2022年春発売「日産+三菱の新型軽EV」は日本のクルマ社会を変えるか2021/11/29

 

2022年春発売「日産+三菱の新型軽EV」は日本のクルマ社会を変えるか

EV大普及の契機となるか! 2022年早々にも日産・三菱から軽EV(電気自動車)実質200万円以下の低価格で「IMk(アイエムケイ)」を発売

2021/11/29

IMk

















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今の日産と三菱は、合弁会社のNMKVを設立して、軽自動車を開発している。日産のデイズやルークス、三菱のeKシリーズは、いずれもNMKVによって造られた。


 そして2022年度初頭(2022年4~5月)には、両社で軽自動車サイズのEV(電気自動車)を発売すると発表。ボディサイズは全長3395mm、全幅1475mmで、全高は日産仕様が1655mm、三菱仕様は1670mmと公表された。両車ともに20kWhの駆動用電池を搭載して、価格は補助金を差し引いた実質額が200万円からになるという。


 現在、日本の自家用車のうち約4割が軽自動車となっている。もし軽自動車にEVが登場し、しかもそれが安価で普及すれば、充電環境も整い、住宅事情や道路事情にも変化が起きるだろう。しかしそれには時間とお金がかかる。日産と三菱が共同で発売する初の「軽EV」は、日本のクルマ社会を変える力があるのか。渡辺陽一郎氏に伺った。

2022年初頭にも発売される見込みの軽EV。かねてより軽自動車を共同開発している日産と三菱が、軽自動車市場にEVモデルを投入するのだ。電気自動車といえば航続可能距離や充電インフラがネガ要素として取り上げられるが、街中メインとなる軽自動車こそがEVにピッタリな存在なのだ。そこで今回は世界初の量産型EVとして産声を挙げた三菱 アイミーブから新型軽EVに期待したいことを考えてみた。ちなみに、この車は全く売れなかった。

2021年に日産と三菱が軽EVを投入! しかも価格は200万円

少々旧聞となるが、2021年8月27日(金)に日産と三菱自動車から2022年初頭に軽EVが投入されることが発表された。


この軽EVは2019年の東京モーターショーに日産から出展された、軽ハイトワゴンのEVとなるIMkの市販版となる可能性が高い。


日産&三菱自動車による軽EVに関し現時点で発表されているスペックは、全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mmというIMkとほぼ同じボディサイズ、バッテリー搭載量は20kWhとなる。クルマから住宅へ電力を供給するVtoHが可能なこと、プロパイロットと思われる運転支援システムの搭載を実現しながらも、価格は補助金を含め200万円〜となる。


後述するように、軽自動車の使われ方はEVと相性がいいところが多いだけに、登場が楽しみなモデルである。


だが、軽乗用車のEVで思い出すのが今年2021年で絶版となった三菱i-MIEVという存在だ。ここでは三菱 i-MiEV(アイミーブ)が歩んだ軌跡を振り返りながら、新しい軽EVに対する期待なども考えてみた。

i-MiEVの前に、ベースとなった2006年登場の三菱 i(アイ)を簡単に紹介しておこう。


iはリアエンジン、リアドライブとなるRR(リアエンジンリア駆動)とRRベースの4WDというパッケージングを持つプレミアムな軽自動車だった。iがRRだったのはEV化を想定していたためということも大きいようで、2006年11月にはi-MiEVの実証実験車が登場した。


アイミーブは現在のEVのお手本的存在! 設計が見事だった

i-MiEVのRR+バッテリーは床下に搭載というパッケージングであった。近年のスマートのEV仕様やホンダeなどにも通じるもので、i-MiEVは小型EVの教科書的なモデルでもあった。

実証実験のあと、i-MiEVは2009年6月に法人、官公庁、地方自治体向けのリース販売という形で市販化された。初期のi-MiEVは16kWhのバッテリーを搭載し、当時の10・15モードでの航続距離は160km、価格は459万9000円(補助金が139万円あったので、実質的な価格は約321万円)だった。買う人はいませんでした。


i-MiEVは現在のEVでは当たり前ながら、静かでスムースかつ加速は力強かった。床下にバッテリーを搭載する想定によるボディ剛性の強さの恩恵となる重厚感にも通じる走行中の落ち着き、乗り心地の良さが非常に新鮮で、「ガソリン車のiはEV化のためにあり、iの本命はi-MiEV」と感じたことを思い出す。


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世界初の量産EV「アイミーブ」は全4回の改良を実施! 価格設定や航続可能距離などを地道にテコ入れ

