×最終ガソリン車:Honda N-WGN Custom Lパッケージ・ターボ Honda SENSING

2019年8月9日に発売されたので、かなり古くなった。来年2022年は、最終ガソリン車:Honda N-シリーズがマイナーチェンジしてマイルドハイブリッド車もしくはフルハイブリッド車になる予定だ。ハイブリッドになったら買っても良い。20万円高になるだろう! 

 完全電動車EVのNシリーズは2023年から2024年頃に出てくるだろう。しかし、インフラ整備や継続距離の問題が有ったり、価格が高くなるので、補助金が出るのか、など問題も多い。

2022年、最終ガソリン車元年となる:

N-WGN Custom Lパッケージ・ターボ   Honda SENSING

FF

1,694,000


ホンダ「N-WGN/N-WGN カスタム」一部改良 ~ボディーと同色のコンビネーショングリル採用


ミッドナイトブルービーム・メタリック&シルバー
 N-WGN Custom Lパッケージ・ターボ 
15インチアルミホイール&ハンドル本革巻き&パドルシフト

FF

1,694,000



N-WGNはホンダが生産・販売している軽トールワゴン型の軽自動車である。N-WGNは「Nシリーズ」の第4弾で、軽自動車の「新しいベーシック」を目指し、基本性能を高次元で備えた軽自動車規格のミニバンとも言える軽ハイトワゴンとして開発された。

初代N-WGNは2013年11月20日「N-WGN」を発表。

2代目 JH3/4型のN-WGNは2019年7月18日フルモデルチェンジを正式発表、2019年8月9日発売。エンジン型式はS07AからS07Bと改良されたエンジンを採用。

 第2世代のN-WGNで700kmほど遠乗りしたこと。コーナリングは苦手だが、フラット感は同社の中上級クラス『インサイト』『アコード』に勝つのではないかというくらい高く、乗り心地は秀逸、静粛性も驚くほど。それこそこのクルマでどこまでも走って行きたくなると思わされるものがあった。軽自動車に乗ってることを忘れてしまうような乗り心地、静かさ、走りです。安っぽくない内装、居住空間の広さ、安全装備の充実。


Honda N-WGN Custom L パッケージ   Honda SENSING
14インチアルミホイール
ターボが無いので、パドルシフトは無
ハンドルは本革巻きではない。

FF

1,617,000

消費税抜き 1,470,000円






Honda N-WGN Custom G パッケージ   Honda SENSING

FF

1,540,000

消費税抜き 1,400,000円


14インチアルミホイール

ターボが無いので、パドルシフトは無。
ハンドルは本革巻きではない。
ナビ装着用スペシャルパッケージ+ETC車載器 〈ナビゲーション連動〉が無いので
ディーラーオプションでETC車載器2.0〈ナビゲーション連動〉と8インチインターナビを買う。ナビ連動になるようにパノラマモニター用のカメラセットも買う。割高になるのでCustom L 若しくは Custom T を選択したほうが良い。ホンダNシリーズは全車が、完全ガソリン車だ。次世代車を選ぶなら、且つ、マイルドハイブリッド車ならスズキのワゴンRステングレーやハスラーjスタイルⅡ(2022年5月発売)が良い。


Honda SENSINGについて

■Honda SENSINGは、ドライバーの運転支援機能のため、各機能の能力(認識能力・制御能力)には限界があります。

各機能の能力を過信せず、つねに周囲の状況に気をつけ、安全運転をお願いします。


車両をご使用になる前に必ず取扱説明書をお読みください。各システムは、いずれも道路状況、天候状況、車両状態等によっては、作動しない場合や十分に性能を発揮できない場合があります。


衝突軽減ブレーキ〈CMBS〉は、約5km/h以上で走行中に自車との速度差が約5km/h以上ある前走車、歩行者、移動する自転車、または対向車に対して衝突する可能性があるとシステムが判断した場合に作動し、自動的に停止または減速することにより衝突回避や衝突被害の軽減を図ります。対向車、歩行者、移動する自転車に対しては、自車が約100km/h以下で走行中の場合に作動します。

誤発進抑制機能は、停車時や約10km/h以下で走行しているとき、自車のほぼ真正面の近距離に車両などの障害物があるにもかかわらず、アクセルペダルを踏み込んだ場合に、エンジン出力を抑制し、急な発進を防止するとともに、音と表示で接近を知らせます。

歩行者事故低減ステアリングは、約10km/h~約40km/hで走行中に、システムが歩行者側への車線逸脱と歩行者との衝突を予測した場合に、ステアリング操作による回避を支援します。運転者のステアリング操作に代わるものではありません。運転者が加速やブレーキ操作、急なステアリング操作を行っているとシステムが判断した場合、ウインカーを作動させている場合は作動しません。

先行車発進お知らせ機能は、先行車との車間距離が約10m以内で、先行車の発進を検知しても自車が停止し続けたときに作動します。

標識認識機能は最高速度、はみ出し通行禁止、一時停止、車両進入禁止の標識を認識し、マルチインフォメーション・ディスプレーに表示します。一時停止、車両進入禁止は約60km/h以下で作動します。自車の単眼カメラから見て、車両等の陰になった道路標識は認識することができません。

路外逸脱抑制機能は約60km/h~約120km/hで走行中に、路外への逸脱またはシステムが路外への逸脱を予測したとき、作動します。運転者のステアリング操作に代わるものではありません。運転者が加速やブレーキ操作、急なステアリング操作を行っているとシステムが判断した場合、ウインカーを作動させている場合は作動しません。

渋滞追従機能付ACCは、0km/h以上で作動します。前方車両に接近しすぎる場合には、ブレーキペダルを踏むなどして適切な車間距離を保ってください。 急なカーブや加速・減速の繰り返しが少ない、高速道路や自動車専用道路などを運転するときに使用してください。

LKAS〈車線維持支援システム〉は、約65km/h以上で作動します。運転者のステアリング操作に代わるものではありません。運転者がステアリングから手を放した状態や、運転者が意図的に車線を越えるようなステアリング操作をしているとシステムが判断した場合、ウインカーを作動させている場合は作動しません。急なカーブや加速・減速の繰り返しが少ない、高速道路や自動車専用道路などを運転するときに使用してください。

後方誤発進抑制機能は、停車時や約10km/h以下で後退しているとき、自車のほぼ真後ろの近距離に車両などの障害物があるにもかかわらず、アクセルペダルを踏み込んだ場合に、エンジン出力を抑制し、急な後退を防止するとともに、音と表示で接近を知らせます。

オートハイビームは、約30km/h以上で走行中に作動します。ハイビームとロービームの自動切り替え制御には状況により限界があります。つねに周囲の状況を確認し、必要に応じて手動で切り替え操作を行ってください。

■N-WGNは安全の追求を重ねた結果、被害軽減ブレーキ[対歩行者]試験に夜間[街灯なし]条件が追加された2019年度(令和元年度)自動車アセスメントの予防安全性能評価において、最高ランクの「ASV+++」を獲得しました。

試験車両:N-WGN L・Honda SENSING LEDヘッドライト+オートリトラミラー装着車


パーキングセンサーシステム

リアバンパーに4つの超音波センサーを搭載。バックの際、クルマの後方と斜め後ろにある障害物の接近を音と表示で知らせ、安心感のある運転を支援する機能を、Hondaの軽自動車で初めて※1標準装備としています。

■N-WGNは安全の追求を重ねた結果、2019年度(令和元年度)自動車アセスメント(JNCAP)において最高評価である“衝突安全性能評価ファイブスター賞”を受賞しました。


