❺ バブル崩壊後の日本経済の「失われた30年」の総括
「1978年 チャイナ編」
日本経済を支えるのは国防費ではなく大学の研究費だ!日本には工業の原料、資源が無い!● 日本人は、頭で勝負するしかない!
2022年 は、日中国交正常化50周年 という記念すべき年、北京オリンピック開催 の年。習主席と岸内閣の友好の記念となる年 です。日本政府・岸内閣が近隣三国 である中国・韓国・ロシア側に合わせるか、AUKAS の側に合わせるか、を世界は興味をもって見ることでしょう。AUKAS は2021年10月に発足したオーストラリア (AU)、イギリス (UK)、およびアメリカ合衆国 (US)の三国間の軍事同盟です(最高の軍事機密が密集した原子力潜水艦)。ここに日本は存在していません、この点がポイントでしょう(日独伊は歴史的に信用されていない?) 。日本は被爆国であり、非核三原則がある。しかし日米間の安全保障 はありますが日本が仮に憲法改正 すれば日米安全保障 はいらない、という安倍氏 、二階堂氏 の会派の政治家たちの考え方もあります。また岸田内閣は人権非難決議法に反対した唯一の政治家で、人権非難決議法案 は、中国の新疆ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区や香港に加えてミャンマーも例示し、「信教の自由への侵害、強制収監をはじめとする深刻な人権侵害、ジェノサイドが発生している」として即時停止を求める内容で、日本は民主主義の国なのに、岸政権はジェノサイドはOKだと、習主席や、かつての天才ヒトラーと共通項を持つ人間なのだろうか?。それとも、まだ中国に忖度して経済優先で行こう、と思っているのか?とにかく、彼は2021年度は改正国民投票法などを成立 させ、まあ2022年は日本の政治家は混乱している時期でもある ので、一元化できません。かなり深く「明治から昭和までの歴史」を知らなければ解明できません。
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昭和を切り開いた人たち。岸信介の「ファミリー」 。 松田賢弥『絶頂の一族―プリンス安倍晋三と六人の「ファミリー」』(講談社、2015年)
安倍一家: 母・安倍洋子(岸信介 の長女)、 父・ 安倍晋太郎 、兄(長男)・安倍寛信、弟(次男)・安倍晋三、(三男)岸信夫 安倍元総理大臣の実の弟の岸信夫防衛大臣
安倍晋三
鳩山由紀夫内閣 鳩山由紀夫 1947(昭和22)年2月11日生まれ。
父は鳩山威一郎。祖父は初代自民党総裁・内閣総理大臣経験者の鳩山一郎exit。
名門の出である。鳩山由紀夫の祖父は、元首相の鳩山一郎なんですがね。
鳩山一郎は戦後、朝鮮進駐軍に暴行を受けて大ケガしたのに、孫の鳩山由紀夫は、統一教会で結婚するわ、韓国にすりよるわで、ロシアにもすりよるわで、お祖父さんも草葉の陰でさぞなげいてるんじゃありませんか。
元自民党(現在無所属)の正義厨、鳩山邦夫元総務大臣は実弟。互いに批判する場面が見られるものの、兄弟仲に関しては決して悪くなく、むしろ良好であるらしい。朝日新聞に鳩山邦夫氏が「死に神」呼ばわりされた際に、ぶちギレ金剛したことも。
ガッシリした体格などから、なんとなく向こうの方が兄っぽいが、それは由紀夫氏がひょろっとして、63歳という年齢の割りに若く見えるためであろう。『幽遊白書』の「戸愚路兄弟」も、弟のほうが体ががっしりしていたのを思い出せば、間違えなくてすむ。
永田町界隈、果ては親族からも「善人過ぎて政治家に向かないのでは?」といわれた事があると自称する。
政治家としてよりも、自身のホームページで公開するアニメexitがあまりにも特殊なため、そちらのイメージのほうが強いかもしれない。
読売巨人軍のファン。自身でプレイするスポーツとしてはアメフトが好き。サッカーその他の球技と違い、得点するごとに仕切りなおしになるのと、戦略を立てる面白さが好きなのだとか。外交に「仕切り直し」が通用すると思ったら大間違いであるが。
何だかんだ言いながら麻生太郎元総理に劣らないオタク。好きな漫画家には、友愛の観点からか桂正和を挙げている。雑誌『オタクエリート』の表紙に採用されたことも。
2009年9月には、民主党議員松井孝治の勧めで映画『サマー・ウォーズ』を鑑賞し、「友愛だね」「非常に楽しませてもらいました」との感想を残した。またこの時、なぜか幸夫人とは「会話もしてませんよ」ということだった。
育ちの良さが映っているとも言えるが、前総理大臣の麻生太郎と同じくかなりの達筆。特に、民社国新3党連立政権発足時の合意書の署名においては、すぐ下に書かれた福島みずほ女史の凄まじい悪筆と互いを引き立てあい、強烈な印象を残した。
民主党内では代表という重責を担っていた傍らで、ファッションリーダーとしてのイニシアチブも担う。そのエキセントリックなセンスは他の議員の追随を許さない。
スピリチュアルにも造詣が深く、すでにこの世にいない人物から資金的に応援される事もある。風呂場でマントラを唱えたり、スピリチュアル系の世界滅亡を述べた本に紹介文を書いたりしている。また、奥さんのすすめで太陽をアムアムする、いわゆる「太陽を喰らう男」でもある。
過去に「宇宙人」というあだ名が与えられた、っつーか自分で名乗ったこともある。
アメリカのワシントン・ポスト社に『ルーピー』と称され、瞬く間に鳩山氏のニックネームとして反対派の間で広まった。そればかりか同社は最もまぬけな行動をとった組織に与えられる賞として「ルーピー賞」を制定したが、これは鳩山由紀夫首相にちなんで命名されたと言われる。
政治家としての 鳩山由紀夫
1986(昭和61)年7月6日の「第38回衆議院議員総選挙」に、自民党田中派から同党公認で北海道より初出馬、見事当選する。
自民党内で精力的に活躍したが、1993(平成5)年、政治改革の方針の違いにより自民党を離党。武村正義らと「新党さきがけ」を結党。7月18日の第40回衆議院議員総選挙では、新党ブーム(笑)に乗り躍進、自民・社会党(当時)を破り、細川護煕(ほそかわ もりひろ)連立内閣を成立させた。こうして書くとちゃんとした政治家っぽい。
細川内閣では内閣官房副長官に就任。ただし連立政権は自民党と共産党以外の日本新党、新生党、新党さきがけ、社会党、公明党、民社党、社民連、民改連といった政治的に結びつきそうもない政党が軒を連ねており、各党間の調整は難航を極めることが容易に予想された。
ガンダムで喩えると「ファーストしか認めない派」「Zまでなら派」「ターンA意外におもしろいよ派」「武者ガンだろJK派」「SD派」「イケメンかショタでてないならイラネ(腐女子)派」「ボトムズこそ漢のロボットアニメ派」「ここは政治的にダグラムで一つ派」のオフ会を纏めきるようなものである。絶対無理。
実際のところ細川内閣は8ヶ月の短命内閣とならざるを得なかった。そして鳩山内閣も当然の如く1年持たない短命内閣であった。
1994(平成6)年4月8日、細川総理の辞任を受け、4月28日には羽田孜(はた つとむ)内閣が発足。しかし社会党と鳩山の所属する新党さきがけが連立を離脱。2ヶ月程度で内閣は崩壊した。
6月25日羽田内閣退陣に伴い、自民党・社会党・新党さきがけによる連立政権構想が纏められる。自民党の一部に、社会党委員長の総理就任に反対する勢力があったものの、6月29日、対抗馬の海部氏を破り村山富市首相が誕生した。社会主義者の総理大臣誕生は米国中枢に衝撃を与えたらしく、冷戦終結後冷えつつあったとはいえ、これを境に日米関係は急激に冷え込み、「ジャパン・パッシング(日本を無視)」「ジャパン・ナッシング」といわれる時代に突入した。日米関係の改善には長い時間を要した。
余談だが、当時フジテレビ(CX)系で放送されていたバラエティー番組『ラスタとんねるず’94』では、有力政治家の人形を使ったブラックジョーク・コントを放送しており、人形を英国の専門会社に発注していたが、2ヶ月で首相が交代するといった状況に対応するため厳しい納期で発注、相手に「クレイジーだ」といわしめた。
一方、由紀夫氏は同年秋には永田町に見切りをつけ、北海道知事選に出馬しようとしたが、武村正義・村山富市の説得を受け思いとどまる。でも北海道にいったほうがよかったかもしれない。それなら本州・四国・九州は助かったのだから。
なお先に出馬準備の依頼を受けていた北海道の地元有力者は、このときすでに知事選出馬準備を整えており、突然の知事選出馬撤回にぷるぷると震えたという。
今からでも有力者に「あんとき半端なことやってすんませんでした」って謝った方がいいと思う。
その後同じ党の武村をばっさり切り捨て、1996(平成8)年9月28日には社会党議員の一部を取り込む形で「民主党」を結成。1999(平成11)年には党代表を務め、選挙のたびに勢力を拡大させたが2002(平成14)年、小沢一郎氏の率いる自由党との、統一会派を巡っての党内混乱を収束すべく、党代表を辞任した。
もともと、鳩山氏の立ち上げた新党さきがけや民主党自体が、「自民党田中派の金権政治との決別」「田中派の妨害のない政治改革」を旗印に掲げていたこともあり、小沢氏との連携は党内から相当な反発があった。いまはもう「自民党田中派の悪い所+旧社会党+中国共産党+朝鮮労働党」になっちゃったけど。
前後して2000(平成12)年4月に小渕恵三総理が死去した際、野党第一党党首として慣例の追悼演説を行うはずであったが、小渕の遺族に拒否され、村山富市がこれを代行している。ぽっぽさんがやったことを考えれば仕方ないね。
極端な親中国派が多い民主党内にいながら、いきなりチベットのダライ・ラマ14世法王と面会し北京政府から睨まれたり、不思議な人物でもある。もっとも、幸夫人ほどではないが。そんなこんなで「政党ひとり」といった感じさえ受ける。これも「友愛」の精神に基づいた行動であると解釈できるが、世界的に「『敵なのか味方なのかよくわからねえヤツ』は、いずれの勢力からも危険視されちゃったりする事がある」ってたしかマキャベリとかいうヘタリア人がいってたので、とりあえずは気をつけていただきたいところ。
2009(平成21)年5月12日の小沢一郎代表(当時)の辞意表明を受け、民主党幹事長の辞意を表明…するが、代表選挙へ出馬し同月16日の投票の結果、民主党新代表に選出された。当初、小沢前代表の辞任に「殉ずる」と、自身も幹事長として引責辞任する旨の発言をしていたが…あれ...誰か来たようだ。
同年8月30日、第45回衆議院総選挙において、民主党が野党史上初の単独300議席越えを達成し自民・公明連立が下野確定。選挙後の国会で総理大臣の指名を受け第93代総理大臣に就任した。
元・総理大臣 鳩山由紀夫 としての活動
辞任後は第46回衆院選には立候補しないことを表明していたが後に撤回。しかしそうは問屋がおろさなかった。
2012年11月16日に野田内閣が解散した後も選挙に出るつもりだったが、民主党執行部の方針に反発した為梯子を外される形で政界引退に追い込まれた。本人は「消費税増税を止められなかった事が引退の理由」と後に主張しているが、取り巻く状況は絶望的であり、刺客候補に勝つ見込みが立たなかった事が原因である事はいうまでもない。
引退後も利敵行為を繰り返した為、当時の防衛相から「国賊」扱い され、今までの所属先であったはずの民主党からも批判された。
2012年4月8日、鳩ぽっぽは周囲の反対を押し切ってイランを訪問、アハマディネジャド大統領と会談した。その際、「国際原子力機関(IAEA)がイランを含む特定の国に二重基準的な対応をとっていることは不公平だ」と発言し、イラン側の思惑にまんまと乗せられた。これに対し、自民党だけでなく政府・民主党からも批判が相次いだが、鳩ぽっぽは「イランに行って良かった」と呑気に発言している。その後、ヤバいと思ったのか、在日本イラン大使館に発言の訂正を求めたが、政界だけでなく味方の朝日新聞からも「これは外交とは言えない」と社説でぶった斬られるなど、散々な目に遭っている。
2013年1月16日、ポッポは中国を訪問していた。そのなかで、政府が繰り返し「日本固有の領土」と説明してきた尖閣諸島について、「中国の立場から言うと日本に尖閣諸島を盗まれたと思っても仕方がない」「日中間の係争を認めるべきだ」と発言した。元・総理大臣経験者から出てきた発言であるため、その当時総理大臣を務めていた菅直人からも「考えて発言する必要がある」と苦言を呈された。
2013年3月に一般財団法人「東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute、略称はEACI)」を設立し、自身はその理事長におさまる。また、同財団の設立により公式サイトの内容は消去され、以降は自身の活動報告をEACIの方に掲載していくとのこと。
