⓴【半導体戦争勃発!】2024年に操業予定。ソニー画像センサー工場隣接地に半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)を熊本に誘致。

 世界は脱炭素に向かってなどいない、日本の製造業はグリーン最優先のエネルギー基本計画で壊滅する

新冷戦が始まり、気候変動は「問題」だと認識されなくなりつつある

2024.5.21(火)

杉山 大志

日本のエネルギー政策の方向性を定める「エネルギー基本計画」の改定作業が始まった。政府は今年度中に2050年CO2ゼロを達成するためのグリーントランスフォーメーション(GX)産業政策を立案するという。だが、そもそもの現状認識を大きく間違えていないだろうか。このままでは日本の製造業は壊滅しかねない。

(杉山 大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

脱炭素に熱心なのは日本と欧州のごく一部くらい
 日本政府はどう世界情勢を認識しているのか。「世界はパリ気候協定のもと地球温暖化を1.5度(の気温上昇)にとどめようとしている、そのために日本も2050年にCO2ゼロを達成しなければならない、そしていまCO2ゼロに向けて国際的な大競争が起きている」としている。

 これはどこまで本当だろうか?

 たしかに多くの国はCO2ゼロを宣言している。だが実態はといえば、脱炭素政策を熱心に実施しているのは、日本と英独など、欧州の数カ国ぐらいであろう。

 米国はといえば、バイデン政権は脱炭素に熱心だが、議会の半分を占める共和党は頑固に反対してきた。実際のところ、米国はバイデン政権の下で、世界一の石油・ガス生産量をさらに増加させてきた。

 グローバルサウスのCO2排出は増え続けている。かれらは昨年のG20において「2050年にCO2ゼロを宣言せよ」というG7の呼びかけを端から拒否した。

 中国は、表向きは2030年にはCO2排出をピークアウトさせるとリップサービスをしているが、現実は石炭火力発電に莫大な投資をしている。

 つまり世界は日欧のごく一部を除いて脱炭素に向かってなどいないのだ。この理由は簡単で、エネルギー、なかんずく安価な化石燃料は、経済活動の基盤だからだ。


「戦争の枢軸」との新冷戦が始まった

 そもそも気候変動が国際的な「問題」に格上げされたのは、リオデジャネイロで開催された「地球サミット」で気候変動枠組み条約が合意された1992年ごろからである。


 これが1991年のソ連崩壊の翌年であることは偶然ではない。


 冷戦の間は米ソで協力するということ自体が不可能だった。冷戦が共産主義の敗北に終わり、これからの世界は平和になり、全ての国が民主主義国として協力してゆく、というユートピア的な高揚感が生まれた。そのような状況で、世界全体での協力による、地球規模の問題の解決という機運が生まれたのだ。


 これは当初から幻想に過ぎなかったのだが、2022年にロシアがウクライナに侵攻したことで、ポスト冷戦期の国際平和なるものは完全に終焉した。


 そしていま、ロシアはイラン製のドローンを輸入し、北朝鮮から弾薬を購入している。中国との間では石油を輸出して戦費を調達し、工業製品を輸入している。


 かくしてロシア、イラン、北朝鮮、中国からなる「戦争の枢軸」が形成され、NATOやG7はこれと対峙することになった。ウクライナと中東では戦争が勃発し、日本周辺においては台湾有事のリスクも高まっている。


 この状況に及んで、自国経済の身銭を切って、高くつく脱炭素のために国際協力することなど、ありえない。戦費の必要なロシアや、テロを支援するイラン、米国に対抗して軍事力を増強する中国が、敵が支配している世界全体の幸福のためとして、自ら豊富に有する石炭、石油、ガスの使用を止めるなど、ありえない。


