通じた人材育成も重視している。
中国では海外から帰国して研究者や起業家として活躍する人材を俗に「ハイグェイ」(「海亀」と同じハイグェイと発音する「海外帰来」とかけている)と呼ぶ。このため、最近では日本でも中国の海外人材呼び戻し政策が通称「海亀」政策として認知される様になってきた。かつては海外留学帰国生であれば、ほとんどの者が何らかのポストに就けたが、最近ではポストに就けない「海待族」と呼ばれる人々も出てきており、海外から中国への人材招聘が進んでいる様子がうかがえる。

 (北中所長補佐 仙台市派遣)






歓迎ムード一色だが台湾TSMCの進出で加速する日本の頭脳流出
東アジア「深層取材ノート」(第108回)
2021.10.17(日)
近藤 大介






それは2021年10月14日、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)の第3四半期のオンライン決算報告の席上で、おしまいに唐突に発表された。第3四半期の売上高が、NTベースで前四半期比11.4%増、ドルベースで12%増となったこと、売上総利益率が前四半期比1.3ポイント増の51.3%となったことなどが誇らしく報告された後、魏哲家(C.C.Wei)副董事長兼CEOが、こう述べたのだ。

「いまから日本での工場計画についてお話ししたい。わが社は、業界をリードする技術、世界最大の生産能力、効率的で費用対効果の高い生産、そして顧客へのよりよいサービスを提供するという競争優位を拡大し強化するため、製造拠点を広げている。わが社の世界規模の生産拠点拡大戦略は、顧客のニーズ、ビジネス上の機会、営業効率、経済コストの考慮に基づいている。投資先の価値・リスク調査を行った後、取締役会の承認を得て、日本に特殊技術の工場を建設する意向であることを発表した。このプロジェクトには、われわれの顧客と日本政府の双方から支持をいただく力強い関与を受けた。この工場は、22~28ナノメートルの技術を使う半導体ウェハー工場である。2022年に着工し、2024年の年末に始動する予定だ。詳細については、取締役会の承認を得てから提供していく」

巨額の支援金をつけ国を挙げての大歓迎
 この魏CEOがサラリと語った発言が、日本では大ニュースになった。翌日の『日本経済新聞』は1面で大きく掲載。岸田文雄首相は2021年10月14日、衆議院解散の大変多忙な一日だったにもかかわらず、夜の記者会見でわざわざこの件に触れてコメントした。

「最先端半導体の製造をほぼ独占する台湾企業の日本進出が本日発表されました。これにより、わが国の半導体産業の不可欠性と自律性が向上し、経済安全保障に大きく寄与することが期待されます。TSMCの総額1兆円規模の大型民間投資などへの支援についても経済対策に盛り込んでまいります」

岸田首相は「新しい資本主義」を標榜し、それを推進するため、「総額1兆円規模の大型民間投資などへの支援」を行うとしている。報道によれば、その第1号の目玉として、TSMCへの大型支援(時事通信によれば4000億円)を行い、熊本のソニー工場脇に巨大な半導体工場を建設するという。同日、萩生田光一経産相も、こう述べた。

「率直に歓迎します。半導体の国内生産基盤を整えることは、わが国の将来を考えた時に極めて重要です。しっかり方針を定め、対策を考えていきたいと思います」

 こうした日本を挙げての歓迎ぶりに、私は違和感を覚えた。

中国は半導体産業に27.5兆円を投入している。日本が勝てる可能性はあるのか。かつての液晶技術の流出、半導体ように衰退するのではないか?

30年前、世界の半導体市場を席巻したのは日本企業だった
 それは主に2点だ。まず第一に、日本の半導体産業は、一体どこへ行ってしまったのか?
いまから30年前の1991年の世界半導体メーカー売上高ランキングを見ると、1位がNECセミコンダクターズ、2位が東芝セミコンダクター、5位が日立セミコンダクターズ、7位が富士通セミコンダクターズ、8位が三菱電機セミコンダクターズ、9位が松下電器セミコンダクターズ。何と、ベストテンに日本企業が6社も入っているのだ。台湾企業など、韓国・香港・シンガポールと合わせて「4頭の小竜」と呼んでいたほどで、上位20社にも入っていない。

 それが昨年になると、日本企業でのランキングで言えば、1位がキオクシア(旧東芝メモリ)、2位がソニーセミコンダクターソリューションズ、3位がルネサスエレクトロニクスだ。ところが世界ランキングで見ると、それぞれ11位、14位、19位に過ぎず、日本企業はベストテンにさえ入っていないのだ。
半導体は、「産業のコメ」と言われ、先端産業の中核をなすものだ。そのため、半導体産業における衰退は、そのまま「日本の衰退」を物語っていると言ってよい。経産省が今年6月にまとめた『半導体戦略』という83ページのペーパーには、日本の半導体産業が挫折した過程や原因などが分析されているが、読んでいて虚しくなってくる。

 逆に、台湾のTSMCは、ファウンドリー(半導体受託生産会社)として着実に進歩を遂げ、同社のHPによれば、いまや281種の製品技術で510社の顧客に1617種類の半導体製品を提供している。総従業員は5万6000人。今年1月~9月の売上高は、前年同期比17.5%増の1兆1492億2600万台湾ドル(約4兆6800億円)に上る。

 驚くべきは、世界での市場占有率で、昨年は59.40%! まさに「TSMCがいないと世界のスマホが作れない」状況なのである。詳しくは拙著『ファーウェイと米中5G戦争』(講談社+α新書)で述べたが、「米中新冷戦」は結局、台湾をアメリカと中国のどちらが掌握するかの戦いであり、その中の重要なファクターを占めるのが、台湾の企業TSMC、台湾そのものを米中のどちらが取り込むかである。しかし台湾は「独立国」ではない点が引っかかる。将来、香港のように中国に返還されないか?

熊本工場は「最先端」工場ではない
 さて、もう一つの違和感は、TSMCが熊本工場で作る半導体が、22~28ナノメートルという点だ。TSMCは昨年から、5ナノメートルの半導体を、世界に先駆けて量産している。韓国のサムスンが、1周遅れくらいで追走しているが、それ以外は何周も遅れている。
 上述の会見などによると、TSMCは来年、3ナノメートルの半導体生産を開始し、2025年には2ナノメートルの半導体生産を開始するという。こうなると、もう世界のどの半導体メーカーもついていけず、完全にTSMCの独走状態となる。

 当然ながら、海外としては、できるだけ最先端のTSMCの半導体工場を、自国に作ってほしい。昨年2019年5月15日、TSMCが米アリゾナ州に新工場の建設を発表した際にも、当時のドナルド・トランプ大統領が猛烈な攻勢をかけた。これが利いて、最先端の5ナノメートルの工場を建設し、2024年から量産態勢に入ることになった。

TSMCは、中国の南京にもTSMC工場を建設しており、2018年末から量産態勢に入った。そこで主に作られているのも、12ナノメートルと16ナノメートルの半導体である。

 ところが日本で生産するのは、28ナノメートルなのである。「日本はガソリン車の国だから、これくらいの車体用半導体で十分でしょう」ということなのか。

日本進出と合わせて技術者大募集中
 台湾の有力誌『天下雑誌』(2021年10月14日付)は早くも、「TSMCは長年欲しかった、ソニーのウェハー積層化技術を手に入れる」と書いた。
 ソニーがTSMCに、積層化技術を売り渡すか、若しくは盗まれたら、日本の半導体は、また衰退してしまいかねない。

 TSMCのHPを開くと、「最新情報」として、日本で働く技術者の募集を、大々的に行っている。「優秀な日本の技術者の皆さん、こっちの水は甘~いよ。高給与で来てください。」と誘っているのである。台湾工場からの半導体技術者は5000人ほど来るらしい。すぐに工場を立ち上げるためだ。
 日本が三顧の礼を尽くしてTSMCに工場を作ってもらい、その結果としてソニーの技術を取られ、おまけに優秀な日本人技術者の頭脳流出が加速したとなれば、これはもう日本にとって、悲劇と言ってよいのか喜劇と言ってよいのか分からない。30年前の暗雲が蘇る。
 建材から半導体、そしてスパイダーマンのおもちゃまで。流通とサプライチェーンが滞り、アメリカも日本もドイツも世界中でさまざまな業界が困難に直面している。そして、その国の知的財産権、イノベーション、技術開発が今後も中国へ渡っていくようだ。

その要因は新型コロナウイルスの武漢から始まったパンデミック以外にもあるようだ。

世界中を悩ませているサプライチェーンは、中国、台湾の中華族が握っている。中国はまだまだ「人口世界一」なのだから。






水素燃料電池バス212台 北京冬季五輪に登場予定
2021年9月19日 9:28 発信地:中国 [ 中国 中国・台湾 ]







【9月19日 CGTN Japanese】北京市経済情報化局が14日の記者会見で明らかにしたところによりますと、北京市・天津市(Tianjin)・河北省(Hebei)は今後4年間で、2022年北京冬季五輪開催期間中の旅客輸送バスを含む燃料電池自動車の活用場面を体系化するということです。モデル車両の活用規模は5300台以上になり、燃料電池自動車の主要部品と装備製造産業群を構築する計画です。 

 北京市・天津市・河北省は、中国第1陣の燃料電池自動車のモデル都市群として、全産業チェーン協同の燃料電池自動車の自主開発産業システムを構築し、多元化した相互補完の燃料電池自動車のモデル的な活用場面を体系化しています。
 次世代エネルギーとなる水素エネルギーも光触媒がかかわっている。日本政府は知らないが藤嶋教授などの学者は知っているのだ。
化石燃料、原子力エネルギーの更に上をいく次世代エネルギーのキーマンだ。
85歳、藤嶋教授は中国に骨をうずめるつもりで中国に渡ってしまった。
中国系アメリカ人で天才的航空工学者も、中国に渡ってしまった。


「天才」と呼ばれたロケット科学者、銭学森(せんがくしん)


清朝末期、親米派人材の育成を目論んだアメリカによって中国に設立された清華大学。時を経て中国を代表する名門となったこの大学は、後に米中の歴史に大きく寄与する男を生み出した。「天才」と呼ばれたロケット科学者、銭学森はカルマン教授のアメリカでロケット開発をリードする存在となり、中国へ帰国後は中国初の核弾頭ミサイル開発と人工衛星打ち上げを成功させる。








中国衛星ナビゲーションサービス産業 北斗システム応用で急速発展
2021年10月12日 18:04 発信地:中国 [ 中国 中国・台湾 ]

【10月12日 CGTN Japanese】中国独自の衛星測位システム「北斗」の活用に関する大会が10日、中国中部の河南省(Henan)鄭州市(Zhenzhou)で開かれました。 

 中国の衛星ナビゲーションサービス業界は2020年に急速な発展を遂げ、総生産額も急増しています。北斗システムの応用を中心とする衛星測位・位置サービス産業は、2020年の全体生産額が2019年と比べて約16.9%増の4033億元(約7兆789億円)に達しました。 




 
中国進出企業に軍組織“侵食” 「軍民融合」で日本企業を虎視眈々…技術流出など経済安全保障の危機 ドイツ大手製造業内にも
10/23(土) 16:56配信

130 夕刊フジ
 【日本復喝】

 衆院選(2021年10月31日投開票)では、新型コロナ対策や経済政策、外交・安全保障政策などが焦点で、自民党と公明党の連立与党と、立憲民主党と共産党を中心とする左派野党、第3極の日本維新の会などが競り合っている。岸田文雄首相は、経済活動と安全保障を重ね合わせて、日本の独立や生存、発展を確保する「経済安全保障」を打ち出しているが、軍事的覇権拡大を進める中国を意識しているのは間違いない。こうしたなか、中国に進出した日本の製造メーカーの合弁企業内で、民兵・予備役の軍事訓練や政治教育を行う「人民武装部」が活動していたことがようやく分かってきた。日本企業は大丈夫なのか。産経新聞論説副委員長の佐々木類氏が迫った。

経済安全保障という言葉は、甘利さんが日本で初めて使った言葉だ。

 「わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増すなか、領土、領海、領空、国民の生命と財産を断固として守り抜く」「防衛力の強化、経済安全保障など、新しい時代の課題に、果敢に取り組んでいく」

 岸田首相は2021年10月8日の首相就任演説、所信表明でこう語った。いつものの就任演説で、過去のものと比較しても目新しくはないが・・・。

 やや説明不足の感はあるが、「経済安全保障」を重視する認識は正しい。自民党は選挙公約「衆院選2021公約」にも、「経済安全保障推進法」策定を書き込んだ。

 ただ、中国は、軍事技術と経済発展を結び付ける「軍民融合」を国家戦略と位置付け、日本企業を虎視眈々と狙っている。有事の時は、中国の法律で日本企業を中国企業に転換できるようにしつつあるのだ。

 都内に本社がある大手製造メーカーが中国に設立した合弁企業内で「人民武装部」が活動していたことが、日中関係者への取材で分かった。この合弁企業は、日本側と中国側が50%ずつ出資して約20年前に設立された。

 注目の人民武装部は、中国共産党への絶対服従を求められているほか、人民解放軍の指揮下にもある。主に、民兵や予備役の「軍事訓練」や「政治教育」など、軍事関連業務を担う。企業が所有する「資源の徴用」に応じることも義務付けられている。

 「民兵」とは、中国国防法で規程された組織で、人民解放軍、武装警察と並ぶ実力組織。「予備役」も日ごろから軍事訓練を行い、民兵同様、平時も暴動の取り締まりや災害救助などの任務を負う。

 問題の合弁企業内の人民武装部は昨年2020年11月中旬、「人民武装愛国主義教育活動」を実施し、同社の民兵ら30人余りが参加していた。彼らの写真も存在する。

 日本側企業による管理が及ばない内部組織の存在は、企業統治のあり方が問われるだけでなく、技術流出など安全保障上の懸念もある。そもそも、中国では合弁企業内に共産党員が3人以上いる場合、党組織をつくることが義務付けられている

 ■ドイツ大手製造業内にも 広報担当者、存在を否定

 この大手製造メーカーの広報担当者は、取材に対し、「(合弁企業内において)“人民武装部”という組織は存在しておりません。従いまして、いただいたご質問事項に関してお答えできるものはございません」と回答した。

 写真の存在も指摘したが、担当者は「回答は変わりません」と語った。

 中国国防法には外資企業を除外する規定はなく、人民武装部が存在するのは日本企業だけではない。

 ドイツ大手製造業内にも、人民武装部の存在が日中関係者への取材で確認されている。在中国のドイツメーカー広報担当者も「人民武装部はない」と存在を否定した。

 外資企業における人民武装部の存在は、まだ表立って公表されるケースは少ない。他社にも存在する可能性は十分ある。中国側も、外資企業や外国政府から反発を受けないよう慎重に活動を展開しているとみられる。

 米国は現在、安全保障の観点から中国への輸出管理を強めている。日本企業内の人民武装部の活動次第によっては、米国が今後、日本企業を米国のサプライチェーン(供給網)から外すなどの制裁措置を検討する可能性もある。

 岸田政権は、人民武装部の実態を調査し、「経済安全保障上のリスク」について、目配せしていく必要がありそうだ。

 ■佐々木類(ささき・るい) 1964年、東京都生まれ。89年、産経新聞入社。警視庁で汚職事件などを担当後、政治部で首相官邸、自民党など各キャップを歴任。この間、米バンダービルト大学公共政策研究所で客員研究員。2010年にワシントン支局長、九州総局長を経て、現在、論説副委員長。沖縄・尖閣諸島への上陸や、2度の訪朝など現場主義を貫く。主な著書に『静かなる日本侵略』(ハート出版)、『日本が消える日』(同)、『日本復喝!』(同)など。




「中国を孤立化させてはいけない」を大義名分に、日本政府、自民党政権は、中国共産党をもう助ける!! 論説委員長・乾正人
2021/1/1 10:00
国際 中国・台湾

40年前、大学受験で選択した外国語は中国語だった。NHKラジオの中国語講座を熱心に聞き、元中国共産党員が先生をしていた市民講座に通った成果を誇示したいという若気の至りからである(英語が苦手だったからでもあるが)。

 当時、そんなばかげたことをした高校生はほとんどいなかったが、市民講座で配られた質素なテキストに載っていた「赤脚医生(最低限の医療知識で農村を巡回した医者。文化大革命時に毛沢東が奨励した)」の話は、今でも覚えている。
私は「親中派」だった
 いずれ中国は米国と肩を並べる大国になり、中国語をマスターすれば何かと得だ、という打算もあったが、幼稚な高校生の夢想をはるかに上回るスピードで中国は発展した。自由と民主主義とは無縁のディストピア(理想郷と対極の世界)になろうとは、想像だにしなかったが。

 夢想から目覚めさせてくれたのは、平成元年6月4日に起きた天安門事件である。中国共産党は、軍を出動させ、自由を求める市民や学生に容赦なく銃弾を撃ち込み、鎮圧した。犠牲者数はいまだ正確にはわかっていない。私は当時、就任間もない宇野宗佑首相の番記者として、一挙手一投足を追っていたが、事件について何も発信しない彼に大いに失望した。「この人は総理大臣に向いていない」と日記に書いた。
それどころか、事件当日に外務省は、西側諸国が共同して制裁措置をとることに反対する文書を作成していたことが、先月公表された外交文書で明らかになった。7月に開かれたアルシュ・サミットでも日本は一貫して制裁を緩やかにしようと立ち回っていた実態も明確になった。

 ベルリンの壁が崩壊した後、東側諸国が次々とソ連のくびきから離れ、ソ連共産党の一党独裁が終焉(しゅうえん)を迎えてから今年で30年。

 天安門事件を引き金として中国共産党による一党独裁体制が崩れていたとしても、何の不思議もなかった。そんな瀕死(ひんし)の共産党を救ったのが、日本だったのである。

 「中国を孤立化させてはいけない」を大義名分に、いちはやく経済協力を再開したのも日本だった。

歴史は繰り返すのか
 日本は戦時中も中国共産党を救っている。生前、毛沢東は訪中した日本の要人が「日本軍が中国を侵略して申し訳なかった」と判で押したように謝ったのに対し、いつもこのように答えたという。
申し訳ないことはない。日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらした。皇軍がいなければ、われわれは政権を奪えなかった

 少し説明が必要だろう。蒋介石率いる国民党軍に敗走し、延安まで落ちのびた毛沢東が息を吹き返したのは、日本軍が昭和12年に国民党軍と全面戦争に突入し、蒋介石が国共合作に踏み切らざるを得なかったからだ。敗走に次ぐ敗走で2万5千人まで減っていた共産党軍は、8年後の終戦時には120万人にまで膨れあがり、後の国共内戦に打ち勝ったのである。ことに共産党軍に引き渡された日本軍の近代兵器が勝敗の帰趨(きすう)を左右したとの説もある。つまり、戦時中は軍部が、戦後は外務省が「中国共産党を助けた」のである。

 新型コロナウイルスによって世界は一変したが、中国・武漢で最初の感染爆発が起きた際、中国共産党当局による情報隠蔽(いんぺい)が、パンデミック(世界的大流行)の引き金を引いたことを忘れてはならない。

 すべての個人情報を国家が管理し、自由を求める「危険人物」を容赦なく監獄や収容所にぶち込む。チベットやウイグルでの弾圧が、香港でも公然と行われ始めた現実から日本政府も国会も目を背け、黙り込んんでいる。常に中国を助けたいという政府の動きは今現在もあるのだ。

 
 いま再び、中国は西側諸国の「反中同盟」を切り崩そうと日本を懐柔しようとしている。手始めが、習近平国家主席の国賓来日実現だ。彼の「中華思想」の具現化が「一帯一路」の政策であり、アイデアは「英、スペイン、ポルトガル、オランダの大航海時代の植民地政策や日本の高度経済成長期の姿」にある。


 日本は、瀕死の中国共産党を2度助けた。3度目は、絶対にあってはならない。もし習近平来日に賛成する政治家や官僚がいれば、それはまさしく「国賊」になりかねない。
 未来のことかもしれないが世界貿易戦争、経済冷戦状態、人権無視と自由との戦い、・・・。日本が中国に過度に忖度することが、かつての事件だが、アメリカを「真珠湾攻撃して裏切り行為」したような「裏切り」にならない様、日本政府は中国との付き合い方、日中外交を考えなければならない。




日中経済交流の現場40年
趣旨
近くて遠い国と言われて久しい中国。巨大市場が広がり続ける中、日本の製造業は今や中国なしでは存続できないほど、その存在が重要になっている。では、日中貿易の第一位の国、中国と親しく付き合っていくためには、どのようにすればよいのか。そのコツをこのコラムでは紹介する。筆者は日中経済交流促進の実務に40年以上深く携わってきた。その間の体験談には、中国を深く理解できるヒントが多く隠されている。(本稿は「国際貿易」紙に2010年4月13日~2011年3月29日に掲載されたものを再構成したものです)。

片寄 浩紀(かたよせ こうき)
日本国際貿易促進協会 相談役
1946年、島根県出雲市生まれ。1964年、倉石中国語講習会(現、日中学院)にて中国語の学習を開始。1968年、東京大学法学部卒業、日本国際貿易促進協会に就職。同協会にて、日中貿易と経済交流促進事業に従事。2度の北京駐在を含め、日中技術交流、展覧会、代表団の派遣・受け入れ、機関紙発行等の企画・実施等々に携わり、専務理事を経て現在に至る。



大プロジェクト、製鉄所の建設で日中協力
自由民主党の重鎮:媚中派の中心人物:二階 俊博(にかい としひろ1939年〈昭和14年〉)


中国近代化にODA供与
 1980年代になると、日中関係は政治・経済両面で最良の時代となった。それを象徴するのが対中国ODA(政府開発援助)である。1979年9月、当協会創立25周年の式典参加のために来日した谷牧副総理一行は日本政府との会談で第一次円借款の供与で合意した。第2次世界大戦での敗戦国日本による中国への償いのようなものです。東南アジア諸国にもODAを実施している。

 日本側は中国側代表団に対して、記者会見の場で「感謝の意」を表明するよう要求したが、谷牧氏は「そんなことをすれば私は帰国できない」と言って拒否したという。国交正常化時に国家賠償請求を放棄した中国にとって、日本からの借款に対し「感謝」すれば、中国の国民感情を逆撫でする。このことを日本側は考慮しなかったのだろうか。

 その後日本政府の対中円借款は、2007年に終了するまで28年間にわたり合計約3兆円が供与された。鉄道、港湾、発電所、通信などのインフラ建設にこの資金が投入され、中国経済の近代化に大きく貢献した。最近になってようやく中国政府要人は公式の場で中国の近代化に対する日本政府の協力に感謝の言葉を表明するようになったが・・・。
 2011年3月発生の東日本大震災で混乱していた2011年に韓国政府が実行したのが、「竹島にヘリが着けるためのポート建設」だった。それまでは「板張りのもので、船が接岸すのがやっとだった」ため、2012年に、日本政府が気づいたときは、もうすでにコンクリート製の立派なものが出来上がって、「竹島奪回した!」とニュースになってしまっていた。それ以後は、日本国民もあきれ果てた。「放射能が付いた農産物、魚介産物は輸入するな」と叫ぶ国、韓国が何回も「友好国」と言ってすり寄ってくるが、日本はその言葉に答えを見いだせないでいる。本当に困っているときに助けるのが「友好国」のはず。同じことは、尖閣諸島にも言えるのだ。中国が常に尖閣諸島の周辺に漁船団や軍艦を出し上陸の機会を狙っているのだ。南シナ海の覇権を狙っているのだ。「31年間日中友好でやってきたODAなどの援助」を感謝している中国に対しても今後、何が起きてもいいように、あらゆる判断が正しくできるようにしておかなければならない。同じアジア内で「争い」は起きなくても、周辺を巻き込み、世界的な「争い」になり、分断して「罵りあう」ことがあってはならない。



官営八幡製鉄所と日本人技術者たち



宝山での日中協力
 この時代を象徴するもう一つのプロジェクトが上海宝山製鉄所建設での日中協力である。日本の新日本製鉄の全面的協力の下で、輸入鉄鉱石を使用する臨海製鉄所を上海に建設することが合意され、1978年12月に着工した。日本の明治時代に建てられた、明治大正時代を引っ張て来た重工業の象徴、八幡製鉄所を、2000人を超す技術者と古びた本体をそのままそっくり中国に移設したのだ。しかも日本の経済学者がわざわざケインズ経済の仕組みからトヨタ自動車の改善という概念などを中国人に1年近くかけて講義したのだ。なぜここまで中国にこびへつらい、首をたれながら、辛抱図よく中国人に指導し続けることができたのか?このプロジェクトの経緯は山崎豊子氏によって「大地の子」として小説化された。八幡製鉄所、否、上海宝山製鉄所完成までには紆余曲折があったが、上海宝山製鉄所は中国の主力製鉄所として順調に発展し、中国の隅々まで所得倍増させていった。かつての日本の高度経済成長の時代のように。日本の新幹線も同じくそのままプレゼントしてしまった。本体とともに日本の鉄道技術と新幹線システムすべてを手渡したのだ。



日本の「新幹線技術」は、日本の宝だった!しかし中国に「平行移動」されてしまったのはなぜだろうか?


「どっかで見たような…」中国国産の新型練習機デビュー “国営メーカー”の数奇な成り立ち 世界市場を席捲するかも?

アメリカ企業を買収し、ノウハウを吸収する中国メーカー
 中国の大手航空機メーカー、中国航空工業集団(AVIC)は、2023年11月下旬に珠海金湾空港で開催された「アジア汎用航空ショー2023」で新型練習機AG100を公開しました。

 AVICは中国の国営企業で、傘下には小型機メーカーから大型機メーカーまで多くの会社がある巨大企業グループです。その中で小型機を生産しているのが、エアショーの地元である珠海市に本社を置く中航通用飛機です。

 ただ、同社はアメリカの老舗航空エンジンメーカーであるコンチネンタル・モータースを2009年に買収したことで発展した企業で、2011年には先進的な小型機メーカーとして知られるシーラス・エアクラフトも買収し、傘下に収めています。



どうみてもAR20のフルコピーですね。中国はWING機のAIRFISH 8をコピーしたり、どうみてもUS-1をパクったAG600など、恥ずかし過ぎる。そのうえオリジナリティが無く、コピー元を上回る改良が出来ない事を顧みても、ホント、どうしようもない国だ。日本の技術なんか無料で取り放題




 シーラスは、1980年代に航空機設計者であり製作者でもあったクラプマイヤー兄弟がウィスコンシン州で創業した新興の航空機メーカーです。同社は斬新な空力デザインと複合材料を使用した意欲的な機体のキットを販売していましたが、現在はミネソタ州で完成機を生産するメーカーに生まれ変わっています。
 機体構造に複合材料を使用した意欲的な設計の機体はパイロットから高く評価されており、それまで小型機の分野では王座に君臨していたセスナ社を、シーラスは単発機の受注数で追い抜きました。

 今回発表されたAG100は、こうした企業を傘下に収めるAVICが発表した新型機になります。
中国では最近、国産旅客機の運航が国内航空路線で始まりましたが、旅客機の市場が拡大しているため、今後は大量のパイロットも必要になるでしょう。ゆえに、それらパイロットを養成する飛行学校や大学向けに多くの練習機需要が発生すると予想されていますが、そうした需要に応えるために開発されたのがAG100です。

「米国製の姉妹機は当分販売せず」の真意
 今回公開されたAG100は、141馬力のロータックス社製エンジンを搭載した3人乗り。前席に練習生と教官が乗り、その後ろにオブザーバー席があります。

 ロータックス製エンジンが採用された理由は、航空燃料以外にも自動車用燃料が使用できるメリットがあるからです。中国国内では航空ガソリンの価格は日本より高いため、代わりに自動車燃料を使用することで飛行コストを低減させることが可能になります。

 なお、中国ではAG100は国内開発機と発表されていますが、機体の形状とコックピットのデザインはシーラス社のヒット商品、SR20シリーズに酷似しています。それもそのはず、シーラスの担当者自身が、機体は親会社であるAVICとの契約に基づいて自分たちが開発したモデルだと明言したのです。
中国国産(笑)エンジンや機体は元々アメリカ製、買収技術は超一流、盗みも、・・




 つまり、AG100は中国企業の機体ではあるものの、実体はアメリカで設計・開発されたモデルだと。えるでしょう。アメリカではSR10の名で開発され、すでにFAA(米国連邦航空局)の型式認証も取得しています。そのSR10の開発に並行する形で、中国でもAG100の開発が進められたというのが実情です。なお、すでに中国でも型式認証の取得に向けて飛行試験が始まっています。

 ちなみに、シーラスはSR10を開発したものの、同モデルをアメリカ国内で販売する計画は今のところないとのこと。その理由は、SR20シリーズの受注が好調で、生産に余力がないからだといいます。そのため、シーラスとしては当面、SR10の機体コンポーネントを中国へと輸出、同国国内で組み立てられた機体がAG100として販売される模様です。AG100はすでに受注も獲得しており、型式認証の取得に続いて受注した機数が生産される見込みです。

このようにAG100は、実はアメリカメーカーであるシーラスとの共同開発という体で誕生しています。ただ、このやり方はAVICと中国民用航空局にとっても大きなメリットをもたらします。というのも、シーラス製の機体を自分たちが扱うことで、世界的に遵守されているアメリカの安全基準と認証方法、関連ノウハウなどを習得することが可能になるからです。

 そのため、AG100に続く機体は名実ともに中国国内で開発・生産され、世界中に輸出されるようになるものと筆者(細谷泰正:航空評論家/元AOPA JAPAN理事)は考えています。

 これらを鑑みると、セスナを筆頭に欧米メーカーがシェアのほとんどを占めている軽飛行機の分野でも、中国が台頭するのはそう遅くはないようです。







二階俊博の信条:

 親中派の有力議員の一人とされており、日中友好議員連盟の会長(2023年より)である。自民党内における対中国利権を一挙に引き受けている。過去には北京オリンピックを支援する議員の会にも所属するなど、長年にわたり中国との関係が深い政治家である。一般的な政治家の外交とは国家間の主権の問題や国防などがテーマとなるが、二階は後述するように運輸族・観光族議員であるため、政治的なイデオロギーではなく議員外交・民間主導で経済重視の外交を主導する。経済的な利益を最大の目的として文化交流を通じて旅客往来や企業活動を活性化させるために、国会議員や経済人などで構成される大規模な訪問団を率いて国外の首脳らと会談を行うという独自のスタイルである。特に2002年9月の日中国交正常化30周年記念式典では国会議員や経済人ら約13,000人と共に北京の人民大会堂を訪問、2015年5月には約3,000人を引き連れて人民大会堂で開かれた交流会に参加するなど、大規模な訪問団を率いることによって外交を展開している。二階はNHKの取材に対し、この大規模訪問団について「政府の外交が重要なことは元よりですが、もう一面、国民どうしの交流を展開していかなきゃいけない。テンポ早く、お互いの国の人たちが仲良くしていくためには、やっぱり人々との交流を、ある程度の量をもって進めることが必要ではないか。『この指集まれ、一緒にやりましょう』とね」と語っている。またTBSのCS番組「国会トークフロントライン」において、「金丸先生は我々に、『議員外交にはやっぱりお金がかかるんだよ。自分のお金で対外的な交渉をやる。そういう努力をやっぱりするべきだ』」「「政府の使い」ではないんですよね。ですから、そういう新たな立場で積極的にやっていくっていうことが大事でしょうね。」と金丸信元自民党副総裁から薫陶を受け、政府の立場ではできないことを推進していると述べている。ネット上の保守派からの媚中派や朝貢外交であるとの指摘に対し、「そんな大したことを言っているわけではないので相手にすることはない。媚中派とかなんとか言うが、中国と話ができなくてどうするんだと。言っているお前は中国の誰と話ができるのか。中国のどの発言、態度が悪いなら抗議に行けるのか。塀の外からワーワー言っていても聞こえない。聞こえないことを見越して(中国に対する批判を)思い切って自信を持って言っているが、そんなことは馬鹿げたことである」と一蹴している。

アメリカ合衆国の戦略国際問題研究所が2020年7月に作成した報告書「日本における中国の影響力」において、今井尚哉が長年の親中派とされる二階と連携し、「二階・今井派」として内閣総理大臣安倍晋三(当時)に中国への姿勢を融和的にするよう説得してきたと指摘された。このことが日本経済衰退、自民党の政治倫理内部崩壊につながっていく・・・。





二階派「裏金1億円プール」報道…統一教会問題で「自民党はビクともしない」と発言した二階元幹事長、いまは内心ビクビク?
2024年1月14日


自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金問題。自民党は2024年1月11日に「政治刷新本部」の初会合を開き、岸田文雄首相は「自民党は自ら変わらなければならない」と断固とした口調で語ったが――翌12日には「二階派のプール金1億円か」と報じられ、変わるきっかけをつかむどころか、事態はますます泥沼化している。

「二階派には、パーティー券収入のノルマ超過分1億円以上を議員側にキックバックしていた疑いがあります。こちらは収支報告書への未記載が問題となりますが、さらに、派閥側に売上を納めず、議員本人がプールする “中抜き” も1億円ほどあるとみられるのです。

2つをあわせると、収支報告書に記載のない裏金は5年間で2億円を超えると目されています。東京地検特捜部に任意の事情聴取を受けた二階派会長の二階俊博元幹事長、平沢勝栄元復興大臣ともに、収入の一部を派閥側に納めていなかった可能性が指摘されています」(政治担当記者)



中国が日本国内に設置「秘密警察拠点」の幹部女性を雇用した自民党参院議員の激ヤバ度

中国側が設置した「秘密警察拠点」十邑会館(JUO HOTEL)で、同所には福建省出身者のための組織「日本福州十邑社団聯合総会」がある。その顧問が自民党の松下新平参院議員(宮崎選挙区)だった。秘密警察の中国人女性を「外交顧問兼外交秘書」として雇用。松下氏はこの女と懇意になり、妻を捨てたと「週刊新潮」で報じられた。それによると、この女が書類送検されたというから、事態は深刻だが現在の政府・自民党は裏金問題で忙しく、このコトの軽重も判断できないようだ。


2024年2月26日

新型コロナウイルス対策の持続化給付金を騙し取ったとして、警視庁公安部は詐欺容疑で中国籍の女2人を書類送検した。女と共に関係先として昨年2023年5月に捜索した東京・秋葉原のビルが、中国側が設置した「秘密警察拠点」とみられており、公安当局が警戒していた。

スペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」は、中国当局が日本を含む約50カ国で勝手に「海外警察サービスセンター」を設置し、海外に逃亡した中国人や政治犯らに帰国を強制的に促している、との報告書をまとめた。日本国内の拠点は2カ所あるとされ、公安部が捜索したのはそのうちのひとつとみられるビルだ。女2人は当時、ビルを所有し、事務所を構えていた団体の幹部だった。

このビルは十邑会館(JUO HOTEL)で、同所には福建省出身者のための組織「日本福州十邑社団聯合総会」がある。その顧問が自民党の松下新平参院議員(宮崎選挙区)だった。「今は辞めている」としているが、この団体の中国人女性を「外交顧問兼外交秘書」として雇用。松下氏はこの女と懇意になり、糟糠の妻を捨てたと「週刊新潮」で報じられた。それによると、この女が書類送検されたというから、事態は深刻だ。
自民党は派閥の政治資金パーティー券をめぐる裏金事件を受けて、清和政策研究会(清和会)6人の委員長が交代するのに伴い、松下新平参院議員を参院「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」の委員長に起用した。書類送検された中国人女性、中国の「警察」拠点との関係は、パーティー券問題よりもはるかに重大な問題だ。警察から情報が入っていてもおかしくないはずだが、現在の政府・自民党はコトの軽重も判断できないようだ。

(喜多長夫/政治ジャーナリスト)













トランプ氏「私なら即座に阻止。絶対に」 日鉄のUSスチール買収
日本製鉄によるUSスチールの買収について、米国組合員と米国の安全保障上の利益をともに損なう
日本はこんな信用されない国と付き合ってよいのか?

2024年2月1日




USW=全米鉄鋼労働組合は、日本製鉄との合併は絶対に反対する、と表明した。米国の安全保障が脅かされるとも、と表明している。日本はこんな信用されない国と付き合ってよいのか?日本はいつまでも米国寄りではない!親中国会議員の多い日本はどのタイミングか?で中国頼みを実施する恐れが多いにある!時代が動く時が経済(銭)で政治が動く!二階さんと習近平国家主席、森さんとプーチンは良好な関係を持ちつづけているので・・・。




 トランプ前米大統領は2024年1月31日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収について「私なら即座に阻止する。絶対に”日本たたきだ”」と述べ、再び大統領に就けば買収を認めない意向を明らかにした。労働組合の関係者と会談後、首都ワシントンで記者団に語った。米メディアが報じた。

 トランプ前政権は、鉄鋼に高関税をかけて国内の業界を保護した経緯がある。トランプ氏は「我々は鉄鋼業を救った」としたうえで、「いま、USスチールは日本に買収されようとしている。ひどい話だ。国内に雇用を取り戻すのだ」と語った。トランプ氏は米大統領選に向けた共和党の指名候補争いで独走している。



高炉の脱炭素化が一歩前進、日本製鉄が水素還元で世界最高水準
CO2排出量削減値を従来の22%から33%に更新
TSMCの技術も日本製鉄の技術も虎視眈々と狙う”中国共産党幹部”
長場 景子 日経クロステック/日経ものづくり
2024.02.07
 日本製鉄は、高炉を使った鉄鋼製造において水素を活用し二酸化炭素(CO2)発生量を抑える「高炉水素還元技術」(Super COURSE50)で、世界最高水準を達成した。同社は現在、東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)の試験炉で同技術の開発試験を進めている。今回、水素投入量を増やすことで、CO2排出量削減値を従来の22%から33%に更新し、脱炭素化に向けて一歩前進した。2040年ごろまでに実機に展開し、CO2排出量50%以上の削減を目指す。


 同社は脱炭素化に向けて、電炉化など主に3つの技術を柱に取り組んでいる。高炉水素還元はそのうちの1つ。従来の高炉を生かし、酸化鉄(鉄鉱石)をコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)で還元する代わりに、水素を吹き込んで還元し、CO2排出量を抑える仕組みだ。今回のSuper COURSE50は、製鉄所内で発生した水素系ガスを使って還元する「COURSE50」の技術をベースとして、それを拡充したもの。Super COURSE50では、外部の水素を用いて水素還元量を増やし、さらに加熱した水素を用いて温度低下を抑え、水素還元比率を高めている。

 試験炉の内容積が12m3なのに対し、実際の高炉のそれは数百倍規模もあるため、実機での実現に当たってはさまざまな課題がある。炉内の還元ガスの流動や、還元反応の進行など、試験炉とは異なる状況が生じる可能性が高いため、今後、長時間の安定操業に向けてこれらを解消していく必要がある。また、Super COURSE50では、大量の外部水素を必要とするため、本格的な実用化に当たっては、水素供給網の確保なども課題となる。

 今回の技術については、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金(GI基金)の下、日本製鉄をはじめ、JFEスチール、神戸製鋼所、金属系材料研究開発センターの4社でコンソーシアムを結成し、開発を進めている。同技術については、GI基金の国費負担額で、予算上限額2386億円が拠出されている。





日本製鉄など電炉転換に動く鉄鋼大手、立ちはだかる2つの壁

 製造業の中で、最も二酸化炭素(CO2)を排出するとされる鉄鋼業。日本製鉄やJFEスチール、神戸製鋼所の大手鉄鋼3社は、脱炭素化に向けて、従来の高炉での製造の一部を電炉に置き換えようとする動きを加速させている。


 鉄鋼3社の大型電炉への転換に向けた計画
日本製鉄とJFEスチールは、本格的な実現に向けてまずは小型電炉を使った実証実験に取り組む。(出所:国土地理院の白地図を基に日経クロステックが作成)

ここに来て、電炉シフトに積極的な姿勢を見せているのが、日本製鉄だ(図1)。2023年末には、電炉技術に強みを持つ米鉄鋼大手のUSスチールの大型買収を発表。2024年度にはいよいよ茨城県神栖市において、小型電炉での実証試験を始めるなど、日米協力の電炉プロセスへの転換に本腰を入れたい。



 鉄鋼3社は2050年のCO2削減目標を達成すべく、従来の高炉を生かし原材料の鉄鉱石を水素で還元してCO2排出量を抑える技術(水素還元製鉄)の開発を進めるなど、あの手この手で脱炭素化に取り組んでいる。ただ、水素の活用は、供給網の確保や調達コストなどの課題があり、実用化はまだ先になる見通しだ。

 そこで、鉄鋼各社は2030年ごろを目標にまずは、電気を使って鉄スクラップを溶かすことで、高炉と比べてCO2排出量を抑えられる電炉への転換を図ろうとしている。

 日本製鉄は、2030年までに九州製鉄所八幡地区と瀬戸内製鉄所広畑地区の2拠点で電炉の転換を目指している。既に広畑地区では電磁鋼板向けに小型電炉を新設し商業運転を開始。2030年にはこれをさらに拡大させる。JFEスチールは、2027年に西日本製鉄所倉敷地区での電炉転換を目指す。


1955年制定の原子力基本法、中曽根康弘演説を読み返す
2013.10.30 
           日本・原子力の父:中曽根康弘




原子力基本法とは

日本の原子力の利用は1955年(昭和30年)につくられた原子力基本法を国の諸政策の根拠にする。この法律には、原子力利用の理由、そしてさまざまな目的が書き込まれている。その法案を作成した後の首相である中曽根康弘氏が当時行った衆議院での演説を紹介したい。


同法は原子力の研究・開発・利用を推進して将来に渡るエネルギー資源を確保すること、産業の振興に寄与すること、平和利用に徹することを、原子力利用の目的とする。そして「民主」「自主」「公開」の三原則をかかげた。

「民主」とは政府の独占ではなく、国民の意思に基づいて民主的に政策決定すること。「自主」は、外国から強制されたり、軍事技術が入り込んだり込む余地をつくらないよう自主的な運営をすること。「公開」は、成果を公開して疑惑を招くような秘密はつくらず、国際貢献を果たすことを内容とする。(解説は、kotobank朝日「知恵蔵」記事「原子力基本法」を参考にした)法律の背景に「無資源」の恐怖があった。

この基本法は自民党成立後、超党派の議員による議員立法で成立し、ほぼ全会一致で認められた。当時、日本学術会議などで科学者たちが、核兵器への転用や技術的な不透明さを懸念していた。

一方で、世界に目を転じると、1953年、米国は「平和のための原子力(Atoms for Peace)」という政策を、アイゼンハワー大統領が主導して打ち出した。原爆を開発し、使用したが、この技術を発電に利用して、米国の原子力産業の育成と外交の道具にしようと試みた。こうした中で、日本の政治家は原発の実現に動いた。

当時の状況を社会党職員として見ていた後藤茂元衆議院議員は、著書憂国の原子力誕生秘話(エネルギーフォーラム)で、当時の状況を振り返っている。

社会党は当時、参議院議員であった松前重義氏(1901~91年)を中心にして、原子力導入に賛成した。松前氏は東海大学の創立者で、技官として逓信省に入り、工学博士でもあった。後藤氏は次のように著書で述べている。

「無資源国の日本が資源を止められたことが無謀な戦争の一因になったことを、当時はどの人も深刻に受け止めていた」

「エネルギーは国家百年の計だという考えが、自民党、社会党を問わず、政治家の頭にあった」
ところが、60—70年代を通じて社会党は反原発に転じる。労働組合が、社会党の支持と人材供給の母体となり、社会運動として「反原発」のスローガンに注目するようになったと、後藤氏は振り返る。

中曽根演説のポイント

原子力基本法の成立時点で、当時37歳の衆議院議員だった中曽根康弘元首相は法案の作成の中心メンバーだった。自民党内では、主流派の旧自由党系の代議士ではなかった。54年の原子力予算の計上などは一代議士ながら実現させ、1959年には科学技術庁長官になった。

演説からうかがう限りでは、中曽根氏は原子力政策での「民主」「自主」「公開」を強く信じ、その実現を願っていたようだ。そして無資源国である日本国力増進の重要な手段と認識していたことがうかがえる。そして、これは多くの議員、そして当時の民意の多数は中曽根氏と認識を同じくしていた。
しかし同時に、原子力技術への無邪気な期待が演説からもうかがえる。福島事故を経験した今となっては、始まりでの認識の甘さが、福島事故につながっているように思える。

法案に織り込まれた理想は、50年が経過して、残念ながら実現したとは言い難い。原子力政策の閉鎖性は、事故以前から筆者も感じ、多くの識者が懸念していた。そして福島原発事故によって、原子力の信頼は地に落ち、回復はとても難しい状況にある。

原子力を再生させるには、今こそその原点にあった理想をもう一度確認するべきではないだろうか。混迷を深めるこの問題で、どの立場の人も、その始まりにあった考えを知るべきであろう。

衆議院・科学技術振興対策特別委員会(1955年(昭和30年)12月13日)
中曽根康弘議員の法案趣旨説明の抜粋

国会検索システムによる記事全文

法案の提案理由を御説明申し上げます。(1983年、首相当時の中曽根康弘氏、Wikipediaより)

これは自由民主党並びに社会党の共同提案になるものでありまして、両党の議員の共同作業によって、全議員の名前をもって国民の前に提出した次第であります。

(中略)(原子力の利用が各国で)進められるということは、われわれの文明に非常なる変化を予想せしめるものであって、われわれとしてもこれを等閑に付することはできないのであります。

そこで、日本に原子力国策を確立する場合において、いかなる点を考慮すべきかといいますと、われわれの考えでは、まず国策の基本を確立するということが第一であります。日本には有能なる科学者があり、技術者があり、技術陣があります。しかし、国策が確立されておらないようでは、有能なる学者はここに集まってきません。そこで、機構的にも予算的にも、国家が、不動の態勢をもって、全国民協力のもとに、この政策を長期的に進めるという態勢を整えることが第一であります。これによって有能なる学者をこの方向に指向させることができるのであります。

第二点は、超党派性をもってこの政策を運用して、政争の圏外に置くということであります。国民の相当数が、日本の原子力政策の推進を冷やかな目で見るということは悲しむべきことであり、絶対避けなければならないのであります。全国民が協力するもとに、超党派的にこの政策を進めるということが、日本の場合は特に重要であるのであります。

第三点は、長期的計画性をもって、しかも日本の個性を生かしたやり方という考え方であります。原子力の問題は、各国においては、三十年計画、五十年計画をもって進めるのでありまして、わが国におきましても、三十年計画、五十年計画程度の雄大なる構想を必要といたします。それと同時に、資源が貧弱で資本力のない日本の国情に適当するような方途を講ずることが必要であります。(中略)

第四点は、原子力の一番中心の問題は金でもなければ機構でもない。一番中心の問題は、日本に存在する非常に有能なる学者に心から協力してもらうという態勢を作ることであります。具体的に申し上げれば、湯川博士や朝永博士以下、日本の学界には三十前後の非常に優秀なる世界的なる学者が存在いたします。これらの有能なる学者が、国家のために心から研究に精を出してもらうという環境を作ることが、政治家の一番重要なことであります。

そのようなことは、学者の意見を十分取り入れて、この原子力の研究というものが、日本の一部のために行われておらない、一政党の手先でもなければ、財界の手先でもない、全日本国民の運命を開拓するために国民的スケールにおいてこれが行われておるという態勢を作ることが一番大事な点であります。このような点にわれわれは機構その他についても十分配慮した次第であります。

第五点は、国際性を豊かに盛るということであります。原子力の研究は、各国におきましてはみな国際的な協力のもとに行われております。(中略)

第六点は、日本の原子力の問題というものは、広島、長崎の悲劇から出発いたしました。従って、日本国民の間には、この悲しむべき原因から発しまして、原子力に対する非常なる疑いを持っておるのであります。このような国民の誤解を、われわれはしんぼう強く解くという努力をする必要があると思うのであります。広島、長崎の経験から発した国民が、原子力の平和利用や外国のいろいろな申し出に対して疑問を持つのは当然であります。従って、政治家としては、これらの疑問をあくまで克明に解いて、ただすべきものはただして、全国民の心からなる協力を得るという態勢が必要であります。

しかし、すでに、外国においては、原子力はかっては猛獣でありましたけれども、今日は家畜になっておる。遺憾ながら日本国民はまだこれを猛獣だと誤解しておる向きが多いのです。これを家畜であるということを、われわれの努力において十分啓蒙宣伝をいたし、国民的協力の基礎をつちかいたいと思うのであります。

この基本法案を総合的基本法としました理由は、日本の原子力政策の全般的な見通しを国民の各位に与えて、燃料の問題にしても、放射線の防止にしても、原子炉の管理にしても、危険がないように安心を与えるという考慮が第一にあったのであります。日本の原子力政策のホール・ピクチャーを国民に示して、それによって十分なる理解を得るというのが第一の念願でありました。(中略)

日本の現在の国際的地位は戦争に負けて以来非常に低いのでありますが、しかし、科挙技術の部面は、中立性を保っておりますから、そう外国との間に摩擦が起ることはありません。われわれが国際的地位を回復し、日本の科学技術の水準を上げるということは、原子力や科学によって可能であると思うのであります。(中略)原子力の熱を完全にとらえて原子炉文明というものが出てくれば、一億の人口を養うことば必ずしも不可能ではない、そのように考えます。

(中略)われわれが、雄大な意図をもって、二十年、三十年努力を継続いたしますならば、必ずや日本は世界の水準に追いつくことができ、国民の負託にこたえることができると思うのであります。(了)

(アゴラ研究所フェロー ジャーナリスト 石井孝明)





「過激パーティー(和歌山県で開催された党青年局近畿ブロック会議の後に〝過激ダンスショー〟が開かれていた)」に参加した中曽根康隆議員のパリピ半生「国際線CAらと西麻布でエステサロン経営」華麗なる人脈も支援者は落胆
2024年3月13日

「歴史を勉強しなさい。浮かれている場合ではない」──かつて、こうした言葉を偉大な祖父から聞いた“孫”は今、何を思うのだろうか。昨年2023年11月、自民党議員らが行った懇親会での過激パーティーが問題になっている。懇親会は和歌山市内のホテルで同県連主催の「自民党青年局近畿ブロック会議」後に開かれ、自民党の藤原崇衆院議員(40)、中曽根康隆衆院議員(42)や地方議員らが参加。関係者によると会合後の懇親会において、露出度の高い衣装を着た女性ダンサーによるダンスショーが行われたという。また、一部の参加者が口移しでチップを渡したことなども報じられている。 
 自民党はこれを受けて2024年3月8日、会合および懇親会に出席していた藤原、中曽根両議員が同党青年局の役職(それぞれ局長と局長代理)を役員辞任することを発表。2人はダンサーの体に接触していないと発言しているが、問題となっている懇親会に不適切な内容があったとして、責任をとる形となった。

「慶應ボーイ」から「政界のプリンス」へ
 今回、自民党青年局のポストを降りることとなった中曽根氏といえば、第71〜73代総理大臣だった中曽根康弘氏の孫としてその名が知られている。父にあたる中曽根弘文氏(78)も現職で参議院議員を務めており、中曽根康隆氏は若くして自民党のホープと期待されてきた。

 「政治一家」に生まれた中曽根康隆氏だが、その経歴も華々しい。幼少期に慶應義塾幼稚舎に入ると付属の中高を経て、慶應義塾大学法学部を卒業。同級生に人気グループ「嵐」の櫻井翔がいることでも知られ、生粋の「慶應ボーイ」として育ってきた。高校、大学時代にはゴルフ部に所属し、大学では副将を務めた過去もある。

 慶應義塾大学卒業後は米コロンビア大大学院に進学し、国際関係学を専門に学んだ中曽根康康隆氏。大学院を修了するとJPモルガン証券に勤務した。父・中曽根弘文氏の私設秘書を4年間務めた後に、2017年の総選挙に自民党から比例北関東ブロック単独で出馬し初当選。その後2021年に群馬1区から再選を果たした。

プライベートでも“やんごとなき”議員
 元首相中曽根弘文氏の“イケメン孫”として脚光を浴び、2021年の第2次岸田内閣では防衛大臣政務官として政権を支えた。しかし、とある支援者は「中曽根康隆氏には前々からプライベートに不安要素があった」と語る。

「以前ガーシーこと東谷義和さんによって、中曽根康隆氏が女性を肩で抱いている写真がネット上で拡散されたことは記憶に新しいと思います。この話が本当かどうかはわかりませんが、彼の周りでは『火のないところに煙は立たないだろう』と囁かれていて、今回の過激パーティーでの一件も『またか』といった印象を持つ方も多いのではないでしょうか」

 証券会社時代の康隆氏を知る知人も、彼についてこう話す。
「勤務していた外銀を辞めてお父さんの私設秘書になるくらいの頃でしょうか、ノリのいい彼は同僚の友達と西麻布でエステサロンを経営していました。そのサロンは当時、国際線CAが代表を務めていて、康隆さんは取締役としてそれを支援する形で経営に加わったと聞いています。

 仕事柄もあってか、彼の周りには大手の商社マンやCA、起業家などハデめな友人が常にいて、パリピな印象です。弁がたつし、男女関係なくモテるタイプなので政治家になってからも噂が立つのはしょうがないと思っていました。奥さんも社長令嬢ですし、公私問わずまさに“やんごとなき一族”といった感じですね」

 冒頭にある「浮かれるな」という言葉は祖父・中曽根康弘元首相が、初当選した中曽根康隆氏に戒めとして言い放った一言だ。地に足をつけて政治をしなければ、天国にいる祖父も浮かばれないことだろう。




      天国にいる祖父も浮かばれない・・・・





迷走する子育て支援金「実質負担ゼロ」 加藤鮎子少子化担当相の「あの…」「えーと…」答弁は政権の新たな火種に
2024年3月13日
 政府が少子化対策の財源とする「子ども・子育て支援金制度」をめぐる政府の説明が迷走している。「実質負担ゼロ」と強調してきたが、説明は二転三転。野党の追及を受けパニック気味になった少子化対策担当大臣の加藤鮎子氏の答弁もあいまって、岸田文雄首相肝いりの「次元の異なる少子化対策」は、裏金問題に続く政権の火薬庫になりかねない状況だ。

 支援金制度は、企業や個人が支払う公的医療保険に上乗せして国民から拠出金を徴収し、財源に充てる仕組みだ。政府が徴収する額は1兆円。制度開始の2026年度は6000億円からスタートして段階的に引き上げる、とされている。

 3月12日の記者会見で法案審議の進め方について問われた加藤氏は手元のメモに目をやりながら、「社会保障制度の改革等によって歳出改革効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を講じる」と述べ、「全体として実質的な追加負担は生じない」とあらためて強調した。

 支出を減らし、本来ならば相当分の医療保険料の減額に充てられる分を「支援金」に回すから、保険料を支払う国民に新たに負担が生じるわけではない、という説明だ。だが、社会保障改革がそんな首尾よく進む保障があるわけもなく、実質負担増になる疑念は膨らむばかりだ。

「未婚化の原因」を問われ、資料を探して「少子化の原因」を読み出す
 実際、政府の説明はコロコロ変わるのだ。2月6日の衆議院予算委員会では岸田氏は「粗い試算」と断わりながら「(徴収総額が1兆円に達する)2028年度には、加入者1人あたりの拠出額は月平均500円弱」と答弁したが、加藤氏がその前段階の2026年度と2027年度の数字(それぞれ300円弱と400円弱)を明らかにしたのは8日も経過した2月14日になってからだ。

 さらに8日後の2月22日の加藤氏は、1人あたりの負担額が「支援金の拠出が月額で1000円を超える人がいる可能性はありうる」と答弁して議場は騒然。加入する医療保険制度や所得に応じてどれだけの幅が生じるのか、その見通しもなかなか明らかにならない。

 当の担当大臣、加藤氏の“力量”にも疑問符がついている。3月4日の参院予算委員会で未婚化の原因を問われた加藤氏は、「あの……未婚化の原因につきましては、えーと……」と、約30秒間にわたって沈黙。少子化対策の前提となる初歩的な認識すら自分の頭の中になかったのか、答弁席で資料から該当の部分を探し続けた。

 しかも、「見つけた」とばかりに読み上げ始めたのは、なんと「未婚化の原因」ではなく、「少子化の要因」。答弁資料に列挙された「経済的な不安定性」「出会いの機会の減少」など7つも8つも棒読みされては負担を強いられる国民はたまったものではない。

招致段階から建設費がはね上がった「国立競技場問題」の再現に
 加藤氏は宏池会会長だった加藤紘一の三女。岸田氏にしてみれば宏池会の血の濃い派内の“身内”に肝いり政策の実行役を委ねたかたちだが、国民負担をめぐる側近閣僚の迷走は、政権の致命傷につながることがある。

 たとえば第2次安倍晋三内閣で東京五輪のメーン会場だった新国立競技場の建設計画の実行を委ねられた下村博文・文部科学大臣(当時)。招致段階では1300億円だったものが、下村氏の担当下で建設費はことあるごとにはね上がり、最終的には2520億円まで膨れ上がって批判が集中した。土壇場の2015年7月、安倍氏自ら裁定して白紙に戻したが、直後の8月の内閣支持率は、最低の37%(NHK)まで落ち込んだ。

 奇しくも「政治とカネ」をめぐる問題で、岸田内閣は内閣発足以来の支持率低迷を続ける。新たな側近の火種は、政権の致命傷ともなりかねない雲行きだ。







     「日本・ギリシャ編」



突然のプラント契約中止
 1980年代の最大の困難は1981年に発生したプラント輸入契約の中止問題であった。中国は建国以来一貫してプラント輸入を重視してきた。建国初期はソ連東欧から156項目のプラントを導入し、機械工業などの基礎を築いた。1970年代、特に文化大革命が終わった1976年以後は、日本を含む西側諸国から機械、化学などの分野で多数のプラントを輸入する契約を締結した。ところが外貨の資金繰りがつかず、1980年の年末になり中国は突然すべてのプラント輸入契約の中止を通告してきた。関係諸国は困惑し、中国の国際的信用は急落した。契約当事者であった中国技術輸入総公司の某副総経理が自殺するという悲劇も起こった。

 ところが、またしても日本政府は円借款とは別に商品借款を供与し、中国の資金不足の解決に協力した。結果的にはほとんどの契約は数年以内に復活した。しかしこの問題以後、中国は大規模なプラント輸入はやらなくなり、もっぱら外国企業の対中直接投資の導入に力を入れるようになった。世界一の重工業は日本から手に入れてしまったのだから、これから先は第2次、3次産業的なものを手に入れようと方針転換したのだ。

20年ぶり2度目の駐在
 1996年1月から1998年5月まで再び北京に駐在した。最初の駐在は1977年で、毛沢東死去・文化大革命終結の翌年であったので、それからほぼ20年ぶりである。しかも今度の駐在期間に鄧小平の死去と香港返還があった。偶然にも毛沢東時代の最後と鄧小平時代の最後を北京で生活する巡り合わせとなった。

 改革開放から十数年たった96年の北京は私にとってまるで知らない町になっていた。かつてメインストリートにも見られた馬車が全く消えており、自転車の大群は依然として存在していたものの、自動車が急増していた。高層ビルが林立し、業務関係先である各政府機関や公司、企業の住所も大半が移転していた。北京空港は新ターミナルになり、鉄道駅も巨大で壮麗な北京西駅が新しく使用開始されていた。


地図を片手に町を歩く
 北京における日本企業の駐在事務所や日系企業が年々増大しており、当時北京に長期滞在する日本人は家族も含めて6000人規模になっていた。中国日本人商工会議所(現在の中国日本商会)や日本人会が活発に活動し、日本人学校も運営されていた。かつては1人駐在であった当協会の北京事務所も所長プラス中国人職員3人の4人体制になっていた。

 まず北京を知らなければ仕事にならない。赴任後の半年間、私は毎週末に「北京生活地図」を片手に、バスと地下鉄を利用して徹底的に町を歩き回った。大規模な野菜卸売市場や水産物市場にも行ったし、イスラム教徒の居住区「牛街」の存在も知った。町歩きのおかげで北京がようやく身近になった。

弁護士の必要性
 北京は外観が変化しただけでなく、経済システムも計画経済から市場経済に大転換していた。トラブルの解決方法もかつてのように何でも政府に訴えるのではなく、弁護士の協力や裁判による決着を求めるケースが増えていた。私は信頼できる弁護士と知り合いになっておく必要性を痛感し、中国国際貿易促進委員会の知人を通じて王俊峰弁護士を紹介してもらった。中国の広告主が「国際貿易」紙に掲載した広告代金の回収や北京事務所の中国人職員の家庭騒動などで王氏の事務所にお世話になった。また、それまで日本企業との結びつきが少なかった王氏を何人かの日本企業の駐在代表に紹介もした。

 王弁護士が立ち上げた金杜律師事務所はその後急速に発展して北京最大の法律事務所となり、現在では上海など国内主要都市および東京、香港、ニューヨーク、シリコンバレーにも事務所を開いている。

激動の2008年
 2008年もまた世界が激動した。日中関係では年初に日本企業が中国河北省の食品メーカーに委託生産して輸入した冷凍ギョウザによる中毒事件が発生した。事件を通じて、日中経済が日本国民の日常生活と緊密に結び付いていることが浮き彫りになった。5月12日の四川大地震、8月8日北京オリンピック開幕。8月下旬には河北省の三鹿集団公司はじめ中国の主要乳製品メーカーが生産する粉ミルクで化学物質メラミン混入事件が発生。また、1979年の合意以来約30年間継続された日本の対中円借款供与がこの年に終了した。
このODAが終わってようやく敗戦国日本が首をたれ続けた中国、中国呪縛が溶けつつある。
 9月15日、米国のリーマンブラザーズ社の倒産を引き金に世界金融危機が発生。直ちに世界主要20カ国首脳会議が開催され、危機への対応が協議された。経済のグローバル化のすさまじさを実感させられた。加えて11月4日、オバマ氏が選挙に勝ち、アメリカ史上初の黒人大統領が誕生した。

双方向交流の時代
 今世紀に入って中国はそれまでの外資導入だけでなく、中国企業の対外投資を積極的に進めるようになった。日本においても2009年蘇寧電器による家電量販店ラオックスの買収、2010年山東如意集団によるレナウンの買収などが大々的に報道された。中国企業の日本進出は611社に上るとの調査機関の報告も発表された。

 貿易においても2007年以後アメリカに代わって中国が日本の最大の相手国になっている。中国にとって日本は米国に次ぐ第2の貿易相手国である。また、伝統的に日本は工業製品、特に生産財を中国に輸出し、農産物及び工業原料を中国から輸入する貿易構造であった。しかし製造業を中心に中国への産業移転が進み、在中日系企業が4万社(外資企業には、のちに人民武装部を置く決まりができる)に及ぶ状況を反映し、近年は輸出入とも工業製品が主体となっている。さらに新しい動きとして日本の食品や化粧品といった高級消費財が中国に輸出されるようになった。まさに双方向交流の時代に入ったということができる。

共同事業の構築へ
 2011年3月11日、史上類を見ないほど激烈な東北関東大地震が発生し、東日本は甚大な被害を受けた。中国人研修生を避難させた後、自分は津波にのみ込まれた日本人の実話も報道された。この大地震によって今後日中経済交流にも一定の悪影響が出るのは避けがたい。しかし、国境を越えてより広い地域経済圏が形成されつつある今日、日中双方の経済界が互いに「智慧を出し合い地域経済の発展に寄与する共同事業を構築」していくことが日中関係をさらに発展させる鍵の一つになると思う。


2009年、中華人民共和国は建国60周年を迎え、同じ年に日本国際貿易促進協会(当協会)は創立55周年であった。私自身、協会で日中経済交流の実務に従事して40年以上が経過した。この間体験したことの断面を紹介し、若い世代の参考に供したいと考える。

当協会の創立
 当協会は1954年9月に創立された純民間の貿易促進団体である。戦後の東西冷戦体制はすでに始まっており、当時わが国が国交を正常化していなかった「中国の人民民主主義、ソ連の社会主義諸国との民間貿易」を促進することが設立の趣旨であった。

 当初は中国、ソ連の2大社会主義国との貿易促進、展示会の開催、代表団の派遣受け入れ、中国の輸出商品交易会(広州交易会)への日本企業の参加とりまとめ等の活動をやってきた。その後60年代に入り、この両国の対立が激化し、当協会はソ連との関係が断絶し、中国が主な相手国となった。

 私は東京オリンピックが開催された1964年に大学に入り、第二外国語として中国語を選択した。その担当教授(工藤篁先生)が「中国語では目のことを眼睛という。中国人の瞳は黒いのに、どうして目に青の字を使うのか?」といきなり質問された。先生の中国語及び中国に対する深い洞察に感心し、次第に中国に対する興味が強まった。   

 1968年、私が当協会に入った時、協会はモスクワ事務所をすでに閉鎖しており、業務は対中関係だけであった。その中国は文化大革命(1966-1976年)の真最中であり、人事交流も少なく、日中民間貿易も種々の困難に直面していた。国交が無いため、訪中毎に一次使用のパスポートを申請しなければならず、「ハイテク製品」の対中輸出は厳しいココム規制(注)を受けた。またプラントの延べ払い輸出に対する輸出入銀行の融資も受けられなかった。当時貿易業界の最大の要望は「日中国交回復の早期実現」であった。

日中経済関係の歴史区分
 現在の時点から振り返ってみると、戦後の日中経済交流の歴史は次の四段階に分けることができる。
第一段階は1949-1971年の23年間で、中華人民共和国成立から日中国交正常化以前の民間貿易の時代である。
第二段階は1972-1977年の6年間で、日中国交正常化以後貿易が急激に拡大した時代である。
第三段階は1978-2000年の23年間で、中国の改革・開放以後、対中ODA対中投資が拡大した時代である。
第四段階は2001年から現在までで、中国がWTOに加盟し、経済のグローバル化に積極的に参画するようになった時代である。

(注)ココム(対共産圏輸出統制委員会)とは北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国が共産主義諸国への軍事技術・戦略物資の輸出を規制するために結成し、1950年から活動を開始した委員会で、日本は1952年に加盟した。ココムはソ連が崩壊し冷戦が終結した後の1994年に解散した。




日本にも忍び寄る「港を買いあさる外資」の影
2021年3月

週末だというのに、「世界三大夕日」をうたう北海道釧路市の釧路川にかかる幣舞ぬさまい橋から太平洋を望む撮影スポットに、カメラを持って集まる人の影はまばらだった(ちなみに、残る2か所はインドネシア・バリ島とフィリピン・マニラ湾だそうだ)。

釧路港に注がれる視線

3月は夏や冬の観光ピークとずれているとはいえ、河口中央に太陽が沈み、美しさが際立つ季節だ。新型コロナウイルスの感染拡大で、外国人観光客はもとより、日本人旅行者もほとんど見かけない。釧路川に面した津波避難施設を兼ねる商業施設「釧路フィッシャーマンズワーフMOO」の中も、人影がほとんどない寂しさだった。

 釧路湿原を案内してくれた男性は、廃虚のようになったビルや、駐車場になった更地を指して「私が子どもの頃はここも、あそこもデパートだった。今は、全て撤退した。あの頃の活気が戻ることは、もはやないのだろう」と語る。

 コロナ禍をしのげば、夕日や釧路湿原を目指して世界から観光客は戻ってくるだろう。けれども、勢いを失った石炭、製紙、漁業に代わる産業が根付き、人口が増加に転じる未来像は、70歳の観光ガイドには描けないようだった。

 MOOよりもさらに河口に向かっていくと、釧路港がある。

 アジアから見て北米大陸に最も近い不凍港は近年、国際的な注目を集めるようになった。中国が「一帯一路」構想の「氷上シルクロード」と言われる北極海航路の拠点として使いたいとの考えを示し、中国企業や駐日中国大使らが次々と釧路を訪れるようになったからだ。

 日本政府も釧路港の重要性は分かっている。(日本政府よ!しっかりせよ。露の樺太・千島・四島占拠は侵略なのだから、日本の北海道、釧路まで共産主義国に取られてはダメだ)

 国土交通省は2011年、「資源、エネルギー、食糧等の安定的で安価な供給」を目標に、鹿島港(茨城県)、志布志港(鹿児島県)、名古屋港(愛知県)、水島港(岡山県)とともに釧路港を穀物の「国際バルク戦略港湾」(「バルク」は、包装されずにバラバラに運ばれる貨物のこと。鉄鉱石、穀物、石炭を「3大バルク貨物」という)に指定した。

 指定に基づく機能強化や整備が行われ、2018年には釧路港の戦略港湾としての運用が始まったが、町のにぎわいの復活や人口減少の傾向に歯止めをかけるものではなかった。

外国資本に危機感強めた米国

 そんな環境の中で、「中国の投資があれば、釧路港や周辺が活気づくのではないか」といった期待感が高まるのは、無理もない。

 一方で、一帯一路を進めるために中国政府が後ろ盾になった企業が世界中で港湾の買収や出資を繰り広げていることに、国際社会は安全保障上の懸念を強めている。一帯一路には、表看板の「巨大経済構想」の裏側に、軍事的な意図も隠されているとの見方が消えないからだ。






ギリシャのアテネ近郊ピレウス港で、積み上げられた多数のコンテナ(2017年9月)


11月11日、中国とギリシャは、中国海運大手の中国遠洋運輸(COSCO)がギリシャ最大の港であるピレウス港に6億ユーロを投資する計画を押し進めることで合意した。写真はピレウス港を視察する習近平国家主席(左)とギリシャのミツォタキス首相。代表撮影(2019年 ロイター)




ギリシャも「中華思想」に汚染された?