2015年3月9日、ロシア・ウクライナ間で紛争が起きているクリミア半島への渡航・訪問を行うと発表。 「住民の意思を確かめ、編入の是非について考えたい」とのことだが、日本政府では「力を背景とした現状変更である」として認めない立場をとっているため、日本の総理大臣経験者がクリミアに訪問してしまうことは、ロシアに実績を作らせたうえに、日本国として承認を与えたという国際的な誤解を招きかねないため、日本政府は渡航を延期するよう説得・申し入れを行っていた。
しかし当人は10日にクリミア訪問を強行。ロシア系メディアが多く集まったクリミアでの記者会見にて、「平和裏に民主主義的プロセスを通じて行なわれた」「クリミア市民の実際の意思表明であった」と発言。日本と日本のマスコミについても「信憑性のある形では伝えていない」「正確な事実が伝わっていない」と発言した。血を分けた実弟の鳩山邦夫からも「宇宙人らしい人間が、本当の宇宙人になってしまった」と酷評された。
中国で放送の鳩山由紀夫「売国発言」:
中国の軍拡目標はアジア太平洋での覇権確立。そしてその第一段階が台湾併呑。もし我が「不沈空母・台湾」が「中国の空母」と化せば日本は・・・。 政府・媒体が敢えて語らぬ生命線防衛の重要性を考えたい。
中国で放送の鳩山由紀夫「売国発言」全内容 2013/06/26/Wed
2013年一月の訪中で賈慶林全国政協主席や楊潔篪外交部長らの前で「尖閣諸島が係争地であると互いに認めることが大事だ」と発言し、小野寺五典防衛相をして「『国賊』という言葉が一瞬、頭をよぎった」と言わしめた鳩山由紀夫元首相。
「日本の元首相発言として(中国が)宣伝して国際世論を作られてしまう」というのが小野寺氏の懸念だったが、まさにその通りだ。
そして鳩山氏の売国暴走はその後も止まらない。産経新聞の六月二十五日の報道によれば、「香港のフェニックステレビの取材に対し、(中略)尖閣をめぐる歴史的経緯に言及し、『中国側から「日本が盗んだ」と思われても仕方がない』と述べ」、その発言は六月二十五日午前、「中国内外に向けて報道された」という。
そうした中国の領有権の主張(宣伝)に理解を示す発言を受け、菅義偉官房長官は同日、「国益を著しく損なうもので、断じて許すことはできない」と強い不快感を示している。
鳩山氏は中国政府のシンクタンク、中国国際経済交流センター主催の経済フォーラムでの講演のため、二十六日に訪中するが、それに先立ち、中国軍のコントロール下にあるフェニックス(鳳凰)テレビの取材を受け、中国寄りの持論を展開したわけだ。
このように鳩山氏は、中国から見れば「解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない」とする日本政府の主張の切り崩し工作(宣伝工作)における格好の道具になっている。
以下にフェニックステレビが放送した鳩山氏とのインタビューの全内容(短めの鳳凰網バージョン)を見てみよう。ちなみにニュースのタイトルは「日本の鳩山由紀夫元首相:日本は釣魚島を盗んだとの中国の主張にも道理あり」だ。
■ナレーション
日本の鳩山元首相は今週訪中を計画しているが、それに先立ちフェニックステレビの単独インタビューに応じた。釣魚島問題に関して鳩山は「日本政府は釣魚島には主権争議があることを認めるべきだ。日本は釣魚島を盗んだとの主張も道理にかなっており、中日がかつて棚上げで合意したのも歴史事実であるから、日本は挑発行為をやめるべきだ」と明確に述べた。
■記者(日本語)
鳩山閣下、係争地であると認識されているようですが、改めてなぜ係争地なのかを教えてください。
[字幕(中国語)](あなたは釣魚島には主権争議があるとのお考えだが、どのようにう見ているのか)
■鳩山由紀夫(日本語)
お互いに尖閣、釣魚島に対して、俺たちの島だという気持ちは両方の国が持っていて、ある意味で当然だと思っています。それは中国側から見れば盗んだと、思われても仕方がない。ならばそれは返すべきだと言うのは、カイロ宣言の中に尖閣が入るだろうということは、そういう解釈は充分に、私は中国側から見れば当然成り立つ話だと、すなわちまさに係争地であると。
[字幕](日中双方が釣魚島を自国の領土だと考えている。それも当然のことである。中国から見れば、日本が釣魚島を盗んだとなるのも道理に適う。中国は、カイロ宣言には釣魚島返還に関する内容もあり、釣魚島には自ずと主権紛争が存在することになる)
■ナレーション
鳩山は「日本政府が主権紛争の存在を認めないのは誤りだ」と強烈に非難し、「中国に対して挑発し、対話のドアを閉ざして緊張を高めていることを憂慮する」「唯一の方法は主権問題の存在を認め、過去の立場へ立ち返ること。さもなければ日本の国益を損ね、中日関係の改善は遠のき続けるだけだ」と語った。
■鳩山由紀夫
日本政府の頑なな態度が続いてしまえば、それはこの日中関係をますます厳しくして、解決と言うことはとてもあり得ないことになります。過去のところまで認めて行くことしかないと私は思います。
[字幕]日本政府が一貫して頑なな態度であれば、日中関係はますます悪くなり、最後は解決方法がなくなる。日本は釣魚島に関して達成された過去の合意を承認するしかない。
■ナレーション
鳩山はさらに、「中日は一九七二年の国交正常化の時、周恩来と田中角栄は間違いなく釣魚島争議の棚上げで合意に達している。これは事実だ」とし、「日本政府はこのような歴史事実を否定してはならない」と強烈に批判した。
■鳩山由紀夫
少なくともこの四十一年前に周恩来総理と田中角栄総理との間で、棚上げと言う、これは文書ではありません、確かに、文書ではないけれども、両首脳が合意をしたというのは事実です。
[字幕]少なくとも四十一年前、周恩来総理と田中角栄首相は争議棚上げの合意に達した。文書にはしていないが。これは事実だ
■ナレーション
鳩山は「日本が釣魚島争議と領土問題の存在を認めてはじめて、関係改善の第一歩となる」と考えている。
放送内容は以上のようなものだった。
「中国側から『日本が盗んだ』と思われても仕方がない」との発言が報じられたのを受け、鳩山氏は二十五日の記者会見で、「言っていない。中国側がそう判断をするという可能性があると申し上げた」と釈明している。
たしかに番組の映像を見れば、釈明の通りではある。
しかし発言には「中国から見れば、日本が釣魚島を盗んだとなるのも道理に適う」との字幕を付けられているのである。それは「中国側から『日本が盗んだ』と思われても仕方がない」と同じ意味である。
つまり、本人が「どのように発言したか」ではなく、中国側に「どのように宣伝利用されたか」(宣伝利用され得る軽率、または故意の発言があったか)が一番の問題なのである。
それ以外にも、「中国は、カイロ宣言には釣魚島返還に関する内容もあり、釣魚島には自ずと主権紛争が存在することになる」などと、中国の虚構宣伝を代弁するような字幕を付けら、あるいは自ら進んで「両首脳が(棚上げの)合意をしたというのは事実」だと断言し、中国の宣伝に与しもしている。
二十六日のフジテレビ系ワイドショー「とくダネ!」で「鳩山発言」が取り上げられた際、ある政治アナリストは「鳩山氏は善意の暴走族。相手の心に溶け込もうとする。善意だからブレーキが効かない」といった意味のコメントを見せていた。
つまり「善意」で中国の主張に理解を示してしまうので、たちが悪いという分析だが、私はその「善意」なるものの実態とは何かを考えた。
それは決して他国を慮る「人の良さ」の表れなどではない。むしろ自国に敵意を抱く他国と手を結びたがる「自虐」「自国憎悪」という歪んだ心理、情念の発露と呼ぶべきだろう。善悪の判断を超えた情念だからこそ「ブレーキ」など効かないわけだ。
そして、そうした情念の持ち主こそ、中国の統一戦線工作のまたとないターゲットとなる。中国は日本の「元首相」という、自国に有利な「国際世論」作りにおいて極めて有用な協力者の獲得に成功したのだ。
「ルーピー」だと侮ってはならない。「ルーピー」だからこそ中国の強力な武器に仕立て上げられる。 まさに「断じて許すことはできない」だ。
韓国・光復70周年記念行事に日本が参加
韓国国会の文喜相(ムン・ヒサン)議長が、慰安婦問題をめぐって、日本側に土下座を要求するという、信じがたい暴言を吐いていたことが分かった。文議長は「天皇陛下への謝罪要求」という常軌を逸した発言を繰り返していたが、もはや狂気の沙汰だ。こうしたなか、韓国は不法占拠する島根県・竹島周辺に海洋調査船を侵入させる 、新たな挑発を仕掛けてきた。
西大門刑務所では日本の植民地時代に収容された独立運動家らが拷問によって次々と亡くなったことから独立運動の象徴になっている。その一方で戦後、韓国の軍事独裁政権時代に民主化運動家たちが同じように収容され、拷問で命を落としたという負の歴史も持つ。
後に韓国大統領になる金大中氏もここに投獄されていた。
10人ほどの職員に出迎えられた鳩山元首相は40人を超える報道陣に一礼すると、最初に、朝鮮のジャンヌダルクと呼ばれた独立運動家の柳寛順が亡くなった監獄に足を運んだ。説明を受けると静かにユリ30本を添え、手を合わせた。
終始、大所帯の報道陣は鳩山元首相を囲み、「お詫び」の一言を取ろうと必死になった。追悼碑前でひざまずいた鳩山元首相の姿はこれ以上ないニュースとなった。
安倍晋三首相は14日に発表する戦後70年談話に、「村山談話」のキーワードと位置づけられている「お詫び」や「侵略」などすべての文言を明記するとNHKが報じた。
安倍首相を支持する産経新聞によると、村山談話の「お詫びの気持ちを表明」した部分を引用するような間接的な形で触れる案が有力になっているという。
戦後50年に出された村山談話のカギとなるフレーズは次の3つだ。
(1)「植民地支配と侵略(aggression)」
(2)「多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛(tremendous damage and suffering)を与えた」
(3)「それに対して痛切な反省の意と心からのお詫びの気持ちを表明する(express my feeling of deep remorse and state my heartfelt apology)」
どれもこれも必要最小限にして不可欠な言葉だ。が、同時に日本に求められるのは歴史に尻込みすることではなく、アジアの平和と安定、繁栄という未来にこれからも強くかかわっていくことだ。
日本は中国、韓国に配慮しつつも、アジア太平洋全体を見渡す必要がある。つぶやいたろうラボ(旧つぶやいたろうジャーナリズム塾)4期生の笹山大志くんがソウルから戦後70年の夏をリポートする。
「日本の元総理として1人の日本人、人間としてここに来ました」「拷問というひどい仕打ちを与えてしまい、命を奪うことまで平気でやったことに、心からのお詫び、追慕の思いをささげたい」
2001年にここを訪問した小泉純一郎元総理は次のように語っている。
「日本の植民地支配によって韓国の国民に対して多大な損害と苦痛を与えたことに対しまして、心からの反省とまたお詫びの気持ちをもって、いま、色々な展示や施設や拷問のあとを見させて頂きました」「これは総理大臣としてというよりもむしろ、一人の政治家として、一人の人間として、このような苦痛と犠牲を強いられた方々の無念の気持ち、これを忘れてはいけないなと思いました」
しかし、韓国内では「日本の罪を矮小化している」と反発を買った。鳩山元首相の知名度は韓国では決して高くはないようだ。現場にいた見学者らは「誰だかよくわからなかった」「日本の元総理なの?」「謝罪したとしても、韓国ではあまり著名な人ではないから影響力はないのでは」と話していた。しかし、記念碑の前でひざまずいて謝罪する日本の首相経験者の姿に韓国では驚きと賞賛の声があふれた。韓国各紙は朝刊1面トップで、ひざまずく鳩山元首相の写真を掲載。「11回、頭、下げる」(東亜日報)、案内した西大門区庁長の言葉を引用する形で「誠意を見せた」(中央日報)と報じた。
「偉大な勇気に感謝する」「日本の政治家にこんな人がいたなんて驚きだ」「安倍首相も見習え」。朝鮮日報電子版にはこんなコメントがあふれた。一方で、「ひざまずいて謝罪することが真の謝罪だというわけではない」という冷ややかな書き込みもある。
NHKの報道では、14日に発表される戦後70年談話には「お詫び」の言葉が明記されているという。今年4月のアジア・アフリカ会議と米議会上下両院合同会議での演説では「植民地支配」「お詫び」の言葉がないとして非難を浴びてきただけに、大きな変化と言えよう。ただ、「お詫び」が韓国の対日感情を和らげるという効果は期待できそうにない。「安倍首相が謝罪したとしても、すぐに許すという簡単な話ではない。次の内閣も同じように引き継いでいけるかが重要だ」と日系企業に勤める韓国人男性(27)は話す。韓国における真の謝罪とは、贖罪を長く示し続けることができるかを意味する。70年談話に対する韓国内での注目度は決して低くない。しかし、談話の文言に一喜一憂すまいという雰囲気もある。「お詫び」談話は日韓歴史問題のゴールではなく、あくまでスタートラインという位置付けだ。
あなたは日本国民ですか?「能天気な元総理大臣」なら、表に出ないでいただきたい!!!