登場後i-MiEVは大きく4回もの改良などが重ねられている。まず2010年4月に、リース販売であったが、個人向けの販売も開始。


価格は398万円(114万円の補助金を使った実質的な価格は284万円)に引き下げられた。

2011年7月に実施されたマイナーチェンジでは、16kWhのバッテリーを搭載するGグレードは回生制動の効率向上により、航続距離を160kmからJC08モードで180kmに延長。


また、バッテリー搭載量を10.5kWhに減らし、価格を抑えたMグレード(航続距離はJC08モードで120km)を追加し、トップグレードとなるGは380万円(96万円の補助金により実質的に284万円)。Mが260万円(72万円の補助金により実質的に188万円)であった。


ヒーターを改良し、ネガを払拭! ベースグレードは245万円に

2013年11月に行われた一部改良時には、エアコンを省電力型のヒートポンプタイプとし、暖房使用時の消費電力抑制により、冬場の実質的な航続距離を延長。


Gグレードは価格を抑えたXグレードが290万1150円(85万円の補助金により実質205万1150円)に移行し、Mグレードも245万9100円(72万円の補助金により実質171万9100円)に値下げされた。


ライバル車の登場で補助金を減額! 実質的な値上がりとなった3回目の改良

2016年12月の一部改良では、シフト操作によるフットブレーキを使わない回生制動の調整がシフトゲートでの3段から、パドルシフトでの6段に。


この頃になると日産リーフなどの電気自動車が増えてきたこともあり、補助金が減額され、i-MiEVの本体価格は値下げされたものの、Gが262万4400円(17万6000円の補助金により実質244万円8400円)、Mは227万3400円(11万5000円の補助金により実質215万8400円)と、実質的には大幅に値上がりしてしまったのだ。


軽自動車を卒業し普通車に! 価格は300万円弱に

最後となる一部改良が2018年4月に行われた。歩行者保護対応により全長が伸びたため、小型車となった。同時にXグレードのみとなり、価格は294万8400円(16万4000円の補助金により実質278万4000円)。


振り返ると、i-MiEVはよく手を加えられていたことが分かる。


ライバル車の台頭により、かなり厳しい戦いだった

しかし、如何せん生産台数の少なさもあり、コストダウンが進まなかったところに補助金の減額(後者は税金を使うだけにやむを得ない面もある)。さらに初代リーフの中古車が安かったこともあり、中古リーフに流れる人も多かったという三重苦で、i-MiEVは残念ながら浮上できないまま絶版となってしまった。


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日産と三菱の軽EVはアイミーブをお手本にする可能性も! 実質的な航続可能距離は200キロへ

日産&三菱の新軽EVのパッケージングはオーソドックスなFFレイアウトが濃厚だ。


その一方で、i-MiEVの経験やコンセプトカーIMkのプレスリリースには「新開発のEVプラットホーム」という記述があったのを思い出すと、i-MiEV同様のRRレイアウトという可能性もある。


新軽EVの20kWhというバッテリー搭載量は、軽自動車ということを考えれば適切に感じる。だが、航続距離は実用的に200km(この距離では市街地しか走れない)、つまり実用的に10km/kWh以上の電費を期待したい。


200万円の軽EVの登場で軽自動車の勢力図も変わる!?

また、実質的に200万円からという価格も見逃せないポイントだ。最近は200万円近い軽自動車が珍しくないことや、電気の使い方(深夜電力の割引制度)によってはガソリン代よりもエネルギーコストが安く済む可能性も加味すれば、妥当なところだろう。


さらに軽EVは価格がリーズナブルなら、軽自動車の使い方は送迎や買い物といった近距離が多い、特に地方なら自分の土地に駐車する人も多いので充電設備を設置しやすいなど、軽自動車とEVは相性がいい点も多く、新軽EVの商品力は高い?。


それだけに新軽EVにはi-MiEVの無念(かつて全く売れなかったから)を晴らすべく、i-MiEVの経験も生かしながら頑張ってもらい、軽自動車のEV化の起爆剤となることを期待したい。


2023年現在のクルマはといえば、システムではなく、あくまでドライバーが主体となる“レベル2”までの自動運転技術が一般的。あらかじめ設定した速度で自動的に加減速を行い、前車に追従するACC(アダプティブクルーズコントロール)や、車線の逸脱を検知するとハンドル操作をアシストするLKAS(レーンキープアシストシステム)などは、レベル1の自動運転技術とされています。

 高速道路でも、これらの機能を使い、アクセルペダルを踏むことなく走行している人も相当数いると考えられますが、こうした機能を過信した“ながら運転”と思われる前方不注意で、工事の規制帯に突っ込む事故も相次いでおり、道路管理者も注意喚起を行っています。自動運転技術が進展することで、このような事故も避けられるようになるかもしれません


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文/渡辺陽一郎