ギリシャのピレウス港を視察するミツォタキス首相(右)と中国の習近平国家主席(2019年11月11日)=AP


COSCOは2009年にピレウス港のコンテナ貨物埠頭の改修と運用について期間35年の利権を取得し、以来、両国は協力関係を強めている。COSCOは16年にはピレウス港の株式の51%を取得した。

COSCOは22年までの3億ユーロ投資に加えて6億ユーロの投資を行うと約束しており、ピレウス港を欧州最大の商業港に育てる計画。
国際通貨基金(IMF)や単一通貨ユーロ圏から借りたオカネを返すため、ギリシャはピレウス港など国有財産の売却を進めています。欧州債務危機の最中にギリシャの国債を購入するなど、借金まみれのギリシャに援助の手を差し伸べてきた中国にとって、ピレウス港は欧州だけでなく中東・北アフリカへの重要な足がかりになります。

昨年2月には中国海軍最大の大型揚陸艦「長白山」がピレウス港に寄港しました。5月には中国人民解放軍がロシアとともに地中海で初めて海上合同軍事演習を実施しました。2011年に米英仏がリビアに軍事介入した際、3万6千人の中国人労働者がリビアで働いており、大掛かりな救出作戦が地中海で展開されたことがあります。

ギリシャは、中国の習近平国家主席の広域経済圏構想「一帯一路」の要になります。港湾施設のほか東欧・中欧、バルカン半島諸国につながる鉄道網などのインフラを整備すれば、実需が生まれ、インフラ輸出を通じて中国国内で顕著になっている供給過剰を解消できます。景気回復の足取りが遅い欧州にとって中国マネーでインフラが整備できれば、これほどありがたい話はありません。

国有財産の処分を進めるギリシャ資産開発基金は、ピレウス港を運営する国営会社の発行済み株式の67.7%を売却する計画です。日経新聞は、コスコ・グループは3億~4億ユーロ(約380億~510億円)を投じて株式の51%を取得すると報じています。一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者の話として向こう5年間のインフラ投資3億5千万ユーロを含む計7億ユーロで株式の67%を取得すると伝えています。

最初は株式の51%を取得して、5年間で67%まで増やすという買収提案なのかもしれません。

筆者は昨年1月のギリシャ総選挙に合わせて、ピレウス港を飛び込みで取材したことがあります。コスコ・グループの子会社ピレウス・コンテナ・ターミナル(PCT)は意外とすんなり取材に応じてくれました。コンテナ船だけでなくフェリーやクルーズ船も発着するピレウス港周辺は、車が激しく行き交うなど、アテネ中心部以上の活況を呈していました。

コスコ・グループは2008年に49億ユーロを投資してピレウス港のコンテナ埠頭の運営権を35年にわたって獲得しています。PCTでは約1100人が働いていますが、中国人は最高経営責任者(CEO)ら7人だけだそうです。中国人幹部とギリシャ人社員の会話もなごやかに見えました。

PCTで働くギリシャ人によると日給は58ユーロ、ギリシャではかなりの厚遇です。コンテナ埠頭ではコスコ・グループのコンテナもありましたが、いろいろなコンテナを扱っていました。
当時、PCTは2つの埠頭を運営していました。拡張工事でコンテナの取扱量は最初、685個(TEU=20フィートコンテナ換算)だったそうですが、480万個へと飛躍的に増えたとのことでした。広報責任者は「将来は620万個まで増やします」と言います。少し水増し気味の数字なのかもしれませんが、「一帯一路」が軌道に乗れば、コンテナ輸送はもっと増えるのは確実です。

ピレウス港とチェコなど中欧を結ぶコンテナ列車は週に3~4本しか運行しておらず、「毎日走らせるようにしたい」と意気込んでいました。ピレウス港でコンテナを荷揚げすれば、オランダ・ロッテルダム港、ドイツ・ハンブルク港などを経由するより輸送期間が10日間短縮できるそうです。ココス・グループがピレウス港を買収すれば、欧州の物流が一変する可能性があります。
急進左派連合(SYRIZA)のチプラス首相は政権につく前は国有資産の売却には否定的でしたが、ユーロ圏との交渉で支援を引き続き受ける代償として国有財産の売却をのまされました。チプラス首相も背に腹は変えられません。

中国国有大手・中国鉄路総公司は昨年12月、15億7千万ドルでセルビア・ベオグラードとハンガリー・ブタペストを結ぶ鉄道整備(全長350キロメートル)に乗り出しました。コスコ・グループも参加するコンソーシアムはトルコでもイスタンブール港のコンテナターミナルを買収しています。

物流の拠点としてピレウス港を開発するのはギリシャも欧州連合(EU)も大歓迎ですが、中国には別の狙いもあるようです。

昨年5月、中国とロシアは北大西洋条約機構(NATO)が勢力圏とする地中海で初めて海上合同軍事演習を実施しました。軍事演習には中国のフリゲート艦2隻など中露両国から計10隻の艦船が参加しました。米国一極支配の現・世界秩序を再構築するのが狙いです。

中国にはロシアとの緊密な関係を見せつけることで、日本の安倍政権を牽制する思惑もあったようです。「一帯一路」は地中海を経由しており、中国には貿易だけでなくエネルギー、安全保障といった国益が生じます。中東・北アフリカで中国人の救出や海賊対策などの作戦を展開する必要が生じた場合、ピレウス港は燃料の補給など重要な軍事拠点になります。

中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)には欧州の英独仏伊など多くの国が出資しています。欧州復興開発銀行(EBRD)もAIIBと協力する方針で、欧州は中国マネーがインフラ整備に投資されることに大きな期待を寄せています。

中国が貿易、エネルギーに加えて軍事面でも国際協調に徹するなら欧州との相思相愛は続くでしょう。しかし欧州にとって安全保障上の脅威であるロシアと組んで地中海で軍事的なプレゼンスを増す腹積もりなら話は別です。中国への警戒心は一気に膨らむ可能性があります。ピレウス港の運用はその試金石になるでしょう。


2015/7/15    ギリシャへの中国、ロシアの接近    

中国とロシアは今回のギリシャ支援の合意を歓迎しているが、いずれもギリシャに接近している。

 

ギリシャのチプラス首相は4月と6月に訪露してプーチン露大統領と会談し、ウクライナ危機での米欧の制裁を「経済戦争」と呼んでロシア寄りの姿勢を見せた。

プーチン大統領は6月19日、ギリシャとの間で、ロシアからの天然ガスパイプラインTurkish Stream をトルコを経由してギリシャにつなげる計画に基本合意した。
ギリシャの農産品の輸入についても話し合われた。ロシアはEUの制裁に対抗し、EUからの農産品の輸入を禁止しているが、ギリシャの例外扱いを検討している。

ロシアのエネルギー相は7月12日、ギリシャ経済てこ入れのため、ロシアはギリシャに燃料を直接供給することを検討中だと語った。
「ロシアはエネルギー部門での協力拡大を通じてギリシャ経済の再生を支援するつもりだ。このため、われわれはギリシャへのエネルギー資源の直接供給の可能性を検討している。直接供給は近く始まる」と述べた。

 

Turkish Stream の概要は下記の通り。

ロシアは2014年12月1日、ウクライナを迂回してロシアから欧州南部に天然ガスを輸送するパイプライン South Stream の敷設計画を撤回した。

EUの反対でブルガリアの許可が得られないためとし、「EUの立場は非建設的であり、そのためロシアは他の地域にエネルギー輸送先を切り替え、またはLNGに軸足を置き替える」と語った。

2014/12/4   ロシア、South Stream 計画を取り止め

ロシアはその後、新ガスパイプライン Turkish Stream 構想を打ち出し、本年初めにルートが確定した。

South Stream と同様に4本のラインが敷設される予定で、海底部分のうち660kmはSouth Stream用に予定されていたルート、その他に 250kmがトルコ向けの新ルートとなる。
黒海南西部沿岸の都市キイキョイから陸上に入り、ギリシア国境のイプサラまでの180kmが敷設される。

年間輸送能力は630億m3で、うちトルコが140億m3 を引き取る。
第1ラインの完工は2016年12月を予定しており、全てトルコに供給される。トルコ向け天然ガス価格は 6%値引きする。

South Streamとの大きな違いは、パイプラインのEU内の部分でGazpromがその建設や操業に関与しないことである。EUの干渉に嫌気がさしたと思われる。

今後の計画も含め、欧州の天然ガス輸入の南部ラインはすべてトルコを経由することとなる。

付記

2015年11月にトルコ軍によるロシア軍機撃墜事件があり、両国の関係が悪化し、本件も棚上げされた。

2016年7月15日のトルコのクーデター未遂事件で、政権は反対派を一掃、事件の首謀とする宗教指導者で滞米のギュレン師の引渡しを求め、米国との関係が悪化した。
同時にロシアとの関係回復を図った。

2016年10月10日、ロシアとトルコは 「トルコストリーム」建設の政府間協定を締結した。
建設の合意の一環としてガス価格の値引きで合意した。
ロシアは撃墜事件後に発動したトルコ産農産品への禁輸措置解除も表明した。

ーーー

ギリシャの生産再建・環境・エネルギー相は5月29日、ギリシャがBRICS開発銀行への参加を検討していると発言した。
ロシアもギリシャの意向を関知しているとしている。

5カ国は7月7日、モスクワでBRICS開発銀行の第1回総会を開いたが、ギリシャ問題は取り扱われていない。

初代総裁にはインドの民間銀行元会長 K.V. Kamath が就任した。
当初の資本金は500億ドルで5カ国が均等出資する。将来は1千億ドル規模へ拡大する。
年内にも業務を開始する。

ーーー

中国の李克強首相は6月29日、ブリュッセルでEU首脳との会談後の記者会見で質問に対し、「中国はこれまでも、ギリシャが危機を抜け出すための要求に応えてきた。問題解決に建設的な役割を果たしたい」と述べた。

シルクロード経済ベルト」と「21世紀の海のシルクロード」計画 (一帯一路構想)を進める中国にとっては、ギリシャは欧州への入り口として重要である。

今回のギリシャの財政改革案に含まれる民営化のうち、アテネ郊外のPireaus港については中国遠洋運輸公司(COSCO) への売却が有力である。

(おわり)木村正人




2019.02.25
# 中国

中国を脅かす巨大なリスク「中国版新幹線」のはてしない無軌道
北京の著名な研究者も警鐘を鳴らした
北村 豊中国鑑測家
中央大学政策文化総合研究所客員研究員


常識外の建設速度


常識外の建設速度

「我が国の高速鉄道は日本やドイツなどから高速鉄道の関連技術を消化吸収した上にさらなる技術革新を加えて産み出されたものだから、その技術はもはや独自開発のものである」と主張する中国の2018年末時点における高速鉄道の総延長は2.9万kmに達し、日本の新幹線の総延長、約3130kmに比べると約10倍に相当する。


中国は2008年8月1日に北京市と天津市を時速350kmで結ぶ全長200kmの“京津城際鉄路(北京・天津都市間鉄道)”が運行を開始してからわずか11年間で全土に2.9万kmもの高速鉄道を建設して開通させたのである。


日本の新幹線は1964年10月1日に東京・新大阪間の515kmが開通してから54年後の2018年末で総延長が3130kmであることを考えると、いくら国土面積が日本の10倍であるとは言っても、中国の高速鉄道の建設速度は常識外であり、その規模から考えて高速鉄道の運営は採算を度外視したものと考えざるを得ない。


さて、今年68歳の“趙堅(ちょうけん)”は1949年10月1日に中華人民共和国が成立してから14カ月目の1950年11月に北京で生れたから、彼の人生は祖国である中国と共に歩んで来たと言っても過言ではない。

その趙堅の肩書は北京交通大学の経済管理学院教授、博士課程指導教官、“城鎮化研究中心(都市化研究センター)”主任であり、同時に鉄道経営に関する研究者としてもその名を知られている。

中国では高速鉄道を“高速鉄路(略称:高鉄)”と呼び、多くの中国人は自国の高速鉄道は世界一だと誇りにしているが、趙堅は国策である高速鉄道の建設に一貫して反対を唱え、たとえ建設するにしても時速200kmや300kmの高速鉄道は建設すべきでないと主張してきた。

その趙堅がニュースサイト“財新網(ネット)”に寄稿した『“謹防高鉄灰犀牛(高速鉄道の灰色のサイを注意深く防ごう)”』と題する記事が2019年1月28日付で掲載されて世間の注目を集め、多くの中国メディアによって取り上げられたことで大きな話題となった。

“灰犀牛(灰色のサイ)”とは「将来大きな問題を引き起こす可能性が高いにもかかわらず、現時点で軽視されがちな潜在的リスク」を指し、巨体でも普段はおとなしいサイが、ひとたび暴走を始めると止めようがなく、誰も手が付けられなくなることに由来するのだという。

なお、「灰色のサイ」と対比される言葉に、“黒天鵞(ブラックスワン)”という言葉があるが、これは「従前の常識や経験ではあり得ないと思われて来た事象が発生し、その事象が人々に多大な影響を与えること」を意味する。

趙堅が当該記事を執筆したのは、1月21日に国家主席の習近平が共産党中央党校に全国の幹部を招集して講演し、2008年のリーマンショックのようにめったに起きなくても極めて大きなリスクである「ブラックスワン」だけでなく、不動産バブルなど対応が困難なリスクである「灰色のサイ」にも警戒を怠らぬよう訓示したのを踏まえたものと思われ、灰色のサイを警戒する対象に高速鉄道を加えるよう問題を提起したのであった。


2路線以外は休眠状態
さて、その趙堅が執筆した『高速鉄道の灰色のサイを注意深く防ごう』と題する記事の要点を抜き出すと、その深刻さがわかる。

【1】2018年末までに中国高速鉄道の営業距離はすでに2.9万kmに達した。人々は通常中国高速鉄道の営業距離が世界一であることと高速鉄道が速いことだけを見ていて、高速鉄道の債務と営業損失が世界一で、中国の交通運輸構造がひどく悪化していることを見て見ぬ振りをしている。
【2】高速鉄道は安定性と円滑性の要求が非常に高いので、高速鉄道の建設費は普通鉄道の建設費より2~3倍高い。
速度を速くするには、高速列車の重量をできる限り削減する必要があり、普通鉄道の軸重(各々の車輪にかかる荷重)が23トンであるのに対して、中国高速鉄道の軸重は17トンと軽い。ただし、高速鉄道は人の輸送だけで貨物の輸送は出来ず、対戦車ミサイルを運ぶことはできない。このため、人口規模が大きく、密度が高い路線だけが高速鉄道の需要を満足することができ、旅客輸送の収入で高速鉄道の建設と運営のコストを補うことができる。
目下のところ、高速鉄道で輸送能力が比較的高い“京滬(北京-上海)”、“京広(北京-広州)”路線を除くと、その他の高速鉄道の路線は輸送能力が大量に遊休状態にあり、深刻な損失が存在する。
たとえば、“蘭新(蘭州-新疆)”高速鉄道の運行能力は毎日160往復以上あるにもかかわらず、たったの4往復しか運行されておらず、その輸送収入は電気代を支払うのにも足りないのが実情である。
【3】2015年に中国高速鉄道の中で輸送密度が最高だったのは“京滬”路線で、その輸送密度は4800万人/km前後であった。これに対して、輸送密度が最低だった“蘭新”路線は230万人/km前後であり、全国の高速鉄道の平均輸送密度は1700万人/km前後であった。
しかし、輸送密度が最高の“京滬”路線でも、輸送密度9000万人/kmで世界最高である日本の東海道新幹線には遥かに及ばない。これは500kmの路線上に日本の人口の55%が集中していること、さらには4000km以上の都市交通が東海道新幹線に乗客を供給していることに起因している。
日本の高速鉄道の平均輸送密度は3400万人/kmであり、これは中国の高速鉄道の平均輸送密度の2倍である。
【4】中国が十数年で建設した高速鉄道はすでに世界のその他の国や地域が半世紀以上をかけて建設した高速鉄道の総延長の2倍以上に達している。世界各国の高速鉄道で旅客輸送の収入に依拠して建設や運営のコストを賄えている路線は恐らく1つもなく、大多数が欠損の状態にあるか、政府からの補助金に頼っている。従い、世界最大規模の中国高速鉄道網と低すぎる高速鉄道の輸送密度(運輸収入)は重大な金融リスクに見舞われる可能性を示している。
今後も大規模な高速鉄道の建設を継続すれば、それは中国の鉄道を運営する「中国国家鉄路集団有限公司」(略称:中国鉄路)と地方政府に更なる巨大な債務負担をもたらし、中国経済に出現する「灰色のサイ」と衝突することになるだろう。
膨れ上がる債務の実態
【5】中国の高速鉄道は主として融資による債務に依拠しており、大規模な高速鉄道の建設は中国鉄路の負債を2005年の4768億元(約7兆7720億円)から2016年の4.72兆元(約77兆円)まで急増させた。
中国鉄路の収支は秘密事項だが、その公表された負債と旅客運輸収入のデータから考えると、たとえ高速鉄道の運営コストを考慮しない前提で、高速鉄道の全運輸収入を高速鉄道の建設に関わる借款の利子払いに充当したとしても足りないと判断できる。
その理由はこうなる。2016年末の中国鉄路の負債は4.72兆元だったが、その中の少なくとも3.3兆元(約53.8兆円)は高速鉄道2.2万kmの建設と動力ユニットの購入に投入されたが、これを年利4.75%で利息を計算すると、毎年支払わねばならない借款の利息は1568億元(約2兆5560億円)となる。2016年における高速鉄道の運輸収入は1409億元と推定できるので、1568億元の利息支払いにも不足するのである。
【6】中国鉄路の旅客輸送収入は2018年上半期には1693億元(約2兆7600億円)に達したので、通年では3400億元(約5兆5400億円)が見込まれる。
しかし、2018年9月までの中国鉄路の負債総額はすでに5.28兆元(約86兆円)に達しており、目下のところデータはないが、地方政府が高速鉄道の建設で抱えている莫大な金額の債務を考えると、巨額な高速鉄道の債務はすでに形成され、国家的な金融リスクが誘発されているのかもしれない。

事業としての発展性なく
【7】2018年の中国鉄路の営業距離は13万kmに過ぎす、その中の2.9万kmは人を運ぶだけで貨物を運べない高速鉄道である。米国の鉄道営業距離は22.5万kmであり、中国は高水準の普通鉄道にはまだ発展の大きな可能性があり、その営業距離は26万kmに達することが必要だと考えられる。
しかし、中国の高速鉄道にはもはや発展の可能性は少ない。その理由は、高速鉄道の輸送能力が使用されずに大量に余っている一方で、鉄道の貨物輸送能力が大きく不足しているという併存する問題をいかに解決できるかが課題であるが、これは解決困難である。
なお、2016年時点における、中国鉄路の普通客車保有量は7万1000両であるのに対して高速車両保有量は2万688両で、普通客車の数は高速車両の3倍以上である。
【8】中国鉄路は貨物輸送の運賃を絶えず値上げして高速鉄道の深刻な損失を穴埋めしようとして来たために、荷主は運賃が高い鉄道を止めてトラック輸送に切り替えている。鉄道の貨物輸送運賃は2004年以来11回の調整を行っており、運賃はトラック輸送に比べて2倍以上になっている。
国際的な貨物運賃は一般に鉄道輸送が0.1元/トン・kmであるのに対してトラック輸送は0.3~0.5元/トン・kmで、鉄道輸送はトラック輸送よりも貨物運賃が安いのだが、中国は国際的な貨物輸送の価格体系とは正反対の状況を呈している。
このため、中国国内には貨物を輸送するトラックがひしめいている。ディーゼルトラックはPM2.5を大量に放出するし、天然ガストラックが排出する酸化窒素物の量はディーゼルトラックのPM2.5よりも多い。
政府は行政的な手段で「トラック輸送から鉄道輸送への切り替え」を実施しており、2017年の鉄道貨物輸送の取扱い量は貨物輸送全体の17.5%で、2016年より0.4%上昇した。
【9】灰色のサイとブラックスワンは同一のものではなく、灰色のサイは確率が大きい高リスク事件であり、ブラックスワンは確率が小さい高リスク事件である。後者は予測が難しく、前者は往々に見て見ぬ振りをされる。
長期間にわたり、中国は大量のディーゼルトラックで石炭や鋼鉄などの基礎原材料を輸送してきたが、過積載は何度禁止しても減少しないし、数千kmの長距離トラック輸送では深刻な交通事故が度々起きているが、人々はこの現象を見慣れてしまっている。
これは中国の交通運輸構造がすでにひどく硬直していることを示しており、鉄道の貨物輸送能力が深刻に不足している明確なサインであるにもかかわらず人々は見て見ぬ振りをしているのである。
【10】中国鉄路の急増する巨額債務に対して、人々はカネの有る中央政府が支払ってくれるものと関心を示さない。地方政府の高速鉄道建設による債務はブラックボックスで、地方政府の各種負債と一緒に混ざり、統計によれば18.29兆元(約298兆円)に上っている。
債務は積み上がるのに収益が増やせないならば、中央政府はただ貨幣を発行して債務を相殺することになる。そうなれば、深刻なインフレーションを引き起こし、巨大な金融リスクがもたらされる。
一部の人は中国高速鉄道の営業距離は世界一だと自慢しているが、高速鉄道の債務が世界一であることによる金融リスクについては見て見ぬ振りをしているのだ。

それでも計画は止まらない
この【4】の中で、趙堅は、「今後も大規模な高速鉄道の建設を継続すれば、それは中国鉄路と地方政府に更なる巨大な債務負担をもたらし、中国経済の灰色のサイと衝突することになるだろう」と述べていた。

それを裏付けるかのように、2018年11月21日付の証券業界紙「上海証券報」は、「国家発展改革委員会が多くの高速鉄道プロジェクトを承認、投資規模は1000億元を超える」と題する記事を掲載した。そこには、一向に衰えない高速鉄道プロジェクトへの投資の中身が詳細に記されている。

(1)近いうちに、中国政府の国家発展改革委員会は「包頭(内モンゴル自治区)-銀川(寧夏回教自治区)路線の銀川-恵農(寧夏回教自治区)区間」、「上海(上海市)-蘇州(江蘇省)-湖州(浙江省)区間」、「重慶(重慶市)-黔江(重慶市)区間」の高速鉄道プロジェクト3件に関するフィージビリティスタディ(FS)を承認する。総延長は529kmであり、総投資額は1032億元(約1兆6820億円)である。

(2)今年の第1から第3四半期までで、国家発展改革委員会は固定資産投資プロジェクト147件、総投資額6977億元(約11兆3725億円)を承認した。また、10月に国家発展改革委員会は固定資産投資プロジェクト9件、総投資額918億元(約1兆4963億円)を承認した。これは今年すでに承認された固定資産投資プロジェクトの規模が8000億元(約13兆400億円)に近いことを意味する。

(3)国家統計局のデータによれば、1月から10月までの全国固定資産投資は前年比5.7%増大しており、その中のインフラ投資は3.7%増大し、増加幅はある程度回復した。10月単月のインフラ投資の増加速度は今年初の反発を示した。記者が中国鉄路から聴取したところでは、今年1月から10月までの全国鉄道固定資産投資の累計完成額は6331億元(約10兆3195億円)で、今年通年で完成予定額の7320億元(約11兆9316億円)までわずか1000億元(約1兆6300億円)まで迫っている。

高速鉄道は普通鉄道に比べて建設費用だけでなく、開通後の保守管理費用も割高である。2.9万kmもの高速鉄道を問題なく運行させるために必要な人件費、設備費、消耗品費を考えると、中国鉄路が抱える債務は増大する一方だと思えるし、地方政府の債務も同様だと考えられる。

したがって、上述した趙堅の見解が正しいなら、高速鉄道に「灰色のサイ」が出現する可能性は予断を許さないと思われる。

わずか3130kmの日本の新幹線でさえも採算に問題があるのに、中国の2.9万kmの高速鉄道で採算を取るのは至難の業である。2018年4月末に発表された中国鉄路の「2017年度財務報告」によれば、2017年末の負債総額は4.99兆元(約81.3兆円)で負債率は65%に達したという。

2017年における高速鉄道の乗客数は延べ17.13億人で、総人口を約14億人と考えれば、国民1人当たり高速鉄道に年間1.2回乗車した計算になる。

一方、人口が1.2億人の日本で新幹線の乗客数は延べ3.3億人であることを考えると、国民1人あたり年間2.75回新幹線に乗車したことになり、中国の2倍以上でその差は大きい。

果たして中国の高速鉄道に「灰色のサイ」が出現する日は来るのか。

万一にも出現するようなことになれば、それは中国鉄路に止まらず高速鉄道に多大な投資を行っている地方政府をも巻き込むことになり、その影響は中国を揺るがす甚大なものとなりかねないのである。


2022.09.27

習近平が「焦る」…! 肝入り「一帯一路」が“大失敗”で、起死回生の「ヤバい一手」に動き出した…! 
福島 香織

2年8ヵ月ぶりに「中国を離れた」、習近平の「焦り」
9月15~16日に行われた上海協力機構(SCO)首脳会議(サミット)では、習近平が2年8ヵ月ぶりに中国をはなれて外遊に出たこと、そしてロシアがウクライナに対して侵略戦争を始めて以降、はじめてプーチンが習近平と会談することで注目を浴びた。

だが、このSCOにおいて、習近平が提唱した一帯一路(債務の罠外交)の立て直しを図ろうとしている点にも注意が必要だ。

まずは、今回のサミットで打ち出された「サマルカンド宣言」で気になる部分をちょっと拾ってみる。

「SCO憲章の原則を基に、集団化、イデオロギー化、対抗的思想で国際・地域問題を解決しようとすることに反対する。伝統・非伝統領域の安全脅威と挑戦に包括的に対応することを堅持する。SCOメンバー各国の意見を考慮し、相互尊重、公平正義、協力ウィンウィンの新型国際関係と人類運命共同体を実現させることが重要な意義であることをここに繰り返す」

「カザフスタン、キルギスタン、パキスタン、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタンは中国の打ち出した一帯一路(債務の罠外交)に対し、改めて支持を行い、一帯一路(債務の罠外交)とユーラシア経済連盟建設をリンクさせることを含めて、一帯一路(債務の罠外交)を共同に実施していくことを支持した」

これは「大ユーラシアパートナー関係」だ、と
それだけではない。宣言には以下のようにもある。

「メンバー国は地域・国家、国際組織など多極的メカニズムの潜在力を利用し、国際法原則および国家利益を顧み、ユーラシア地域に広汎で、開放的で互恵互利の平等な協力空間を作るべきだと考えている。特に、ロシアがSCO、ASEAN国家およびその他の関係国とも多極的なメカニズムに参与し、大ユーラシアパートナー関係を構築する提案をしたことにメンバー国は注目した」


「メンバー国は、SCO実業家委員会と銀行連合体がポテンシャルを発揮させ、さらに協力して連合のイニシアチブを発揮し、SCO地域の金融、ハイテク、交通・通信インフラ、エネルギー、投資、中小企業などの領域でプロジェクトを実施させる。融資保証をより完全にし、組織投資のポテンシャルを十分に発掘する必要があり、さらに継続して、SCO開発銀行及び発展基金の設立にむけて協議を進める」

「メンバー国は、交通領域の協力継続が重要な意義を持つと強調。国際道路、鉄道交通路線の新敷設、回収、交通回廊を打ち出し、国際物流、貿易、観光センターを設立。そこにデジタルやイノベーション、省エネ技術を導入し、国際先進経験をもとに最適化した通関手続きによって、効率的なSCOメンバーによる国境を越えた輸送潜在力をもつインフラ協力プロジェクトを実施する」……。

これはいったい、何を意味するのか。じつはそこには習近平の焦りが隠されている。

起死回生の「一手」
習近平が次の党大会で総書記、国家主席、中央軍事委員会主席をそのまま継続する確率はいまのところ非常に高い。

が、同時に、習近平の政策が失敗であったという認識は党内でも広がっている。

特に党規約にまで盛り込んだ「一帯一路(債務の罠外交)」プロジェクトが資金ショートでとん挫し、また「債務の罠」という批判を国際社会から浴び、チャイナ・マフィアがプロジェクトに入り込んでオンライン詐欺や麻薬密売、人身売買にも利用されているということが暴露され、そのイメージは落ちるところまで落ちた。

これを立て直すことが、いま習近平にとっては権力維持のために必要なのだ。

このため、習近平は昨年の国連総会で打ち出した「グローバル発展イニシアチブ(GDI)」と一帯一路(債務の罠外交)をセットにすることで、そのイメージを挽回しようとしているわけだ。







   「2016年 オーストラリア編」

中国マネーに目がくらんだ豪州に米国激怒 海兵隊拠点の隣にまさかの“敵”2016年4月
米海兵隊が中国を睨む拠点としているオーストラリア北部、ダーウィンの港が中国企業に長期貸与され、米国の対豪不信が高まっている。貸与は米国に知らされないまま決められ、中国政府や軍とも関係が深い企業が米軍の活動などを監視する可能性もあるためだ。契約は99年という長期にわたる。中国は豪政府の脇の甘さを突いて米国の戦略拠点に食い込み、同盟にくさびを打ち込んだ形だ。(坂本英彰)

 2016年2月7日、北京で中国の王毅外相(右)と握手を交わすオーストラリアのビショップ外相。オーストラリアは経済での対中依存度が高く、その流れが安全保障面に及ぼす影響などを米国が懸念している(AP)王毅外相が訪問した国はどうなったか?

9割が「危険」

 「まるでアフガニスタンのような扱いだな」

 豪有力紙オーストラリアンが3月上旬、米国務省が豪国内で秘かに世論調査を行っていたと報じた。豪政府関係者は頼りとする同盟国に、信頼できない途上国のように扱われたことに苦虫をかみつぶしたという。

 豪北部準州は昨年10月、ダーウィン港の長期リース権を約5億豪ドル(約440億円)で中国のインフラ・エネルギー関連企業「嵐橋集団」に貸し与えると発表した。調査は貸与についての世論を探るものだった。

 オーストラリアの安全保障に影響があると思うかどうかを問う質問に対し、43%が「大い」に危険があるとし、「幾分」を含めると9割の回答者が懸念を感じていた。この結果は「経済的利益より安全保障の優先を豪政府に迫るものとなる」と評価された。報道は沈静化していた貸与問題をめぐる議論に火をつける結果となり、北京で行われた中国外務省の定例記者会見にも飛び火した。

 「オーストラリア国民は冷静に客観的になってほしい。これは国際ルールにも豪国内法にも則ったビジネスであり、両国に巨大な利益をもたらすものだ」

 報道官はこう述べ懸念の払拭に努めた。

 オーストラリアのターンブル首相も「米豪の軍事協力が緊密にできるよう、慎重に行っている」として、ダーウィン港の長期貸与は安全保障上の問題をクリアしたものだと強調した。

 「明らかな失態」

 しかし、この時期の報道については、米側の意図があるとの憶測が出ている。

 「巧妙に国務省側からリークされたものだろう」

 シドニー大学の研究者で元オーストラリア軍将校のジェームズ・ブラウン氏は豪シンクタンクへの寄稿でこう指摘した。

 「オーストラリア政府は中国の戦略性を十分に調べもせずに通した。明らかな失態であり、米政府の怒りは相当なものだ」

 ブラウン氏は、嵐橋集団は民間企業とはいえ、微妙な戦略地点でインフラなどを確保する中国の国有企業のパターンを踏んでいるとの米側の見方を紹介。情報収集や地方政府への圧力といった懸念を抱いていると指摘した



豪州の港、中国企業の運営でいい? 豪政府リスク判断へ2021年5月7日

オーストラリア政府が、同国北部ダーウィン港の運営を中国企業が担うことが安全保障上、妥当かどうか検討を始めた。シドニーモーニングヘラルド紙が3日、報じた。東南アジアに近いダーウィンは戦略上の要衝で、中国企業が持つ港の運営権を豪政府が取り上げる可能性がある。

 同港を巡っては豪北部準州政府が2015年、埠頭(ふとう)を99年間、リースする契約を中国企業「嵐橋集団」と結んだ。同社は「商業上の投資だ」と説明してきたが、ダットン国防相が同紙に、妥当性について豪政府として再評価を始めたことを明らかにした。

 同港の運営が問題になって18年にできた「重要インフラ安全保障法」に基づいて、中国企業の運営が妥当かどうか検討する。同法では、電力、ガス、港湾、水道の各施設の所有者や運営者に、政府が安全保障上のリスクを減らすための指示を出すことができる。
2021/07/07(水)

ダーウィン港所有の中国企、ホテル開発を放棄?
オーストラリアのダーウィン港の99年リース権を所有する中国のエネルギー・インフラ企業の嵐橋集団(ランドブリッジ)が、港付近にある高級ホテルの建設用地を北部準州(NT)政府に返還し、同社による開発計画を放棄したことが分かった。
米国からは、ダーウィン港の貸与が発表された直後から不満が噴出していた。

 オバマ大統領自身、昨年11月、マニラでターンブル豪首相と会談した際に事前に相談がなかったことに不快感を表明して「次回は必ず教えてほしい」と念押しするなど、同盟国に対しては異例ともいえる厳しい態度に出ていた。

 「中国軍のフロント企業」

 オバマ氏にとってはメンツをつぶされることでもあったのだ。オバマ氏は2011年、オーストラリアを訪れて軍事上の政策転換であるアジア回帰を表明し、ダーウィンを米軍の新たな拠点にすると発表したのだ。

 以来、ダーウィン郊外には1000人を超す海兵隊員が巡回駐留しており、近く2500人規模に増強する方針だ。ダーウィンの豪空軍基地には戦略爆撃機を巡回駐留することも協議するなど、インドネシアを挟んで南から中国を睨む重要な戦略拠点だ。その港が中国側に長期貸与される事態は米国にとって、同盟国にはしごを外されるようなことだったといえる。「オーストラリアの指導者は、中国台頭を制御することの難しさをもっと論議すべきだと感じている米高官は多い」。ブラウン氏はこう指摘する。

 嵐橋集団は山東省を拠点とするエネルギーやインフラ産業を主軸とする企業で港湾や石油、ガス、不動産など幅広いビジネスを展開。創業者でトップの葉成氏は、国政助言機関である人民政治協商会議の委員を務める。米紙ニューヨーク・タイムズの取材に葉成氏は「これはビジネスだ」として安全保障上の懸念を一蹴しつつも、投資は中国の外交政策「一帯一路」に資すると認めた。

 一帯一路とは中国と欧州を陸路や海路でつなぐ習近平政権の大構想「中華思想」だ。葉成氏は中国政府との密接な関係を否定するが、豪有力シンクタンクの戦略政策研究所は「中国軍のフロント企業」だと警鐘を鳴らす。

 「経済は中国」「安保は米国」のアンバランス

 同研究所のピーター・ジェニングス所長は国会の委員会で、長期貸与についての政府対応のお粗末さを厳しく批判した。

 「中国には西側諸国の軍が船舶をどう動かし、荷揚げをし、荷を積み込み、機器からどんな信号を出すのかといった細部を含め、軍のオペレーションについての極めて強い関心がある」
同氏の発言を米メディアはこう報じている。

 嵐橋集団へのダーウィン港の長期貸与を決めたのは北部準州で、連邦政府は助言という形でかかわった。しかし、高まる批判の中で豪財務省は3月なかば、外国投資についての審査の厳格化を発表した。今後は州レベルの資産などでも空港や港湾など重要インフラは、連邦政府の承認を必要とするという。

 今回の事態の背景にあるのは、オーストラリアの経済的な対中依存だ。同国の対外貿易は約24%を中国が占め、2位の日本(約11%)、3位の米国(約9%)を大きく引き離している。

 経済は中国に、安全保障は米国にそれぞれ依存するという引き裂かれた状態が、オーストラリアの立場を苦しくしている。中国と経済的な結びつきを強める一方で中国を睨んで防衛強化を図るというアンバランスもこの現れだ。とりわけ中国と地理的に近く財政基盤の弱い北部準州は中国投資を渇望し、長期貸与への批判には「反中思想だ」などと強く反発している。

 「オーストラリアは選択を迫られる。米中の対立が厳しくなればなるほど、それは厳しいものになる」

 豪国立大学のヒュー・ホワイト教授は米メディアに、こう指摘した。





中国は日本の北海道も買いあさったが、豪州ダーウィン、米海兵隊拠点を中国に99年貸与された
著者:荒井悦代(あらいえつよ)

 米海兵隊が駐留するオーストラリア北部ダーウィンの港湾管理権が2015年10月、中国企業「嵐橋集団(ランドブリッジ)」に渡ってから3年が過ぎた。港の99年間貸与契約には、アジア太平洋重視を打ち出したオバマ米大統領(当時)が不快感を表明し、豪州政府が中国の影響力排除へとかじを切る要因の一つとなった。しかし、豪州首都から約3000キロ離れた現地では中国の投資を歓迎する空気が強く、中央との温度差を感じさせた。(ダーウィン 田中靖人)

 日本の約3・5倍の面積に人口わずか約25万人の北部準州。州都ダーウィンはそのうち12万人が住む港町だ。第二次大戦前から海軍基地が置かれ、旧日本軍が開戦直後から爆撃を繰り返した戦略的要衝である。

 海沿いの市中心部から車に乗ると、軍民共用の国際空港まで約5キロ、米海兵隊の地上部隊が乾期の半年間に配備される豪陸軍基地までは15キロで、わずか20分で基地のゲートに着いた。

 海兵隊の駐留は昨年9月で終了していたが、12月上旬には米空軍のB52戦略爆撃機2機が飛来した。この地はまぎれもなく米軍の対中抑止の一翼を担っている。

 だが、市中心部は空き店舗が目立ち、人影はまばらだ。複数の新しい高層住宅は、昨年夏に生産を始めた天然ガス液化工場の建設関係者を見込んだもので、「今は空室が多い」(地元主婦)という。

 中国語の看板が目につく最大都市シドニーと異なり中国マネーをうかがわせるものはない。それだけに港湾施設前の「嵐橋集団」の文字が目を引いた。

 「ダーウィンには海外からの投資案件が多数あり、当社はその一つにすぎない


 嵐橋集団の豪州責任者、マイク・ヒューズ副総裁はこう強調した。同社は15年、港湾を99年間賃貸する契約を5億600万豪ドル(約409億円)で交わし、全額を前払いした。それまで2年間に港湾が得た利益の25倍を超える高額だった。同社はさらに、25年間で2億豪ドル(約160億円)を投資することも約束した。
豪州海軍が警備艇を置く海軍基地は外されたが、商業港に加え、豪州北部で唯一、大型艦が接岸できる軍民共用桟橋も賃貸対象となった。ヒューズ氏は「小さな港だが潜在力は高い」と語った。

 賃貸契約には、中国共産党の影も指摘された。中国山東省に本拠を置く嵐橋集団の葉成(よう・せい)総裁は13~18年、中国の国政助言機関、人民政治協商会議の代表を務めた。14年8月には集団内に民兵組織を設立するなど、本社地元の軍との関係の深さもうかがわせる。

 同社は豪州のアンドリュー・ロッブ前貿易・投資相を2016年の退任直後から年間88万豪ドル(約7000万円)で顧問に雇っていたことも発覚した。ロッブ氏は別の中国人企業家からも多額の献金を受け、現在は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への参加を促す団体の幹部を務めている。

 嵐橋集団は有事に米軍の港湾利用を制限するのではないか。そんな疑問をヒューズ氏にぶつけると、「当社は港の運営者であって所有者ではない。港湾の平等な利用が契約で義務づけられている」と否定した。

 台湾の林穎佑(りん・えいゆう)・中正大学准教授は「有事に意図的に船を座礁させ、米豪軍の行動を妨害する可能性はある」と別の見方だ。

 外部の懸念に比べ、現地の受け止め方はおおらかだ。北部準州政府の担当者は「嵐橋集団の運営に満足している。港の拡張や設備投資も確実に実行している」と評価した。

 北部準州商工会議所のグレッグ・ビックネル事務局長も「経済界は歓迎だ。お金に国籍は必要ない」と発言。嵐橋集団が軍民共用桟橋の脇に21年に開業する高級ホテルや、中国東海航空が18年5月に深センからの直行便を開通させたことを挙げ、中国の「高価格帯の観光客」に期待を示した。




パンダ3頭、米国立動物園から中国に返還へ(微笑外交とパンダ外交の罠)
米国は貸与延長を希望したが中国は受け入れなかった
…ワシントンで半世紀ぶり不在の事態に専門家「米中関係と関係ないと言い切れない」

2023年11月8日

 【ワシントン=向井ゆう子】米国ワシントンの国立動物園の3頭のパンダが今月中旬、中国に返還される。米国の首都からパンダが姿を消すのは、米中が国交正常化に向けて動き出した1972年以来、51年ぶりだ。最近の米中関係の冷却化を象徴する出来事といえそうだ。

■「会えなくなるのは寂しい」

 6日、ワシントンにあるスミソニアン国立動物園のパンダ舎の周りには、中国に返還されることになったメイシャン(メス、美香、25歳)とティエンティエン(オス、添添、26歳)、2頭の子どものシャオチージー(オス、小奇跡、3歳)に別れを告げようと、大勢の来園者が詰めかけた。
 ワシントンに住むニコル・プランクさん(45)は、子供の頃から学校行事で同動物園を訪れ、パンダに親しんできた。「米国ではなかなかみることができない動物で、会えなくなるのは寂しい」と惜しんだ。スミソニアン動物園のパンダは特別な存在だ。72年、ニクソン大統領の電撃訪中に同行したパトリシア夫人に対し、中国の毛沢東政権が2頭のパンダリンリン(メス)とシンシン(オス)を贈った。当時のメディアは、パンダに米国人が熱狂し、パンダが「まるで毛氏であるように」大切に飼育されたと伝えている。

 リンリンとシンシンとの間には子供も生まれたが、92年にリンリン、99年にシンシンが死んだ。中国は2000年、研究目的として、同動物園に新たなパンダを貸し出した。それがメイシャンとティエンティエンだった。

■24年には全米からいなくなる

 中国はこれまでに複数回、米側の求めに応じて2頭の貸し出しを延長してきた。米メディアによると、動物園は今回も貸与延長を希望したが中国は受け入れなかったという。メイシャンとティエンティエン、シャオチージーの3頭は15日までに中国に戻る。現時点で代わりのパンダが来る計画はない。

 全米では、パンダの中国への返還が相次いでいる。いずれも期限切れに伴うものだ。今年4月には南部メンフィスの動物園のパンダも中国に戻った。南部アトランタのパンダも24年に中国に返還される予定だ。中国から新たな貸与がなければ、24年には全米からパンダがいなくなる見通しだ。

 愛くるしい姿で人々を魅了するパンダは、中国の重要な外交手段だ。友好親善のシンボルとしてだけでなく、政治・経済関係を強める国に戦略的に贈られてきた。中国の習近平(シージンピン)政権は、パンダを積極活用する「新パンダ外交」を推進中だ。

 「パンダ外交」の歴史は古い。1941年、当時の中国大陸を支配していた国民党の蒋介石の妻、宋美齢が友好親善のために米国に贈ったのが始まりだ。戦後の中国は、関係が深かったソ連などにパンダを贈ったが、敵対国にパンダを贈ったのは米国が初めてだった。中国と国交正常化を果たした日本にも72年に贈与され、パンダブームが起きた。

 パンダ外交に関する著書があるカリフォルニア州セント・メアリーズ大学のエレナ・ソングスター教授は、「中国には米国からパンダを呼び戻すという明確で意図的な計画があるようだ。米中関係と関係がないと言い切れない」との見方を示した。













英国最後のパンダ2頭 滞在12年、中国との関係悪化するなか帰国へ
ロンドン=藤原学思2023年12月5日


英国に残る最後のジャイアントパンダ2頭が2023年12月4日、中国に向けて旅立った。スコットランドのエディンバラ動物園で12年間を過ごし、園の主役として愛されてきた。


 帰国するのは、オスの陽光(ヤンコワン)とメスの甜甜(ティエンティエン)。ともに2003年8月に中国で生まれ、スコットランド王立動物園協会(RZSS)と中国野生動物保護協会の協定のもと、11年12月に英国に送られた。

 当初の契約期間は10年だったが、新型コロナウイルスの影響により、滞在が2年延長されていた。

 RZSSのデービッド・フィールド最高経営責任者(CEO)は「2頭は何百万人もの人びとに自然への関心を抱かせ、すばらしい影響を与えた」とする声明を発表した。

 園は甜甜の出産をめざして努力を重ねてきたが、成就しなかった。RZSSは、「ジャイアントパンダの繁殖、飼育、獣医学的ケアに関する理解に大きく貢献した」としている。

 一方、英中関係はこの12年間で劇的に変わった。米調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、現外相のキャメロン氏が首相だった11年は中国に対して「好ましくない」と答えた英市民は26%だったが、23年はその割合が69%にまで上がった。(ロンドン=藤原学思)


「パンダ外交」転換に イギリスの動物園で唯一飼育の2頭を中国に返還へ
2023年12月5日
イギリスで唯一パンダを飼育している動物園が年内にもパンダを中国に返還します。イギリスにおける中国の「パンダ外交」が一旦、終止符を打ちます。

 イギリス北部・スコットランドにあるエジンバラ動物園で2023年12月30日、中国に返還されるパンダの雄の陽光と雌の甜甜の一般公開が最終日を迎えます。

 動物園では2011年からパンダ2頭を年間100万ドル、日本円でおよそ1億5000万円で中国からレンタルしていて、返還の表向きの理由として契約期間の終了などを挙げています。


 中国は外交手段として世界各国にパンダをレンタルしていますが、これでイギリスの動物園からパンダはいなくなります。

 今年2月には、動物園側はどこも、北欧・フィンランドの動物園でもパンダの飼育が経営を圧迫しているとして中国への返還が検討されるなど、世界各国で中国のパンダ外交が転換期を迎えています。突然の「パンダ引き上げ外交」となっています。

パンダ来英と英中通商関係 - エディンバラ動物園に2頭

昨年12 月、スコットランドのエディンバラ動物園に中国から2 頭のパンダが送られたことは、大きなニュースとなった。既にその愛くるしい姿で多くの人を魅了している「陽光」と「甜甜」の2 頭であるが、英中間における近年の著しい経済関係の発展を象徴するシンボルのような存在であるとの声もある。


ジャイアント・パンダとは

主に中国・四川省西北部、西部及び西南部に生息している、クマ科-ジャイアント・パンダ亜科の動物。学名はAiluropoda melanoleuca、中国名は大熊猫。

大人の雄の体長は150〜180センチ、体重は64〜125キロ程度。雌はこれよりやや小さい。

現在、野生のジャイアント・パンダの数は1300頭程度とされている。国際自然保護連合(IUCN)により、絶滅危惧種に認定されており、ワシントン条約で売買が禁止されている。

主食は竹と笹であるが、果物なども食べる。野生のジャイアント・パンダは、竹と笹以外の草のほか、まれに鳥などの肉を食べることもある。

基本的に単独で行動する。冬眠はしない。発情期は1年に1回で、雌が妊娠できる状態にあるのは1年に2日のみである。

ジャイアント・パンダが飼育されている欧州内の動物園
保護プログラムの一環として来英
昨年12月初頭、スコットランドのエディンバラ動物園に、2頭のジャイアント・パンダが到着した。2頭はともに2003年生まれで、名前は雄の「陽光(ヤングアン)」と雌の「甜甜(ティエンティエン)」。国際自然保護連合(IUCN)により絶滅危惧種に認定されているジャイアント・パンダの保護プログラムの一環として、中国・四川省のパンダ保護センターから貸し出されてきた。2頭は今後、エディンバラ動物園で最低でも10年間過ごす予定で、同動物園は、中国当局に毎年100万ドル(約7784万円)を支払う。

中国との通商関係強化に熱心な政府
中国は、海外の国にパンダを贈ることによって、友好関係を築こうとするいわゆる「パンダ外交」を展開してきたことで知られている。しかし、現在の英国は、パンダ外交によって中国から友好関係を求められる立場にはなく、逆に、経済発展著しい中国に対して、英国企業にビジネス・チャンスを与えてくれるよう頼む側となっている。

英国がいかに中国との通商関係強化を重視しているかは、キャメロン首相が2010年11月、大臣数人のほか、50人もの企業・教育界関係者から成る大規模な訪問団を従えて訪中した事実からもうかがえる。この際には、英国のロールスロイス社が、中国の中国東方航空と、12億ドル(約933億円)相当の商談を成立させたことなどが明らかにされた。また、2011年6月には中国の温家宝首相が来英し、英中間で14億ポンド(約1680億円)相当の商談が成立したと発表された。更に、両国間の貿易の規模を、2015年までに1000億ドル(約8兆円)に到達させるとの目標も改めて確認された。

スコットランド自治政府も、中国との通商関係強化に対する熱心さでは負けていない。エディンバラにパンダが到着した昨年12月初旬、同自治政府のアレックス・サモンド首相はちょうど、2007年5月の首相就任以来3度目となる中国への公式訪問中であった。この際には、中国の航空関係者らが2012年初頭、スコットランドを訪問し、中国−スコットランド間の直行便就航を検討すること、在北京企業が今後3年間で、スコットランド産ウイスキーの販売店を中国国内に300店開店することなどが明らかにされた。

こうした事実から、今回エディンバラに貸し出されたパンダは、中国の「外交カード」ではなく、両国間における最近の通商関係の目覚しい発展を象徴するシンボルのような存在であると指摘する声もある。

動物園は入場者7割増見込み
パンダの到着によって、英中間の経済関係がより強固になるかどうかはともかく、2頭が送られてきたことによって、最も経済的な恩恵を受けると考えられるのはもちろん、エディンバラ動物園である。同園は昨年、入場者が15%落ち込み、財政難に陥っている。しかし、パンダが来たことで、今後1年の入場者数は、前年比7割増が見込まれている。2頭の一般観覧は既に先月中旬から始まっているが、盛況であることが伝えられている。2頭に子供が生まれれば、更なる入場者増も見込めると考えられており、期待が高まっている。




英のパンダ2頭、中国に返還 「友好の使者」滞在12年
2023/12/5 
英国で唯一のジャイアントパンダ2頭が4日、返還のため中国に旅立った。中国から貸し出された2頭は2011年12月に英国に到着し、北部スコットランドのエディンバラ動物園で12年間過ごした。英国民に親しまれ、英中の「友好の使者」の役割を担ってきた。英メディアが報じた。

2頭は03年生まれで、中国四川省のパンダ保護研究センターで飼育された雄の「陽光」と雌の「甜甜」。貸与期間は10年の予定だったが、新型コロナウイルスの影響で動物園が閉鎖され、返還が2年延期された。BBC放送によると、繁殖計画もあったが成功せず、貸与契約はこれで終了する。スコットランド王立動物園協会のフィールド最高経営責任者(CEO)は「飼育スタッフだけでなく、来園者やファンにとっても悲しいことだ」と語った。(共同)

パンダのレンタル料は2頭で年1億円! 中国の「パンダ外交」に隠された思惑とは? 経済評論家・上念司
2017/7/16
 東京・上野動物園のジャイアントパンダが5年ぶりに赤ちゃんを出産し、日本中がパンダブームに沸いた。ただ、中国にとっては、その愛くるしい姿とは裏腹の、したたかな外交ツールでもある。中国の「パンダ外交」に隠されたその思惑とは。(iRONNA)


 1972年のニクソン、田中角栄の電撃訪問でこの国が少しまともになる前まで、中国のやっていたことは今の北朝鮮と変わらない。そして、当時の「パンダ外交」とは、世界中から孤立していた中国が、パンダという希少動物をネタにして、何とか世界に振り向いてもらおうとする外交政策だった。だからこそ、パンダは友好の証しとして無償譲渡され、文字通り外交的な貸しを作ることで政治利用されてきた。

 ところが、81年に中国がワシントン条約に加盟したことを契機に、無償譲渡は終わった。現在、中国がやっているのは世界中の動物園に共同研究や繁殖などを目的として有料で貸し出すビジネスだ。報道などにある通り、パンダのレンタル価格は2頭で年に約1億円である。
報道しない自由
 しかし、それでもパンダ外交は終わっていない。今までは中国が自分のカネでやっていた外交的プロパガンダを、相手のカネでやるように変わっただけである。あえてこれを「新パンダ外交」というなら、中国にとってはより都合の良いビジネスであるといえるだろう。

例えば、上野動物園のリーリーとシンシンも、貸与された東京都が中国野生動物保護協会と「共同研究」目的で協定を結び、10年間の有料貸し出しを受けているにすぎない。先日、誕生した赤ちゃんパンダも、この協定により「満24カ月」で中国側に返還することになっている。パンダのかわいさに目がくらみ、尖閣諸島に押し寄せる中国公船への対応が甘くなったりはしていないと思いたい。

 マスコミはかわいらしいパンダの赤ちゃんをネタとして扱うだけで、こうした背景については何も語らない。すぐに「報道しない自由」を発動し、中国の意図を隠蔽(いんぺい)してしまう。そもそも、パンダビジネスとは侵略と人権弾圧の歴史の象徴だ。

 かつて、パンダの生息域は現在よりもずっと広かった。しかし、11年の辛亥革命以降、中華民国軍が東チベットを侵略し、多くの中国人が入植してきたことでパンダは乱獲されるようになった。だが、チベットの支配地域に残ったパンダは虐殺を免れた。なぜならチベット人は仏教徒であり、無益な殺生をしなかったからだ。

 ところが、50年に悲劇が訪れる。今度は中共軍がやってきた。東チベットのチャムドが侵略され、翌年にはチベットの首都、ラサが占領された。そして、55年にチベットの東半分は青海省と四川省に組み込まれてしまった。中国はチベットから領土を盗み、その地域に生息していたパンダまでも盗んでいったのである。
失った正当性
 次に、中国が行っているパンダの有料レンタルビジネスの正当性がすでに失われていることについて指摘したい。これは私が勝手に言っているのではなく2016年9月の、世界自然保護基金(WWF)の公式な見解だ。

 この見解の中で、WWFはパンダの格付けが「絶滅危惧種から危急種に引き下げられた」ことを朗報として伝えている。国際自然保護連合(IUCN)によれば、14年までの10年間で中国国内の野生のパンダの頭数は17%増加し1864頭になったそうだ。私が子供のころ、パンダは千頭しかいないといわれていたが、いつのまにこんなに増えたのだろうか。

 パンダがもはや絶滅危惧種ではなくなった以上、有料でレンタルして共同研究を進める正当性もかなりグラついていると思える。しかし、中国にこのビジネスをやめる気配はない。もともと、チベットから盗んできた動物なのに、なんとずうずうしいことだろう。

 パンダに罪はない。罪深いのは中国だ。私たちはパンダを見るたびに、その背後にあるドロドロしたものから目を背けてはならない。
iRONNAは、産経新聞と複数の出版社が提携し、雑誌記事や評論家らの論考、著名ブロガーの記事などを集めた本格派オピニオンサイトです。各媒体の名物編集長らが参加し、タブーを恐れない鋭い視点の特集テーマを日替わりで掲載。ぜひ、「いろんな」で検索してください。


【プロフィル】上念司 じょうねん・つかさ 経済評論家。昭和44年、東京都生まれ。中央大法学部卒。経済評論家の勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開。近著に『習近平が隠す本当は世界3位の中国経済』(講談社)。


パンダ外交と一時代の終わり
2023/11/25

随分前の話だが、外務省の中国課長経験者から聞いた話である。自民党の某元幹事長と某元総裁は、どちらがより親中かを競い合い、片方が訪中するとすぐにもう一方もはせ参じた。元課長は嘆じた。「そして時の日本の首相の悪口を言う。中国側は彼らを歓待するが、心の底では軽蔑していた」。

▼訪中して王毅共産党政治局員兼外相らと会談した公明党の山口那津男代表の場合はどうだったのか。「山口氏は今さら何で中国へ行くのかな。習近平国家主席と会えるかどうかは分からない」。公明党関係者が事前に漏らしていた通り、過去に4度会っている習氏との会談は今回は実現しなかった。

▼山口氏は一連の会談で「(対中)国民感情を友好的にするための一つの手立て」として、仙台市へのジャイアントパンダ貸与を要請した。だが、中国との間で邦人拘束、日本産食品輸入規制、日本の排他的経済水域内での中国ブイ設置…と懸案が山積している中で、なぜ対中感情を和らげる必要があるのか。



「不便がないように」英国最後のパンダが故国へ…軍事作戦並みの帰還
2023年12/5(火) 
英国に残された最後のジャイアントパンダのメス「テンテン(甜甜)」とオスの「ヤングァン(陽光)」が2023年12月4日(現地時間)、中国四川行きチャーター機に乗って故国に向かって出発した。2011年に盛大な歓迎式と共に英国の地を踏んでから12年が過ぎていた。

BBCによると、これまで英国スコットランドのエディンバラ動物園で飼育されていたテンテンとヤングァンはこの日午後1時40分ごろ、エディンバラ空港から特別チャーター機に乗った。中国南方航空所属のチャーター機には座席の大部分が除去されて長さ190センチ、高さ146センチ、幅127センチの大きさの特殊な鉄製のゲージが設置された。約13時間の飛行だ。

引き戸や小便トレイ、パーティションなどが備わった鉄製のゲージについてエディンバラ動物園は「小さく見えるが、かなり空間が広いゲージ」とし「飼育係の注文に基づいて作られた」と説明した。出国道中の混乱を避けるために出発時刻は秘密にされた。

チャーター機には飼育係や獣医師など両国関係者が搭乗して、飛行の半分時点で英国側の飼育係が中国側の飼育係にゲージの鍵を渡すことで責任も委譲する。最終目的地は四川省成都の野生動物保護協会だ。

飼育係はパンダ返還作業のためにさまざまな事前作業を進めた。両国政府間の合意に伴う動物保健規定を守るために動物園は先月初めからパンダを隔離し、飛行に備えた訓練も行われた。飼育係のマイケル・リビングストンさんは「パンダは朝に寝そべることが好きなので、朝早くに出発する時間に慣れされるために起床時間を少しずつ操り上げた」と話した。

当初、テンテンとヤングァンのレンタル契約期間は10年だった。コロナ禍で2年間レンタル期間を伸ばし、少なくとも8回の繁殖にチャレンジしたが成功させることができなかったため英国にはパンダが残っていない。

これまで動物園側は毎年79万ポンド(約1億4700万円)を中国に支払い、棲息地の造成や飼育係の賃金など管理費は別途支出した。ただしテンテンとヤングァンが動物園に到着して1年間で入場券の販売量が50%上昇したとBBCは伝えた。

先週末、英国全域ではテンテンとヤングァンに最後の挨拶を伝えようとする人々が殺到して長い行列ができ、場所取りをしようともみ合いまで起きた。ロレン・ダリングさん(35)は「もしかしたら7歳の息子が人生でパンダを見る最後の機会になるかもしれないと思って飛行機に乗ってきた」と話した。

パンダは外交・政治的象徴性が大きく、英国の追加レンタルについては何も決まっていない状況だ。エディンバラ動物園側は「新しいパンダが来る計画はまだない」と明らかにした。

一方、韓国で初めて自然妊娠で生まれた3歳のパンダ、フーバオ(福宝)も繁殖が可能になる来年には中国に戻る。フーバオの親であるメスのアイバオ(愛宝)とオスのローバオ(楽宝)は2031年まで韓国で引き続き飼育される予定だ。


東京で生まれたジャイアントパンダ、中国に返還…所有権は中国
ⓒ 中央日報日本語版2023.02.21 

東京・上野動物園のジャイアントパンダ「シャンシャン」が観覧客と別れのあいさつをした。

上野動物園は19日、観覧客にシャンシャンを最後に公開したと報道した。動物園は1日の観覧客数を2600人に制限したが事前抽選に6万人以上が応募した。最も遅い時間帯の競争率は70倍に達した。

この日観覧客は動物園が準備したメッセージボードにシャンシャンに伝える最後のメッセージを残した。一部の観客はさびしさから涙を見せたりもした。

シャンシャンは2017年6月に上野動物園で生まれた。2011年に中国から借りてきたオスの「リーリー」とメスの「シンシン」の間に生まれた。

シャンシャンの所有権は中国にある。田中角栄政権時代に初めて、中国は1972年に日本との国交正常化を記念してパンダ1組を贈った。その後も日本にパンダを贈っているが所有権の移転は認めなかった。

シャンシャンは当初2019年に中国に返還される予定だった。だがコロナ禍を受け返還延期を求める市民の声が大きくなり数回にわたり延期された。シャンシャンは21日に中国南西部の四川省のパンダ保護研究センターに返還される。









中国進出日系企業の業績悪化際立つ 「拡大見込む」は初めて3割下回る ジェトロ調査

2023年11月22日


 海外に進出した日系企業のうち、経済が減速している中国に進出した企業の業績悪化が際立っていることが分かりました。

 ジェトロ(日本貿易振興機構)は、8月後半から9月にかけ海外83の国や地域の日系企業に実態調査のアンケートを行い、7632社から回答を得ました。

 それによりますと、海外に進出した日系企業のうち、今年黒字を見込んでいるのは63.4%で去年より1.1ポイント下がって3年ぶりに減少しました。

 特に日本との関係が厳しくなっている中国については経済の減速が響き、進出した日系企業の業績悪化が際立っています。
 事業拡大を見込む企業は27.7%と2007年の調査開始以来、初めて3割を下回りました。

 ただ、第三国への移転や撤退を見込む企業は0.7%にすぎず、ジェトロでは「中国の市場を確保したいものの、経済の低迷や先行き不透明があるなか、ビジネスの継続へ慎重に取り組む姿勢がうかがえる」と分析しています。



1975年から日中経済協会(日本の蔵売り)による訪中は、最大の危機となった!!