 ごく近い将来、気候変動はもはや国際的な「問題」ですらなくなるだろう。

日本の製造業を崩壊させたいのか

 そもそも2050年CO2ゼロなど技術的にほぼ不可能であるし、それを目指すだけで莫大な経済的負担が発生する。


 日本政府は官民合わせて今後10年間で150兆円のグリーン投資を、規制や補助金を通じて実現する、としている。これは毎年GDPの3%を投資することに相当し、またこの原資の負担は国民1人あたり120万円に上る。


 これによって政府は「グリーン経済成長」をするというが、ありそうにない。


 というのは、このグリーン投資なるものの対象は再エネの拡大や、そのための送電線やバッテリーへの投資など、どれもこれも、コストのかかるものばかりだからだ。


 再エネがいまや一番安いという意見があるが、都合のよい数字を見ているに過ぎない。太陽光発電は年間の稼働率が17%しかないので、残り83%は火力発電などに頼らねばならない。つまりいくら太陽光発電に投資しても火力発電設備は減らせないので、二重投資になる。


 さらに、太陽光発電は既に導入し過ぎで、電力が余ったときには捨てている状態である。そこで、捨てずに利用するため、政府は送電線を建設しバッテリーを設置するとしているが、三重投資、四重投資となる。


 一部の企業は再エネ100%を掲げて、その実現を容易にするためとして、政府に再エネへの投資拡大を求めている。だが日本全体の電気代を引き上げることになり、他の企業にとっては負担となってしまう。


 政府はCO2回収貯留(CCS)やアンモニア発電、水素利用の導入も進めるとしている。政府の補助金で実証事業が実施されるとしても、打ち切られたとき、こんな高価な技術は世界中のどこにも売れない。グリーン成長などありえないのだ。

製造業の投資が進むのは、安価な化石燃料を使う米中

 それでも政府はこのようなグリーン投資こそが世界の潮流だとして、欧州の例を盛んに引き合いに出す。けれども欧州は、とても日本が真似をすべき対象ではない。欧州は、もともと産業革命を牽引し、なかでもイギリスは「世界の工場」と呼ばれたが、今では見る影もない。


 いま製造業の規模を、付加価値ベースで国際比較すると、中国が世界の29%を占めている。他は米国が16%、日本が7%だ。欧州勢はといえば、ドイツは5%だが、イギリス、フランス・イタリアは各2%にすぎない。


 このナンバー1と2である中国と米国は、どちらも化石燃料を大量に利用して、安い光熱費を享受している。


 他方で、日本以上に脱炭素に邁進している欧州は極めて光熱費が高くなった。


 このような事情から、世界中の製造業は中国と米国に投資する一方で、欧州と日本からは逃げ出している。


 ドイツの最大手化学メーカーBASFは、国内事業を縮小する一方で、中国の広州に100億ユーロを投じて工場を建設する。日本の製鉄事業者は、国内の工場を閉鎖しながら、インドには高炉を建設し、米国の製鉄事業者を2兆円かけて買収しようとしている。


 さて日本はどうすべきだろうか。

数値目標を設定すべきは「電気代」

 いま日本政府が第7次エネルギー基本計画でやろうとしていることは、すでに製造業を失った欧州に追随して、高い光熱費をさらに高くすることだ。これでは、日本の製造業も、欧州同様に、消滅してゆくだろう。


 日本はむしろ、米国や中国のように、光熱費を下げるべきだ。このためには愚かなグリーントランスフォーメーションを止めなければならない。


 検討中のエネルギー基本計画で、唯一希望が持てるのは、原子力発電の最大限の活用をきちんと位置付ける可能性があることである。原子力発電であれば、脱炭素と、エネルギー安全保障、安定・安価な電力供給を同時に実現できる。


 そして、CO2排出削減などではなく、電気代にこそ数値目標を設定すべきである。日本の電気代は高騰してきたが、これを2010年の水準(産業用がキロワットアワーあたり14円、家庭用が同21円)まで戻すことを目標にすべきだ。そうすれば、無駄なグリーン投資は不可能になる。