こりゃだめだ!次、行ってみよう!!!!
鳩山由紀夫元首相が光復(解放)70周年を控えた2015年8月12日午後、ソウル・西大門(ソデムン)刑務所跡を訪問した。鳩山氏は東アジア平和国際会議組織委員会とソウル市・京畿道が共催する光復70周年記念行事に出席するため、訪韓中だ。鳩山氏は西大門刑務所の歴史的意義に関する説明を受け、殉国烈士追悼碑に献花し追悼辞も朗読した。光復70周年を控え、日本の元首相が西大門刑務所跡を訪れるのは極めて異例だ。なお、2001年10月には小泉純一郎首相(当時)が同所を訪問している。
1908年、植民地時代に「京城監獄」の名称で建てられた西大門刑務所は、日本による植民地支配から独立した1945年まで、抗日独立運動家が投獄されていた場所だ。独立後にも民主化要人が収監され、韓国近現代史の屈曲を象徴している。西大門区が1998年から同所を「西大門刑務所歴史館」として運営している。
2015/08/12
2022年9月には日中国交正常化50周年記念行事があり、日本が朝貢する予定だ、上の写真のように、またまた情けない姿で・・・
岸田 文雄(きしだ ふみお、1957年〈昭和32年〉7月29日 - )第27代総裁
2021年10月10日、第100代内閣総理大臣に就任
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何もかも大きく中国へ舵を切った日本:
何もかも大きく中国へ舵を切った日本。 最初は「ODA」で中国への謝罪を含めた日本からの投資だったが、最近は中国からの投資をもとに「日本の技術」や「日本の頭脳」を中国へ輸出している。日本の大切な「蔵」を売ってしまった!
日本の大切な「蔵」を中国自らのモノ、つまり「メイド・イン・チャイナ」にしてしまった:
最大手CATLの技術は日本がルーツにわかに世界で盛り上がる自動車電動化の波。名だたる完成車メーカーがこぞって「2030年までにEV(電気自動車)比率を●●%に……」といった戦略を打ち出している。しかし、完成車メーカーの努力だけではEV比率を引き上げることはできない。いま、各社が車両の開発と並んで躍起になっているのが、必要なだけの車載電池をいかに確保するかだ。ここに来て内製に乗り出す完成車メーカーも増えているが、大部分は依然として電池メーカーから調達している。そこで今回は、黒子でありながら主役並みに重要な、車載電池メーカー上位3社の意外な横顔を紹介していきたい。まず紹介しなくてはならないのは中国CATLである。韓国SNEリサーチの調査によると、2020年に146GWhだった世界の車載電池の生産量は、2021年には296GWhと、2倍以上に伸びた。そうしたなかで、世界シェアを2020年の24.6%から8ポイント増の32.6%に拡大し、トップの地位を不動のものにしたのが中国CATLだ。実は同社のルーツは、日本のTDKにある。CATLの母体となったのは香港ATLという電子機器向けの電池スタートアップ企業であり、ATLの立ち上げメンバーが元中国TDKの社員だったという縁から、2005年にTDKがATLを買収・子会社化した。このATLの車載電池部門が分離・独立して2011年に発足したのがCATLである。現在では中国の現地メーカーのみならず、日本メーカーをはじめとする外資との主要合弁メーカーも、こぞって中国で販売するEVにCATL製の電池を使っている。歴史の新しいCATLに対し、世界第2位のLGエナジーソリューションは、長い下積み時代を重ねてきた。LGは早くから車載電池の有望性に目をつけていたが、飛躍のきっかけになったのは、2010年に米ゼネラルモーターズの「シボレー・ボルト」(初代のプラグインハイブリッド車、16kWhのリチウムイオン電池を搭載)に採用されたことだ。LGは2013年には5.6GWhと、ボルト35万台分にあたる当時としては巨大な製造設備を整えたが、電動車の世界需要はLGのもくろみどおりには拡大せず、その後は雌伏を余儀なくされた。しかし最近では、独フォルクスワーゲンや米GM向けに生産を拡大。2020年にはそれまで2位だったパナソニックを抜き去って、2位に躍り出た。
上海の製鉄所建設 写真は『大地の子』 (1996年)より 30年以上前、右肩上がり経済、高度成長期の象徴!新幹線だ! この、「新幹線の技術」と「新幹線の運行システム」をセットで、中国へ手渡してしまった。中国との「平和友好」の名のもとに。というか?日本の犯した罪悪感のもとに? 中国では自分たちが開発した、と言っているが、とにかく「中国式新幹線」は「一帯一路(債務の罠外交)」の鍵となって各国に安価で売られている。ちなみに「インドネシアの高速電車」は「中国式新幹線」で、台湾のは、日本の新幹線だ。中国EVが発売された時中身の技術がドイツの技術であった。ドイツが発明したEV技術を中国企業の名前で売っているのだ!中国企業のやり口は、嘘も方便、偽物も方便、土・空気は汚染放題、・・だ。外へ出る華僑たち、海亀たちは「中華思想」の具現化で千人計画、百人計画を実行しようとしている。昔からそうやって14億の人民は生きていて、これからも生きていく。
中国ダイムラーがこんなEV車を作りました!あなたは乗りたいですか?私は命が惜しいので、決して「中華製」のEV車には手を出しません。世界中に広まっても。とにかく、メイドインチャイナの食品と同じです。遅すぎたが、2022年からは、それが「どの国で作られ、原料はどこから来たのか、モノづくりに中国人が関わっているのか?」を見極めて買い物をしたい。
2021年10月23日 TV番組を見て、たまたま録画した・・・。小松左京の小説「日本沈没 」もすごかったが、この番組も興味深い内容だ。この小説では、沈むの?沈まないの?とにかく架空の話に過ぎない。
VIDEO 【落合陽一】南海トラフ地震や首都直下地震、富士山噴火。天災リスクのリアル
428,230 回視聴2021/03/18
世間では徐々にコロナ後の世界についての議論がされるようになってきた。しかし、忘れてはならないのが、日本が「災害大国」だと言われるほど、歴史的に多くの自然災害に見舞われてきた事実と今後も“起きる”という現実だ。コロナにより日本の災害対応への弱点が露呈したとの指摘もある。近い将来に発生すると想定されている南海トラフ地震や首都直下地震、富士山噴火などにどう備えていくべきか?東日本大震災から10年をむかえた今、日本を生き抜くために何が必要かを考える。
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夢の電池! 全固体電池がもたらす未来図 ~第一人者に聞く メリットや課題は?~【Bizスクエア】
自動車のEV化に欠かせない電池の開発。その切り札として期待されているのが「全固体電池」です。電池の常識を変える「全固体電池 」とはどういうものなのか? 研究の第一人者をスタジオにお招きしてお話を伺います。
【ゲスト】
菅野了次(東京工業大学特命教授)
【コメンテーター】
細川昌彦(明星大学経営学部教授)
★「Bizスクエア」★
・BS-TBS 毎週土曜日 午前11時から
・CS放送「TBS NEWS」
大学は世界中の学生や研究者も一緒に学んでいるし、技術は普遍的なものだから、完全にブラックボックスにすることは難しいでしょうね。それより特許関係をしっかり管理してもらいたい。全固体電池の技術は車だけではありません。将来、巨大な蓄電所を作れれば日本の電力問題を解決できる.
菅野教授の偉大さが良くわかりました。研究とは時間がかかるものですね。
日本は技術開発の安全保障にもっともっと力を入れてスパイ防止法を強化すべきと思います!!!!!