「日中経済協会」財界トップが大挙訪中も中国は塩対応、しかも帰国後にまさかの暴挙!
2024年2月2日








日本経済界の重鎮らが中国を訪れる日中経済協会(日本の蔵売り)の訪中団200名近くが、2024年1月23~26日の日程を終えて帰国したが、報道された成果は中身に乏しく「子供の使いか」と突っ込まれる始末だ。

「日中経済協会(日本の蔵売り)による訪中は1975年からほぼ毎年行われていましたが、19年秋に訪れたのを最後にコロナで途絶えており、今回は4年ぶり。訪中団は経団連の十倉雅和会長、日本商工会議所の小林健会頭が最高顧問を務め、進藤孝生・日本製鉄会長が団長という錚々たるメンツで、180人もの団員を引き連れて行われました。ところがアステラス製薬の駐在員が23年10月に逮捕され、企業が懸念を抱いている反スパイ法に関しては、王文涛商務相から『日本でも同様の問題が起きている』といった意味不明の回答をされるありさまでした」(経済ジャーナリスト)
続く李強首相との会談でも、今回の訪中で伝えるべき主要テーマであった日本の水産物の輸入禁止撤廃、日本人の短期滞在のビザ免除がコロナ以来4年近く停止になっている件についても、要求だけは伝えることはできたものの具体的対応についてはゼロ回答というのだから、「何のために行ったんだ」とも言いたくなる。

「もっとも、李強首相は習近平に次ぐナンバー2といっても、今は行政より党の方が圧倒的に力が強いので、ある意味、李強首相自身も『子供の使い』のようなもの。抗議の意を伝えたことに意義はありますが、習近平の首を縦に振らせない限りは大きな成果は得られません」(同)

そして訪中団が日程を終えて帰国した翌27日には、中国海警局の船2隻が尖閣沖の領海に侵入。1月11日以来、今年に入って2度目のことだったが、後ろ足で砂をかけるような行為をするあたり、なんとも厄介な国であることに変わりはないのだった。

(猫間滋)











  「2020年 オーストラリア編」




 今、オーストラリアと中国の関係がひどく悪化している。

 2020年6月8日、中国政府は中国人に対してオーストラリアに旅行しないよう勧告。中国の文化観光省のWebサイトには、「決して豪州には行かないように」との通知が掲載された。
中国側はこの勧告の理由を「オーストラリアで中国人への差別が横行している」からだとしている。だが直接の理由は、4月にオーストラリア政府が、新型コロナウイルス感染症に対する中国当局の初期対応などについて、WHO(世界保健機関)に独立的に検証する作業を求めたことがある。その報復として、中国政府は今、オーストラリアへのあからさまな「嫌がらせ行為」をいろいろと繰り広げているのだ。
まだこの対立が収まる兆しはない。そしてこの争い、日本にも対岸の火事ではない。というのも現在、オーストラリアの最大の貿易相手国は中国だが、それがシフトしていく可能性もあり、そうなると日本とビジネス面でのつながりが増す可能性があるからだ。

 オーストラリア政府は中国に対して、これから代わりに日本やインドとの関係をさらに強化するとも示唆している。つまり、日本のビジネスパーソンにとっても、この状況は知っておく必要があるだろう。
「新型コロナ発生の責任」を否定し続ける中国
 現在、中国は「新型コロナウイルスの発生源である」という世界的なイメージに過激なほどの反論を続けている。例えば、世界中でTwitterなどを駆使し、新型コロナの感染拡大について中国の責任を転嫁するようなプロパガンダを行っている。在日中国大使館も、5月に「COVID-19ウイルスについて米国による24のうそとその真相」という5回シリーズの動画をTwitterで掲載している。世界中の大使館関係者やプロパガンダ要員などが中国の主張を拡散させている。

 もちろん今のところ、新型コロナがどう発生したのか明確には分かっておらず、誰も100%正確なことは言えない状況ではある(もし誰かが真実を知っているにしてもそれが表には出ることは当面ないだろう)。要は、突っ込みどころの多い中国の言い分ですら100%間違っているとは今のところ言えないのが、新型コロナをめぐる情報を扱う際の難しさである。

とにかく、中国の対外イメージが低下しているのは間違いなく、それは中国の情報関連機関も認めている。中国政府系のシンクタンク、中国現代国際関係研究院では、新型コロナによって、中国に対する敵意が1989年の天安門事件以降で最も高まっていると分析している。中国はそれを何とか改善したいと考えているのである。
オーストラリアは2021年4月に国際社会に向けて独自調査を求めたことで、その中国の「地雷」を踏んだわけだが、もちろん全てを見据えた上での動きだと見る人は多い。なぜなら、これまでも、両国間にはさまざまな衝突があった。実のところ、オーストラリアによる中国に対する不信感はかなり根深い。
買収・投資でオーストラリアに侵食
 オーストラリアと中国は経済的なつながりも深く、関係は悪くなかった。もちろん水面下ではいろいろな駆け引きはあったが、両者の関係が表面的にも悪くなりだしたきっかけの一つは、2016年までに大きくなっていた南シナ海問題だった。16年当時、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海での中国の海洋進出を巡り、国連海洋法条約に基づいて、中国が主権を主張する独自の境界線「九段線」に国際法上の根拠がないと認定。中国が南シナ海に強引に造成した人工島は、「島」だと認めることすらしなかった。

 さらに2017年になると、オーストラリア国内で中国が異常な活動をしているという疑惑が明らかになり、両国関係がさらにギスギスするようになった。大きな話題となったのが、中国政府によるオーストラリアへの内政干渉工作だった。中国人留学生を使ったスパイ工作や、政治家へのひそかな献金、中国人による土地買収の強化などの行為が問題視されるようになっていった。
オーストラリアは、全土の2.3%を中国企業が所有しているとも言われている。また10年ほど前から、中国はカネに物を言わせて、オーストラリア企業の買収や投資をし、それに1500億オーストラリアドルが費やされているという。

 さらにオーストラリアの基幹インフラにまで手を出そうとした。15年には北部準州が、ダーウィン港の管理権を中国企業に99年間貸与する契約を結び、大変な論争を引き起こした。有事などの際に港がどう中国側に使われるか分からないという懸念が上がったのである。また2016年には最大都市シドニーなどに送電する電力公社オースグリッドについて、中国国営企業などが買収を試みたのだが、さすがに政府が安全保障上の懸念があるとして売却を阻止したこともある。

 少なくとも、中国がオーストラリアを乗っ取る勢いであったことは間違いない。中国は、オーストラリアで影響力を強めて親中にすることで、南シナ海問題でも自分たちが優位に立てると考えている。ちなみに中国のこうした動きは、インフラ投資という名で今まさにバヌアツやフィジーやカンボジア、タイ、マレーシア、ラオスなどでも起きている。バヌアツのラルフ・レゲンバヌ外相は悪びれることなく、中国からの多額の投資の見返りに、国連で中国寄りの投票を求められていると暴露している。
 中国はオーストラリア産牛肉を一時、輸入禁止とした。写真は2019年、中国・北京で。


ファーウェイの動きにいち早く警戒
 中国は、オーストラリアの政治にも食い込もうとした。2019年5月にオーストラリア史上初めて中国生まれの中国系オーストラリア人女性が連邦議会の下院議員に当選。だがこの女性が中国共産党と近い企業と関係があるとして糾弾されている。また、中国のスパイ工作員とみられる中国人が、若い中国系オーストラリア人男性を連邦議会で当選させようと画策していた疑惑も取り沙汰されている。この中国系オーストラリア人男性は結局、ホテルで死亡しているのが発見された。

 もう一つ忘れてはいけないのが、中国の電気通信大手、華為技術(ファーウェイ)の問題だ。オーストラリアは、米国政府が同盟国にファーウェイ製品の排除を求めた際、真っ先に賛同した国だが、その理由は、以前から独自でファーウェイの動きを警戒していたからだった。オーストラリアの大手企業元幹部は筆者の取材に「2014年に、社内のネットワークからファーウェイ製品を介してデータが不正に中国に送信されていることを察知した」と明かした。この大手企業は実際にファーウェイ側に説明を求めたそうだが、返答は「メンテナンスをしていた」というものだった。結局、同社はファーウェイと契約を解除し、政府にも通達。「それ以降、オーストラリア政府は政府関係機関や大手企業にファーウェイ機器を使わないよう非公式に通達していた」という。
とにかく、こうした経緯から、最近のオーストラリアと中国の衝突は起きるべくして起きたのである。そして冒頭のように「オーストラリアに行くな」と告知したり、中国人留学生にはオーストラリア留学に慎重な判断をするよう促したりしている。また中国政府は、オーストラリア産の食肉を一部輸入停止したり、オーストラリア産大麦に追加関税を課すなどの措置にも乗り出している。さらにはつい最近、麻薬密輸の罪で逮捕されていたオーストラリア人が死刑判決を下されたことも、中国による嫌がらせの一部と見る向きもある。

 こうした両国の関係は、今後さらに冷え込む可能性が考えられる。

(中国に変わって)日本は「オーストラリアとの関係強化」に期待できる
 日本としては、オーストラリアが中国と距離を置くことで、オーストラリアとの関係強化が期待できる。両国はこれまでも良好な関係を築いているが、その関係がさらに強まるかもしれない。事実、今後海外進出を考えている豪企業への調査では、進出先として日本は5位に入っている(2019年調査)。1位は中国で2位は米国だが、今年に入って中国とは対立し、米国は新型コロナや国内の暴動が不安要因として懸念されるようになっており、自ずと日本への注目も高まりつつある。

 さらに、オーストラリアが進めているスマートシティ計画でも、日本の先端テクノロジーが注目されており、何かと警戒される中国製品よりも期待されている。オーストラリア国内では南東部などで大型のインフラ開発が進んでおり、そうした事業でも日本への期待が高まっている。
国民感情的にも、オーストラリアは中国よりも日本にさらに近づくだろう。新型コロナが落ち着けば、さらなる商機も見えてくるかもしれない。世界を見据えているビジネスパーソンならしばらくオーストラリアの動向は要チェックだ。


新型コロナウイルス、最初の感染源ついに判明、やはり武漢の市場から 中国が誤魔化し切れなくなった「タヌキ」

2023年4月18日

中国当局(疾病予防控制中心)は、繰り返し否定しきたが、どうやら感染源(ウイルスのヒトへの仲介源)がしぼり込まれてきたようだ。それも中国側のポカによってのこと。自ら語るに落ちたわけだ。はっきり言えば、嘘がばれないように嘘の上塗りを重ねてきたが、ついに嘘をつききれなくなってしまった。


意図的だった? ズサン極まりない疫学調査

2019年の11月の末ないし12月の初めには、感染者が発見されていた。1ヵ月後には、感染者の多くが、武漢の駅の南にある大きな市場(主として水産物を扱う武漢華南海鮮批発市場)の関係者とわかり、翌20年の1月1日から閉鎖された市場で、ウイルス探しが始まった。



武漢華南海鮮批発市場  by Gettyimages

© 現代ビジネス

だが、サンプルの採取法が実にズサンだった。売り場を水で洗い、回収した汚水を区画ごとに分けて大きな容器に入れて運び、PCRによって検査した。


その結果は、ウイルスと売られていた動物とヒトの遺伝子、これら3種の遺伝子が混在する状態が、市場の区画ごとに確認されただけだった。


特定の売り場、特定の動物(商品)、特定の籠や箱や台車にはしぼりこまれなかった。疑われるものごとに拭き取り、個別に収集しなければならないのに、それをやらなかった。と言うか、できなかった。疫学調査の一丁目一番地のワキマエが欠けていた。


意図的にサンプルを破壊したのか、それとも疫学と防疫の水準の低さのためなのか。蔓延から3年を経過した現在から総合的に見ると、両方が原因だったと判断される。結果的には、学術の水準の低さを、国家の威信を一時的に守るのに利用したことになるだろう。


という次第で、市場の南西の区画、イカモノの獣(生きたまま、あるいは肉や臓物)をとくに扱う一角が、ウイルスで汚染されていたことだけは、中国当局も認めざるを得なくなった。そんな中途半端な状況のままが現在も続く。


フランスのウイルス学者が仲介源をタヌキと同定

今年の3月4日、フランスの国立科学センター(CRNS)のウイルス研究者で、大学でも教えるフロランス・デバールが気づいたのだが、インフルエンザ関連のデータ・センター(GISAID、本部はワシントンDC)に、武漢の市場で採取された遺伝子配列データが、中国から2022年6月付で登録されていた。


彼女を中心とするグループは、それらのデータをあらためて調べ、5日後の9日には、コロナ・ウイルスといっしょに8種類の野生動物とヒトの遺伝子が混在しているのを確かめた。野生動物は、タヌキ(日本のそれと同種)、ハリネズミ、ヤマアラシ、タケネズミ、マーモット、ハクビシン、イタチ、ブタバナアナグマだった。それらのうちで、店頭でもっとも多く見つかったのがタヌキの遺伝子だった。


論文では、8種類の野生動物の比率は示されていない。だが、「タヌキを含む野生動物」と筆頭に挙げることによって、売られていたタヌキが感染源だと、限りなく断定に近い表現になっている。検討結果は、論文として3月20日に公開された。


ところが、不可解なことに、中国からの申し出によって、肝心のデータそのものが3月11日に取り下げられた。フランスでのタヌキ同定を、中国当局が察知したからだろう。中国がもっとも隠したいタヌキに関するデータを、うっかり海外に出してしまったのは、科学的には妥当で必須だが、政治的には、つまり、中国の国際的駆け引きにとっては、致命的なポカだった。そのためますます自縄自縛に陥り――嘘のため嘘をつき続けねばならなくなった。


近くに存在する余りにも潤沢すぎるタヌキの供給源

中国の研究者によると、武漢の市場で売られていたタヌキは、平均すると毎月38匹、1匹の平均価格は63ドル(約8000円)だった。15匹を売れば、大学新卒の月給(12万円)と同じになった。おいしい商売だった。

高価で売れたのは、イカモノの獣肉の味覚や薬効からではない。それを使った料理は贅沢とされ、それを出されるのは歓待、格別な配慮の要請(一種の贈賄)を意味したからだ。


ということは、社会的腐敗がコロナ肺炎の世界的大流行をまねいたと、世界中から糾弾されることになるわけで、それを北京当局が恐れて、武漢の市場の感染情報を隠したがっているのだと疑われても仕方がない。


中国全土の獣肉市場には、広く全国に存在する毛皮獣飼育場から、タヌキやキツネやイタチなどが生きたままで供給されてきた。料理する直前まで生きているのが尊重されたからだ。というわけで、動物が飼育場でコウモリからウイルスをうつされると、ウイルスを持ったまま、動物が人口密集地に持ち込まれ、いともたやすくヒトへの感染源になる。そういう社会体制がつくられていたわけだ。


武漢の市場にタヌキを供給したのは、武漢と同じ省内、湖北省西端の山岳地帯、恩施(エンシ)地区に存在する飼育場群と推定される。飼育数は総計で100万匹とも伝えられる。この地帯は洞窟も多く、そこがコウモリの巣窟になっている。


この疫学モデル――「ウイルス→コウモリ→仲介動物→ヒト」――は、2002年11月から翌年7月にかけてのSARS(重症急性呼吸器症候群)の場合と、パターンが同じだ。


その点からしても、コロナ肺炎の武漢市場タヌキ起源説が、真相にもっとも近いと考えるべきだろう。これ以外の説は、米中の不信と敵意のフェイク・ニュース戦争の産物だ。


トランプ大統領のもとで、武漢の研究所からウイルスが漏れたのが原因と喧伝された。だが、研究所が保存するウイルスと、流行したウイルスとは、遺伝子の並びの細部が異なるので、この説は科学的にはまったく成り立たない。


それに対抗するため中国当局は、輸入した冷凍肉が原因だと、海外に感染源をなすりつけようと盛んに宣伝した。だが、そうした事例は世界中どこにも見られない。いまだに中国当局は海外原因説に固執するが、中国への信頼を損ねる一方だ。


次の新型肺炎はいつ、どこで起こるか

いつ起こっても、おかしくない。場所的には中国の東半分のどこで起こっても、おかしくない。というのは、感染の仲介源となる可能性の高い動物が、毛皮をとるため、中国の東半分、北から南まで、いたるところで盛んに飼育されているからだ。


砂漠と高山地帯を除く全土と言っても過言ではなく、ウイルスを運ぶコウモリの生息地とも完全に重なる。吹きさらしの野外の金網のなかで動物が飼われているので、自由に網の目をくぐってコウモリが動物の餌を盗みに入ってくる。ウイルスは何の障害もなく飼育動物へ伝染する。


シンガポールで発行される新聞「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」(2020年3月4日付け)が伝えるところでは、中国の毛皮業界の従業者は1400万、年間の売り上げ高は5200億元(740億ドル)に達する。


中国皮革協会によると、2021年の毛皮の生産枚数は、キツネが1100万、タヌキが919万、ミンクが687万だった。


タヌキの毛皮の生産地の比率は、河北省が66.51%、山東省が16.94%、黒竜江省が10.66%、その他が5.89%だった。武漢がある湖北省はその他に属する。つまり、武漢周辺よりもはるかに次の新型肺炎が起こりやすい地域がたくさん存在する。


振り返ると、この20年間、中国の感染症対策は本質的にはまったく改善されていない。それが証拠に、たとえば河北省の粛寧県(北京の南100キロメートル)では、昨年の暮れに「国際皮革交易会議」が開催され、年間250億元の売り上げがあったとの報告を基に、地域の人民政府の副秘書長が激励の挨拶をした。当局が音頭をとって、縮小するよりも拡大を策しているのだから、感染症対策に逆行することも甚だしい。二度あることは三度あると、世界中が覚悟していなければならない。


家畜以外は、つまり、野生動物は、市場での売買が禁止されたが、毛皮をはいだ後の肉や臓物がどのように処分されているかについては、はっきりしない。まさか市場の店頭で家畜の肉や贓物のなかにまぎれこんでいるとは、誰も思いたくないが、気になるところだ。


中国は感染症対策を根本的に改めないと、中国自体にとっても為にならないだろう。しかし、その気配はない。







「スリランカ編」



 99年租借地となっても中国を頼るスリランカ

スリランカのハンバントタ港が2017年7月より99年間にわたり中国国有企業・招商局港口にリースされることが決まった。このハンバントタ港をめぐる決定は中国による「債務の罠」の典型例と見なされている。すなわちインフラ建設などを行うために中国からふんだんに融資を受けたものの、施設が十分な利益を生むことはなく、借金が膨らみ、返済不能になり施設や土地を中国に明け渡さざるを得なくなった事例である。アフリカの国々はすべてこの罠にかかってしまった。

ニューヨークタイムズの衝撃
スリランカを「債務の罠」の典型例として報道する記事はこれまで数多くあったが、2018年6月25日付のニューヨークタイムズの記事は衝撃的だった。同記事は40,000ワードのボリュームからなり、これまで語られることのなかった事実が綿密な取材で構成されている。特に2つの点を明示したことに意味がある。一点目は中国と当時の大統領マヒンダ・ラージャパクサとその一族の密接な関係が暴露された。具体的には2015年の大統領選挙において、いつ、どのような経路で中国からいくら資金提供されたかなどである。二点目は、中国側もスリランカ側もハンバントタ港が軍事利用されないと再三述べているが、スリランカ側の役人らは、中国が港の戦略的な重要性を求めていることを十分認識していたことを明確にした点である。
当時の大統領マヒンダ・ラージャパクサとその一族





スリランカはいきなり「債務の罠」に陥ったわけではない。スリランカは2009年の内戦終結前後から中国との関係強化を進めていた。当時、スリランカは内戦を完全に終結させるために、内戦終結後の戦後復興を進めるための資金を必要としていた。つまり当初は国内的な事情があり中国の関与を望んだのである。このことはラオス、カンボジア、パキスタンにも当てはまる。

地理的な条件すなわちスリランカが島国であることから、中国の活動が周辺諸国から危険視され、牽制されることが少なかったことも、中国の関与が大規模に進んだ要因である。今でこそ、戦略的な重要性からスリランカにおける中国の活動にインドやアメリカが目を光らせているが、中国とスリランカの関係強化が始まった頃には「一帯一路」どころか「真珠の首飾り」という言葉も一般的ではなく、インドの警戒感も薄かった。

スリランカがインド洋の要衝といわれる理由は、パソコンやスマホでmarinetraffic.comと入力して見てみるとよくわかる。マラッカ海峡並みの重要性とは言わないものの、多くの船やタンカーがスリランカの南を通過しているのがリアルタイムで見ることができる。その数は年間6万隻といわれる1。そしてまさにスリランカの南端にハンバントタ港が位置し、スリランカと中国の合弁企業がその運営を99年間任されているのである。中国はマレー半島に運河を建設しようとして、マレーシアとも「一帯一路」の契約を結んだ。

もちろんラージャパクサ側は、ニューヨークタイムズの記事に猛反発している。ラージャパクサを選挙で破った現政権もこの記事に関してはもろ手を挙げて賛成しているわけではない。植民地化ではなくWin-Winであり、ハンバントタ港の軍事化はない、と明言している。2015年以前は、マヒンダ・ラージャパクサ前政権と中国が蜜月で、その状態を打開しようとしたのが現政権(マイトリパーラ・シリセーナ大統領とラニル・ウィクレマシンハ首相)なのだが、現政権も結局は中国との関係を重視せざるを得なくなっている2。

一般のスリランカ人は中国の影響力の浸透をどのようにとらえているのか
国際関係論の視点から中国のインド洋への進出は多方面から論じられている。地政学もスリランカ・中国関係を無視できない。ニューヨークタイムズが紙面を割いたのも関心の高さ故だろう。

では肝心のスリランカの人々は中国の進出をどのように思っているのだろうか。結論から言えば,スリランカの人たちはハンバントタ港の長期貸し出しにそれほど関心を示していない。だからこそ、スリランカの野党も表向きは政権の判断(長期リース)を批判しつつも、最終的に了承したのだ。

ただ、こうしたスリランカ国民の反応には違和感がある。なぜならスリランカは、2009年まで約30年間の内戦を経験した。北・東部の独立を求めたLTTE(タミル・イーラム解放の虎)と政府軍の戦いだった。究極的には居住地である国土を巡る争いだったはずだ。そのスリランカがなぜあっさりとハンバントタ港を明け渡したのか。

もちろん、周辺住民は今でも猛反発している。港とともに周辺の約60平方キロ3が工業団地として供与されることになっており、地元住民たちは田畑を接収され、生活の糧を奪われることに反発している。

しかし、ハンバントタ周辺で農業を営む人口は圧倒的に少ない。ハンバントタ県の人口密度は1平方キロ当たり240人(2012年センサス)で、コロンボ県(人口密度3325人)と10倍以上の開きがある。ハンバントタ周辺の人々の抗議は、中国に対する多額の借金返済に焦る政権によって無視され、中国からの直接投資や融資による開発の推進を求める大きな声にかき消されたようである。

2009年のハンバントタ港建設の様子。誰もいない建設現場

借金漬けの実情
スリランカの名目GDP(2017年)は871億ドルである。それに対して政府の対外債務は310億ドルとなっている。ちなみにスリランカが2008年から2018年の間に中国から借り入れたのは72億ドルである4。これをスリランカは返済することができないでいる。なぜか。一つには、中国融資の条件が他の国や機関より厳しいからである。金利が2%のものもあるが、なかには6.5%に設定されているものもある。据え置き期間も短い。二つ目には、融資を受けて作られたインフラが利益を生んでいないことがある。コロンボ首都圏とカトナヤケ空港を結ぶ高速道路は、確かに役に立っている。しかし、電力事情を一気に解消すると期待されていたノロッチョライ発電所(8億9000万ドル)は故障を繰り返している。マッタラ空港(1億8000万ドル)は世界一ガラガラの空港と言われている5。ハンバントタ港は2017年の一年間の寄港船数が251隻と惨憺たるありさまだった6。これらの操業による利益を返済に充てることは全くできないどころか、利益を上げているコロンボ港などの稼ぎで赤字を補てんしている状態だったのである。スリランカ側は中国に返済の延期などを求めたが、中国側は聞き入れなかった。

2017年9月のハンバントタ港の様子。RORO船から車両が積み下ろされている。
クレーンは設置されているものの、RORO船が主体であるため、ほとんど使用されていない

コロンボ開発にかすむハンバントタ
債務の罠」に注目する人々が見落としている、あるいは過小評価しているのが中国によるコロンボ周辺の開発だ。スリランカを訪れコロンボに少しでも滞在すれば、中国によるコロンボの開発は誰でも実感することができる。最も大規模なのはコロンボ・ポートシティ・プロジェクト(現在の名称はコロンボ国際金融シティ、CIFC)だ。コロンボ中心地に近接する沿岸部を埋め立てて広さ2.7平方キロの人工島を建設中だ。世界中から優秀な人材を集め、シンガポールやドバイのような金融都市を作るという。島にはオフィス地区だけでなく、ホテル、ショッピングセンター、エンターテイメント施設、学校、住宅地区なども建設される予定だ。埋め立て地とコロンボを結ぶ新都市交通機関も構想され、数万人の雇用が創出されると見込まれている。

現在進んでいるのは、埋め立てのみで、金融シティに関してはあくまで計画であり、実現するかどうかもわからないし、実際にスリランカ国民の所得が増えるかどうかもわからない。しかし、大規模な埋め立てがコロンボ市民の目前で日々進行するさまは圧巻で、内戦中の十数年にわたる低成長・停滞に淀んでいたスリランカにとって、希望を抱かせるのに十分な迫力である。  

さらにコロンボの街中には中国の建設するビルがそこかしこにある。中国人労働者向けの、漢字が書かれた看板があるので一目瞭然だ。これらのプロジェクトに直接従事するスリランカ人は決して多くないかもしれない。しかし、日々大きくなってゆくビル、埋め立ての進む現場に接すると、訪れたこともない、遠いハンバントタの港がかすんで見えても仕方ない。

ラージャパクサ政権時は中国からの資金を元手にしたインフラ開発が進み、好景気を下支えした。一方で現政権は、バランス外交を標榜して前政権との違いを明確にしようとしたものの、すぐに頓挫した。お金が足りなくなったからだ。そのせいだろうか、2017年の経済成長率は3.1%、南アジア諸国の中で最低だった。現政権としては、中国に借金を返し、中国から新たな融資や投資を得て開発をスピードアップして実績を作り、2020年の大統領選挙に臨みたいのだ。


どんどん高くなってゆくビル(2018年3月)。右端にあるのは中国による電波塔。
ビルが倒れかけているように見えるが、こういうデザインである。






コロンボ市民の憩いの場ゴールフェイスと目と鼻の先にあるポートシティ埋め立て現場と
中国の運営するコンテナ港CITC(2017年12月)。


対中国感情は?
中国語学習熱は高まっており、孔子学院も有力な大学に設立されている。現地エリート学校では中学生にもプログラミングと並び中国語を教えている。成績優秀者には中国短期留学の機会も与えられている。学生らの文化交流・大学における学術交流も盛んにおこなわれている様子だ。学生による「一帯一路」絵画展、大学間の考古学協力、そして海洋科学国際会議は第四回を数えている。どれも「一帯一路」を意識している。

中国人観光客は、今やインドに次いで二番目に多い。かつては街中で三輪車の運転手に「こんにちは、ありがとう」と声をかけられたものの、今ではほぼ「ニイハオ、シエシエ」だ。中国人観光客は、ツアーでやってきて、団体で定番の観光名所を巡り中華料理を食べているので、コロンボや観光地など特定の場所ではたくさん見かけるが、一般のスリランカ人の生活に入り込んでいることはない。

そのためか、国民間のトラブルは今のところ多くない。しかし、今後ツアー以外で訪れる中国人や定着する中国人が増えると摩擦が生じるだろう。スリランカはイスラム教徒が少ない7ので、酒に関するトラブルは比較的少ないが、風紀・宗教上、酒が禁止される地区や時期がある。これを守らない中国人にたいする嫌悪感があるようだ。また、免許制になっているツアーガイドをモグリで行う中国人がいることなども報告されている。

政治家らは与野党とも、もはや中国なしには経済が成り立たないのを理解している。国民も中国の投資や資金による開発を待ち望んでいる。よほどのことがない限り、この流れは変わらないものとみられる。

著者:荒井悦代(あらいえつよ)。アジア経済研究所地域研究センター動向分析研究グループ長。著作に『内戦後のスリランカ経済――持続的発展のための諸条件』(編著)アジア経済研究所(2016年)など。
https://thediplomat.com/2016/06/can-sri-lanka-leverage-its-location-as-indian-ocean-hub/
荒井悦代「バランス外交と中国回帰で揺れるスリランカ」『アジ研ワールド・トレンド』257号(2017年3月)、44-51ページ。
山手線の内側ほどの面積。面積はコロンボ1-15区をすべて合わせたものよりも大きく、全国の工業団地として指定されている地区の面積を合わせたものよりも大きい。労働力の現状からすると現実離れしている。
https://drive.google.com/file/d/1y0s546rtkH08jqfMMaEQeF4iNDEo4hH5/view
https://www.forbes.com/sites/wadeshepard/2016/05/28/the-story-behind-the-worlds-emptiest-international-airport-sri-lankas-mattala-rajapaksa/#20c3f3e37cea
それに対してコロンボ港は5126隻の寄港があった。https://www.hellenicshippingnews.com/sri-lanka-port-authority-profits-up-after-china-takeover-of-hambantota-port/
ただしコロンボ都市部にはイスラム教徒が多い。



モルディブ大統領選 “親中国”野党候補が勝利と報道 インド重視の現職は敗北宣言
2023年10月1日
中国との関係強化を目指すムイズ氏

インドと中国が影響力を競うインド洋の島国モルディブで、大統領選挙の決選投票が行われました。

中国寄りの野党候補の勝利が確実となり、インドを重視してきた現職大統領ソーリフ氏は敗北を宣言しています。

5年に一度のモルディブ大統領選は、2023年9月30日、決選投票が行われ、2期目を目指す現職のソーリフ氏と、首都マレの市長で野党候補のムイズ氏の対決となりました。

ソーリフ氏は、中国からの融資でインフラ開発などを推進した“親中国路線”からの転換を図り、インドとの友好協力を深めてきましたが、与党側の分裂もあって失速。
現地メディアは2023年10月1日未明、即日開票の結果、中国との関係強化を目指すムイズ氏が勝利したと報じ、ソーリフ氏も敗北を認めました。

海上交通の要衝にあるモルディブで再び中国の存在感が強まれば、対中国を念頭に関係強化を図ってきたインドや日本、アメリカの外交・安保戦略にも影響を与える可能性がある。


 先月9月9日に実施された最初の大統領選は8人の候補が争ったが、過半数の候補はなく、46%を得票したムイズ氏と39%を得票したソーリ氏の決選投票となっていました。

 インドと中国のどちらと関係を深めるかは前回2018年の大統領選に続く争点。そのときの大統領選では、当時の現職アブドラ・ヤミーン氏が「一帯一路」を掲げる中国の資金により空港や橋などのインフラ整備を進めたことに「債務のわな」に陥るとの批判が集まり、親インドのソーリ氏に敗れた。ソーリ氏は大統領に就任すると過度な中国依存の見直しを表明し、インドとの友好協力関係を進めてきた。
 これに対し、ヤミーン政権時に閣僚を務めていたムイズ氏はモルディブのインド軍駐留は脅威だとし、「国の独立と主権を守る」などと訴えている。


 モルディブはインド洋の海上交通の要衝にある。千余りの島々からなり、人口約55万7千人(20年)。面積は東京23区の約半分。











2021年4月2日
経済か安全保障か 「一帯一路」で揺れるスリランカ
中国が南アジアに進出する上で重要な手段が、習近平国家主席の看板政策「一帯一路」構想であり、その中でスリランカは重要なパートナーだ。

2014年、スリランカを訪問した中国の習近平国家主席とそれを出迎えたマヒンダ・ラージャパクサ大統領(当時)。中国は専制政治の小国と協力する傾向がある (NURPHOTO/GETTYMAGES)




2013年以来、中国とスリランカの間には戦略的協力パートナーシップがあるものの、特にインフラと連結性強化のための協力に関しては、両国の関係には疑念と不安がつきものだ。島国かつ途上国であるスリランカは、連結性強化事業への中国からの資金提供と関与を積極的に歓迎し、そのプロセスの中で経済大国・中国との、より緊密な包括的パートナーシップをスタートさせた。

 しかし、こうしたパートナーシップの成熟化に問題が伴わないわけではない。「海のシルクロード」の下での中国からの開発支援や経済的影響力の増大は、経済小国にとって「債務の罠」につながると懸念され、スリランカでは議論が起こっている。



国際社会で孤立していた
スリランカを支援した中国
歴史的に見て、中国・スリランカ関係が深まったのは、スリランカ政府と反政府勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」との内戦の時期である。当時、国家支援の下で人権や公民権を侵害しているという疑惑が広がり、スリランカ政府は国際社会で孤立を深めていた。西欧諸国から距離を置かれ、国内では内戦を抱えたスリランカに対し、手を差し伸べたのが中国だった。財政支援、軍事物資の提供を行い、さらに国連では政治的に援護し、国際社会からの制裁を妨害してスリランカ経済への大打撃を回避した。

 中国の手厚い支援により、スリランカ政府は2009年にLTTEを打倒した。その後も支援は2015年まで続き、中国は権力の集中したラージャパクサ一族と親交を深め、中国にとってスリランカは今後の南アジアを展望する上で欠かせない存在となり始めた。

 実際、習近平国家主席は2014年、中国首脳としては1986年以来初めて、スリランカを公式訪問した。さらに、スリランカの新聞に両国の関係の重要性を強調する記事を寄稿し、「チャイナ・ドリーム」と、マヒンダ・ラージャパクサ大統領(当時、現首相)の選挙公約「マヒンダ・チンタナ」で示された方針を結びつけた上で、共通のビジョンを実現するために両国関係のさらなる発展を呼びかけた。

 この結果、ハンバントタ港開発事業をはじめ、スリランカは中国から巨額の融資、投資を受けることになった。この決定は同時に、中国がスリランカにおいて深い政治的影響力を持つことを浮き彫りにした。海外進出の際、中国は通常、まず経済的なプレゼンスを確立し、それを基に政治的にも台頭してきたが、スリランカでは経済ではなく政治的影響力を先に確立した。

 しかしながら、ハンバントタ港の開発が果たして小国スリランカに必要なのか、特に首都に所在する主要港が栄え、拡張の余地もある時に必要性があるのかという点は、国内外の戦略専門家の間で大きな議論の的となった。

 中国・スリランカの経済交流は、1952年にスリランカのゴム、中国のコメを相互に供給する協定から始まる。この「友情協定」のおかげで、スリランカ政府はコメ不足を相殺するとともに、余剰となったゴムを売る市場を確保することができた。この協定以降、スリランカは非共産主義国としては初めて、中国との経済関係を樹立することになった。

 こうした経済交流は2国間関係を評価する一つの基準だが、最近では軍事、戦略、開発分野を網羅するまでに発展した。一帯一路はまさにこのような文脈に沿っており、インド洋地域の重要な沿岸国家として浮上したスリランカを、インド洋海域で活動する際の足掛かりとして中国は利用できる。中国共産党は歴史的に、政党同士の関係に基づく外交を採用していて、スリランカのような専制政治の小国と協力する傾向が特に見られる。

 スリランカ政府は当初、南アジアにおけるインドの伝統的な影響力を考え、インド政府にハンバントタ港開発支援の話を持ちかけた。しかし報道によれば、元インド外務次官で当時の国家安全保障顧問のシブシャンカル・メノン氏は、ハンバントタ港開発事業について「当時も、そして今も、経済の失策である」としている。インドがこの事業へは投資しないと決めたことで、中国が一帯一路を理由に参入することになった。

 そして現在、一帯一路の下で受けた融資をスリランカ政府が返済することができないため、中国は99年間にわたるハンバントタ港の運営権を手に入れた。戦略的に見れば、ハンバントタ港は中国にとっての地域のライバル、インドの目と鼻の先にあるインフラであるため、中国の海上交通路戦略「真珠の首飾り」において、スリランカがインド洋の一粒の真珠になるのではないかという不安が高まっている。

 ハンバントタ港の99年にわたる運営権の譲渡を、非常に大きく警戒したのが政治・戦略の専門家らである。「債務の罠」外交によって、重い債務負担を抱えた小国の返済が継続不能となり、代わりに戦略拠点として重要なインフラへのアクセスを手放すことになる事態に、懸念を強めている。
日米豪印戦略対話に
対抗して関係強化
 新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中で、中国とスリランカの関係は拡大することになった。20年、中国政府はスリランカに対して、マスク5万枚超と新型コロナウイルス検査キット1000セットを超える、大規模な人道・医療支援だけでなく、9000万㌦の経済支援も行ったが、「債務の罠」につながるとされる批判を払しょくする狙いがある。

 中国のこうした動きは、より大局的な「マスク外交」戦略、そして一帯一路をインフラ整備支援に限定するのではなく、パンデミックがもたらした新たな問題に対処するための「ヘルス・シルクロード」へとシフトする試みと同調している。

 また、2020年10月6日、米国、インド、日本、オーストラリアの外相が行った、「日米豪印戦略対話(クワッド)」の第2回閣僚級会談の後、おそらくこの会談に対抗する狙いで、中国はスリランカとの関係強調を図る動きを見せた。20年10月9日、中国政府高官の代表団は、スリランカ大統領および首相と会談し、金融における2国間関係の拡大を協議した。金融の流動性を高めるため、100億元の通貨スワップ協定の交渉が行われた。これは4億㌦のスリランカ・インドの通貨スワップ協定の規模をはるかに上回る。

 中国中心の将来の展望がスリランカにとって何を意味するのかについては懸念が広がっており、またスリランカ外務次官はハンバントタ港の〝リース〟は「間違い」で、戦略的安全保障の観点から「インド優先」のアプローチへの修正が必要だと認めている。

 それでも、スリランカが開発支援を必要としているため、安全保障関連の要素を欠いたまま展開され、中国とのつながりは非常に重要なものとなっている。今後の進展においてはむしろ、スリランカはこの地域におけるインドと中国に対するヘッジとなることを受け入れ、両国から同時に利益を得られるよう、基本的に中立に徹し、安全保障も経済繁栄と同様に優先しようとする可能性がある。

ハンバントタ港は、スリランカにおける一帯一路事業のほんの一例に過ぎない
(XINHUA NEWS AGENCY/AFLO)釧路港もこうならない様に望む。

特に一帯一路の主力事業であるCIFCは投資額が150億㌦を超え、開始当初から物議を醸してきた。インドは海洋主権、およびこの事業がもたらす貿易リスクについて懸念している。CIFCは透明性の欠如、汚職、環境への影響といった観点から疑問視され、非難を受けた結果、事業は一時停止、捜査中となったが、その後2016年の新協定の下で再開された。

 こうした事例は、一帯一路の根底にある意図や、参加する中小国家への影響をめぐる議論を増加させている。スリランカで問題となっている事業によって、実際、途上国における一帯一路との微妙な関係性が示され、その賛否とともに、参加国と簡単には切り離せない実態も明らかになっている。

 一帯一路のおかげで、観光業、貿易、連結性の強化を通じ、スリランカは経済の再建と発展を遂げたが、その一方で、安全保障と主権をめぐる重要な問題も抱えている。このジレンマはポスト・パンデミックにおいては、一層深刻になるよりほかない。なぜなら、スリランカは安全保障面での懸念があっても、中国への依存を、その度合いを増さないにしても、継続するしかないからだ。

 一帯一路での「債務の罠」外交に懸念を抱くのはもっともだが、スリランカはその「罠」にまだ完全に陥ったわけではない。中国への債務は合計で、スリランカの国内総生産(GDP)の6%ほどだ。とはいえ、多額の債務残高を抱えていることは、スリランカには債務管理の枠組み改善が必要であると示している。

 コロナ禍で一帯一路事業に遅れが発生しており、コロンボ港湾都市事業は特にパンデミックによる複数の問題に直面している。このような状況にある今こそ、スリランカにとって時は熟したと言える。債務管理能力を強化し、将来の一帯一路での取引において、それに準じた戦略を実行すべきだ。

 コロンボ港の開発を加速させた、コロンボ国際コンテナターミナル(CICT)をはじめ、スリランカ経済に大きく寄与した事業もある。しかしながら、スリランカでの一帯一路事業のため、中国からの輸入が増えたことで、対中貿易赤字が拡大しており、スリランカにとっては、資金の流入や、インフラ建設以外に得られるメリットは限られている。一帯一路事業のほとんどを、地元の事業者ではなく中国系企業と労働者が行っているため、スリランカ人労働者のスキル向上をもたらすような、知識の移転もごくわずかだ。

 一帯一路の下での取引において、今後はこうした要素も検討せねばならない。スリランカにとって、より包括的な利益を得られる、有利な形の協定を結べるよう交渉することが必要だ。

 スリランカのような島国にとって、国内で中国が実施する事業が及ぼす環境への影響も大きな懸案事項となってきた。だが、中国自身が持続可能な開発を重視する方向にシフトしていることにより、その影響は是正され始めている。その証左に、中国が最近発表した「新時代における中国の国際発展協力」白書では、丸々1章分を割いて、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に貢献するための目標について述べている。

 以前の開発事業は環境破壊につながることが多かったが、CICTやコロンボ港湾都市事業などの最近の事業は、「グリーン・シルクロード」の名の下、より厳格な環境基準を満たすよう調整されている。信頼に値する、高い水準の気候変動対策および環境ガイドラインを保証するため、スリランカはグリーン投資家からの追加の出資を求めるとともに、国内規制の強化を行わなければならない。

スリランカに求められる
「デュアルトラック」外交
 いずれにせよ、スリランカや、特にインドをはじめとする戦略面での利害関係国にとっては、中国が債務軽減と引き換えに手に入れたインフラと一帯一路事業を軍事利用するかもしれないという不安が、国際的緊張と中国政府が貫く修正主義によって助長されている。

 これらを念頭に、スリランカは2018年、海軍の南部司令部をゴールからハンバントタ港へ移転し、同港での海軍プレゼンスを強化した。とはいえ、安全保障面での懸念に適切に対処し、国内での一帯一路事業に対する世論の信頼を回復するためには、政策当局、学者やアナリストによる継続した監視が必要である。

 スリランカ自身は、これまでのように外国からの借り入れに依存するのをやめ、貿易と投資に重点を置く必要がある。そのためには、大規模な軍を保有しない小国のスリランカは、より大きな自律性をポスト・パンデミックの世界で戦略的に追求すべきだ。

 米中対立は過熱し、さらにスリランカにとって最大の貿易相手国、インドも中国との緊張を抱え、対立関係が続いている。そのような状況では、小さな島国のスリランカは、経済面よりも安全保障面での国益を守ることが必要不可欠になるだろう。

 これは、確かな基盤を持ち、入念に練られた「デュアルトラック」外交、すなわち地政学的現状に即し、インド太平洋地域と中国の両方を大きく関与させる形をとることで、実現できる可能性がある。

 つまり、ポスト・パンデミックに台頭する国際秩序において、スリランカの外交政策の指針は、日豪印が構築を目指す「サプライチェーン・レジリエンス・イニシアティブ」といった枠組みへの参加や、インドやモルディブとの海洋安全保障パートナーシップの構築、米国との政治関係の強化や、インド太平洋諸国との貿易関係の深化を重視したものでなくてはならない。中国の一帯一路との関わりが予定通り前進し続けるにしてもだ。
2013年、中国の習近平国家主席が突如打ち出した「一帯一路」構想。中国政府だけでなく、西側諸国までもがその言葉に“幻惑”された。それから7年。中国や沿線国は何を残し、何を得て、何を失ったのか。現地の専門家たちから見た「真実」。それを踏まえた日本の「針路」とは。

2022年5月10日 スリランカのラジャパクサ首相、危機  



最大都市コロンボにある首相公邸付近ではデモ参加者の一部と与党支持者が衝突。辞任表明後も、デモ参加者の一部がラジャパクサ一族の保有する民家などに火を放った。

スリランカの政治を長年動かし、権力を握ってきたマヒンダ・ラジャパクサ首相が9日、辞任に追い込まれた。経済発展を優先する政策を推し進めてきたが、コロナ禍で経済危機が深刻化し、民心が離れた。生活苦に怒り、抗議デモを続ける人々は「ラジャパクサ一族を政界から追い出そう」と、大統領を務めるマヒンダ氏の弟の辞任も求めている。

 マヒンダ氏は2022年5月9日、辞意を伝える書類を弟のゴタバヤ・ラジャパクサ大統領宛てに送付した。

スリランカが陥った危機、その発端と意味合いとは-QuickTake
Niki Koswanage
2022年5月10日 17:38 JST

南アジアの島国スリランカでは物価高騰や食料・燃料不足、長引く停電に対する抗議活動が相次いでおり、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の政権維持が揺らいでいる。兄のマヒンダ・ラジャパクサ首相が2022年5月9日、辞任表明に追い込まれた一方、野党側は選挙の実施を要求している。

  観光依存度の高い経済は既に新型コロナウイルス禍で大打撃を受けていたが、政治的混乱と散発的な暴力の影響も重なり、外貨不足への対応や経済運営に必要な追加資金確保の取り組みは混迷の度を深めている。

1.危機の発端は何か

ラジャパクサ大統領は2019年終盤にポピュリスト的な減税に踏み切った。コロナ感染症のパンデミック(世界的大流行)で、スリランカ経済が大打撃を受けるわずか数カ月前に税収が減少。多くが仕事を失う中で海外のスリランカ人労働者からの送金も細ることになった。野心的なインフラプロジェクトに充てる資金を中国から借り入れたことなどで対外債務は膨らみ、その対応に追われている。

スリランカはインドなど近隣諸国からクレジットラインを確保したが、燃料や主要な食品の輸入代金支払いを定期的にできなくなった。さらに、ラジャパクサ政権が昨年、化学肥料の使用禁止で有機農業にかじを切ったことで、農業従事者からの抗議を招き、極めて重要な茶葉やコメの収穫が減ったことも状況の悪化に拍車をかけた。

2.スリランカ経済に何が起きているのか

ロシアのウクライナ侵攻で原油など商品が世界的に値上がりしており、810億ドル(約10兆5500億円)規模のスリランカ経済は破綻に近い状態だ。経済成長率は鈍化し、インフレが高止まりしている。コロンボの消費者物価指数(CPI)は4月に前年同月比で30%近く上昇。3月は約19%上昇だった。

  スリランカ当局は利上げや通貨の切り下げ、非必需品の輸入制限などに踏み切ったが、外貨準備はわずか20億ドル、今年迎える債務の支払いが70億ドルに上っており、スリランカ経済が健全性を取り戻すのは容易ではない。ラジャパクサ首相の辞任表明で緊急融資の確保に向けた国際通貨基金(IMF)との交渉を主導する政府も不在となった

3.国民が抗議するのはなぜか

3年前の大統領選でゴタバヤ・ラジャパクサ氏を選んだスリランカ国民は、生活がますます厳しくなっていると感じている。スリランカ政府はエネルギーの輸入代金支払いに苦慮しており、家計と企業は3月以降、停電に悩まされている。給油所には長蛇の列ができているほか、食品があっても日常的な供給不足で値段が極めて高い。反ラジャパクサ陣営はこの数週間、大統領辞任を求めてコロンボで野営を続けている。

4.スリランカ政府の対応は

ラジャパクサ大統領は今月5月6日、ここ2カ月で2度目となる非常事態を宣言し、法律の一時停止や人々の拘束、財産の差し押さえなど幅広い権限を確保した。一部の抗議活動が暴徒化し、全土で外出禁止令が出されたほか、地元メディアによればコロンボでは軍が招集された。負傷者は数十人に上っている。20年の憲法改正で権限を拡大したラジャパクサ氏はこうした暴力を非難し、危機克服に向けて挙国一致内閣に加わるよう全ての政党に呼び掛けた。他方、野党指導者らは選挙の実施などを求めている。

5.スリランカを取り巻く環境とは

1948年に英国から独立して以降、スリランカは紛争と切り離せない歴史をたどってきた。多数派シンハラ人主導の政府と少数派で分離独立を目指す「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」との内戦は数十年にわたり続き、死者は10万人に上った。この内戦は2009年に終わり、19年のイースターに200人余りが死亡した自爆テロ事件が起きるまで落ち着いた状況が継続していた。元軍人で、内戦の英雄と多くの有権者から評価されていたラジャパクサ氏が大統領に当選したのはテロ事件から数カ月後のことだった。

  また、スリランカは中国とインドがそれぞれの影響力を争う場にもなっているが、ラジャパクサ一族は中国寄りにかじを切っている。

6.スリランカ経済の今後


利払いが迫るスリランカは支援を求めてインドに接触。2022年5月12日には債権者にデフォルト(債務不履行)の可能性を警告し、一部の対外債務の支払いを停止した。財務省は支援パッケージでIMFとの協議を進めると表明したが、アリ・サブリ財務相は今月上旬の議会で、危機から脱するのに2年を要する可能性があるとの見方を示した。ラジャパクサ政権は不人気な緊縮策が盛り込まれることを警戒してIMFへの支援要請に極めて消極的だった経緯もある。

原題:How Sri Lanka Landed in a Crisis and What It Means: QuickTake(抜粋)


スリランカでインフレを巡り数週間にわたって続く抗議デモが2022年5月9日夕に激化し、政府は公共物などを破壊する人々への銃撃を軍に命じた。軍報道官が電話で明らかにした。現地報道によると、デモ隊は与党議員の自宅を標的にしている。

  同国では政権支持者とデモ隊が2022年5月9日に衝突。同日にマヒンダ・ラジャパクサ首相が辞任するなど事態が急速に動いている。政府は全土を対象に外出禁止令を発令した。

スリランカ首相が辞任、大統領の実兄-危機エスカレートの中 (1)






  首相の実弟であるゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は平和を呼び掛け、政治の安定を取り戻すべく政府が努力することをツイートした。


[FT]スリランカ首相「中国から数億ドルの融資提案」
FT
2022年5月30日 11:58 

スリランカのウィクラマシンハ首相は、中国から同国に「数億ドル(数百億円)」の融資を提供するとの提案があったことを明らかにした。生活必需品が不足するスリランカの窮状を解消するためだ。
スリランカ政府は経済破綻を回避するために緊急支援を求め、国際通貨基金(IMF)との交渉を続けている。ウィクラマシンハ氏は5月、同国の首相に任命されたばかりだが、中国の提案について最終合意を目指していると語った。だが、...


スリランカ、ロシア産原油輸入へ 米報道
南西ア・オセアニア
2022年5月27日 21:50

米ブルームバーグ通信は2022年5月27日、スリランカがロシア産の原油を輸入すると報じた。ロシアからタンカーがスリランカに向け出航しており、2022年5月28日にも原油を受け入れる予定だという。ロシアはウクライナ侵攻で欧米が発動した経済制裁によって打撃を受けているが、インドなどはロシア産原油の輸入を増やしている。
スリランカは新型コロナウイルスの影響で主要産業である観光業が打撃を受け、深刻な経済危機に陥っている。外貨不足による急激な物価上昇で食料から石油まであらゆる物資が不足しており、市民による政権に対する抗議活動も続いている。

経済危機に直面するスリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は2022年5月26日、「アジアの未来」に映像メッセージを寄せ、目先の生活必需品の供給や債務再編に向け「緊急のつなぎ融資が必要だ」と述べた。金額には言及しなかったが、日本との間で交渉が進んでいることも明らかにした。
スリランカの対外債務残高は2021年末時点で500億ドル(約6兆3000億円)を超える。22年中に70億ドル分の支払いが期限を迎えると報じ...
この2人に、日本は騙されてはいけない!

債務の罠の帝国「中国」!!!!
海洋の一帯一路の要衝スリランカが!!
スリランカのウィクラマシンハ首相は2022年7月5日、同国の「破産」を宣言した。インドの南東に浮かぶ島国・スリランカは人口約2200万人。昨年10月には、イラン石油公社に代金を支払えず、特産品の紅茶でバーター取引を行った。



ハンバントタ港のリースのように、スリランカはしばしば中国による「債務の罠」が指摘されるが、これまでの報道によると、対外債務に占める中国の割合は1割程度で、日本と同程度という。政策運営の失敗を指摘する声もあり、破産に至るまでにはさまざまな要因があるようだ。
一国の破産に、日本でもネット上で驚きの声があがった。
中国から支援漬けにされて手のひら返されたら今度はロシアとか。一帯一路構想なんかに乗っかっちゃったから隣国の不興を買っちゃったりしたわけだけど、まずはインドや日本に声かけなよ。中国との港湾租借契約なんか破棄しなよ。




世界情勢はまた少しずつ変化していきそうである。





  「2021年:オーストラリア編」


豪州、商業港の契約見直しで“中国排除” あわや機密情報ダダ漏れ…日本の地方も狙う中国のしたたかな浸透工作
2021年5月

オーストラリア連邦政府による「中国排除」の動きが活発化している。地方政府が中国企業と結んだ北部ダーウィンの商業港の賃借契約について、見直しの検討を始めたのだ。日本と米国、インドとの戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」の一角であるスコット・モリソン首相率いるオーストラリアは、習近平国家主席の中国共産党政権による軍事的覇権拡大や、香港やウイグルでの人権弾圧を断じて看過しない姿勢を明確にしつつある。中国の浸透工作が指摘される日本は大丈夫なのか。産経新聞論説副委員長の佐々木類氏が迫った。


 「冷戦思考とイデオロギー上の偏見に基づき、両国の正常な交流や協力を妨害、破壊する一連の措置を打ち出した」

 中国国家発展改革委員会は6日、オーストラリアとの戦略経済対話に基づく、すべての活動を無期限で停止すると発表し、こう反発した。具体的理由は明らかにしていないが、連邦政府がダーウィン港の賃借契約の見直しを検討していることへの報復措置とみられる。

 ダーウィン港は、インド洋の一部ティモール海に面し、太平洋にも近い。第二次世界大戦前から海軍基地が置かれ、米海軍艦船が寄港したり、在沖縄米海兵隊がローテーションで駐留している。オーストラリアにとって国防上の重要拠点である。

 同港をめぐっては、中国企業「嵐橋集団」が2015年、ダーウィンがある地方政府・北部準州と約5億豪ドル(約424億円)で99年間賃借する契約を結んだ。オーストラリア北部で唯一、大型艦が接岸できる軍民共用桟橋も賃借契約の対象だ
当時の嵐橋集団トップの葉成氏は、中国人民解放軍の出身で軍と密接な関係にあった。葉氏は、アンドリュー・ロッブ元貿易相を議員辞任後に年収88万豪ドル(約7460万円)で集団の顧問として迎え入れるなど、政界人脈を利用して同国への浸透工作を図っていた。その事実は、公共放送ABCなどの報道で知られている。

 ティモール海を隔てた対岸には、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を支持する東ティモールが位置する。東ティモールでは、中国が経済支援をテコに存在感を強めており、ダーウィン港を出入りする米軍やオーストラリア軍艦船の監視を強めているのが実態だ。

 これだけ重要な港が、中国企業の管理下にあるのだから、オーストラリア連邦政府が見直すのは当然だし、遅いくらいの対応だ。「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向けたクアッドの一角がこの体たらくだったのだから、何とも心もとない。

 3日付のオーストラリア紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」によると、モリソン首相が議長を務める国家安全保障会議から契約の見直しについて、ピーター・ダットン国防相に助言を求めてきたという。連邦政府は国防省の判断を踏まえて、嵐橋集団にダーウィン港の管理権を強制的に売却させる見通しだ。
■“微笑み攻勢”釧路市に中国の魔の手

 日本と違ってオーストラリアは連邦制をとる。地方政府の権限が強いとはいえ、ことは「国防上の問題」だ。地方自治体が金目当てに中国とやりたい放題でいいわけがない。

 クアッドもそうだが、オーストラリアが、米国と英国、カナダ、ニュージーランドの英語圏4カ国とつくる機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」も、オーストラリアがこんな状態ではその名が泣こうというものだ。機密情報がダダ漏れになるところであった。

 気を付けねばならないのは、日本も他人事ではないということだ。

 したたかな中国共産党政権は、他国の地方から中央を包囲する毛沢東戦略」を実践し、その毒牙は日本の地方にも向けられているからだ。

 微笑みながら相手国の土地やインフラ施設の乗っ取りを狙う「チャーム・オフェンシブ(微笑み攻勢)」がそれだ。姉妹都市文化交流を装った日本の地方自治体への働きかけは彼らの常套(じょうとう)手段であり、最も得意とする浸透工作でもある。

 そのターゲットの一つが北海道釧路市だ。次回は釧路市に忍び寄る中国の魔の手について、報告する。
「豪首相は激怒」なぜ中国報道官は"陰惨なフェイク画像"で豪州を挑発したのか
中国外務省の趙立堅副報道局長(中国・北京=2020年4月8日)






アメリカで全頭引き上げ作戦…中国・習近平の超露骨な「嫌がらせパンダ外交」は日本にも波及する
2023年11月18日

Pandaには罪はない!習近平の「一帯一路外交」「微笑外交」「パンダ外交」に問題がある。もう、そろそろ、これらに騙されてはいけない。

アメリカで全頭引き上げ作戦…中国・習近平の超露骨な「嫌がらせパンダ外交」は日本にも波及する
© アサ芸プラス



アメリカ西海岸のサンフランシスコ近郊で、1年ぶりに行われた米中首脳会談。だが、史上最悪のレベルにまで冷え込んだ米中関係の雪解けは、全く見えてこない。

今年6月、アメリカのバイデン大統領は中国・習近平国家主席を「独裁者」と一刀両断。中国側は「挑発だ」「ばかげている」などと猛反発していた。今回の米中首脳会談の直後に行われた記者会見でも、バイデン大統領は次のように述べて、前言を撤回しなかった。

「我々とは全く異なる共産主義国家を統治している人物という意味で、習近平は『独裁者』だ」
当然ながら中国外務省の毛寧副報道局長は、

「完全に間違っており、断固として反対する」


と猛反発している。

そんな中、アメリカ国内では「来年には全米からパンダが1頭もいなくなる」との悲痛な声が、燎原の火のように広がり始めている。いったいどういうことなのか。

今年11月初頭、アメリカの首都ワシントンにあるスミソニアン国立動物園のパンダ舎の前には、多くの来園者の姿があった。次から次へと来園者がパンダ舎に詰めかけたのは、11月8日に中国に返還されることが決まっていた3頭のパンダ、すなわちメイシャン(美香=メス25歳)とティエンティエン(添添=オス26歳)、そして2頭の子供にあたるシャオチージー(小奇跡=オス3歳)との別れを惜しむためだった。

複数の米メディアによれば、スミソニアン動物園側は前例に倣ってパンダの貸与延長を申し入れたが、中国側は断固としてこれを受け入れなかったという。

アメリカ国内では、2019年に西部サンディエゴの動物園からパンダが返還されたのに続き、今年4月には南部メンフィスの動物園でもパンダの返還を余儀なくされている。しかも来年には南部アトランタの動物園からの返還も予定されており、これが断行されれば、全米からパンダが1頭もいなくなる事態に立ち至るのだ。

中国の「パンダ外交」の過去と現在に詳しい国際政治学者が指摘する。

「パンダ外交の歴史は古いが、習近平は今、『新パンダ外交』を掲げて戦略を先鋭化させている。具体的には、ロシアなどの友好国にはパンダを積極的に貸与する一方、アメリカなどの敵対国にはパンダの返還を迫るという、露骨な両面戦術です。今回の全米からの全頭引き上げ作戦も、習近平がバイデンから『独裁者』と名指しされたことへの意趣返しとみて間違いない。要するに、パンダを利用した『嫌がらせ外交』です」

今後、日本も含めた西側諸国でパンダが見られなくなるのも、時間の問題かもしれない。

(石森巌)








結論:


 職場の労働環境について話をするならば、ホンダのように、EVに完全シフトして、社員が1つのことを目指したようには、トヨタはいかなかったんだな?ホンダの中心であるホンダ技術研究所は決して中国共産党国営企業とは組まずに、日本国内でEV電池もモーターも生産も工場も国内で開発しようとしている点が、トヨタとは全く違うな。ホンダのように生き生きとした社員が、生き生きとした自動車を作ることができるし、あと10年でEV車に完全変化する。2030年あたりのトヨタとトヨタに部品供給する日本電装(技術研究所は中国に移転してしまった)は、本当に大丈夫な会社なのか?疑問だ。2030年あたりには、ガソリン車は走ってはいるけど、ガソリン車の新車は生産しないので、そのための部品もだんだん縮小して、世界中のどの部品企業も倒産しているだろう。
 フランス、ルノーのCEOが言っていたように、大学の研究者、民間企業、国家政府の首長の3者が一体となって初めて電気自動車を次世代カーにできる、と言ってましたね!しかも時間がないとも。
 アメリカのバイデン大統領は2021年に就任してすぐに、200兆円の予算でアメリカ中に、EV用電気ステーションを何十万基も作るそうです。2022年内にはできるでしょう。それに比べて日本はEVに関しては何もしていないに等しい。日本の自動車産業は今後はすべて海外工場で研究もして、部品も海外で取り寄せて、海外の工場で生産ラインを立ち上げていくつもりです。しかしながら中国だけは節操のない、約束の概念がおかしな国であることを忘れず、恐れず、今や中国は「世界の工場」となってしまったのだから、ここで生産販売拠点を持つしかない。しかし、いつ、つぶされてもよい覚悟で、びくびくしながら、首をたれながら、最後は中国に骨をうずめる覚悟で起業家さんも、世界から移住した研究者さんも、そこで頑張るしかない。
 習近平はアメリカに対して必ず強気に出始める。そのとき試されるのは日本の姿勢だ。習近平国賓招聘をまだ「中止する」と言えない日本。中止する必要はないと言い張る自民党の二階幹事長が絶対的力を持っている日本の政権与党。このようなパワーバランスが転換しようとしている時でもなお中国の顔色を窺うのだろうか。
  かつて、第2次世界大戦のときナチスの幹部が「国家の最大の問題は、人口問題だ!」としみじみとつぶやいたけど、その言葉が、習近平の「世界を支配できる国は、最も人口が多くて、その1人1人統制できることが、国家の最大問題だ!」と、このように聴こえてくるようだ。
日本中国友好協会(左はソフトな独裁者、
右はハードな独裁者)
韓国とプーチンと習近平の3人が軍事パレードに参加
  


 

第二次世界大戦を引きずる日本。いつまでも首を垂れる日本。際限ない利己主義者たちの利益追求。

新たな専制主義者を求める日本人。




韓国にある民間の植物園が、圏内に慰安婦を表現した少女像と、その前でひざまずいて謝罪する安倍晋三首相をモチーフにした像(謝罪像)を設置したのは明らかに常識を逸脱している。
韓国の対応は非礼極まりない。欧米諸国が同様の事態に直面したなら、かなり深刻な事態に発展しただろう。
常識や約束を無視して、非礼や勝手な行動を続ける人は周囲から信頼されなくなる。国と国の関係も基本は同じだ。韓国の対日政策はそうした例に当たるだろう。
謝罪像の設置放置に加え、文政権は8月4日、日本製鉄に資産差し押さえ書類が届いたとみなす「公示送達」の発効も支持し、日韓関係はかなり深刻な状況にある。
これらに共通するのは、韓国が国家間の合意を反故にしたことだ。
その影響は大きく、国際世論は韓国への不信や懸念を強めている。韓国が身勝手な行動をとればとるほど、これから同国は国際社会で孤立を深めるだろう。文大統領にはそれが分からないのだろうか。
わが国は、反日姿勢を強める韓国に腹を立てる必要はない。何よりも重要なことは、自国企業に実害が及ぶ展開を阻止することだ。そのために、政府は国際世論からの支持を取り付け、「是は是」「非は非」として報復措置の発動などにむけ万全の体制を整えるべきだ。


      日中経済貿易センター









            日中平和友好連絡会     日本中国友好協会
日中韓3か国地方政府交流会議
【日中韓3か国友好同盟】
81年前の日●●軍事同盟ではありません。81年前の黒田氏の言葉「一番強い国(当時はドイツだった)に追従することにした」。









嘘の帝国「ロシア」!!!!!