 この2点を含めて、現在のエネルギー政策に危機感を持つ筆者を含む有志で、以下の11箇条の提言を「エネルギードミナンス 強く豊かな日本のためのエネルギー政策(非政府有志による第7次エネルギー基本計画)」としてまとめた。ぜひご覧頂きたい。


光熱費を低減する。電気料金は東日本大震災前の水準を数値目標とする。エネルギーへの税や賦課金等は撤廃ないし削減する。

原子力を最大限活用する。全電源に占める比率50%を長期的な数値目標とする。

化石燃料の安定利用をCO2規制で阻害しない。

太陽光発電の大量導入を停止する。

拙速なEV推進により日本の自動車産業振興を妨げない。

再エネなどの化石燃料代替技術は、性急な導入拡大をせず、コスト低減を優先する。

過剰な省エネ規制を廃止する。

電気事業制度を垂直統合型に戻す。

エネルギーの備蓄およびインフラ防衛を強化する。

CO2排出総量の目標を置かず、部門別の排出量の割当てをしない。

パリ協定を代替するエネルギードミナンス協定を構築する。


中国が目論む「台湾統一の次は日本のフィンランド化」、台湾有事(台湾戦争)の地政学から考える日本のエネルギー戦略

2024.4.13(土)

私はエネルギー政策の専門家であるが、エネルギーとは、何よりも戦略物資であり、20世紀の戦争の多くはエネルギーを巡るものだった。したがってエネルギー政策を論じるならば、本来は、まずは地政学や安全保障から入らねばならない。だが平和ボケの日本においては、エネルギー専門家と称していても、環境のことは知っていても、地政学も安全保障も全く知らない方が大半である。そこで本稿では、日本を巡る地政学状況について述べ、いま安全保障の観点においてエネルギー政策はどうあるべきか、指摘したい。


(杉山 大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)


中国の歴史観における台湾統一の必然性

 1949年に中国は共産党独裁国家になった。以来、文化大革命では凄惨な虐殺があり、またウイグル、チベットなどでのジェノサイドが長らく指摘されてきた。このような独裁政権は、ひとたび権力を手放すと、たちまち報復の対象になる。このことは、冷戦末期の東欧における独裁者の処刑など、枚挙に暇がない。


 中国共産党は、1989年の天安門事件で、その深淵を見た。あと少しで彼らは破滅するところだった。


 中国共産党が台湾独立を決して認めることができないのは、台湾が「中国人による、民主的な、もう一つの中国」であることを容認できないからだ。共産党独裁体制に代わるものが存在しうること、そして中国国内の人権問題を批判し、共産党の正統性を批判することは断じて許されない。


 したがって、最も悪くても、親中的な、つまり中国共産党を批判しない台湾であるべきであり、もっといえば、中国共産党の下に統一されるべきである、となる。


 以上は本音の部分であるが、台湾統一の必然性は、中国ならではの歴史観で愛国的に物語られている。


 つまるところ、中国は歴史的に一つであるゆえ、その一部である台湾は当然に統一されねばならない、というものだ。


NVIDIA、AI半導体市場を支配も顧客が競合になる恐れ

AI半導体市場で70~95%のシェア、粗利益率78%

2024.6.7(金)

小久保 重信

 米NVIDIA(エヌビディア)は、AI(人工知能)向け半導体の需要増に支えられ快走が続く。一方、クラウドサービス大手が独自AI半導体の開発に注力しており、今後顧客がライバルになる恐れも出てきた。

AI半導体市場で圧倒的優位性
 みずほ証券の分析によると、米オープンAIの「GPT」のようなAIモデルに使われる半導体の市場で、エヌビディアは70~95%のシェアを持つ。同社の強力な価格決定力を裏づけるのは、78%という高い売上高総利益率(粗利益率)だ。これはネット上のサービスではなく、モノを販売するハードウエア企業として、驚異的に高い数字だ。