前席用i-サイドエアバッグシステム+サイドカーテンエアバッグシステム〈前席/後席対応〉

側面からの衝突にも備えるエアバッグを、すべての席に。

もしもの事態に、確かな備えを。側面衝突時、センサーが衝撃を感知するとスピーディーに展開し、乗員保護性能を高めるエアバッグを全タイプに標準装備。しっかりと守られる安心感を、すべての席に拡大しました。

毎日気兼ねなく使える、より実用的な燃費性能。

暮らしのパートナーとして、気兼ねなく使えるように。N-WGNはより実用的な燃費性能にこだわって、毎日にうれしい低燃費を追求しています。

停車時にエンジンを止めて省エネをサポート。

信号待ちなどの停車時にエンジンをストップ※2。燃料消費と排出ガスを抑えます。


アイドリングストップシステム

オートブレーキホールド機能がオフの場合は、減速中からエンジンを自動的にストップ※2。より長くエンジンを止め、燃料消費と排出ガスを抑えます。オートブレーキホールド機能については「走行性能」をご覧ください。


クルマ全体を、低燃費モードに。ECONスイッチ(ECONモード)

エンジンやエアコンといった、クルマ全体の動きを燃費優先で自動制御するECONモード。空調など快適性を優先したいときは、スイッチを押してオフにできます。

Honda SENSINGについて(終)


補足事項:

ホンダアクセスが開発した安全運転支援システム「リアカメラdeあんしんプラス3」が人気だ。これはリアワイドカメラで撮影した映像を純正カーナビ上で活用することで実現するホンダ純正アクセサリーで、2020年秋に3世代目へと進化を遂げた。その進化のポイントを体験した。


車間距離を詰め続ける行為に対して注意喚起する「後方車両お知らせ」

「リアカメラdeあんしんプラス3」は、リアカメラから取得する画像を利用した運転支援システム。本システムはその3世代めとなり、従来から備えられていた「後退駐車サポート」「後退出庫サポート」、「後方死角サポート」に加え、新たに「後方車両お知らせ」機能を追加したものとなっている。ホンダアクセス「ギャザズ」の純正カーナビとリアワイドカメラを組み合わせたシステムに、ノートPCのACアダプターほどの大きさの専用ユニットを割り込ませることで可能となる。


中でも注目なのが新機能として追加された「後方車両お知らせ」機能だ。接近してくる後続車との車間距離が近い状態が続くと、音とナビ画面のインジケーターで注意を喚起してくれる。昨今、“あおり運転”対策としてドラレコを装着する人が増えたが、多くのドラレコでは映像を記録するものの警告まではしてくれない。そもそも後続車が近づいていることは気付くべきであるが、話に夢中になっている時などついうっかり見過ごしてしまうこともあり得る。そんな時でもこの警告によって気付かせてくれるってわけだ。


この機能のポイントはバックカメラで撮影した映像内に検知エリアを設定したことにある。その範囲内(後方3mを隔てた約10m~15mの範囲)に入る車両を検知し、それを継続している場合に注意喚起をする。実際にどう働くのか、今回はあらかじめ後続車を仕立て、そのクルマに近づいてもらって体験することにした。試乗車は新型「N-ONE」で、ホンダの軽自動車であるN-ONEやN-WGN、N-BOX向けに開発したギャザズの純正カーナビ「VXU-217NBi」を搭載していた。


ナビを起動させると画面右上には2つの機能アイコンが表示される。右側が「後方死角サポート」で、左側が注目の新機能「後方車両お知らせ」のアイコンだ。タッチすることで、それぞれの機能のON/OFFが行える。機能をONにして後方車が近づき、少し経つ(2秒程度)とまずアイコンがオレンジ色に変化して状況を告知。さらに一定時間(3~5秒程度)を過ぎるとアラームと共に音声で「後ろに車が接近しています」とのメッセージが流れた。これならたとえドライバーがこの状況に気付かなくても、後続車が迫って来ている状況をいち早く察知できそうだ。


高速道路での車線移動に大きな安心を生む「後方視角サポート」

次に試したのが、高速道路などの走行中に役立つ「後方死角サポート」だ。この機能は、旧バージョン「リアカメラ de あんしんプラス2」から引き継がれている機能で、走行中に斜め後ろを走っている車両の存在をカメラで検知してナビゲーション上で知らせてくれる。上級車であればドアミラーなどで「ブラインドスポット・インフォメーション(BSI)」として警告してくれるが、軽自動車には未だに搭載された例がない。これがあると特に車線変更時の安心感はグッと高まるのだ。これも高速道路で体験してみた。


この機能は約30km/hを超えると機能する。左右の斜め後ろにクルマが近づいて来るとアイコンがグリーン→オレンジに変わり、その中にはそれがどちら側なのかを示す矢印も表示される。また、左右両方から来ている場合はそれも矢印で知らされる。この時にウインカーを動作させようとすると、アラーム音とナビ画面上にそのまま車線移動すると危険であることが警告されるのだ。もちろん、この機能があるとはいえ、車線変更前にドライバーは目視して安全確認する必要はある。しかし、これがあることでその安心感はグンと高まるってわけだ。


駐車で安心安全をもたらす「後退駐車サポート」「後退出庫サポート」

目的地に着いて役立つ機能が「後退駐車サポート」「後退出庫サポート」だ。これはステアリングの動きに応じて動くガイドラインによって駐車枠へスムーズに入れられるようアシストする機能。とかく駐車を苦手とする人は多く、特に初めての場所だと目印もわからず思うように駐められなくなってしまいがちだ。「リアカメラdeあんしんプラス3」では、この機能にも手を加えてよりわかりやすい方法へと進化させている。


そのポイントは、従来のからあったルマと駐車位置に対する角度のズレを示すガイドラインに加え、「コの字」のアシストアイコンを加えたことにある。これによって駐車枠に対して自車がどのぐらい傾いているかが把握しやすくなったのだ。もちろん、バックカメラと俯瞰して全体を見せる「ダブルビュー表示」も備えているし、フロントタイヤが左右どちらにどのくらい切れているかを示す機能もある。


個人的に高く評価したいのは、もう一つの「後退出庫サポート」だ。一言で言えばリアカメラで把握できた後方周辺の動きを検知し、その存在を知らせてくれる機能なのだが、特に突っ込みで駐車場に入れた時は大いに役立つ。ギアをリバースに入れて、人やクルマが近づいている時は音とナビ画面上でそれを知らせてくれるのだ。多少過敏かと思う時もあるが、その状況を把握しながら安全を確認できるのはありがたい。


なお、従来の「リアカメラdeあんしんプラス2」に装備されていた、「車線キープサポート」はホンダセンシングの機能とかぶるため、あえて機能を省いたとのこと。


うっかりミスによる事故が後を絶たない中、より安全にクルマをコントロールするのにありがたいサポートをしてくれるのが「リアカメラdeあんしんプラス3」。特に登録車でこの機能を体験していた人が軽自動車に乗り換えた時、いきなりこれらのアシストがなくなると不安に思うこともあるはずだ。カーナビゲーションとリアカメラは組み合わせて使うことが多いだけに、費用負担が大きくなることもない。機能に頼り過ぎない運転も必要だが、安心を高める機能として有効性を実感した次第だ。《会田肇》




Nワゴンの基本性能データ

メーカージャンル燃費全高ターボNA
ホンダハイトワゴン29km/L1675mm64ps58ps
室内長室内幅室内高燃料タンク車両重量新車価格
2055mm1350mm1300mm27L850kg127万円~
航続可能距離パワーウェイトレシオ室内容積
満タンで783km14.66kg/ps3,606,525cm³

※数値はグレードにより若干異なります。航続可能距離や室内容積は単純計算の参考値です。

Nワゴンの最近の改良履歴

フルモデルチェンジ。ホンダセンシングを全車に標準装備し、渋滞追従制御付のクルーズコントロールやオートブレーキホールドなど先進機能を搭載しながら低価格を実現。




N-BOXオールシーズンマットの使い勝手がすごく良い!