ロシアのプーチンが、2022年2月24日ウクライナ戦争を起こす!
ウクライナ侵攻 背後の情報戦 アメリカが見せたインテリジェンスの威力
3/5(土) 20:22配信1209


「まさか!」、「ありえない!」。
世界の虚を衝いたロシアによるウクライナ侵攻。
世界中が見ている中でいともあっさりと一つの主権国家が蹂躙されていく惨劇を見ながら、得体の知れない胸騒ぎと焦燥感のようなものを感じるのは戦いの壮絶さからだけではない。

明日は我が身だからだ。

ウクライナ侵攻の裏側で繰り広げられていた情報戦についてシリーズでお伝えする。
第1回は、侵攻前夜の動きについて詳報する。

◆「“帝王 プーチン”を知らしめる」会議 ―歴史的暴挙への連帯責任



”NOと言えない” ロシア国家安全保障会議(2022年2月21日)
「絶対にNOとは言えない会議」、とでも言えばいいのだろうか。
2月21日のロシア国家安全保障会議の議題は、ウクライナ東部にあるロシア系武装組織が支配する地域「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認するかどうか。
世界に向けて配信された会議にはなんとも不気味で異様な空気が漂っていた。



 
一人、ポツンとテーブルに座るプーチン大統領。

そのほかの出席者たちはというと、20mは離れたところに並べられた椅子に神妙な表情で座ってプーチン氏の独白のような進行を見守っている。

「わざと側近たちを離れた場所に座らせて自分が王だということを国民に知らしめる設定」(米情報機関幹部)とも、新型コロナを警戒しての設定ともいわれる謎の配置だとも?訳が分からない配置だ。

プーチン大統領はスピーチが終わると、次々と出席した幹部を指名して、ドネツクとルガンスクの独立を承認すべきかどうか、意見を言わせていく。
答えは承認しかない。忖度するまでもない。常に「死」と隣り合わせているからだ。ウクライナ侵攻を正当化するために、“独立国となった”ドネツクとルガンスクからの依頼を受けて、ロシア軍は同地域の平和維持に駆けつけて併合する、という見え見えのシナリオが用意されている。独立の承認はそのシナリオの実現に向けて不可欠なセレモニーだ。

この会議、映像からは出席者たちが極度の緊張感に包まれていることがわかる。それもそのはず、この21世紀の世界においてこれまでに積み上げてきた秩序と規範、ルールを踏みにじるウクライナに対する一方的な侵攻という歴史的暴挙の連帯責任を問うものだからだ。
世界が見ている前で一人一人に独立承認への賛意を宣言させることで、後から「実は私は侵攻に反対だった」などと言わせないことがこのセレモニーの目的だ。
「絶対にNOとは言えない」空気の中でハプニングを起こしたのは、スパイ機関、SVRのトップだった。
◆スパイを失っていたCIA
その一方でアメリカ政府は11月から、侵攻の4日前の2022年2月20日までは「軍事侵攻の準備は進んでいるが、プーチン大統領はまだ最終決断していないとみられる」という立場で一貫してきた。
これだけの情報が揃っているのになぜか。それはいくら高度なインテリジェンス能力を誇るアメリカの情報機関でも、さすがにプーチン氏の心の中をリアルタイムでうかがい知ることはできないからだ。

2022年2月15日付のニューヨークタイムズがその背景を説明している。
アメリカ情報機関に強固な取材源を持つことで知られるデビット・サンガー記者らの記事だ。それによるとCIAはプーチン氏の側近の一人を情報源として獲得することに成功し、正確にプーチン氏の政策決定を把握してきたという。しかし、身の危険を感じた、その人物を2017年にロシアから脱出させてからはプーチン氏の日々の動きを正確に知ることはできなくなった。

ウクライナ侵攻に向けて軍事的準備が進んでいることに危機感をおぼえたアメリカ政府は、11月上旬までにこのインテリジェンスをヨーロッパの主要国とも共有して包囲網を築いたほか、バーンズCIA長官をモスクワに派遣し、アメリカ側の重大な懸念を伝えている。
アメリカはその高度なインテリジェンス能力による成果を最大限に活用、公開しながら、なんとか迫りくるロシアによる侵攻を抑止しようとしたのであった。

◆“ロシア軍一部撤退” 虚偽情報へのカウンター
インテリジェンスを通じて何が起きているのか、相手が何を仕掛けようとしているのか、正確な情報をつかめなければ、外交も交渉も軍事攻撃もできない。偽情報でこちらの行動を操ろうとする悪意ある相手に惑わされるだけである。
その典型的ケースが2022年2月15日の「ベラルーシでの演習終了を受けてロシア軍一部撤退か」騒動だ。

ロシア政府報道官はベラルーシでの演習終了を受けてロシア軍の一部が撤退を開始したと発表した。同時にロシア国防省は「クリミアから引き揚げている」とする戦車の映像を公開した。
緊張がずっと張り詰めた状況が続くと人間は本能的に「そうであって欲しい」という情報を信じたくなるものだ。日本でも「もしや緊張緩和か」と期待感が高まったが、アメリカ政府は即座にロシアの動きは虚偽であり、むしろ数日の間で最大7千人の増派をロシア軍はしていると反論した。

その後の実際の侵攻をみればロシア軍の発表は明らかな偽情報であり、攻撃に向けて最終準備を悟られないようにするフェイントだ。何も情報がなければ、悪意ある国の情報戦に翻弄され、判断を迷わされることになるといういい例だといえよう。ましてや、インテリジェンスもなく国家として「のるか反るか」の重大決断をするとなれば、ただのギャンブルとしかいいようがない。アメリカは正確にロシア軍の動きを把握できていたからこそ、ロシアによる情報戦にカウンターを打つことができたのだ。

◆覆ったバイデンの融和路線

他方でインテリジェンスが戦争の到来を告げていたとしても、政治指導者はその表現にあえて「のりしろ」をつけるという政治判断もあり得る。知っていることをそのまま言わず、交渉の余地を残すというやり方だ。

2022年2月20日、プーチン大統領がウクライナ東部のロシア人支配地域の独立を承認しようとする動きを見せていたが、バイデン政権は批判をヒートアップさせることはなかった。前述の通りバイデン大統領は20日の演説で「大規模攻撃に出ると信じるに足るものを持っている」とまで踏み込んだものの、「侵攻が始まろうとしている」と断定しようとはしなかった。逆に侵攻がなければプーチン大統領と首脳会談をおこなう用意があると明らかにする柔軟姿勢をみせていた。

翌2月21日、ロシアが独立を承認したドネツクとルガンスクに対する制裁が発表されたが、かねてよりいわれていた「強力な制裁」ではなく、ドネツク地域だけに限られた制裁であった。ロシア全体に影響が出るような制裁を明らかに避けた、小出し戦術であった。
その日の夕方におこなわれた記者ブリーフィング。その場でNSC(国家安全保障会議)高官も「同地域には2014年からロシア軍が駐留しており、今回、追加派遣があったとしても侵略とは断定しがたい」と、ドネツク進駐は侵攻だとみなさないことを示唆するかのような柔軟発言をし、「融和モード」をさらに演出した。

20日から21日までは明らかにバイデン政権なりのギリギリいっぱいの「融和のバーゲンセール」の期間だといえた。ロシア軍の戦争準備が着々と進み、アメリカ政府もその動きを正確に把握しながらも、バイデン政権は「戦車がその姿を現す最後の瞬間まで外交努力を続ける」(ブリンケン国務長官)と決め、最後の瞬間にプーチン大統領が心変わりして緊張緩和への向かうことに一縷の望みをかけたのであった。緊張緩和のわずかな可能性に賭けて、あえて事態の切迫を伝えるインテリジェンスとはそぐわない融和的な政治ポジションをとったのである

だが、それは翌2月22日の朝に一変した。CNNでの生出演で国家安全保障担当次席補佐官が「侵攻がおこなわれつつある」と、対決モードに舵を切ったのであった。2月22日の午後にはバイデン大統領自身が演説をおこない、「侵攻の始まり」だと一気にトーンを上げた。この時点で2022年2月24日に予定されていたロシアとの外相会談もキャンセルとなり、ワシントンの空気は一気に開戦モードになっていった。この180°転換ともいえる動きの背景に一体何があったのか。

【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領は2022年2月24日、ウクライナでのロシア軍の軍事作戦に関し、ウクライナ領の占領は「計画にない」と主張した。だが、これまで侵攻の意図を繰り返し否定してきたロシアの言い分を信じるのは難しい。
「必要に迫られた」と正当化 ウクライナ侵攻でロシア大統領

 ロシアは2008年、旧ソ連構成国ジョージア(グルジア)と武力衝突。その結果、親ロ派地域の南オセチアやアブハジア自治共和国のジョージアからの独立を承認した。一方で、ジョージアの状況はそれ以降こう着して大きな衝突は起きておらず、プーチン氏が今回、ウクライナ東部の親ロ派の独立を承認し、平和維持部隊の派遣を決めたことはウクライナ政府に停戦への圧力をかけるための戦略という楽観的見方もあった。
 しかし、ロシア軍はウクライナ侵攻を開始した。プーチン氏は2022年2月24日の演説で「14年にウクライナでクーデターを起こし権力を奪った勢力が、紛争の平和的解決を拒否している」とウクライナのゼレンスキー政権を強く非難。同政権を「ネオナチ」と決め付け、ウクライナ国民に向けて「あなた方の父や祖父らがナチス・ドイツと戦ったのは、今日ネオナチが権力を握るためではない」とまくし立てた。
 14年の政変でウクライナが親欧米に転じたことへの根深い恨みとウクライナへの異様な執着を感じさせ、最終的な目標がゼレンスキー政権の排除とウクライナ解体にあることをうかがわせた。
 ロシア軍の支援を受けるウクライナの親ロ派は2022年2月24日、これまで一部しか支配していなかった東部のドネツク、ルガンスク両州の全域の掌握を目指す考えを表明した。



嘘の天才プーチン露大統領(元KGB、
反体制派を弾圧してきた人)メディアなど言論統制
した人。独裁者、核戦争もい問わない殺し屋
アドルフ・ヒトラー(大量人権侵害の開祖)












                                         専制主義者、独裁者 ヒトラー   






2022年3月4日 15:00ロシア軍が原発に迫る
エネルゴダール市のオルロフ市長は3日、同市近郊で激しい戦闘が起きているとしていた。ロシア軍が戦車で同市内に入って原発を掌握しようとしたが、住民や作業員らが原発周辺と周囲の道路に集まったと述べていた。

ウクライナにはザポリッジャ原発を含め、稼働中の原発が4基ある。チョルノービリ原発の跡地には放射性廃棄物があるが、現在はロシアが同地を占拠している。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ザポリッジャ原発が攻撃されたことを受け、国際社会に「即時の行動」を強く求めた。

ゼレンスキー氏はツイッターに投稿した動画で、「欧州最大の原発がいま燃えている」と訴えた。

また、ロシア軍について、赤外線カメラを装着した戦車から、ザポリッジャ原発の原子炉6基を意図的に狙って砲撃したと非難した。

またプーチンは核兵器も使えるなら使いたいと言った。ロシア無き世界は彼にとっては必要ないとも言っている。しかも今現在、ロシア国民の70%はプーチンのこの考えを支持している。しかし残りのロシア人は反対したため、プーチンにつかまって刑務所に送り込まれようとしている。
SVRとは泣く子も黙るロシアを代表する対外情報機関で、アメリカや日本を含む世界各国にスパイを送り込んで諜報活動をおこなっている。かつてのKGBの流れを汲む後継組織でもある。そのトップがなんと「独立を支持する」と言うべきところを「併合することを支持する」と口走ってしまったのだ。
よほど緊張していたのであろう、思わず裏で検討している本当のシナリオをカメラの前で口にしてしまったかのような発言に、プーチン氏はいら立ちと侮蔑の表情で「今はそんなことを議論していない」と一喝した。このSVRトップの今後の無事を祈りたくなる会議はウクライナ侵攻の号砲となった。

◆アメリカのインテリジェンスの威力
侵攻開始に向けて着々と、ある意味、見え見えとも言える環境整備をロシアが進める一方で
侵攻を受ける側の当のウクライナには最後まで「まさか、そんなこと」という空気が残っていた。ロシア軍17万人が目の前の国境沿いに集結しているにもかかわらず、ウクライナは「パニックを起こす情報は我々の助けにならない」(2022年2月12日ゼレンスキー大統領)、「侵攻が迫っている兆候はない」(2022年2月20日レズニコフ国防相)という姿勢を崩していなかった。

そうした中、ある国だけはロシアの大規模侵攻を正確に、しかも前の年の11月から訴えていた。アメリカだ。

ワシントンポストが掲載した米情報機関作成とされる文書

ここに1枚の図がある。
去年12月3日付のワシントン・ポストが報じたアメリカの情報機関作成の文書とされるものだ。ウクライナ国境沿いにロシア軍17万5千人が集結していることを伝えている。
この文書の分析が秀逸なのはロシア軍部隊の規模がほぼ実際の侵攻時の規模と一致しているのみならず、東部ドネツクだけでなく、首都キエフ方面を含むウクライナ北東および南部からの侵攻ルートも正確に指摘していることだ。当時は多くのひとが軍事侵攻を疑っていたし、軍事侵攻の可能性があると言う人も東部ドネツク地方に限定されるとの見方が主流だった。

衛星画像の画質を落とす「サニタイズ」された公開用の文書になっているものの、2022年早々に軍事侵攻が迫っていることを正確に警告している。軍事侵攻のタイミングについては衛星画像で見える軍の準備状況から逆算したのであろう。当時の大方の予測と真っ向から反しながら、複数の方面からの攻撃を正確に予測できているのは、衛星画像で見える準備状況の分析に加えてロシア軍内の通信を傍受しているからだろう。

恐るべきはアメリカのインテリジェンスだ。その高い能力を「情報のための情報」に留めず(情報を内部で抱えず)、世論とロシアに対して訴えることで侵攻を抑止することに活用していることは特筆すべきだ。

◆インテリジェンスというパワー 流出したロシア軍の文書
もう一ついい例がある。ロシアとウクライナによる停戦交渉が開始された時も日本の一部では期待感が高まったが、ワシントンでは誰も停戦交渉が成立するとは思っておらず筆者は日本との大きな温度差を感じた。その理由はロシア軍の現地での動きを見ていれば、当面ロシアが停戦を考えていないことは明らかであり、インテリジェンスを通じてそれを認識しているアメリカ政府からも停戦に関する期待感が伝わってくることもなく、アメリカメディアも専門家も停戦交渉には冷淡であったからだ。
インテリジェンスとはパワーだ。それがあれば有利に事を進められ、それがなければ、とんでもない悲劇に自らを突入させることになりかねない。

“侵攻作戦計画書”には2月18日の印が…

アメリカのインテリジェンス能力の威力をうかがわせる動きはほかにもある。
3月2日にSNS上に出回ったロシア軍の作戦計画書の一部とみられる文書。ウクライナ軍が入手したとされる文書でウクライナ国防省も公式フェイスブックでアップしている。
そこにはウクライナ侵攻作戦がロシア軍部によって2月18日に承認されたと考えられる押印がある。

侵攻作戦は2月20日から3月6日と想定されていた?オリンピックの関係上習近平も知っていた。

また、部隊が使う暗号表とされる文書は、ウクライナ侵攻作戦の期間が2月20日から3月6日と想定されていたことを示すものとなっている。この文書が真正であればロシア軍は2月18日時点で20日から侵攻を開始し、15日間でウクライナ侵攻を完了させる計画だったことになる(真贋の検証は難しいが、ここではこの文書が真正であるという前提で話を進める)。
何らかの事情で遅れたのか、結果として侵攻のXデーは20日ではなく24日となった。

ここで注目したいのはロシア軍部が侵攻を承認したとされるのが2月18日という点だ。ワシントン時間2月18日の午後5時にバイデン大統領は会見をホワイトハウスで開いている。そこで突然、「我々にはロシアが首都キエフを含む全土に対して攻撃を開始すると信じるに足るものを持っている」と警告した。
「軍事態勢としてはいつでも侵攻があってもおかしくない状況だが、プーチン大統領はまだ最終決断していない」というのが、それまでのアメリカ政府の公式見解だったが、そこから明らかに踏み込んだ表現だったので筆者も驚いたのをおぼえている。

これは何らかの方法でロシア政権内の意思決定をリアルタイムに近い形で把握していることを伺わせる発言だといえる。2月20日付のニューヨークタイムズ電子版は「バイデン大統領の踏み込んだ警告の背景にはインテリジェンス」と報じ、ロシア軍の動きに関するインテリジェンスに基づくもので「高い確信」を持っている、とする米政府高官の言葉を伝えている。
正確なインテリジェンスがあれば、最も適切なタイミングで的確なメッセージを打ち出せる、というインテリジェンスの効用を示している。逆に何も情報がなければ、ロシア側の偽情報やフェイントに惑わされながら、ひたすら平和を祈るだけだったかもしれない。



モスクワでの反戦デモと、それを取り締まるプーチンの私設警察官たちは、夜のオオカミ、と恐れられている。©Getty Images




 2022年の平昌五輪女子フィギュアスケートの銀メダリスト、エフゲニア・メドベージェワや歌手のヴァレリー・メラジェらもSNSで抗議の意を発表するなど、反戦を表明するロシアの著名人も徐々に増えてきました。

 しかし、これらを見て「ロシアの一般市民の多くは今回のウクライナ戦争に反対している」と考えるのは早計です。今でもロシア人の大部分の七割はプーチン大統領を支持していて、ウクライナへの侵攻にハッキリ反対している人は、選挙分析や人口動態から見て人口の10%程度はいるのではないか、という目算です。プーチンに対して懐疑的な人はさらに多いはずです。

 それでも2022年2月初めに非政府系の組織が発表した調査では、プーチン大統領の支持率は70%に迫っていました。刻一刻と状況が変化しているとはいえ、現在もそれが大きく低下しているとは考えられません。

 では誰がプーチンを支持し、誰が反対デモを起こしているのでしょう。それを理解するためには、ロシアに存在する3つの大きな「分断」が重要になります。

 1つめの分断は「ソ連時代を体験したかどうか」です。現在30代後半以上のロシア人は、ソ連が崩壊した1991年以前の記憶を持っています。そしてソ連末期や1990年代のエリツィン大統領時代は、多くの人にとって“苦しかった原風景”になっています。

 失業率がすさまじく高く、自殺者も多くいました。一家離散など悲惨な事態がロシア中で繰り広げられていた時代を知る世代にとって、プーチンは「国を立て直した救世主」。ロシアが豊かになったのはプーチンのおかげ、プーチンこそが超大国だったロシアを復活させてくれる指導者なのだと考えています。

 しかし30歳以下の若い人たちはそもそも超大国だったソ連という時代を知らないため、プーチンに対する熱狂的な支持者は「ソ連人」に比べて少ないのです。

都市部以外では国営のテレビや新聞や2022北京パラリンピック競技だけを見て暮らしている人が大多数

 2つ目の分断は、「国営のメディア以外から情報を得ているか」です。ロシアはメディアへの締付けが厳しく、国営放送のテレビ・ラジオや国営新聞で発信されている情報にはかなり規制が入っています。

 モスクワやサンクトペテルブルクのような大都市部には英語などを使える人も多く、インターネットやSNSを通じて世界のメディアや情報に接しています。しかし少し田舎の方へ行くとIT化はまだ進んでおらず、国営のテレビや新聞だけを見て暮らしている高齢者がまだ多くいます。

 つまり、自由な言論に触れている人々と、政権のコントロール下にあるメディアの情報だけを見聞きしている人々で世界の見方が全く違うのです。その境目は、インターネットやスマホを自由に扱えるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。

プーチンに盾突くのは大げさではなく「死」を意味する

 3つめの分断は「ウクライナの今を理解しているかどうか」です。ウクライナは1991年の独立以降、民主主義体制を確立して表現の自由を謳歌してきました。ウクライナの親露派と反露派の国会議員どうしが殴り合いの喧嘩をする場面を見た人もいると思いますが、あれはまさに自由があるからこそできることでしょう。

 一方のロシアでは、プーチンの支配が完成しているので、対立すら起きません。クレムリンの主に盾突くことは、大げさではなく「死」を意味します。ドーピングの闇の真実を訴えた医師でさえ「裏切者」呼ばわりされ、今は亡命先のアメリカで暗殺者の襲来に怯えているような状態です。

 ソ連が1991年に崩壊した後、ロシアとウクライナはまったく異なる道を生きてきました。しかしロシアの一部の人たちは、ウクライナが今も昔のままだと錯覚しています。30年間会っていない昔の彼氏・彼女に、過去のイメージをそのまま抱き続けているような状態なのです。

 以上が「3つの分断」です。これはつまり「プーチンがロシアをソ連時代のように再び大国にしてくれると信じ、国営メディアを見て生活し、ウクライナの変化に気づいていない人」がプーチンの固い支持基盤だということを示しています。プーチンはこの層を今回のウクライナ侵攻を支持する層だと認識しており、演説でウクライナ政府をナチスに喩えたのも、その証拠の1つです。

 ロシアでは第2次世界大戦のことを「大祖国戦争」といいます。毎年5月9日には大祖国戦争戦勝を祝う式典が開かれ、パルチザンとしてナチスドイツから祖国を守った老兵士たちが赤の広場に招待され英雄として称えられます。

 第2次世界大戦当時、ウクライナでは民族主義が沸き起こり、ステパン・バンデラという人がウクライナ東部を拠点にソ連にレジスタンス戦を仕掛けました。「敵の敵は味方」という論理からナチスとも協力し、ソ連軍と戦ったのです。

 このバンデラという人物は、ソ連の歴史教育では「ナチスの協力者」「テロリスト」として扱われてきました。しかし近年のウクライナでは、独立のためにソ連と戦ったバンデラの名誉回復がなされ、両国の間で評価が正反対になっています。

 プーチンが2月24日のテレビ演説でゼレンスキー政権をナチスになぞらえたのはこの流れを意識しているためで、ナチスに勝利したことを誇りに思うロシアの保守派たちには“刺さる”表現なのです

「すべてが崖から落ちてしまった」

 それでも今回のウクライナ侵攻で、ロシア国内でのプーチンに対する信頼感が揺れているのも事実です。ロシアでは許可なく大規模集会を開いたりデモを行うこと自体が禁止されていて、反体制指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏などは神経剤での襲撃を受けたり逮捕されたりしています。若者はもともと政治への関心が薄いうえに、デモに参加することは就職など将来に直結します。その恐怖があるにもかかわらず1000人規模のデモが頻発していること自体がすでに異常事態なのです。

 反プーチン派の動きは他にもあります。昨年ノーベル平和賞を受賞したドミトリー・ムラトフ氏(59)が編集長を務めるロシアの非国営新聞「ノーバヤ・ガゼータ」は、ウクライナへの連帯とプーチン政権への批判的な態度を強め、紙面でも「(ウクライナへの侵攻は)ウクライナの損失よりもロシアの損失のほうがはるかに大きい。ルーブルも未来も、すべてが崖から落ちてしまった」と強い口調で主張しています。

 メディアを管理する官庁がロシアの公式発表以外の報道を禁止する通達を出しているのですが、「ノーバヤ・ガゼータ」はそれに堂々と反旗を翻したのです。

 ロシア国内でプーチンへの支持が揺れている最大の理由は、侵攻先がほかでもないウクライナであったことでしょう。

 ロシアが2014年にクリミアを併合した時は、ほとんどのロシア人は“奪還”に喝采を送りました。それは、かつてロシアの一部だったクリミアの同胞がウクライナ独立後の失政によって苦しんでいて、その人々をプーチンが救出したという意識があったためです。おそらく今でも、クリミア併合については「ロシアに帰ってこられてよかったね」という意識はあまり変わっていないと思います。

 しかし、今回のウクライナへの侵攻は状況があまりにも違います。ロシアとウクライナは同族意識も強く、お互いに血縁者も多くいます。

 乱暴な言い方をすれば、モスクワにとってのキエフは、東京から見た京都のような位置づけです。その場所を爆撃したり民間人が巻き添えになることに対して、プーチン支持者の中からも「なんでこんなことをするんだ」という嘆きと悲しみの反応が出てきているのです。

 現時点で、ロシア国内でプーチンに対するハッキリとした「ニェット」(NO)を掲げる反対派はまだ少数です。「プーチンはウクライナのファシストからロシアを守っている」と軍派遣に賛成する人もまだまだ多くいます。しかしプーチンに対する批判のマグマは溜まりつつあり、目に見えない地殻変動が起きていると私は感じます。

 一般のロシア人に話を聞いても「プーチンは誇大妄想に取りつかれている」「大統領でいること自体が恥ずかしい」「身震いするような恐れを感じる」「殺戮者だ」のような強い言葉でプーチンを批判する人が出はじめています。

 BBCのロシア版サイトには、たった1人で「戦争反対」と書いたボードやウクライナの国旗を掲げて、武装したロシアの特殊部隊「アモン」に拘束されている高齢女性の写真が掲載されていました。それを見て私は胸が苦しくなりましたが、多くのロシア人にとっても目を背けたい光景のはずです。しかもロシア国内では物価が上がっており、今後の生活についても不安がよぎっていることでしょう。

 プーチンの計算違いは、このロシア国民の悲しみと怒りと不安のマグマです。政権は必死に抑え込みにかかるでしょうが、反プーチンの感情を持つロシア人がこれほど現れることは想像できていなかったのではないでしょうか。

 親プーチンと見られていたカザフスタンがウクライナへの軍派遣を断っていたことがわかったり、アメリカや西欧諸国が制裁を強めるなど包囲網を強化していますが、ロシアは国際社会から非難されることに“慣れて”おり、こうした圧力がプーチンに軌道修正を強いる決定打になるかどうかは不透明です。

 むしろロシア国内でたまる反プーチンという感情のマグマこそが、このウクライナ戦争の行方を左右する大きなポイントだと思います。




ロシア軍は、赤外線カメラを装着した戦車から、ザポリッジャ原発の原子炉6基を意図的に狙って砲撃した。ウクライナ原発火災は砲撃が原因か、鎮火後にロシアが制圧 死傷者数人
2022年3月4日 15:03


2022年3月4日に、プーチンはウクライナにある、ヨーロッパ最大の原子力発電所に攻撃を加えた。ウクライナの大統領をヒトラーに例えて、ロシアの平和維持軍で攻撃したのだ、とプーチンは言っている。しかし、どう考えても、どう見ても、プーチン自身がヒトラーを尊敬しているように見える。



「プーチンは現実から切り離された自分の世界に生きている」 恫喝に動じない唯一のリーダー“メルケル”が見た独裁者のウソ

ロシアによるウクライナ軍事侵攻が続き、各地で激しい戦闘が起こっている。「ほかに選択肢はなかった」と侵攻について正当化したプーチン大統領の“宿敵”だったのが、ドイツのアンゲラ・メルケル元首相だ。2021年12月の引退まで、4期16年にわたりドイツを率いてきたメルケル氏の素顔に迫った決定的評伝『メルケル 世界一の宰相』から、プーチン大統領とのエピソードを再構成して紹介する。

◆◆◆

 プーチンが手本にしているのは、独裁者スターリンである――各国首脳のなかで誰よりもプーチンを知るメルケルは、早くからその正体を見抜き警戒していた。プーチンは一体どのような価値観を持ち、いかなる行動原理で動いているのか。ひとつの手がかりとなる、若き日の彼のエピソードを紹介しよう。

ドレスデンでのKGB活動について「第一の敵はNATOだった」と発言していたプーチン大統領 ©️JMPA
ドレスデンでのKGB活動
 KGB(ソ連の秘密警察)のスパイとして、37歳までの4年間を東ドイツ(当時)のドレスデンで過ごしたプーチン。本人いわく「我々に課せられた主要な任務は、市民の情報を集めることだった」。プーチンは、妻と娘ふたりとともに、ドイツ語を素早く習得した。芸術と音楽の都だったドレスデンの中心地にある薄暗いバーで、プーチンは内通者候補と面会を行なった。

 一方、シュタージ(東ドイツの秘密警察)が所有する川沿いのホテルの優雅なレストランや客室には、スパイ活動のための隠しカメラが仕込まれていた。KGBとシュタージは協力関係にあり、彼らの諜報活動には脅迫が用いられた。とはいえ首都ベルリンとは違い、そこまでドラマチックな展開があるわけでもなかった。プーチンはむしろ、ドレスデンでの生活を楽しんでいた。それゆえ不覚にも10キロ以上太ってしまった。腹まわりに贅肉がついたのは、美味しい地ビールをつい飲みすぎたせいだ。

 しかし1989年、ベルリンの壁崩壊によって、事態は一変する。1カ月後には、KGBドレスデン支部の鉄フェンスの向こうに、敵意に燃える東ドイツのデモ隊が結集した。プーチンは彼らにこう言い放った。

「下がれ! ここはソ連の領土だ。ここには武装した兵士がいて、発砲する権限がある」

 実際には、武装した兵士はいなかったが、ハッタリをかまして時間稼ぎをしたのだ。「お前は誰だ」とデモ隊に詰め寄られて、「通訳だ」と嘘をついて切り抜けたりもした。苦境に立たされるプーチン。だが、ソ連軍の司令部に電話をかけても、「モスクワから指令があるまで何もできない」と言われるばかり。

 取り残され絶望的な気分となったプーチンは、山ほどあるKGBの書類やファイルをかき集めて、小さな薪ストーブに放り込んだ。昼も夜も燃やし続けたため薪ストーブは壊れ、真っ黒焦げの鉄の塊と化した。数カ月後、プーチンはふたりの幼い娘を連れて、中古の大衆車のハンドルを握り、ドレスデンから逃げ出した。

 この屈辱的な出来事と、その後のソ連の崩壊から、プーチンは決して忘れられない教訓を得た。当局の監視下にないデモや自由をいきなり認めてしまっては、絶大な軍事力を持つ帝国すら崩壊するのだ、と。ドレスデンでのKGB活動について「第一の敵はNATOだった」と発言したことがあるプーチン。そして、その考えは、現在に至るまで変わっていないのだ。

ヒトラー、スターリン、そしてプーチン。ウクライナへの野望
 現代の独裁者ともいうべきプーチンが抱く、ウクライナ征服への野望。その根本の動機には、ロシアを世界の大国にしたい、昔のような帝国として復活させたい、との思いがある。現代の皇帝(ツァーリ)を目指すプーチンらしい発想だ。そのためには、隣国ウクライナを、EUやアメリカではなく、ロシアの勢力圏にとどめる必要がある。

 ヨーロッパで2番目に広いウクライナには、肥沃な農地が広がり、鉄鉱石・天然ガス・石油などゆたかな天然資源が埋まっている。東側と西側とにまたがる地政学上の要所でもある。それゆえ、プーチンのみならず、過去にはヒトラーやスターリンといった独裁者たちからターゲットにされ悲惨な目に遭ってきた。

 2014年、ウクライナがEUと政治経済にかんする包括協定を結ぼうとしていたときのことだ。ウクライナをEUから引き離したいプーチンは、断固として協定を結ばせまいとし、ウクライナ政権のヤヌコーヴィチ大統領(当時)に圧力をかけた。すでに腐敗した政権だったということもあり、プーチンの思惑通りに進むかに見えた。だが、恐れを知らぬキエフの若者たちによるデモが起こる。数日間のうちに、たちまちデモに参加する群衆の数は膨れあがり、ヤヌコーヴィチ大統領の腐敗政権を終わらせよ、との声が高まった。

 注意深く観察していたプーチンは、警戒心を強めた。なぜならドレスデン駐在のKGB時代に経験した、ベルリンの壁崩壊時の苦い思い出があったからだ。ロシアの“利益圏”とみなしていた地域で、“衆愚政治“が広がっているーー過去のトラウマが、プーチンを一気に目覚めさせた。

電光石火のウクライナ侵攻作戦
 ヤヌコーヴィチがロシアへ逃げ出したその1週間後。プーチンによる電光石火のウクライナ侵攻作戦に、当時は弱体化していたウクライナ軍は不意打ちを食らった。アメリカも油断していた。プーチンと同じく警察国家育ちで、KGB出身のプーチンの残虐さを知り抜いたメルケルでさえ、ウクライナについてはEU任せにしていたふしがあった。

 メルケルは、プーチンが自由を愛する民主主義者に変わるという幻想は一度も抱いたことはなかった。とはいえ、経済成長を続ける西側をまのあたりにして、富を愛するプーチンがEU寄りの政策を取るのではないかと期待していたのだ。

 しかしウクライナ侵攻により、「欧州の安全保障」という幻想は粉々に打ち砕かれた。プーチンが選んだロシアの未来とは、「西側の一員となる未来」ではなく、「西側に対抗する未来」だった。

 プーチンが仕掛けたのは、「欺瞞作戦(マスキロフカ)」だった。これは20世紀前半にロシア軍が生み出した手法で、「だまし、否定、偽情報」の3つを駆使するというものだ。

 プーチンは、クリミアのロシア系住民がロシアの介入を求めたと言い張った。「ファシストによる非合法の暫定軍事政権が、キエフやクリミアに住むロシア人の脅威となっている」と主張し、現地の群衆をあおり立てた。クレムリンによる同じような作り話は、1956年にハンガリー革命の制圧を正当化するのにも使われたし、1968年の“プラハの春”でも鎮圧のための戦車派遣を合法化するのにも使われた。さらには1948年、東西冷戦のはじまりともいうべき西ベルリンの封鎖を正当化するときにも使われている。

メルケルvsプーチン
 2014年のウクライナ危機に際して、西側代表としてプーチンとの外交交渉を担ったのがメルケルだった。KGB仕込みのプーチンの恫喝に動じない唯一の西側リーダーが彼女だからである。オバマはプーチンには関わりたくないと思い、それゆえ彼女に舵取りを任せた。

 じつは学生時代にロシア語の弁論大会で優勝したこともあるメルケル。もちろんプーチンもドイツ語は得意だ。プーチンとの会話はいつもまずロシア語ではじまる。だが、このときはプーチンに道理を説こうとするあまり、「アンタは、国際法を公然と無視してる」と、ついタメ口のドイツ語になることもあったという。

 対するプーチンは、「その軍隊は、我々ロシアの軍隊ではない」と嘘をつき、「誰でもロシア軍の軍服を買える」とあからさまな言い訳をした。「プーチンは現実から切り離された自分の世界に生きている」――メルケルはオバマに愚痴った。

 メルケルは、21世紀の戦争における最も危険な武器は、戦車やミサイルではないと認識していた。サイバー攻撃、SNS、フェイクニュースなどがあらたな戦場となっている。プーチンは、いわばハイブリッド戦争を展開しているのだ、と。

ファクトをもとに責任を問う
 一方でメルケルも、プーチンに対して独自の「欺瞞作戦」を使うこともあった。プーチンは、ソチオリンピックに引き続き、同地にて開催予定のG8サミットで、帝政ロシアの復活をアピールしようと目論んでいた。しかしメルケルは、ソチでのG8は開催しないと発表。プーチンの“パーティ”を台無しにしてみせた。のみならず、ロシアはもはやG8のメンバーではない、とまで述べ、プーチンに強烈なパンチを食らわせたのだ。

 そして7月、一般市民を乗せたマレーシア航空の飛行機が、ウクライナ上空で撃ち落とされるという痛ましい事件が起きた。これをきっかけに、国際世論におけるロシアへの非難が高まり、ついにオバマも本気を出してメルケルを支援するようになる。

 2014年9月、ベラルーシのミンスクにある独立宮殿の壮麗な式典の間には、紛争地域の地図に身をかぶせるようにして話し合うメルケルとプーチンの姿があった。ときには15時間ぶっ続けで話し合いを行った。供される食事が肉料理か、それともジャムを添えたパンかによって、夜なのか朝なのかがわかるという状態だった。

 元科学者らしく事実をもとにプーチンを追及するメルケル。現地の航空写真や戦場地図、ロシア軍の最新の動きなど、分単位でアップデートされる情報を入手していた。一日ごとの民兵の動き、拠点として押さえた場所、犠牲者の数――ファクトがあればプーチンの責任を問うことができる。

 9月4日、ミンスク宮殿にて停戦交渉が終わった。合意文書にはプーチンの署名もあった。


《メルケル政界引退》愛犬を同席、わざと遅刻… プーチンのいじめに“東独育ち”の女性宰相が放った“痛烈な”一言
「プーチン大統領は別の世界に住んでいるようだ」政権に批判者が次々に殺害される…ロシアの“なぜ人々の声が届かないのか”

 メルケルとプーチンの初めての会談はクレムリンで行われた。そこでプーチンは、KGB仕込みの睨(にら)みでメルケルを威嚇した。メルケルも目を見開いて応酬した。

 そして、2007年に黒海に面したソチで行われた2度目の会談で、“事件”は起こった。

 じつはメルケルは過去に犬に2度噛まれたことがあり、犬を怖がるという情報をプーチンは手に入れていた。

 それゆえプーチンは、自分の愛犬であるコニーという名前の黒いラブラドールレトリバーを会見部屋へと入れたのだ。メルケルのまわりをまわって、匂いを嗅ぐコニー。メルケルは両膝をぴたりとくっつけて、足を椅子の下に入れて、落ち着かない様子だった。その間、プーチンは不敵な笑みを浮かべていた。

 腹を立てたメルケルは、側近にこうこぼした。「プーチンはあんなことをするしかなかった。ああやって自分がいかに男らしいかを見せつけた。これだからロシアは政治も経済もうまくいかないのよ」。
















ウクライナ戦争中に韓国が竹島周辺で測量計画    日本政府「強く抗議」
[2022年4/27]



韓国が島根県・竹島の地形などの精密な測量計画を進めていることについて、松野官房長官は韓国側に抗議し、調査の中止を求めたことを明らかにしました。

 松野官房長官:「我が国としては、韓国政府に対して外交ルートで強く抗議をするとともに、調査の中止を強く求めたところであります」

 松野官房長官は、韓国が計画している竹島周辺の測量について「受け入れられず極めて遺憾だ」と強調しました。

 そのうえで、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が派遣した代表団に同行している韓国外務省の担当課長にも申し入れを行ったことを明らかにしました。

 岸田総理大臣は26日、代表団に関係改善が急務だという認識を示していました。











砲撃で原子力研究施設が損壊 ウクライナ東部ハリコフ
2022年3/7(月) 10:59配信

【リビウ(ウクライナ西部)共同】ウクライナ原子力規制監督局は2022年3月6日、ウクライナ東部ハリコフで小型研究用原子炉がある「物理技術研究所」が同日、ロシア軍の砲撃を受け、複数の施設が損壊したと発表、「新たな核テロ」だとしてロシアを非難した。周辺の放射線量など詳細は不明。ウクライナメディアによると、同国のシュカレト教育科学相は、ロシアの侵攻後、ウクライナ全国でこれまで211の学校が攻撃で破壊されたり損傷したりしたと述べた。



プーチンはこの建物の中で、プルトニウムを使ったジェノサイド計画と核兵器を作っていたと、疑いを掛けて、我々の平和維持軍がミサイル攻撃した、と言った。


2022年3月6日
2022年3月6日、ウクライナの核施設、及びすべての原子力発電所を攻撃し、制圧する、とプーチンは主張している。





中国人もロシア人も、2022オリンピックの新聞や2022北京パラリンピック競技だけを見て暮らしているので、ウクライナ戦争は知らない人が多い。


この2人が世界のリーダーとなるのだろう。2人が生きている限り・・・
習近平とプーチン

中ロ、ガス供給拡大で関係強化 米欧けん制狙う ロシアの経済は盤石、戦争準備整う
2022年02月04日
【北京時事】中国とロシアは2022年2月4日、ロシア産天然ガスの中国向け供給量を拡大する契約に調印した。ロシア国営ガス独占会社のガスプロムが発表した。ウクライナ情勢が緊迫化する中、中ロは関係強化を通じ、両国への圧力を強める米欧をけん制する狙いとみられる。
 中ロは2014年、パイプラインを通じて年380億立方メートルのロシア産ガスを中国に30年間供給する契約を締結、「シベリアの力」。ガスプロムと中国石油天然ガス集団(CNPC)がこの日結んだ契約では、供給量を100億立方メートル増やし、計480億立方メートルとした。


ガスプロムが「シベリアの力2」の準備に着手
ガスプロムは、モンゴルを経由する新しい対中国輸出用ガスパイプライン「シベリアの力2」の設計測量作業に着手した。ガスプロムは、プーチン大統領の指示をうけて、昨年9月からこの輸送ルートの検討に着手しており、2020年内には投資のためのすべての事前調査を終えるという。2022年今現在もガスパイプライン「シベリアの力2」は建設され続けている。
トルコを経由するガスパイプライン、サハリンを経由するガスパイプラインも計画がある。


輸出用ガスパイプライン「シベリアの力」「シベリアの力2」「シベリアの力3」は、国境を越えてつながる「LPGガスの一帯一路政策」である。中国の「一帯一路」と酷似した政策であって、騙されてはならない。



「欺瞞作戦(マスキロフカ)」これはプーチンが生み出した手法で、「だまし、否定、偽情報」の3つを駆使するというもの

 日本も、マスコミや政府も、安全保障上、自国の軍事や地理上の施設など、情報を刻々とニュースなどに乗せて、世界中にばらまくことはやめた方が良い。アメリカも同じく戦争状態時に、自国が危なくなるような情報を相手に見せては命取りになるだろう。中露の軍艦が日本列島一周をしたニュースをどれだけの人が知っていただろうか。
 日本は国民含めて政府関係者も少し「平和ボケ」している。国連もあてにならなくなった。
日本の番組、アメリカのTV番組も毎日チェックされていて、中国大使館やロシア大使館から本国へ筒抜けになっている。しかも、中国は法律で留学生、観光客が情報を持って帰るような義務を負わされている。驚くような法律が存在する。
  戦争が始まってから「交渉」「電話相談」で解決しましょう、と言っても、「正常には育っていない、道徳心も倫理観もない人」には通じない。核戦争を始めるか、若しくは、狂った判断をした、ただ一人を抹殺するか、のどっちかを選択しなければならない。サダムフセインとの戦争が早く終わったのは、抹殺したからだ。
 
「ヴァッファ」とは、中露がアメリカと戦争をするための緩衝地帯のこと。ロシアとNATO諸国との「ヴァッファ」がウクライナ戦争。ウクライナを緩衝地帯とするとロシアにもアメリカにもメリットがある。核戦争を避けられるメリットがある。
 中国が狙う台湾は、クワッド諸国との「ヴァッファ」である。ここを、うまくを緩衝地帯とすると中国にも日本、アメリカ、オーストラリアにもメリットがある。自分たちの国が戦場にならなくて済むからである。





ウクライナ戦争、次の中露の狙いは台湾戦争。


南シナ海の自由と台湾の主権が中国の支配に落ちるのは、2023年頃と言われている。





世界のリーダーになりつつある習近平
「国のGDPを立て直した救世主」習近平
(香港やチベット、新疆ウイグル自治区などで人権弾圧、ジェノサイド、テニス選手やジャーナリストなどの弾圧をして、その事実を経済力と軍事力で隠蔽することに成功しつつある。中国は、金の力で、他国を支配できることを「世界に忖度」させた。)

金融経済型の共産党主義=中国
は世界のリーダーとなるか?
新民主主義、人権無視の
全体専制主義、独裁政権の考えが「世界を支配」するのか?


ドナルド・トランプ氏(第45代)
トランプ流の保護貿易主義
中国、武漢のコロナウイルスが世界中にパンデミックした。
融和主義者のバイデン、岸田首相は「世界の自由」を取り戻せるのか。


20年後のトランプ




習近平はトランプ会談の時にアメリカ・ホワイトハウス内で「中国とアメリカで世界のリーダーを分けよう!」と呼びかけた。

     


       2021年現在の現職者はジョー・バイデン(第46代)
       Joe Biden。
就任日 2021年1月20日のあとの電話会談で、
習近平から、挨拶の後、世界を分け合って経済などをリードしましょう、と言われたらしい。甘い言葉には「裏」がある、、、


米企業幹部を出国禁止か 中国当局、報道
2023年9月
 【ワシントン共同】米紙ウォールストリート・ジャーナルは29日、米コンサルティング会社幹部が、滞在する中国本土からの出国を約2カ月にわたって中国当局に禁止されていると報じた。数年前の事件の捜査に協力しているという。関係者の話として伝えた。

 同紙によると、幹部はマイケル・チャン氏で、企業調査やリスク分析を手がける「クロール」で勤務。7月に中国本土に入った後、会社側へ中国から離れられないと伝えた。捜査対象ではなく、本土内での移動は自由という。香港を拠点に活動し、香港の旅券を所有している。
中国では今年、複数の米コンサル会社が国家安全当局の調査を受けるなどしている。





日中友好議員連盟会長を務める自民党の二階俊博元幹事長

自民党の二階元幹事長



中国の建国記念日を祝うイベントが都内で開かれました。処理水放出をめぐる問題で関係が冷え込む中、中国の呉江浩駐日大使は経済協力の重要性を強調し、日本からの投資を呼びかけました。「中日関係はいま複雑で厳しい状況に直面し、改善と発展のチャンスとともに、新旧様々な問題も抱えています」(呉江浩)



 呉大使は2023年9月28日、日米関係や日中関係の厳しい現状を踏まえ、「相違に適切に対処し、新しい時代にふさわしい関係を構築していくことが求められる」と述べました。また、中国は経済成長に自信を示し、「中国は決してデカップリングをせず、常にオープンな国家だ」として、日本からの投資を歓迎すると強調しました。

 イベントには、自民党の二階元幹事長や公明党の山口代表ら政財界などから約1400人が参加しました。(ANNニュース)

 中国の建国記念日を祝うイベントが都内で開かれました。処理水放出をめぐる問題で関係が冷え込む中、中国の呉江浩駐日大使は経済協力の重要性を強調し、日本からの投資を呼びかけました。

中国の駐日大使 経済協力の重要性を強調

「中日関係は、いま核汚染水問題など複雑で厳しい状況に直面し、日本の改善と中国発展のチャンスとともに、新旧様々な問題も抱えています」(呉江浩)

 呉大使は2023年9月28日、日中関係の厳しい現状を踏まえ、「相違に適切に対処し、新しい時代にふさわしい関係を構築していくことが求められる」と述べました。また、経済成長に自信を示し、「中国は決してデカップリングをせず、常にオープンだ」として、日本からの投資を歓迎すると強調しました。

 イベントには、自民党の二階元幹事長や公明党の山口代表ら政財界などから約1400人が参加しました。(ANNニュース)





ウォール街「砕かれた野望」、中国リスクの圧縮急ぐ-米中対立も懸念
2024年1月5日
Cathy Chan、Ambereen Choudhury、Sarah Zheng によるストーリー  •




(ブルームバーグ): ウォール街の最大手行の一つは、中国本土子会社の責任者に対し機密戦略の説明をやめた。中国政府が盗聴したり、後で詳細な情報を要求したりできないようにするためだ。

  隣接する他の欧米行の拠点では、現地での金融データ保管と内部統制整備に経営幹部が数千万ドルを投じている。親会社から切り離し、バランスシート再編を検討する部門もある。

  米中の緊張の高まりや、国家安全保障という名目の新たな規制を乗り切ろうとするグローバル金融会社の中国部門では、舞台裏で多くの思惑が交錯している。中国との深いつながりと長い歴史を持つ巨大金融機関のリストには、JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレー、HSBCホールディングスが含まれる。
欧米行の中国部門はその結果、現代の国際金融ではめったに見られない規模で、中国業務の「リングフェンス(隔離)」を実行している。グローバル巨大金融機関が今後数十年の業務拡大の鍵を握ると考えていた銀行子会社は、より独立した運営が行われるようになり、場合により競争意識も低下した。
  一連の対応と影響は非常にデリケートなため、10人以上の幹部や他の関係者が匿名かつ会社を特定しない条件で証言した。

  ウォール街の大手金融機関が数年前まで追い求めていた夢は、詰まるところ、打ち砕かれつつある。中国当局は2020年、グローバル投資銀行が本土の現地パートナーと設立した合弁会社を全額出資子会社にできるよう規制緩和に動き、フラストレーションの時代に終止符が打たれたかに見えた。中国でのディールとトレーディングの一層激しい競争に備え、それらの業務のフランチャイズへの統合を銀行首脳は望んでいた。

  しかし中国の経済成長が減速し、政策も変化する現状では、そうした取り組みは一段と困難になり、中国の大手金融機関に対し劣勢に立たされている。








中国大使、処理水問題には触れず 友好条約締結45周年の記念行事で

 在日中国大使館は2023年9月28日、東京都内のホテルで中国建国74周年と日中平和友好条約締結45周年の祝賀レセプションを開いた。2023年8月の東京電力福島第一原発の処理水放出に反発し、中国は日本産水産物の全面禁輸措置をとっているが、呉江浩駐日大使は、あいさつでこの問題には触れなかった。
 呉大使は、あいさつで「今年は中日平和友好条約締結45周年という中日両国にとって記念すべき重要な年を迎えました」としたうえで、「政治的相互信頼の積み重ね、互恵協力の推進、人と人の心のふれあいの深化、矛盾と相違の適切な対処でもって、新しい時代の要求にふさわしい中日関係の構築に努めることが求められています」と述べた。
 日本側からは、来賓として、福田康夫元首相や日中友好議員連盟会長を務める自民党の二階俊博元幹事長、経団連の十倉雅和会長らが出席した。二階氏は「(日中)両国の平和は、アジアの平和、ひいては世界の平和につながるという信念を持ってお互いに努力をしていかなければなりません」とあいさつし、両国間の問題の解決のために「賢い知恵」が必要だと強調した。

 レセプションには、政界や経済界などから約1400人が出席した。(山根祐作)




中国の世界製造業大会、韓国出展企業に注目集まる

2023年9月20日、韓国のロボットメーカー、現代ロボティクスの中国法人が出展した産業用ロボット製品。(合肥=新華社記者/汪海月)

 【新華社合肥2023年9月29日】中国安徽省合肥市で24日まで5日間開かれた「2023世界製造業大会」では、韓国企業の展示エリアに来場者の注目が集まった。物を正確につかむ産業用ロボットや除菌機能に優れた空気清浄機、韓国風の雑貨や日用品など、約20社がさまざまな分野の製品を出展した。
日本の技術から韓国の技術へ、韓国の技術から中国の技術へ(変わらない技術移転原理)





2023年9月20日、来場者に製品を紹介する韓国の出展企業。(合肥=新華社記者/汪海月)
 今大会のテーマは「スマート製造世界・素晴らしさを創造」。総面積8万平方メートルの会場に、量子コンピューターや動力ロケット、時速600キロのリニアモーターカー、超電導サイクロトロンを備えた陽子線治療システムなど製造業の最新成果を一堂に展示。出展企業数、展示面積ともに過去最高を更新した。(記者/汪海月、趙一寧)


2023年9月20日、来場者に製品を紹介する韓国の出展企業。(合肥=新華社記者/趙一寧)






中国「一帯一路」国際会議に鳩山元総理が出席
中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の国際会議に鳩山由紀夫元総理が出席し、日本からの出席者が少ないのは残念だと述べました。
中国の北京で2023年10月17日から2日にわたって開かれた「一帯一路」の国際会議に参加しましたが、松野官房長官は「日本政府として出席は予定していない」と表明していました。

中国「一帯一路」国際会議に鳩山元総理が出席「日本からの出席者は私だけかな?少なくて残念だな」




結論:


「われらは実に朋友を得る幸せを褒め称える。自分よりも勝れ、あるいは等しい朋友には、親しみ近づくべきである。このような朋友を得ることができなければ、罪過つみとがのない生活を楽しんで、犀さいの角つののようにただ独り歩め」(経典『スッタニパータ』、仏陀の言葉)

中国人の信仰は偶像崇拝:世界中に存在する孔子学院の校長先生「孔子」




習近平国家主席は中国共産党(中国の政治は彼の党だけで動いている!)のトップ。
モ沢東と、同様に、いまや「核心」=「カリスマ」=「偶像」と呼ばれ、賛美されている。中国共産党がこのほど採択した2021年10月「歴史決議」は、習主席への個人崇拝をさらに推進する内容となっている。少数民族の人権問題、外国企業への倫理観、一帯一路がもたらす新植民地政策などは、当然ながら触れてはいない。
 中国と米国とで「地球を2分割する」。バイデン米大統領との2021年11月のオンライン会談で習主席は平然とそんなプランを口にした。

 中国人の宗教は、無宗教の人が50パーセントを超えているから、中国人は、このような偶像者を崇拝しながら安心して平和に生活するしかないんだろうな。中国の子供が「熊のプーさんに似ている」と言ってたそうだが、その後、どうなったんだろうか。習近平が最も嫌いなアニメ偶像、プーさんは中国から消えた・・・?
元は中国、武漢市のウイルス研究所(アメリカの資金が投入され、中国初の人のクローンを生み出す。研究者は米・独・仏・・・から高い給料で招聘した。)で作られたらしい。中国は否定している。この5番目のオミクロン・ウイルスXiは、人類史上最悪の「曲者」だ。
今現在、「第6波」のパンデッミックが来ようとしている!
北京オリンピックも来ようとしている!
習近平が日本に招待され、来ようとしている!
世界は「自由の尊重・基本的人権の尊重・法治国家・三権分立・・」などの民主主義を堅持しなければならない。アジア・アフリカなどの国々は「中国式民主主義」に騙されないように。

日本で2021年8月に流行したデルタ株は左側の映像。右側が2022年にパンデミックになりそうなXiウイルス=オミクロンウイルスの写真。

習近平国家主席は日本に北京オリンピックで
会いましょう!日中国交50周年で会いましょう!と呼びかけた。

中国外務省の汪文斌報道官(写真)は、日本が公式レベルで台湾との関係を強化しないことを希望すると述べた。写真は7月、北京で撮影(2020年 ロイター/Tingshu Wang)
中国外務省の汪文斌報道官は16日の会見で、日本が公式レベルで台湾との関係を強化しないことを希望すると述べた。

菅義偉新内閣で防衛相に就任する岸信夫氏についての中国の見解を問う質問に答えた。岸信夫氏は台湾と強いつながりを持つ。

汪報道官は、中国は日本との協力強化を望んでいると述べた。もっと日本の「知恵」が欲しい。
安倍晋三元首相が講演で「台湾有事は日本有事だ。日米同盟有事でもある」と述べたことに対して、中国側は強く反発し、外務省が北京駐在の日本大使を呼びつけ、主要公式メディアが安倍氏を名指しで非難するなど強硬な対応を示した。日本の政府高官ではない政治家の言動について、中国側がこれほど大げさな抗議をするのは異例だ。(時事通信解説委員・西村哲也)

台湾有事なら「恐ろしい結果」 現状変更企てと中国非難―米長官

◇夜に日本大使呼び出す
 中国外務省の発表によると、華春瑩外務次官補は安倍氏が講演した2021年12月1日の夜に垂秀夫大使を呼んで「厳正な申し入れ」を行い、安倍氏の発言について「中国の内政に対して粗暴に干渉し、中国の主権に公然と挑戦し、はばかることなく『台独』(台湾独立)勢力を後押しした」と批判した上で、日中間の四つの政治文書の原則に反すると主張した。
 実際には、安倍氏は台湾独立を支持する発言をしておらず、1972年の日中共同声明などで示された2国間関係の原則から外れたことを言ったわけではない。
 華次官補はさらに、日中戦争の歴史を取り上げて、日本側に「歴史を深く反省し、歴史の教訓をくみ取る」よう促し、中国の主権を侵害したり、台独勢力に誤ったシグナルを送ったりしないよう要求。日本が誤った道を進んでいけば、「必ず火遊びで焼け死ぬだろう」と警告した。
 「火遊びで焼け死ぬ」は、習近平国家主席(共産党総書記)が11月16日のバイデン米大統領とのオンライン会談でも使った言い回しで、「台湾問題に介入する者は、自分が火だるまになって滅びる」という意味だ。
 中国外務省報道官も12月1日の定例記者会見で安倍氏の発言にコメントし、「大胆にも軍国主義の古い道を再び歩み、中国人民のレッドライン(譲れない一線)を越えようとする者は、誰であっても必ず頭を割られて血を流すことになろう」と語った。
 また、国務院(内閣)台湾事務弁公室の報道官は同2日、安倍氏を批判するとともに、民進党政権が「外部勢力」と結託して、台湾独立を図るのは非常に危険だと警告した。
 安倍氏は今も有力政治家だが、政府を代表する立場にはないので、中国側が日本政府に文句を言うのはお門違いだ。北京の日本大使館によれば、垂大使は華次官補に「政府を離れた方の発言の一つ一つについて、政府として説明する立場にない」「中国側の一方的な主張は受け入れられない」と強く反論。同時に「台湾をめぐる状況について、日本国内にこうした考え方があることは中国として理解する必要がある」と伝えた。

日本の軍事介入警戒論も
 国営通信社の新華社や党機関紙・人民日報系の環球時報なども次々と批判の論評を発表。新華社は、日本には「戦後の束縛を打破し、軍事的拡張の古い道を再び歩む」ことを考えている政治家がいると決めつけた。
 また、環球時報は岸田内閣について「(安倍氏の発言内容を事前に)知っていながら黙認したに違いない」「安倍氏の影響から脱していない」といった中国の日本研究者たちのコメントを紹介した。
 新華社のベテラン記者が開設したといわれる微信(中国版LINE)アカウント「牛弾琴」も、安倍氏の発言は中国への挑発であると同時に、岸田文雄首相との主導権争いだと指摘した。中国の日本ウオッチャーに、安倍氏が岸田内閣の対中政策を左右するほど大きな影響力を持っているとの見方が多いことが分かる。
 今春以降、日米首脳会談などの共同文書に相次いで「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記されたことから、中国では台湾問題について日本の介入に対する警戒が強まった。
 11月18日には、公式シンクタンクである社会科学院日本研究所の研究員が台湾海峡情勢に日本が軍事介入する可能性について分析し、警戒を訴える異例の論文を発表。その中で、中国側が台湾問題に関連して特に注意すべき人物として、安倍氏と弟の岸信夫防衛相を挙げていた。
 しかも、習主席はバイデン大統領とのオンライン会談で、中国の「核心的利益」とされる台湾問題に関して「断固たる措置」を取る可能性に言及するなど厳しい姿勢を示し、政権首脳としての外交力をアピール。異例の総書記・国家主席3選を果たすため、自画自賛の新歴史決議(同16日全文公表)と合わせて、自分の政治的威信を高める宣伝工作を展開していた。
 中国側としては、習主席は台湾問題に対する外国の介入を許さない強力なトップリーダーだと宣伝している中で、安倍晋三氏の台湾有事発言が飛び出したことから、あえて大騒ぎして日本側にくぎを刺そうとしたとみられる。
 中国は日本を利用して「経済発展GDP2i位」を成し遂げ、日本は中国に利用されて「経済発展GDP3位」になった相互依存の関係上、日本は中国に頭を押さえつけられ、日本は中国に忖度していかなければ「日本の存在・未来」は無くなってきているのか?もう、中国も「独立した国家」になったのだから、中国の「日中戦争」を持ち出しての「圧力」、2022年は中国の大事な年だから「北京オリンピックは協力するように、日中国交50周年も協力するように」といった「圧力」からは逃れたいものです。2022年からは、日本は「中国を信用しきって交流する事」から「本当の戦略的外交」に移行したほうが良い。


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日本はスイスのような永世中立国になってほしい。
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無理かな




中国、英議会調査担当者のスパイ容疑「でっち上げ」 2023年9月11日
中国外務省の毛寧(もう・ねい)報道官

【北京=三塚聖平】中国外務省の毛寧(もう・ねい)報道官は2023年9月11日の記者会見で、ロンドン警視庁が中国のためにスパイ活動をした疑いで英議会の調査担当者ら2人の男を逮捕していたとされることについて「中国が英国にスパイ活動を行っているという見解は全くの英国のでっち上げだ。断固として反対する」と反発した。

中国外務省の毛氏は、英国側に対し「虚偽の情報をまき散らすことや、反中国の政治的な操作、悪意のある中傷をやめるよう強く促す」と求めた。

李強首相は2023年9月10日、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせてスナク英首相と会談した。毛氏は、同会談で「両国関係や、ともに関心を持つ議題について意見交換を行った」と述べ、英国議会の調査担当者ら中国人2人の男が逮捕された問題が取り上げられたことを示唆した。毛氏は、英国側に「政治的な宣伝、偽報道をやめ、相互尊重を堅持」することなどにより「中英関係の発展を推進」することを呼び掛けた。


あなたは、「何が面白いの?」







中国、処理水の国際評価参加拒否 IAEA枠組みを日本提案
共同通信社 
2023年9月

【ジャカルタ共同】東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り、福島沖で採取した海水の放射性物質のモニタリング(監視)結果を当事国・日本を除いた形で客観的に分析・評価する国際原子力機関(IAEA)の国際的枠組みに加わるよう日本政府が中国政府に提案したのに対し、中国が拒否したことが5日分かった。日中関係筋が明らかにした。処理水の海洋放出に反発する強硬姿勢が改めて鮮明になり、日本が求める科学的根拠に基づく議論は困難となっている。

 インドネシアの首都ジャカルタで2023年9月5日開幕の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議には岸田文雄首相と中国の李強首相が出席(習近平は参加を拒否)。処理水を巡り対立が深まる日中の首相が接触するかどうかが焦点だ。ただ、正式な首脳会談は調整が進んでおらず、見送られる公算が大きい。

 日中関係筋によると、日本政府は今年に入ってから複数回にわたり外交ルートで中国側に対しこの国際枠組みへの参加を促した。中国側は「分析・評価の独立性が担保されていない」などと実効性を疑問視し、受け入れなかったという。


「ニホンウナギ」はほとんどが中国産だった―香港メディア
東京電力福島第一原発の汚染処理水海洋放出に反対する中国人たち!

2023年9月4日、香港メディア・香港01は、東京電力福島第一原発の汚染処理水海洋放出に伴い中国で海産物に対する憂慮が高まる中、「ニホンウナギ」は日本のウナギではないとする記事を掲載した。


記事は「日本による処理水の海洋放出は、中国本土の漁業関係者の懸念を呼び起こした」とし、現地の日本料理店の業績に影響を及ぼしていると紹介。その一方で、中国さらには日本の食卓に並ぶ「ニホンウナギ」はそのほとんどが中国産であることに多くの人が気づき始めたと伝えた。

そして「ウナギの里」と呼ばれる福建省福清市出身で、中国産のウナギブランド「九里井」の総経理を務める鄭晨星(ジョン・チェンシン)氏が、共同出資した日本料理店の経営が処理水の海洋放出後に急降下したと語る一方で、「海産物が今後食べられなくなることを心配しているのか、それともウナギに関する正しい知識が浸透し始めているからなのか分からないが、海洋放出開始からの1週間、九里京のライブコマースでの取引額が前の週の8倍になった」と明かしたことを紹介した。

その上で、ウナギに関する正しい知識について「ニホンウナギはウナギの種類の学名であり、ウナギが日本産であることを指しているわけではない」という点を挙げた。記事は、広東遠宏水産集団の徐愛寧(シュー・アイニン)氏が「現在市場に流通しているニホンウナギのほとんどが中国産であり、広東省台山市が主な生産地である」と指摘したほか、中国本土だけでなく台湾でもニホンウナギの養殖が行われて、日本に輸出されていると伝えた。(翻訳・編集/川尻)


中国、国際的な処理水評価の参加拒む 中国、処理水の国際評価参加拒否! IAEAの国際的枠組みに加わることも拒否!
2023/9/6 6:00


中国政府は、海水の放射性物質のモニタリング(監視)を当事国・日本を除いた形で客観的に分析・評価する国際原子力機関(IAEA)の国際的枠組みに加わることを拒否した!
2023/9/6 
中国、処理水の国際評価参加拒否! IAEAの国際的枠組みに加わることも拒否!
 【ジャカルタ共同】東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り、福島沖で採取した海水の放射性物質のモニタリング(監視)結果を当事国・日本を除いた形で客観的に分析・評価する国際原子力機関(IAEA)の国際的枠組みに加わるよう日本政府が中国政府に提案したのに対し、中国が拒否したことが2023年9月5日分かった。日中関係筋が明らかにした。処理水の海洋放出に反発する強硬姿勢が改めて鮮明になり、日本が求める科学的根拠に基づく議論は困難となっている。

 インドネシアの首都ジャカルタで2023年9月5日開幕の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議には岸田文雄首相と中国の李強首相が出席。処理水を巡り対立が深まる日中の首相が接触するかどうかが焦点だ。ただ、正式な首脳会談は調整が進んでおらず、見送られる公算が大きい。

 日中関係筋によると、日本政府は今年に入ってから複数回にわたり外交ルートで中国側に対しこの国際枠組みへの参加を促した。中国側は「分析・評価の独立性が担保されていない」などと実効性を疑問視し、受け入れなかったという。



処理水巡り日中首脳が主張、相違浮き彫りに-ASEAN首脳会議
Isabel Reynolds 
(ブルームバーグ): 岸田文雄首相と中国の李強首相は、インドネシアの首都ジャカルタで開催されている東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議の場で、東京電力福島第1原子力発電所の処理水海洋放出について双方の立場を主張した。

  日本の外務省の発表資料によると、両首脳は2023年9月6日、ASEANプラス3(日中韓)首脳会議開始前に短時間立ち話を行った。韓国の尹錫悦大統領も出席した同会議では広範な分野にわたり意見交換が行われた。

  岸田首相は処理水の海洋放出について、安全性に万全を期した上で実施されていると説明し、日本の立場を改めて表明。中国政府による日本産水産物の輸入全面停止に触れ、科学的根拠に基づく行動を求めていく考えを示した。

  中国国営の新華社通信によると、李首相は処理水放出について、世界の海洋生態環境と人々の健康に関わると懸念を示し、日本に対して責任ある対応を要請するとともに、近隣諸国と十分な協議を行うよう求めた。



  中国は処理水の海洋放出に踏み切った日本に対し最も強硬な姿勢を示している。国際原子力機関(IAEA)は処理水放出計画は国際安全基準を満たしていると評価したものの、中国政府は日本産水産物の輸入全面停止に踏み切った。今回の海洋放出に反発して、中国国内では日本人に対する嫌がらせ行為などが報告されている。

  岸田首相は2023年9月6日、記者団に対し、「日本の対応については、国際社会の多くの国から広く理解をされている」とし、中国による日本産水産物の輸入全面停止は「突出した対応」だと指摘した。

  今週末インドで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議の場で李氏との会談が行われるどうかについて岸田首相は、まだ何も決まっていないとした。同会議には李首相は出席する予定で、習近平国家主席は欠席する見通し。
  松野博一官房長官は2023年9月7日の会見で、岸田首相と李首相による立ち話は「建設的かつ安定的な日中関係の構築に向け極めて重要であった」との認識を示した。会話の詳細は明らかにしなかったものの、日中間の課題や懸案の解決に向けて対話を重ね、「ハイレベルを含むあらゆるレベルで緊密に意思疎通を図ることが必要だ」と語った。 

  輸入停止措置に関して日本政府は2023年9月4日、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の規定に基づき、中国政府に対し討議の要請を行ったと発表。世界貿易機関(WTO)への提訴も辞さない構えをみせており、中国に「即時撤廃」を求めるとの反論をWTOに書面で提出した。

原題:Japan, China Leaders Air Differences Over Fukushima at Asean (1)(抜粋)

--取材協力:ジェームズ・メーガ、萩原ゆき.