 米CNBCによると、エヌビディアはAI半導体市場で圧倒的な優位性を持ち、一部の専門家から「堀に囲まれた城」といわれている。主力のGPU(画像処理半導体)「H100」とソフトウエア「CUDA」によって大きく先行しており、代替製品への切り替えが考えにくい状況だ。CUDAはCPU(中央演算処理装置)からエヌビディアのGPUに命令を送り、実行処理するためのソフトウエア開発環境である。

米NVIDIAの大口顧客はITビッグ3
 しかし、エヌビディアにとって今後課題になるのは、最大の顧客と競い合わなければならないことかもしれないと指摘されている。

 米アマゾン・ドット・コムや米グーグル、マイクロソフトなどクラウドサービスを手がける企業は、自社サービス向けAI半導体を独自開発しており、エヌビディアへの依存を減らそうとしている。今後これら企業の半導体開発が進めば、エヌビディアにとって顧客はライバルと化す。現在、これらIT(情報技術)ビッグ3に米オラクルを加えた4社がエヌビディアの大口顧客である。この4社から得ている収益はエヌビディアの売上高の4割以上を占める。


 米アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Service、AWS)は、18年にAI専用プロセッサー「Inferentia」を開発した。機械学習(マシンラーニング)の推論に特化しており、処理コストを大幅に削減できるというものだ。AWSは21年に機械学習のトレーニング専用半導体「Trainium」を発表し、23年には、その第2世代版「Trainium2」を発表した。


 マイクロソフトは23年、データセンターで生成AIを動かすための半導体「Maia」と、クラウドサービス用半導体「Cobalt」を発表した。グーグルは機械学習のトレーニングや推論に特化した「Tensor Processing Unit(TPU)」を自社のクラウドサービス「Google Cloud Platform(GCP)」で提供している。24年5月には第6世代のTPU「Trillium」を発表した。


AI処理はサーバーから端末へ

 米エヌビディアのデータセンター向け半導体事業に対する最大の脅威は、処理が行われる場所の変化かもしれないとCNBCは指摘する。


 オープンAIが開発したような大規模モデルは、推論のためにGPUの巨大なクラスターを必要とするが、アップルやマイクロソフトのような企業は、より少ない電力とデータで動作し、バッテリー駆動のデバイス上で動作する「小規模モデル」を開発している。


 これらモデルの能力は最新の「Chat(チャット)GPT」のようなレベルには達しない。しかし、テキストの要約や画像検索など、日常生活の様々な用途に利用できる。こうしたIT大手の新たな動きもエヌビディアにとっての潜在的な脅威だと指摘されている。


米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)の業績拡大が続いている。テクノロジー大手による生成AI(人工知能)への投資が活況を呈すなか、それを支える同社製GPU(画像処理半導体)の需要増には終わりが見えないようだ。


売上高、純利益ともに過去最高更新

 同社が2024年2月21日に発表した、2024会計年度第4四半期(23年11月~24年1月期)決算は、売上高が、221億300万ドル(約3兆3200億円)で、前年同期の3.7倍だった。四半期売上高の200億ドル超えは、これが初めてである。純利益は122億8500万ドルで、8.7倍。売上高とともに過去最高を更新した。


 併せて発表した、25会計年度第1四半期(24年2月~4月期)の売上高見通しは240億ドル前後(約3兆6100億円)で、市場予測の220億ドル前後を上回った。


 米エヌビディアのジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)は決算説明会で、「AIは転機を迎えた。AI基盤となる、計算能力に対する需要は依然として膨大だ。企業、業界、国家を超えて世界中で需要が急増している」と述べた。


 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、この決算発表を受けて、同日の米株式市場でエヌビディア株は、一時約8%上昇した。