【ホンダ N-WGN】JH3系 Lホンダセンシング  動画カタログ_内装からオプションまで徹底解説





A-Collect|Honda Access|Honda公式サイト









三部新社長のもと、ホンダの電動化は今後どうなっていくのか?

ホンダは2021年2月19日に社長人事を発表した。4月1日付けで専務取締役の三部敏宏氏が代表取締役社長に就任する。気になるのは、2030年~2035年にかけて、純ガソリン車の新車販売を禁止し、電動化時代に向けて、ホンダはどう対応するのかということ。

 そのなかで一番気になっているのは、我ら庶民の足、軽自動車の電動化がどうなるのか? もちろん、軽自動車も電動化の対象だ。

 国内新車販売4年連続NO.1、軽自動車販売6年連続NO.1のN-BOXはいまだマイルドHVどころか、フルHVも搭載していない。そのほかのホンダの軽もHVは用意されていないのだ。2021年12月現在もNシリーズはすべて純ガソリン車なのだ。ホンダの新車販売台数全体に占める軽自動車の割合は50%を超えるのにだ。
ホンダの場合、ユーザーにとって気になるのは、N-BOXやN-WGNといった軽自動車の行方だろう。ホンダは2020年にN-BOXを20万台近く販売しており、国内の最多販売車種になった。この販売台数は、2020年に国内で売られたホンダ車の32%に達する。N-WGNなどを加えた軽自動車全体になると50%を超える。ホンダ車軽自動車はホンダ全体の半分が、いまだに純ガソリン車を売りつづけていることになる

地方在住者の重要な足、軽自動車が電動化(EV化)によって高騰し買えなくなる!?
今のホンダにとって軽自動車は一番の売れ筋カテゴリーだが、2030年度燃費基準に対応すべくフルハイブリッドや電気自動車になると、価格が大幅に高まる。300万円以上。

 軽自動車は、価格、税額、燃料代などが安いため、公共の交通機関を利用しにくい地域では、買い物や通勤に欠かせない移動手段になっている。年金で生活する高齢者が、軽自動車を使って買い物や通院をしていることを考えると、ライフラインともいえる。

 つまり軽自動車はカテゴリー自体に福祉車両の性格が伴い、公共性も高い。ハイブリッドや電気自動車になって価格が高まると、移動の自由、さらには生活権まで奪われるユーザーが生じかねない。軽自動車については、2030年度燃費基準に対応しながら、価格の上昇を抑えることが求められている。

 2030年度燃費基準は、2020年度と同様、CAFE(企業別平均燃費方式)によって判断される。そのために燃費の優れた車種を大量に販売すれば、燃費の悪いクルマを少し売ってもカバーできるが、燃費数値は2020年度に比べると大幅に引き上げられる。

 例えば現行N-BOXで売れ筋になる標準ボディのLは、車両重量が900kgでWLTCモード燃費は21.2km/L(JC08モード燃費は27km/L)だ。従来の2020年度燃費基準では、900kgの車両重量に相当するJC08モード燃費が23.7km/Lだったから、27km/LのN-BOX・Lは十分にクリアできていた。

 ところが2030年度燃費基準では、900kgの車両重量に相当するのは、WLTCモード燃費で27.8km/L前後だ計測方法がWLTCモードに変わり、さらに燃費基準の数値も引き上げられる。N-BOX・LのWLTCモード燃費は前述の21.2km/Lだから、燃費数値を31%向上させねばならない。

 低価格で採用できる環境技術としては、マイルドハイブリッドがある。モーター機能付き発電機を搭載して、減速時の発電/エンジン駆動の支援/アイドリングストップ後の再始動を行い、発電された電気は小さなリチウムイオンバッテリーなどに蓄える方式だ。スズキの軽自動車ワゴンRステングレー、ハスラーjスタイルなどがある。

 このシステムは軽自動車に幅広く使われるが、燃費数値の向上率は低い。例えばワゴンRの場合、NAエンジンのWLTCモード燃費は24.4km/Lで、マイルドハイブリッドは25.2km/Lだ。3%の燃費向上だから、N-BOX・Lが2030年度燃費基準を達成するために必要な31%には遠くおよばない。N-BOXにマイルドハイブリッドシステムを加えただけでは、2030年度燃費基準をクリアするのは困難だ。

 それならフルハイブリッドシステムならどうか。ホンダ、フィットのホームでNAエンジンとフルハイブリッドのe:HEVを比べると、後者の数値は43%向上している。ヤリスでは1.5LNAエンジンとフルハイブリッドを比べると、G同士の比較でフルハイブリッドのWLTCモード燃費は67%向上する。


N-BOXのフルHVが登場する?

したがってN-BOXにフルハイブリッドを搭載すると、2030年度燃費基準を達成できる。同様のことがほかの軽自動車にも当てはまる。この時に問題になるのが価格だ。コンパクトカーは価格競争が激しいので、ホンダフィットホームでは、NAエンジンとハイブリッドの価格差をほかの車種に比べて小さく抑えた。それでも34万9800円の上乗せだ。ヤリスGは37万4000円になる。

 このように今のところ、NAエンジンとフルハイブリッドの価格差は最小でも約35万円だ。N-BOX・Lの価格は155万9800円だから、35万円を加えると191万円に達する。比率に換算すると22%の値上げだ。

 エアロパーツや派手な外観を備えない標準ボディのベーシックなN-BOXが190万円を超えると、割高感が生じてしまう。売れ行きが下がってコストの低減も困難になり、さらに価格が高まったり、高品質の維持が難しくなることも考えられる。

 先に述べた通り、軽自動車にはライフラインや福祉車両の性格が伴うため、価格が上昇すると軽自動車の社会的な使命を果たせない心配も生じる。


ホンダ ヴェゼル 完全EV車のハンドル 2021年11月のカタログから




スズキの電動化戦略はどうなる?
ホンダとともに岐路に立たされているスズキ。2030年度の燃費基準をクリアするためには、現在のマイルドハイブリッドに代わる低コストのフルハイブリッド開発、もしくは資本提携先のトヨタのハイブリッドシステムを搭載するなどの対策が必要



ただし35万円前後のフルハイブリッドを20万円で装着するには、さまざまな工夫が求められる。まずはフルハイブリッドシステムのコスト低減だ。スズキの鈴木俊宏社長は「2025年までに電動化技術を整える」としており、現在のマイルドハイブリッドを進化させて、環境/燃費性能をフルハイブリッドに近付けることも考えられる。

 そして今のスズキはトヨタと提携しており、トヨタの完全子会社になるダイハツとも間接的な繋がりを持つ。そうなると新たに軽自動車用ハイブリッドシステムを開発して、スズキとダイハツで共用することも考えられる。

 かつてマツダがトヨタのハイブリッドシステム(THSII)を導入して、自社製のエンジンに装着してアクセラに搭載したことがあった。この時は相当な技術的困難が伴ったが、低コストのハイブリッドシステムを共通化することは不可能ではない。そこにホンダが加わることも考えられる。そうなれば20万円の上乗せで2030年度燃費基準をクリアすることも可能かも知れない。

 エンジンやトランスミッションなどの効率向上も重要だ。エンジン排気量を800cc前後まで拡大させると、環境/燃費性能が向上して、2030年度燃費基準への対応もしやすくなる。ただし増税とセットにされたらユーザーのメリットが大幅に下がるので、税金の据え置きが大前提だ。

燃費基準の見直しも求められる。現状の燃費基準は、車両重量と燃費数値を単純に組み合わせただけだ。そのために環境性能を向上させる王道ともいえる軽量化の努力は、まったく報われていない。