2021年まで、日本の「蔵」をタダ同然で隣国(中国、韓国)に売り、若しくは盗まれ、その挙句、日本が「経済沈没」であったとしても、2022年からは、日本再出発の年になってほしい、、、
“EV競争”の陰の主役! 大手車載電池メーカーの意外な横顔を見る 2022.04.01
最大手CATLの技術は日本がルーツ
にわかに世界で盛り上がる自動車電動化の波。名だたる完成車メーカーがこぞって「2030年までにEV(電気自動車)比率を●●%に……」といった戦略を打ち出している。しかし、 完成車メーカーの努力だけではEV比率を引き上げることはできない。いま、各社が車両の開発と並んで躍起になっているのが、必要なだけの車載電池をいかに確保するかだ。ここに来て内製に乗り出す完成車メーカーも増えているが、大部分は依然として電池メーカーから調達している。そこで今回は、黒子でありながら主役並みに重要な、車載電池メーカー上位3社の意外な横顔を紹介していきたい。まず紹介しなくてはならないのは中国CATL である。韓国SNEリサーチの調査によると、2020年に146GWhだった世界の車載電池の生産量は、2021年には296GWhと、2倍以上に伸びた。そうしたなかで、世界シェアを2020年の24.6%から8ポイント増の32.6%に拡大し、トップの地位を不動のものにしたのが中国CATLだ。 実は同社のルーツは、日本のTDK にある。中国CATL の母体となったのは香港ATLという電子機器向けの電池スタートアップ企業であり、ATLの立ち上げメンバーが元中国TDKの社員だったという縁から、2005年にTDKがATLを買収・子会社化した。 このATLの車載電池部門が分離・独立して2011年に発足したのが中国CATL である。
現在では中国の現地メーカーのみならず、日本メーカーをはじめとする外資との主要合弁メーカーも、こぞって中国で販売するEVにCATL製の電池を使っている。歴史の新しいCATLに対し、世界第2位のLGエナジーソリューション は、長い下積み時代を重ねてきた。LG は早くから車載電池の有望性に目をつけていたが、飛躍のきっかけになったのは、2010年に米ゼネラルモーターズの「シボレー・ボルト」(初代のプラグインハイブリッド車、16kWhのリチウムイオン電池を搭載)に採用されたことだ。LG は2013年には5.6GWhと、ボルト35万台分にあたる当時としては巨大な製造設備を整えたが、電動車の世界需要はLGのもくろみどおりには拡大せず、その後は雌伏を余儀なくされた。しかし最近では、独フォルクスワーゲンや米GM向けに生産を拡大。2020年にはそれまで2位だったパナソニック を抜き去って、2位に躍り出た。
傍流から出発したパナソニックのEV事業
3位パナソニックの車載電池事業も、実は数奇な運命をたどっている。今でこそ、同社の車載電池事業で大きな比率を占めるのはテスラ向けの電池だ。しかし、かつてパナソニックの車載電池事業の主流は、トヨタ自動車のハイブリッド車向けであり、その生産を担うのはトヨタとの合弁会社として1996年に設立されたパナソニックEVエナジー(現在のプライムアースEVエナジー)であった。一方、2003年に設立されたテスラは、2008年に最初の製品である「ロードスター」の生産を開始したが、当時、弱小のEVベンチャーにすぎなかった同社に車載電池を供給するメーカーはなかった。このとき、松下電器産業の電池子会社だった松下電池工業(現在はパナソニック が吸収合併)が、テスラの求めに応じてパソコン用の18650電池を供給。これがパナソニックがEV事業へ進出するきっかけとなった。つまり、パナソニックのEV用電池事業は、子会社の手がける傍流のビジネスから出発したのである。
その後、トヨタ製ハイブリッド車の好調やテスラ躍進のおかげで、一時は世界最大の車載電池メーカーとなったパナソニックだが、2017年にCATL に抜かれ、2020年にはLG の後塵(こうじん)も拝する3位に転落した。韓国SKB や中国BYD の追い上げも厳しい。さらに最近では、同社の主要な取引先であるテスラやトヨタが、車載電池を内製化する動きも拡大している。パナソニックの車載電池事業が今後も大手の一角にとどまるためには、トヨタ、テスラ以外の顧客を開拓していく努力が必要だろう。もっとも、次なる手が必要なのはパナソニックだけではない。現在の勢力図がこのまま続くわけではないのだ。今のところは中国、韓国、日本のメーカーが中心となっている車載電池業界だが、大きく業界地図が塗り替わる可能性も出てきた。というのも、これまで車載電池メーカーが育っていなかった欧州で、新興メーカーであるスウェーデンのノースボルト が台頭してきたからだ。同社はテスラの元幹部が2016年に立ち上げた電池ベンチャーで、欧州の金融機関やフォルクスワーゲン、ボルボといった欧州完成車メーカーが相次いで出資。2024年までに生産能力を60GWhに高めるとしており、これはおよそEV 100万台分にあたる。中・日・韓に欧州メーカーも加わり、今後はEV用電池を巡る競争がますます激しさを増しそうだ。
自動車メーカーが、電気自動車(EV) 向けリチウムイオン電池(LIB) の内製化 にかじを切る。先頭を走る米Tesla(テスラ)をトヨタ自動車が追いかけ、電池メーカーに傾く力関係を引き戻す。今後縮小するエンジンの雇用を守る布石とも位置付ける。一方、全固体電池 の早期量産に黄信号がともる中、全固体電池 の日産自動車が開発に力を注ぎ始めた。EVの急速な拡大が見込まれる中、全固体電池 は間に合うか。
全固体電池は、リチウムイオン電池と違って発火 に強い。
創業からわずか5年にして、独フォルクスワーゲン(VW)や独BMWら大手自動車メーカーとの供給契約にこぎ着けた欧州発電池メーカーがある。スウェーデンのノースボルトだ。米テスラで調達担当の副社長をしていたピーター・カールソンCEO(最高経営責任者)が立ち上げた企業だ。
実はこの成長著しいノースボルトで、日本人エンジニアが開発総責任者を務めている。阿武保郎氏は、パナソニックやソニー(現ソニーグループ)、戸田工業などで34年余りを生粋の電池技術者として過ごした経歴を持つ。
日中韓が中心の電池産業を欧州で立ち上げられたのはなぜなのか。日本メーカーが電気自動車(EV)向け電池で出遅れている“意外な理由”とは何なのか。電池産業の裏表を知り尽くしたキーマンを直撃した。
──阿武さんは、パナソニックやソニー、戸田工業などでトータル34年余りを電池技術者として過ごしたキャリアがあります。スウェーデンのノースボルトに転身されたのは、どのような経緯があるのですか。
ノースボルトのピーター・カールソンCEOとは20年来の友人です。彼はスウェーデンの通信機器エリクソンや米テスラで調達担当をしていましたから、私がパナソニックやソニーにいた頃からのお客さんだったんですね。お客さんだけど仲が良かった。
BASF戸田バッテリーマテリアルズ社長をしていたときに、カールソンが「日本に行くから飯でも食おう」と言うので軽い気持ちで快諾したら、電池メーカーを作るので来てくれというリクルーティングの話でした。
僕は長年この業界にいますから、「技術や設備を外から買ってきても、電池なんて簡単にできるもんじゃない。ドイツだって米国だって失敗してきた。やめた方がいい」と進言しました。
でもカールソンは「厳しい環境規制をクリアして、スウェーデンで“グリーンバッテリー”を作るんだ」と頑として譲らなかった。東京のホテルで4時間膝詰めで話しまして、ああ本気なんだなと思いました。
電池産業は日本、韓国、中国が強いですが、本当の意味で環境に優しいグリーンバッテリーは世界のどこにもないんですね。材料に有害物質が含まれていたり、劣悪な労働環境があったりしますから。長年、カールソンは調達担当をしていて、電池開発・製造の難しさを理解した上で覚悟を決めているのはよく分かりました。
よく考えて1年後にノースボルトに移ることにしたんです。ただし、一つだけ条件を出しました。
──どんな条件ですか。
「優秀な日本の技術者の皆さん、こっちの水は甘~いよ。高給与で来てください。」
日本の経済安全保障 【5つの重点施策】 この小項目1つ1つが、今後の日本の国家としての浮き沈みに関係してくる。日本の政治家の国際感覚が貧しいことを利用して、中国や韓国が日本にお金を出すので「日本の技術や人材」をよろしくね!と言われても簡単には契約しないことだ。日本の工業 に限れば、経済が低成長でも日本国内に工場 さえあればなんとかなる。
今まをでのように中国、韓国などへ日本の製鉄技術や軍事技術を簡単に日本国外へ
流出させてはならない。中国では全権法で特許権とか外資関係の約束事も関係なく、技術を盗むようにして自国技術として世界にアピールして信用させて売っていくつもりだ。
毎年、防衛費 だけはGDPの1%を超えて2%に近づけて行くけれども、 予算の配分を、本気で考えるなら、この5大項目に多くの予算を付けてほしい。日本の経済安全保障 裏で進むロシア、韓国の共同事業 も忘れてはいけない。韓露の合弁事業を択捉島でやろうとしている韓国もそうだが欧米のように「人権を柱の中心にした民主革命」から民主主義になった国ではなく、真似した民主主義の国だから考え方だけ社会主義に転んでも不思議ではない。2021年中国、韓国、ロシアが共同で「日本に領土要求させない」ための同盟話を進め,北方4島を経済特区にして韓国の水産業社と共に合弁事業を行っている。
明治以来、日本の重工業を支え続けた八幡製鉄所の技術者たち! 日中共同の製鉄プラント事業
中国近代化にODA供与 (日本国際貿易促進協会 相談役)
1980年代になると、日中関係は政治・経済両面で最良の時代となった。それを象徴するのが対中ODA(政府開発援助) である。1979年9月、当協会創立25周年の式典参加のために来日した谷牧副総理一行は日本政府との会談で第一次円借款の供与 で合意した。
日本側は中国側代表団に対して、記者会見の場で「感謝の意」を表明するよう要求したが、谷牧氏は「そんなことをすれば私は帰国できない」と言って拒否したという。国交正常化時に国家賠償請求を放棄した中国にとって、日本からの借款に対し「感謝」すれば、中国の国民感情を逆撫でする。このことを日本側は考慮しなかったのだろうか。
その後日本政府の対中円借款は、2007年に終了するまで28年間にわたり合計約3兆円が供与された。鉄道 、港湾 、発電所 、通信 などのインフラ建設 にこの資金が投入され、中国経済の近代化に大きく貢献した。最近になって中国政府要人は公式の場で中国の近代化に対する日本政府の協力に感謝の言葉を表明するようになった。
宝山での日中協力
この時代を象徴するもう一つのプロジェクトが上海宝山製鉄所建設 での日中協力である。日本の新日本製鉄の全面的協力の下で、輸入鉄鉱石を使用する臨海製鉄所を上海に建設することが合意され、1978年12月に着工した。このプロジェクトの経緯は山崎豊子氏によって「大地の子」として小説化された。完成までには紆余曲折があったが、上海宝山製鉄所 は中国の主力製鉄所として順調に発展していることは周知の通りである。
突然のプラント契約中止