AI向け半導体部門5.1倍、全売上高の83.3%に

 売上高を事業部門別に見ると、AI向け半導体を含むデータセンター部門は、184億ドル(約2兆7600億円)で、前年同期の5.1倍になった。同部門の売上高全体に占める比率は83.3%に達した。この比率は、24会計年度第1四半期で59.6%、同第2四半期で76.4%、同第3四半期80.1%と、四半期ごとに上昇している。


ラピダスが半導体設計支援のシンガポールQuest Globalと提携、「GAFAMからの受注狙う」

2025.03.27


 Rapidus(ラピダス、東京・千代田)は2025年3月25日、半導体の設計支援や人材派遣を手がけるシンガポールQuest Global(クエスト・グローバル)と協業すると発表した。

 クエスト・グローバルの顧客企業がラピダスの2nm世代のプロセス技術を利用して半導体を設計開発できるようになり、ラピダスにとっては製造受託の顧客開拓につながる。協業を通じ、米IT(情報技術)大手やファブレス半導体メーカー、AI(人工知能)スタートアップなどからの受注を狙う。




 クエスト・グローバルは世界に2万人を超える技術者を抱え、米Microsoft(マイクロソフト)や米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)、米NVIDIA(エヌビディア)などAI分野の大手企業を顧客に持つ。ラピダスはクエスト社との協業を通じ、こうした米大手との接点(タッチポイント)を強化して受注獲得を狙う。半導体設計の専門部隊を持たないIT企業などに伴走し、先端半導体の設計開発のハードルを下げるよう支援する。

 同日の記者会見でラピダス社長の小池淳義氏は、協業を通じAWSや米Google(グーグル)など「GAFAMと呼ばれるような大手顧客の受注を確実に獲得したい」と話した。同社は以前は、顧客獲得に向けてこうした大手テック企業へ直接コンタクトを取っていた。だがクエスト・グローバルのような、いわゆるデザインハウス(設計サービス会社)が実質的な設計を担うケースが大半だと判明したという。

 クエスト・グローバル共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のアジット・プラブ氏は、ラピダスの設計部門の支援に向けて「500人を超える技術者を充てる可能性がある」と話した。同社は日本の顧客を支援する技術者を2300人以上抱え、日本の拠点には500人規模の人員を配置している。日本拠点の技術者数を今後5年間で2倍程度に増やす計画という。


先端半導体ラピダス シンガポールの半導体設計会社と協業合意

2025年3月25日 


国の全面的な支援を受けて先端半導体の量産を目指す「ラピダス」は、シンガポールの半導体設計会社と協業することで合意したと発表しました。シンガポールの会社から技術面での支援を受けるとともに、量産化が実現した際には、顧客の獲得でも協力していくということです。



ラピダスは25日、シンガポールの半導体設計会社「クエスト・グローバル」と協業することで合意し、共同で会見を行いました。

クエスト・グローバル社は世界20か国に拠点を置く半導体の設計会社で、今回の協業では、この会社がラピダスにエンジニアを派遣するなどして技術面で支援をしていくということです。

また、この会社は、宇宙や医療などの分野で幅広い顧客を抱えていることから、ラピダスが再来年に先端半導体の量産化を実現した際には、顧客の獲得にも協力していくとしています。

会見でラピダスの小池淳義社長は「今回の連携により、われわれが気付かなかった企業とつながることができる可能性もあり、顧客の拡大という意味で非常に意味がある」と話していました。

また、クエスト・グローバル社のアジット・プラブCEOは「われわれの顧客の中にはすでにラピダスの製品を使いたいという会社もある。AI分野における新たな顧客の開拓も協力していきたい」と話していました。


ラピダスが顧客獲得へ弾み、「必須のパートナー」クエストと協業

2025年03月29日

ラピダス(東京都千代田区、小池淳義社長)は2025年03月25日、半導体設計などを手がけるシンガポールのクエスト・グローバルと協業すると発表した。ラピダスはクエスト・グローバルの顧客にファウンドリー(半導体製造受託)サービスを提供するほか、クエスト・グローバルの人材がラピダスの半導体設計サービスを支援する。ラピダスは4月からパイロットラインが稼働する。今回の協業によって顧客獲得に弾みをつけたい考えだ。