 例えばN-BOXの車両重量を100kg軽くして800kgに抑えて燃費を向上させても、同程度のワゴンRと同列で判断されるだけだ。軽量化した分だけ、燃費基準の数値も引き上げられてしまう。900kgの車両重量に相当する2030年度燃費基準は、前述の通りWLTCモード燃費で27.8km/L前後だが、800kgに軽くすれば28.5km/Lが課せられてしまう。

 これではメーカーも抜本的な軽量化に踏み切れない。車体の容量で判断するなど、N-BOXを軽量化して環境/燃費性能を向上させたことが、2030年度燃費基準の達成で評価される仕組みが求められる。

 以上のように2030年度燃費基準にN-BOXのような軽自動車を対応させるには、さまざまな制度の見直しが必要で、それは環境問題に対する取り組み方を検証することにもつながる。

 好機と捉えて、燃費基準の仕組みなどをあるべき内容に刷新させたい。この時には第一線で開発に取り組む開発者の意見を重視すべきだ。それを今後4~5年間で達成しないと軽自動車の将来も危うい。



2035年までに純ガソリン車の新車販売禁止 なぜ庶民のアシ 軽自動車も対象なのか??

2020年12月25日、日本政府の経済財政諮問会議のもとに設置されている加藤雅信官房長官が議長を務める成長戦略会議は、2020年10月に菅義偉内閣総理大臣が宣言した「2050年カーボンニュートラル」に基づき、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を採択した。

 そのなかで気候変動緩和を「成長の機会と捉える時代」になったと位置付け、変革のロードマップを示した。自動車・蓄電池(バッテリー)産業では以下のように明記されている(一部抜粋)。

 「自動車は、電動化を推進する。欧州の一部の国やカリフォルニア州ではガソリン車の販売の禁止が相次いで打ち出されるなど、自動車の電動化は、想像以上のペースで進んでいる。日本は、この分野でのリーダーを目指さなければならない。

 遅くとも2030年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、フルハイブリッド自動車)100%を実現できるよう、包括的な措置を講じる。商用車についても、乗用車に準じて2021年夏までに検討を進める。

 この10年間は電気自動車の導入を強力に進め、電池をはじめ、世界をリードする産業サプライチェーンとモビリティ社会を構築する。この際、特に軽自動車や商用車等の、電気自動車や燃料電池自動車への転換について、特段の対策を講じていく。

 こうした取組やエネルギーのカーボンニュートラル化の取組を通じて、カーボンニュートラルに向けた多様な選択肢を追求し、2050年に自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2ゼロを目指す。

 CO2排出削減と移動の活性化が同時に実現できるよう、車の使い方の変革による地域の移動課題の解決にも取り組む。ユーザーの行動変容や電動化に対応した新たなサービス・インフラの社会実装を加速する。

 また、蓄電池は、自動車の電動化や再生可能エネルギーの普及に必要となる調整力のカーボンフリー化の要である。研究開発・実証・設備投資支援、制度的枠組みの検討、国際標準化に向けた国際連携といった政策により、蓄電池の産業競争力強化を図る。

 2030年までのできるだけ早期に、電気自動車とガソリン車の経済性が同等となる車載用の電池パック価格1万円/kWh以下、太陽光併設型の家庭用蓄電池が経済性を持つシステム価格7万円/kWh以下(工事費込み)を目指す。

 また、2030年以降、更なる蓄電池性能の向上が期待される次世代電池の実用化を目指す。具体的には、まずはホンダの全固体リチウムイオン電池の本格実用化、2035年頃に革新型電池(フッ化物電池・亜鉛負極電池等)の実用化を目指す」。
(出典:経済産業省・2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略)

 注目したいのは、軽自動車の存在。政府が示したこのロードマップのなかで、軽自動車も電動化の対象に含まれることが明記された。いまや軽自動車は新車販売の約4割を占め、登録車に比べて維持費が安く、地方では1人1台といえるほどの生活必需品、いわば庶民の足だ。

 しかし、現状では、軽自動車にフルハイブリッド車を採用している自動車メーカーはなく、スズキや日産&三菱(NMKV)が簡易タイプのマイクロハイブリッドを採用している。ホンダ、ダイハツのフルハイブリッド車はない。

 スズキの場合、スペーシア、ハスラー、ワゴンRなどの売れ筋車種に、マイクロ(マイルド?)ハイブリッド(モーター出力は2.6~3.1ps)を搭載、スズキの軽乗用車に占めるマイクロハイブリッド比率は50~60%となっている。

 政府が進める電動化は、庶民のアシ、軽自動車まで含まれるということが明らかになったわけだが、この電動化が、マイクロハイブリッドで済むのか、それともフルハイブリッドでなくてはいけないのか? 

 もしフルハイブリッドしか認められないということになると大幅なコスト高で、軽自動車の価格が高くなり、存在価値が薄まってしまうのではないか?

 本企画では、政府が進める「2035年までに純エンジン車新車販売禁止」における、軽自動車はどうなるのか、モータージャーナリストの国沢光宏氏が解説する。


文/国沢光宏

政府が進める「2035年までに純エンジン車新車販売禁止」における、軽自動車はどうなるのか


1/電動化の推進・車の使い方の変革

【現状と課題】

 欧州や中国は、電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の普及を戦略的に進めており、急速に普及が拡大する一方、日本では、欧州や中国に比べ、普及が遅れている。※13

 また、各国で燃料電池トラック・バスの開発支援の取組が強化されている。電動車の普及に向けては、車両価格の低減等による社会的受容の拡大、充電インフラ・水素ステーション等のインフラ整備といった課題がある。

 また、電池・燃料電池・モータ等の電動車関連技術・サプライチェーン・バリューチェーンの強化も課題となる。特に、軽自動車・商用車等ユーザーのコスト意識や車体設計上の制約が厳しい自動車の電動化や中小企業等のサプライヤーの競争力強化は、重要な課題である。

 また、自動車のライフサイクルでのCO₂削減のためには、CO2排出の少ないエネルギーの調達の円滑化も重要となる。加えて、各国で、MaaS(モビリティのサービス化:Mobility as a Service)や自動走行技術を活用した持続的な都市交通の実証・実装が進展中である。

 例えば欧州では、環境負荷の低減と都市交通の最適化を図る「持続可能でスマートなモビリティ戦略」を策定するほか、各国連携による大規模実証プロジェクトが進む。※14

 日本では、各地でMaaS実証の取組が進むものの、大規模に事業化できている事例は少なく、環境負荷の低減と移動課題の解決の両立を地域全体で進める必要がある。自動走行技術についても、米国や中国に比べて、日本では公道実証を通じた走行データ収集は容易ではなく、デジタル技術を活用した開発・評価環境の整備が急務である。


※12:電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車
※13:2020年第3四半期の電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の販売台数は、EU全体:約27万台(2019年同期比で3倍以上、欧州自動車工業会速報ベース)、日本:約6千台(2019年同期比で約5割、日本自動車販売協会連合会公表データから経済産業省集計)
※14:欧州13ヵ国含む69組織が合同で「SHOW」プロジェクトを実施。2024年までに域内12都市に70台以上の自動走行電気自動車を、専用レーンや5G網とともに実装・配備予定。


【今後の取組】

 電動化の推進に向け、以下のような取組を行う。

(a)電動車・インフラの導入拡大燃費規制の活用、公共調達の推進、充電インフラ拡充、導入支援や買換え促進等に取り組む。

(b)電池・燃料電池・モータ等の電動車関連技術・サプライチェーン・バリューチェーン強化大規模投資支援、技術開発・実証や軽動車・商用車等の電動化支援、中小企業等のサプライヤーの事業転換とそれを支えるデジタル開発基盤の構築の支援検討、自動車ディーラーをはじめとした地域の自動車関連産業の電動化対応・事業転換支援検討等に取り組む。