1980年代の最大の困難は1981年に発生したプラント輸入契約の中止問題 であった。中国は建国以来一貫してプラント輸入を重視してきた。建国初期はソ連東欧から156項目のプラントを導入し、機械工業などの基礎を築いた。1970年代、特に文化大革命が終わった1976年以後は、日本を含む西側諸国から機械、化学などの分野で多数のプラントを輸入する契約を締結した。ところが外貨の資金繰りがつかず、1980年の年末になり中国は突然すべてのプラント輸入契約の中止を通告してきた。 関係諸国は困惑し、中国の国際的信用は急落した。契約当事者であった中国技術輸入総公司の某副総経理が自殺するという悲劇も起こった。
日本政府は円借款 とは別に商品借款 を供与し、日本政府は中国の資金不足の解決に協力した。 結果的にはほとんどの契約は数年以内に復活した。しかしこの問題以後、中国は大規模なプラント輸入はやらなくなり、もっぱら外国企業の対中直接投資の導入に力を入れるようになった。
耳を疑う「中外合弁」の提案
1978年8月、日中平和友好条約が締結され、復活した鄧小平副総理がその批准書交換のため10月に来日した。鄧氏の復活で予想された中国の路線転換は、同年12月の中国共産党第11期3中全会で改革・開放政策が決定 され、現実のものになった。
当協会は10月から12月にかけて中国機械工業代表団一行19人を受け入れ 、私は全日程を随行した。団長は第一機械工業部の周建南副部長(現中国人民銀行周小川行長の父)であり、筆頭団員として中国機械設備進出口総公司の賈慶林総経理(現全国政治協商会議主席)が加わっていた。同団が日立製作所の日立工場を参観した時に、周団長が日立の吉山博吉社長(当協会副会長)に「中国に投資して、合弁事業をやってほしい」と依頼 した。
周団長の発言は3中全会で党の正式決定がなされる直前であったが、個別の対外交渉で合弁提案をすることは党中央の了承を得ていたものと思われる。自力更生を旨とし、内債も外債もなく、資本主義国との経済関係は貿易のみにとどめてきた中国。その高官が日本の大企業に対して合弁会社設立を提案する とは、正に晴天の霹靂であった。一瞬、聞き間違いではないかと耳を疑った。吉山社長は周団長の要請をしっかりと受け止めた。2年後に製造業における日中合弁事業第1号となる福日テレビ(カラーテレビ製造)が福州に誕生した。
自分は技術移転に注力
翌1979年1月1日には米中両国の国交が樹立された。同年7月、中国は中外合弁経営企業法を制定公布した。中国が対外経済関係において、商品貿易 、プラント導入 、技術導入 に加え、外資導入 に踏み切り、そのための法整備を開始した。これ以降中国は外資導入を柱とする対外経済政策を30年以上ゆるぎなく実行し、今や「世界の工場」、「世界の市場」として、世界第二の「経済大国」になった。 私はそのスタートに立ち会ったことになる。
当協会は事務局内にいち早く「合弁推進グループ 」を設置し、日中合弁企業設立を促進 した。当協会は地下足袋メーカーである力王が江蘇省南通市で合弁事業を立ち上げるプロジェクトに全面的に協力し、成功に導いた。福日テレビとほぼ同時期であった。
私自身は日本の経済が外資導入ではなく、技術導入とその消化・吸収・革新によって発展してきた経験から、「中国も技術導入を主とすべきだ」との考え を持っていた。そのため、1980年代の前半は合弁促進には力を入れず、引き続き対中技術輸出に努力した。 しかし1990年代に入ると、対中直接投資が日中経済関係の主流になった。
今世紀に入って中国は「創新型社会」の建設 や「自主ブランド」の確立 を重視するようになったが、その前途はかなり険しいと感じる。
倍々ゲームで拡大した日中貿易
1949年に新中国が成立してから1972年の国交正常化までの民間貿易の時代に、23年をかけて日中貿易額はやっと9億ドル に達しただけであった。ところが正常化後は、72年11億ドル 、73年20億ドル 、74年33億ドル 、75年38億ドル と毎年ほぼ倍々ゲームで貿易が拡大した。
政治関係の正常化があってはじめて経済交流は発展するという「政経不可分の原則」がみごとに実証されたと言えよう。中国向けプラント(生産設備一式)輸出に対する日本輸出入銀行の融資が適用されるようになった。 身近なことで言えば、ビザが東京で取得できるようになり、訪中する毎に一次使用のパスポートを取得する必要がなくなり、通常のパスポートが使えるようになった。
貿易が増大した具体的な原因の一つは、国交正常化により日本側の貿易の担い手が一気に拡大したことにある。限られた企業がさまざまなリスクに立ち向かいながら日中貿易に取り組んでいた正常化以前と異なり、全ての日本企業が対中貿易事業に参入する ことが可能になった。
商社をはじめとする日本企業が相次いで北京事務所を設立する ようになり、商談の場は広州交易会から次第に北京へ移行していった。また、米中関係の好転に伴い、それまで使われることのなかった米ドルが決済通貨として使われるようになった。
主役は鉄鋼、機械と原油
貿易上特筆すべきことがある。74年4月に大慶原油の輸入が始まったことである。中国が戦略物資ともいえる原油の対日輸出に踏み切ったのも国交正常化の結果であった。当協会が組織した日本中国石油輸入協議会及び国際石油の2窓口を通じて、年間1000万トンを超える中国原油が輸入されるようになり、対中輸入の最大品目になった。
1970年代に日中貿易を押し上げたもう一つの分野はプラント輸出である。文化大革命により停滞した工業生産能力を拡大するために、中国は日本はじめ欧米諸国から各種プラントを積極的に輸入する政策を実行した。72年から76年にかけて日本からは化学繊維、火力発電、エチレン、ポリエチレン、アンモニア等のプラントが相次いで輸出された。
1978年の日中貿易額は50.8億ドル となった。輸出30.5億ドルのうち鉄鋼、機械、化学品がそれぞれ54.1%、20.8%、14.6%を占め、輸入20.3億ドルのうち原油は37.4%、食料品16.6%、繊維及び繊維製品15.7%という構成であった。
宿願の国交正常化実現
1972年2月のニクソン訪中後、日本政府は急速に対中交渉を進め、半年後の同年9月29日には日中国交正常化が実現した。翌年2月、中国の駐日大使館仮事務所が東京のホテルニューオータニに開設された。アメリカが首脳訪中後6年かけて実務交渉を積み重ね、1978年末になってはじめて国交樹立にこぎつけたのと大きな違いである。
1950年の朝鮮戦争勃発以後、東西冷戦構造の中で全面的対立を続けてきた米中間には民間経済交流の歴史が皆無であった。これに対し、日中間には民間貿易の経験が蓄積されており、日本の経済界は突然訪れた日中国交正常化にすぐさま対応することができた。
当協会は日中国交正常化直前の1972年8月に行われた三菱グループ訪中団(団長=田実渉三菱銀行会長) や日本経済人訪中団(団長=稲山嘉寛新日本製鉄会長) の派遣 に協力した。
来日相次ぐ中国の技術視察団
当協会の仕事も急激に拡大した。従来から貿易の窓口であった各輸出入総公司が日本で商談を行う貿易団を派遣してきたが、それ以外に国交正常化まで往来が極めて少なかった中国の各工業部門が派遣する技術視察団の来日が急増した。技術視察団はいずれも買い付けのための事前調査であったから、日本の関係企業から大いに歓迎された。正常化の翌年1973年に当協会が受け入れた技術視察団を当協会の「国際貿易」紙から拾ってみると、工作機械、合成ゴム、電子技術、鉄道技術、食品機械等となっている。まるで「工業は日本に学べ」といわんばかりの勢いであった。
当時の来日団の受け入れ方式は、団が来日してから帰国するまで全面随行であった。同じホテルに泊まりこみ、全訪問先に案内し、日本側受け入れ先の通訳も担当するいわば「三同(同喫、同住、同工作)」というハードなものであった。私は1973年に結婚したが、この年には年間200日前後も家を留守にしたと思う。視察団のメンバーは極めてまじめで、熱心に視察や説明の内容をメモし、夜はホテルでミーティングを行い、視察結果について整理確認するという作風であった。私は通訳者として粛然たる気持ちをいだき、団側の通訳や専門家の助けを借りながら、とにかく正確第一を心がけた。
正月に自宅へ招待
1973年10月から74年1月にかけて中国機械進出口総公司貿易小組(団長=黄文元第3進口部経理)一行11人が中古の建設機械と作業船の買い付けのために来日し、日本で越年した。元旦に当協会の受け入れスタッフは手分けして彼らを自宅に招待した。私は団員の李天相工程師等3人を6畳1間のアパートに案内し、すき焼きを食べてもらった。 「日本人の家庭を初めて訪問した」と大変喜んでくれた。こんな交流ができたのも国交正常化の賜物であった。
日本工業展覧会の役割
国交未回復の中で、1950年代には日中民間貿易協定が第1次(1952年)から第4次(1958年)まで締結された。1958年~1960年の日中貿易全面中断を経て、60年代に入ると日中貿易は友好貿易とLT貿易(注)の2ルートで行われるようになり、「車の両輪」と言われた。
商品の実物を見ることは売買双方にとって必要不可欠である。当協会は中国で日本の工業製品を展示し、展覧会終了後それを売却するという活動を実施した。最初は1956年10~12月の北京上海日本商品展覧会であり、北京では125万人が入場した。毛主席も会場を訪れ、「看了日本展覧会、覚得很好、祝賀日本人民的成功 」と揮毫した。その後、58年武漢広州日本商品展覧会 、63年北京上海日本工業展覧会 、65年北京上海日本工業展覧会 、67年天津日本科学機器展覧会 と継続した。
私が協会に入った翌年の69年3月には日本工業展覧会が北京で開催 された。しかし上海会場は展示品に対する日本政府のココム規制(出品不許可、持ち帰り条件付き許可) に抗議して中止した。当時の厳しい雰囲気を今でも思い出す。
中国展では経済発展を宣伝
一方、中国側も中国国際貿易促進委員会が主催する展覧会を日本で開催した。1955年中国商品見本市(東京・大阪)、64年中国経済貿易展覧会(東京・大阪)、66年同(北九州・名古屋)である。いずれも100万~200万人が入場した。国交正常化以後の1974年(大阪、東京)と1977年(北九州)にも開催された。当時の中国は社会主義計画経済の時代、輸出商品は農産物、原材料、軽工業製品が中心であり、展覧会も商品見本市というより中国の経済発展情況を宣伝し、中日友好を強化するためのもの といった色彩が強かった。
中国が国連の議席回復
アメリカのベトナム戦争、中ソ対立の激化、中国の文化大革命といった国際情勢の下で、貿易業界の宿願である日中国交正常化はまだまだ遠い将来のことだと思われていた1971年、新しい風が吹いてきた。10月25日、国連総会においてアルバニア等23カ国による「中国招請・台湾追放」提案が圧倒的多数で可決され、中国の国連議席回復が実現した。それに先立つ3月下旬に名古屋で開催された第31回世界卓球選手権大会に中国が6年ぶりに参加し、大会後アメリカ選手団等が訪中した。いわゆるピンポン外交である。これを契機に中米政府の秘密交渉が加速され、キッシンジャー大統領補佐官が秘密訪中し、翌1972年2月にはニクソン大統領が北京を訪問した。私は入院していた病院のテレビで毛沢東-ニクソン会談を見て、なんとも言えない複雑な思いをした。
国交未回復、文化大革命といった政治情勢の下で、広州交易会は単なる貿易商談の場ではなく、関連の対外経済交流の舞台でもあった。交易会の開催期間にその会場を利用して「日中技術交流」も行われた。まだ対中輸出実績のない新製品について、メーカーの技術者が交易会参加という形式で訪中し、交易会会場や付近のホテルの会議室を使い、約1週間の日程で中国側が組織する技術者グループに対して、性能や使用方法等を説明し、質疑応答を行うというやり方であった。