中国、処理水評価の枠組み参加拒否
国際 | 共同通信 | 2023年9月5日(火) 19:59

 【ジャカルタ共同】東京電力福島第1原発処理水の放射性物質監視を客観的に評価する国際原子力機関(IAEA)の国際的枠組みへの参加を求めた日本の提案を、中国が拒否したことが2023年9月5日分かった。中国は処理水海洋放出に反発している。


処理水放出で〝妄言爆発〟中国首相、自国トリチウム棚に上げ「地球規模の懸念が生じた」世界屈指の環境汚染国も
オピニオン

習近平国家主席率いる中国が、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出について、「妄言」を爆発させた。中国ナンバー2の李強首相は6日、インドネシアで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議で、処理水を「核汚染水」といい、「放出により地球規模で海洋の生態環境に懸念が生じた」などと言い放ったのだ。日本の放出計画は、国際原子力機関(IAEA)が「国際基準に合致する」と評価している。そもそも、中国の原発は、福島第1よりもはるかに多い放射線物質トリチウムを放出しており、中国は世界最大の温室効果ガス排出国でもある。岸田文雄首相は今回、「中国は突出した行動を取っている」と抗議したが、傍若無人な隣国には、さらに強い対応が必要だ。

岸田首相と李氏は首脳会議に先立ち、短時間、立ち話を行った。会場の待合室で、岸田首相から声をかけるかたちで始まった。

政府関係者によると、処理水放出が主題となり、十数分続いたという。岸田首相は終了後、李氏に対して科学的見地に基づいた行動と正確な情報提供の重要性を指摘したと記者団に明らかにした。
注目のASEANプラス3首脳会議では、両氏が主張を展開した。

岸田首相は放出開始後に海水のモニタリングデータを公表し、科学的観点から問題が生じていないと説明し、各国の理解を求めた。中国による日本産水産物の禁輸について、「(放出は)国際社会で広く理解が得られているが、中国は突出した行動を取っている」と批判し、中国が国際社会で孤立している現状を指摘した。

この後、李氏が発言した。

中国の国営新華社通信によると、李氏は処理水を「核汚染水」と呼び、放出により地球規模で海洋の生態環境に懸念が生じたとして「人々の健康に影響する」「日本は責任ある方法で『核汚染水』を処理すべきだ」などと批判したという。
ただ、ASEAN各国や韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は処理水放出に言及しなかった。当然のことだ。非科学的な「イチャモン外交」を繰り広げている中国こそが、「世界屈指の環境汚染国」であることは周知の事実である。

福島第1が今年度に放出を予定する放射性物質トリチウムの総量は年間22兆ベクレル未満であるのに対し、中国・秦山第3原発は約143兆ベクレル(2020年)と6倍以上に上る=図参照。

中国は自国に不利な科学的事実に目を背け、日本産水産物の禁輸に踏み切った。さらに、北京の日本大使館にはレンガ片が投げ込まれ、各地の日本人学校には石や卵が投げ付けられたが、「反日暴挙」を抑える気配もない。

中国は、世界最大の温室効果ガス排出国としても知られている。

環境問題に詳しいジャーナリストの石井孝明氏は「中国は世界の二酸化炭素(CO2)排出量の2~3割程度を占めている。経済成長や農地の拡大に伴う砂漠化の拡大、ウイグル地域などで住民の人権侵害にもつながる草原破壊、森林伐採による生態系破壊、飲料水にも影響する水質汚染などが指摘されている。今回の李氏の発言は、自国の環境汚染を棚に上げ、国民に目を背けさせたいという思惑もあるのではないか。日本政府の中国に対する姿勢は評価でき、引き続きデータを突き付けながら、反論していくことが重要だ」と話す。
一方、岸田首相の対応を問題視する意見もある。

福井県立大学の島田洋一名誉教授は「岸田首相と李氏との立ち話で気になったのは、メディアで『岸田首相が李氏に理解を求めた』と報じられたことだ。こういった岸田政権の姿勢が、中国に『岸田政権は及び腰だ』と付け込まれる要因となっている。地球規模で環境を破壊しているのは中国共産党であり、李氏の発言は自分たちのことを言っているという感じだ。対外的に発表する場合には、『中国の非科学的で理不尽な対応に、日本がクギを刺した』というような格好の発信をしなければならない」と語る。

岸田政権はどうすべきか。

島田氏は「岸田政権は『中国を刺激したくない』と、対中外交で腰がひけている。これが問題だ。IAEAは日本の味方であり、ジョー・バイデン米政権にも『日本を支援しよう』という構えが見られる。G7(先進7カ国)議長国として各国に呼びかけ、『日本産水産物の共同買い付け』を国際規模で行ったり、中国への半導体輸出規制を厳しくするなど、強い『行動』として反撃していくべきだ」と語った。


処理水問題:中国の理不尽な輸入禁止や迷惑電話扇動に断固たる措置を
日本での不可思議な土地所有問題などにもメス入れよ
2023.9.1(金)

米国人が一人でも拉致されると米国はすかさず対抗措置を取り、相手を外交交渉に誘い出して被害者を取り戻す。

 民間団体の調査によると800人近くが拉致されている可能性のある日本ではわずかに5人しか取り戻していない。

 無辜の国民が国家主権を侵害されて連れ去られたのを取り返せない不甲斐なさ、外務省と同省を統括する外相(さらには首相)は、当初の問題処理を誤ったのではないかと詰問したい。

 ここでは拉致問題は扱わないが、いまだに解決しないことから得られた教訓だけは生かさなければ、誤りを繰り返し国益を毀損し続けるだけである。

拉致問題で得られた教訓は何か?
 それは遺憾の意を示すことや飴玉を与えながらの交渉では、国民の意向を考慮する必要がない全体主義の国に対しては問題解決にはつながり難いということだ。

 政治問題や経済問題で理不尽かつ不利益をもたらす言動を相手が行なっても、日本(政府)は馬鹿の一つ覚えのように「遺憾である」と繰り返すだけなので、「遺憾砲」と揶揄さえされている。

 米国や英国などG7に属する国は言うまでもなく、日本よりもはるかに小さな国力しかないとされる国でも、中国が理不尽な、あるいは国益に反すると見られる制裁などを行った時には、非難の声明を出すとともに同等か同等プラスαくらいの対抗措置をとって対処することがしばしばである。

 例えばある人物がスパイとして拘束された時には、まず非難するが、前後して類似した業務に従事する人物を拘束する。

 相手が何かを理由に総領事館を閉鎖したときは、こちらも相手により打撃を与える総領事館を閉鎖するなどする。

 数百万人しかいない国でも中国漁船に拿捕された人物や船を取り返すために、中国の他の船を撃沈さえする。

 国家とは領土、国民、主権(の擁護者)とされ、国の大小とは関係ない。どのような国も国益や主権の侵害に対しては必死で最大限の努力をしている。


憲法の呪縛
 日本はG7の一員でもあり、人口は米国に次いで大きい。

 しかし、日本には国益や主権の観念がないのではないかと思われる行動をとることが多い。

 国際社会は日本の憲法が前提するような正義を重んずる善人の集まりばかりではない。

 むしろ、性悪説を前提にした方が大部の場合は問題の解決に結びつくのではないだろうか。
極端な話であるが、日米は同盟関係にある。しかし、どこまでも米国は自国の国益増進を目的にしており、交渉においては少しでも自国に有利になるように日本に要求してくる。

 日本も主権国として国益の視点から主張すべきであるが、「米国が日本を守ってくれている」という恩義の感情や、「相手の国を慮る」という日本的習性から、必ずしも主張しないことが多いと仄聞した。

 日米安保条約下の地位協定においても日本は米国の他の同盟国よりも主権をかなり譲歩している。言うなれば国家の体をなしていない「半」国家か擬似国家の為体(ていたらく)である。

 特に中国はことあるごとに日本製品の輸入禁止や制限、不買運動、あるいは理由もなく日本人を拘束するなどしてきた。

 しかし、日本はほとんどの場合、しかるべき対処行動はとらずに抗議するだけであった。

「日本」の代表という立場を忘れて、「自分がいい子」になりたがっている一面があるのかもしれない。

 しかしそれ以上に憲法の前文を信じ(込まされ)、諸外国は「正義の国」だから「善意」を持つ「平和愛好国」で、交渉ごとで過大な要求などしているはずがないと思い込んでいるのかもしれない。

 実態は全く異なり、国益丸出しで取れるものは何でも取ってやれ、その成果が自分の地位向上にも役立つとしか思っていない者ばかりである。

 日本では相手に楯突いた人は「喧嘩好き」として嫌われ、譲歩した人は「心が広い」として歓迎される風潮がある。

 日本の伝統が根っこにあることは言うまでもないが、憲法がさらに思考の幅を狭めている。

 しかし、国際社会は凸型思考(口論し合う)が一般的で、凹型思考(譲り合い)は日本国内でしか通用しないことを知る必要がある。

 国際社会に日本型思考で対処していたのでは国益を減ずる結果をもたらす危険性が大きい。

日本の対処は生ぬるい
 処理水の海中放出はIAEA(国際原子力機関)による調査で安全基準をクリアしており、国際社会の多くの国は問題視していない。

 そうした中で中国のみが輸入禁止の措置をした。

 しかし、日本は対抗措置をとっていない。政府が例によって「遺憾」であると抗議しただけである。

 しかし、中国共産党の意図を受けたとみられる偽メールが無関係のところにも来襲し、また在中国の日本人学校や多くの日本関係施設が嫌がらせを受けるなどし始めた段階で、政府(外務省)は駐日中国大使を外務省に招致して「極めて遺憾」と抗議した。

 抗議のレベルを上げたが依然として「口先だけ」の抗議に変わりはない。

 こうした日本の外交上、あるいは貿易上の不手際が日本の選択肢を狭めてきたのではないだろうか。

 自衛隊や海上保安庁の巡視船の行動が厳しく制限されているために、尖閣諸島の領海に我が物顔で侵入を繰り返すと同様に、口頭だけの「遺憾砲」も空砲でしかないことを相手はとっくに見透かしてきたわけである。

 中国(共産党指導部や政府)は自国の主張が合理的でないことを100%知った上で反対している。

 国内経済の悪化で不満が蓄積しつつあるとされ、日本への団体旅行を許可したのはガス抜きの一環ともされる。

今回の「核汚染水」の捏造も国民の関心を逸らすことであり、もう一つは日本の国際的な評価を落とすことであると見られている。

 中国が利益圏と見ていたアフリカで日本は国家の信頼性を引っ提げて食い込みを図ろうとしている。

 そうした日本の信頼性に疑問を抱かせることは紛れもなく中国の国益につながる。

 日本の処理水は国際基準の安全性をクリアしていることを承知の上で、中国は反日行動をそそのかしている。

 そうしたなかで日本が馬鹿の一つ覚えで「処理水は安全」「国際基準をクリアしている」などと主張してデータを公表し、また大臣が周辺で水揚げされたばかりの魚の刺身を試食したところで、効き目が限定されていることは言うまでもない。

ウイグル綿などの輸入制限を仄めかせ

処理水の海上排出については、核の国際機関であるIAEAが日本以外の数カ国の専門家で検査し、安全であることを保証した。

 それがIAEAの安全宣言という形で国際社会に発信されており、決して日本が独自に秘密裏で行った宣言などではない。

 処理水の安全レベルは国際的な安全基準をも大きく上回ってさえいる。

 IAEAの宣言は控えめすぎるとさえ思うくらいであるが、日本政府はあえてそのことを強調したりしないで「安全基準をクリア」していると控えめな表現で訴えている。

 このように周到に日本が対応し、理論的、科学的に安全性が確認されているにもかかわらず、中国は「核汚染水」と国際社会に喧伝してやまない。

まさしく政治的な反日キャンペーンでしかないことが分かる。
中国は自国の原発周辺から「汚染水」を垂れ流している。日本の処理水どころの話ではない、まさしく「核汚染水」である。

 中国は日本の処理水が国際基準をクリアしていることを知っている。言うまでもなく、中国の汚染水よりもはるかに安全であることも知っている。

 そうした中国に日本(政府)がいくら「科学的に安全性が確認されている」「国際基準をクリアしている」と外交ルートで依頼しても聞く耳を持たないのは当然である。

 にもかかわらず、「遺憾」「極めて遺憾」と繰り返したところで変わらないであろう。相手は民主主義国家ではなく人民の意見などに耳を傾ける国ではないのだ。
 風評被害を補償するのは当然としても、それ以前に風評被害を抑えることに尽すべきであり、それは対中圧力である。

 かねて中国はウイグル人の人権を抑圧していると国際社会で批判されている。ウイグル綿の生産はそうした人権無視で行われているとも言われてきた。

 しかし、日本の某企業は確たる証拠がないとして活用し続けている。

 ともあれ疑惑が持たれている綿の輸入制限、或いは禁止するなどの対抗措置がこの際は有効ではないだろうか。国際社会の共感も得やすい。

おわりに

今後、安全保障上で大きな問題となってくるのが、外国人、中でも中国人や中国資本による日本の土地買い占めである。

 土地の買い占めは自衛隊施設の近傍、港湾を見渡せる地域、無人島、あるいは天皇が行幸された記念碑を包含するなど、決して個人的な趣味でなく国家意思の介在が読み取れる。

 中国の国家意思が明確に見えるのは、大使館や総領事館などの外交施設が所在する土地の保有である。

 外交では相互主義が基本である。米国の大使館も総領事館も日本からの借地に存在し、借地料が払われている。

 日本の在米大使館や総領事館も米国の土地を借用して建てており、借地料を支払っている。

英国もフランスもドイツも、いや中国を除くすべての国の大公使館や総領事館等の外交施設は日本の借地や借家に存在している。

 そればかりではない。米英仏などの国に所在する中国の大使館や総領事館もすべて当該国からの借用地に存在する。

 中国では土地を買うこと(すなわち所有)ができないことに基づく相互主義である。

 日本においてだけ、しかも中国だけが東京にある大使館や大阪などにある総領事館の用地を買い上げて「所有」している。

異常な話はさらに続く。

 中国大使館用地は同盟関係にある在日米国大使館用地よりも広い。驚くことはさらにある。

 総領事館はビザの発給くらいが主な仕事で1部屋や2部屋くらいで十分と言われるが、中国の総領事館の多くは大使館よりも広い土地を所有していることが分かっている。

 土地問題は従来はさほど問題視されなかったが、中国が国防動員法などを制定し、習近平主席が台湾奪回のために「戦争準備」を指令して以降、中国やその影響下にある中国系資本による土地の買い占めが安全保障の観点から注目され、危険視されるようになってきた。

 処理水を「核汚染水」と呼び国際社会に喧伝することは、日本をその問題に集中させ、その間にさらに土地を買い占める、あるいは、日本に譲歩する取引材料にするためなどいろいろ考えられる。

 政府が遺憾砲の発射と漁業への補償で乗り切ろうとしている裏で、中国はもっと大きな網を張り巡らせていることを忘れてはならない。


処理水放出で中国から「電凸」攻撃、SNSの人気アカがデマを拡散し反日を扇動
不買運動、店舗破壊・・・習近平政権がガス抜き目的で嫌がらせを放置
2023.9.1(金)

・処理水の海洋放出に対する中国の嫌がらせが激しさを増している。
日本製品の不買運動や日本料理店の破壊など愛国心を証明するパフォーマンスが広がっている。

・特に、組織的に迷惑電話をかける「電凸」攻撃はかつてない現象で、背後に当局に忖度するデマを拡散する「自媒体」と呼ばれるSNSの人気アカウントの影響力増大がある。

・2023年9月は「反ファシスト抗日戦争勝利記念日」(2023年9月3日)や「国恥日」(2023年9月18日)など反日機運を刺激しかねないイベントがあり、嫌がらせのエスカレートが懸念される。

(福島香織:ジャーナリスト)
日本が8月24日、福島第1原子力発電所の多核種除去設備(ALPS)処理水を海洋放出したことに対し、中国は激しく抗議し、即日、日本の水産品を加工品も含めて全面禁輸する措置をとった*1。それだけでなく、一種の「反日キャンペーン」のような形で、官製メディアが一斉に日本を「核廃水」問題でたたき始めた。
*1:処理水放出と中国の反応については以下の記事をご覧ください
原発処理水の海洋放出、中国・韓国はなぜ反発?風評被害対策になぜ800億円?(8/24  JBpress掲載)
ついに始まった処理水放出、中国が「核汚染水」と称して大々的に日本攻撃(8/24 JBpress掲載)

 それを合図に人民の「日貨排斥運動」(日本製品の不買運動)や日本の福島関連の飲食店や企業や公共施設に「電凸」(組織的な抗議電話)を始めた。さらには日本大使館や日本人学校への投石、嫌がらせ、日本料理店経営の中国人が愛国を証明するために自分の店を破壊するようなパフォーマンスなどが全国で起きている。

 9月は中国にとって「反ファシスト抗日戦争勝利記念日」(3日)や「国恥日」(18日、満州事変勃発日)などがあり、こうした過剰反応がどこまでエスカレートするかは不明だ。日本政府は29日、中国側は禁輸措置に対して世界貿易機関(WTO)に提訴する、としている。だが、問題の本質は経済問題ではないので、中国側のこうしたアクションに歯止めをかける効果にも限界があろう。

 では問題の本質はどこにあるのか。中国と中国人はなぜここまで「核廃水」に過剰反応するのか。

エスカレートする日本たたき
 日本メディアも連日、処理水放出に対する中国の過剰反応について報じている。中国メディアのネットアカウントは処理水放出の様子をものものしくライブ配信し、あたかもこの処理水によって恐ろしい汚染が起こると喧伝した*2。
 ネットでは「この処理水に汚染された海産物を食べると遺伝子が傷つく」「影響は子々孫々まで続く」「子どもが奇形になる」といった発言がSNSで拡散。これによってパニックになった一部人民が汚染前の食塩の買い占めに走ったり、日本の海産物だけではなくその他の製品についても不買運動が呼びかけられたりした。

 また、日本料理店のオーナーが自分の店を破壊して日本料理店をやめる宣言を行うパフォーマンスも各地で起きている。日本大使館や日本人学校への投石、嫌がらせもあった。

 デマ、パニック、日貨排斥、日本公館や施設、企業に対する嫌がらせ・・・。これは過去にも中国政府が日本に圧力をかけたいときに、中国社会で発生してきたおなじみの現象だ。これがさらにエスカレートすれば在中国邦人に対するタクシー乗車拒否や入店お断りなどの嫌がらせ、日本車や日本製品を愛用する中国人への攻撃、抗議デモからの日系企業や工場、日系店と間違われた中国人商店への攻撃、破壊を伴う暴動という展開になる。
 実際に、過去に何度もこうした経験してきて、中国にはこうしたカントリーリスクがある、ということは中国に進出している日本企業ならば熟知しているだろう。

ネットインフルエンサーがあおる「電凸」
 今回の騒動で特徴的なのは、中国のネットインフルエンサーたちが福島に関連する飲食店や企業や公共施設に抗議電話をするように呼び掛け、実際に自分で「抗議電話」をかけて、暴言を吐いている様子の動画をSNSでアップするなどしていたことだろう。実際、数千単位の海を越えた「嫌がらせ電話」が日本・福島県にかかっているとされ、多くの飲食店、施設、役所、人の命を預かる病院までが業務を妨害された。

 日本大使館はこうした嫌がらせ電話は「犯罪行為だ」として、中国政府に対応するよう要請した。だが中国政府はまだ対応しておらず、嫌がらせ電話の動画もSNSでは削除対象になっていない。それどころか、日本を擁護しようとしたり、発表されている福島の処理水のデータと、中国の沿岸部の原発が海洋放出している廃水のデータを比較したりしている情報、論評が削除対象となっている。

 このネットインフルエンサーによる「電凸」現象は、これまでの反日現象にはなかった。これは単に時代の変化なのか。

 2012年秋の尖閣諸島国有化に対する反日ムーブメントは、中国全土100カ所以上で「反日デモ」が相次ぎ、打ち壊しや略奪、焼き討ちなどの破壊行為を伴って日本人に大きなショックを与えた。この時、デモの一部は当局の動員に応じた官製デモであった。
 だとすると、今回のネットインフルエンサーたちの嫌がらせ電話も当局の動員だろうか。

セルフメディア(自媒体)の影響力が拡大
 中国にはかつて「五毛」という、当局から金をもらって中国政府に有利な書き込みをして、ネット世論を誘導するオンラインコメンテーターが存在した。ここ10年くらいは五毛ではなく、表向きPR会社の世論誘導引き受け企業が雇う通称「ネット水軍」と呼ばれる世論誘導員や、大学などで共産党組織が就職や学位のインセンティブの代わりに募集する「ネットボランティア」が、共産党のプロパガンダをネット上で効果的に拡散し、世論を中国当局の望むように誘導する任務を請け負ってきた。

 ネット水軍やネットボランティアは、一行書いていくらの「五毛」と違い、世論浸透度など成果を評価されるので、世論誘導テクニックは格段に洗練された。彼らは、解放軍のサイバー部隊とはまた別の司令系統で動いている。

一方で、金銭やインセンティブがなくても、自らの意志で中国を宣伝し反体制派や外国を攻撃するネット紅衛兵ともいうべき愛国民族主義のネットユーザーも少なからず存在する。彼らは海外に留学したり駐在したりしていても、西側諸国への強いコンプレックスから、習近平が打ち出す「中華民族の偉大なる復興」に一層共感をもって、こじれた愛国心をこじれた形で表現しがちだ。

 では、今回のネットで、日本に対する嫌がらせをするのが、いずれのネット民たちか、それは正直、区別はつかない。
 ただ留意する点は、7月10日に「セルフメディア(自媒体)」の監督管理強化のための13条の要請が、党中央インターネット情報弁公室から通達されていた。自媒体とは、中国の公式メディアとは違い、識者や専門家、記者ら個人がSNSなどを使って情報発信するメディアで、今や中国では公式メディア以上の影響力をもっている。

 いわゆるネットインフルエンサー、KOL(キーオピニオンリーダー)と言われる人たちも、中国では自媒体の範疇に入るだろう。中国版の「ユーチューバー」のような存在だが、その定義や認証制度が徐々に進められているところだ。

自媒体が当局の「代弁者」に
 かつては「大V」(多くのフォロワーやファンを抱える公式アカウントもしくは実名登録アカウント)と呼ばれるアカウントがネット上の影響力を誇っていた。彼らの生息地帯は主に短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」や対話アプリ「微信(ウィーチャット)」だった。

 短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」や対話アプリ「微信(ウィーチャット)」、豊富な動画配信機能を持つ「抖音(ドウイン)」などが競合する中で、SNSはより多様で便利な配信機能を備えるようになっていった。それに伴い、KOLらはフォロワー数を大幅に増やし、芸能事務所のようなプロダクションにマネージメントされるようになったり、企業とコラボレーションしたりして巨額の広告収入を得るようになった。もはや単なる個人というよりメディアとも言える存在だ。

 こうした自媒体は急速に増え、就職難の若者にとって新しい人気職種となっている。14億人を抱える中国では、バズれば動く金は小さくない。バズるために、フェイクニュース、過激な発信なども含まれるようになった。
中国は数年前からこうした自媒体に対する監督管理統制強化に動いている。今回の13条は、自媒体のルールとルール違反罰則について一段と細かく規定された。通達の中にはSNS、ライブ配信、ショート動画、知識問答(知恵袋形式の発信)、フォーラムコミュニティ(掲示板)などのネットプラットフォームに対する監督管理統制強化も、自媒体管理の一貫として強化されている。中国当局が自媒体とみなす範囲はかなり広い。
 この中国の自媒体に対する管理強化策は、将来的に自媒体を中国公式メディアと同様の統制下に抑えこもうという狙いがあると見られている。中国の公式メディアの第一任務は党と政府の宣伝任務、「党の喉舌(スピーカー)」であることだ。

 今のところ通達では、「デマ」「流言」「社会に悪影響をもたらす発信」規制を建前に、社会に動揺を与えたり党や政府を批判したりする話題を牽制するような内容にとどまっている。だが、そのうち当局の公式メディアのようにプロパガンダを積極的に発信することが、自媒体として生き残れるかどうかの踏み絵になるのではないか、といわれている。

日本攻撃は「ガス抜き」
 公式メディアが日本の「核廃水」問題攻撃報道を一斉に行い、ネット上では日本を攻撃する内容の情報発信は電凸のような下品なものも削除されていない。これに対し、日本を擁護するような発信は削除されている。そうした状況を見れば、自媒体は日本を攻撃するのが生き残りのための踏み絵と考えるかもしれない。具体的に指示書、通達などで動員をかけられなくても、率先して日本に対する攻撃的世論を扇動し、電凸というパフォーマンスがバズることに気づけば、それを繰り返す。

中国がこれを放置しているのは、この現象に満足しているからだ。日本への電凸は、国内で反日デモを起こされるよりはいい。国内で起きる反日デモは、コントロールしきれなくなる場合があり、下手をすれば、反日デモだと思っていたら、いつのまにかスローガンに反体制的なものも混じり、矛先が党中央や地方政府に向くこともありうる。

 中国が今のタイミングで日本を攻撃したい最大の理由は、中国内政ののっぴきならない状況のガス抜きをしたいことが大きいと、私は見ている。
*3:中国の内政の現状については以下の記事をご覧ください
中国・習近平が「やる気」喪失?BRICSでの弱々しい姿に憶測飛び交う(8/26 JBpress掲載)

中国経済は低迷し続け、不動産市場救済策の失敗が明らかになっている*4。若者の失業率は上昇中、相次ぐ災害への対応は遅れ、党内では異様な粛清人事が起きている。

こういう状況を放置しておけば、人民の生活苦や暮しの展望への不安、不満の矛先が党中央や政府に向かいかねない。そのため、不満や不安の矛先を対外的に発散させる方法が、これまでもよくとられてきた。人民の不満の矛先を対外的に一番誘導しやすい対象は日本だ。

秋は反日の季節
 もともと中国では、秋は反日の季節だ。2012年の尖閣国有化(9月11日)に対する反日デモの暴徒化も、秋の国恥日に近いことがエスカレートにつながった。

 こういう中国の事情や時期を考えると、日本の海産物の全面禁輸も、中国の海を越えた「反日しぐさ」もすぐに収束するとは思えない。2023年8月10日に日中間の団体旅行が解禁されたが、少なくとも10月の国慶節休みの日本行きツアーは期待していたような集客は見込めないだろう。

 日本の水産企業や対中輸出企業が打撃を受ける以上に、中国側の各種業界も打撃を受ける。一部の冷静な中国人たちは、このやり方を「自分で持ち上げた石を自分の足の上に落とす行為」とため息をつく。
 こういう状況が起きてしまうことについて、日本政府や企業、日本人側にできることは少ない。改めて中国市場に依存しすぎることのリスクを肝に銘じると同時に、中国側が自分の足の上に落とした痛みの大きさに耐えきれなくなるタイミングを待つしかなかろう。



偽ブランド品 2022年の倍 医薬品や電化製品も
中国からの輸入が9割を占めている
2023年8月




人気ブランドのロゴが描かれたバッグや、巨大な置き時計。

机いっぱいに並べられているのは、すべて偽物。

東京税関が、2023年上半期に輸入を差し止めて押収したブランド品などの偽物は、前の年の同じ時期の約2倍となる、21万6,000点余りで、過去最多を更新した。

中国からの輸入が9割を占めているほか、医薬品や電化製品など、健康や安全を脅かす可能性のあるものも増えているという。

東京税関は、「値段が著しく安い物や、販売元が明確でない物は買わないように」と呼びかけている。



パナソニック、中国市場に大きな自信と期待
新華社 によるストーリー •
2023年9月6日

パナソニック社は改革開放後の中国に最も早く進出した日本企業の一つ





2023年9月2日、取材に応じるパナソニック(中国)の趙炳弟総裁。(北京=新華社記者/李佼俐)

 【新華社北京2023年9月6日】2023年中国国際サービス貿易交易会(CIFTIS)が2023年9月2~6日の日程で、北京市の国家会議センターと首鋼園区で開かれている。パナソニック(中国)の趙炳弟(ちょう・へいてい)総裁はこのほど、新華社の取材に応じ、パナソニックが中国市場に大きな自信と期待を持っていると明らかにした。

 今回初めてCIFTISに会場出展での参加を果たした同社は、「未来のスマートシティー」ジオラマを通じて「緑能(新エネルギーの水素燃料電池)」「優店(環境に配慮した店舗ソリューション)」「智造(スマート製造ソリューション)」「慧行(EVを支えるデバイスやサービス)」「悦住(健康で快適な住宅空間ソリューション)」という五つのテーマで関連製品とソリューションを展示した。


2日、パナソニックが出展した高性能アーク溶接ロボット。(北京=新華社記者/李佼俐)

 趙氏は、同社が中国の発展の方向性とマッチする多くの製品を擁し、常に中国での実際のニーズを踏まえて事業を開拓していると強調。その例として中国が提起した二酸化炭素(CO2)排出量の30年までの減少転換、60年までの実質ゼロを目指す「双炭」目標に合わせ、ここ数年ゼロカーボン工場や水素燃料電池、新エネルギー自動車部品などの分野において環境事業の発展を積極的に推進していることを挙げた。

 統計によると、同社が中国に持つ工場38カ所のうち、ゼロカーボン工場は5カ所を数える。多くの家電、住宅設備製品には省エネ技術が用いられており、CO2削減貢献量は約241万9千トンに達する。今回展示したジオラマでも、中国で初めての冷却熱電併給(CCHP)水素エネルギー実証プロジェクトやエネファーム水素燃料電池の家庭での応用、環境に優しい持続可能な店舗ソリューションなど、各種グリーン(環境配慮型)・低炭素ソリューションが紹介されている。

2日、パナソニックの出展ブースを見学する人々。(北京=新華社記者/李佼俐)

 健康や高齢化の分野で中国社会が抱えている課題を踏まえ、同社は中国初の健康養老社区(コミュニティー)を創設。アプリを通じて空気や光、水などのスマート制御を実現し、1170世帯に快適な居住環境を提供した。趙氏は「日本の高齢化は中国より10~20年早い。パナソニックは高齢者介護や高齢者対応の面で多くの経験を蓄積してきた。健康な居住空間のコンセプトを中国で広め、シルバー産業の発展を後押ししたい」と語った。

2日、パナソニックが出展した「未来のスマートシティー」ジオラマ。(北京=新華社記者/李佼俐)

 同社の中国事業規模は現在1200億元(1元=約20円)余りに達し、グループ全体の27%を占めている。趙氏は、同社が中国市場を大いに重視し、世界の製造センターとしてだけでなく、イノベーションセンターとしても位置付けているとし、中国にいる従業員4万人余りのうち、研究開発担当者が1万人近くに上ることを明らかにした。
2日、パナソニックが出展した高性能アーク溶接ロボットを見学する人々。(北京=新華社記者/李佼俐)

 今年2023年は中国の改革開放45周年に当たる。趙氏は「当社は改革開放後の中国に最も早く進出した日本企業の一つであり、中国の発展を見届け、中国の改革開放による恩恵を受けてきた。未来に向けても、中国市場に大きな自信と期待を抱いている」と述べた。また、中国では多くの国内資本企業が急速に発展しており、コスト意識やビジネスモデルの革新などで注目すべき長所を持っているとし、同社は現在持っている優位性を発揮しつつ、より多くの産業分野で中国国内企業と提携し、今後の事業発展を共に推進していきたいと抱負を述べた。(記者/李佼俐)




日中首脳会談 習主席「中国の発展は日本にチャンス」アピール
2023年11月18日

日中首脳会談 習主席「中国の発展は日本にチャンス」アピール© TBS NEW

日中首脳会談について、中国国営の中央テレビは「両首脳は戦略的互恵関係を前進させることを再確認し、新時代の要求に合致した建設的で安定した日中関係を構築することを約束した」と伝えました。

また、会談で習主席は台湾問題について「日本側は中日関係を傷つけないよう信義を守らなければならない」とけん制。

さらに福島第一原発の処理水の海洋放出については「国内外の懸念を真摯に受け止め、責任ある建設的な方法で適切に対処すべき」と指摘したとしています。

処理水問題をめぐっては、中国外務省の報道官が17日の会見で日本の海産物の禁輸措置を念頭に中国の対応を正当化、そのうえで「日本側が中国側に歩み寄り、協議や交渉を通して問題を解決する適切な方法を見つけるよう望む」と日本側に対応を求めています。
一方、今回の会談実現の背景には、中国経済が減速するなか日本からの投資を呼び込みたい思惑もあるとみられていて、会談で習主席は「中国は質の高い発展とハイレベルな対外開放を推進していて、日本を含む世界のすべての国に未曾有のチャンスをもたらすだろう」とアピール。

また、新たに設置された輸出管理を巡る対話の枠組みを積極的に評価して、あらゆるレベルでの対話を維持する考えなどで一致したということです。

日本側が中国側に歩み寄り、協議や交渉を通して問題を解決する適切な方法を見つけるよう望む」と日本側に対応を求めています。








安倍氏、ウクライナ侵攻批判の一方「プーチンは米国に不信感」「ロシアにはだまされた感あった」と説明
時事ドットコム2022/06/06
遅きに記した感あり!

























 安倍晋三元首相は2022年6月4日、京都市で講演し、ロシアのウクライナ侵攻を批判する一方、「ロシアにはだまされた感があった」との見方を示した。安倍氏は「プーチン大統領と27回首脳会談を行った。彼は米国に大きな不信を持っている。北大西洋条約機構(NATO)の拡大だ」と説明した。

 安倍氏は「ベーカー米国務長官(当時)は東西ドイツが統一しても管轄権を広げないと言った」と指摘。「その後、どんどん拡大して、ハンガリー、チェコ、バルト3国にも広がり、いよいよウクライナまできてしまうのではないかと(ロシアは)思った」と述べた。

 一方、安倍氏はウクライナ侵攻については「だからといって、あんなこと、2022年2月24日ウクライナ戦争をやっていいわけではない。彼らがどう考えているかを理解するために私は述べている」と語った。
プーチンに騙された感があった!

ロシアのプーチン大統領を説得できる政治家はいないのだろうか。国内では27回の首脳会談を重ねた安倍晋三元首相を特使に推す声がある。ジャーナリストの鮫島浩さんは「むしろ安倍氏は今回のウクライナ危機を受け、日本国内に米国の核兵器を配備する『核共有』の検討を提案している。安倍氏にはプーチン氏を説得しようという気はないようだ」という――。





中国とインド、国境問題の解決促進で合意
2023年12月1日

【東方新報】中国とインドは1日、国境問題の解決を促進するため、早期に第21回司令官級協議を開催することで合意し、第28回中印国境問題に関する協議および調整のためのワーキングメカニズム会合で合意に達した。

 同会合は、中国外交部辺境海洋事務司長(局長)の洪亮氏とインド外務省の戴国瀾東アジア次官が共同議長を務めた。

 両国は、中印国境情勢に関する交渉の積極的な進展を全面的に認め、中印国境に関する現在の問題について包括的、綿密かつ建設的な協議を行った。

 双方は、両国首脳が到達した重要なコンセンサスを真摯に履行し、外交・軍事交渉の勢いを維持することで合意した。また、国境問題の解決を促進し、国境情勢の早期好転を実現するため、早期に第21回司令官級協議を開催することでも合意した。
 さらに、中国とインドは、交渉と協議のメカニズムを改善、交渉の既存の成果を強化し、双方が合意した合意と措置を厳格に遵守、国境地帯の平和と平穏を共同で維持することに合意した。(c)東方新報/AFPBB News





2279日間の拘束生活、30年以上も日中交流に奔走した「友好人士」が見た現実…中国の裏側を目の当たり「それでも交流は私の人生」


既に日中関係は曲がり角だ
2024年1月15日
 「覚えているか。お前とは一度、会ったことがある」

 黒く分厚いカーテンに閉ざされた取調室で、男がボソリと話しかけてきた。

 日中青年交流協会の理事長だった鈴木英司さん(66)=当時59歳=が2016年7月15日に北京で中国当局に拘束されて4、5日目のことだ。

 浅黒い肌、ぎょろりとした目、オールバックの髪形。特徴のある男だ。数時間ほど記憶をたぐり、ハッとした。確か6年前、中国・遼寧省での植林事業に「北京からのボランティア」として参加していた。
 疑問が頭の中で渦巻いた。なぜ植林に男が送り込まれていたのか。自分は、その頃から監視されていたのか。

 30年以上も日中交流に携わった「友好人士」である鈴木さんの拘束生活は、ここから6年余り、2279日に及ぶことになる。(大阪社会部 南部さやか)
■昼食後に突然「お前が鈴木か?」

 ホテル「二十一世紀飯店」は、北京市中心部の日本大使館の向かいにある。この界隈(かいわい)は日本人が多く暮らし、1階の料理店「蕎麦人(そばじん)弁慶」は手打ち蕎麦が評判だった。

 2016年7月15日、日中青年交流協会理事長だった鈴木英司さんは、そこで友人と昼食を済ませ、ひとりタクシーに乗った。シンポジウムの準備に4泊5日で出張し、帰国するところだった。

 空港でタクシーを降りた直後のことだ。見知らぬ男に声をかけられた。

 「ニーシーリンムーマ(お前が鈴木か)?」

 そうだと応えた瞬間、複数の男にワンボックスカーに押し込まれた。目隠しをされて走ること1時間。安ホテルの一室のような場所に連れ込まれ、男らは「北京市国家安全局」と名乗った。安全局はスパイを摘発する国家安全省の下部組織だ。

 訳も分からぬまま、取り調べが始まった。10日ほどして、日本大使館員が面会に来たが、話を聞いてがくぜんとした。拘束は、中国の法律で「居住監視」と呼ばれる措置で、当面、解放は難しいという。期間は最低3か月とも言われ、来月は高校の同窓会だったと思い出した。

■時計もなくカーテン閉めた部屋に7か月

 1か月がたち、2か月がたった。部屋にはベッドと机にソファが二つ。監視役2人が交代で24時間ソファに陣取り、鈴木さんの居場所はベッドの上だった。

 壁に時計はなく、カーテンは開けられず、電灯を消すことも許されない。時間の感覚は失われ、正気を保とうと、高校の同級生の名を一人ずつ思い返した。

 最終的に7か月続いた監視生活の原因は、3年前の旧知の中国外交官との会食だった。北朝鮮の故金日成(キムイルソン)主席の女婿・張成沢(チャンソンテク)氏の処刑を話題にしたことが、中朝関係の秘密の情報を探ったとして「間諜(かんちょう)罪」に問われたのだ。日本の公安調査庁の依頼だろう、とも追及された。

 公安調査庁の職員とは面識があったが、依頼を受けたことはない。何より張氏の処刑は日本で報じられ、誰もが知る内容だ。そう反論すると、取調官の筆頭で「老師」を名乗る男は平然と言った。「国営の新華社通信が報じないことを探れば違法なのだ」
頭が変になりそうだった。ただ、一つわかった。これは日中交流に携わって30年以上、自分が目を向けてこなかった中国の現実だ。

■魯迅に触れ中3から憧れ…移住し教員に

 茨城県桜川市(旧大和村)出身の鈴木さんが中国に憧れたのは中学3年の時だ。

 「歩く人が多くなれば、それが道になる」

 教科書で中国文学の父・魯迅(1881~1936年)の短編小説「故郷」を読んだ。革命を起こし、人民のための国家を建設する。社会主義の理想は輝いていた。

 高校1年だった1972年9月、日中国交正常化が実現し、田中角栄、周恩来両首相が握手を交わすテレビ映像に胸を躍らせた。大学を卒業し、父親が望んだ公務員や会社員ではなく、社会党系の労働組合に就職。83年に26歳で党青少年局の誘いで訪中団に加わり、日中交流に携わるようになった。

 そこで知遇を得たのが周首相の下で国交正常化を進めた知日派の重鎮・張香山氏(2009年死去)だ。

 「民以食為天(民は食をもって天となす)」。中国人は一緒に食事をすることを大切にする。70歳を超えていた張氏は、戦前に日本留学の経験があり、若い鈴木さんをよく食事に誘ってくれた。
 中華料理の円卓を囲みながら「戦えば共に滅び、交われば共に栄える」と説き、中国のことわざを引いて「『長江は後ろの波が前の波を押し進める』。これからの交流は青年が前に出てほしい」と、鈴木さんを励ましてくれた。

 1997年には張氏の推薦で北京外国語大の教員となり、中国に移り住んで日本の社会や政治を教えた。

 「改革開放」路線の下、中国社会は急速に発展した。人民服は姿を消し、街には洋服姿があふれ、清時代の趣を残す「胡同(フートン)」と呼ばれる古い街区は、高層ビルがそびえる市街地になった。その国に自分も寄与しているのだと誇らしかった。

 当時、社民党衆院議員だった東京都世田谷区長の保坂展人さん(68)は、鈴木さんとはこの頃からの付き合いだ。「人なつっこくて、記憶力がいい。訪中の時は世話になり、党の中でも『中国なら鈴木』という感じだった」

 2003年に日本に戻った鈴木さんは、日中青年交流協会を設立。学生交流や植林事業を手がけた。

 中国には天安門事件のような人権問題や、靖国参拝、尖閣諸島を巡る日本との軋轢(あつれき)もあった。しかし、鈴木さんは日本の友人に指摘されると「中国はまだ発展の途上だ」「立場が違えば歴史認識も違う」と反論した。

 「中国は危ないから、ほどほどにな」。父親に言われても、自分は「友好人士」、中国の理解者だと耳を貸さなかった。

■審理は2回だけ、懲役6年判決…とにかく生きて帰る

 拘置所、刑務所へと場所を移して続いた2279日間の拘束生活は、中国の裏側を見る思いだった。

 裁判では、わずか2回の審理で、安全省の筋書き通りに認定され、懲役6年を言い渡された。一方的に作成された供述調書だと主張したが、弁護士は「無罪主張はあり得ない」と協力してくれなかった。

 「鈴木は公安調査庁の協力者だ」と証言したのは月1回は一緒に飲み、友人だと思っていた人物だった。

 10年以降、自身が監視対象だったことも法廷で知った。取調室の男が参加した植林事業があった年だった。

 拘置所や刑務所で出会う人々にも驚いた。米国中央情報局(CIA)からカネをもらい二重スパイをしていたという元人民解放軍少尉。収賄罪に問われた元裁判官――。冤罪(えんざい)を主張する人も多かったが、何が真実かは今も分からない。

 「おやじの言う通りにしていれば……」。とにかく生きて帰ろうと、体を動かし健康に気をつけた。

 刑期を終えたのは22年10月11日。体重は96キロから68キロまで落ちていた。その日のうちに帰国便に乗せられ、ぶかぶかのスーツで実家に戻ると、父親が待っていた。

 「よく帰ってきた」。責める言葉はなく、好物の魚の刺し身を用意してくれていた。6年ぶりに飲んだ日本酒に酔い、柔らかく、温かい布団を抱きしめて眠った。

■経済力増して消えた日本への配慮…それが中国

 「私の知る鈴木さんは、スパイなんてできる人じゃない」。元外務省職員でキヤノングローバル戦略研究所理事・特別顧問の宮家邦彦さん(70)は、そう強調し「中国内の権力闘争に巻き込まれたか、公安調査庁への警告だろう。でも、それが通るのが中国だ」と語る。

 00年に在中国日本大使館に広報文化担当公使として赴任し、現地で鈴木さんと知り合った。日中交流に奔走し、要人とも気安く面会できる鈴木さんは、仕事で心強い存在だったという。

 ただし、宮家さんは、既に日中関係は曲がり角だと感じていた。在任中の02年、北朝鮮からの亡命者とみられる5人が在瀋陽日本総領事館に逃げ込むと、中国当局が領事館に踏み込んで5人を連行した。国際ルール違反だったが、「日本の同意があった」と強弁した。

 「田中角栄が北京に降り立った時、皆が日中友好を夢見ていた。しかし、経済力が増すと、もう日本への配慮はいらないという態度になった」と宮家さん。「鈴木さんは犠牲者だ。彼が変わったんじゃない。中国が変わっちゃったんだ」

■警鐘鳴らす立場に…信じたい「交われば共に栄える」

 帰国してまもなく1年となる昨年9月、鈴木さんは東京・丸の内の日本外国特派員協会で約40人の企業関係者を前に経験を語っていた。

 「中国は危険です。独裁色が強まり、法律ですらすべて向こうのさじ加減だ」

 昨年3月にアステラス製薬社員が拘束され、鈴木さんのもとには講演の依頼が相次ぐ。習近平政権の14年に反スパイ法が施行され、拘束された邦人は鈴木さんを含め計17人に上っている。

 中国に警鐘を鳴らす立場になった鈴木さんの胸中は複雑だ。「中国には怒りもあるし、『友好、友好』と言ってきた反省もある。それでも日中交流は、私の人生だ」

 毎年100枚以上も送られてきた中国からの年賀状は、政治犯となった今は一枚も届かない。日中関係も自分が願っていたものとはほど遠い。だが、30年以上の活動が無に帰したとは思いたくない。

 「交われば共に栄える」

 「歩く人が多くなれば、それが道になる」

 中国が日本の隣国であることに変わりはない。自分は歩めなくとも、次の誰かが両国の間で歩みを進めるはずだと信じたい。

 南部(なんぶ)さやか記者 2007年入社。広島、神戸総局を経て大阪社会部。19年から上海支局に赴任し、新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した武漢、ロックダウン(都市封鎖)下の上海などを取材した。40歳。





サムスンの半導体洗浄技術、逮捕された弟に代わって兄が中国に流出させていた
2024年1月31日

 半導体洗浄装置を製造するサムスン電子の子会社「セメス」の技術を中国に流出させた犯行グループが裁判を受けることになった。グループが不法に流出させた洗浄装置は半導体製造の際に発生する汚染物質を除去するもので、半導体の品質に直接影響する重要技術だ。セメスはこの装置の開発に2188億ウォン(約242億円)を投資してきた。

 水原地検防衛事業・産業技術犯罪捜査部(アン・ドンゴン部長)は29日、セメスの半導体洗浄装置関連技術を中国企業に流出させた別会社の経営者ナム某氏、また同社の設計責任者など4人を産業技術保護法と不正競争防止法違反(営業機密漏えい)などの容疑で逮捕・起訴した。また犯行に加担した別の社員3人と2法人を同じ容疑で在宅起訴した。
 検察によると、ナム氏はセメスの元研究員だった実の弟が2022年5月にセメスの設計図を中国に流出させ逮捕されたため、弟に代わって犯行を続けたという。ナム氏の弟は2件の技術流出事件で先日控訴審が開かれ懲役10年の実刑が宣告された。ナム氏は中国企業からセメスと全く同じ機械の納品を求められ、セメスの設計図などで製造した機械を販売したという。ナム氏はまた検察の捜査が始まると機械を分解しその部品を合計8回に分けて中国に輸出した。検察の関係者は「分解され輸出された部品は中国で組み立てられた。同じ方法で彼らは総額60億ウォン(約6億6000万円)を荒稼ぎした」と説明した。

 捜査が進むと犯行グループは中国企業と協力し、中国現地にセメスと全く同じ工場を建設しようとした。中国企業が現地の工場設立に必要な資金提供を持ちかけ、ナム氏らは中国法人を設立しオフィスも準備したという。

キム・スオン記者








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徴用工解決へ30億円基金案
日本企業、韓国企業や個人で、報道
2022/6/29 11:43 (JST)
宗教学者島薗進新宗教における「隔離型教団」の代表的な例としてオウム真理教、エホバの証人、幸福会ヤマギシ会と共に統一教会をあげている。
韓国の「反日デモ」の様子


【ソウル共同】韓国政府が元徴用工問題の解決策として、日韓の企業や個人による募金で300億ウォン(約31億円)程度の基金をつくり被害者に支給する案が浮上していると、複数の韓国メディアが2022年6月29日までに報じた。近く政府や専門家による官民共同の協議会が発足する見込みで、具体案の検討が進められているとみられる。
 元徴用工訴訟では、敗訴して差し押さえられた日本企業の資産を原告側が売却して現金化する手続きを進めている。もちろん国際法違反である。ソウル新聞は2022年6月28日、敗訴した日本企業には基金への出資を求めない方向になると報道。朝鮮日報も2022年6月29日「日本企業が中心に募金をする」との政府関係者の話を伝えた。

領有権の根拠を示せなかった韓国、米豪いずれも説得できず 竹島研究者が指摘

韓国が実力支配する竹島(島根県隠岐の島町、韓国名・独島(トクト))について考える島根県主催の第3回講座が11日、松江市殿町の県民会館であった。県竹島問題研究顧問の藤井賢二さん(65)が、竹島が日本領と画定されたサンフランシスコ平和条約を軸に領有権確立の舞台裏を解説した。

 藤井さんは1952年に発効した平和条約の成立過程をたどり、戦後も国際的に竹島の帰属先は日本であるとの認識が共有されていたことを示した。米国務省が49年に作成した条約草案で日本が保持する島として竹島が記され、51年の米英間の協議では「朝鮮に帰属する島には竹島は含まれない」とされたという。

岸田氏、パートナーと確信 韓国大統領、関係発展へ
2022年6/29(水) 21:34配信
【マドリード共同】韓国の尹錫悦大統領は29日、訪問先のスペイン・マドリードで記者団に対し、岸田文雄首相との28日の会話を受け「韓日の懸案を解決し、未来の共同利益のために両国関係を発展させるパートナーになれると確信を持った」と語った。

 尹氏は、29日開催の日米韓首脳会談に絡み「韓米日の間で、北朝鮮の核危機と関連して安保協力を強化しなければならないという共感がある」と指摘。「安保協力は北朝鮮の核が高度化すればするほど強化されると思う」と強調した。






韓国国立海洋調査院所属の海洋調査船
「Hae Yang 2000」による東シナ海の海洋調査活動
令和4年5月29日
我が国政府は、本29日、竹島北方の我が国排他的経済水域(EEZ)において、韓国調査船「Hae Yang 2000」がワイヤーのようなもの等を海中に投入していることを確認しました。我が国からの照会に対し、韓国側は、調査を実施している旨応答しています。なお、同船による海洋の科学的調査について、韓国側から我が国に対して、事前の同意の申請はありませんでした。
これを受け、直ちに船越健裕アジア大洋州局長から金容吉(キム・ヨンギル)在京韓国大使館次席公使に対し、また、熊谷在韓国日本国大使館次席公使から李相烈(イ・サンヨル)韓国外交部アジア太平洋局長に対し、我が国EEZにおいて我が国の事前の同意なく海洋の科学的調査を実施しているのであれば受け入れられず、即時に中止すべきと強く抗議しました。

我が国周辺海域における海洋調査船の活動状況
近年、我が国周辺海域では、外国海洋調査船による特異行動※が多数確認されています。
※特異行動:事前の同意を得ない調査活動または同意内容と異なる調査活動
海上保安庁では、外国海洋調査船の特異行動に関する情報を入手した場合には、巡視船・航空機を現場海域に派遣し、当該調査船の活動状況や行動目的の確認を行い、得られた情報を関係省庁に提供するとともに、巡視船・航空機により中止要求を実施するなど、関係省庁と連携しつつ、その時々の状況に応じた適切な対応を行っています。
海上保安庁が確認した外国海洋調査船による特異行動の状況はこちら

外国海洋調査船にかかる広報文
・中国海洋調査船「潤江1」の視認について(第1報/最終報)



自衛隊の哨戒機は国際法に違反しない距離で航行した。 韓国海軍艦艇は国籍旗と軍艦旗を掲揚せずに日本の排他的経済水域や竹島北方の我が国排他的経済水域(EEZ)を航行しており国際法違反である。 その上、韓国海軍艦艇は自衛隊哨戒機に対して火器管制レーダーを照射(厳密には自衛隊哨戒機が韓国海軍艦艇からの火器管制レーダー照射を感知した)し、自衛隊哨戒機による3つの異なる周波数による再三の質問に応答しなかった。国際法上火器管制レーダーの照射は"ロックオン"と同じ扱いであり、日本はこの韓国海軍艦艇を撃沈する権利を国際法と日本国憲法の両方のもとに有する。この件について韓国に日本を非難する資格はない。




韓国のヒュンダイがトヨタのプリウスをパクるも…プリウスとほぼ同じものをつくりましたが肝心の中身は…
【海外の反応】隣国ヒュンダイがトヨタのプリウスをパクるも…全く売れずとんでもない事態に!!リサイクルもできず絶望的…【にほんのチカラ】



日本も標的、密かに暗躍する韓国政府系サイバー集団
中国政府系だけじゃない、サイバー戦争の最前線に躍り出た韓国
2020.5.14
(山田敏弘:国際ジャーナリスト)

 各国が新型コロナウイルスで混乱する中、世界的にサイバー攻撃が増えている。つい先日も、米ニューヨーク・タイムズ紙が、中国やロシア、イラン、北朝鮮などが、新型コロナウイルスの混乱に乗じてサイバー攻撃を激化させていると報じている。

 こうした政府系のサイバー攻撃としては、欧米諸国などを狙う「ビシャス・パンダ」呼ばれる中国政府系のハッカー集団、「ハデス」と呼ばれるロシアのハッカー集団が暗躍している。さらに、「キムスキー」と呼ばれる北朝鮮のハッカー集団の活動も確認されている。

 政府系ハッカー集団はほかにも多数あり、敵対する国家などに攻撃を繰り返している。悪いことに、世界が新型コロナ対策で忙殺され、弱っている今こそ、ハッカーたちにとっては「攻撃のチャンス」となる。過去を振り返っても、天災や大惨事が起こった際には決まってサイバー攻撃が増えているのだ。
活発になっている「韓国」の動き
中国については、人民解放軍の戦略支援部隊(SFF)に属するサイバー・コー(サイバー攻撃部隊)が、諜報機関である国家安全部(MSS)などとも連携しながら、新型コロナの治療に関する情報やデータ、さらにワクチン製造に関する情報を狙って日本を含む世界中でサイバースパイ工作を行っている。筆者もこうした攻撃にはあちこちで警鐘を鳴らしてきた。いまや中国は、スパイ工作からプロパガンダまで、サイバー空間で圧倒的存在となっている。
2014年10月29日 1:20


【ソウル=共同】韓国外務省は2014年10月28日、2014年版の外交白書を発表した。日韓関係に関する項目では、領有権を争う竹島(韓国名・独島)で日本が不当な主張を強めながら、集団的自衛権の行使容認へ向けた動きなど軍事力の強化と活動範囲の拡大を進めているため「周辺国と国際社会に疑いと憂慮が拡散している」と記述した。

旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する韓国の立場や日本の動きに関する記述の分量を大幅に増やし、約1ページ半にわたって詳述した。
韓国の「反日デモ」の様子




IMF危機の恩を仇で返した韓国に、日本は手を差し伸べるべきか
韓国による通貨スワップの延長要請を拒絶した米国の静かな怒り
2022.1.22(土)

韓国には、1997年のトラウマが今なお根強く残っている。アジア通貨危機に端を発した経済危機である。最終的に、IMFの救済を受けることを余儀なくされた。その後、復活した韓国はついに先進国入りを果たしたが、今の韓国は、経済危機の前の状況によく似ているという。
3つ目の共通点は、米国から突き放した態度を取られているという点だ。最も大きい決定打である。

 2021年9月21日、文在寅大統領は国連総会の演説で、「南北と米国の3者、あるいは南北米中の4者が集まって、韓半島での戦争が終了したことをともに宣言しよう」と提案した。

 だが、バイデン政権は「北朝鮮が、まず非核化の意志を確実に見せてこそ、北朝鮮と対話する」という立場を以前から何度も明確にしており、韓国の提案は米国を裏切る事実上の不意打ち行動だ。日米豪印による戦略対話の枠組みである「QUAD(クアッド)」を拡張し、韓国が参加する「クアッド・プラス」に対しても韓国は消極的だ。さらには2021年1月26日、文在寅大統領は中国の習近平国家主席との電話会談で、「中国共産党創立100周年おめでとうございます」と祝福した。この行動は、朝鮮戦争で韓国を救うために中国と戦い血を流した米国を侮辱する行為だ。米国は直ちに、韓国に「残念だ」という反応を見せた。


 米国が願う「北京オリンピック外交的ボイコット」に対しても、韓国は呼応するつもりがないようだ。

 韓国はひたすら「終戦宣言」だけにすがっている。

 2021年12月13日、オーストラリアを訪問した文在寅大統領は、オーストラリアのモリソン首相との首脳会談後の記者会見で、「米国と中国、南北の全員が、(終戦宣言に対して)賛成の立場を明らかにした」と断定した。韓国の特技であるメディア戦の一つであり、米国に圧力をかける不純な意図が込められた発言だった。

 駐韓米国大使が長期間空席のままだという異常な状況は、裏切り行為を続ける韓国に向けた、米国の不快な心情が反映されたものだろう。

 だが、米国大使の長期間の空席などよりも、600億ドルの通貨スワップを延長してほしいという韓国の要請に「NO!」を突きつけたことに、はるかに米国の不快感をうかがい知ることができる。
なぜ韓国政府は日本の措置を「明白な経済報復」だと決めつけ、露骨に日本政府を敵視する姿勢を取るのか。

考えられるのは、足下の韓国経済が急速に悪化していることだろう。米中貿易戦争の余波で世界経済に減速懸念が強まる中で、貿易依存度(国内総生産GDPに占める輸出入の割合)が80%を超す韓国経済の先行きに暗雲が広がっている。日本の貿易依存度は30%程度なので、その大きさが分かる。

しかも、韓国の輸出先トップは中国で、全体の4分の1を占めている。米中貿易戦争の激化が、韓国経済を直撃することになりかねないのだ。

2021年8月1日に米国のドナルド・トランプ大統領が中国からの輸入品3000億ドルぶんに、2021年9月1日から関税10%を上乗せするとツイッターで発信した途端、韓国の通貨ウォンは一気に急落した。緩やかなウォン安ならば輸出企業にプラスに働くが、急落は通貨危機に直結しかねない。金融市場では「アジア通貨危機、リーマンショックに続く、3度目の通貨危機が起きそうだ」という見方まで広がっている。
景気悪化を「日本のせい」にしたい文大統領
実は、韓国経済の足下が崩れ始めているのだ。

しかも、韓国経済は財閥企業に大きく依存している特徴がある。韓国GDPの2割はサムスン電子と現代自動車が稼ぎ出していると言われるほどだ。対中輸出の激減で輸出産業の業績が悪化すれば、そのしわ寄せは若者に行く。財閥系企業に入れるかどうかで人生の成否が決まるとも言われるほど財閥志向の強い韓国の若者たちが、新卒採用の道を閉ざされれば、大きな社会不安が起きかねない。そうなれば、当然、不満は文政権に向く。

2017年5月に就任した文大統領はちょうど折り返し点に差し掛かっている。韓国大統領の任期は1期5年で再選が禁止されている。民主化以降、これまでのほとんどの大統領が任期後半にレイムダック化し、激しい政権批判にさらされたのは周知の通りだ。

とくに、経済の悪化は支持率の低下に直結する。韓国経済の悪化は自らの経済運営の失敗のせいではない、ということを強調しなければ、批判の矛先は大統領に向く。だからこそ、ことさらに景気悪化の原因を「日本のせい」にしなければならないのだろう。

2021年8月6日、ソウルの中心部の通りに「BOYCOTT JAPAN」と書かれた旗が掲げられた。日本には行きません、日本製品は買いません、というキャンペーンだ。












IMF危機の恩を仇で返した韓国に、日本は手を差し伸べるべきか
韓国の「反日デモ」の様子
IMF危機の恩を仇で返した韓国に、日本は手を差し伸べるべきか










俺の方が「イケメンだ」









韓国の歴史教育(反日教育)で育った若者が、プーチンの下でゾンビ化したロシア人同様プロパガンダの先頭に立つ場面






韓国大統領も応援!

韓国大統領も応援!

韓国大統領も応援!
こちらはBTSのメンバーの一人であるジミンさんが原爆Tシャツを着ていたことで「反日」との声が上がりました。実はこの写真、2017年のワールドツアー開催中のブラジルで3月19日に着用していたことが分かりました。ジミンさんはブラジルでの原爆Tシャツ着用のみならず、もう一度同じシャツを着用しています。
 


 


韓国大統領も応援!
こちらは2017年の3月29日にワールドツアーでアメリカに行った時に着用していました。ですので、1回目の着用からわりとすぐです。
BTSメンバーのSUGAさん(日本名で管さん)が反日発言した?と話題になったことがありました。






字幕には「独島」と表示されていますね。
これは日本の領土である「竹島」を韓国での呼び名にしたもの。


 






反日派グループ
韓流ポップグループを見に韓国に旅行に行って被害にあった日本人が多いので気を付けよう!英語を使い、日本語を使わない事も重要です。街中で日本語で話しかけられても、絶対に反応してはダメです。 危険極まりないです。
タクシーに乗ると100万円以上ぼっくたれる。旅行や渡航をする場合は覚悟を持って行って下さい!韓国に旅行に行くのは無政府国や内戦国に行くようなもの!釜山に旅行に行く人はノージャパン運動条例可決都市を理解して行くべき。韓国人に話し掛けようと英語で話そうとしたらその韓国男性が差別的な言葉を叫びながら、いきなり殴りかけてきた。嘘だらけの韓国、中国、ロシアへの旅行は危ない、と思った方が良い。非友好国なので来てほしくないと思っても、彼らは「日本が好き」?と言って観光に来るんだろうな。

韓流ドラマや韓国のポップスが好きな「韓国ファン」の言葉:

~~~1 なぜ着てたのか~~~
あれはマスタニム(ファン)から貰ったもので、撮影時に着てました!(2回も着てましたか?私は1回だと思ってました。2回目やらかしたのはロシア語で良くない意味が書かれたTシャツを着てて、途中で気づき後前反対にしてきてました!これは完全スタイリストが選んだTシャツです 違ってたらすみません。)

~~~2 なんでまだ好きなのか~~~
これは私の個人的な話になりますが答えさせていただきます。(私はジミンのファンです)

まだファンを続ける理由は2つあります。

1つ目はまずこのことを知った時私はすごく悲しかったです。
意図的に着用したのならどうしてそんなことをしたのか、またはその画像を知らないで着用したのなら世界的にも有名な原爆をしらなかったのかとても考えました。

沢山考えた結果ほんとのことを知ることは出来ませんよね?例え表上、僕は日本大好き~~~とか言ってたって日本が嫌いなら嫌いだし、表上謝罪した所でジミンの考えや思いは簡単には知ることができませんよね?
所詮アイドルなんて表上しか見れません。いくらファンと交流が多いいアイドルだって隠してるものはあります。、それの隠してるものは人間だってあります。”裏”です。

では何故ジミンの裏だけをなぜここまでみんなが注目するのかを考えました。

今回のBTSのアルバムの歌詞からいい例えが見つかりました。

光が明るいほど影は濃く大きくできる。

光を目だとして影を裏だとします。ここから分かるのは誰しもにある裏が人気になることによってより濃く大きくなってしまったのです。そして私はジミンを1:1で見ると目(光)がひとつなら影(裏)は普通のままだって言うことです。

そこで私は友達もジミンも同じ人間ということにたどり着きました。友達に裏があったとしてそこを深追いする友達はいい友達ではないと思います。そうするとジミンの裏にファンは深追いするのは良くないなと思いました。

また友達が悪いことをしていたらちゃんと注意して止めることが必要。これは中学の好きな先生の言葉ですが、これをジミンに当てはめると、今回のTシャツも二度と過ちを侵さないように良くないといい、止めることが必要だと思いました。 そのままほっておくのでは無くちゃんと注意することが大切だと思います。

2つ目に私の頭の中に嫌いになるという選択肢がありませんでした。なぜならジミン自身(プライベートや人間性)を好きになったわけじゃなくて、ジミンの作りだす音楽、ダンス、声、努力の仕方を好きになったし、私の憧れでした。

ジミンは中学3年まで両親に釜山芸術学校に行くのを反対されてましたが、親を説得出来るぐらい努力をして釜山芸術学校創立発、主席で入学し、そしてBig Hitにスカウトされて練習生になることができました。しかし、練習生の時も15回もデビューを切られそうになったのに、切られそうになる度にきついノルマを、達成して13ヶ月というとても短い間でデビューすることが出来た努力家です。
ダンスも1日のほとんどを使って練習したり、痩せるために10日に1食ダイエットをしたり。armyのことを1番に思ってステージをしてるってことが伝わってきます。

ジミンの今回の件でダンスの練習をやめたわけじゃないし、歌のトレーニングを怠った訳では無い。なので私は嫌いになる選択肢がありませんでした。BTSがたとえ反日でも日本が大っ嫌いで彼らの曲が大好きなので大好きです。これが私の考えです。

ジミンの世界観やジミンが作る曲、ジミンが歌ってる時の声、ジミンの舞台への思い、ジミンのダンスの完成度、これらが私のジミンが好きになった基準です。

これらを失ってまで嫌いになるのならこのまま好きでいたいです。

私の意見しかハッキリ伝えることは難しいです。
ですが私のように思ってる方はいると思います。特に2つ目は沢山の方が思っていると思います。


最後にジミンは原爆の被害者の方、日本の人に対して気分を害する良くないことをしたと思います。ファンとしてあやまりたいです。



嘘だらけの韓国、中国、ロシアへの旅行は危ない

日本人女性暴行事件で韓国人容疑者   “髪を掴んで押し倒したが暴行はしてない” /   字幕付き

“女性を暴行”映像が中国で大炎上 「地元警察が後ろ盾に」訴えも(2022年6月13日)






安倍元首相の死去に対する韓国人の反応、追悼に対し「正気か」「親日派か」の声も
 羽田真代 2022/07/11


安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃され、亡くなったというニュースは、隣国・韓国でもリアルタイムで伝えられ、トップニュースになった。オンラインニュースには多数のコメントが付いており、日韓関係悪化の責任がある人物なので気の毒とは思わないと非難したり、容疑者を安重根になぞらえて美化したりと、驚くような声も多数上がっている。安倍元首相の死に対し、韓国人がどんな反応をしているのか。代表的な声を紹介する。(ビジネスライター 羽田真代)

安倍晋三元首相が死亡、韓国でもトップニュースに
 7月8日、安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃され、死亡した。筆者は安倍元首相と直接面識はないが、複数の知人が彼と交友があったことから、勝手ながら親近感を持っていた。そのため、彼の死に強い衝撃を受けている。

 聞けば当初は奈良県ではなく、長野県に応援演説に入る予定だったという。予定が変更されていなければ、またご存命だったのでは……と思えてならない。

 韓国でも、安倍元首相の銃撃や死亡報道はリアルタイムで伝えられた。
 また、オンラインニュースでは安倍元首相に関する記事が多く掲載されており、この日の購読ランキングの上位を占めている。タイトルを見ると「日 安倍前総理、演説中に銃に撃たれ死亡…“容疑者、前職は自衛隊員”(KBS)」「日 保守の象徴安倍、政治テロによって死亡(朝鮮日報)」「亡くなった安倍、日 右翼の求心点で、最長寿の首相…退任後も自民党の実力者(東亜日報)」といった具合だ。

「極右政治家」「日韓関係が悪化したのは安倍のせい」
 韓国では多くの人たちが「安倍元首相=極右政治家」という認識である。「日韓関係が悪化したのは、韓国を嫌う安倍のせいだ」と主張する韓国人が圧倒的に多い。

 2019年7月から韓国では日本製品不買運動が発生。当初は「NO JAPAN」と日本全体を批判していたが、時が経つにつれて不買運動のターゲットは安倍政権に変わり、「NO安倍」を目にすることの方が多くなった。「日本人が悪いのではなく、極右安倍政権のせいで日韓関係が悪化した」というのが韓国人の言い分だからだ。

 安倍元首相の写真が焼かれるデモも度々起こったし、「安倍首相は第2のヒトラーだ」と言って、旭日旗を掲げてチョビ髭を生やした彼のポスターが国会議員会館に張り出されたこともあった。

山上徹也容疑者を「第二の安重根だ」と山上容疑者を英雄扱い
 韓国では、安倍元首相を射殺した山上徹也容疑者を英雄扱いする国民が一定数存在する。「山上は第二の安重根(アン・ジュングン/1909年にハルビンで伊藤博文を殺害した人物)だ」と、容疑者を称える声があちらこちらで上がっているのだ。

 それだけではない。安倍元首相の死を喜ぶ声も上がっている。

 韓国では、2022年5月に保守派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が就任したことによって、日韓関係の修復を求める声が高まっていた。しかし、我々日本人は安倍元首相の死を通して、彼らの生の声をしっかりと見ておく必要があるのではないだろうか。以下、安倍元首相死亡のニュースに書き込まれた韓国人の声を紹介する。

「左派たちが喜ぶだろうな」

「私たちを苦しめた人だったけど、日本と日本国民に対してはとてもよくやった人物だ」

「南無阿弥陀仏~金正恩は? プーチンは? 習近平は? 文在寅は?」

「(銃撃されたという報道のタイミングで)訃報ニュースはまだか?」

「こんな風に死んだら駄目だ。テロの犠牲者になれば、過去の過ちは全て葬り去られる」

「故人の冥福をお祈りいたします」

「あの世で慰安婦のおばあさんたちに会ったら、100倍謝罪しろ」

「死亡という報道を見ても、哀れな気持ちは全くしない。一方で、銃を撃った英雄、その人の方が哀れだ。死人はよく死んだ。我が国にもこんな英雄がいたらいいのに」

「日本で安重根義士が現身したんだ…」

「もうだめだ。安倍は日本極右の永遠の聖人として末永く美化され、この事件で同情票が集まり、日本の極右が権力を握るだろう」

「安倍よ、さらば。これで韓国の左派も消えれば、暮らしやすい大韓民国になる」

 韓国国民らは自国のことを「民主主義国家だ、三権分立国家だ、法治国家だ」と声高らかに自慢するが、テロリストを称えて安倍元首相の死を喜ぶ彼らの姿は、果たして民主主義国家に住む国民の姿と言えるだろうか。

大物議員の中にも、故人を批判する声が……
 こうした声が一般国民から起こるのはまだしも、韓国の国会議員の間からも上がっているから驚きだ。文在寅(ムン・ジェイン)元大統領は安倍元首相の冥福を祈ったものの、同じ野党・共に民主党の姜炳遠(カン・ビョンウォン)議員は冥福を祈りつつ「韓日両国の確執助長と歴史否定を政治的な滋養分とした。歴史的評価が下されるだろう」と、故人を批判した。

 共に民主党所属の李洛淵(イ・ナギョン)氏はFacebookに「安倍元首相の冥福を祈る」「最近の米国でもそうだったが、安倍元首相襲撃でも私は民主主義の危機を感じる」とコメントを出した。文大統領と同じ、当たり障りのない哀悼の意だった。

 だが李氏のコメントに対して、民主党権利党員だけが使用可能な権利党員掲示板には「安倍と民主主義がなぜ連結するのか」「我が国を滅ぼすと経済報復をし、我が国に戦争を誘発して戦争難民発生時に皆殺すと発言した安倍を追慕?」「李洛淵は正気なのか」「あなたは親日派か」といった書き込みが多数寄せられている。

 政治家や党員のように政治に関与する人物であれば、反日感情は抑えてコメントすべきではないだろうか。共に民主党は与党だった過去5年、強固な反日姿勢を貫いていたから、安倍元首相が亡くなったからといって反日感情を抑えられないのかもしれない。しかし、このような対応は大人気ないと感じるし、それを統制できない同党のレベルも低いと感じざるを得ない。

安倍元首相の死を喜ぶ人々
 安倍元首相の冥福を祈る韓国人も、もちろん多くいる。だが、同じくらい彼の死を喜ぶ国民がいるのが現実だ。

 先ほどのコメントでは敢えて紹介しなかったが、筆者がなによりも驚いたのは「文在寅前大統領はいつ殺されるんだ?」「次は文在寅の番だ」と、自国の前大統領を殺してくれと言う声があまりにも多かったことだ。このような発言は、冗談であってもすべきではない。

 民主主義国家は暴力で言論を抑圧してはならない。テロによって政治家が殺されてはいけないのだ。それを「山上容疑者は第2の安重根だ」とテロリストを英雄扱いして称えるなどもってのほかだ。

韓国の反応を、日本人は忘れてはならない
 先ほども述べた通り、日本人は今回の韓国の反応を記憶しておかなければならない。多くの韓国人には、日本や日本人のことを心から心配し、労わる気持ちなどない。我々は東日本大震災の時にも同じような経験をしたはずだ。韓国が日韓関係改善を望むのは、韓国にとってそれが自国の利益になるからだ。日本が困った時、彼らは心の底から心配して手を差し伸べることなどしない。3.11の大地震では、韓国軍は竹島に上陸してヘリポートを作って領土を乗っ取ってしまったのだ。

 安倍元首相は今後の隣国との付き合い方を再考するよう、自身の死を通して我々に教えてくれたような気がする。安倍元首相のようにリーダーシップがあって、世界と対等に会話ができる政治家を日本が失ってしまったことが残念だ。彼にはもう少し日本を牽引していただきたかった。中国と台湾が結びつくのを阻止して欲しかった。

 少々余談だが、山上徹也容疑者は元海上自衛隊員の41歳の男だと各メディアが報道した。だが、彼は2002年から2005年までの3年間しか海上自衛隊に勤めていないし、辞めたのも17年も前の話だ。元自衛隊員だと強調して報道するのは、間接的に自衛隊に批判が向くことにならないだろうか。もちろん間違っているがマスコミは馬鹿だから仕方ない。

 もう一つ問題なのは、素人が武器製造サイトを見て殺傷能力のある銃を簡単に製造できる世の中になってしまったということだ。工業高校レベルの知識や技術があれば、3Dプリンターで銃を簡単に作れるという声もある。今回の“成功”を機に、世界で模倣犯が出なければいいのだが……。

 最後になったが、ここで安倍元首相のご冥福をお祈り申し上げる。これまで日本を代表する政治家として多忙を極めていたのだから、天国ではどうか安らかにお過ごしになれますように。

統一教会はオーム真理教と同じ「犯罪集団だ」。相手を借金漬けにして破産させ、メチャクチャに破壊させる。分かっていても「すまし顔」だ!!!。



 安倍晋三元首相(67)が奈良市内で参院選の街頭演説中に銃撃されて死亡した事件を受け、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は2022年7月11日午後2時ごろから、東京都内で記者会見を開き、安倍元首相を銃撃したとして逮捕された山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=について在籍の記録はないと明らかにした。一方、山上徹也容疑者の母親については統一教会法人の協会員で月に1度程度、行事に参加していたことを認めた。山上徹也容疑者は「母親が宗教団体統一教会にのめり込んで破産した。安倍晋三氏が団体を国内で広めたと思い恨んでいた」などと供述したと報道されている。




相手を借金漬けにして破産させる汚い手口。
日本国民は、こんな間抜け顔、ポンコツ頭の人間に、騙されていいのか?