 また、脱炭素電力の購入の円滑化を進めるため、需要家の利便性向上に向け、非化石価値取引市場などの制度の在り方の検討を進める。

(c)車の使い方の変革ユーザーによる電動車の選択・利用の促進に加え、持続可能な移動サービス、物流の効率化・生産性向上を実現するべく、自動走行・デジタル技術の活用や道路・都市インフラとの連携に取り組む。



2/燃料のカーボンニュートラル化(合成燃料(e-fuel)等)

【現状と課題】

 カーボンニュートラルを目指す上では、動力源となるエネルギーのカーボンニュートラル化も必要となる。特に、電動化のハードルが高い商用車等については、燃料の効率的利用とともに、燃料のカーボンニュートラル化の取組が重要となる。

 燃料のカーボンニュートラル化に向けては、既存のインフラが使える合成燃料(e-fuel)15が注目されているが、商用化に向けた一貫製造プロセスが未確立である。

 また、製造に当たって、専用の設備を新設する必要があり、大規模な投資・設備維持コストが必要となるため、製造効率の向上等により、低コスト化を図る必要がある。


【今後の取組】

 合成燃料について、2050年に、 ガソリン価格以下のコストが実現できるよう、既存技術の高効率化・低コスト化に加え、革新的新規技術・プロセスの開発を実施するとともに、商用化に向けた一貫製造プロセス確立のための応用研究を実施する。

3/蓄電池

【現状と課題】

 電気自動車にはハイブリッド自動車の50~100倍程度、プラグインハイブリッドには10~20倍程度の容量の蓄電池がそれぞれ搭載されるなど、自動車をはじめとしたモビリティの電動化を進める上で、蓄電池の確保とサプライチェーンの安定化は重要な課題である。

 欧州では、域内蓄電池サプライチェーン構築に向けて「欧州バッテリーアライアンス」を構築し、素材・蓄電池・自動車メーカー等を支援(※16)するほか、フランス等による電池工場への投資支援等も発表されている。※17

 加えて、2020年12月には、バッテリー指令の改正案が公表され、蓄電池のライフサイクルでのCO2排出量のラベル規制やリユース・リサイクルに関する規律の導入等が示された。

 今後は、CO2排出の少ないエネルギーの調達ができるかどうかが蓄電池の競争力を規定することとなる可能性がある。中国・韓国企業は、積極的に蓄電池への投資を進めており、世界シェアを伸ばす一方、日本企業のシェアは落ちている(※18)ほか、次世代蓄電池の技術開発においても、中国・韓国の取組が強化されている。※19

 電動車の用途拡大や定置用蓄電池の一層の普及のためには、電池の軽量化・小型化・価格低減等が必要であり、大規模投資と技術力強化が課題である。

 また、家庭用太陽光の普及やレジリエンスの関心の拡大を受け、日本の家庭用蓄電池の市場規模は、容量ベースで世界最大20に成長する一方、韓国企業が約7割のシェアを占め、日本企業のシェアは約3割に過ぎない。

 国内でも、液系リチウムイオン電池に加え、主要部材に粘土や樹脂を採用すること等により、生産コストの大幅な低減や安全性の向上を図った製品開発に取り組む例もある。

 業務・産業用や系統用の蓄電池も含め、自立的普及に向けた一層のコスト低減や投資回収の予見可能性の拡大が課題である。


【今後の取組】

 2030年までのできるだけ早期に、電気自動車とガソリン車の経済性が同等となる車載用の電池パック価格1万円/kWh以下、太陽光併設型の家庭用蓄電池が経済性を持つシステム価格7万円/kWh以下(工事費込み)を目指す。

 また、2030年以降、更なる蓄電池性能の向上が期待される次世代電池の実用化を目指す。具体的には、まずは全固体リチウムイオン電池の本格実用化、2035年頃に革新型電池(フッ化物電池・亜鉛負極電池等)の実用化を目指す。

 このため、以下のような取組を行い、成長市場(※21)を取り込む。

(a)電池のスケール化を通じた低価格化蓄電池・資源・材料等への大規模投資支援や定置用蓄電池の導入支援等に取り組む。

(b)研究開発・技術実証全固体リチウムイオン電池・革新型電池の性能向上、蓄電池材料の性能向上、蓄電池や材料の高速・高品質・低炭素生産プロセス、リユース・リサイクル、定置用蓄電池を活用した電力需給の調整力等の提供技術等の研究開発・技術実証等に取り組む。

(c)ルール整備・標準化蓄電池ライフサイクルでのCO2排出見える化や、材料の倫理的調達、リユース促進等に関する国際ルール・標準化、家庭用電池の性能ラベル開発・標準化、調整力市場(2024年開設)への参入に向けた制度設計、系統用蓄電池の電気事業法上の位置付け明確化等に取り組む。


※15:発電所や工場等から回収したCO2と水素を合成して作られるエンジンで利用可能な液体燃料。
※16:参加国が、2031年に向けて最大総額32億ユーロの研究費支援を表明(2019年)等。
※17:2020年5月にフランスが発表した「Plan de soutien à l’automobile」(自動車支援計画)には、最大8億5000万ユーロの公的資金による電池製造工場支援が盛り込まれた。
※18:民間調査によれば、2016年から2019年で、日本勢がEV・PHEV用車載用電池の世界シェア37%から29%まで低下する一方、中国勢が35%から46%に、韓国勢が14%から19 %にシェアを伸ばしている。
※19:例えば、2001年から2018年の累計で、全固体リチウムイオン電池の特許出願件数の約37%を日本が占める一方、中国が約28%を占めている。また、2018年度の特許出願件数では中国が世界一位となっている。
※20:2019年、蓄電容量ベースで世界市場の約28%。
※21:2018年から2030年の比較で、世界で、蓄電池全体で約2倍(約8兆円から約19兆円)、車載用電池に限れば、約5倍(約2兆円から約10兆円)に成長するとの民間試算がある


純ガソリン車新車販売禁止で軽自動車が超えなければいけないハードルとは?

スズキのマイクロハイブリッドは発電効率に優れたISG(モーター機能付発電機)により、減速時のエネルギーを利用して発電し、アイドリングストップ車専用鉛バッテリーと専用リチウムイオンバッテリーに充電。エンジン再始動や加速時にモーターでエンジンをアシスト
スズキのマイクロハイブリッド搭載車のWLTCモード燃費は、ワゴンRが25.2km/L、スペーシアが22.2km/L、ハスラーが25.0km/L

 日本政府が打ち出した”軽自動車を含むすべての車両の2050年カーボンフリー化”を受け、軽自動車業界は大揺れになっている(後述の通り、東京都の2030年エンジン車禁止は大きな問題なし)。

 軽自動車業界、外国との接点のない日本という居心地のよい井戸の中で過ごしてきた。なのに突如開国を迫られた格好。はたしてどうなるだろうか?