当協会等が日本企業の紹介希望新製品リストを取りまとめ、中国国際貿易促進委員会技術交流部に提出 し、中国側がその中から実施項目を10項目程度選び通知してくる。それを受けて、各メーカーの技術者たちがまとまって交易会に参加 する。その世話係が私の初訪中の仕事であった。
黄坤益先生との出会い
中国国際貿易促進委員会技術交流部からは黄坤益先生(後に国家専利局局長、専利とは日本の特許のこと)がまとめ役として広州に来ていた。黄先生は少しも傲慢なところがなく、年若い私に対しても謙虚な態度で対応し、仕事以外の雑談の中では「毛沢東選集 」を読むように静かに勧めてくれた。夫人は医者であり、当時「裸足の医者 」として河北省の農村部で巡回医療に従事していた。選集の中からの引用集である「毛沢東語録 」を朗読することが商談開始への通過儀礼 という雰囲気の中で、黄先生は一味違う風格であった。初めての訪中で黄先生と知り合ったことが、その後長く中国と付き合う私のエネルギーの元になったような気がする。後に当協会が知的財産権分野で中国と交流を行うようになった時、黄先生は国家専利局局長として当協会の活動を支持してくれた。
1971年の日中貿易額は9億ドル
会期1カ月の広州交易会が閉幕すると参加者は北京行きを申請する。申請者全員が認められるのではなく、必要性に応じて中国側が選定する。認められて北京に行く商社員は「北上組」と呼ばれていた。彼(彼女)たちは次の交易会まで半年間北京の「新僑飯店」に滞在して、北京の各総公司と継続や新規の商談を行う。次の交易会で新しい北上組が決まり北京にやってくると交代して日本に帰るというローテーションであった。
こうした情況の下で、日中貿易額は国交正常化直前の1971年でもわずかに8.9億ドル。日本の主要輸出品は化学品、繊維品、鉄鋼、機械等であり、主要輸入品は食料品、油脂原料(大豆)、繊維原料等であった。工業製品を輸出し、原料を輸入するという構造であった。
(注)1962年に結ばれた「日中長期総合貿易に関する覚書」に基づき始められた半官半民的な貿易形態。双方の代表者の廖承志(Liao Chengzhi)氏と高碕達之助氏の頭文字LとTをとってLT貿易と称された。1968年以後、名称は覚書貿易(Memorandum Trade)の英文頭文字をとってMT貿易に改められた。
片寄浩紀 日本国際貿易促進協会 相談役
タイトル:1990年~2022年までの日本経済衰退32年間の結果報告。
日本は古くは新幹線、八幡製鉄所の技術者をはじめ、
大学や企業や町工場の技術者など知的人材が豊富にいた。その人たちが中国へ流出し始めたのが1990年代である。しかし、あまりにも中国に流れすぎてしまった。
中国にある日本企業の工場、日本にあるイオンのような大型施設は、中国全土に行きわたり、中国を支え、今や中国人のものになっている。(非常事態では、外国企業を中国人の物にできる。)
日本は経済的軍事的な重要特許は、中国へ流出させていないらしい。しかし、それも怪しくなった。その原因はどこにあるのか。
日本は政府とは独立したCIAが存在しなかった結果、現在のようになったのかな?実はそれが原因だ、と思う。日本は中国に負けないように情報を中国から得る活動をしなければいけない。日本政府の人たちに気づいてほしい。かつての日本は、日本の安全にかかわる全ての情報を手取足取り指導、伝達したのだ。今では、中国に日本の頭脳は必要ではない。中国国内に一流の研究者がいるのだ。
2021年に、米国在住、90歳の日本人物理学者がノーベル賞を取っている。このように、米国に渡らなければ研究できない実態がある。実際に
日本の大学にはポスドクが増え、研究費は減り、日本学術会議も独立した機関でなくなった。
日本は、経済では中国に傾き、依存しつつある。そうしなければ
アメリカも日本もEUも生きていけない時代が来てるのか、今からくるのか?
日本は今現在GDP3位だが、日本は、かつては、GDPが1位になりつつ時代があった。その日本の高度経済成長時代を振り返って欲しい。そのとき日本は、1990年代に半導体が原因で、トヨタや半導体メーカーが、アメリカから
かなりのバッシングを受けた。その結果、世界1位の半導体生産量が無くなって中国、韓国、台湾へ移動してしまった。しかし、今現在、中国がアメリカからバッシングを
受けているのか、と言えば、そうでもなさそうだ。かつてのようなトヨタの車がハンマーで壊されたような映像は、中国のテレビには流れない。そう、米国は中国に忖度 し始めたのだ。これは自由主義 や民主主義 の負けを意味するのではないか?中国の人民はは監視されながら自由を満喫している。この人民自由主義に世界が移行しつつあるのが現実なのだ。
振り返ると、日本は中国を侵略しながら、破壊した。その後、第2次世界大戦では、アメリカに奇襲攻撃して、その結果負けた国でした。そこで中国は国連の場で、今でも自らを「被害者の国、後進国」と言っている国ですから。このように都合のいい、貪欲な国が、今や世界をリードしつつある。
戦後日本は平和憲法 と非核三原則 を貫いたが、中国・ロシアはそれをうまく利用し続けたのだ。日本はそのことが全く理解できていない。気づいていない。平和憲法 と非核三原則の「揺らぎ」 が政府内に起こっている。日本政府とその役人はもっと近現代の歴史をもっと学ぶべきだ。
その結果、31年間自らを「後進国、被害者の国」という中国は、加害者の国である日本の援助を手鳥足取り受けて、日本人の技術と日本人の知識を受けながら、「高度経済成長」を走り続けたのだ。その勢いは「日本の高度経済成長期に匹敵する」か、若しくは、それ以上だ。その成果がIT分野では、現在の「5G製品」として姿を変えて静かに世界中に広がりつつある のだ。現在の「5G製品」は「中華思想 」という言葉の意味を、まさしく具現化した製品だ。
中国の半導体技術は世界一だ。中国は、自前の「量子コンピュータ 」を使った中国版デジタルネットワークを完成しているので
アメリカも日本もEU も、その技術が欲しいと思っているくらいの凄い技術だ。この「中国の量子暗号技術」を他国がハッキングしようとしても永久に破れない技術らしい。中国のサイバー空間、ネットワークは仮想性が強く、決して破られることは無い。人工衛星にも5Gを積んで宇宙から監視できるようになっている。
中国が日本やアメリカのネットワークに入り込めても、
日本やアメリカは中国のネットワークには入り込めない。
国ごとに量子によるデジタルネットワークを完成するしかないが、かなり中国に遅れてしまった。
テンセントやファーウェイ集団は日本、アメリカ、EUからの優れた学者や技術者集団を持っているから、
資金力、技術力では太刀打ちできない。現在の「5G製品」と「量子によるインターネットワーク」を使って
中国共産党ハッカー集団のやりたい放題が始まっているのだ。中国は「自国の作った 国家安全法」「自国の作った 個人情報保護法」などを盾に、自国に都合よく 、徐々に世界を統一していくのだろう。あらゆる場所に「中国の統一基準 」を作るだろう。
話は変わるが最近、東大で、光、量子によるコンピュータが完成させた教授がいましたが、
彼は今現在、日本にはいません。東京大学の大学院に優秀な中国の「海亀」と呼ばれる留学生たちがいっぱいいて、技術など学び、今や光触媒の藤嶋先生もいません。共同研究者らと共に中国へ渡ってしまったのだから。独立法人で亡くなった日本学術会議は政府への忖度で「研究も、何もできなくなってしまった」機関になった。財界の偉い人の言葉「団体でも個人でも、何も言えないことが一番よくない! 」を政府にプレゼントしたい気持ちだ。
とにかくその結果、
光触媒で水素を取り出す技術が日本に無くなってしまったのだ。日本は世界トップの研究者を中国に流出させてしまったために次世代エネルギー競争に敗れつつあるのだ。
したがって、2021年の今現在中国は世界一の軍事技術・戦略物資を持ちつつあるのだ。
日本製鋼所の検査不正、中国でも注目=「24年も不正続ける匠の精神」「謝罪もう見飽きた」
Record China 2022年11月23日(水) 8時0分
2022年11月14日、日本の機械メーカー日本製鋼所が子会社による長期にわたる検査結果改ざんなどの不正を公表した。中国版ツイッター・微博でこの件が紹介されると、多くのネットユーザーが注目した。 中国のジャーナリスト司馬南(スーマー・ナン)氏の微博アカウントは17日、「100年余りの歴史を持つ日本製鋼所が14日に最新の調査報告を発表し、北海道にある子会社が品質検査でデータの改ざんなどの不正行為を計449件行い、不正行為は少なくとも1998年までさかのぼることができ、実に24年間にわたり不正が行われてきたことを明らかにした」と伝えた。
そして、具体的な不正内容について「主に火力発電所に用いる鋼材、機械製品について、検査データの改ざんや規定に適合しない検査プロセス、顧客の要求に満たない検査結果データの隠蔽(いんぺい)などを行っていた。また、原子力発電所に関わる不正行為が20件あり、そのうち1件は日本国内の原子力発電所向けに、残り19件は国外の原子力発電所に製品供給されていた」と説明している。
また、別の微博アカウントは21日、日本製鋼所の幹部が17日に記者会見を行い、頭を下げて謝罪したことを伝えた。
この件について、中国のネットユーザーは「さすがは謝罪精神の国、まじめで責任感のある国、品質の高い国。うらやましいなあ(笑)」「24年も不正を続けるのは匠(たくみ)の精神の表れ」「謝罪精神はもう見飽きた」「実際のところ、多くの伝統的な工業国が数値を偽装している。ブランドに頼って飯を食ってるんだ」「本当にもう輸入品が一番いいなどと盲信しないほうがいい」「精神日本人たちが泣いているぞ」「謝り終えたらまた不正を続けるのが日本民族」などといった感想を残している。(翻訳・編集/川尻)
Ino nameD: 公表しない中国よりは遥かに良い。
no nameID: 謝罪はもう見飽きた→悪い事をしても謝罪すらしない中国人には言われたくない台詞である。
no nameID: 検査不正は許されることではないが、それでも相対的に日本製品の品質が高いのが実態(コンシューマーレポート等の評価実績)。かつて問題となった完成車検査員資格を有さない検査員も要求基準が厳しい日本だけの規制で海外メーカーではなかった等、グローバル時代のオーバースペック問題も多々あるのでは。
no nameID: 間違いなく不正は悪い事であるが、不正以前に色々な悪事やらかし放題の中国に、鬼の首でも取ったようにあれこれ言われるのは心外である。
no nameID: 一言「そのうち日本のパクりしか出来ない国が偉そうに」
no nameID: 敵の不幸に嬉しそうにSNSの仲間内で盛り上がったを記事にしてもな。
で、他国を揶揄できるほど中国=サマは改竄なんか無いと?
no nameID: 8ef750通報日本製鋼所は
日本の砲填兵器の 唯一の専業メーカーだからな・・・・チュウゴクジンがこだわるワケ
海外から優秀な研究者を集める中国の人材招致プロジェクト「千人計画」:
日本政府が日本の「蔵」を中国に渡して、どうするのだろうか?