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長は、世界平和統一家庭連合の会長なので旧統一教会のことは、よく分からないと言っている。山上徹也容疑者は物故者の岸信介を安倍さんと結び付けて殺害したのだろうか?とにかく、事件を巡っては、安倍元首相を銃撃したとして逮捕された山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が「母親が宗教団体にのめり込んで破産した。安倍氏が団体を国内で広めたと思い恨んでいた」などと供述したと報道されている。山上徹也容疑者には、もっと歴史を調査し理解して正確な判断をして欲しかった。




韓国ソウルのオリンピック・スタジアムで行われる「3万組国際合同祝福結婚式」
日本人女性・韓国人男性のカップルが多く生み出されており、結婚した日本人女性は韓国人の夫や家族に尽くすことが求められる。

統一教会概説
文鮮明と妻の韓鶴子。


朝鮮半島の平安北道定州出身の文鮮明(1920年- 2012年)によって、1945年に布教活動が始まった。その後1950年に朝鮮戦争が勃発、1952年に経典の「原理原本」の草稿が完成した。
1954年5月に韓国ソウルで、世界基督教統一神霊協会が創設された。1965年に文鮮明一家と幹部たちは、アメリカに宗教・政治的情宣活動の拠点を移し、世界宣教・経済活動を拡大し巨大な統一運動傘下の組織を創設した。韓国の多くの少数派宗教団体とは異なり、朝鮮半島を超えて世界中に普及したという特異性を持つ。世界193か国に支部がある。
日本では、1958年6月に崔奉春(チェ・ボンチュン。日本名西川勝。)が来日し、統一教会を伝えた。1959年から1965年まで宣教が行われ、同年にアメリカ、イギリスでも布教が行われた。近年は東ヨーロッパと南アメリカで拡大している。
1964年7月16日、日本で宗教法人の認可を受けた。初代会長になったのは元立正佼成会信者久保木修己だった。同年、「原理研究会」が設立され全国の大学で学生伝道を開始。世界平和統一家庭連合の総裁は、文鮮明の妻である韓鶴子が就任している(2008年時点)。

1968年4月、文鮮明が岸信介らの協力を得て反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立した。「統一教会」は韓国で作られた新興宗教です。文鮮明が教祖です。

「統一教会」にはその政治活動を行う「(国際)勝共連合」という組織がありました。その会長が安倍晋三の祖父である岸信介です。
その岸信介は昔「民主党」という組織を作っていました。今の「立憲民主党」、「国民民主党」とは何のつながりもありません。
岸信介の「民主党」は「自由党」と合体して「自由民主党」となったのです。
だから、今の「自民党」は統一教会と繋がりがあります。小沢一郎=実父は済州島出身、母は在日朝鮮人、菅直人=実母が済州島出身、以下民主党には大量にいます。

民主党と言えば連合や電機労連などの組合がバックと言うだけで近代政党の体をなしていない。選挙の候補者選定に当たってもいい加減、かつ不透明で、このような反共カルト詐欺集団に関係する者が同党の議員にいても何の不思議もない。民主党は解党して左派系(旧社会党系)と右派系それぞれ新たな政党を立ち上げて、党の進むべき道(単に政権を取ると言うことではなくて)と政策一致を果たす責任があると思います。といっても、今の趨勢からすれば、連合の分裂なくして民主党の分裂もありえないですがね。情けないことに社会党時代から党員獲得と財政基盤を組合に頼り切ってきた左右の社会民主勢力。仮に政権をとっても昔の自民党ほどにも見識と信念のある人がいないのだから、こんな政党?に期待する人はどうかしています。



「合同結婚式」(信者は「祝福」と呼ぶ)と呼ばれる教団内婚制をとり、教祖のインスピレーションに従って信者同士で結婚する。小規模な閉鎖的コミュニティを除き、教団内婚制をとる巨大教団はほかには見られない。1990年代の前半に霊感商法や合同結婚式で話題になったが、この時代でさえもあまり信者を獲得できていなかった。この合同結婚式によって家庭を持った日本人の信者数は10000組を超え、2004年時点で統一教会による合同結婚式で韓国人男性と結婚して韓国で暮らす日本人女性信者数も7000人ほどいる。
2010年代には信者の高齢化が進み、若い信者が入ってこない状態で衰退傾倒になっている。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス名誉教授であるアイリーン・バーカーは論文によると、1970年代に入信した信者たちは教団に残っているが、その後に入信者を増やすことには成功していないため、教団の高齢化が進んでいる。
2012年には開祖の文鮮明が死去し、妻の韓鶴子が組織全体の責任者となったが、「家庭連合幹部と母親韓鶴子女史が、後継権を奪い、韓鶴子女史が自ら教主となり、相続権を奪われた」と主張する七男の文亨進派と分裂した。文亨進によって、サンクチュアリ教会が設立された。文亨進が家族連合(韓鶴子率いる統一教会)との『統一マーク使用権訴訟』で勝訴している。サンクチュアリ教会の掲げる主張は統一教会とは異なり、「全能の神が与えた権利によって武器を持ち、民が互いと人類の繁栄を守ることのできる平和の警官、平和の兵士の王国」と銃賛美の宗教となっている。文鮮明は1950年12月以降から韓国へ移住まで北朝鮮部分に住んでいた拷問を受けたこと、3年近くの興南監獄で多くの罪なき囚人たちが死んでいくのを見たことで反共思想になったと述べている。満40年10か月ぶりの北朝鮮訪問後の1991年12月7日に北京での声明文「北朝鮮から帰って」において、「北朝鮮に恨(ハン・恨み)が多いと言えば誰よりも多い人間です。」「過去40年の東西冷戦時代に誰よりも徹底した反共指導者であり、国際勝共連合の創始者として一生を勝共闘争に捧げてきたことは、世界がみな知っております」「冷戦時代の終焉とともに招来した平和の運勢を世界的に拡散させるために、私は「世界平和連合」を創設し、国際的平和運動を主導しています。」「統一祖国の明るい新世紀を迎える準備を急ぎましょう。」と冷戦崩壊後に対北朝鮮方針を転換した理由を述べている。
2012年9月3日に世界基督教統一神霊協会(統一教会)の創始者の文鮮明が死亡した際には、北朝鮮の金正恩第1書記は遺族に弔電を送り、「文鮮明先生は逝去したが、民族の和解と団結、国の統一と世界平和のために傾けた先生の努力と功績は末永く伝えられるだろう」との哀悼の意を表している。
2013年1月22日には北朝鮮と世界基督教統一神霊協会(統一教会)の合弁会社「平和自動車(Pyeonghwa Motors)」の最高経営責任者(CEO)で、米国市民権を持つ朴相権へ追加投資を引き出すために、北朝鮮から平壌市の名誉市民証を授与されている。
諸問題との関連
宗教学者島薗進新宗教における「隔離型教団」の代表的な例としてオウム真理教、エホバの証人、幸福会ヤマギシ会と共に統一教会をあげている。

「霊的な子ども」を生み出すことと考えられていた「勧誘活動」と共に、「資金調達」はサタンの領域から神の領域への合法的な金銭の移動と考えられ重視された。勧誘活動と資金調達は、共に非常に儀式的な活動であり、たとえその活動で敵意にさらされようと、愛を与え、多くの人に復帰に関わる機会を与える活動と考えられていた。多くの信者は、寄付した人がその行為の霊的意義を認識しているか否かに関わらず、神の領域へ資金を移動することで利益を得ると信じている。

合同結婚式も統一教会がカルト視される一因となっている。教団内婚制で世代が再生産されるため、ピークを越えたとはいえ教団の持続力は強い。教団内婚制も、カルト視されたりマインド・コントロール疑惑が持ち上がる一因になっている。

日本では1992年には、歌手で女優の桜田淳子(当時34歳)、元新体操選手の山崎浩子(やまさきひろこ、当時32歳)、元バドミントンの世界チャンピオンの徳田敦子(当時36歳)ら有名人が韓国ソウルのオリンピック・スタジアムで行われる「3万組国際合同祝福結婚式」(前年までに12回行われ、計2万組の夫婦が誕生していたとされる)に参加することが公になり、マスコミでスクープとして飛びつき、過熱気味な報道が繰り広げられた。次第に霊感商法被害や、見知らぬ異性同士が教祖のマッチングで結婚するのは不気味だと、激しいバッシングに変わった。

1993年には前年の合同結婚式に参加した山崎が突如行方不明になり、統一教会側は拉致監禁であると記者発表してデモ行進を行った。1か月後、週刊文春の独占で山崎の動静が伝えられ、その後山崎はテレビで婚約破棄と脱会宣言した。1990年代以降、元信者が結婚無効を求める裁判も相次いでいる。

日本「エバ」論
日本のセミナー等で、『原理講論』で説かれる堕落の経緯と復帰の歴史を説明される際に、韓国はアダム国家、日本はエバ国家とされ、先に堕落したエバがアダムに侍ることは当然であると説かれている。朝鮮を植民地支配し民族の尊厳を踏みにじった日本はエバと同じであり、韓国に贖罪しなければならないとされているのである。合同結婚式では、日本人女性・韓国人男性のカップルが多く生み出されており、結婚した日本人女性は韓国人の夫や家族に尽くすことが求められる。サタンと姦淫したエバである日本とアダムとされる韓国という構図で規定される。

「血分け」批判と諸見解
「血分け」および「韓国のキリスト教#特徴・批評」も参照
カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、神に陰陽説を当てはめるという考え方から性が過度に大きく扱われているが、性的乱交のような腐敗は今のところ見られないと述べている。櫻井義秀は、統一教会の布教当初、血分けの疑惑が持ち上がったが、それは未確認のまま終わっていることを紹介している。
1955年の梨花女子大事件の時も、「血分け」と称して淫行が行われているのではないかという疑いがもたれたが、文鮮明の容疑は兵役法違反及び不法監禁であり、無罪となっている。
韓国では、統一教会は数ある異端の一つと認識されているが、単に宗教団体というよりある種の財閥と認識されている。日本ほど反社会的宗教団体とは見なされておらず、韓国ではむしろ、日本で「摂理」と呼ばれるキリスト教福音宣教会が教祖による女性信者への性的暴行などで社会問題となっている。
櫻井義秀は、文鮮明が初期の信者たちと「血統転換」をどのようにやったかは伝聞でしかないと述べており、統一教会の血分け疑惑に関して著書でさらなる論考はしていない。そして文鮮明が、北朝鮮の興南牢獄に収監され国連軍の進攻で解放された経験や「血分け」スキャンダル等の迫害を受けたことを受難として、メシアにふさわしい聖痕として教説化したことを指摘している。
ポリテクニック・サウスウェストの哲学科助教授・バーミンガム市のセリーオーク・カレッジ新宗教運動センター理事のジョージ・D・クリサイディス(英語版)は、統一教会は血分け教、セックス教であるという主張には裏付けがなく、想像の域を出ていないと述べ、次のように解説している。
統一教会の初期には、夜遅くまで講話が行われることがあり、その際は夜間外出禁止令のために信者たちは朝まで帰宅できなかったが、敵対者はこれを不道徳な性的行為、乱交パーティーであると批判し噂が広まった。官憲が1954年に文鮮明と信者四人を逮捕し、罪状には姦通罪も含まれていた。しばらくして徴兵拒否以外のすべての罪状は取り除かれ、徴兵拒否も無罪となり3か月後に釈放された。キリスト教主流派や統一教会の批判者は、統一教会は批判者が血分けと呼ぶ性の入会式を行っており、救世主的教祖が女性の新入団者と性行為を行って女性を浄化し、その上で夫と性行為を行い夫の浄化と子孫の浄化を復帰するということを行っていると主張している。
しかし、クリサイディスは、統一教会がこれらを実践しているという情報は、いずれも間接的なものにとどまっており、統一教会と性の儀式を結びつける証言はごくわずかしかないとのべている。統一教会の信者であるユー・ヒョーウォン夫人は、歴史的に統一教会と関係のある聖主教で裸体儀式(楽園で人間が裸体であったことにちなむもので、性儀式ではない)が行われていたため、統一教会もその槍玉に挙げられると述べている。
ヨン・ポクチョンによる、文鮮明がキリスト教主流派から「血分け教」の開祖とも呼ばれる李龍道に出会い傾倒していたという証言は、年代が史実と合致しない。クリサイディスは、ユー夫人の見解の方がヨンの証言より問題が少ないと述べている。またクリサイディスは、現実問題として、教祖が合同結婚式に参加する8,000人もの花嫁と性交渉を行うことは不可能であると述べている。
クリサイディスは反カルト派や主流キリスト教の論者で、統一教会は血分け教、セックス教であると批判する論者は、「血」は実物なのか象徴なのか、性行為の相手は救世主である教祖なのか配偶者なのか、後者の場合、集会で行われるのか非公開であるのかを論じることもなく、出どころの不確かな引用、さらなる孫引きを行っていると述べている。
クリサイディスは、「血分け」(ピガルム)というハングルが存在するのだから、その言葉が指す何らかの宗教儀式(乱交パーティーではない)は朝鮮半島にあっただろうと推測することはできる[131]が、正確にどの新キリスト教集団が血分けを実践していたかはわからず、統一教会が行っていたことを裏付けるだけの証拠はないと述べている。
統一教会が元々「セックス教団だ」、「入会した女性信者は儀式と称する教祖との性行為を強いられる」、「血分け教である」、というバッシングは、1995年の文鮮明の逮捕に関する噂が元になっていると思われるが、その後の無罪放免になった顛末は無視されているという。
クリサイディスは、統一教会に血分けの疑惑がかかるのは、同会が婚姻外の性交渉を厳しく戒めていること、血統の復帰の過程は婚姻関係の中だけで「原理的」性交渉として行われること点から見ても筋が通っていないと論じている。クリサイディスは、このような主張が行われるのは、糾弾する側が悪意を持っているということか、より寛容に解釈するならば、血分けの実践と「祝福」(合同結婚式)の後の夫婦間の決められた手順の性行為を混同したのだろう、と述べている。
統一教会とキリスト教主流派
異端・カルト110番によると異端・カルトである。また日本カトリック司教団が1985年6月22日に出した世界基督教統一神霊協会に関する声明では、キリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ないことを明確に宣言とある。
キリスト教は世界中に布教されたが、その過程で様々に変質し、伝道する国の文化に順応してきた。世界の新宗教の多くはキリスト教の伝道活動の影響を受けて発生している。キリスト教の他文化への順応は、1世紀におけるヘレニズム化のように容認される場合もあれば、認められない場合もある。
キリスト教が土着の宗教と混合して生まれた宗教が、キリスト教の主流派から認められず、その宗教がキリスト教であると主張した場合、モルモン教のように主流の教会から異議を申し立てられたり、ラスタファリアンのように独立した宗教を形成することもあった[135]。
櫻井義秀は、統一教会は独特の聖書解釈が見られる『原論講論』を教典とし、教祖・文鮮明が再臨主であると主張していることから、キリスト教の主流派からは異端と見なされていると述べている。統一教会側は、キリスト教の主流ではないが、その教えは韓国に伝来したキリスト教の土着化による正当なものだと主張している。
文鮮明はプロテスタント的なキリスト教の影響を受けており、聖書の正典を知るために教会の伝承が必要であるとは考えない。しかし、キリスト教の最大会派であるカトリック教会では、エキュメニズムの対象にもなり得ないため、キリスト教ではない宗教であると宣言している。
ジョージ・D・クリサイディスは、統一教会を研究する際は、キリスト教の主流の信仰・実践と比較して「逸脱したキリスト教徒」とするのは単純に過ぎ、キリスト教だけでなく韓国の宗教と文化的背景を考慮し、韓国の伝統的な宗教とキリスト教宣教師の到来と活動の結果生まれた新キリスト教集団にルーツを探り研究する必要があると指摘している。独自の神学は仏教、儒教、道教、シャーマニズム等の土着の諸宗教の影響も受けている。
宗教社会学者のマーク・マリンズ(Mark R. Mullins)は日本のキリストの幕屋やイエス之御霊教会を「メイド・イン・ジャパンのキリスト教」と名付けて、キリスト教の土着化の例として欧米に紹介した。死者に戒を授け仏弟子とする日本の仏教が「仏教の土着化」であるなら、先祖に洗礼を授けることも「キリスト教の土着化」になるかもしれないが、これはバプテスマや自発的信仰を重視するプロテスタントとの根幹にかかわることであり、異論もある。
櫻井義秀は、こうした日本のキリスト教のマイノリティ教派を土着化の事例として認めるならば、韓国におけるキリスト教系新宗教も土着化の事例に相当するかもしれないと述べてる。宗教社会学的には、どちらも外来宗教の土着化と見なせる。櫻井は、但し、十字架上のイエス・キリストの血による贖罪を最終的な救済として認めるか否かでキリスト教と異端を分けることは、教派の神学としてはあり得るだろうと述べている。統一教会は、イエス・キリストは霊的救済のみに成功し、肉的救済はメシヤに託されたとしており、十字架上のイエス・キリストの死を最終的な救済とは考えない。
統一教会は、アメリカの保守的な宗教指導者・政治的指導者たちと連携を築き、これによって社会的存在感を確固たるものにしてきた[139]。文鮮明は、アメリカのキリスト教根本主義者ジェリー・ファルエル牧師が設立した私立のクリスチャン大学であるリバティ大学が経済的危機に直面した際に多額の資金援助をするなど、多くの保守派の活動に援助を行った。
発生の背景には、1930年代の韓国のキリスト教における神秘主義的な運動があり、独立後の朝鮮戦争を経た1950年代以降の韓国において生まれた、新宗教運動の潮流の一つである。その神学は、仏教、儒教、道教、シャーマニズム、さらに韓国のキリスト教の影響を受けており、西洋的文脈になじまない信念も見られる。宗教的コミュニオンへの家族的没入が統一教会の実践的規律になっている。
統一教会は、国別に機能を特化させる戦略をとっており、櫻井義秀は、「宗教的競争力のなさを、政治・経済部門の事業多角化とグローバルな事業展開で乗り切ったことが、統一教会を成長させた最大の戦略的要因である」と述べている。
韓国では、宗教としてはシャーマニスティックなキリスト教祈祷院のメガチャーチというようなものであるが、むしろ多様で巨大な複合企業体と認識されており、経済活動や社会事業を行い、結婚に悩む農村部では結婚相談所のような役割も果たしている。
統一教会は初期から政治・経済領域に事業を拡大し、政権との間に宗教活動を政治的に庇護してもらう関係を構築し、このやり方は韓国と日本で成功した。異端視される宗教がこのような戦略に成功することは非常に珍しい。アメリカでは、保守政治や信教の自由を擁護する活動を積極的に行っており、ウェールズ大学のサラ・ルイスは統一教会の宗教間対話と平和志向の促進を評価し、統一運動の関連組織の主要な目的のひとつに、「異なる信仰を持つ人びとが出会い、信仰のうちに調和を見出せるようにすることがある」と述べている。
アメリカ進出当初、活発な活動で欧米のメディア及び研究者の注目を集め、宗教社会学の古典的業績のかなりの部分が統一教会の研究で生み出された。日本では、脱会者の証言に軸を置く批判的な研究や、現役信者の証言による教団像の研究はあったが、調査の範囲は狭い[75]。研究者が統一教会と適切な距離を保つことの困難さ、統一教会から研究者へのコントロールの懸念もあり、総合的な調査研究は非常に少ない。
カトリックの聖職者の減少を憂慮していたザンビア出身の大司教エマニュエル・ミリンゴ(英語版)は、2001年に韓国人鍼灸医師マリア・スンと合同結婚式で結婚し破門されかかった。ミリンゴはスンと別れて静かに暮らしてたが、2006年にワシントンでスンと共にカトリック教会における聖職者妻帯の認可を求め、4人の妻帯司祭を司教に任命し、自動的に破門された。
プロテスタントの日本基督教団牧師・宗教研究者の石井智恵美は、キリスト教を名乗ることについては、正統派キリスト教による根強い批判が見られると述べている。
カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、統一教会はキリスト教、特にカトリック的キリスト教とは本質的に異なる宗教であり、キリスト教に属する諸教会・教団の再統合を目指すエキュメニカル運動の対象外であると述べている。また、統一教会はキリスト教との関係という点で、マニ教と非常によく似ているという。(マニ教はサーサーン朝ペルシャのマニ(3世紀)を開祖とする二元論的な宗教で、統一教会と異なり性を忌むべき悪と見なしていたが、イエスを高く評価し、開祖マニこそが最終的な真理をもたらすものであり、自説が宗教・哲学・科学全ての問題を理性的に解決する真理であると主張し、人類の最終的な唯一の宗教にならなければならないと考え、信徒は世界的な布教を行い、強固な宗教組織を作り、社会生活においても互いに連帯していた。)
ネメシェギは、人間と悪魔が性交できるといった神話的な思想は絶対に排除しなければならないものであり、原罪の教えは人間の悪魔化についての教えではなく、この世の一切の悪いことは神の意志に適うものではなく、神との調和を取り戻すことで、神の助けによってそれらの一切を取り除くことができるという希望を抱かせる教えであると述べている。統一教会は、イエスの復活を認めないからこそ、その死の理解が間違っているという。
またネメシェギは、次のように批判している。『原理講論』は文鮮明が受けたという啓示を根拠にしているが、啓示の客観的根拠は本書では述べられておらず、その教説には誤りが多く、実際に神の啓示であるとは思われず、文鮮明が啓示であると思い込んだのは、若い時からかかわっていた神霊主義的現象や、朝鮮半島のシャーマニズムの影響であったかもしれない。また陰陽論を神に当てはめるやり方は、キリスト教神学と哲学が初めから支持してきた神の絶対的超越性、独立、自己充足性、純一性、自由についての教説とは一致しておらず、神の絶対的超越性を十分理解できていないからこそ、被造世界にみられる特徴をそのまま神に当てはめてしまっているという。
キリスト教の主流派における公式の教会会議や委員会の中には、統一教会の統一思想に反対し、キリスト教であるという主張に異議を表明したり、危険性を警告するものもある。
1975年には、フランスのカトリック司教協議会が統一教会の危険性について警告書を出している。パナマの司教会議も、同一の立場から統一教会の実態について述べる司牧書簡を発表した。
1976年には、ニューヨーク大司教区が、アメリカのユダヤ系委員会、全米教会会議と共に、統一教会は反キリスト教的・反民主的であるという共同声明を出した。
神学者の宮本久雄は、原罪とは、狭義には人間の神との関係の破綻、神と人間との生命的な関係の虚無化を意味しており、従って本来は、モラル規範への単なる違反や男女の性的欲求とは直接関係がないと述べている。日本では、日本カトリック司教団がカトリック信者向けに、「私たちは、一つの人間家族をつくり上げることの意義を否定するものではありませんが、この世界基督教統一神霊協会がキリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ない」ことを宣言し、その教えはカトリックの教えと明確に相反するため、統一教会のいかなる運動や会合などにも関与しないように注意を喚起している。
プロテスタントの日本基督教団は、教団として統一教会対策に取り組んでおり[147]、ジャーナリストの米本和広は、日本基督教団は総会で「統一教会を潰す」という決議を採択したと述べている。
日本福音同盟は統一教会はキリスト教ではないと表明し、様々な姿と紛らわしい組織体を持ち、それらを通じて多くの人々を勧誘し「マインドコントロール」していると断じ、その活動に憂慮を示している。
統一教会の信者は「高額でエンドレスな献金要求」がされることが問題になっています。また献金以外にも販売活動や募金活動も行わなければなりません。
そして集金されたお金は韓国本部に送られて文鮮明への献金になっていると言われています。恐ろしい集金システムですね。
それに韓国の統一教会では寄付についてはそこまで要求されることがなく多額の寄付に追われるのは、世界中の統一教会の中でも日本の信者だけだそうです。



立正佼成会(りっしょうこうせいかい)は、霊友会から派生した日蓮系・法華系の新宗教である。文化庁『宗教年鑑 令和3年版』における信者数は、2,220,381人。立正佼成会は、すでに末期症状です。青年部はいないし、ここ20年くらいは新しい会員もほとんど入っていません。若い人たちは、佼成会に魅力を感じることがなくなり、得るものがありませんから、どんどん去っています。教会に出てきた若手には、どんどんお役をつけて苦しませますから、すぐに来なくなります。喜びもなく、希望も感じられず、無理難題のお役を強引につけますから逃げて当然です。そんな教団のあり方に嫌悪して辞めているのに、教団の役員は気にもとめず、同じ過ちを繰り返しています。もう歯止めがききません。教団本部も教会長もたるんでいて、自分の私利私欲しか考えていません。仏教徒のくせに不飲酒戒などまったく気にもせず、教会でお酒を飲んではしゃぐ役員もいます。青年部育成などと唱えていますが、掛け声ばかりで実際は誰も具体的に動かないので、青年部が集まる気配がありません。末期症状です。昔は、法座が命だと言っていましたが、今では、まともな法座のできる支部長がいません。質問者の悩みなどどこかに置いてしまって、自分のことばかりを話します。縁起も四諦も六波羅蜜もきちんと把握できていないから、実のある法座などできるはずがありません。法座ができないので、手取りも導きも結びもできない支部長ばかりになってしまいました。支部長は、主任の動きには気をつけているはずですから、主任に悩みがありそうなら、声をかけてケアをします。お役を引きたい、教会を辞めたいと思う程、主任が深く苦しみ悩んでいるのに、そのことに気がつかない時点で支部長は失格です。人格完成・世界平和などと口では偉そうに言うのに、目の前の人の辛さは見抜けないのです。悩みがあれば、法座で出すのが本来の姿です。一般会員ではなく、主任さんクラスの人がこのような知恵袋で悩みを相談していることに、僕は大きなショックを受けました。主任でさえが、安心して法座で本音を語れないのなら、何のための佼成会なのかが分かりません。質問者さんを責めているのではなく、悩みを持っている信者さんを見過ごすような、支部長・教会長など失格だと思います。そのような酷い状態なのですから、一日も早く主任のお役を引き、立正佼成会が嫌ならば辞めたほうがいいと思います。

2022-07-10
サンクチュアリ協会 文亨進氏来日『カルト集団と過激な信仰』あらすじ・感想〜統一協会(教会)との関係【安倍元首相銃撃事件】

昨日、安倍晋三元首相が遊説中に銃撃され、亡くなられてしまいました。
心からご冥福をお祈りいたします。

現在みなさまの心境はそれぞれかと思いますが、この事件がマスコミの印象操作で誰か(巨大な闇)の都合のいい方向に流されていくような気がしませんか?

日頃、陰謀論には興味がない私なのですが今回ばかりはそう思ってしまいます。

◇◇◇

以下、Amazonプライムビデオで数年前に見た番組の感想という形をとり、事件の山上容疑者が供述しているらしい<特定の宗教団体>の話を少ししていきたいと思います。

Amazonプライムビデオ
カルト集団と過激な信仰
映像はコチラ👇


この作品の第五話に出てくる「世界平和統一聖殿」(サンクチュアリ協会[教会])。

この団体は「統一協会」(劇中では世界基督教統一神霊協会表記)の分派。

文鮮明が亡くなった後、七男の文亨進(ムン・ヒョンジン 劇中ではショーン・ムーン 米国生まれ)が自らが文鮮明の再臨主(後継者)だと信者を率いる団体です。

(※統一協会の名称は、1994年5月(日本では2015年8月)に「世界平和統一家庭連合」に変更されています)

◇◇◇

タイトルは「世界平和統一聖殿」ですが、山上容疑者が指す<特定の宗教団体>、つまり統一教会の成り立ちが紹介されており、合同結婚式の様子や、信者が多額の参加料を支払わなければならない仕組みが描かれているので興味のある方はぜひご覧ください。

◇◇◇

統一教会(現在の総裁は文鮮明の妻、韓鶴子)は宗教以外のビジネスでも成長
し、政財界にも影響力があります。

韓国では、食品、建設、不動産業、特にリゾート産業が強く財閥化しています。(統一グループ。勿論韓国以外でもビジネスを展開)
ヨン様でお馴染み「冬のソナタ」(2002年)に出てくるあのスキー場(龍平リゾート 別称:ドラゴンバレー)も同教団所有です。

下記新潮の有料記事に、文鮮明の死後後継者争いで揉めた件(骨肉の争い)、お金問題(多額の負債と凄い資産)、北朝鮮との関係が記載されています。いかに銭ゲバかというのがよくわかるのでご一読ください。
話は戻ります。

容疑者の供述によると、母親が宗教にのめり込み破産に追いやられ大学を辞めざるを得なく云々恨みが蓄積していたような感じで「もともとトップを殺そうとした」とのこと。

気になって調べてみると、6月26日の『異端・カルト110番』の記事を見つけました。

6月25日東京大会を皮切りに九州、関西、中部、北海道を縦断し、7月13日の「全日本歓迎特別集会in首都圏」まで2週間を超える日本大会を開催する計画である。

とのことです。

Twitterで確認したところ、実際に今(2022年7月10日)日本に来て居るそうです、、、。

容疑者の「もともとトップを殺そうとした」という供述もあながち嘘ではないかもしれませんが、、、

サンクチュアリ協会は武装教団。

聖書(ヨハネの黙示録)の『鉄の杖』を『銃器』と解釈しているのか、文顕進の頭には銃弾が並んだ王冠が乗せられ、合同結婚式を挙げているウェディングドレス姿の新婦と新郎は銃器を抱えています。

子どもにまでも銃を持たせ使い方を指導している大変恐ろしい団体です。
◇◇◇

昨年、前述の映像でサンクチュアリ協会のこの様子を知り、すっかり武装集団のイメージが記憶に刻まれ、今回の銃撃事件の犯人の様子を映像で見た私としては、素人が自分で銃器を作り数発で命中させることができるものなのか?
どこかで密かに特殊な訓練を積んだ人物なのではなかろうか?

と、頭の中が疑問符でいっぱいであれこれ結びつけてしまいましたが、私のようにそう思う人も大勢いると思います。

サンクチュアリ協会が今回の件でなにかをしたわけではないのに、すっかり印象操作をされています。

◇◇◇

統一協会と政治の繋がりその他諸々については、NHK党の黒川あつひこ氏が歌って踊らなくとも、殆どの国民が気づいてい当たり前のことかと思うのですが、、、

それにしても、なぜ、今だったのか???
なぜ、安倍氏だったのか???
誰が本当の加害者なのか???

◇◇◇

〜以上、本日はここまでとなります。
考えて学び知ることも弔いのひとつかな?と思い書いてみました。

いつもの如く事実がメディアによって封印されませんように。
収入財産に見合わない高額のお布施をむしり取る宗教が消滅しますように。

そういえば、楽天の三木谷氏はどこいったのでしょうか???


真の後継者は文信俊、文亨進の二人の馬鹿息子




シンプルに言うと寄付をすることで救われるしないと地獄に落ちるという教えですからしなければならないのでしょう。

しかし周りがいくら止めても信仰を持っているうちは止めないですし、自分のお金がなくなったとしても借金をしたりして親戚や知人と金銭トラブルになることも多いようです。

自分の親も統一教会員で、破産まではしていないが同じような状況にある。誰が何を言っても聞く耳持たない。
もう成人してから距離を置いているが、先日祖母が他界し、葬儀で親戚が、母が親戚からお金を借りたもらったと金銭トラブルが起きていたことが発覚。
母は親戚から縁を切られた。
実家に足を運ばなくなってから親戚付き合いもしていなかったが、恥すぎて自分ももう親戚と縁を切るしかないんだと、、
自分の親族親戚は誰もいなくなりました。

ヤフコメには↑のようなコメントがありました。

お金がなくなるだけではなく、借金をすることで親しい人から縁を切られて孤独になりより統一教会に負のループが起きるのではないかと思います。






興梠一郎氏に聞く最新ウクライナ情勢 中国が仕掛ける“分断”【日経プラス9】(2022年6月30日)


中露イランの急接近 これから世界で起きる3つの危機
佐々木伸 (星槎大学大学院教授)

イランのライシ大統領がこのほどロシアを訪問し、プーチン大統領と会談したほか、外国の首脳として下院で異例の演説を行った。ライシ師は米欧を激しく非難、ウクライナ問題で米欧と対決するプーチン氏にエールを送った。今回の訪問で米国と敵対する中露とイランによる3国枢軸が一段と鮮明に。「敵(米国)の敵は味方」という古典的な国際関係の構図が浮き彫りになった。
ロシアとイランは中央アジアにおけるアメリカ合衆国の政治的影響力の拡大を抑制することに共通の利害を持つ。 この結果、イランは2005年には上海協力機構オブザーバー国となった。 中国とロシアの主導する上海協力機構への参加は、1979年以来イランが有した外交関係でももっとも広範なものといえる。
           イランのライシ大統領(エブラーヒーム・ライースィー)
ライシ師は国内経済を追い込む米制裁の全面解除を改めて要求。反米の保守強硬派政権の誕生に欧米が警戒を強める




最新鋭戦闘機と地対空ミサイルを売却か
 両首脳の会談は2022年1月19日に行われた。訪問に当たってはイランの最高指導者ハメネイ師がプーチン氏に書簡を送り、お膳立てをしたとされる。プーチン氏は新型コロナウイルス感染を警戒して対面の会談には慎重だったが、6メートルの長テーブルを間に介しての会談となった。

 両国の発表などによると、プーチン氏はシリア内戦やアフガニスタン危機などでのイランとの協力を指摘、米国との核協議に関しては、イランの立場を知ることが重要だと述べた。これに対し、ライシ師はイランが40年も米国に抵抗してきたことに言及、「イランとロシアが共闘して米国に立ち向かう時だ」として、両国の連携強化を強調した。

 ライシ師は20日にはロシア下院で演説、「北大西洋条約機構(NATO)がさまざまな口実を使って独立国家に侵入を図っている」と米欧を非難し、ウクライナ侵攻も辞さないとするプーチン氏を援護射撃した。外国の首脳が下院で演説するのは極めて異例。プーチン氏がライシ大統領を歓迎し、厚遇した証と受け取られている。

 首脳会談での具体的な合意については公式的には発表されていないが、今年で期限切れとなる「経済・安全保障協力協定」の枠組みを更新することで一致したという。特に安全保障面では、ロシアがイランに対し100億ドルに上る兵器売却で合意したとされ、イランが強く求めていた最新鋭戦闘機SU35や地対空ミサイルS400も含まれている模様。
イランは核協議が不首尾に終わった場合、不倶戴天の敵であるイスラエルが核施設などに軍事攻撃を仕掛けてくると警戒しており、SU35、S400ともイスラエルに対する強力な抑止力になると見られている。イスラエルはロシアと良好な関係を維持しており、今後、イランへの兵器売却を思いとどまるようロシア側に働きかけることになるだろう。

 新協定のモデルになったのはイランが昨年3月に中国と締結した戦略協定だ。

 中国がイランのエネルギー、通信、交通などの分野に総額4000億ドル(約44兆円)を投資するのと引き換えに、イラン原油を安価で安定調達するというのが骨子。制裁で苦しむイランにとっては国益にかなう協定だ。イランはロシアからの兵器購入費約100億ドルの支払いについては、中国からの石油代金の未回収分でまかなうのではないかと観測されている。
世界の対立軸が収れん
 イランとロシアによる関係強化により、世界の対立軸はこの2カ国に中国を加えた「反米枢軸」と「米国連合」という図式に収れんしつつある。とりわけ、米国の制裁に対抗しようとするイランの動きが目立つ。イランは昨年9月、ライシ師がタジキスタンで開催された「上海協力機構(SCO)」首脳会議に出席、機構への正式加盟が承認されたが、これもそうした動きの一環だ。

 SCOは中国とロシアが主導し、8カ国で構成。オブザーバーで参加してきたイランは9番目の加盟国となる。プーチン氏にとってもイランとの関係強化を世界に見せつけることはプラスだ。

 同氏には、旧ソ連圏諸国で構成する「ユーラシア経済同盟」にもイランを引き入れたい思惑があり、ブロックを固めて米欧と対決していくハラのようだ。米国との関係が最悪の状態にある中国にとってもイランと連携することは米国をけん制する上で戦略的に役に立つ。

 こうした「反米枢軸」に対し、同盟国に相応の役割分担を求めるバイデン政権も「米国連合」の構築にまい進してきた。中国の勢力拡大に対抗するため昨年9月、米英豪の3カ国による新たな安保枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設。さらに日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」を活性化、米英豪加ニュージーランドの英語圏5カ国による機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」の結びつきを強めた。
バイデン政権が同盟国との関係を強化しているのは米単独で「反米枢軸」と対峙していくのは財政的に耐え切れなくなり、応分の負担を要求せざるを得ない、というのが実情。特に日本は対中、対ロシアの最前線に位置し、同政権にとっての日本の存在価値は格段に上がった。今後も日本が米戦略にさらに組み込まれていくだろう。
風雲急の〝3つの危機〟
 バイデン政権が直面する対外的な難問は中国による台湾侵攻の懸念、ロシア軍のウクライナ侵攻の脅威、イラン核合意の破綻――という〝3つの危機〟だ。

 特にウクライナ情勢は23日、米国務省が在ウクライナ米大使館職員の家族に国外退去を命じ、ロシアとウクライナへの渡航警戒レベルを最も厳しい「渡航中止」に引き上げたほど緊張が高まっている。米高官は「ロシアの軍事行動はいつでも起こり得る」と警告している。

 ウイーンで続けられてきたイラン核合意の再建交渉は昨年末に再開したものの、制裁の解除が先決とするイランと、核合意の順守を要求する米国との隔たりは大きく、進展は見られていない。一方で、イランは核開発を続行しており、このままでは核保有にさらに近づくのは確実。イスラエルによる軍事攻撃の可能性が高まり、イラン危機が再燃するのに多くの時間を必要としないだろう。

 イランが核協議での支持を得るため、また米制裁による経済悪化に歯止めを掛けるため、合意の当事者であるロシアや中国に接近するのは当然の帰結であり、米国と対立する中国やロシアにとってもエネルギー資源豊富なイランを陣営に引き入れることには大きなメリットがある。
中露とイランは3カ国枢軸を誇示するようにこのほど、ペルシャ湾の外側のオマーン湾付近で海軍の合同演習を実施した。 〝3つの危機〟が3カ国枢軸と米国連合の対決の中でどう展開するのか、国際情勢は風雲急を告げている。



“イランがロシアに数百機の無人航空機 供与の準備か” 米高官
2022年7月12日 10時14分

アメリカ・ホワイトハウスの高官は、中東のイランがウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し、数百機の無人航空機を供与する準備をしているという見方を示しました。

アメリカ・ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は、11日の記者会見で「われわれが得た情報では、イラン政府がロシアに対し、武器を搭載できるものを含めた数百機の無人航空機を供与する準備をしていることを示唆している」と述べました。

サリバン補佐官は、これらの無人航空機について、すでにロシア側に提供されているかどうかは確認できていないとしていますが、イランがロシア軍に対して、今月中にも使用方法の訓練を始めるという見方も示しました。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は先月、訪問先の中央アジアでイランのライシ大統領と会談し、ともに欧米と対立し、経済制裁を受ける両国の結束を強調しています。

サリバン補佐官は、ロシアがイランに軍事支援を頼る状況について、ロシアがウクライナでの戦闘で武器を失っていることを示すものだとして、引き続きアメリカとしてウクライナへの支援を続けていく考えを示しました。

ロシア ウクライナに軍事侵攻(12日の動き)
2022年7月12日 9時27分 

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる2022年7月12日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア ドイツに天然ガスを送るパイプラインの供給停止


ロシアからドイツに天然ガスを送る主要なパイプライン「ノルドストリーム」は、2022年7月11日から定期的な点検を理由に供給を停止しました。

ロシア側が経済制裁を科すドイツに揺さぶりをかけるため、点検終了後も供給を再開しないのではないかとの懸念が広がっています。プーチンお得意の揺さぶって相手の出方を見て、因縁をつけてから制裁をしてくる「欺瞞作戦」だ。

ノルドストリームはロシアからバルト海の海底を通ってドイツにつながる現在、ヨーロッパ最大規模の天然ガスパイプラインです。

このパイプラインを運営するロシアの国営ガス会社ガスプロムは2022年7月11日から定期的な点検を理由にロシアからドイツに向けた天然ガスの供給を停止しました。

点検は2022年7月21日までの予定だとしています。


このパイプラインを巡っては、先月2022年6月ロシアからの供給量がおよそ60%削減されました。

ドイツ政府は暖房需要が増える冬に向けて十分な量を備蓄できないとして、国民や企業にガスの節約を求める異例の事態となっています。

こうしたことから、今回の定期点検についてもロシア側が経済制裁を科すドイツに揺さぶりをかけるため、点検終了後に供給を再開しないのではないかとの懸念がドイツでは広がっています。

ドイツ政府の担当者は、2022年7月11日の定例の会見でパイプラインの点検について「本来は再開されるものだが、どうなるか予測はできない」と述べるにとどめました。

ドイツはエネルギーの脱ロシアを進めていますが、天然ガスの輸入に占めるロシア産の割合はことし4月時点で依然、35%を占めています。

ロシア プーチン大統領とトルコ エルドアン大統領 電話で会談

ロシア大統領府は2022年7月11日、プーチン大統領がトルコのエルドアン大統領と電話で会談したと発表しました。

それによりますと、両首脳は、トルコが、国連とともに仲介役として、調整しているウクライナ産の穀物の黒海での海上輸送について、協議したということです。

農業大国ウクライナの南部の黒海に面する港ではロシア軍による封鎖によって穀物の輸出ができない状況が続いています。

これに対し、トルコ大統領府も、エルドアン大統領が「今こそ黒海での穀物輸出の計画に向けて行動を起こすときだ」と強調したとしています。

一方、ロシア大統領府は、今回の電話会談の中で「両首脳は、近い将来の首脳会談を前に課題について協議した」として、首脳会談への調整が進んでいることを明らかにし、プーチン大統領が、ウクライナ情勢の仲介役のエルドアン大統領と直接、会談に臨むかどうかも注目されます。

エルドアン大統領はこの日、ウクライナのゼレンスキー大統領とも穀物の輸出などをめぐり、電話で会談したとしていて、ロシアとウクライナの停戦交渉に、積極的に関与する姿勢を改めて強調しています。
ロシア軍 東部ドネツク州 ハルキウ州を攻撃


ロシア軍が侵攻するウクライナ東部のドネツク州では、ウクライナ側の拠点、クラマトルシクから30キロほど南東の町で、5階建ての集合住宅がミサイルで攻撃され、ウクライナの非常事態庁は、これまでに31人が死亡したと明らかにしました。

ロシア軍は東部ハルキウ州でも攻撃を続けていて、地元の州知事は2022年7月11日、「ロシア軍がハルキウ市内のショッピングモールや集合住宅などを攻撃した」と投稿し、地元の検察当局によりますと、これまでに6人が死亡したとしていて市民の犠牲が広がっています。

また、ロシア国防省は2022年7月11日、東部ドニプロペトロウシク州で巡航ミサイル「カリブル」を発射して、アメリカがウクライナ軍に提供した高機動ロケット砲システム=ハイマースなどを破壊したと発表しました。中東のイランがウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し、数百機の無人航空機を供与すると発表しました。ドイツはパイプラインを停止され、ウクライナへの武器供与はできなくなる模様。ゼレンスキーが信頼しているイギリスもジョンソン首相が辞任したので、ますますプーチン有利になってきている。後はアメリカが頑張るしかない。

一方、イギリス国防省は2022年7月11日、ロシア軍が兵士に対して休息の計画が欠如し、身体面や精神面での負担を訴えることが相次いでいると分析しています。
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ゴットランド対カリーニングラードの戦いが始まろうとしている!
ゴットランド島では軍事的な警戒が強まっています。


スウェーデン軍の傘下には地域を守るためのボランティアの市民兵がいますが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、急きょ追加で数週間の訓練を受けることが必要となりました。市民兵となっているのは、ふだんは会社勤めをしている人や子育て中の人など、普通の市民です。取材で演習場を訪れた時には、そうした普通の市民が銃を持って林の中を駆け抜け、腹ばいになって射撃を行うなど、実践的な訓練を繰り返し行っていました。プーチン政権は、最新鋭の地対空ミサイルシステム「S400」を配備するなど、NATOに対抗するための重要な戦略拠点であるカリーニングラードでの軍備増強を進めてきました。
5月上旬、バルト艦隊の部隊が短距離弾道ミサイルの模擬発射訓練を行ったと明らかにしたほか、「スウェーデンとフィンランドがNATOに加盟すれば、当然ロシアは国境を強化しなければならない。地域の非核化はありえない」などと、核戦力をちらつかせて警告するなど、北欧2か国のNATO加盟への動きに反発を強めています。




















興梠一郎氏に聞く最新ウクライナ情勢 中国が仕掛ける“分断”【日経プラス9】(2022年6月30日)





「防衛装備移転三原則」の運用指針改正 PAC3を米へ輸出も決定
2023年12月22日

政府は、外国企業から技術を導入し国内で製造する「ライセンス生産」の防衛装備品について、ライセンス元の国への輸出を可能とすることなどを盛り込んだ「防衛装備移転三原則」の運用指針を改正しました。これを受け、地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」をライセンス元のアメリカに輸出することも決めました。

政府は22日、持ち回りでNSC=国家安全保障会議の閣僚会合を開き、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針を改正しました。

それによりますと、外国企業から技術を導入し国内で製造する「ライセンス生産」の装備品の輸出について、これまではアメリカに対し部品のみ認めていましたが、完成品も含めてライセンス元の国への輸出を可能とします。

これを受けて地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」をライセンス元のアメリカに輸出することも決めました。

2014年に防衛装備移転三原則が策定されて以降、自衛隊法上の武器にあたる完成品の輸出は初めてとなります。

また、日本の事前同意があれば、ライセンス元の国から第三国に輸出するのも可能とする一方「現に戦闘が行われていると判断される国へ提供する場合を除く」としています。

このほか、安全保障面で協力関係のある国に対し戦闘機のエンジンや翼などの部品の輸出を認めるほか、「救難」や「輸送」など5つの類型の装備品に、殺傷能力のある武器を搭載していても輸出を可能とします。

改正によって輸出可能になる装備品は
今回の改正によって一定の要件を満たせば殺傷能力がある武器や弾薬の完成品についても輸出できることになります。

このうち、外国企業から技術を導入して国内で製造する「ライセンス生産」については、これまではアメリカに対して部品を輸出できるとしていましたが、アメリカ以外のライセンス元の国に対しても完成品を含めて輸出できるとしました。

防衛省が把握しているライセンス元の国はアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、スウェーデン、ノルウェーの8か国あります。

また、ライセンス生産した装備品は令和4年度までに完成品と部品で少なくとも合わせて79品目あり、このうち4割の32品目はアメリカがライセンス元となっています。

具体的には、「F15戦闘機」、「CH47輸送ヘリコプター」、地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」などがあります。

アメリカ以外では、
▽「81ミリ迫撃砲」がイギリス
▽「120ミリ迫撃砲」がフランス
▽「90式戦車」の「砲身」がドイツ
▽護衛艦の「127ミリ速射砲」がイタリア
▽「5.56ミリ機関銃」がベルギー
▽「84ミリ無反動砲」がスウェーデン
▽「20ミリ多目的弾」がノルウェー
などとなっています。

これらの装備品はライセンス元の国からの要請があれば、輸出できるようになります。


また、日本の事前同意があればライセンス元の国が第三国に輸出することもできるとしていますが、武器や弾薬については特段の事情がないかぎりは現に戦闘が行われている国は除くとしています。

ライセンス生産以外では、他国と共同で開発・生産した装備品について、パートナー国が完成品を輸出した国に対し、日本が部品を直接輸出できるようにしました。

現在、日本が他国と共同開発しているのは
▽弾道ミサイル用の迎撃ミサイル「SM3ブロックA」と▽「次期戦闘機」
の2種類で、日本が輸出を想定しているのは次期戦闘機の部品です。

防衛省によりますと、日本がどの部品を担当するかは調整中だということですが、パートナー国のイギリスやイタリアが第三国に次期戦闘機を輸出して、日本が担当した部品に不具合などが見つかった場合に、速やか交換できるようにするというねらいがあるとみられます。

このほか、日本と安全保障面での協力関係がある国に対しては、武器や砲弾の部品を輸出できるようにしました。

防衛装備の輸出に当たっては日本の安全保障に及ぼす懸念の程度を厳格に審査し、総合的に判断するとしています。

改正の意義と残る課題は
今回の改正で、「ライセンス生産」の装備品にかぎってですが、これまで実質的に認めてこなかった殺傷能力のある完成品の輸出が可能になり、一つの転換と言えます。

一方で自民党と公明党の実務者協議で、公明党内に慎重な意見が強かったことから結論が出なかった課題があります。

このうち、イギリス・イタリアと開発する次期戦闘機が念頭にある、共同開発した装備品の第三国への輸出をめぐっては、政府は2024年2月末までに結論を出すよう求めています。

また、安全保障面で協力関係にある国への輸出の対象を「救難」や「輸送」など5つの類型に限定しているルールの見直しについても結論が出ていません。

この2つの見直しは、共同開発の進展や相手国との連携強化に資する一方、殺傷能力のある装備品の輸出にさらに道を開く可能性もあり、年明け以降に再開される協議の行方が注目されます。

安全保障環境の変化で広がる輸出対象
武器を含めた装備品の輸出について日本は、国際紛争の助長を回避するという平和国家としての理念に基づき、慎重に対処しながらも安全保障環境の変化に合わせて輸出の対象を広げてきました。

1967年 武器輸出三原則など
1967年、佐藤内閣は共産圏諸国や紛争当事国などへの武器の輸出を認めないとする「武器輸出三原則」を打ち出しました。

1976年には三木内閣が三原則の対象ではない地域についても「輸出を慎む」とし、実質的にすべての輸出を禁止しました。

1983年 例外的措置
しかし、1983年に中曽根内閣がアメリカから要請を受けてアメリカへの武器技術の供与を例外として認める決定をします。

それ以降、迎撃ミサイルの日米共同開発や、PKO活動に従事する他国軍への銃弾の提供など、個別の案件ごとに例外的な措置として輸出を認め、その数は2013年までの30年間で合わせて21件となりました。

2014年 防衛装備移転三原則
装備品輸出のルールを大きく転換したのは2014年の安倍内閣です。

新たに「防衛装備移転三原則」と「運用指針」を決定し、平和貢献や国際協力、それに日本の安全保障に役立つ場合にかぎり、厳格な審査のもとで、輸出を判断していくとしたのです。

ただ、他国と共同で開発・生産したものなどを除いて、完成した装備品を輸出できるのは「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」に該当するものに限定しました。

実際にこれまで完成品を輸出したのは、フィリピンに対する警戒管制レーダーの1件のみで、殺傷能力のある完成品を輸出したことは一度もありません。

2023年 改正防衛装備移転三原則
今回改正した防衛装備移転三原則では「官民一体となって防衛装備の海外移転を進める」としています。

こうした方針のもと、外国企業から技術を導入して国内で製造する「ライセンス生産」について、ライセンス元の国に完成品を輸出できるようにしました。

これにより、ライセンス生産しているF15戦闘機や砲弾など、殺傷能力や、ものを破壊する能力のある完成品も輸出できることになり、政府は22日、ライセンス元のアメリカからの要請に基づいて地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」の完成品を輸出することを決定しました。

防衛省関係者によりますと、アメリカの要請の背景には、ロシアの侵攻を受けているウクライナの支援によって不足している迎撃ミサイルを補いたいというねらいがあるとみられています。

岸田首相「平和国家としての歩み堅持変わらず」
岸田総理大臣は22日夜、総理大臣官邸で記者団から「殺傷能力のある武器の輸出は紛争を助長しかねないという懸念にどう答えるか」と問われたのに対し「防衛装備移転三原則そのものは維持しており、力による一方的な現状変更は許さないなど、国際秩序を守っていくために貢献していきたい。平和国家としての歩みを堅持することも変わりはなく、国民に取り組みの積極的な意義について丁寧に説明を続けていきたい」と述べました。

官房長官「わが国の安保 地域の平和と安定に寄与」

林官房長官は、臨時閣議のあとの記者会見で「わが国にとって望ましい安全保障環境の創出などを進めるための重要な政策的手段であるという観点から、与党のワーキングチームの合意内容を踏まえて行った」と述べました。

そのうえで、地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」のアメリカへの輸出を決めたことについて「特に慎重な検討と厳格な審査を経て、認めうることを確認した。日米同盟の強化の観点から大きな意義を有するもので、わが国の安全保障およびインド太平洋地域の平和と安定に寄与するものだ」と述べました。

専門家「外交安全保障政策でも極めて重要なツール」

防衛装備移転三原則と運用指針が改正されたことについて、安全保障が専門の拓殖大学の佐藤丙午 教授は「時代の要請にしたがって見直されるのは自然の流れだ。防衛装備移転は総合的な意味で日本の抑止力を向上させ、平和と安定に貢献している。国際的な防衛協力体制の中で一つのピースとして作用することが極めて重要で、日本の外交安全保障政策の中でも極めて重要なツールになるので、積極的に進めるべきだ」と指摘しています。

外国企業から技術を導入して国内で製造する「ライセンス生産」について、ライセンス元の国に完成品を輸出できるようにしたことについては「そもそも先方の国で作っているものなので、そこに輸出することの違和感はそれほどない。相手国との関係が強化されるなど、日本の安全保障において対外関係の重層化が期待できるので極めて順当だ」話しています。

その上でライセンス生産した地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」の完成品のアメリカへの輸出を決めたことについては、「ウクライナ戦争やガザの問題を見ても、防空能力が極めて重要な役割を果たしている。世界的に防空能力に対する需要が高まることが予想されるが、アメリカ国内だけでは十分に生産できないとなると日本がアメリカの防衛企業にかわって、製造するということは合理的な判断だ」と指摘しています。

専門家「将来によくない影響を及ぼす可能性」

防衛装備移転三原則と運用指針が改正されたことについて、安全保障が専門の流通経済大学の植村秀樹 教授は「これまで日本は平和国家の看板を掲げて、武器輸出は極めて慎重に進めてきたが、今回の改正では武器を輸出する国になることを政府が宣言していて大きな変化だ。国会で議論をして国民的な合意を得るというプロセスが十分に行われず、国会が閉まっている時に閣議決定するというやり方は、将来によくない影響を及ぼす可能性がある」と指摘しています。

外国企業から技術を導入して国内で製造する「ライセンス生産」について、ライセンス元の国に完成品を輸出できるようにしたことについては、「少しずつ日本の防衛産業や防衛政策のあり方が変わっていくきっかけになり得るものだ。殺傷能力のあるものも含めて売れるようにすることが日本のあり方として適切なのかは疑問だ」と話しています。

そのうえで、ライセンス生産した地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」の完成品のアメリカへの輸出を決めたことについては、「飛躍した言い方かもしれないが、日本の企業がアメリカの防衛政策を支える兵器工場になっていくことにもつながりかねない。日本が『国際紛争を助長しない』と言っても、アメリカのやり方次第では最終的に国際紛争を助長することになりかねず、考え直すべきだ」と指摘しています。

【そもそも解説】防衛装備移転三原則の見直し 今なぜ武器輸出拡大?

武器輸出を制限する「防衛装備移転三原則」の見直しに向けた議論が、政府・与党内で始まりました。第2次世界大戦後、日本は半世紀にわたり武器の輸出を原則禁止するなど、平和国家として歩んできました。なぜいま武器の輸出を増やそうとしているのでしょうか。解説します。

 Q 「防衛装備移転三原則」ってなに?

 A 防衛装備品を海外に移転(輸出)する場合のルールのことだ。防衛装備品には、殺傷能力のある護衛艦や戦闘機、ミサイルのほかに、防弾チョッキやヘルメットなども含まれる。

 Q 三つの原則があるんだね。

 A 「移転を禁止する場合の明確化」「移転を認め得る場合の限定」「目的外使用及び第三国移転にかかる適正管理」の三つだ。輸出を禁止する例としては、国際条約違反になる場合や、国連決議で輸出が禁止された国、紛争当事国をあげている。

「同志国」どこ?定義あいまい、軍事支援へ踏み出す日本 OSAとは
 Q 輸出できるのはどういう場合なの?

 輸出を認めるのは、平和貢献や国際協力、日本の安全保障につながることを条件としている。日本の同意がない目的外の使用や、相手国以外の第三国に再び輸出されないようにするという原則も守る必要がある。

三原則はいつできた?
 Q 三原則はいつできたの?

 A 現在の「防衛装備移転三原則」は第2次安倍政権下の2014年に制定され、それまでの「武器輸出三原則」で事実上禁じられてきた武器輸出を可能にしたんだ。

 武器輸出三原則は1967年に佐藤栄作首相(当時)が示した。①共産圏②国連決議で禁止されている国③国際紛争当事国――には輸出を認めないとした。

 さらに76年に三木武夫首相(当時)が、それ以外の国にも輸出は「慎む」との政府統一見解を示し、事実上輸出は禁じられていた。

 Q 今はどんな装備品を輸出…



「殺傷能力ある武器」輸出解禁、自衛隊「パトリオット」を早速アメリカに 国会で議論ないまま「三原則」改定
2023年12月22日

 政府は22日、武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」と運用指針を改定した。三原則本体の改定は約10年ぶり。武器輸出政策を大幅に転換し、ミサイルや弾薬など殺傷能力のある武器輸出の解禁に踏み切った。国際紛争を助長する懸念は否定できないが、三原則は閣議で、運用指針は国家安全保障会議(NSC)で決定され、国会での議論はなかった。(川田篤志)
 防衛装備移転三原則 日本は1970年代に武器の原則禁輸を定めた武器輸出三原則を確立。安倍政権下の2014年に策定した防衛装備移転三原則で一部容認するルールに転換したが、国際共同開発品を除き殺傷武器の輸出は禁じてきた。2022年末に閣議決定された安全保障関連3文書が「防衛装備移転の推進」を掲げたのを受け、自民、公明両党の実務者が原則非公開の協議を経て、12月13日にルール緩和の提言をまとめた。

◆「ライセンス生産品」の輸出を容認 戦闘中の国へは認めない
 外国企業に特許料を払って日本で製造する「ライセンス生産品」について、米国などライセンス元の国へ完成品の輸出を容認することなどが柱。ライセンス生産品は現在、米国や英国など8カ国の79品目あり、迎撃ミサイルや大砲、弾薬などが含まれる。
 ライセンス元の国から第三国への輸出も解禁するが、殺傷武器に関しては戦闘中の国へは認めないとした。政府は第三国輸出の場合、ライセンス元の国に日本の事前同意を義務づけ、厳格に審査することで紛争国への流出の歯止めになると説明する。ただ輸出された後に適正に管理・処理されたかを確認できる仕組みは担保されておらず、相手国任せになる。
 殺傷能力のない武器の輸出を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」に限定した5類型については、本来業務に必要な武器の搭載は認める。ただ、類型自体の拡大は自公両党の折り合いが付かず、議論を続けることになった。
 岸田文雄首相は22日、「国際秩序を守るために貢献したい。平和国家としての基本的な理念は変わらない」と強調した。
 学習院大の青井未帆教授(憲法学)は今回の改定について、平和主義にのっとり国際紛争を助長しないとしている「憲法の精神に反する」と批判。当初の武器輸出三原則が国会審議を通じて確立されたことを挙げ、「与党の『密室協議』で国のあり方が変えられてよいのか」と指摘した。
  ◇

◆パトリオット輸出は間接的にウクライナの戦闘支援
 政府は22日の国家安全保障会議(NSC)で、自衛隊が保有する地上配備型の迎撃ミサイル「パトリオット」を米国へ輸出する方針を決めた。この日改定された防衛装備移転三原則で緩和された武器輸出ルールを、早速適用した。2014年の三原則策定以降、殺傷能力のある武器の完成品の輸出は初めて。
 米国の在庫を日本が補塡(ほてん)することで、米国内にあったパトリオットをウクライナへ供与しやすくなり、間接的なウクライナの戦闘支援につながる。
 パトリオットは米国企業に特許料を払って国内生産する「ライセンス生産品」で、米政府から要請があった。NSCの審議では、「米軍の在庫を補完することは、日本とインド太平洋地域の平和と安定に寄与する」として輸出を認めた。
 具体的には、弾道ミサイルの迎撃に特化したPAC3と旧式のPAC2が対象で、財政法に基づき有償で売り払う。数量や売却額、輸出時期は今後調整するが、売却額などを公表するかどうかは未定という。売却額が明らかにされない場合、日本防衛のために税金で購入されたパトリオットが適正価格で売却されたか検証できない恐れがある。
 日米両政府は今回、日本から輸出したパトリオットを米国から第三国へ輸出しないことも確認した。ただ、米軍の在庫が補塡されることで、新たに米側のパトリオットをウクライナに供与できる余地は広がる。9月に来日したウクライナ最高会議(議会)議長が、PAC3の提供を日本に要望していた経緯もある。

◆迎撃ミサイルは4割不足…なぜ輸出が優先?