 本題に入る前に、これから軽自動車が超えなければならないハードルを紹介しておきたい。

 まず最初にやってくるのは、2030年のCAFE(企業平均燃費)。2020年3月に正式発効しており、2030年に各社で販売している車両の平均燃費をWLTCモードで25.4km/L以上にしなければならないという内容。この目標、けっこう厳しい。

 現在販売している軽自動車の中で最も良い燃費なのは、エネチャージ(回生ブレーキから生まれた電気をリチュウム・イオン電池にため込む)と呼ばれるマイクロハイブリッドを採用しているスズキのアルトで25.8km/L。車重650kgしかない燃費スペシャルです。

 売れ筋の軽自動車だと20km/L前後となり、とうてい2030年CAFEをクリアできない。当然ながらマイクロ(マイルド?)ハイブリッドじゃ無理。

 ということで軽自動車もプリウスのようなフルハイブリッド化は避けられない状況になっていた。

 逆に考えれば東京都が言い始めた「2030年のハイブリッドを含めた電動化」は想定内。

 小池都知事、爆弾発言したように思っている人もいるようだけれど、自動車関係者は「だからどうした?」といった反応です(メディアは勉強不足なので騒いだ)。

 実際、2020年12月25日に日刊工業新聞は、2021年度にダイハツがフルハイブリッドを20万円高くらいで発売するとスクープしている。

 もちろんダイハツの公式発表じゃないけれど、スケジュール感からすれば当然だと思う。スズキもホンダも日産/三菱もフルハイブリッドがないと2030年CAFEはクリアできないから何らの対策をするしかない。





ダイハツ 新型 ムーヴ / ムーヴカスタム フルモデルチェンジ 7代目 DNGA 次世代スマアシ採用 2022年12月発売
2022年12月のフルモデルチェンジを予定しているダイハツ新型ムーヴはフルハイブリッドで登場か?(CGイラストはベストカーが製作したもの)

コスト的に厳しい軽自動車のフルハイブリッド車

軽乗用車、登録車を含めた国内新車販売台数において3年連続NO.1を獲得し、5年連続で軽自動車販売NO.1を達成している(前モデル含む)N-BOXはマイクロハイブリッド、フルハイブリッドともに搭載車なし。ホンダはどうする?
マイクロハイブリッドを搭載するハイブリッドFXの価格は128万400円、NAエンジンのFAに比べて11万6600円高い。ただしハイブリッドFXにはフルオートエアコンやキーレスプッシュスタートなどの価格を差し引くとマイクロハイブリッドの価格上昇はアイドリングストップを含んで約7万


ここで出てきたのが2つ目のハードル。1つ目のハードルである2030年CAFEをクリアできれば、しばらく安泰のハズだった。

 イメージとしては2022年~2025年くらいにフルハイブリッドを出し、10年や15年は売れるという目論見。しかし突如、文頭の通り、菅義偉首相が「2050年にカーボンフリー」を打ち出し、軽自動車も含むことになる。

 2050年カーボンフリーとは、2050年に普通のガソリン車を売らないという意味。藻など植物から作った代替燃料や、どこかで二酸化炭素の吸収するぶんのコストが上乗せされたガソリンなら買えるけれど、おそらく高価。事実上乗れなくなる。

 したがってクルマの寿命を15年と仮定すると、2030年代半ばには電気自動車にしなくちゃならないのだった。

 巨額の投資をしてフルハイブリッドを開発しても、2030年代に入ったあたりから売れ行き伸び悩んだら、コスト的に厳しい。

 はたまた現在160万円くらいの軽自動車がフルハイブリッドで180万円になった場合、3~4年すれば安くなっていく電気自動車と同じくらいの価格となる可能性もある。同じ価格であれば電気自動車のほうが有利。

 というのも地方に行けば深刻な純ガソリンのスタンド不足になっている。今後燃費向上が一段と進むとさらに経営的に厳しくなり減ることだろう。

 電気なら日本全国津々浦々どこにでもある。極めて劣化の少ないリチウム鉄電池などを使い、実用航続距離120kmくらいの電気自動車が出てきたら、さらにハイブリッドは不利になる。

 おそらく軽自動車メーカーすべてが2つ目のハードルを厳しいと感じているハズ。フルハイブリッドを出すことにしたと思われるダイハツは、早めに出してできる限り長い期間ハイブリッドを販売してモトを取ろうと考えているに違いない。

 スズキもダイハツに遅れることなくフルハイブリッドを出してくるかもしれません。いや、スズキは電動化技術でトヨタの援助を受けられることになっている。もしかするとダイハツのフルハイブリッドシステムをスズキも使う? 

 こうなるとコスト的に厳しいのがホンダと日産/三菱。どちらもハイブリッド技術は持っているが、大量生産するダイハツやスズキと真正面から勝負するとなれば厳しいか?

 だったら最初から電気自動車で勝負に出てくるかもしれない。ホンダは中国最大の電池メーカーCATL(寧徳時代新能源科技)に出資しており、2~3年すれば安価なリチウム鉄電池(YouTubeを見ると釘挿し実験動画で、本当は火を噴いたのに、均一な層に釘を刺して不正をしていた!中国EV車はこれだから信用できない。日本のEVバスのほとんどは安価な中国製だ。本当にこれで良いのか?)を調達できる。

 日産も中国で価格勝負できる電池をスタンバイしているため、ハイブリッドより安い価格を付けられるようになるだろう。

 いろんな意味で軽自動車業界は大混乱になっている。さらに中国から実用航続距離120km程度の安価なK-Car(日本の超小型モビリティに限りなく近い電気自動車。中国だとエアコンも付いて60万円程度)が出てきたら、農村部の足として軽自動車より重宝されることだろう。

 今までぬるま湯に浸かっていた軽自動車業界ながら、サバイバル合戦になります



教えて!ハイブリッドとマイルドハイブリッドの違い

  

みなさま、こんにちは07

 

今回のブログは タイトル通り、

ハイブリッドとマイルドハイブリッドの違いに触れたいと思います206

 

 

 

スズキで採用している2種類のハイブリッド156

その違いって知らない方がほとんどですよね


 

33そもそもハイブリッドカーとは207

  エンジンとモーター、2つの動力で走る車のことを言います。

 

 

33どんなメリットがあるの207

 エンジンとモーターそれぞれの特長を組み合わせることで、

 「ガソリン消費の抑制」「力強い走り」を両立できます。

 ガソリン消費を抑える事でCO₂の排出も減り、いつものように運転するだけで

 エコドライブができます。

 

 

33ハイブリッドとマイルドハイブリッドの違いは207

マイルドハイブリッド … モーター機能付発電機でエンジンをアシストする

               ハイブリッド走行が可能。

               トランスミッションはCVTを採用し、走りはスムーズ。

               2WDも4WDもあり。

 

               搭載車種:ソリオ(バンディット)、スイフト、クロスビー、ハスラー

                    スペーシア(カスタム)、ワゴンR(スティングレー)

 

 

 

ハイブリッド   …    駆動用モーターでエンジンをアシストするハイブリッド走行に加え、

               モーターだけでのEV走行も可能。

               トランスミッションは5AGSを採用し、走りはキビキビ。

               2WDのみ。

 

               搭載車種:ソリオ(バンディット)、スイフト

 

 

33燃費はどれだけ違うの?

 どちらも搭載しているソリオで比較すると、

 ハイブリッド:32.0km/L   マイルドハイブリッド:27.8km/L

 4.2km/Lもの違いが


スズキは現在2種類のハイブリッドを設定している。燃費はいいけど価格が高いフルハイブリッドと、価格は安いが燃費ではフルハイブリッドに少し劣るマイルドハイブリッドだ。

マイルドハイブリッドを設定する車種
・イグニス
・クロスビー
・スペーシア
・スペーシアカスタム
・スペーシアギア
・ワゴンR
・ワゴンR スティングレー

マイルドハイブリッドとフルハイブリッドを両方とも設定する車種
・スイフト
・ソリオ
・ソリオバンディット

※フルハイブリッドだけ設定している車種はない



以上のラインアップを揃えるスズキだが、ディーラーマンによると、「他社はハイブリッドが人気だが、価格や省燃費性能を考えると、スズキではフルハイブリッドではなくマイルドハイブリッドを進めることが多い…」と、販売単価の高いハイブリッド車を進めにくい内情があるという。

 そんな悩めるディーラーを抱えるスズキは、2019年9月にトヨタとの資本提携を発表した。

 ハイブリッド技術の特許を無償公開するなど、ハイブリッド技術に強い自信と戦略を持っているトヨタと組むことで、スズキのハイブリッド車戦略は変化する可能性があるのか?