同日、都内で会見した小池社長は「クエスト・グローバルは顧客との関係性が非常に深い。我々が顧客を獲得していくためには必須のパートナーだ」と強調した。クエスト・グローバルのアジット・プラブ最高経営責任者(CEO)は「航空宇宙やエネルギーなどの顧客を支援してきた。今後は新興企業への支援も行っていきたい」とした。

また、小池社長は「新興企業向けに(1枚のウエハーに異なる半導体を製造する)シャトルサービスをやりたい」と話した。設計支援やサービスを充実させ、顧客開拓を急ぐ。


次世代半導体の国産化を目指すラピダスは25日、半導体の設計などを手がけるシンガポールのクエスト・グローバルと協業すると発表した。人工知能(AI)向けに需要拡大が見込まれる先端品の開発を加速させる。クエストの顧客網も活用する狙いがある。

 AIは消費電力が大きく、ラピダスはエネルギー効率に優れた次世代半導体を2027年に量産して供給する計画だ。回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)相当の最先端品を目指しており、設計面を中心にクエストに技術支援を求める。

 ラピダスの小池淳義社長は東京都内で記者会見し、協業によって「顧客に合わせた今までにない新製品をつくれるようになる」と話した。(共同)


米巨大IT企業の中国人AI人材、とうとう母国に回帰する動きが加速! 中国から招集がかかったか?
2025年4月3日


望月博樹

MSやGoogle出身のAI人材、中国に続々帰国
米国で活躍した中国人AI人材、母国へ回帰の動き加速
中国出身の人工知能(AI)新薬開発専門家、フー・ティエンファン博士(32)は、2年前に米レンスラー工科大学で教授に就任し、終身教授を目指していた。しかし今年、中国・南京大学へ移籍した。AIを活用した新薬開発で注目されている若手研究者であるフー博士は香港の「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」とのインタビューで、「中国政府の高等教育への積極的な投資が、若手科学者に前例のないチャンスを与えている」と語った。

中国出身のAI人材が母国に戻る動きが加速している。先月23日には、マイクロソフトやIBMなど米ビッグテック企業でAI研究員を務め、フロリダ大学の教授としても活躍してきたチー・グオジュン氏(43)が、中国・杭州の西湖大学AI・機械学習研究所「メイプル(MAPLE)」の所長に就任すると報じられた。チー氏はディープラーニングやマルチモーダルAI(画像・音声など複数の情報形式を扱うAI)の専門家で、論文の被引用数は2万3,500回を超える実力者として知られている。

以前は母国に戻る中国人材の多くは大学教授が中心だったが、最近ではグローバル企業で活躍していた人材の帰国も目立ち始めている。例えば今年初め、中国のバイトダンス(TikTokの親会社)は、Google DeepMindの元副社長であるウ・ヨンフイ氏を採用した。南京大学を卒業後、米国で博士号を取得したウ氏は、2008年からGoogleで機械学習と自然言語理解を専門に17年間勤務していた。また、Appleで高性能・低消費電力のCPU設計を担当していたワン・ファンユイ博士も昨年、中国の華中科技大学(HUST)の教授に就任した。
過去には海外で高い評価を得た学者が後進の育成を目的に帰国するケースが一般的だったが、最近は帰国する人材の年齢層が若年化している。たとえば、暗号学分野の世界的権威であるカス・クリーマス元オックスフォード大学教授の主要研究プロジェクトに参加した、ジャオ・マン氏(29)、そして大連工科大学の教授に就任した双子の科学者マ・ドンハン氏(35)とマ・ドンシン氏が代表例だ。なお、マ・ドンシン氏は2012年に清華大学の最優秀5人の学生に与えられる特別奨学金の受賞者でもある。