 一方で、防衛省は昨年10月、防衛力強化が必要な理由として、迎撃ミサイルが必要量の4割不足していると試算。改善が必要だと説明していた。試算の前提条件は明らかにしていない。輸出による日本防衛への影響について、防衛省は「自衛隊の防空体制の運用を工夫していく」と説明するにとどめた。
 拓殖大の佐藤丙午教授(安全保障論)は「アジア太平洋地域に展開する米海兵隊などに今回の輸出分を配備して、この地域の抑止力を高める狙いがあるのでは」と分析。その上で「なぜ日本の在庫に余力がない中で米国への輸出を優先したのか、政府は国民に丁寧に説明するべきだ」と指摘した。(川田篤志)

バレると世論が怖いから…武器輸出ルール見直し、議論も議事録も非公開 官邸は平和の党を党是に掲げる公明党に『記者に言うな』命令
2023年11月18日


 自民、公明両党は17日、防衛装備品の輸出ルール緩和に向けた協議で、武器を構成する部品の扱いなどについて意見を交わした。政府・与党は年内のルール見直しを目指すが、議論は密室で行われ、議事録も非公表。政府は与党で協議中だとして国会での説明を拒む。なぜ輸出緩和が必要なのか、国民に根拠が示されないまま、武器輸出の拡大が進もうとしている。 この日の協議では、武器の部品と完成品の線引きなどを議論した。殺傷能力のある武器を構成する部品の扱いが不明確だった現行ルールを見直し、部品が殺傷能力や物を破壊する「自衛隊法上の武器」に当たらなければ輸出できるようにする方向だ。
◆両党代表「発言控えたい」「具体論ない」
 与党協議は4月に始まり、17日で18回目。初回から、冒頭あいさつを除き非公開で、議事録が公表されたこともない。毎回、終了後に両党の代表者が記者団に説明するが、大詰めを迎えた11月以降は「結論を出す途中なので発言は控えたい」など、内容が最小限にとどまるようになった。
 この日も「政府からどのような質問があったか」との質問に、公明の三浦信祐参院議員は「具体論は今はない」などと、まともに答えなかった。
 背景について、あるメンバーは「官邸から『両党で仮に合意事項があっても(記者団に)言うな』と言われている」と打ち明ける。武器輸出拡大に関する世論調査では慎重意見が多く、情報を出さないことで世論の注目を集めにくくする思惑があるとみられる。


◆手続きだけで見直しが可能
 武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」とその運用指針は法律ではないため、改正法案の国会審議を経ることなく、政府・与党内の手続きのみで見直し可能だ。国際紛争を助長しかねないとして武器輸出を制限してきた政府方針の大転換につながるにもかかわらず、政府・与党だけで結論を出す手法は、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有などを決めた昨年の安保関連3文書の改定でもとられた。
 立憲民主党の泉健太代表は17日の記者会見で、こうした手法に「国民の議論なしに、結論だけを国民に強いるのは民主的ではない」と苦言を呈した。
 室蘭工業大の清末愛砂きよすえあいさ教授(憲法学)は「なぜ今、武器の輸出を拡大する必要があるのかや、平和憲法との整合性、輸出を拡大した場合のリスクを国民に伏せたまま、議論を進めるのはおかしい」と指摘。「議論の過程を見せることが民主主義にとって重要だ。隠す必要がないのだから議論を公開するべきだ」と強調する。(川田篤志、大野暢子)



「ライセンス生産」武器の対アメリカ輸出拡大で大筋合意 自民・公明 「軍事技術の拡散にならない」
2023年11月16日

 自民、公明両党は15日、防衛装備品の輸出ルール緩和に向けた協議で、外国企業に特許料を支払って日本で製造する武器の完成品「ライセンス(使用許可)生産品」に関し、当該国への輸出を容認する方向で大筋合意した。ライセンス生産品の多くを占める米国は、長引くウクライナ戦争への援助で武器や弾薬を消耗しており、米国経由で紛争国に供与される可能性もある。だが現状では歯止め策も明確になっていない。(川田篤志)
◆紛争国への流出防止策は示されなかった

 協議では、ライセンス生産品の輸出容認に加え、輸出後の適正管理のあり方についても意見を交わしたが、紛争国への流出防止策などは示されなかった。現行ルールを踏まえ、米国に対して第三国に供与する際には日本の同意を求めるといった対策が考えられるが、公明党の三浦信祐参院議員は記者団に「議論を重ねている段階だ」と話すにとどめた。
 自公両党には、日本産の武器の対米輸出を認めることで、米国との同盟関係を強化する狙いがあるとみられる。だが紛争中の国への流出を食い止められなければ、日本が実質的に戦争に加担したと国際社会に受け止められる恐れもある。
 自公両党の複数の議員は本紙の取材に「(ライセンス元の外国企業から技術提供を受けるため)ライセンス元国に輸出することは軍事技術の拡散にはつながらない」などと話した。
◆現行ルールは「救難」「輸送」など5類型の活動用途に限定



         

 現行ルールでは、完成品の輸出は、国際共同開発品を除いて「救難」「輸送」など5類型の活動用途に限定している。米国がライセンスを持つ武器の「部品」に限って認めているが、完成品は対象外。米国以外の海外ライセンス品は部品、完成品ともに輸出できない。
 防衛省によると、日本が保有する米国からのライセンス生産品はF15戦闘機や輸送ヘリCH47などの大型装備品のほか、迎撃用地対空誘導弾パトリオット(PAC3)やロケット弾、りゅう弾などがある。
 このうち地対空誘導弾「改良ホーク」は、欧米からの供与を受けたウクライナ軍が防空目的で使用している。ある自民党中堅議員は「今年春ごろ、米政府関係者から『自衛隊が保有する改良ホークやりゅう弾をウクライナ軍に提供できないか』と相談された」と明かす。解禁されれば、米国経由でウクライナに送られる可能性がある。
 防衛省内からは「本来なら5類型をどうするかで骨太の議論がなされるべきで、邪道なやり方だ」と批判する声も上がっている。
 武器輸出の適正管理 防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針では、輸出先から国連憲章に違反した国への流出などを防ぐため、「原則として目的外使用及び第三国移転について日本の事前同意を相手国に義務付ける」と明記している。不適切な管理が判明すれば、外為法に基づき罰則の適用を含め、厳正に対処するとしている。


「平和国家から死の商人に転落する」 憲法学者ら22人、殺傷武器輸出解禁や「密室協議」に反対する共同声明
2023年10月3日 
憲法学者や市民団体の有志ら22人が3日、政府と自民、公明両党が検討する殺傷能力のある武器の輸出解禁に反対する共同声明を発表した。殺傷武器を輸出しないことは、非核三原則や専守防衛と並ぶ平和憲法の下での「国是」だとして、「国際紛争を助長しない」という原則の再確認を求めた。
 声明は、防衛装備品(武器)の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の要件緩和に向けた与党議員による議論を「密室協議」と指摘。この与党協議を解散し、野党も含めて国会でルール見直しの是非を議論するよう要望した。
 また、第三国への輸出も検討されている、日本が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機について「殺傷武器そのものだ」として、開発の中止を求めた。
 国会内で開かれた記者会見にオンライン参加した室蘭工業大の清末愛砂あいさ教授(憲法学)は「殺傷能力のある武器を輸出することで、日本は世界の人々に恐怖を与える側になる。憲法上決して容認できない」と訴えた。
 非政府組織(NGO)ピースボート共同代表で「平和構想研究会」代表の川崎哲あきら氏は「日本が他国から尊敬される平和国家から死の商人国家に転落することになる」と指摘した。今後も賛同者を募り、政府や与野党に声明を提出する予定。(川田篤志)




「日本の戦闘機」が市民空爆の可能性? 自民と公明が武器輸出規制の緩和を検討
2023年6月29日

 自民、公明両党は28日、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の要件緩和を検討する実務者協議を国会内で開いた。協議では、殺傷能力のある武器の輸出解禁とともに、日本が他国と共同開発・生産する武器の第三国への輸出の制約を緩和するかが大きな論点だ。英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の輸出が念頭にあるが、欧州で共同開発された戦闘機が第三国に輸出され、隣国空爆に使用された例もある。緩和により、日本が開発に関わった戦闘機による空爆で外国の市民が殺されることにもなりかねない。(川田篤志)

 両党は30日の協議で論点整理を終える。これを受け、政府は防衛装備移転三原則の見直し作業を本格化させ、秋以降に決定する。論点の中で特に具体的な動きとして想定されるのが、共同開発の相手国が第三国に武器を輸出する場合に、日本が義務付けている事前同意ルールの見直しだ。
 日英伊の3カ国で共同開発する次期戦闘機は2035年の配備を目指す。戦闘機開発には巨額のコストがかかり、共同開発は各国の負担を分散するメリットがある。英伊両国はさらに第三国への輸出を進めて生産を増やして、製造コストを抑えようとしている。
 日本の場合、戦闘機のような殺傷能力のある武器の輸出は、防衛装備移転三原則により共同開発の相手国に限られる。その相手国が第三国に輸出する場合は、日本の事前同意を条件にして、歯止めをかけている。日本の武器の無原則な拡散を防ぐためだ。
 英伊両国は、日本の事前同意ルールが輸出の障害になることを懸念し、見直しを求めている。現在は明確な規定がなく、共同開発の相手国側には、どのような場合に日本の同意が得られるか不透明なためだ。現行の三原則が策定された14年以降、日本の武器が事前同意を経て第三国に輸出された例はない。
 三原則は、防衛装備品の輸出を「平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合」「日本の安全保障に資する場合」などに限定している。第三国輸出の事前同意は、これらの限定に即して行われるべきだが、自民党からは「他国との共同開発に支障が出る」として、厳しい要件のないルールに簡素化するべきだとの声が上がっている。
 ただ、無原則な第三国輸出を認めれば、日本の戦闘機で海外の市民の命が奪われる結果にもなりかねない。ベルギーの平和団体によると、英国など4カ国が共同開発した戦闘機「ユーロファイター」はサウジアラビアにも輸出され、同国がイエメン内戦に介入した15年には、同戦闘機などによる3カ月間約2700回に及ぶ空爆で、多数の民間人が犠牲になったという。
 明治大国際武器移転史研究所の客員研究員を務める山口大の纐纈こうけつ厚名誉教授は「事前同意ルールの緩和は、日本の主体性を骨抜きにし、なし崩し的な武器輸出につながりかねない。武器輸出の歯止めを外し、戦後世界に発信した平和国家として歩むという約束を反故ほごにする行為だ」と批判している。

「殺傷能力ある武器輸出を」政府・自民に高まる解禁論 ゆらぐ禁輸三原則 識者「平和国家像の支え失う」
2023年2月23日



 ロシアによるウクライナ侵攻から1年を迎え、政府・自民党内ではウクライナ支援や友好国との関係強化を旗印に、殺傷能力のある武器の輸出解禁を目指す声が高まっている。安倍政権が「武器輸出三原則」の禁輸政策を転換し、輸出を認めた「防衛装備移転三原則」の運用指針の規制緩和を検討する。殺傷能力を持つ武器輸出を認めれば、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有に続く安保関連政策の大転換となり、識者は「平和国家像の支えを失い、東アジアの軍拡につながる」と危ぶむ。(川田篤志)
◆不満を漏らす自民党議員
 「不法な侵略を受けるウクライナの防衛目的でも、現行では殺傷力のある装備品を移転(輸出)できない。殺傷性ではなく、安保上、日本と関係を深めていく国かで考えては」。自民党の熊田裕通氏は今月の衆院予算委員会で、欧米が戦車や弾薬を供与する中、日本は防弾チョッキや民生車両などの支援にとどまる現状に不満を漏らした。
 浜田靖一防衛相は「装備移転は日本にとって望ましい安保環境の創出や、国際法違反の侵略などを受けている国への支援のため重要な政策手段だ」と答弁。原則として殺傷能力のある武器輸出を認めていない運用指針の変更に前向きな姿勢を示した。

 岸田政権は昨年12月に閣議決定した国家安全保障戦略で、装備品輸出は防衛協力の「重要な手段」と位置付けた。殺傷能力のある武器の輸出解禁の圧力は「ウクライナ支援」を名目に自民党内で強まっており、有志議員は21日、国内の防衛産業強化や防衛装備品の輸出拡大を目指す議員連盟を設立し、国会内で初の総会を開いた。
◆国内防衛産業の収益強化ねらう
 政府・自民党にはウクライナへの軍事支援で欧米各国と足並みをそろえたい思惑がある。対中国を念頭に東南アジアへ武器輸出して安保協力を強化し、国内防衛産業の収益強化につなげる狙いもある。
 一方、「平和の党」を掲げる公明党は、統一地方選挙への影響を懸念し、大幅な規制緩和に慎重姿勢を示す。政府・与党は4月以降に運用指針の見直しの議論を本格化させる構えだ。
 武器輸出を巡っては、政府は1960〜70年代以降、憲法9条の平和主義に基づき、国際紛争を助長しないとの理念のもと、武器輸出三原則で事実上の禁輸政策を続けてきた。
 安倍政権では2014年、全面禁輸を見直して「防衛装備移転三原則」として国際平和への貢献や日本の安全保障に資する場合、紛争当事国などを除き輸出を解禁。ただ、運用指針で、共同開発国を除き、戦車や戦闘機などの武器の輸出は認めてこなかった。



 学習院大の青井未帆教授(憲法学)は、殺傷力のある武器の輸出を解禁すれば「紛争を助長せず、武器で利益を得る国ではないことで保っていた平和国家像が崩れてしまう」と指摘。「武器を送ることだけがウクライナ支援ではない。国家像を180度転換し、軍事力を背景に外交をする国になるのか、国会も含め国民的議論が必要だ」と語る。



防衛装備移転三原則と日米安全保障関係 
 拓殖大学 佐藤丙午  
○武器輸出三原則等から防衛移転三原則へ  2014年4月1日に、従来の武器輸出三原則等に代わり防衛装備移転三原則が策定された。これにより、日米間を中心に、日本の対外的な防衛技術協力の可能性が拡大した。2015年10月には防衛技術開発を担っていた技術研究本部と、各幕に所在していた装備調達部門を統合し、防衛装備庁も創設された。防衛装備庁は、防衛生産・技術基盤戦略を推進する任務が付与されており、防衛装備移転は政策手段の一つとして規定されている。 このように、安倍政権の下で策定された国家安全保障戦略から防衛装備庁創設に至る一連の流れは、防衛装備関連分野における日本の政策選択肢を増やすことを目的にしている。これら改革により、制度面の制約は少なくなり、政策分野での展開を進めることが必要になっている。そして、新たに可能になった政策手段を、日米安全保障体制の強化のために、どのように生かすか、という視点を考慮する必要が生まれた。
  防衛装備移転三原則(以下新原則)は、佐藤内閣が発表した武器移転三原則(共産圏諸国、国連武器禁輸国、紛争当事国に対する武器の販売の禁止)と、三木内閣が規定した原則(三原則以外の地域に対する武器輸出を慎む、等)に加え、その後第二次安倍内閣が2013年12月に発表した措置を含む、21の例外措置を包含した内容となっている。
新原則は、
第一原則で「武器移転を禁止する場合の明確化」(国際条約等、国連安保理決議違反、紛争当事国)、
第二原則で「武器移転を認め得る場合の限定並びに厳格審査及び情報公開」
そして第三原則で「武器目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保」を規定している。 
 新原則が旧原則と大きく異なる点は、第二原則の内容と、新原則の運用指針の策定である。

第二原則では、武器移転を認めうる場合
①平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合と
②我が国の安全保障に資する場合とし、一定の制約の下に防衛装備移転を解禁している。
 新原則と同時に発表された運用指針では、日本と安全保障面での協力関係がある諸国との国際共同開発・生産、そして安全保障・防衛協力の強化目的での武器海外移転を許可することを明記し、その強化の内容を、物品役務相互提供協定(ACSA)、米国との相互技術交流、米国からのライセンス生産品に係る部品や役務の提供と米軍への修理等の役務提供、日本と安全保障面での協力関係がある諸国との救難、輸送、警戒、監視及び掃海に係る協力に関する防衛装備の海外移転、としている。  運用指針では、国際共同開発・生産の定義を実施しており、日本政府又は企業が参加するもので、
(ア)我が国政府と外国政府との間で行う国際共同開発、
(イ)外国政府による防衛装備の開発への我が国企業の参画、
(ウ)外国からのライセンス生産であって、我が国企業が外国企業と共同して行うもの、(エ)我が国の技術及び外国からの技術を用いて我が国企業が外国企業と共同して行う、開発又は生産、
(オ)部品等を融通し合う国際的なシステムへの参加、
(カ)国際共同開発又は国際共同生産の実現可能性の調査のための技術情報又は試験品の提供、としている。
 この定義により、日本政府又は企業が参加可能な案件が大幅に広がると共に、これまで未定義の下で進められてきた国際共同開発又は国際共同生産に伴う政治的不安定さを解消することに貢献するものになる。

  ◎防衛装備移転三原則の日米安保体制に対する意義  
 武器輸出三原則等は、日本の防衛輸出に過大な制約を課し、民間企業による防衛装備移転を実質的に禁止する結果につながったと評される。しかし、日米安全保障関係の下では、日米両国にとってメリットも存在した。日本の防衛生産基盤は、第二次世界大戦後に米国からのライセンス生産を中心に再建されたが、武器輸出三原則等が存在することで、日本が移転を受けた技術と、それを基に構築した技術が日本から第三国に移転されるリスクは最小に留まった。さらに、60年代以降民生技術を中心に高度技術を発展させた日本は、汎用技術を含め、国際市場を目指した軍事生産を行わなかったため、米国は83年の三原則例外化措置で可能となった、日本国内の防衛関連技術を独占的に使用する措置により、国際社会における技術開発で日本を競争者として見なす必要がなかった。しかし
  防衛装備移転三原則の施行により、防衛生産に関する日米間の戦略計算は大きく変化する。第一の分野は、防衛装備移転に関する政策調整である。新原則により、日本は国際共同生産及び防衛装備移転のパートナーの幅を拡大し、日本の戦略関心に基づく防衛装備移転を進めることが可能となった。しかし、日米両国がそれぞれの安全保障政策上の必要性に対応した防衛装備移転を共通の政策手段として利用するうえで、政策調整を進展させる必要がある。  一般的に特定の国や地域に対する防衛輸出や装備移転において、各国間で政策調整を実施する例は少ないが、日米間では防衛生産に相互補完関係が成立しており、それを最適化すべきであろう。具体的には、たとえば、米国内では生産ラインが存在しないが、日本国内にはライセンス生産の関係で存在する防衛装備品などの移転で政策調整を進めることが出来よう。
第二の分野は、防衛装備開発における協力者としての地位の向上である。運用指針で国際共同開発・生産の定義を行うことからもわかるように、防衛装備移転三原則の施行の目的の重要な一つが日本の防衛産業の国際展開にあることは言うまでもない。日本の防衛産業は、これまでは日本の防需に完全に依存した状態にあり、海外市場に展開する意思と能力に欠けると同時に、市場機会を他国に奪われてきた。防衛装備移転三原則により、米国を中心として、同盟国や友好国の防衛産業との協力関係を展開することが可能になり、それは同時に協力の相手先国の防衛関係に対して一定の関与を行うことになる。このため、協力国としての地位は向上するが、同時に第三国移転や目的外使用に関するリスクを負うことにもなる。防衛装備移転三原則の第三原則で、これら問題が言及されているが、書式の充足ではなく、独自の情報能力を構築する必要が出てくる可能性がある。  第三の分野は、米国市場への参入である。2014年6月に発表された防衛産業基盤戦略では、産業基盤の維持と高度技術へのアクセスを目的とした、国際共同開発・生産の必要性が指摘されている。防衛産業基盤を特定の防衛企業と見なすのではなく、日本が国内に保有する大小の企業の技術基盤と考えると、産業基盤維持のあり方が単純ではないことが分かる。すなわち、将来の兵器システム開発に必要な基礎技術や素材などは、現時点で兵器化されておらず、その多くは汎用品として扱われている。それら汎用技術を保有する企業を、防衛産業基盤戦略の下で「選択と集中」に基づいて選別するのは不可能であり、実質的には競争的生存を期待することになろう。その際、日本での防衛装備開発の予算と規模、そして新兵器の開発状況等を考えると、国内で競争的生存を期待することは出来ず、米国市場(を含めた外国市場)での生存を期待するのが合理的かつ望ましい、ということになる。このため、技術力を持つ企業の海外進出を促進する措置が必要になる。  第四の分野として、不拡散の分野での協力がある。日米の防衛装備移転政策において、共に重視されるのが国際社会での合意である。通常兵器に関わる国際社会の合意には、ワッセナー・アレンジメントや武器貿易条約(ATT)等の措置がある。防衛装備移転の可能性がほぼ無い状態で、これら国際合意の検討プロセスに参加するのと、リスクを負う可能性を抱えながら参加するのでは、その発言や判断の意味が異なる。新原則により、国際社会が日本を見る目が変化したことを前提に、衛星技術、サイバー、致死性自律兵器(LAWS)への議論に参加する必要が生まれているのである。そして、不拡散の分野では、各国の管理能力の強化をどのようなプロセスで進めるかが問題になるが、新原則以降は、日米で共通のアプローチを採用することが望ましい状況が生まれている。  ◎日米安保体制と政策可能性  防衛装備移転三原則の策定で日本が手にした政策手段を、日米安保体制の向上のために、どのように活用するか考察する必要がある。 国際共同開発  米国は既に日本の国際共同開発の重要なパートナーであり、今後とも防衛装備の共同開発において、関係の強化発展が予想される。現在までに進められた幾つかの防衛装備品の共同開発に加え、将来の防衛力の必要性に応じ、新たな品目が共同生産されることは不思議ではない。この面では、防衛装備移転三原則の下で、必要な技術開発を含め、日米安全保障条約が存在する以上、継続的に関係強化が図られるだろう。特に、米国が2014年に公表した「第三のオフセット」戦略のもとでは、サイバー、ロボット、人工知能、宇宙など新技術を用いた優越力の復活の方針が示されており、基礎技術開発及び兵器開発の面で、日米両国の協力が進化する可能性は高い。 
しかし、日米防衛装備協力において、日本から見た米国の価値と、米国から見た日本の価値が異なることを理解する必要がある。防衛装備移転三原則の下であっても、日本が実施する国際共同生産は自衛隊の装備開発と直接的な関係が前提となり、米軍単独の能力向上を目的とした共同生産は実施されない。防衛装備の技術レベルの差を考慮するとき、日本は米国の技術を必要とするが、その逆のケースは少ない。さらには、現行の法制度の下で、日本企業が国際共同開発・生産で輸出専用の防衛装備品の生産・輸出に関与する可能性はない。これに対し、米軍にとって日本は必要な技術を提供する源の一つに過ぎず、生産基盤の中での位置づけとしては、絶対的な存在ではない。 このため、防衛産業基盤戦略に基づく防衛装備輸出を、日米安保体制の下で最適化するために、日本は米軍の装備技術の向上に合わせて、戦略と装備を更新してゆく必要がある。つまり、米軍と自衛隊の相互運用性を確保する上で、日米両国は防衛産業戦略を調和させ、特に日本は米軍の装備開発のコンセプトやシステム設計の段階から米軍や米国企業と協力し、日本の持つ技術が防衛装備システムの中で死活的に重要な位置を確保する必要があるのである。防衛装備や技術開発の担い手が、従来の「プライム・コントラクター」ではなく、システム・インテグレターや中小企業の技術起業家に移行している状況の下で、日本企業は政府間合意の存在を前提に関係強化を図る従来型の防衛企業ではなく、従来は防衛生産に関与することが少なかった、一定以上の技術レベルを持つ企業が、米国の防衛生産や技術開発に積極的に関与することで、その死活性が高まるのである。  ・装備品の移転・共同生産  防衛装備移転三原則の下では、防衛装備品の海外移転で、米国以外のパートナーとの協力関係を積極的に拡大することを前提としていない。しかし、三原則の第二原則で「日本と安全保障面での協力関係がある諸国との救難、輸送、警戒、監視及び掃海に係る協力に関する防衛装備の海外移転」を規定している。これら分野は、海洋分野での防衛協力の中核となる機能であり、日本の安全保障政策においても周辺国が能力を向上させることに大きな利益がある。  東南アジアや東アジアでは、大国同士が海洋で面しており、その周辺部に島嶼国や沿岸国が存在する。海洋では、陸上国境と異なり国境線の保護の在り方が異なり、さらには島嶼などの帰属等が不確定な場合、主権をめぐる武力対立に発展する可能性も否定できない。南シナ海をめぐる中国と周辺国との領土紛争では、中国が一方的に領有権を主張する拠点を大規模に埋め立てて滑走路を建設するなど、緊張関係が高まっている。さらに、中国によるA2AD能力の向上は、アジア太平洋の海洋部での米国および同盟国に対して拒否力を向上させていることを意味するため、米中の戦略関係にも影響が及ぶ。ただし、米国とその同盟国は、現時点で中国を潜在的な敵対勢力と規定し、防衛力の整備に努めることで対立関係を顕在化させることは現時点では利益に反する。さらに、中国にとっても、国内政治上、周辺国や関係国に妥協的な対応を行うことの不利益を感じている反面、短期的な衝突を回避することに利益がある。
 つまり、アジア太平洋では、相互の国家間の関係には対立的な要素を抱えながら、それを顕在化させることの不利益に対する、それぞれの理解が存在する。このため、日米両国は急速に国家間関係を変化させることなく、軍事的な変化に対応し、周辺国の安心・確証(リアシュアランス)を高めてゆく必要がある。防衛装備移転三原則が、防衛装備輸出において、抑制的であるが、積極的な役割の可能性を広げたことで、重層的な対応を行うことが可能になった。日米は、アジア太平洋におけるそれぞれの独自の二国間関係をふまえ、防衛協力や装備移転を拡大してゆくことになる。日本が独自に開発し、防衛装備輸出で主導的な役割を果たすことが可能な装備は少ないため、ライセンス製品の輸出(米国を介しての)や技術協力などの面で米国との協力を調整する必要がある。  それと共に、日本が現在豪州との間で進める「そうりゅう」型潜水艦の輸出促進や、インドとの間のUS-2の現地生産・移転などの事例を先鞭に、アジア太平洋諸国にとって必要な防衛装備品の策定を、日米両国で調整する必要がある。防衛装備移転をめぐる両国間での情報共有と交換により、同盟関係の強化を図ると共に、装備品の相互補完関係を強化して輸出市場の開拓を目指すことができる。「そうりゅう」型潜水艦の戦闘システムは米国製であり、US-2の駆動系にも米国のライセンスシステムが組み込まれている。つまり、原子力発電所の輸出における事例と同様、日本の輸出品が単独で市場競争力を持つ事例は少なく、防衛装備の分野では、米国の防衛装備輸出と連動する形態を増加させることで、日本の市場開拓力の向上を図ってゆく必要がある。 途上国に対する支援  日本の防衛装備移転の中で、いわゆる「中古」武器の海外移転は二重の意味で重要な意義を持つ。第一に、防衛装備のライフサイクルが開発当初の想定以上に速いサイクルで進むため、日本国内で陳腐化した防衛装備システムや、代替手段が確立した防衛装備、さらには防衛装備の機能が必要な能力を下回ってしまった場合など、システムの維持と破棄のコストを比較考量し、不要と判断されるようなシステムは、必要な相手に移転するのが合理的である。第二に、防衛装備を通じて、相手国に必要な能力開発を推進することができる場合、地域の軍事バランスに過度な影響を与えることがない範囲で「中古品」の移転を行うことは、相互の利益に合致する。  米国は、FMSやDCSの他に、緊急時の防衛装備貸与やIMET等を通じた途上国の能力開発を進めており、日本も能力開発の分野で役割を果たすことの、日米の共通の戦略上の意義は大きい。  ・不拡散協力  従来の不拡散政策は、共通の管理リストを設定し、それぞれの国家は必要な国内法と管理制度を整備し、管理当局がライセンス制度や税関制度などで運用を行う、という方式で実施されてきた。大量破壊兵器関連の四つの不拡散レジーム(NSG、オーストラリア・グループ、MTCR、ワッセナー・アレンジメント)と国連の経済制裁決議が、管理品目のリストの基本となり、各国はそれを国内法制度に援用することで管理政策が実施されてきた。もちろん不拡散政策は、製品や技術が国境を超える段階での管理を実施するだけでなく、たとえば、平和的原子力利用の前提条件である3S(セキュリティ、セーフティ、セーフガード)の強化が核不拡散を強化するように、包括的な管理体制の強化も政策の推進に貢献する。 
不拡散政策の課題は、汎用品や技術の拡散の管理措置である。大量破壊兵器に加え、通常兵器の分野でも汎用技術の移転が軍事能力の拡散に貢献するが、それを効果的に管理する方策が少ない。米国は主要防衛装備をFMSで移転する場合、目的外使用の禁止と第三国移転の防止を、現地査察と米国の国内法の域外適用を実施することで担保している。現地査察は全ての防衛装備や技術で実施しているものではなく、一部の高度技術製品等を含め、死活的に重要な製品でのみ実施している。米国の輸出管理法では、汎用技術の移転の際に、米国から輸出しようとする企業及び第三国移転を進める企業に対し、最終使用と最終使用者証明を提出することをライセンス申請の義務としている。このように厳格な管理システムが、非合法移転の防止策として有効であるかどうか、議論が分かれるものの、輸出者の善意を信頼することでしか、実効性を担保する方策がないのも事実であり、現行のシステムではそれがある程度担保されてきたと見るべきであろう。  防衛装備移転三原則でも、防衛装備移転の判断において、「仕向先及び最終需要者の適切性」と「当該防衛装備の海外移転が我が国の安全保障上及ぼす懸念の程度」を厳格審査の視点として規定している。これら、輸出先の適切性評価と懸念程度の評価は、いずれも安全保障情報の共有を前提として可能となる。防衛装備移転を通じて、適正管理の強化を通じて日米間の情報共有が進むことは、同盟強化の基盤としては、望ましい分野であることも事実である。潜在的な非合法移転従事者の特定と、その活動の監視を強化することは、通常兵器や麻薬、更には人身売買などの非合法ネットワークの特定につながるものであり、21世初頭の戦略環境における大きな脅威である、国際テロネットワークの撲滅にもつながる可能性がある。このように、防衛装備移転三原則の運用を通じ、国境管理を超えた不拡散協力を進めることが可能になるのである。
  ◎おわりに  以上のように、防衛装備移転三原則は日米協力に新たな可能性を生んでおり、その可能性が相互にもたらす影響について、日米両国は模索している段階にある。この過渡期をいかに早期に脱し、日米協力の深化という観点からいかに新原則の活用を図るのかという課題が、日米の政策関係者に問い掛けられているのである。  以上


武器輸出抑制はいかにして憲法と結びつき「禁忌」となったか
防衛産業強化のための防衛装備移転
2023.8.10(木)

サムスン電子の半導体と防衛産業強化のため、韓国はGDP4位になった。

(文:小木洋人)

元来は外為法上の運用基準に過ぎなかった武器輸出三原則は、戦後の政治過程を経る中で、憲法の平和主義を体現する「規範」としての性格が加えられた。防衛産業の輸出を抑制するこの軛(くびき)は、2014年の防衛装備移転三原則でも払拭されたとは言い難い。防衛装備移転を防衛産業強化につなげるためには、まず国際的な武器輸出の位置付けと日本における「禁忌」意識との乖離を認識する必要がある。

 厳しさを増す安全保障環境の中で、各種のアンケート調査では、回答者の6割以上が日本の防衛力強化に賛成の立場を示している[1]。そして従来、その基盤となる防衛産業についての議論はあまり注目されてこなかったが、今回の防衛力強化の動きの中では、防衛産業側から示されている衰退への危機感に対応する形で、各種施策が打ち出されている。

 2022年12月に発表された安全保障戦略三文書においては、「いわば防衛力そのものとしての防衛生産・技術基盤の強化」(国家安全保障戦略)が掲げられ、新たな戦い方に必要な先端技術を防衛装備品に取り込むことの重要性や、サプライチェーンの維持強化、防衛産業への新規参入促進、契約制度の見直し、企業支援の取組等が盛り込まれた。さらに、2023年度通常国会においては「防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律」(防衛生産基盤強化法)が成立し、サプライチェーンの強化、事業承継策などへの財政支援の仕組みが整備されることとなった。

 一方、国家防衛戦略に掲げられたにもかかわらず、その見直し作業が他の取組と比べて進んでいないのが、防衛装備移転三原則(以下、「三原則」)の改定である。

 2014年、日本は、長年武器輸出を抑制してきた旧武器輸出三原則等(以下、「旧三原則等」)の見直しを行い、武器輸出の安全保障上の意義が見出せるものについての輸出を認める三原則を制定した。しかし、その後、商業輸出の主な成功事例が三菱電機によるフィリピン空軍への地上警戒管制レーダー売却のみにとどまり、防衛産業強化を牽引する材料とはならない状況が続いていた。

 これを踏まえ、三原則の下での運用指針に規定される移転を認め得る対象を拡大する方向で、自民党・公明党の与党実務者協議において議論が行われてきた。しかし、殺傷性を有する武器の本格的移転を認めるか否かを巡って、慎重な姿勢を崩さない公明党との協議がいまだ妥結していない。

 防衛装備移転は、日本の防衛産業強化策の本丸である。防衛装備品を納入する多くの防衛プライム企業においては、防衛関連の売上が全体の1割程度かそれ以下にとどまっている。このため、防衛費の大幅増額によっても今後その割合が劇的に増加しない以上、国内需要はおのずと限られる。効率的な防衛調達と防衛産業の発展のためには国際市場へのアクセスを増やす以外方法はないが、そのための取組は、防衛産業関連政策の中で最も進んでいない。

 本稿では、こうした状況を踏まえ、これまでの武器輸出を巡る国内の議論と国際的なトレンドを対比することを通じ、防衛産業強化の観点から防衛装備移転をいかに進めるべきかについて考察する。


1分でわかるトレンド解説 
 第一生命経済研究所 ビジネス環境レポート  2023. 8    1 【1分解説】
防衛装備移転三原則の見直しとは?  総合調査部 マクロ環境調査グループ長 石附 賢実  「防衛装備移転三原則」(以下「三原則」)は、それまでの武器輸出三原則を冷戦後の安全保障環境に適合させるべく再整理したもので、2014年に閣議決定されました。昨今のウクライナ情勢や複雑化した安全保障環境を受け、同盟国・同志国への防衛装備移転の円滑化を図るべく、与党でその見直しの検討が進められています(2023年8月現在)。 実際には、「防衛装備移転三原則の運用指針」(以下「指針」)の解釈や見直しについて議論がなされているようです(資料)。殺傷能力のある装備の移転も現行指針で可能とする解釈や、「我が国の安全保障に資する」ものとしている移転の範囲を「被侵略国」などに拡大すること、指針に列挙されている5類型(救難、輸送、警戒、監視及び掃海)の見直しなどが取り沙汰されています。 私たちは、ロシアの力による現状変更の試みを目の当たりにして、「法の支配を守るためには武力が必要」であるという逆説的なリアリズムを突き付けられています。例えばウクライナに防空装備を提供すること、あるいはこのリアリズムの負担を同盟国や同志国と分かち合うことを是とするのか否か。現実から目を背けずに、建設的な議論が進むことを期待します。
  資料 防衛装備移転三原則とその見直し議論 





















 


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バブル崩壊後の日本経済の「失われた30年」
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小泉が派遣法の改正をしたおかげで、大部分の正社員の仕事が派遣に置き換わってしまいました。日本中にフリーターが激増してしまったのも、この男のせい。

小泉内閣時代の内閣ブレーンの一人で、経済と金融の大臣を兼任し、それまで3度、政府閣僚に選べられています。その後も諮問会とか委員会によく政府から呼ばれている人ですね。

慶應義塾大学総合政策学部の教授で、学歴も相当なもの、人材派遣業のパソナグループの会長でもあります。他にかなりの役職を受け持つ、まぁ多忙な人ですね。

2008年には韓国政府のアドバイザーとして顧問団に迎えられたり、小泉時代に総務大臣兼郵政民営化担当大臣に登用されて、郵政民営化推進で、自民党内部からも猛批判を受けた人です。

政策は

・所得税の最高税率を引き下げ(所得1000万円まで累進課税とする)
・解雇規制を緩和する
・同一労働同一賃金の法制化
・民間でできることは民間へ

以上は実現できていないか、あるいは骨抜きって感じで、多くは自民党内部の反対で押し切られていたみたいですね。

発言としては、財政悪化の要因は国債発行の乱発で日本の財政寿命は約3年とか、若者に自由を謳歌してもいいが引き換えに貧しくなるのも自由だ、頑張って成功した人の足を引っ張るななどがあります。

また格差社会の要因の一つは正社員という特権であるということもテレビで発言してますね。

平蔵を国賊と言ってる人たちは、恐らくバブル崩壊以後の失われた20年(30年?)の時代に、あまり良い事がなかった人が、非正規雇用を生み出したのは竹中のせいとか、自己責任ばかりが横行したのは平蔵のせいだ!と思っているからでしょうね。

また「時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのはおかしい」と、まぁ私は定時に帰れという意味で、労働者の質の問題に触れていると思うのですが、これを悪く取る人もいたようです。

比較的合理的な理論で押し切るタイプの人ですが、やっぱり学歴・職歴が凄いのと、ズバズバ歯に衣着せぬ物言いの人なので、ものすごく好き嫌いが別れる人ではあると思います。特に既存の経済評論家や保守派の人には相当嫌われているようで。

人材派遣法の歴史は?
日本における派遣法の歴史
派遣法が施行されたのは、1986年7月1日です。 しかし、それ以前から人材派遣のようなことをしている会社は存在していました。 1980年代に入って雇用される労働者が増え、また業務請負という形態で派遣していたため、労働者保護の観点から派遣法が施行されることになったのです
 
労働者派遣法の歴史 荒井大   
      
【派遣法の歴史】
[1985年(中曾根内閣)]
 派遣法が立法される。
 派遣の対象は「13の業務」のみ  
[1986年(中曾根内閣)]
 派遣法の施行により、特定16業種の人材派遣が認められる。
[1996年(橋本内閣)]
 新たに10種の業種について派遣業種に追加。合計26業種が派遣の対象になる。
[1999年(小渕内閣)]
 派遣業種の原則自由化(非派遣業種はあくまで例外となる)
 この頃から人材派遣業者が増え始める。

[2000年(森内閣)]
 紹介予定派遣の解禁。
[2003年3月(小泉内閣)] 
 労働者派遣法改正
 例外扱いで禁止だった製造業および医療業務への派遣解禁。専門的26業種は派遣期間が3年から無制限に。
 それ以外の製造業を除いた業種では派遣期間の上限を1年から3年に。
[2004年(小泉内閣)]
 紹介予定派遣の受け入れ期間最長6ヶ月、事前面接解禁。


*鳩山政権による派遣法改正の動き*

 1、製造業への派遣を原則禁止(常用型を除く)

 2、日雇派遣、2か月以下の労働者派遣を禁止

 3、登録型派遣の原則禁止(専門26業種を除く)

登録型…仕事がある時だけ雇用契約を結ぶもの。

常用型…仕事がなくても給料がもらえる(雇用契約を結べる)。
労働条件・労働基準めぐる法改正情報

http://labor.tank.jp/r_houkaisei/



派遣法 なぜ でき た?
もともと、労働基準法第6条で中間搾取の禁止が定められていますが、その規制を緩和する意味で制定されたのです。 労働者派遣法は、派遣事業の適正な運営と派遣労働者の雇用の安定、福祉の増進を目的としています。


派遣はいつから始まった?
日本の人材派遣の歴史は、1986年に「労働者派遣法」が施行されたことで始まり、これまで世の中の情勢にあわせ、何度も改正がなされてきました。


派遣法1999年の改正は?
1999年:対象業務が原則自由化となる(ネガティブリスト化) 規制緩和の波はさらに強く押し寄せ、適用対象業務の原則自由化(禁止業務のみを指定するネガティブリスト化)が実現。 一方で、建設、港湾運送、警備、医療、物の製造業務が禁止業務とされます。

人材派遣業の儲けの仕組み
人材派遣会社では、自社で雇用する派遣社員の労働力を派遣先の企業に提供することで「マージン」を上乗せした報酬を得ることで利益を出しています。 このシステムから、人材派遣業は「ピンハネ業だから楽して儲けている」などと揶揄されることがありますが、実際にはそれほど大きな利益があるわけではありません。


有期雇用派遣社員として働ける期間は最大3年
これは、2015年の派遣法改正により定められた内容です。 以前は派遣期間に制限はなく、派遣社員として長期間同じ部署で働くことができましたが、2015年の派遣法改正により「働けるのは3年間だけ」というルールに変更されました。

すぐに辞めてしまう理由
派遣で来た方がすぐ辞めてしまう主な理由としては次のようなことが考えられます。
仕事内容に馴染めない(未経験者が作業の手順や方法を理解できない)
職場に馴染めない(社内での決まりごとや雰囲気など)
地域や環境に馴染めない(他の地域から働きにきた場合など)
困ったことを相談できる人がいない(職場トラブルや将来のキャリアプランなど)
事前の研修や、就業後のフォロー体制などがない派遣会社だと、就業の前と後でのギャップが生じてしまい、「馴染めない…」と感じる機会が多くなります。

また、相談に乗ってくれる人がいないことで、不安や不満が退社に直結してしまうのです。
最初はほんの小さな「嫌だな…」と思う気持ちから始まったとしても、誰もフォローしてくれないために次第に勤務から足が遠のいてしまい、無断欠勤を続けた結果、そのままフェードアウトする。

派遣社員 何が問題?
単調な仕事や、いわゆる「誰でもできる仕事」を任されるため“やりがい”は生まれにくい特徴があります。 また仕事のやり方や方針に対して基本的に口を出すことができないため、働くことのモチベーションは維持しにくいでしょう。 なぜならそれが「派遣社員」の本質だからです。

派遣 時給上がった なぜ?
派遣は正社員と待遇が異なり、実際に働いた時間分のお金しかもらうことができません。 ボーナスや昇給などは基本的になく、企業によっては交通費の支給もありません。 そのため、その分が時給に上乗せされた形となり、高い時給に反映されているのです。

グループ内派遣のメリットは?
またグループ内派遣は、法律に則って雇用された派遣社員や正社員を雇うよりも、人件費を削減できるのが特徴です。 そのためグループ内派遣を許せば、専ら派遣のときと同様、企業はグループ内派遣からの派遣労働者ばかりを受け入れるようになり、正社員や法律に則った派遣社員の雇用を妨げることになりかねません。

派遣法 違反 どうなる?
当該法律に違反すると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金刑が科せられます。 また、派遣先企業が更に派遣を行うことで利益もあげていた場合、労基法6条が規制する「中間搾取の排除」に該当するため、労基法違反にもなり、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金刑が科せられます。

なぜ派遣はダメなのか?
短期間での派遣就業では、労働者の収入が不安定になります。 また派遣会社、派遣先企業共に適正な雇用管理をすることが難しいという判断から、2012年の改正労働者派遣法で、日雇い労働者(日々もしくは30日以内雇用期間)の派遣は原則禁止となりました。 日雇派遣は条件に当てはまれば、派遣が認められています。

派遣が多い会社 なぜ?
まず、派遣会社が多い理由を室伏氏に聞くと「大手企業が人件費を削減したいがために、政府に構造改革を促した影響です」とキッパリ。 「企業としては人件費、社会保険料の負担が大きく、どうしても抑えたいコストです。 そこで大手企業を中心に構成されている経団連が自民党に働きかけ、派遣法の改正に踏み切らせました。

正社員 派遣 どっちが稼げる?
短期的に見た時、派遣の方が稼げるとお伝えした理由は、派遣の時給に高さにあります。 例えば月給25万円の正社員の場合、時給換算すると大体1500円程と言われています。 一方派遣はというと、条件の良い案件なら時給1800円という求人もあります。 正社員のように週5で8時間働く場合、月給は約32万円となります。

派遣社員 年収 いくら?
令和2年度の派遣社員の全国平均年収は約374万円でした。 専門性が高い職種ほど給料が高く、三大都市圏とそれ以外との地域差は、年収にして約54万円になります。 派遣社員の給料は人材派遣会社から支払われ、月末締め翌月給料日支払いであることが一般的です。

WDBのマージン率は?
どの派遣会社でもマージンはあるのですが、WDBはその率が高いです。 基本的なマージン率は「25%〜30%」とされているのですが、WDBでは34%に設定されています。

派遣 女性 多い なぜ?
一方、派遣社員という働き方を選んだ理由として女性がもっとも多く選んだのは「働く日数・期間を選べる」という選択肢でした。 同じ調査の中で今後も派遣社員として働きたいと答えた男性は3割にとどまったのに比べ、女性は4割と比較的高い割合を示しています。 派遣女性の中には、家事や育児しながら働いているという方も少なくありません。


フリーターと正社員 どっちが稼げる?
フリーターと正社員では、基本的に正社員のほうが高収入の傾向にあるようです。 厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概要『雇用形態別にみた賃金』(p1)」によると、フリーターを含む非正規雇用の平均月収は男女計で21万4,800円。 正社員の平均月収は32万4,200円とされています。


派遣 1日いくら?
厚生労働省は、業種ごとの派遣料金の費用相場を公開しており、2021年4月時点では2020年度の結果が公表されています。 専門的な技術や知識が必要な職種の場合、1日あたりの平均料金は20,000~30,000円、それ以外の職業は10,000~20,000円が派遣料金の相場です。


派遣 1時間 いくら?
営業職種従事者の1人あたり1日8時間の平均派遣料金は2万1,083円、1時間あたりの平均派遣料金は2,635円となっています。


派遣会社 どれくらい抜いてる?
公表されていた派遣会社のピンハネの実態

私のように、フルタイムの派遣社員として働いている場合の、一般的な派遣料金の内訳。 派遣社員のお給料は、派遣先企業が派遣会社に払う「派遣料金」の70%。 30%が派遣会社の取り分。 派遣会社は派遣料金の30%をピンハネしてる!?


派遣 最低 賃金 2022 いくら?
2022年は10月1日から【時給1,072円】に改正されます。 この最低賃金は東京都内に派遣中の労働者を含みます。


派遣社員の人口は?
派遣の現状 | 一般社団法人日本人材派遣協会 2020年1~3月平均の派遣社員数は約143万人となりました。 雇用者全体(5,661万人、役員除く)に占める派遣社員の割合は2.5%となり、この割合は15年ほど大きな変化は見られず2~3%を推移しています。

なぜ派遣会社が多いのか?
まず、派遣会社が多い理由を室伏氏に聞くと「大手企業が人件費を削減したいがために、政府に構造改革を促した影響です」とキッパリ。 「企業としては人件費、社会保険料の負担が大きく、どうしても抑えたいコストです。 そこで大手企業を中心に構成されている経団連が自民党に働きかけ、派遣法の改正に踏み切らせました。

なぜ派遣はダメなのか?
単調な仕事や、いわゆる「誰でもできる仕事」を任されるため“やりがい”は生まれにくい特徴があります。 また仕事のやり方や方針に対して基本的に口を出すことができないため、働くことのモチベーションは維持しにくいでしょう。 なぜならそれが「派遣社員」の本質だからです。 派遣会社にとっての派遣社員は人的資源。

派遣会社のリスクは?
一番想定されうるリスクとしては、派遣事業で保有している集客チャネルや人材プールに、正社員雇用を希望する人材が少ないことや、経歴やスキルの関係から採用企業側の正社員としての採用ニーズがあまりないことがあげられます。

派遣社員 なぜ生まれた?
バブル崩壊以降、年功序列、終身雇用といった日本独特の雇用の在り方が問われ正社員のリストラが目立つようになってきた時期がありました。 そこで企業が求めたのが派遣社員です。 必要な期間、必要なポジションに労働力を充当できるのは企業にとって大きな魅力だったのかもしれません。 それに加えて、働く側の意識の変化があります。

派遣の悪いイメージは?
派遣のイメージは正社員に比べ、重要な仕事ややりたい仕事をやらせてもらえないイメージがあります。 人間関係ができて、気心がしれたころに辞めてしまう印象が強いので、仕事にまつわる悩みなどの相談がしづらいイメージがあります。 いつ雇用期間を切られるのかが全く予想できないため、将来に対して不安のある働き方だと思います。

派遣の仕事は何歳まで?
派遣に年齢制限はない

派遣労働者に年齢制限はなく、60歳以上で働いている方も存在します。 派遣会社への登録も、年齢制限はもちろん、性別や学歴、職歴、資格、スキル、経験などの条件も設けられていません。 即戦力として資格やスキル、経験が求められるイメージがあるものの、未経験者を歓迎している会社も数多くあります。

使えない派遣社員の特徴は?
「使えない……」交代になりやすい派遣社員の特徴
能力が自社の求める水準に達していない ...
能力に関して改善が見られない ...
注意やアドバイスに対して不機嫌になる ...
職場の規則に従ってくれない ...
派遣社員への教育内容を再考する ...
職場環境をチェックしてみる ...
交代を要請する ...
派遣元を変える

派遣社員の教育は 誰が する?
派遣スタッフの教育訓練に関しては、雇用主である派遣会社が実施すべきですが、派遣先の業務に密接に関連した教育訓練については、実際の就業場所である派遣先が実施することが適当であるとし、派遣先の正社員と同様の教育訓練を受けさせることが義務化されました。




派遣法改正案は「正社員の雇用」を守るためだった!?
非正社員は誰も救われない“矛盾と罠”
――国際基督教大学 八代尚宏教授インタビュー

2010.12.2
今年3月に閣議決定し、国会審議が行われていた労働者派遣法改正案は、首相交代などの混乱のなか、継続審議となった。08年秋の世界同時不況後、派遣労働の規制強化に向けた世論の高まりとともに注目を浴び、登録型派遣や製造業務派遣の原則禁止を柱とする本法案。今後、再審議で成立したとして、本当に非正社員は救われるのだろうか。検証するとともに、非正社員が真に救われる働き方やそれを担保する制度について、国際基督教大学の八代尚宏教授に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

派遣法改正でも正社員は増えない
むしろ失業者が増える可能性も

――「派遣の原則禁止」を目指した派遣法改正案だが、これが実現すれば本当に非正社員は救われるのだろうか。派遣法改正案の問題点とともにお教えいただきたい。
それを明らかにするためには、まず派遣労働の規制緩和がなぜ行われたかを考えなければならない。


 そもそも派遣社員などの非正社員の増加は、「小泉政権における新自由主義的な構造改革によってもたらされた」という認識が広まっているが、これはまったくの誤解である。なぜならこの規制緩和は、1999年に派遣労働の雇用機会の拡大と保護強化を目的とした国際労働機関(ILO)第181号条約に日本が批准したことに基づいており、2001年に成立した小泉政権誕生以前の話であるからだ。
この条約は、欧州を中心に失業率が高止まりしている状況下で、失業率を低下させるためにも有料職業紹介や派遣労働を容認し、不安定でも雇用機会を増やすことが先決だという事情から生まれたもの。日本も批准し、それ以前の派遣先の職種を厳しく制限した「原則禁止・例外自由」を逆転して、「原則自由・例外禁止」へと原則を大転換した。これに伴い、「当分の間」禁止となっていた製造業への派遣が、2004年に自由化されたに過ぎない。

 したがって、規制緩和の目的は「雇用機会の拡大」にあったわけだから、それを元に戻して規制を強化をすれば、結果も逆になるのは当然だ。

 朝日新聞が全国主要100社を対象に行った「派遣が禁止された場合の対応」へのアンケート(09年11月実施)によると、「他の非正社員に置き換える」(契約社員:36社、請負・委託:30社、パートタイム:22社)のがほとんどで、「正社員の増加で対応」はわずか15社だった。









小泉労働法制「改革」についての雑感 
静岡県労働研究所 理事長 大橋 昭夫
  小泉内閣は、昨年6月27日労働基準法の一部を改正する法律を成立させ、これが本年1月1日から施行されている。 この詳細については触れないが、この改正法は、有期労働契約の契約期間の上限の延長、有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準、解雇権濫用法理の明文化、裁量労働制の一層の拡大を実現したもので、解雇規制を除き労働者に対して、大きな苦難を強いたものと評価される。 この改正は、もっぱら日本経団連の意向に沿うもので、この推進勢力は、小泉総理大臣のブレーンで総合規制改革会議議長宮内義彦オリックス会長を中心とするグループであったと言われる。 宮内議長は、「鉛筆型の人事戦略」を唱え、少数のコア社員を細い芯とし、これのみを保護し、その周りの木の部分に成功報酬型の社員を、さらに、その周りにパートタイマーや派遣労働者を配置し、これらの木の部分を必要に応じて調整することが、グローバル経済を勝ち抜く今後の経営戦略であることをあからさまに述べている。自分が生き抜くためには、大多数の労働者の生活など視野に入らないのである。 今回の労基法の改正は、労働者派遣法の「改正」による派遣業種の一層の拡大と相俟って、我が国の正規労働者の数を著しく減少させ、これをパートタイマー、派遣労働者等の不安定労働に代替させるものであって、わが国社会の労働秩序を根底から破壊することになる。 厚生労働省は、今回の改正法案の提出にあたって、「今日、我が国の経済社会においては、少子高齢化が進み労働力人口が減少していく一方、経済の国際化、情報化等の進展による産業構造や企業活動の変化、労働市場の変化が進んでいる。このような状況の下で、経済社会の活力を維持、向上させていくためには、労働者の能力や個性を活かすことができる多様な雇用形態や働き方が選択肢として準備され、労働者一人一人が主体的に多様な働き方を選択できる可能性を拡大すること、働き方に応じた適正な労働条件が確保され、紛争解決にも資するよう労働契約など働き方にかかるルールを整備すること、これらの制度の整備、運用に際しては、労使によるチェック機能が十分に活かされるようにすることなどを基本的な視点とする」と説明しているが、この視点は、余りにも労働者の生活実態を知らない「綺麗事」であり、役人の文章である。 私が指摘するまでもなく、わが国の経済社会の活力を維持、向上させていく最良の手段は、雇用の確保であり、人間らしい生活をするのに必要な賃金の保障である。 厚生労働省のいう「多様な雇用形態や働き方」という概念は空漠としており、その内容が如何なるものか明確でないが、派遣労働や有期契約による労働、更には残業代を回避するための裁量労働であると察しはつく。 これらの労働形態は、いずれも不安定雇用であって、多様な働き方を実現し、それが豊かな生活につながる契機となることは経験則上ありえない。 私の弁護士としての経験からすると、労働者は少々他と比べて賃金が低いとしても、雇用が安定的に確保され、将来の生活の見通しが立つ時にこそ、労働生活においても主体性を発揮でき精神的にも自由になれるものである。 いま、労働者の自己破産の申し立て件数が激増し、それがわが国の平均的な法律事務所の日常的業務になっている。 私もこの種の事件を数多く取り扱うが申し立てをする労働者の所得が低く、そのうちの少なくない者が、派遣労働者、有期契約労働者、フリーターであり、その所得水準が生活保護基準以下である者も存在する。 多様な雇用形態や働き方は、私の実感からすると、使用者の身勝手や彼らの生存権のみを保障するもので、労働者に対し永久に社会底辺に沈殿させる効用しかないように思われる。 私は、西ヨーロッパに見られる如く、「共生き」の思想を前提とした労働ルールの確立こそ、社会発展の源泉であると考えるし、小泉内閣の方向は、社会の不安定化を招来させることにしかならないと思う。 今回の労基法の改正で評価できる点は、唯一解雇権の制限法理が法文上明らかになったことのみである。 この規定は、小泉内閣の原案では、「使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、労働者を解雇することができる。但し、その解雇が、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と解雇が原則自由になっていた。しかし、労働者の反対があり、最高裁で確立した解雇権濫用法理の精神に立ち帰り、現行の「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労基法18条の2)となったのである。 これは、西ヨーロッパ諸国の解雇制限法に比べると極めて簡単な条項ではあるが、それでも法規範として、すべての裁判官の判断を拘束するもので一歩前進だと評価できる。 小泉構造改革は、今やすべての面にわたって失敗しているが、更なる労働「改革」は、労働者の生活をより一層困難にするもので、働く人々は、思想、信条、潮流、傾向を超えて、この流れに対抗する必要があろう。 わが国に憲法の精神に忠実な「働くルール」が確立されることを切に望むものである。それが真の意味での労働改革である。 

破たんした小泉「構造改革」 社会と国民に何もたらした
貧困と格差 際限なし

「官から民へ」「改革なくして成長なし」―。ワンフレーズ政治で「構造改革」路線をひた走った小泉純一郎政治。その「本丸」とされた郵政民営化問題で、麻生太郎首相が迷走発言を続けるなか、小泉純一郎元首相や竹中平蔵元経済財政担当相らがマスメディアに盛んに登場し、「構造改革」路線の“復権”をはかる動きもみられます。「痛みに耐えれば、明日はよくなる」どころか、「生きていけない」と悲鳴があがるほどの貧困と格差の惨たんたる状況に国民を追い込んだのが「小泉改革」でした。歴史の審判はすでに下っています。

雇用のルール破壊
「派遣切り」・ネットカフェ難民
 東京のど真ん中に、五百人もの人たちが衣食住を求めて集まった「年越し派遣村」。大企業の理不尽な「非正規切り」で「人間としての誇りを奪われた」「自殺も考えた」との声が渦巻きました。貧困を目に見える形でつきつけ、政治を動かしました。

 「派遣村」に象徴される「使い捨て」労働の深刻な広がりは「構造改革」の名によるリストラの促進や労働法制の規制緩和がもたらしたものです。

 この十年間で正規労働者が四百九万人も減り、その代わりに、非正規労働者が六百六万人も増えました。

 自民、公明、民主、社民などの各党が賛成した一九九九年の労働者派遣法改悪。派遣労働を原則自由化し、「派遣」という形での「使い捨て」労働の増加に拍車をかけました。

 二〇〇一年に発足した小泉内閣は、「構造改革」を加速。まず「不良債権処理」の名で中小企業つぶしをすすめ、〇三年には、企業がリストラをすればするほど減税をするという「産業再生」法を延長・改悪し、大企業のリストラを後押ししました。

 一方、派遣法を改悪し、〇四年三月からは製造業への派遣を解禁しました。この中で、もともと危ぐされていた派遣労働者の労働災害が増加。〇七年の死傷者数(五千八百八十五人)は、〇四年と比べると九倍という激増ぶりを示しました。

 ネットカフェで寝泊まりしながら「日雇い派遣」で働く若者の姿が、底なしに広がる「働く貧困層」の象徴となりました。

 ギリギリの生活を強いられている派遣労働の実態が大問題になり、日本共産党の論戦とあいまって政府でさえ派遣法の見直しを言い出さざるをえなくなりました。労働分野の規制緩和が破たんしたことは明確です。

 しかし、米国の金融危機に端を発した景気悪化を口実に、〇八年後半、大企業は製造業を中心に大量の「派遣切り」「期間工切り」を始めました。被害は日増しに広がり、今日の日本社会を覆う最大の社会問題になっています。

 景気のいいときには、正社員を派遣や期間工に置き換えて大もうけをし、景気が悪化したらモノのように使い捨てる―この大企業の横暴勝手を容易にする仕組みを作ったのが、労働の「構造改革」であり、今日の事態は、まさに政治災害そのものです。

社会保障の連続改悪
医療崩壊・国保証取り上げ
 「わずかな年金は減らされたうえ、保険料の天引きは容赦ない」「病気になってもお金がなければ病院にもいけない」―。「構造改革」による社会保障の連続改悪によって、こんな苦難が国民を襲いました。

 その大もとにあるのが、小泉内閣が決めた社会保障費の抑制方針です。二〇〇二年度から毎年、社会保障費の自然増分から二千二百億円(初年度は三千億円)削減されてきました。

 抑制の対象は医療、介護、年金、生活保護と社会保障のあらゆる分野に及び、庶民への痛みの押し付けの結果、「生きること」自体が脅かされる実態が広がっています。

 医療分野では、国民の負担増に加え、医療費削減を目的に医師数の抑制政策を続けたため、救急患者が救われない医師不足が社会問題化し、「医療崩壊」と呼ばれる事態が出現しました。

 高すぎる国民健康保険料が払えずに正規の国保証を取り上げられた世帯は約百五十八万世帯にまで広がっています。受診を控え、手遅れで死亡する例は後を絶ちません。

 そのうえ、国民生活の最後の命綱である生活保護さえ切り縮められました。老齢加算の廃止で、「朝はパン一枚、昼はうどん」「暖房費節約のため、ストーブをつけず布団に入る」「風呂の回数を減らす」など生活の根幹まで切り詰めざるをえない実態です。(〇八年一月、全日本民主医療機関連合会の調査報告)

 こうしたなか、昨年四月に導入された後期高齢者医療制度に、国民の怒りが爆発しました。同制度に対する不服審査請求は全国で一万件超。「『高齢者はいずれ死を迎える、お金も手間もかけなくてよい』という、人間性を喪失した制度だ」などの怒りの声があふれています。

 日本医師会など医療関係四十団体は〇八年七月、「社会保障費の年二千二百億円削減撤廃」を決議。国民の批判は、小泉内閣がしいた二千二百億円の削減路線そのものに向けられはじめました。

 自公政権は社会保障費の削減路線の転換は明言しないものの、〇九年度予算案で一時的な手当てを行い、社会保障費の実質の削減幅は二百三十億円に“圧縮”せざるをえなくなっています。第二次小泉改造内閣で厚労相だった自民党の尾辻秀久議員でさえ、一月三十日の参院本会議で「乾いたタオルを絞ってももう水はでない。潔く二千二百億円のシーリングはなしと言うべきだ」と述べるなど、社会保障費削減路線の破たんを認めざるをえなくなっているのです。
庶民負担増 大企業は減税
7年間で国民に50兆円近くも
 小泉政権以来の増税などで国民負担は、年間十三兆円も増えました。二〇〇二年度から〇八年度まで七年間の国民負担増を累計すれば、五十兆円近くになります。

 その一方で、大企業・大資産家への減税は、一九九八年以降の十年間に行われたものだけでも、大企業に年間五兆円、大資産家に年間二兆円、あわせて年間七兆円以上になっています。十年間の累計では、四十兆円もの税収が失われました。
地方の切り捨て
激減する交付税・農業破壊
 「交付税が四割減って半分も補てんされない」「このままでは吉野は死んでしまう」

 昨年七月。奈良県吉野郡で開かれた日本共産党の演説会に先立ち、市田忠義書記局長と懇談した地元町村長らから、こんな嘆きの声が率直に寄せられました。

 「地方ができることは地方へ」をうたい文句に自民・公明政権が強力に推進した「三位一体改革」は、農山漁村の自治体を存亡の危機にまで追い詰めています。

 実際、「三位一体改革」が断行された二〇〇四年から三年間で、国庫補助負担金は四・七兆円、地方交付税は五・一兆円がそれぞれ削減されました。一方、国から地方への税源移譲はわずか三兆円しかありません。地方自治体にとっては差し引き六・八兆円のマイナスです。

 全国知事会は昨年七月の知事会議で、このままでは一一年度までに地方自治体の財政が破たんするという衝撃的な試算を発表しました。とりわけ地方交付税が財政に占める比重が高い町村の財政は深刻です。

 「地方交付税の削減など、国による兵糧攻めからの生き残り策」「周辺町村が財政破たん寸前だった」。全国町村会の「道州制と町村に関する研究会」が昨年十月にまとめた調査報告でも、市町村合併の理由の柱に「三位一体改革」による交付税削減を指摘する声が相次ぎました。

 国会でも、鳩山邦夫総務相が「急激にやりすぎた。失敗の部分がある」(十二日、衆院本会議)と答弁。「三位一体改革」の破たんを認めました。

 また、輸入自由化の促進による農業破壊、大型店の進出による商店街の「シャッター通り」化など、地方経済の冷え込みも深刻です。

 しかし、自民党は、こうした“地方切り捨て”を反省するどころか、一〇年三月末の合併特例新法の期限切れを前に「おおむね七百から千程度の基礎自治体に再編」すると、いっそう合併を推進することを主張。さらに、政府は「時代に適応した『新しい国のかたち』をつくる」として道州制の導入を掲げています。

 こうした動きには全国町村会が「強制合併につながる道州制には断固反対していく」と明記した特別決議を採択するなど、痛烈な反撃が巻き起こっています。

経済ゆがみ、ぜい弱に
 「戦後最悪の経済危機」(与謝野馨経済財政担当相)―。内閣府が十六日発表した二〇〇八年十―十二月期の国内総生産(GDP)が実質で前期比3・3%減(年率換算12・7%減)となったニュースは、衝撃を与えました。金融危機の震源地である米国よりも急激な落ち込みだったからです。なぜこんなことになったのか。ここにも、背景に小泉内閣いらいの「構造改革」があります。

極端な輸出依存
 「衝撃 石油危機以上 輸出依存体質響き」(「毎日」十七日付)、「外需依存の成長 岐路」(「日経」同)、「外需頼み 転換カギ」(「読売」同)といった見出しが商業メディアに目立ちました。極端なまでに輸出に依存した「経済成長」の破たんです。
 「構造改革」を掲げた小泉内閣が発足(〇一年四月)して以来の変化をみてみましょう。内閣府のGDP統計によると、所得や個人消費は低迷しているのに、輸出が極端に伸び、〇八年に失速します。財務省の法人企業統計をもとに、製造業大企業(資本金十億円以上)の〇一年度と〇七年度を比較すると、経常利益は二・二五倍に増えています。ところが、従業員給与は〇・九八倍と減っています。大幅に増えたのは株主への配当と社内留保です。一方、民間信用調査会社の調査では、法的整理による企業倒産が増えています。ほとんどが中小企業です。

 自動車、電機など輸出大企業を中心に従業員や中小企業・業者にしわ寄せする形で、大もうけし、もっぱら株主に還元するという構図です。


財界全面後押し
 こうした企業体質をつくり出したのが、「構造改革」だったと、日本経団連会長の御手洗冨士夫キヤノン会長が述べています。

 「これは、何といっても構造改革の進展がもたらしたもの」「多くの企業でも、筋肉質の企業体質が形成されている。過剰設備や過剰債務、過剰雇用という、いわゆる『三つの過剰』は完全に解消している」(〇八年六月十九日の講演)

 文字通り、財界の全面的な後押しで推進されたのが小泉流「構造改革」でした。

 財界が求める雇用など「三つの過剰」の解消を推進するテコと位置づけられたのが不良債権の強引な早期最終処理です。

 小泉内閣が最初につくった「骨太の方針」(〇一年六月)は、不良債権処理の加速を通じて「効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長部門へとヒトと資本を移動することにより、経済成長を生み出す」とうたいました。小泉内閣は、リストラすればするほど減税する「産業再生」法を拡充、製造現場への労働者派遣を解禁しました。
懸念したことが
 この結果、「成長」したのは、「筋肉質」になった輸出大企業や大銀行だけでした。「不良債権」扱いされた中小企業は倒産に追い込まれ、大量の失業者が生まれ、正社員から賃金の安い非正規社員への置き換えが進みました。

 あまりにも、国内経済を脆弱(ぜいじゃく)にしてしまった「構造改革」。政府の「ミニ経済白書」(〇七年十二月)でさえ、輸出は増加しているが、家計部門が伸び悩むなか、米国経済など海外リスクが顕在化した場合、景気は「厳しい局面も予想される」と懸念していたことが現実のものとなりました。

推進者がいま「懺悔の書」
 小泉流「構造改革」をめぐり居直る竹中平蔵元経済財政・金融担当相と対象的に「懺悔(ざんげ)の書」を書いたのは、中谷巌氏。小渕内閣の経済戦略会議の議長代理として「構造改革」の提言をまとめた中心人物です。竹中氏も同会議のメンバーの一人でした。

 中谷氏は自著『資本主義はなぜ自壊したのか』のなかで、「一時、日本を風靡(ふうび)した『改革なくして成長なし』というスローガン」にふれ、「新自由主義の行き過ぎから来る日本社会の劣化をもたらしたように思われる」として、「『貧困率』の急激な上昇は日本社会にさまざまな歪(ゆが)みをもたらした」と指摘。「かつては筆者もその『改革』の一翼を担った経歴を持つ。その意味で本書は自戒の念を込めて書かれた『懺悔の書』でもある」と書いています。

郵政民営化矛盾が噴出
 小泉内閣が「構造改革」の本丸と位置付けた郵政民営化。その矛盾が噴出しています。

 「私は郵政民営化を担当した大臣」(二〇〇八年九月十二日、自民党総裁選の討論会)と自認する麻生太郎首相。その麻生首相が「(郵政事業の四分社化を)もう一回見直すべき時にきているのではないか。小泉首相のもとで(郵政民営化には)賛成ではなかった」(二月五日の衆院予算委員会)と言い出したのは、郵政民営化の破たんを象徴しています。

 当時の小泉首相が「郵政選挙」までやって強行した郵政民営化のかけ声は「官から民へ」「民間でできることは民間で」「貯蓄から投資へ」でした。

 「民間」といっても日米の大手金融機関のことです。もうけのじゃまになる郵便貯金、簡易保険などの郵政事業をバラバラにするのが四分社化でした。

 「貯蓄から投資へ」といっても、庶民の預貯金を呼び込もうとしている証券市場の売買の六割以上は外国人投資家。その大半はヘッジファンドとよばれる投機基金です。庶民の虎の子の財産が食い物にされかねません。

 安心、安全、便利を願う国民にとっては「百害あって一利なし」の郵政民営化。その矛盾のあらわれは小泉流「構造改革」路線そのものの破たんを物語っています。 

“改革が足りないから”と居直る竹中氏だが…
 小泉流「構造改革」がモデルにした本家の米国で、市場まかせの「新自由主義」路線が破たんしました。にもかかわらず、小泉流「改革」にしがみつこうとする勢力がいます。

 一月一日放送のNHK番組で、小泉「改革」を推進した元経済財政・金融担当相の竹中平蔵氏は、大企業の「非正規社員切り」横行が社会問題になり、小泉「改革」に批判が強まっていることに、こう居直りました。

 「大企業が非正規を増やすのは原因がある。正規雇用が日本では恵まれすぎている。正規雇用を抱えると企業が高いコストをもつ」

 「同一労働同一賃金」をやろうとしたが、反対されたとし、「(年越し派遣村などは)改革を中途半端に止めてしまっているから、こういう事態が起きている」。

 竹中氏が“止まっている”という「改革」の中身は、正社員の賃金水準を賃金が安い非正規社員の水準に引き下げるという意味での「同一労働同一賃金」です。大企業の総人件費を抑えるのが狙いです。これでは、働いても働いても貧困から抜け出せない「ワーキングプア」を労働者全体に広げることにしかなりません。

 しかも、竹中氏は「問題は、いまの正規雇用に関して、経営側に厳しすぎる解雇制約があることだ」(「竹中平蔵のポリシー・スクール」二月一日付)として、企業業績が悪化したら従業員を抱え込まなくていいような「新たな法律を制定することが必要だ」と主張しています。正社員を含めた“解雇自由法”をつくれといっているようなものです。

 一方で、「日本を元気にしないといけない」として、最優先課題にあげたのが法人税率をもっと引き下げることでした(一月一日のNHK番組)。竹中氏がかかげる「改革」はあくまで、大企業のための「改革」を徹底しろということにすぎません。


2021.09.30
国が見捨てた就職氷河期世代の絶望…バブル崩壊後の30年間で何が起きたか
当事者として、取材者として
小林 美希 プロフィール
2021年9月29日に自民党の総裁選が行われ、その後には総選挙が控えている。政治家が「中間層の底上げ」を訴えるが、考えてみてほしい。もとはといえば、中間層を崩壊させたのは政治ではなかったか。

国際競争の名の下で人件費を削減したい経済界は政治に圧力をかけた。不況がくる度に労働関連法の規制緩和が行われ、日本の屋台骨が崩れていった。最も影響を受けたのが就職氷河期世代だ。これからを担っていくはずだった若者たちが、非正規雇用のまま40~50代になった。

私が非正規雇用の問題を追って18年――。いったい、何が変わったのか。
大卒就職率6割以下の時代
1980年代には8割あった大卒就職率は、バブル経済が崩壊した1991年以降に下がり始めた。そして2000年3月、統計上、初めて大卒就職率が6割を下回る55.8%に落ち込んだ。大学を卒業しても2人に1人は就職できなかったというこの年に、私は関西地方で大学を卒業した。

その3年後の2003年3月に大卒就職率は過去最低の55.1%を更新。日経平均株価は同年4月に7607円まで下落した。この時の私はもちろん、当事者だった大学生の多くは雇用環境が激変するなかにいるとは気づかずにいた。

私の就職活動は苦戦した。約100社にエントリーシートを送り、50社は面接を受けた。神戸に住んで大学に通っていた私の就活の主戦場は大阪で、面接を受けるために毎日のように大阪周辺を歩き回った。最終的に内定が出たのは消費者金融会社の1社のみだった。

卒業後に東京で就職活動をやり直し、ハローワークに通った。新聞広告の求人を見て応募した業界紙の「株式新聞」に採用が決まった。就職試験の日、「うちは民事再生法を申請したばかりですが」と説明があり、倒産しかけた会社に就職することに悩んだが、「面白そうだ」という直感が勝った。

この株式新聞時代に出会い、後の私の記者活動に影響を与えたのが、伊藤忠商事の丹羽宇一郎社長(当時)だ。丹羽氏との出会いがなければ、私は就職氷河期世代の問題を追及しなかったかもしれない。

新人の時には経済記者として食品、外食、小売り、サービス業界を担当。商社の担当も加わり、出席した伊藤忠商事の記者懇談会で初めて丹羽氏に挨拶をする。記者に囲まれていた丹羽氏に私は「社長の役割とは何か」と聞いた。この若気の至りとも言える質問に対し、丹羽氏は真顔で「経営者とは、社員のため、顧客のため、そして株主のためにある」と答えてくれたのだった。
若者が疲れ切っている…なぜ?
株式新聞入社から1年後の2001年の初夏、毎日新聞が発刊(現在は毎日新聞出版)する『週刊エコノミスト』編集部に契約社員として転職した。私はだんだんと雑誌の仕事に慣れていき、天職と思って没頭していた。深夜や明け方に及ぶ校了作業は達成感があり、職場で夜を明かして新聞をかぶってソファで寝ていたこともあった。