日本学術会議を解体した総理大臣。日本の大学はどこへ向かうのか? 大学の研究が政府や企業から「独立」した「自由」なものになってほしい。 日本は貿易でも外交でも、どの国とも「属国」のようにならないでほしい。 日本はその「技術」を「売り」にして、他国に「恩」を売っていけばよい! 決して日本の「蔵」をただで渡してはならない。 文化勲章受章に際して 公表された肖像写真
私は他の人のことを気にすることが得意ではない。中国での暮らしは素晴らしいと思っています。
おそらく、私のような研究者にとってはこれが最後の貢献になるでしょう。
中国では好きな研究を何でもできるからです。私は日本人のように視線を気にしながら人と協調しながら生き行くことはできません。
それが日本に居たくない理由の一つです。
2021年の日本の経済安定重要項目の人材流出防止はザル項目になってしまった! 一流の学者ほど日本には居づらい。日本では設備のかかる研究はできにくい。 日本では政府もどこも基礎研究に関心が少ない。 日本ではすぐにお金になり、世の中から、すぐに認められるような研究だけが「研究」となってしまった! 監視されるような研究予算のあり方では、このままでは日本の大学は死んでしまう。
東京大学大学院に在学中の1967年春、水溶液中の酸化チタン電極に強い光を当てたところ、酸化チタン表面で光触媒反応が起きることを発見。この現象は共同研究者の本多健一の名前と合わせ「本多-藤嶋効果」と呼ばれる。それらの業績が認められ、2004年に日本国際賞を受賞している。 2013年4月に東京理科大学光触媒国際研究センターを開設しセンター長に就任、同センターにより光触媒の多様な応用展開を実現。また、学長職の現在も2014年に光触媒による伝染病撲滅装置の試作品を完成させるなど、様々な研究を実践し続けている。2021年8月末、自ら東大で育成した博士号を持った学者や優秀な中国人留学生や東大研究チームと共に破格の待遇で中国の上海理工大学に移籍した。上海理工大は今後、藤嶋先生を中心とした巨大な研究所を新設する。
2021年 上海理工大学 教授に就任。
おそらく2,3年後に中国から 初のノーベル物理学の受賞学者が生まれるでしょう。
「優秀な日本の技術者の皆さん、こっちの水は甘~いよ。高給与で来てください。」
2021年のノーベル賞学者、残念ながらアメリカ国籍。
米国の国籍を取った理由、アメリカ人になった理由を聞かれて・・・
米国では好きな研究を何でもできるからです。私は日本人のように視線を気にしながら人と協調しながら生き行くことはできません。
それが日本に居たくない理由の一つです。研究費も10倍多い。
米国プリンストン大の上席研究員で、今現在90歳で現役の気象学者の真鍋淑郎さんが、2021年のノーベル物理学賞に選ばれた。真鍋さんは、大学卒業後アメリカにわたって、間もなく米国籍を取得している。その選択が成功したのだ、と本人が語っているのが印象的だ。
30年前から、日本では大学の研究予算が軍事の方に取られて、まともに研究できない、と言われてきたが、ここにきて当たってしまった感がある。
「もう終わりだから」期待裏切られ…“駆け込み”雇い止め、研究職で続出
2022年8/23(火) 10:32配信
国立大や公的研究機関に勤める有期雇用の研究者らが、契約を打ち切られる事例が相次いでいる。改正労働契約法施行(2013年4月)を起点とする雇用期間が来春2023年で10年を迎え、これを過ぎた時点で雇用されている人は、無期雇用申請の権利を得られることが背景にあるとみられる。契約を更新せず権利取得を阻害する「雇い止め」は過去にもあった。識者は「制度の不備が放置されたままになっている」と指摘する。
「もう終わりだから」。福岡市の九州大に勤務する研究支援員の女性は今春、所属する研究室の教授に呼ばれ、来年2023年3月末での契約終了を告げられた。「契約更新しない」と書かれた労働条件通知書を見せられ、内容に同意する「確認書」に署名を求められた。1年契約の更新を繰り返し、10年以上勤めてきた女性。来年2023年4月には申請権を得られ、再来年からは契約期間のない無期雇用になれる、との期待は裏切られた。
2013年4月1日施行の改正法は、同じ職場で有期雇用が一定期間を超えた場合、無期雇用を申請できるようにした。正当な理由がなければ雇わなければならない。雇用安定化が狙いだ。
民間企業や公的機関を含めてその期間は「5年」を原則とした。だがその5年を迎えた2018年には、無期雇用申請の権利を得る前に、雇い止め されるケースが続発。特に九州内の国立大では2018年3月末に契約満了となる約890人のうち、およそ半数の雇用が継続されなかった。
一方、研究開発能力の強化や教育研究の活性化を目的に、研究者や支援員、教員などの期間は「10年」とされた。一般事務などの雇い止め が問題となって5年が経過しようとする今、同じ構図の問題が再浮上している、というわけだ。非正規雇用 に詳しい井下顕弁護士(福岡県弁護士会)は「制度に抜け道がある。何の対策も取られないまま研究職でも同じことが繰り返されている」と指摘する。
◇ ◇
国立大で雇い止め が顕著なのは、2004年に国立大が独立法人化 して以降、国からの運営費交付金 が減少したまま財政難が続いていることが背景にある。有期雇用者 の割合は年々増えており、研究者のキャリア問題に詳しい「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表は「財政難の大学では、研究者が人件費の『調整弁』になっている 」と指摘する。
九大の支援員の女性は、研究室の予算管理や科学研究費の申請手続きなど幅広い業務で研究を支える。女性によると、教授は女性との契約更新と、その後の無期雇用を認めるよう所属学部の事務担当に掛け合ったが「定年までの財源を確保できない。1人認めたらみんな認めないといけなくなる」と拒まれたという。九大の人事部は取材に対し「(女性に関する)やりとりがあったことは把握していないが、各学部がそのような事情を抱えているという認識はある」と回答。契約更新の判断は各学部に任せており「大学として契約更新を拒否するよう指示した文書や、同等のものはない」とした。
国立大の雇い止めは今年2022年5月の参院内閣委員会でも議論されたが、文部科学省は「労働契約法の趣旨を踏まえて適切に対応するよう(各大学に)お願いしている」と述べるにとどめた。
日本学術会議は2022年7月に出した研究者らの雇い止め に反対する声明で「(重要なのは)日本の研究力強化にとって極めて深刻な事態であるという認識を政府、アカデミア、個々の大学・研究機関が共有し、大局的観点から抜本的な解決策を見いだすことだ 」と強調。知的財産損失への危機感は強い。 (平峰麻由)
日本政府、自民党・公明党の独裁政治と旧統一教会のズブズブの関係問題 中国政府と創価学会池田大作のズブズブの関係問題・・・
これを見ると中国に入ってきた外国資金・外国企業は中国企業に負けつつある?いずれGDP世界1位になっていくだろう?アメリカのノーベル賞経済学者の予想が外れますように祈るしかない。
4大化石燃料【シェールガス、シェールオイル、オイル、カーボン】は、価格が下がる、と思えない。 日本は「石油備蓄」、自然エネルギーやオイルから「全個体蓄電池 」に電気を蓄える?
北朝鮮と同じ主張をする国だな。
中国政府は、中国は質の高い民主主義を実践してきたなどと主張する新たな白書を公表しました。アメリカのバイデン政権が2021年12月、友好国などを招いて「民主主義サミット 」を開くのを前に、独自の主張でこれに対抗するねらいがあるとみられます。中国政府は2021年12月4日、記者会見を開き「中国の民主 」と題する白書を公表しました。白書では「中国の近代化では、西洋の民主主義モデルをそのまま模倣するのではなく中国式民主主義 を創造した」としたうえで、中国は独自に質の高い民主主義を実践してきたと主張しています。そのうえで「民主主義は多様なものであり、国によって形態が異なるのは必然だ」として「国が民主的かどうかは、その国の国民が判断することで、外部が口を挟むことではない」などと主張しています。記者会見で、中国政府で対外宣伝を担う国務院新聞弁公室の徐麟主任は「民主主義は少数の国家の専売特許ではない」と強調し「アメリカは民主主義のリーダーだと自慢しているが、実際は民主主義を掲げて、社会制度や発展モデルが異なる国々を抑圧している」と非難しました。アメリカのバイデン政権は、中国を「専制主義国家」と位置づけて批判を強める中、2021年12月9日から2日間の日程で友好国などおよそ110の国や地域の首脳などを招いて「民主主義サミット」を開催する予定です。中国としては、これを前に中国には中国の「民主主義」があると独自の主張を強め、アメリカに対抗するねらいがあるとみられます。
中国の楊潔篪(よう・けつち)中央政治局委員(中央)はアラスカ州での米中会談でアメリカに、アメリカ流民主主義の押し付けをやめるよう主張した。
楊潔篪(よう・けつち)氏は延々と独自の主張を展開した。それは中国の内政から外交にわたってその政策の正当性を主張するとともに、アメリカは内政干渉をやめるべきで、アメリカこそ国内に数多くの人権問題などを抱えていると非難するなど、いつもながらの内容だった。
聞く相手がうんざりするほど延々と自説を展開するのは、首脳会談や外相会談などで中国がよくやる手法だ。2019年12月、北京で行われた安倍晋三首相と習近平国家主席の会談でも、安倍首相が新疆ウイグル自治区での人権問題や香港問題に言及した途端、習近平氏が顔色を変えて延々と自説を唱えた。このため、日本側が辟易したことがある。
ただ、今回の楊氏の発言で興味深かったのがアメリカ流民主主義に対する批判だった。楊氏は「アメリカや西側世界は国際世論を代表するものではない。世界の圧倒的多数の国々は、アメリカが提唱する普遍的な価値観やアメリカの意見が国際世論を代表するとは考えていない」などと述べ、民主主義の伝道者であるかのように振舞うアメリカを非難した。
その大前提にあるのは、「アメリカにはアメリカ流の民主主義が、中国には中国流の民主主義がある」という理屈である。中国の主張はまったく異なる。「民主主義のかたちは一つではなく、各国にそれぞれの民主主義のスタイルがある」というのだ。もちろん、これは中国に都合のいい勝手な理屈以外の何物でもない。中国は自分たちも自由や民主主義を大事な価値として独自のやり方で実践していると、臆することなく主張している。こうした中国流民主主義を「民主主義とは似て非なるもの」と一笑に付すことは簡単だが、それでは済まないのが現実である。中国の政治や法律など統治システムのすべてがこの理屈で成り立っており、それに基づいて外交や安全保障などの国家戦略が構築されている。それを踏まえたうえで西側諸国は対処しなければならないのだ。では先進民主主義国の民主主義と中国のいう民主主義の決定的な違いはどこにあるのだろうか。そのキーワードは「人民」という言葉にあるだろう。
習近平主席をはじめ、中国の指導者はしばしば「人民」という言葉を使う。その一方、われわれになじみのある「国民」という言葉はほとんど使わない。中華人民共和国という国名をはじめとして、憲法や法律も、人民を使っても国民という言葉は使われていない。
問題は人民という言葉の意味だ。中国憲法では第1条で、「中華人民共和国は、労働者階級が指導し、労働者、農民の同盟を基礎とする人民民主主義独裁の社会主義国である」と規定し、さらに第2条で「あらゆる権力は人民に属する」「人民が国家権力を行使する機関は、全国人民代表大会および地方各クラス人民代表大会である」などと定められている。