若手人材を獲得するため、中国の大学は破格の条件を提示している。例えば、海外で博士号を取得した研究者が母国に戻り3年以上教授として勤務する場合、3年間の研究費900万元(約1億8,200万円)と年俸75万元(約1,500万円)を中国政府が創設した「優秀科学青年基金」で保証する。さらに生活費100万元(約2,000万円)と特別手当150万元(約3,000万円)を支援する場合もある。一般的な中国の教授年俸(20万〜35万元(約400万〜700万円))の約6倍に達する支援を受けられる。
中国の研究環境も急速に改善されている。フー・ティエンファン教授は、AIを活用した新薬開発に関して、「中国の大規模な臨床研究が貴重なデータ源となっており、こうしたデータが中国の技術企業によるAI発展を加速させている」と述べた。

中国政府は2017年に「次世代AI発展計画」を発表し、AI分野の人材回帰を促進する政策を本格的に推進してきた。これに伴い、大学や研究機関は自由度の高い研究環境と充実した研究予算を整備できる体制が整いつつある。これまで中国で博士課程に進むには国内で学士・修士号を取得していることが条件とされていたが、今年から清華大学や復旦大学などの主要大学がこの条件を撤廃。海外で修士号や博士号を取得した高度人材を積極的に迎え入れるための措置だ。

中国政府による人材の本国回帰政策は、実際に成果を上げている。先月30日に発表された「北京留学派白書」によると、昨年末の時点で海外留学を経験した北京在住者は122万8,500人に達し、そのうち約5分の1(20.84%)が科学・技術関連分野を専攻した人材だった。

また、中国教育部の資料によれば、年間の帰国留学生数は2015年の40万人から2021年には100万人を突破。このうち40%以上が、科学・技術・工学・数学(STEM)分野を専攻していた。

中国科学院と中国工程院に所属する院士(最高位の科学者)の多くが、海外留学の経験を持つことが明らかになっている。北京市で勤務する中国科学院の院士403人のうち、302人(75%)が海外留学経験者であり、中国工程院の院士448人のうち211人(47%)も同様に留学経験を持っていた。また中国科学院は、2023年上半期に米シリコンバレーから帰国したAI人材の数が、前年同期比で30%増加したと発表した。



台湾に留学する日本人学生が「爆増」、そのメリットとは?―台湾メディア
2025年4月11日

台湾メディアの三立新聞網は、台湾に留学する日本人学生が4年間で72%と「爆増」していると伝えた。
© Record China


台湾メディアの三立新聞網は、台湾に留学する日本人学生が4年間で72%と「爆増」していると伝えた。

記事は、「近年、日本へ留学する中国人学生の割合が年々増加しており、多くの日本の有名大学の合格者リストには中国人の名前が見られる」とする一方、「興味深いのは、台湾が日本人学生にとって新たな留学先として注目を集めていることだ」と指摘した。

そして、文部科学省のデータを引用し、過去4年間で台湾に留学する日本人学生の数が約72%増加していることに言及。台湾教育部の2023年の統計でも、台湾の外国人留学生11万6038人のうち日本人は8427人で、ベトナム人、インド人、マレーシア人に次いで4番目に多いことを伝えた。



記事によると、台湾のジャーナリスト・福澤喬(ジョエル福澤)氏は自身のSNSアカウントで「日本人の留学先は、以前は米国、カナダ、オーストラリアといった英語圏が主流だったが、近年はアジア地域、特に台湾の魅力が高まっている」と説明し、その理由として「治安の良さ」「生活コストの低さ」「ハイテク産業との結びつき」を挙げた。

また、卒業後の進路(台湾に残る、日本に戻る、第三国で就職するなど)の選択肢が増えること、日台は文化的に近い上に(台湾の学校では)英語で受けられる授業も多いこともポイントだとし、「就職面でも、台湾は日本のような一斉就職制度はなく、専門スキルで職場経験を積んでいく傾向があり、日本人留学生にも多くのインターンシップの機会が提供される」と説明した。