 また、トヨタのハイブリッド技術を搭載したら、価格面と性能面で魅力的な軽のハイブリッド車が生まれる可能性があるのか? その可能性を分析してもらった。

文/渡辺陽一郎

■スズキが保有するハイブリッド技術
◆シンプルなマイルドハイブリッド
 スズキの小型/普通車が搭載するハイブリッドは、マイルドタイプとフルハイブリッド(ストロングハイブリッド)に大別される。

 マイルドハイブリッドは、ISG(モーター機能付き発電機)/リチウムイオン電池/制御システムを搭載する。ISGが減速時を中心とした発電、アイドリングストップ後の再始動、エンジン駆動の支援を行う仕組みだ。

マイルドハイブリッドは、減速時のエネルギーを利用して発電し、加速時にはその電力を活かしてエンジンをアシストすることで燃費の向上を実現する


 モーターの最高出力は3.1ps、最大トルクは5.1kgmと小さく、モーター駆動を体感しにくいが、燃費数値は非装着車に比べて12~14%向上する。

 またISGではアイドリングストップ後の再始動をベルト駆動で行うため、一般的なスターターモーターを使った再始動に比べてノイズが小さい。

 そうなるとアイドリングストップの作動に伴う煩わしさも解消され、頻繁なアイドリングストップが可能になるため、燃費の節約効果をさらに向上できる


フルハイブリッドは、デュアルジェット エンジンにMGU(駆動用モーター)とAGS
(オートギヤシフト)を組み合わせ、エンジン出力にモーター出力を上乗せして力強くアシストする走行モードと、EV走行モードを可能にしている


モーターの最高出力が13.6ps、最大トルクは3.1kgmとされ、マイルドハイブリッドと違ってモーター駆動を体感できる場面も多い。

 エンジンを停止させてモーターのみで走ることもあるから、周囲に注意を促す車両接近警報装置も採用されている。

 マイルドハイブリッドのトランスミッションは、無段変速ATのCVTだが、フルハイブリッドは有段式の5速AGS(オートギヤシフト)だ。


AGS(オートギヤシフト)は、MTをベースにクラッチおよびシフト操作を自動で行う電動油圧式アクチュエーターを採用したトランスミッションで、一般的にはAMTと呼ばれている


5速AGSは1組のクラッチを自動的に操作するため、ホンダやフォルクスワーゲンが採用する2組のクラッチを使うタイプに比べて、コストが安い代わりに変速時間が若干長い。この影響で変速の度に加速が途切れ、車両の動きがギクシャクしやすい。

 そこでスズキのフルハイブリッドでは、5速AGSの変速タイミングを見計らって、モーターの出力を一時的に高める。加速が途切れにくく、シングルクラッチ方式のATとしては滑らかな変速を行える。

 ただしそれでも販売店によると「主力はマイルドハイブリッド」だという。一番の理由は、燃費と価格のバランスだ。

■コスト競争力が低いフルハイブリッド
 フルハイブリッドの価格は、マイルドハイブリッドに比べて割高だ。ソリオの場合、消費税が8%で22万4640円、10%では22万8800円高い。JC08モード燃費は、マイルドハイブリッドが27.8km/L、フルハイブリッドは32km/Lになる。

 実用燃費がJC08モード燃費の85%、レギュラーガソリン価格が1L当たり145円で計算すると、1kmを走るのに要するガソリン価格はマイルドハイブリッドが6.1円、フルハイブリッドは5.3円だ。フルハイブリッドを選ぶと、1km当たり0.8円を節約できる。

 この節約によって22万円を超える価格差を取り戻すには、27万kmを走らねばならない。現実的には、フルハイブリッドの価格上昇分を燃料代の節約で取り戻すのは困難だ。

ソリオ(写真左)はマイルドハイブリッドが170万3160~208万1160円、フルハイブリッドが201万9600~217万9440円。ソリオバンデッド(写真右)はマイルドハイブリッドが194万4000~207万360円、フルハイブリッドが216万8640円

 

フルハイブリッドの損得勘定を成立させるには、マイルドハイブリッドとの価格差を半額以下に抑えねばならない(フルハイブリッドの燃費を大幅に高めるのは無理だ)。

 仮に価格差が10万円であれば、12~13万kmで取り戻せるから、1年間に1.5万km以上を走るユーザーにとっては現実的な選択になり得る。

 それができない理由はふたつある。まずはISGを使ったマイルドハイブリッドが軽自動車にも普及して大量に売られ、低価格を実現できたことだ。

 量産効果に基づくコスト低減により、マイルドハイブリッドと非装着車の価格差が実質約10万円に縮まった。マイルドハイブリッドは、燃費性能を割安に向上させている。

 ふたつ目の理由はフルハイブリッドが高コストなことだ。

 開発者によると「フルハイブリッドが装着している5速AGSは、スズキの内製だから、燃費だけでなくコストを低減させる効果も大きい」というが、それでもなお、フルハイブリッドはマイルドハイブリッドに比べて22万円以上高い。生産台数が少ないこともあり、価格を下げられない。
ふたつ目の理由はフルハイブリッドが高コストなことだ。

 開発者によると「フルハイブリッドが装着している5速AGSは、スズキの内製だから、燃費だけでなくコストを低減させる効果も大きい」というが、それでもなお、フルハイブリッドはマイルドハイブリッドに比べて22万円以上高い。生産台数が少ないこともあり、価格を下げられない。

 このほか5速AGSの変速フィーリングも売れ行きに影響を与えた。前述のようにフルハイブリッドの5速AGSは、変速タイミングを見計らってエンジン出力を高める制御を行い、シングルクラッチの欠点を抑えている。それでもCVTに比べれば違和感が生じるから、販売店の説明を聞いてCVTのマイルドハイブリッドを選ぶユーザーもいる。

 バリエーションも異なる。マイルドハイブリッドでは、前輪駆動の2WDと4WDを選べるが、フルハイブリッドは2WDだけだ。駆動方式の選びやすさでもフルハイブリッドは不利になり、量産効果の向上を妨げる。

 以上のような事情に基づいて、スズキのフルハイブリッドは高価格だが、トヨタとの資本提携によって安くなる可能性はないのか。

■トヨタと組むことでハイブリッド戦略に変化はあるか?
 トヨタのTHSIIは低コストのシステムとはいえず、排気量が最も小さなタイプでも1.5Lだ。全長が3.7~3.9mに収まる1.2Lエンジンを主力としたスズキのコンパクトカーに、そのまま搭載するのは難しいだろう。

 しかし、将来的にモーターや駆動用リチウムイオン電池をトヨタ車と共通化できれば、量産効果によるコスト低減が可能になる。現状で22万円に達するマイルドハイブリッドとの価格差を、10万円に近づけることも可能になるかも知れない。

アクアが搭載するハイブリッドシステムは、1.5Lエンジン+THSIIだ。生産台数の多いトヨタと部品共用化ができれば、量産効果によるかなり大きいコスト削減が可能になる


それでも主力はマイルドハイブリッドであり続ける。コンパクトカーはボディが軽く、ノーマルエンジンの段階から低燃費を開発の柱に据えている。そうなるとマイルドハイブリッドでも優れた燃費性能が達成され、フルハイブリッドを用意しても大幅に向上させるのは難しい。