これはマスコミ特有の働き方かと思っていたが、この頃、金融、製造、サービス業などに就職していった友人たちも長時間労働というケースが多かった。そのうち、充実感とは違った何かがあると感じ「なにかおかしい。若者が疲れ切っている」と首をかしげるようになっていった。

その疑問が確信に変わったのは、2003年前後に上場企業の決算説明会で経営者や財務担当役員らが強調した言葉を聞いてからだ。

「当社は非正社員を増やすことで正社員比率を下げ、利益をいくら出していきます」

2001年のITバブル崩壊から間もなくてして企業利益がV字回復し「失われた10年」が終わるかのように見えた。私はこの利益回復は非正規雇用化で人件費を削減したことによるものに過ぎないと見た。これでは経済を支える労働者が弱体化すると感じた私は、若者の非正規雇用の問題について企画を提案した。

『週刊エコノミスト』の読者層の年齢は高く、若者の雇用問題をテーマにしても読まれないという理由で、企画はなかなか通らなかった。さらに世間で浸透していた「フリーター」という言葉の印象が自由を謳歌しているイメージが強く、若者は甘いという風潮があるなかでは、ハードルが高かった。

悩んだ私は、再び、若気の至りの行動に出た。伊藤忠商事の丹羽氏にアポイントをとって、企画が通らないこと、企画が通らなければ転職したほうが良いか迷っていると人生相談をしたのだ。若者の非正規雇用化が中間層を崩壊させ、消費や経済に影を落とすと見ていた丹羽氏は「同じことを3度、上司に言ってごらんなさい。3度も言われれば根負けして上司は必ず折れるから」とアドバイスしてくれた。

私は企画が通らないまま非正社員として働く若者の現場取材を進めた。その頃、ある会合で話したコンビニ大手の社長が「息子がフリーターで……」と悩む胸の内を明かしたことがヒントになり、デスクや編集長を説得した。

「子どもの就職や結婚を心配するのは立場を超えて一緒のはず。読者の子どもを想定して、タイトルを若者とせず、娘や息子に変えたらどうか」

企画を提案し始めてから数か月経った2004年5月、ついに第2特集で「お父さんお母さんは知っているか 息子と娘の“悲惨”な雇用」を組むことが実現した。非正規雇用に関するデータを探し、マクロ経済への影響など当時は存在しなかったデータはシンクタンクのエコノミストに試算してもらった。

この特集について慶応大学(当時)の金子勝教授や東京大学の児玉龍彦教授がそれぞれ大手新聞の論壇コーナーで取り上げてくれたことで、続編が決定。第1特集となって「娘、息子の悲惨な職場」がシリーズ化した。
富の二極分化で「中間層崩壊」
この頃の若年層の失業率は約10%という高さで、10人に1人が失業していた。内閣府の「国民生活白書」(2003年版)により、2001年時点の15~34歳のフリーター数が417万人に上ると公表されると社会の関心が若者の雇用問題に向いたが、企業側の買い手市場は続き、労働条件は悪化していく。

パート・アルバイト、契約社員や派遣社員として働き、休日出勤やサービス残業の日々でも月給が手取り16万円から20万円程度のまま。正社員でも離職率の高い業界や会社での求人が多く、ブラック職場のため過労で心身を崩すケースが続出した。

社会保険料の負担から逃れるために業務請負契約を結ぶ例まで出現。大企業や有名企業ほど、「嫌なら辞めろ。代わりはいくらでもいる」というスタンスで、若者が使い捨てにされた。こうした状況に警鐘を鳴らすためには、経営者の見方を取り上げなければならないのではないか。
2005年1月4日号の『週刊エコノミスト』では、ロングインタビュー「問答有用」のコーナーで経済界の代表的な経営者であった丹羽氏に中間層の崩壊について語ってもらった。この時点で、若者の労働問題について本気で危機感を持つ経営者は私の知る限りでは他にいなかった。丹羽氏はこう語った。

富(所得)の2極分化で中間層が崩壊する。中間層が強いことで成り立ってきた日本の技術力の良さを失わせ、日本経済に非常に大きな影響を与えることになる。中間層の没落により、モノ作りの力がなくなる。同じ労働者のなかでは「私は正社員、あなたはフリーター」という序列ができ、貧富の差が拡大しては、社会的な亀裂が生まれてしまう。
戦後の日本は差別をなくし、平等な社会を築き、強い経済を作り上げたのに、今はその強さを失っている。雇用や所得の2極分化が教育の崩壊をもたらし、若い者が将来の希望を失う。そして少子化も加速する。10~15年たつと崩壊し始めた社会構造が明確に姿を現す。その時になって気づいても「too late」だ。
企業はコスト競争力を高め、人件費や社会保障負担を削減するためにフリーターや派遣社員を増やしているが、長い目でみると日本の企業社会を歪なものにしてしまう。非正社員の増加は、消費を弱め、産業を弱めていく。
若者が明日どうやってご飯を食べるかという状況にあっては、天下国家は語れない。人のため、社会のため、国のために仕事をしようという人が減っていく。
それが今、現実のものとなっている。

格差はこうして固定・拡大化した
丹羽氏のインタビューが掲載された年の8月8日、小泉純一郎首相(当時)が郵政民営化を掲げた解散総選挙に打って出て圧勝し、規制緩和路線に拍車がかかっていく。小泉郵政選挙の投開票は9月11日。その1週間後の9月18日には一般派遣の上限期間が3年とされる改正労働者派遣法が公布され、2週間待たずの9月30日施行で、いわゆる派遣の「3年ルール」ができた。

この3年ルールとは、表向きには派遣で同じ職場で3年が過ぎたら正社員や契約社員などの直接雇用にすることを促す改正だったが、実際には多くの派遣社員が3年の期間直前で契約を打ち切られることになった。同じ年に労働基準法も改正されて非正規雇用の上限期間が3年になったことで、非正社員が“3年でポイ捨て”され、非正規雇用のまま職場を転々とせざるを得ない労働環境が整備された。

1995年に旧日経連が出した「新時代の『日本的経営』」で雇用のポートフォリオが提唱され、景気の変動によって非正規雇用を調整弁とする固定費削減が図られて10年経った2005年に「3年ルール」ができた。ここが分岐点となり、日本は格差を固定化させ、格差を拡大させる路線を歩んでしまったのではないだろうか。

本来なら、2007年から団塊世代の定年退職が始まるため人手不足を補うという意味で、まだ20~30代前半で若かった就職氷河期世代を企業に呼び込むチャンスがあったはずだ。大卒就職率はリーマンショック前の2008年3月に69.9%まで回復したが、卒業後数年が経った非正社員は置き去りにされた。
問題提起し続けるために
小泉郵政選挙を機に私は、「もし自分が政治家だったら、何を問題にし、何の制度を変えていくか」ということを、より強く意識するようになった。就職活動をしていた大学時代に講座を聴いて影響を受けた、朝日新聞大阪本社の新妻義輔編集局長(当時)の言葉を思い出していた。

「人の苦しみを数字で見てはいけない。構造問題に苦しむ人が1人でもいるのなら、それを書くのが記者だ」

新妻氏は若い記者時代に森永ひ素ミルク事件(1955年に森永乳業の粉ミルクにひ素が混入して多くの被害者が出た事件)を追っていた。事件の担当医に「被害者は何%か」と数字を聞いた時に、医師から注意を受けた経験からの教訓だという。

就職氷河期世代が抱える問題は、まさに非正規雇用を生み出す法制度という構造問題が起因しているはず。それを問題提起し続けることは、私の役割なのではないか。労働問題に特化するには組織にいては限界があると考えた私は、小泉郵政選挙から1年半後の2007年、フリーのジャーナリストになった。
絶望と諦めのムードが蔓延した
第一次安倍晋三政権(2006年9月から2007年9月)が就職氷河期世代向けに「再チャレンジ」政策をとったが、政権が短命に終わるとともに支援は下火になった。2008年のリーマンショックが襲い、就職氷河期世代だけでない多くの人が職を失った。

政府は就職氷河期世代の支援というよりは、支援事業を担う民間企業を支援したと言える。国は15~34歳の「フリーター」対策の目玉政策として2004~06年に「ジョブカフェ」のモデル事業を行っており、同モデル事業を行った経済産業省から委託を受けた企業が異常に高額な人件費を計上していたのだ。

調べると、ジョブカフェ事業ではリクルート社が自社社員について1人日当たりで12万円、コーディネーターに同9万円、キャリアカウンセラーに同7万5000円、受付事務スタッフに同5万円という“日給”を計上していたことが分かった。『週刊AERA』(2007年12月3日号、同年12月10日号)でスクープ記事を執筆すると、国会でも問題視された。

このジョブカフェでは委託事業が何重にも再委託され、税金の無駄も指摘した。昨年問題になった新型コロナウイルスの感染拡大の対策で多額の委託料が電通に支払われているにもかかわらず、何重にも委託されている問題はなんら変わっていないのだ(参照「給付金『再々々々委託』の深い闇…10年以上前から全く変わっていない」)。

就職支援事業が企業の食い物にされる一方で、就職氷河期世代の非正社員がやっと正社員になれるかもしれないというところで契約を打ち切られる。そうしたことが繰り返され、いくら頑張っても報われずに絶望の淵に追いやられた。正社員になったとしてもブラック職場で追い詰められ、心身を崩して社会復帰できないケースも少なくはない。こうした状況が続いたことで、絶望と諦めのムードが蔓延した。
2010年代に何が起きたか
2009年3月に日経平均株価はバブル崩壊後最安値の7054円をつけ、2010年3月の大卒の就職率は60.8%に落ち込んだ。2012年12月に第2次安倍内閣が発足すると、あたかも「アベノミクス」によって新卒の就職率が高まったかのように見えた。しかし、それは、団塊世代が完全にリタイアするタイミングが重なったことによるもので、15~59歳の労働力人口がピーク時より500万人減っていたことが後押ししただけだった。

安倍政権が打ち出した「女性活躍」の名の下で、企業は人手不足を補うためにブランクのある“優秀な”主婦の採用に乗り出し始め、専業主婦の間には「働いていないと肩身が狭い」という意識が一時的に広がった。

一方で、相も変わらず就職氷河期世代は置き去りにされた。2015年に専門職も含めた派遣で全職種の上限期間が3年になり、同年は労働契約法が改正されて有期労働契約が5年続くと労働者が希望すれば期間の定めのない「無期労働契約」に転換できるようになった。2005年にできた「3年ルール」と同様、制度は悪用され、派遣は3年で“ポイ捨て”、非正規雇用の全般でも5年で“ポイ捨て”が広がった。

安倍政権で内閣府に就職氷河期世代支援推進室が設置され、2019年に「就職氷河期世代支援プログラム」が策定され、3年間で30万人を正社員化すると掲げたが、国は就職氷河期世代の中心層を2018年時点で35~44歳として(次ページ図)、最も支援が難しい40代後半や50歳を過ぎた層に重点を置かずにいる。そして、支援プログラムがこれまでの施策の焼き直しの域を脱しないことから、就職氷河期世代の絶望は深まった。
就職氷河期世代の非正社員「約600万人」
いったん絶望し、諦めてしまえば、どんな支援があったとしても届きにくくなる。私が就職氷河期の問題を追ってから18年が経つ。16年前のインタビューで丹羽氏が言及した通り、もはや「too late」の状況に陥っているのかもしれない。現在、35~49歳の非正社員は約600万人に膨らんでいる。もはや誰も解決の糸口を掴めないくらい、事態は深刻になる一方だ。

自民党政治の下で、製造業の日雇い派遣が解禁され、労働者派遣は今や全ての職種で期間の上限が3年になった。就職氷河期世代を置き去りにしたまま、業界団体のロビー活動も後押しして外国人労働の拡大が図られた。「女性活躍」は女性に仕事と家事と子育て、介護の両立を押し付けるだけ。「働き方改革」や正社員と非正社員の「同一労働同一賃金」も、実態は伴わない。

就職氷河期を追うなかで、そのライフステージに寄り添い、周産期医療や看護、保育の問題もライフワークになったが、全て構造問題がある。国が作る制度が密接に関わり、政治が現場を疲弊させている。新型コロナウイルスが蔓延するなか、政治の機能不全が鮮明となった。総選挙を前に、これまでを振り返らざるを得ない。

政治家にしがらみがあれば、正しいことが言えなくなる。けれど、この18年の間に分かったことがある。世論が盛り上がれば、政治は正しい方向に動かざるを得なくなるということだ。その世論を作るのが、現場の声であり、現場の声を活字にして伝えるのが私の役割だ。就職氷河期世代の問題を解決するのは困難だろう。しかし、目指すべき道が見えなくならないよう、私は書き続けていきたい。


氷河期世代がこんなにも苦しまされている根因
問題の根が深く支援プログラムでも救えない
岩崎 博充 : 経済ジャーナリスト 
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2019/08/02


最近になって、政府が重い腰を上げて取り組み始めたものに「就職氷河期世代」の問題がある。「ロストジェネレーション世代」とも言われるが、2019年現在35~44歳のアラフォー世代の貧困問題と言っていい。

もっと正確に言うと、1993~2004年に学校卒業期を迎えた人である。バブル崩壊後の雇用環境の厳しい時代を余儀なくされ、高校や大学を卒業した後に正社員になれず、非正規社員やフリーターとして、その後の人生を余儀なくされた人が多かった世代の問題だ。

厚生労働省の支援プログラムは功をなすのか
この就職氷河期世代を対象とした支援プログラムが、3年間の限定付きではあるが厚生労働省の集中支援プログラムとしてスタートしている。支援対象は多岐にわたり、少なくとも150万人程度が対象者。3年間の取り組みによって、同世代の正規雇用者を30万人増やすことを目指している。

もっとも、わずか3年の支援プログラムで就職氷河期世代が背負った「負のスパイラル」が断ち切れるとは到底思えない。もっと継続的で長期のスパンに立った構造的改革を実施すべきだ……、という意見も数多い。

全国の自治体が取り組む「ひきこもり対策」もその効果を期待する声は多いものの、成果については疑問の声も多い。

就職氷河期世代とはいったい何だったのか。いまなお、同世代1689万人(2018年)のうち約371万人が現在も正規就労できずに、フリーターやパートの人がいると言われる。推定で61万人いると言われる40~64歳の「中高年ひきこもり」も、この世代の割合が突出しているとされる。

因果関係を立証はできないが、京都アニメーション放火殺人事件を起こしたのは41歳の男だった。最近の凶悪犯罪に、この世代の姿が目についていると感じている人もいるのではないか。世帯別の平均月収を5年前と比較すると、35~44歳の世帯の給与だけが低いというデータもある。「アラフォー・クライシス」とも言われるが、この世代の人々が抱える闇とは何か。彼らを救うために社会はどうすればいいのか。
就職氷河期世代と呼ばれる人々が どんな人生を歩いてきたのかはすでによく知られている。生まれて以降、社会人になるまでは比較的順風満帆で、バブル経済の恩恵を受けて学生時代までは恵まれた人生を歩んだ人が多かった。

ところが、学生から社会人になる際に日本は空前の不況に見舞われる。

氷河期世代が体験した無間地獄
1990年代後半から2000年代前半にかけて、日本経済はどん底とも言えるような状態にあった。1990年代前半に不動産バブルが崩壊し、その後世界的な景気後退期にさしかかり、1997年にはアジア通貨危機が世界を襲う。日本では、山一證券が経営破綻し、北海道拓殖銀行など金融機関の連鎖破綻が起きたときでもある。

さらに、2000年にはアメリカ発のITバブル崩壊が起こる。日本も大きな影響を受け、1990年代後半から2000年代前半に就職活動を行った世代は、厳しい就職氷河期にさらされる。とりわけ2000年前後は、大卒でも2人に1人しか就職できない時代を経験することになる。

同世代の非正規社員は371万人(2018年、総務省統計局、労働力調査基本集計より)で、正規雇用を希望しながら非正規雇用で働いている人は50万人に達する。非労働力人口のうち、家事も通学もしていない無業者も約40万人いる。

こうした現実に、厚生労働省も2018年度から就職氷河期世代を正社員として雇った企業に対する助成制度をスタート。「35歳以上60歳未満で、正規雇用労働者として雇用された期間が1年以下、過去1年間に正規雇用されたことがない人」を正社員として雇った企業に助成金を出すというものだ。

「特定求職者雇用開発助成金(長期不安定雇用者雇用開発コース、2019年4月より安定雇用実現コースに変更)」と呼ばれる制度で、無職や非正規社員を正社員として採用した中小企業に対して、1人当たり第1期30万円(大企業は25万円)、第2期30万円(同)、合計で60万円(同50万円)を1年間支給する制度だ。ハローワークを通して、求職活動することが条件になる。

一方、内閣府がこの6月に発表した文書によると、政府を挙げて3年間の集中支援プログラムを実施。次のような人を支援対象としてざっと100万人を救済するという。

①正規雇用を希望していながら不本位に非正規雇用で働く者(少なくても50万人)
➁就業を希望しながら様々な事情により求職活動をしていない長期無業者
③社会とのつながりを作り、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者など
具体的には、「安定就職に向けた支援プログラム」 「就職実現に向けた基盤整備に資するブログラム」「社会参加実現に向けたプログラム」などを立ち上げ、民間企業や市町村などと連携しながら就職氷河期世代の自立を促すとしている。

「40歳前後への職業訓練は無意味」「10年遅い」という批判も多いが、実際にこれまで政府は「自己責任論」を盾に同世代への支援には手を付けてこなかった。しかし、未婚率の高止まりや人口減少の原因の1つであることが明白となり、政府も腰を上げざるをえなくなったというのが真相だ。

ちなみに、この世代が注目されたのは、朝日新聞が今から10年以上前に同世代を「ロストジェネレーション」と名づけて、悪戦苦闘する人々をテーマにキャンペーン報道を行ったことがきっかけだ。

今後の日本の大きな問題になると指摘し、大量退職を迎えていた団塊世代以上に注目すべき問題として取り上げている。2007年の元旦から始まったこのキャンペーン報道は、翌年のリーマンショックと重なって注目された。低い時給で過酷な労働環境を強いられながらも、ネットカフェで泊まり歩き、中には餓死する若者の姿も報道されている。

ロストジェネレーション世代という言葉は、やがて就職氷河期世代と名を変えつつ、当時25~34歳だった若者もいまや年齢を重ねて35~44歳となり、10年前に比べてやや減少したものの、いまなお厳しい生活を余儀なくされている人も少なくない。

10年前に「フリーター」や「ニート」だった世代は、いまも「非正規社員」や「引きこもり」と呼ばれ、いまなお苦しい生活を送っているのは間違いないだろう。氷河期世代の「無間地獄」という呼び方もされる。

40歳で非正規社員として、時給1000円前後で働き続ける独身の男性は「いまだに1度もボーナスを貰ったことがない」「結婚なんて夢のまた夢」「時給は上がっても物価も上がった」と証言する。

なぜ就職氷河期世代は「捨てられた」のか?
就職氷河期の悲惨さはどの程度だったのか。統計データから見ても、その現実はよくわかる。例えば、大卒の「有効求人倍率」の推移を見ると、就職氷河期に入る直前の1991年には1人の求人に対して求職数は1.4倍あった。しかし、その2年後の1993年には1倍を割り込み0.76倍まで下落する。

以後、2006年(1.06倍)と2007年(1.04倍)を除いて、2014年までの約19年間。わが国の有効求人倍率は1倍を下回って推移する。1999年には0.5倍を割込み0.48倍にまで下落。2人で1社の求人を奪い合う状態になる。リーマンショック時には、0.47倍(2009年)にまで下落している。

ちなみに、アベノミクスの開始とほぼ同時に、有効求人倍率は1倍を回復したのは事実だが、これは団塊世代のリタイアと少子化の深刻化によって人手不足が顕著になったほうが大きい。アベノミクスの成果として、有効求人倍率が1倍を超えたと単純に捉えるのは危険だ。

ここで注目したいのは、就職氷河期世代の中でもいまだに非正規雇用を余儀なくされ、最悪ひきこもりになっている原因はどこにあるのかだ。そこには、個々の責任というよりも、日本特有のさまざまな悪しき制度や仕組みが根本的な原因といえる。同世代が陥った無間地獄の原因と本質をピックアップすると、大きく分けて次の5つのポイントが考えられる。

原因その1◆日本特有の「新卒一括採用」
世界でも例を見ない新卒一括採用が、日本企業の強みであった時代はとっくに終わっているが、就職氷河期世代の人々にとつては最悪の結果をもたらした。新卒以外での中途入社が難しく、とりわけ非正規雇用だった人材の中途採用には慎重な企業が多い。2人に1人しか正社員として就職できなかった就職氷河期世代にとって、その後、正社員として雇用される機会を奪われることになった。

新卒一括採用の背景にあるのが、終身雇用制と年功序列だ。とりわけ、氷河期世代以前の好景気時に大量採用された社員があふれている現実は、運よく正社員になれた就職氷河期世代も、企業の中でこの大量採用組に苦しめられることになる。

原因その2◆大手企業の労働組合が会社側に寝返った?
戦後、日本の労働組合は強い力を持っていた。それが、高度経済成長時代を迎えてバブル景気に沸いた頃には、すっかり企業と仲良しコンビになり、バブル崩壊による大リストラ時代には、企業の言うことを素直に聞く傀儡(かいらい)団体に成り下がってしまった。就職氷河期世代が就職難に喘いでいた頃には、既存の正規社員も自己の雇用を守るのに必死となり、新卒が極端に減少していることにも目をつぶった。

企業別労働組合の限界とも言えるが、「産業別労働組合」や「クラフトユニオン(職種別労働組合)」のシステムに転換していれば、こんな事態にはならなかったかもしれない。企業別労働組合からの脱出を目指す政党が現れないのも、就業者の80%を超す「サラリーマン(正規、非正規などを合計)大国・日本」にとっては不幸な話だ。

原因その3◆小泉政権時代の非正規社員の規制大幅緩和
就職氷河期世代が不幸だったのは、2000年代はじめに小泉政権が誕生し、非正規社員の規制を大幅に緩和したことだ。それまで許されなかった製造業での非正規雇用を全面的に緩和し、その影響で大企業は正社員の採用を大幅に抑え、非正規雇用を増やす雇用構造の転換を進めることができた。

就職氷河期世代の人たちも、この規制緩和がなければ新卒採用されなかった人でも、中途から正社員になる道はかなり多かったはずだ。そういう意味でいえば就職氷河期世代の悲劇は、小泉政権時代の規制緩和によってもたらされたとも言える。

労働条件の非常識な劣悪化
原因その4◆企業本位の労働環境社会
就職氷河期世代を苦しめた背景の1つに、非正規社員を直接雇用しないまま長年使い続ける慣行があった。

日本の製造業を支える工場での労働力をはじめとして、コンビニやファミレスといった安価で質の高いサービスを支えてきたのは、就職氷河期世代を中心とする非正規雇用の人たちだ。先進国の中では最低レベルの賃金で、長時間労働を余儀なくされた同世代が、日本経済を底辺で支えてきた、といっても過言ではない。この非正規労働者を守るための手段がほとんどないのが現実だ。

問題は、そうした過酷な非正規社員の現状を横目で見ながら、労働基準監督署などの労務管理当局が怠慢を続けたことだ。加えて、司法も貧困問題に対して厳格な判断を避け続けてきた。

そもそも日本では、海外では常識になっている企業内でのいじめやパワハラに罰則規定がない。経団連などの反対で罰則規定が外されたのだが、検察や司法がもっと労働者の立場に立っていれば、就職氷河期世代の悲劇はもっと少なくて済んだのかもしれない。

さらに、下請け会社や個人を元受け会社から守る「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」の法整備が行われたのも2003年以降のことだ。

こうした法律の不備や労務管理当局の怠慢が、同世代を苦しめている一因でもある。政府と密接な関係のある芸能プロダクションと所属芸人との間に正式な契約書がなくても通用する――。それが日本の労働環境の常識だとしたら、あまりにお粗末だ。

原因その5◆起業、独立に厳しい社会環境
もう1つ原因があるとすれば、正社員になれなかった就職氷河期世代が、起業して自営業になるという道があったにもかかわらず、その道へあまり進めなかった現実がある。日本では、そういったビジネス環境が整っていないためだ。

何の実績もない若者に事業資金を融資してくれる銀行はほとんどないし、連帯保証人の問題もある。政府の開業資金融資制度も、ハードルが高く、あまり現実的ではない。起業家の才能や熱意を評価して、潤沢な起業資金を融資する投資家が多いアメリカとは大きな違いだ。

ただ、最近は「クラウド・ファンディング」など変革の兆しもある。同世代も、日本に閉じこもっていてはいけないのかもしれない。

支援プログラムが役に立たないこれだけの理由
さて、厚生労働省が今年5月に発表した就職氷河期世代への就職支援プランだが、はたして有効なプランと言えるのか。

施策の方向性としては、「相談、教育、訓練から就職まで切れ目のない支援」を行い、ハローワークに専用窓口を設置。キャリアコンサルティング、生活設計面の相談、職業訓練の助言、求人開拓などの各専門担当者のチーム制によるきめ細かな「伴走型支援」を実施するとしている。

ただ、結論から言うと、就職氷河期世代に対する救済プログラムが本当に機能するのかどうかは疑わしいところだ。例えば、「地域若者サポートステーション」と呼ばれる就労サポート窓口が全国に175カ所設置されているが、40歳以上の就職氷河期世代に対する公的支援は全国でわずか十数カ所開設されるだけだ。

通称「サポステ」も、15~39歳のニートやひきこもりを対象にした制度だが、40歳以上のひきこもりは推計で61万人、サポステ効果も限定的と言わざるをえない。

また前述した特定求職者雇用開発助成金も最大60万円が企業に支払われるが、2018年度に給付された金額はわずかだ。その金額はあまりにも少ない。

筆者の個人的な感想だが、企業にお金を出すのではなく、同世代の非正規雇用者に自立支援金といった名目で、直接資金を融資するほうがいいのではないか。そのお金で起業するのもいいし、海外を放浪してくるのもいい。先進国の多くは、大学を卒業してすぐに就職するのではなく、海外で見聞を広げる制度が充実している。

就職氷河期世代にターゲットを絞って救うプログラムもいいが、本質は「貧困問題」と同じだ。最近になって、NHKも取り上げた「外国人技能実習生の奴隷化」問題にしても、結局は就職氷河期世代だけでは対応しきれなくなった人口減少、人手不足の対応策として、海外の留学生がターゲットにされているだけなのかもしれない。

京アニ放火事件のような凶悪犯罪の加害者をネットでは「無敵の人」と呼ぶ。失うものが何ひとつない、無敵状態の人という意味だ。今後、10年が経過して彼らが45歳から54歳になったとき、日本はどうなっているのか。このロストジェネレーション世代が、その時まだ「無敵の人」であるとしたら、その社会はあまりに理不尽だ。


日本の「失われた20年」と構造改革の失敗 
1990年代に始まる日本経済の長期停滞は、2002年には終わらず今も続いており、この間の日本経済を「失われた20年」と呼ばれることが多くなってきた。日本の名目GDPで確認すると、1990年から2010年までほぼ500兆円前後で停滞したまま推移している。他の国がGDPを上昇させる中で、日本だけが成長を止めたまま20年が経過している。(図1)国民一人あたりの名目GDPでは、1990年代に世界3位くらいだったものが、2007年19位、2008年23位、2009年19位と大きく順位を落としている。(図2)日本では物価が上昇しないが給料も上がらないという状況が続いており、消費や投資などの内需が増えていない。産業分野でも、かつて世界を席捲していたエレクトロニクス市場で軒並みシェアを落としている。日本市場では日本製品が幅を利かせているが、海外ではLGやサムソンがシェアのトップ。日本製品は一部のお金持ちの趣味のブラ※4ンドになっている。鉄鋼でも、アルセロール・ミッタルが世界一の生産量を誇っており、新日鉄は中国や韓国のメーカーにも抜かれて4位(2009年)となっている。 小泉政権が主導した構造改革は、日本の成長のためには聖域なき構造改革が必要だという主張の下、三位一体の改革、郵政民営化、各種の規制緩和などが行われたものだ。この構造改革について、改革は必要だったが、結果として都市と地方の格差や国民の貧富の差を拡大し格差社会を進めた、といった意見が多い。改革の路線は間違っていないが、影の部分が大きくなってしまった、という論調だ。私はそうではなく構造改革は成長戦略としても失敗したのだと考えている。先に紹介したように、構造改革が始まった2000年以降現在に至るまで、日本の成長力も国際競争力も低下している。「失われた20年」のうち、2000年以降の10年は構造改革の失敗によるものといっても過言ではない。


※4 アルセロール・ミッタル  ヨーロッパのアルセロールとインドのミッタル・スチールの経営統合によって、2006年に誕生した世界最大の鉄鋼メーカー。年間粗鋼生産量で世界シェアの約10%を占める。









2007年5月21日

ポリシーウォッチャーの役割
「改革の日々が始まった」-2001年4月26日、それはまるで、日本最大のお祭りのようだった。国民的熱狂、聖域なき構造改革、抵抗勢力とのすさまじい戦闘。小泉内閣という奇跡の内閣が誕生した瞬間を、著者はときめきと興奮をもって振り返る。

本書は、従前の日本政治においては考えられなかった異色のリーダー・小泉総理の下、要職を歴任した竹中平蔵氏の挑戦の記録である。「小泉総理の下、日本は間違いなく変わるだろう。そう思ったからこそ私は、大臣就任を引き受けた。これからその変革の『歴史的瞬間』に立ち会いたいと思う。」という書き出しから始まる著者の大臣日誌に基づきながら、不良債権処理、郵政民営化、経済諮問会議の舞台裏が生々しく語られている。

「改革なくして成長なし」-しがらみを持たない強いリーダー小泉総理は、当選回数や派閥からの人事を一切行わず、金融再生プログラムや郵政民営化といった改革を断行した。この改革の中で、重要な役割を果たしたのが、民間出身の経済学者として専門的見地を政策に活かす役割を与えられ、入閣した竹中大臣であった。抵抗勢力のなりふり構わぬ陰謀や策略に遭いながら、いかにして改革を断行したかが、本書の見所になっている。また、本書は、著者の日誌をベースに書かれているため、さまざまな場面が、せりふや感想とともにリアルに語られており、冒険書を読むような面白さがある。そして、随所に見られる小泉総理のリーダーシップも見逃せない。不良債権処理をめぐり、抵抗勢力にののしられ、辞任を迫られる竹中氏に、当て付けのように金融担当大臣兼務を命じる場面や与党幹部の夕食会で、郵政民営化の「基本方針は絶対変えない。ちゃんと理解しておけ。自民党はとんでもない男を総裁にしたんだ」と、反対を強める党側へ迫力の宣戦布告をする場面などは圧巻である。

さて、よく小泉政権に対して、「劇場型内閣」「骨抜きの政策」だなどと、人気があるが中味のない政権であるかのような批判があったが、本書を読む限り、骨抜きではない改革が実行されたように思える。小泉内閣の改革の成果については議論のあるところだが、少なくとも、日本の経済再生のために、以前から散々問題視されながら放置されていた不良債権処理に着手し、金融再生プログラム(竹中プラン)を実行、りそな銀行への公的資金注入など、金融改革を断行したことは、評価できるのではないか。

なぜ、今まで散々先送りされてきた金融改革を断行できたのか?なぜ、総選挙を行うほどの抵抗に遭った郵政民営化法案が成立したのか?もちろん、歴史的な国民の支持と小泉総理のリーダーシップがあったことは確かだが、改革を主導した竹中大臣の専門家としての力が大きかったことは間違いない。竹中氏は、「骨太方針」の決定、「工程表」の作成、そして「戦略は細部に宿る」という共通認識のもと、官僚の思うがままに作られていた「政策の制度設計」を大臣自らが詳細に作るという「政策決定プロセス」によって、総理の意思を貫く、政治主導型の改革を実現していく。特に、制度設計は、従来、官僚「霞ヶ関文学」の専売特許であり、その知恵は官僚に独占されていた。竹中氏は、30年間「政策」を勉強してきた「政策研究者」として、政策の重要性を理解し、政策の骨組み、つまり法律の条文や施行後の運用ルールなどを詳細に検討。抵抗や妨害、骨抜きにされることを予測し、常に二手三手先を読みながら作戦を練り、抵抗勢力との合意形成に挑む。そして、譲れないところは妥協せず、打開点を探る戦略家の一面も見せる。「普通のこと」がなかなか実現できない日本において、実行力のある改革を断行するポイントは、この「政策」「政策決定プロセス」をいかにうまくやるかにあったようだ。

著者自身は、自らの大臣経験を振り返って「昆虫学者が昆虫になったようなものだ」と語っている。小泉総理の熱意に共感して、自分が研究していた対象の世界に足を踏み入れ、自らが研究の客体となったわけである。自らがプレーヤーとして、官僚の無謬性と戦い、業界・政治家・官僚の「鉄のトライアングル」へ挑戦し、マスコミや学者から激しいバッシングを受け、戸惑い、悩み、立ち向かっていく。この得難い体験を通して、「政策は難しい」ことを実感する。また、「優れた植物学者が、即優れた庭師である保証はなにもない」のと同じように「経済学や政治学は間違いなく政策のために必要ではあるが、政策の専門家と経済学者、政治学者は同じではない」と説明する。そして、評論や絵空事を言う学者ではなく、実務的な知恵と将来的なシナリオを描ける「政策専門家=ポリシーウォッチャー」が必要であると主張する。

ポリシーウォッチャーの役割は、政策の調査研究、分析評価、監視、提言を行うことと情報発信を行うことである。特に情報発信を通して正しい世論を形成することで、「よく知らされた国民」(Well informed public)を生み出すと著者は言う。情報は溢れているが、スキャンダルやゴシップネタばかりで本当に有益な情報(政策論議や政策分析)となると極端に少ないというのが現状ではないだろうか。小泉政権を通して、また最近の政治からも、世論の力、国民の支持の重要性が注目されている。国民が適切な判断を行うことで、良い政策が生まれ、さらに政策が実行されているかを評価監視することで、政策がより良い方向に向かうという好循環が生まれるというわけである。

「政策は難しい」という難問にどう立ち向かうのか。著者は、「政府の中核で政策を実行した経験を、政策専門家の育成に役立て、民主主義のインフラとして、政策専門家が民間部門から政府の政策をしっかりウォッチし、国民に伝えるという機能を果たしていきたい」と決意を語っている。ポリシーウォッチャーを通した「民主主義による世論の後押し、政治主導の構造改革、力強い日本」の実現。竹中氏の挑戦は、まだまだ続きそうである。


2006年09月20日
小泉構造改革が残したもの
  森重 透

1.「いざなぎ超え」とは言うけれど

マクロ経済は、長期にわたったデフレ局面からの脱却を視界に入れつつ、足もとなお拡大を続けている。2002年2月から始まった今回の景気回復は、すでにこの5月に「平成バブル景気」を抜き去り、11月には「いざなぎ景気」(1965~70年、57ヶ月)を超え、戦後最長となりそうな勢いだ。

しかし、実質GDPの伸びで見た景気拡張期間はなるほど長かったかもしれないが、国民一人ひとりの生活実感から見れば、まさに「実感なき景気回復」ではなかっただろうか。そして、それはなぜかを考えれば、今回の回復局面の特徴が明らかになろう。

まず、息の長い回復ではあるが低いレベルの成長だったことだ。「いざなぎ」は年平均成長率10%超、「平成」は5%程度だったが、今回は2%強と「平成」の半分にも及ばないレベルである。成長率と拡張期間の積和でこの間の実質GDPの伸びを見ても、「いざなぎ」当時は約1.7倍であるのに比べ、今回は1.1倍程度に過ぎず、さらに名目GDPの伸びで見れば、その差は2倍以上にも拡がる。横綱と前頭筆頭ぐらいの差はあるのではないか。とくに、緩やかなデフレ下の回復のため名目値がほとんど伸びなかったことは、実感の乏しさをより強めたはずである。

二番目の特徴は、企業部門と家計部門の所得状況の違いだ。「経済財政白書」(7月)には、「企業部門の改善によって家計にも好影響が及ぶ好循環がみられる」趣旨が盛り込まれているが、雇用環境には目に見える改善があるとはいえ、賃金・可処分所得関係の統計では、むしろ家計の疲弊ぶりが顕著であり、4年以上も続いているのに景気回復の恩恵は家計・個人にはほとんど及んでいない、と言ってよい。企業部門から家計部門への波及(トリクル・ダウン)の遅れは、企業が業績好調にもかかわらず、賃上げ幅を低く抑え続けているからである。今回の景気回復は、大企業の資本の論理、すなわち、リストラ、非正規雇用の拡大等による賃金コスト削減をバネにもたらされた側面が大きいが、それがまだ続いているということだ。

そのほかの特徴としては、米国経済の好調や中国特需などに支えられた外需主導、デジタル家電ブーム等、一部の大企業・製造業に偏った回復であったことなどから、多くの中小企業や非製造業への波及が遅れていることも挙げられる。また、地域間で景気回復のテンポや景況感に大きな格差があり、これがなかなか縮まらないことも、全体的に景気回復を身近に感じられない要因の一つだろう。

2.二極化・分断化の進行

このように、マクロ面で見れば、実感が乏しいとはいえ息の長い景気回復が実現したことは事実である。しかし、この回復が、間もなく終結を迎えようとする小泉内閣の構造改革の取組みによってもたらされたか、ということになると疑問符が付く。「構造改革なくして回復(成長)なし」、「官から民へ」、「中央から地方へ」を標榜した構造改革路線が、スローガン通りの実行力を伴ったものでなく、今回の景気回復とは無関係であることは、すでに本コラムでも何度か指摘した。また今年の「経済財政白書」(7月)も、企業の適応努力こそが日本経済回復の主役と正当に位置づけているし、多くの識者の見方もこれに沿うものが圧倒的に多い。

むしろそのことよりも、この小泉政権下の経済運営によって、構造的には深刻な問題が発生した。経済社会の二極化・分断化の進行、社会生活基盤の劣化、という由々しき問題である。下掲グラフは年齢階級別完全失業率だが、15~24歳の若年層の失業率・学卒未就職率は、この間一段と上昇し、高止まりしていると言ってよい状況である。失業こそは、一個人を社会的・経済的弱者に転落させるもので、とくに若年層で定職に就かない者がなお多く存在するという現実は、これからの日本の国力や競争力、社会保障システムへの悪影響を考えると憂慮させるものがある。

さらに、パート、アルバイト、派遣社員など「非正規雇用者」は、すでに雇用者数の約3人に1人となった。ここでも若年層(15~34歳)の雇用情勢は厳しく、失業の長期化、フリーターやニートの増加、そしてフリーター経験をプラスに評価している企業がほとんどないことから、彼らが中高年になっても非正規雇用者にとどまってしまう懸念がある。こうなると、4対1とも言われる正社員との給与格差が固定化されるとともに、累積的に所得格差が拡がり、生活基盤の劣化、ひいては非婚・少子化などの様々な問題を助長する恐れがあるのだ。過重な労働実態、過労による労災件数の増大、ワーキングプアの増加、うつ病、突然死など、今日、雇用の劣化あるいは崩壊とも呼べる事例は枚挙にいとまがない。

このような状況も反映してか、7月に発表されたOECDの「対日経済審査報告書」によれば、先進30カ国の相対的貧困率(平均値に比べて所得が半分未満の相対的貧困層の割合)で、日本は米国(13.7%)に次ぐ二番目の高さ(13.5%)だったそうだ。そして、労働市場の二極化傾向の固定化の恐れを警告され、格差是正の具体策として、非正社員への社会保険の適用などを指摘されているのである。

このほかにも、大企業と中小企業、都会と地方、高齢層と若年層、官と民等々・・・規模・地域・年齢・官民間に存在する諸々の二極分化(格差の拡大と固定化)の問題を真摯にとらえ、これを是正しながら持続的成長を模索していくというような、「徳のある経済政策」は、小泉政権下ではついにお目にかかれなかったと言ってよい。

3.何が欠けていたのか

「聖域なき構造改革」という看板を掲げた小泉構造改革路線は、約5年半に及んだ小泉政権のバックボーンであったはずなのに、結局それは、「小泉劇場」の主役・小泉純一郎が大見えを切るときの小道具に過ぎなかったようだ。

新規国債発行30兆円枠の公約は、「この程度の約束を守れなかったというのは大したことではない」と言って、簡単に破られてしまった。公的年金改革を審議する年金国会での、「人生いろいろ」発言に見られるような、おちゃらかし発言。はぐらかしや、レトリック依存型の国会答弁も多く見られた。地方の景気にも目配りすべきではないかとの記者の問いに、小泉首相は「官から民への流れは変わらない。政府が口出しすべきではない」と答えたそうだ。道路公団の「民営化」は、結局、妥協の産物に終わった。そして、改革の「本丸」と意気込んだ「郵政民営化」は、その意味や効果が不鮮明なまま、分社化を伴う株式会社化で行き暮れようとしている。結局、高い人気に支えられ、連日劇場は満員御礼だったが、バックボーンは最後まで「小道具」で終わった。

「改革なくして景気回復なし」の名の下に、実体的な景気対策には関心が薄く、かと言って、公的セクターの改革、すなわち、責任ある社会インフラの構築と質の高い公共サービスの供給という、「民」が果たせない「官」の固有の役割というものを、いかに実効ある形で遂行していくかといった制度問題を、徹底的に真摯に議論する風でもない。詰めた議論よりは、歯切れの良い「ワン・フレーズ」で「改革」をくさびとして使い、多くの「抵抗勢力」を放逐しつつ人気を得ていくという手法は、まさに独壇場と言えるものだった。

しかし、「改革の本丸」であるべき財政再建問題と、これに密接にからむ社会保障制度と税制のあり方に関する真摯かつ周到な議論と実践を抜きにしては、「経世済民」を託された責任ある政治家としての本務は果たせないのではないか。「ノブレス・オブリージュ」とは、財産、権力、社会的地位には責任が伴うことを言う。小泉首相に限らず、政治家全員がこのことを心に銘じるべきだろう。



【小泉純一郎②】聖域なき構造改革の功罪




【論文】マーケットはなぜ小泉政権の改革を疑問視するのか
2001年8月04日

sheard_p020710.jpgポール・シェアード

小泉政権は「聖域なき構造改革」を打ち出しているが、この実現可能性について、マーケットは非常に大きな不信感をもっている。

■ 矛盾だらけの経済政策を繰り返すな
なぜ不信感をもっているのか。その理由は、日本がまた、いつもと同じような失敗を繰り返すのではないか、という懸念が拭い去れないことにある。日本はいつも、過去になぜ失敗したのかという事後的な点検が行われないままに、次の政策を展開しようとする。そして、いつも矛盾


ばかりの政策を展開する。つまり「こんなことをやります」と言っておきながら、実はそれとは違うことをやってきた。その典型的な例がペイオフの延期だ。今回の「骨太の方針」のなかで、そうした懸念をいちばん強く感じたのは不良債権問題に関する部分だった。まずは、それを中心に話を進めよう。

「骨太の方針」、すなわち経済財政諮問会議の基本方針は、不良債権処理に関しては、2001年4月6日に経済対策閣僚会議で決定された緊急経済対策の考え方を継承している。緊急経済対策には、問題の本質をついた、さまざまないい意見が書かれているが、その大きな目玉は、やはり不良債権処理が最大の課題である、というものだった。

ちなみに、それより少し前の3月19日に日銀は政策決定会合で「通常では行われないような、思い切った金融緩和に踏み切る」ことを決定しているが、その議事録のなかにも、不良債権問題の解決が急務であるという趣旨の文章が入っている。

こうした流れからいくと、4月6日の時点での政策の結論は、やはり不良債権処理が最重要課題だ、というものだったといえる。

最近、不良債権を「2~3年以内に処理する」という言葉の意味が議論されないまま、独り歩きしている感があるが、緊急経済対策のなかには、主要行について、「破綻懸念先以下の債権に区分されているものについては、原則として2営業年度以内にオフバランス化につながる措置を講ずる」、それから、新規発生分については「原則として3営業年度以内に......措置を講ずる」と書かれている。

これは非常に重要なポイントだ。なぜなら、この「措置を講ずる」という表現は、金融監督庁のマニュアル、あるいは旧大蔵省の行政に従ってやってきた過去の金融再編行政では、不良債権は解決しない。今までのやり方を白紙に戻して、2~3年以内に不良債権をかたづけよう、という強い意思表明の表れだからだ。

今回の基本方針も、この方針に沿って、「不良債権問題を2~3年以内に解決することを目指す」、「経済再生の第一歩として、不良債権の処理を急ぐべきである」とはっきり書いてある。多くの人はこれを読んで、正しい方向に動いていると思うだろう。ところが、である。今回の基本方針には、不良債権の最終処理は「金融機関の自主的な判断で進められる」というくだりが入っている。 これでは、全く話が違ってしまっている。4月の緊急経済対策で、「過去の行政のもとで、金融機関が自主的に問題に取り組んできたけれども、そのやり方では解決しない。政府が主導権をとって、2~3年以内に解決させる」という強い意思表明をしたにもかかわらず、ここでまた、「自主的な判断で進められる」ということでは、議論するまでもなく、問題解決にはならないだろう。

ちなみに、不良債権問題の裏側にある借り手企業/産業については、私的整理のためのガイドラインを「関係者間で早急に取りまとめることが期待される」と書いてある。

もちろん日本の場合、「期待される」、あるいは「自主的な判断で進められる」といった場合、それは国が強制的にやるといっているのと同じだという解釈もないわけでもないが、それは一昔前の行政のあり方を反映した解釈だ。つまりそれは、不透明な、玉虫色的なやり方にもなっているということだ。


■ さまざまな数字が独り歩きをしている
それに、緊急経済対策にも、踏み込み不足だった点がある。ひとつは、対象を全預金取扱金融機関ではなく、主要行に限定していたこと。もうひとつは破綻懸念先以下の不良債権に絞って話をしていたということだ。

詳細は省くが、これでは、ペイオフ延期などの過去の政策との整合性がないばかりか(ペイオフ延期のときは、主要行は大丈夫だが、信金や信組などは検査不十分で不安だから、という説明がなされた)、不良債権問題を全体的に把握することはできない。いうまでもなく、マーケットが非常に神経質に注意を払っているのは、不良債権の全体の大きさだ。ところが、上述したように、限定した見方をとっているために、いろいろな数字が独り歩きをしてしまっている。

例えば、一時期新聞を賑わせた12兆~13兆円という数字は、主要行の破綻懸念先以下のものを指している。しかし全銀行ベースの問題債権は64兆円で、全預金取扱金融機関ベースでは81兆円くらいあるとされている。また最近では、151兆円という数字が独り歩きをしている。これは民主党が金融庁から取り寄せた数字で、要注意債権以下の債権をもっている借入先の全借入金を示している。

われわれプロでも、これらの数字の使い方にはものすごく苦労している。この間、民主党の鳩山氏が「150兆円という数字をどう思うか、大手行の資産査定を厳格にやり直すべきだ」という趣旨の発言をしたところ、首相は「元利払いや貸出条件に問題がなく、単に注意が必要な債権は100兆円ある」と答えた。この発言は、要管理債権以下の不良債権以外の要注意債権が100兆円ある、ということだが、公表ベースでは、こういう数字は出てこない。一国の総理大臣が、国会でこのような答弁をしていることからもわかるように、問題の大きさがどれくらいであるのか誰にもわからず、マーケットは政府に対して依然として不信感をもっているのである。


■ 危機対応の制度的枠組みが不在
マーケットが不信感をもっている第2の理由として、金融再編の枠組みが不在だということが指摘できる。2001年1月には行革の一角として金融再生委員会が廃止された。金融再生委員会は、金融問題を解決するために特別につくられた組織だったにもかかわらず、その仕事が終わる前に廃止されてしまった。日野正晴前長官は退官のインタビューで(『日本経済新聞』2001年2月2日)、「本当はペイオフ1年延期時に、それと連動して金融再生委員会や再生法、健全化法も延長すべきだったが、議員立法なのでこうなってしまった」と述べている。筆者も全く同感である。3月末には、資本増強の枠組みも期限切れとなってしまった。

そしてその6日後に政府は公式見解として(緊急経済対策)、不良債権が日本経済のいちばん大きな問題だ、この問題に集中的に取り組む、ということを表明した。1998年にも同じ議論があり、問題解決のために60兆円のパッケージと金融再生委員会をつくった。その枠組みを廃止した途端に、改めて問題の重要性、枠組みの必要性が認められるというのは、酷評すれば、先進国の経済政策としては大問題だ。少なくとも説明責任というものがある。そうしたことを議論しないで、ポッポッと次の政策が出てくるというのはいかがなものか。

もっとも、枠組みがないというのは多少言いすぎで、実は金融危機対応枠組みというものが4月1日からスタートしている。それは資本増強、国有化、(ペイオフコスト以上の)預金者保護という3つの機能を持ち備えている。

ただ問題は、危機がなければこの枠組みが使えないということだ。これに対し98年の枠組みは、危機の産物としてできたもので、危機がなくても、危機が起こらないように使うことができた。

こうして、不良債権問題の重要性に対する認識と、その問題を解決するために用いる制度的枠組みとの間に、大きな空白ができている。そうした空白があるからこそ、いろいろな方針や意見が錯綜しているといえる。つまり枠組みがないから、金融機関が自主的判断ベースでやるしかないということになっている。だが、金融機関の自主的判断ベースではこの問題は解決されないことは目に見えている。自主的ベースでできるような話であれば、とっくの昔に解決しているはずだからだ。


■「財政再建」重視の危うさ
第3に、小泉首相が財政再建を最重要視しているのではないか、ということだ。首相の所信表明演説を見ると、「不良債権処理や資本市場の構造改革を重視する政策へと舵取りを行う」とし、1に不良債権問題の解決、2に規制緩和、3に財政再建を行う、と述べている。筆者はこのポリシーミックスと順序づけにはおおむね賛成だが、小泉内閣が実際にやっていること、あるいは発信しているメッセージを見ていると、不良債権処理がかなり後退している感じを受ける。特に、上述したように、「措置を講ずる」が「自主的判断で進められる」というように後退しているのが気になる。むしろ第3の財政再建をアジェンダの上位にしようとしているらしい。

例えばここ2カ月間の議論をみると、田中真紀子氏が多くの話題を提供してきたが、それはともかく、経済面では新規国債発行を30兆円以内に抑制するなど、財政再建の話題でもちきりだった。だが経済の現状を考えると、財政再建に今踏み込むことは非常に厳しい緊縮財政になりかねない。すると不良債権問題の先送りと財政再建の優先という、橋本政権のときと全く同じポリシーミックスとなってしまう。

こうして、橋本、小渕、森の各政権から得られたはずの教訓が生かされず、また元に戻ろうとしており、"不思議の国のアリス"のような経済政策になっている。


■ 構造改革断行の2つの選択肢
以上、小泉内閣の経済政策・構造改革の基本方針について検討を加えてきたが、これらの一連の議論を見ていて、問題だと感じるのは、政府がどちらの方向に進もうとしているのか、その方向性が見えないということだ。

改革を断行するに当たり、政府には大きく分けて2つの選択肢がある。ひとつは期限を区切ったうえで、自ら主導権を発揮して改革を進めることだ。この場合は、金融再生に向けた新しい枠組みづくりと、危機を未然に防ぐための公的資金の投入が必要になる。またマーケット・メカニズムを最大限活用し、新しいマーケットが育成されるようなやり方をとる必要がある。

もうひとつは、市場に任せるという、まさにハード・ランディング的な解決策だ。この場合は、ペイオフの早期実施と、金融危機対応枠組みを極力使わないという覚悟、それに労働市場、小口預金者保護などのさまざまなセーフティ・ネットが必要になる。加えて、緩和的なマクロ政策と、規制緩和などの、経済体質を強化するためのミクロ政策を次々と実施しなくてはならない。

後述するように、筆者は前者の政策を取るべきだと思っているが、今のところ、小泉政権がどちらの方向に進もうとしているのかが見えない。むしろ、このどちらでもなく、中間の道を歩んでいるようにも見えるのである。すなわち、危機が起きると政府が動き、その際、マーケットを阻止するような政策を取るという、これまでと同じ過ちにはまってしまう可能性がある。

公的資金の投入や銀行保有株式取得機構の設置、それに貸し渋り対策などで、政府は銀行に対してあらゆるところで関与を強めている。これでは、マーケットに任せるという2つ目の選択肢は取りえない。こうした状況では真の意味でのマーケット・ベースということはできない。それにもかかわらず「金融機関の自主的な判断で進められる」という表現を用いたりするので、混乱が生じることになるのである。

国が関与することにさまざまな弊害があるのは十分承知しているが、筆者は、ここまで国が関与を強めている以上、国が主導権を握り、期限を区切って市場を生かす形で改革を断行したほうがいいと考えている。ところが、では主導権を発揮しているかといえば、それも中途半端な状態にある。

実は私は財政再建の信者だが、一回限りの措置として、金融問題の解決のために公的資金を30兆円入れるということを断行すれば、日銀はそれを支援するだろうし、それが2年後のマーケットの発展につながるということであれば、マーケットもそれを評価するのではないか。だが、小泉首相は財政再建という目標があるために、公的資金を投入するという流れをつくれないでいる。こうしたことから、マーケットから見ると、財政再建を優先していることが、実は不良債権を断固として処理するという腹が固まっていない、と見えてしまうのである。


■今は財政再建を打ち出すな
では、具体的に小泉首相はどういったアクションを起こすべきか。

まず、今の局面では財政再建を打ち出さないことが必要だ。今財政再建を打ち出すと、それはものすごい緊縮財政になってしまう。

仮に出すにしても、出し方を工夫すべきだ。実は財政構造改革と財政再建は違う。財政構造改革というのは、財投改革や公的金融機関の民営化、あるいは効率的な税制システムの構築などのミクロ的な改革だ。これは今すぐにでも実行できるし、これをすぐに行うことには筆者も大賛成である。

一方で、今の経済局面のなかで、どれだけの財政出動が必要なのかという問題がある。これが財政再建の問題だ。日本の場合は、この2つの概念がいつもこんがらがってしまっている。前総理の橋本氏も、財政再建を実現したかったために財政出動を締めたが、本当の財政再建は、経済を回復させなければ成り立たない。そこで、では経済を本当に回復させるには何が必要なのか、という議論が、財政再建の中枢にくるはずだ。

そこで、不良債権がいちばんのネックであるという判断なら、それをやるべきだし、非効率的な財政の仕組みの問題であるなら、それを見直す必要がある。そのなかで必要に応じて財政出動をすることもありうべき選択肢だろう。預金者保護と不良債権処理を同時に達成するためには、例えば30兆円というコストがかかることもあるかもしれない。この場合は、短期的には財政再建はできなかったということになる。

つまり、すべての政策目標、特に矛盾しあっているいくつかの政策を同時に達成することはできない。それなのに、あれもやる、これもやると主張するのは、部分的な発想でしかない。まず不良債権処理に重点を置くべきである。

財政再建は確かに重要な課題ではあるが、それが本当に緊急の課題がどうかを考えると、実はそうでもない。ひとつは、日本のマクロ的な現状をみると、民間部門の黒字を政府が吸収しているという面がある。そうなると、問題は個人の将来不安が解消されていないから、また規制緩和が不十分で日本企業の投資プロジェクトに問題があるから、あるいは金融システムが十分に機能していないから、民間部門が活性化されない、ということになる。

この問題を解決するには、IT関連を中心に規制緩和を実行することだ。そうすれば、さまざまな形で、新しい需要と新しい投資機会が生まれてくる。そして結果として、税収が増えて、政府の赤字も減っていく。

もうひとつは、国債の利回りだ。これは現在1.2%程度であり、財政再建をやらなければ日本は破綻する、というメッセージをマーケットは発信してはいない。しかし小泉政権は、あたかもそうしたメッセージが発せられているかのように動いている。橋本政権時の増税と同じく、小泉政権でもプライマリーバランスの赤字を支出削減で抑えようとしているが、それは因果関係を間違えている。まず解決すべきは不良債権問題である。


■戦略的にマーケットを活用せよ
そこで、不良債権処理を進めることを考えるとき、ぜひ指摘しておきたいことは、戦略的に、マーケット・メカニズムを最大限に生かすことが重要だということだ。これは、政府が主導権を取るという方向とは、一見矛盾しているように見えるがそうではない。例えば、しばしば引き合いに出されるアメリカのRTC(整理信託公社)は、預金の全額保護をせずに、破綻懸念の金融機関をつぶして、預金保険機構でカバーされていない人たちに債権カットに応じさせた。同時に、RTCは資産を取って、資産価値と預金保険機構でカバーされている額との差額を埋めた。これは預金者保護の鉄則です。そのうえで、受け取った資産をすぐさま売却した。

RTCがそうしたように、資産を売却すると、非常に大きなマーケットが育成される。現在、非常に大きな規模になっているCDO(Convertible Debt Obligations)やABS(資産担保証券)は、実はRTCが登場するまではなかった。これが、マーケット・メカニズムを最大限生かすということの意味だ。銀行の国有化や買取機構、それにペイオフの延期といったやり方は、やはり問題だろう。

ただ、日本の現状を見ると、残念ながら現に政府はそれをしていないし、今までの経験から見ても、ほとんどやる意思とやる能力がなさそうである。

今後の政策の展開次第では、金融は、おかしなことをやる可能性がある。政府の要人はいろいろなところで、低成長には甘んじなければならないけれども、マイナス成長はだめだと発言しだしている。一方で財政再建論者が趨勢を握ったとすれば、やはり金融危機が起こる。そして財政再建プラス金融危機イコールマイナス成長となったとき、マーケット・ベースで進まないような手を考え出してくる可能性がある。ペイオフ延期はないにしても、危機対応枠組みを使って実質的な全額保護の延長をやりかねないなどの危険性が残っているのである。

日本人の間では、金融危機が起きたときに危機を止めるのは政府の要件だから、それも仕方がない、という考え方があるようだが、それは違う。そもそも不良債権があるから危機が起きるのであって、危機を封じ込めたければ、そうした全面保護のような形で政府が対応するのではなく、まず政府が主導権を取って不良債権を処理すべきなのである。そうでないと、金融危機対応枠組みがまた悪用されることになってしまう。

この論文で検討してきたようなポリシーミックスを実現するには、本来なら経済財政諮問会議のようなところで総合的に調整する必要がある。その点では、竹中氏も精いっぱい努力しておられるようだが、まだ理想的な形には至っていないと思っている。現在の小泉政権には、政策を立案する陣容はあっても、それを実行に移していくというシステムがない。それが小泉政権のアキレス腱ともなっている。

ここまで小泉政権に対して、批判的な検討を加えてきたが、小泉政権は、構造改革を断行すると述べている内閣であり、その意味では期待もしている。これまでと同じような愚を犯すことなく、構造改革に踏み込んでいってほしいと思っている。それが日本経済を停滞から脱却させる道である。〈了〉




岸田首相、2024年能登半島地震の被災者に「最大20万円貸します、利子はつきません」であふれる憤激「こんな冷たくひどい政府聞いたことない」
税金の無駄遣い、国会議員の高給・・・
2023年1月11日

岸田首相、地震の被災者に「最大20万円貸します」であふれる憤激「こんなひどい政府聞いたことない」

永田町にいるのに防災服(写真・時事通信)

能登半島地震が発生してから10日が過ぎた。石川県によると、2024年1月10日午後2時の時点で、県内で206人の死亡が確認されたという。また、安否がわからない37人の氏名や年齢などを公表、情報の提供を求めている。10日もたつのに政府関係者が誰も現地には行っていない。自主避難民が車中やビニールハウスで寒さに耐えているのに・・。

余震は続き、ライフラインの復旧も数カ月かかると言われるなかで、心配されるのが被災者の生活再建だ。そのためには生活資金の確保が欠かせない。
厚生労働省は2024年1月10日までに、低所得者世帯などに生活費を貸し付ける「緊急小口資金」の対象に、特例として能登半島地震の被災世帯を加えることを決定した。

厚労省のホームページによると、貸付金額は原則10万円以内だが、「世帯員の中に死亡者がいる」「世帯員に要介護者がいる」「世帯員が4人以上」「重傷者、妊産婦、学齢児童がいる」などの場合は20万円以内になるという。所得要件などはない。
返済は、据え置き期間1年の経過後2年以内なので最長3年となりますが、厚労省によると『猶予などにも柔軟に対応しますのでご相談ください。利子はつきません』とのことです。

当面の生活費として助かるのは間違いありませんが、被災して避難する状況では手続きもままならないはずです。申込書を直接、市区町村社会福祉協議会に出すのですが、役所も混乱しているでしょうから、使い勝手がいいとも思えません」(経済担当記者)

Twitter「X」には

《住むところも失い家族も失い20万貸付って岸田政権と厚生労働省は鬼か》

《被災地では仕事も無いし働く事も不可能 借金だなんて悪魔の所業だ》

《こんな酷い政府聞いたことないぞ》

などのコメントが寄せられている。ニュースサイトのコメント欄にも、

《返済しなければいけない貸し付けだから、生活の目途が立たない中で、安易には借りられないと躊躇する人もいるはず。この緊急小口資金は、大半の被災者に利用されない気がする》

《海外にあんなに義援金配ってるのに 国内にはたった20万のしかも貸付? この物価高に何を考えたらこの金額が出るのですか? もう少し検討してあげてください》

など、その少なすぎる金額に批判が集まっていた。

「被災地の現状や課題などを把握することが重要だ」と意気込んでいた岸田首相の姿勢のあらわれが「20万貸付」だとしたら、被災者にあまりにも冷たすぎる。




ウクライナのコルスンスキー駐日大使「北方領土はロシアに占領された日本の主権領土だ」
2024年2月8日
         ウクライナのコルスンスキー駐日大使(黒川信雄撮影)



ウクライナのコルスンスキー駐日大使は2024年2月7日、日本が同日に「北方領土の日」を迎えたのに合わせ、北方領土はロシアに占領された日本の領土だと、自身のX(旧ツイッター)に投稿した。

コルスンスキー氏は、「今日改めて申し上げたいのは、北方領土はロシアに占領された日本の主権領土であるということだ」と強調した。その上で、「私たちは、ロシアが再び敗北し、占領されたすべての土地が虜囚の地から解放されるその日まで、共に歩んでいかなければなりません」と訴えた。




許すまじ! 自民・安倍派に8億円脱税疑惑、政治家なら「不明」だらけの収支報告書でまかり通るのか
2024年2月8日

最後の安倍派議員総会(右から、萩生田光一前政調会長、高木毅前国対委員長、塩谷立元文科相)/(C)日刊ゲンダイ

今月16日から始まる確定申告を前に、国民の怒りは煮えたぎるばかりだ。国会では連日、自民党派閥による裏金事件への追及が続いている。裏金議員は政治資金収支報告書を訂正して逃げ切りを図ろうとしているが、そうは問屋が卸さない。巨額脱税疑惑がくすぶったままだ。

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「こんな『不明、不明、不明』の収支報告書の訂正は、脱税の疑いのあるマネーロンダリングじゃないですか」

7日の衆院予算委員会で立憲民主党の後藤祐一議員は、裏金議員による収支報告書のずさんさを取り上げ、岸田首相にそう迫った。
問題となったのは、自民党派閥の中で最も裏金をこさえていた安倍派の「5人衆」だった萩生田光一前政調会長の収支報告書だ。

萩生田氏が代表を務める「自民党東京都第24選挙区」は2日、2020~22年分の収支報告書について、安倍派からの寄付計1952万円を追加して訂正。ところが、いずれの年でも「収入総額」「支出総額」「翌年への繰越額」のすべてを不明と記載し、お茶を濁そうとしていた。一体、いつ、いくら、どこで使ったのか、サッパリ分からないのだ。

予算委で後藤氏が「このような『訂正』は政治資金規正法上、認められるのか」と追及すると、同法を所管する松本総務相は「『不明』についてのご指摘ですが、過去にも領収書などが災害などによって滅失した場合など、記載できない項目については『不明』と記載し、確認できた範囲内で収支報告書を記載して提出された事例はある」などと強弁した。

災害ならまだしも、萩生田氏は被災者でも何でもない。松本大臣が並べた理屈に当てはまるわけがない。

萩生田氏は裏金を全額、個人的に使った可能性がある。個人的に使っていたとしたら、雑所得となり、税金を払う必要がある。

二階派は約3.2億円
他の裏金議員も脱税疑惑がくすぶる。おととしまでの5年間で、安倍派は計6億7503万円、二階派は計2億6460万円のパーティー収入などを派閥の収支報告書に記載していなかった。安倍派と二階派の裏金も、政治資金とみなされず、課税対象となる可能性がある。納税額は一体、いくらに上るのか。立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)がこう言う。

「政治資金パーティーの実態はイベントによる収益事業であり、本来なら課税されるべきですし、議員個人の懐に入った裏金は雑所得として扱われます。派閥は法人税法違反、議員は所得税法違反の可能性があるのです。悪質性を加味して考えると、法人税と所得税に加えて重加算税と延滞税を課すべきでしょう。それぞれ、納税されるべき額は6割程度と考えられます」


ザッと計算すると、法人税法及び所得税法違反の場合、脱税額は安倍派が約8億円、二階派が約3.2億円にも上る。計11億円超の巨額脱税だ。7日の予算委で国税庁幹部は税務調査について問われ、「実態に即して判断する」と答弁していた。


「国税は昔から『弱きをくじき、強きを助ける』と言われていますが、『実態に即して』と言うのであれば、なおのこと調査に乗り出すべきです。通常、納税者の不備や非協力によって実額を把握できない時は『推計課税』が課されます。例えば飲食店の場合、客数や席数、1日の売り上げなどから納税額を推計される場合があります。今回の裏金事件のように悪質な場合は、政治家にも推計課税を課していいのではないか」(浦野広明氏)

「脱税許すまじ」の世論が大きくなれば、国税も動かざるを得なくなる。巨悪を眠らせていてはダメだ。




オムロン、2000人削減へ 中国経済鈍化で業績悪化
2024年2月26日

 オムロン(日本の京都府京都市に本社を置く大手電気機器)は2024年2月26日、中国経済の成長鈍化やサプライチェーン(供給網)の混乱で業績が悪化したため、約2千人の人員を削減すると発表した。構造改革の一環で、人件費を削減して収益の改善を目指す。国内では千人程度の希望退職を募集する。
 国内の希望退職は一部を除くグループ各社で募る。今年2024年7月20日時点で勤続3年以上かつ40歳以上となる正社員らが対象。2024年4月10日から2024年5月31日まで募集する。海外では現地の労働法や規則に従って人員を削減する。グループ全体の人員は約2万8千人。
 希望退職を含む構造改革で300億円の固定費削減効果を見込む。主力の制御機器事業で中国需要が振るわなかった。














     寝すぎて右肩が痛い猫。
戦争、金、銭、・・・難い話はいいかげんやめてくれ、
ゆっくりと平穏に生活したい。命あっての物種だな。
右肩上がり経済は、もういいよ!俺は寝過ぎて右肩が痛い!
中国では監視カメラがそこら中にあってゆっくり寝てられないけど
日本は監視されていないので、安心してる。ゆっくり人生を楽しむべし!






































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