このほか、「台湾の半導体産業は世界的に重要な地位を占めている」とし、日本に工場を構えるTSMCが今年から雲林科技大学に「日本人向けコース」を設立しさまざまな補助を提供すること、台北大学はTSMCやメディアテック(MediaTek)、エヌビディア(NVIDIA)などと協力関係を築き「半導体人材育成プログラム」で多くのインターンシップの機会を提供していることを紹介。「充実した奨学金制度も整えているため、日本の学生の台湾留学への意欲が高まっている」と解説している。(翻訳・編集/北田)

TSMC✖️国立雲林科技大学 日本人専門の半導体コース募集開始

2025年4月11日
台湾留学サポートセンター
皆さん、国立雲林科技大学でも半導体コースの募集が始まりました!国立雲林科技大学は、半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と提携し、2025年9月から日本人向けの半導体専門コースを新設します。 日本からの学生も台湾の学生と一緒に学び、4年間の学費(約225万円)を全額免除され、さらに毎月約5万円の生活費補助も支給されます。

このコースは、TSMCの要請で設立されたため、卒業後は日本のTSMC(JASM)の就職選考試験を受けることが条件となります。また、TSMCはグローバル企業であるため、学びながら自然と英語力も身につけることが期待できます。仮に入社試験に不合格だった場合でも、支援金の返還義務はありません。

卒業後は高い給与が保証されているため、将来を考える優秀な若者にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。

毎月オンラインで開催される説明会で詳細情報を提供しますので、興味のある方はぜひ参加してください。ただし、台湾人と一緒に学習するため、ある程度の学力と中国語能力が必要です。退学などの事態を避けるためにも、事前の中国語と英語の学習を怠らないようにしてください。

ご興味があれば、是非説明会にご参加ください。
応募詳細









国立雲林科技大学(NYUST)以外で、半導体やIT分野の教育・研究に力を入れている大学


ご興味があれば、是非説明会にご参加ください。



2024年9月30日

国立雲林科技大学に、台湾と日本の半導体業界で活躍する高度な専門人材の育成を目的とした日本人コースが、台湾積体電路製造(TSMC)の出資で2025年9月に開設されます。対象となるのは日本で機械、工業、マネジメントを学んだ高校卒業者、機械系学科の高専、短大卒業者などで、授業料が4年間免除されるほか、毎月の生活補助金約4万7,000円も支給されます。卒業後、TSMCの入社試験の受験が必須ですが、不合格の場合でも生活補助金などの返還義務はありません。また、大学生の中長期留学も若干名募集されます。


雲林科技大学と学術交流協定を結んでいる福岡工業大学で9月27日、日本人コースへの学生受け入れに向けた募集説明会を開催します。福岡工業大学、同短期大学部、附属城東高校へは同コースへの優先枠が用意されます。









台湾の大学 半導体コース「学費全額免除」枠を日本の学生に 熊本・人吉市を訪問し入学呼びかけ  2024年6月20日(木) 12:06


熊本県人吉市の高校生に進学先として選んでもらおうと、台湾の国立大学の副校長が人吉市長を表敬訪問しました。

人吉市を訪れたのは、台湾の国立大学雲林科技(ウンリンカギ)大学の蘇純繒(ソ ジュンゾウ)副校長です。

この大学は1万人以上の学生が学び、台湾に150以上ある大学のうち難易度がトップ10に入る総合大学です。

大学にはTSMCと連携した「半導体コース」がありますが、近く日本の学生を対象に学費を全額免除して生活費(毎月約5万円)も支給する枠を設けることから、入学を呼び掛けるため訪れました。

蘇副校長は「速いスピードで発展する半導体分野で優秀な人材を育成したい」と述べました。

今後、人吉高校などは進路説明会で生徒などに選択肢の一つとして紹介するということです。