 トヨタを含めた他メーカーのように、ノーマルエンジンとフルハイブリッドの2種類だけを用意するなら成立するが、スズキのようにノーマルエンジン/マイルドハイブリッド/フルハイブリッドの3種類では、フルハイブリッドに割高感が生じてしまう。


またコンパクトカーは、営業車などを除くと、1年間の走行距離が伸びにくい。買い物などの日常的な移動に使われ、1年間に走る距離が5000km以下の車両も多い。これではフルハイブリッドのメリットを得にくい。

 以上の点を踏まえると、トヨタとの提携も、マイルドハイブリッドの燃費向上やさらなるコスト低減に生かすのが得策だろう。

 ユーザーにとっても、トヨタ車とスズキ車が同じハイブリッドを搭載したところで、大きなメリットは生じない。

 トヨタのTHSIIを搭載したアクセラハイブリッドも販売面で失敗した。スズキの独自性と、トヨタとの提携効果を両立させてほしい。


まだ「ガソリン車」は買っても良い? 2035年までに電動車普及で日本市場はどうなる? 内燃機関車の行く末とは
自動車の電動化に詳しい専門家は次のように話します。

「現実的に、いまガソリン車に乗っている人が、そのクルマを手放さなければならなくなるようなことはないでしょう。

 中国などでおこなわれているような、『都心部へのガソリン車侵入規制』なども、現行法では難しいと思われます。

 ただ、電動車へのより積極的な税制優遇などはじゅうぶんに考えられます。技術の進歩によって電動車そのものの価格も低下してくると思われるため、ユーザーが電動車を選択するメリットが多くなり、結果としてガソリン車を保有するメリットが薄くなるのでは予想します。

 軽自動車についても一定度の電動化は進むと思われますが、一律に規制される可能性は低いでしょう。

 軽自動車に求められる経済性や整備性は、高齢化の進む地方などではむしろ必要不可欠だからです。

 現在の電動化に関する議論は、政治や金融面が主導している部分が強く、ユーザーが置いてけぼりになってしまっています。

 電動化自体は進んでいくと思いますが、最終的には妥協案が出され、ユーザーにとって現実的なラインで2035年を迎えるのではないかと考えています」

※ ※ ※

 地球温暖化は全人類が考えるべき課題である一方で、性急なガソリン車規制が日々の生活に与える影響も決して小さいものではありません。

 自動車の電動化は進んでいくものと思われますが、人によってはガソリン車のほうがマッチしているのもまた事実です。

 過渡期だからこそ、さまざまな視点をもって議論を深めていくことが求められているのではないでしょうか。

PeacockBlue K.K. 瓜生洋明



ダイハツが2021年度にも軽初のフルHV導入か トヨタ式20万円高で2030年代の電動化加速へ

ダイハツが2019年7月に発売したDNGA第一弾モデルの4代目「タント」。2020年12月現在点でフルハイブリッドとなる車種は明らかではないが、ダイハツのタントは有力車種のひとつ。
 記事によればモーターのパワーだけで発進できるトヨタ「プリウス」のような、いわゆる「フルハイブリッド」で、価格は20万円高くらいを想定しているようだ。

 現在スズキが販売している軽自動車ハイブリッドは、発電機をモーターとしても使う、いわゆるマイクロハイブリッド。スズキは乗用車用も簡易式のマイルドハイブリッドとなる。

 マイルドもマイクロも燃費改善効果という点で物足りない。

 フルハイブリッドなら標準エンジンの燃費を最大で80%くらい向上させられるが、マイルドでは、せいぜい20%から30%。

 マイクロだと15%程度しか良くならない。本格的な燃費向上を狙うなら、フルハイブリッド以外無いと考えてよかろう。だとすれば、なぜ今まで存在しなかったのか。

 軽自動車の場合、コスト高になってしまうフルハイブリッドを採用しなくても、満足出来る燃費を実現出来るからだ。

 10km/Lのクルマを18km/Lに出来れば走行10万kmあたりの燃料コストを130万円から58万円分低減して72万円に出来る。

 一方、リッター18km/Lの軽自動車を32km/Lにしても72万円が32万円分浮いて40万円になるのみ。

 加えて軽自動車のほうが平均的な年間走行距離が短い。総合して考えれば軽自動車にフルハイブリッドを導入する金銭的なメリットは小さいと考えていいだろう。だから今まで存在しなかった。

なぜこれまで軽自動車にフルハイブリッドは無かったのか?
 ではなぜフルハイブリッドを開発して投入しようとしているのか。

 これはもう簡単。2030年から厳しくなるCAFE(企業平均燃費)をクリアするためです。

 2030年から始まるCAFEをクリアしようとすれば、WLTCモードで25.4km/Lが必要

 現在、もっとも燃費の良いマイルドハイブリッド仕様のスズキ「アルト」は25.8km/Lで超えている

2021年12月フルモデルチェンジするスズキ「アルト」がさらにフルハイブリッドになれば、注目されるでしょう!

 加えてマイルドハイブリッド車も電動化車両に含むのなら、2030年から東京都で始まる「ガソリン車の販売を停止。ただしハイブリッド車なら販売OK」をクリア可能。

 けれど売れ筋になっているスズキ「スペーシア」のようなハイト系のスライドドア車は重いため、マイクロハイブリッドを投入していても21.2km/Lとなり2030年CAFEに遠く及ばない。

 電動化していないダイハツはスズキより燃費が悪い。2020年6月に発売した「タフト」のような比較的軽量のヒンジ式ドア車ですら20.5km/Lで足りない。フルハイブリッドを投入しない限り25.4km/Lの壁は無理です。


軽SUVというジャンルで人気のダイハツ「タフト」。フルハイブリッド仕様が追加されれば、さらに商品力は向上なるか。
 ということから開発に取りかかっていたんだと思う。時節柄、東京都の2030年電動化車両規制のために開発したと理解する人も多いだろうけれど、フルハイブリッド車の開発にはベースになる技術あっても下を見て4年くらい掛かる。

 2021年度発売ということなら遅くとも2018年初頭に開発をスタートしているということになります。

 システムとしてはトヨタ式になると思う。専用開発ということも考えられるものの、コストで現在「ヤリス」に使われているユニットをベースに簡略化する方が有利。

 トヨタと電動化技術について技術提携をしているスズキも同じユニットを使うなら、軽自動車専用になるかもしれません。いずれにしろ2030年CAFE(企業平均燃費)のクリアは可能になると思う。

WLTCモードで25.4km/Lは困難だ!
(▼ハスラーjスタイルは、NAで25.0km/L、ターボ車は23.0km/Lで足りてない)

▼ホンダ新型N-BOX(エヌボックス)の燃費

自然吸気エンジン(NA):21.2km/L  27.0km/L
ターボエンジン:         25.6km/L
新型N-BOXの燃費は、自然吸気エンジンで27.0km/Lに仕上げられています。

 新型N-BOXはすべてガソリン車なので、燃費は上のようになっている。
ダイハツのタフトもすべてガソリン車だった。

N-BOX前世代との比較では、自然吸気エンジンが前型の25.6km/Lから+1.4km/L、ターボが前型の23.8km/Lから+1.8km/Lとよくなっています。100%ガソリンエンジン車は実際は街乗りでは赤信号でアイドリングストップがかかり、ガソリンエンジンが切れたり、かかったりを繰り返すので燃費は、かなり落ちてくる。燃費的にはマイルドハイブリッド機構の方が、だんぜん燃費が良い。



ターボ車を除くFF車

燃料消費率
(国土交通省審査値)※1

WLTCモード

21.2

km/L

市街地モード


18.7km/L

郊外モード


22.5km/L

高速道路モード


21.6km/L

燃料消費率
(国土交通省審査値)※1

JC08モード

27.0

km/L