先進民主主義国で当たり前のように言われる国民主権という言葉はなく、中国は人民主権の国なのである。では、国民と人民は同じなのか。中国近現代史が専門の小野寺史郎・埼玉大学准教授の『中国のナショナリズム』(中公新書)によると、建国初期のころ、毛沢東主席は「抗日戦争期は抗日戦争に参加した階級、階層はみんな人民であり、日本帝国主義者、漢奸、親日派は人民の敵である」「解放戦争期(国共内戦)は、米帝国主義とその走狗、官僚資産階級、地主階級、国民党反動は人民の敵である」と述べている。そして、「社会主義建設期は建設事業に賛成し、擁護し、参加する階級、社会集団は人民であり、社会主義革命に反抗し、敵視し、破壊する社会勢力は人民の敵」としている。周恩来首相はよりクリアに定義している。「人民と国民には区別がある。人民は労働者階級、農民階級、反動階級から目覚めた一部の愛国民主分子である」としている。そして、人民に含まれない人たちについては「中国の一国民ではあるので当面、彼らには人民の権利を享受させないが、国民の義務は遵守させなければならない」と説明している。つまり、国民と人民は異なるものであり、国籍を持つ国民全員が人民であるというわけではない。人民は中国共産党の掲げる思想や政策を支持する国民の一部の人たちであり、それを支持しないで批判や反対する国民は人民ではないのである。そればかりか人民に属さない国民は、人民の敵であり、人民が持つ権利は行使できないが、法律を守るなどの義務を負うというのだ。半世紀以上も前のこうした毛沢東や周恩来の考えが、まさか今日も生きていることはなかろうと思いたいところだが、残念ながら現行憲法を見る限り、国民と人民を区別する考え方は明らかに継承されている。さらに中国の憲法には「いかなる組織ないし個人も社会主義体制を破壊することを禁止する」とも記されている。つまり人民ではない国民に対するさまざまな弾圧や抑圧が法律上、正当化されているのだ。中国の論理からすると、中国共産党が一党支配する現在の中国政治を批判する人は、中国の国籍を持っていても主権を行使できる人民ではなくなるばかりか、人民の敵となってしまう。中国のさまざまな法律に基づいてさまざまな権利を奪われてしまううえ、言動が規制されてしまう。
新疆ウイグルにおける大規模な人権弾圧も、中央政府に批判的な活動をする人権派弁護士や作家、ジャーナリストらの拘束も、彼らを人民の敵であると規定することですべて正当化される。そして習近平体制の下でこうした弾圧がますます強化されていることは、毛沢東や周恩来の唱えた国民と人民の区別が今日も厳然と生きていることを証明している。
先日閉会した全国人民代表大会で認められた香港の選挙制度改正は、この理屈をついに香港にも徹底させることを意味している。香港の場合、人民と愛国者が同じ意味で使われており、新たな選挙制度では香港の政府や議会など統治システムには愛国者しか参加できなくなる。立法会選挙に立候補しようとする者が愛国者であるかをチェックするのは、人民主権を守るために当然の合法的な手続きであるということになる。その結果、香港の民主化や独立を主張する人々は愛国者ではない、人民の敵となるのだ。
米中高官会議における楊氏の発言にみられるように、中国が独自の民主主義論を今後もますます前面に出していくだろうことは明らかだ。そして、中国の論理は世界中の独裁者や権威主義的国家にとっては実に都合のいいものであり、感染症のようにあっという間に世界中に蔓延しかねない。そうした国々が中国を中心に手前勝手な民主主義論を掲げて結束したときに国際社会はどうなるのか。これは民主主義と権威主義のいずれが優れているかという次元の話ではなく、民主主義が直面している危機だろう。先進民主主義国を中心に国際社会が連携してその価値を高める努力をしなければ、手前勝手な民主主義が国際社会に広がりかねない。世界は今、そんな状況にある。
2021年12月2日、楊潔チ中国共産党中央政治局委員・中央外事活動委員会弁公室主任は、天津で韓国のソ・フン(徐薫)国家安保室長と協議を行いました。
楊政治局委員は、今年と来年は習近平主席と文在寅大統領が定めた「中韓文化交流年」であり、来年は両国の国交樹立30周年にあたると述べ、中国側はこれを契機に韓国側と共に、相互尊重、平和共存、ウィンウィンの精神に基づき、ハイレベル交流と戦略的コミュニケーションを強化し、実務協力と統合的発展を深め、国民感情を高めていきたいと表明しました。さらに、楊政治局委員は「中国側は一貫して朝鮮半島の南北関係の改善を支持している。『デュアルトラック』構想の段階的、同時的のアプローチの原則に基づき、対話と協議による朝鮮半島問題の解決を主張し、すべての関係者と共に朝鮮半島の平和と安定を守り、長期的安定を実現するために建設的な役割を果たしていきたい」と指摘しました。ソ・フン室長は「韓国側は、対中関係の発展を非常に重視している。中国側とのハイレベル交流を緊密にし、経済・貿易、文化、新型コロナ対策など、各分野の実務協力を深め、北京冬季五輪開催を積極的に支持したい 」と述べ、「韓国は中国と共に、半島の恒久的な平和構築のため、たゆまぬ努力を続け、地域協力を絶え推進し、多国間主義を守っていきたい」と表明しました。
永久政権、習近平の言葉。EU、日本などの民主主義人民共和国に対する?ものなのか?しかし 礼儀の知らない、このような態度には中国にも韓国と同じように、日本は同じ 「アジア人」として静かに接するしかない。 政府もマスコミも日本の内情を韓国にも中国にもあからさまにしてはいけないのでは?NSSは 賢くなってほしい。アメリカのCIAのように!
また短命政権?か、日本内閣の戦略らしい?どうかお願いして、 これが決め手になってほしい。 20年から30年はかかるであろう日本が考えた「経済安全保障」、成功してほしい。 NSS、90人?少なすぎないか?20人なのか?
たまたまyahoo! NHKニュースを見て、次の記事が目に止まった・・・。
サイバー攻撃 中国共産党員の男ら警視庁事情聴取も その後出国 政府の圧力から
2021年4月20日 18時58分
JAXA=宇宙航空研究開発機構などがサイバー攻撃を受け、中国人民解放軍の指示を受けたとみられるハッカー集団の関与が疑われている問題で、警視庁が攻撃に使われたレンタルサーバーを偽名で契約していたとして中国共産党員の男ら2人を任意で事情聴取していたことが分かりました。2人はその後出国していて、警視庁が引き続き行動などを調べています。
警視庁によりますと、JAXA=宇宙航空研究開発機構が2016年にサイバー攻撃を受けその際に日本国内のレンタルサーバーが使われて日本に滞在歴があるシステムエンジニアで中国共産党員の30代の男が偽名で契約していたことが分かりました。
サーバーを使うためのIDなどはオンラインサイトを通じて「Tick」とよばれるハッカー集団に渡り、中国人民解放軍の指示でサイバー攻撃 が行われたとみられ、警視庁は男を私電磁的記録不正作出・供用の疑いで書類送検しました。
これまでの捜査でこの男のほかに日本にいた中国人元留学生も偽名でサーバーを契約していた疑いがもたれていて警視庁が2人を任意で事情聴取していたことが捜査関係者への取材で分かりました。
このうち中国共産党員の男 は偽名でサーバーを契約してIDなどを転売したことを認めましたが、すぐに立件することは難しく2人はその後出国したということです。
元留学生には中国人民解放軍のサイバー攻撃専門の部隊「61419部隊」に所属する人物 が、妻を通じて指示をしていたとみられ、警視庁が引き続き2人の行動などを調べています。
知的財産権、イノベーション、技術開発が盗まれ続けている。 日本政府は気を付けてください!
加藤官房長官「実態解明が進むことに期待しています」
加藤官房長官は、午後の記者会見で「攻撃を受けた企業などに対し、警察から個別に注意喚起を実施しており、現在のところ情報流出などの被害は確認されていないと報告を受けている。警視庁で一連の攻撃に対する捜査を継続して行うと承知しており、まずは、警察当局における実態解明が進むことを期待したい」と述べました。
また「今回の捜査によって得られた攻撃主体の意図、手法、背景などについては必要に応じ、政府内の関係機関で情報共有を行い、今後の対策に活用していくことになると考えている」と述べました。
中国外務省 報道官 「理由もなく推測すべきではない!!」
「サイバー事件を調査する際には十分な証拠に基づくべきであり、理由もなく推測すべきではない。中国はいかなる国や機関がサイバー攻撃の問題を口実に中国をけなすことやサイバーセキュリティーの問題を卑劣な政治目的として利用することに断固として反対する」
JAXA=宇宙航空研究開発機構や防衛関連の企業など日本のおよそ200にのぼる研究機関や会社が大規模なサイバー攻撃 を受け、警察当局の捜査で中国人民解放軍の指示 を受けたハッカー集団によるものとみられることが分かったことについて、中国外務省の汪文斌報道官は、20日の定例の記者会見で、事件については「把握していない」と述べました。
そのうえで「中国はサイバー空間は仮想性が強く、追跡が困難だと強調してきた。サイバー事件を調査する際には十分な証拠に基づくべきであり、理由もなく推測すべきではない。中国はいかなる国や機関がサイバー攻撃の問題を口実に中国をけなすことやサイバーセキュリティーの問題を卑劣な政治目的として利用することに断固として反対する」と述べました。
米、中国が司法妨害試みと主張 13人訴追
2022年10/25(火)
【AFP=時事】メリック・ガーランド(Merrick Garland)米司法長官は2022年10月24日、中国の情報機関職員ら13人を訴追・起訴したと発表し、中国が米国の司法制度の妨害を試みていると非難した。13人の訴追は、個別の事件3件に関連したもの。
1件目の事件では、中国の情報員が米国在住の中国政府反対派に嫌がらせを行い、帰国を強制しようとしたとされる。容疑者7人のうち2人が逮捕されたが、残る5人は逃走しており、中国国内にいるものとみられる。
2件目では、中国国内で活動する情報員が米政府職員を勧誘し、米司法省による中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ、Huawei)訴追 に関する内部情報を提供させようとした疑いがもたれている。
3件目の容疑者は、米国内の学者に対して 中国政府に協力するよう圧力をかけたとされる。
ガーランド氏は、これらの事件はいずれも「中国政府が米国内の個人の権利と自由に介入し、そうした権利を保護するわれわれの司法制度を弱体化させようとした」ことを示していると指摘した。【翻訳編集】 AFPBB News
2021年10月23日 たまたまyahoo!ニュースを見て、次の記事が目に止まった・・・。
中国人の日本留学 「電子とコンピューター工学」が人気
【10月23日 CGTN Japanese】 中国の留学コンサルティング会社がこのほど発表したデータによりますと、現在、海外へ留学する中国大陸部の学生のうち、主体となっているのは依然、大学院志望者で、「電子とコンピューター工学 」は中国人の日本留学において人気の専攻であることが明らかになりました。
中国の修士課程留学の専攻上位15位のうち、商科が最も多く、全部で7専攻でした。同時に、コンピューター、電子工学など理工系がトップ15にランクインし、近年上昇傾向にあります。「電子とコンピューター工学 」はアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ドイツ、オランダ、日本で十大人気留学専攻の一つとなります。
また統計によりますと、2020年、中国人留学生数が最も多い10カ国は、アメリカ(37万2532人) 、オーストラリア(16万5809人) 、イギリス(12万9045人) 、カナダ(9万8565人) 、日本(9万4047人) 、ドイツ(3万9871人) 、ロシア(3万7515人 )、フランス(2万8436人) 、ニュージーランド(1万9550人) 、オランダ(4697人) でした。
これら10の国には「国家安全保障の危機」があることを忘れないでほしい。
中国教育部が2020年12月に発表したデータによりますと、改革開放以来(1978-2019年)、中国の各種留学者は合わせて656万600人に達し、うち165万6200人は現在、海外で勉強あるいは研究をしています。490万4400人は学業を終え、423万1700人が学業を終えて中国に帰国し、学業を終了したグループの86.28%を占めています。その彼ら、彼女らが中国共産党員になって中国という国を支えているのだ。
(c)CGTN Japanese/AFPBB News CGTN Japanese
海外留学中の中国人留学生の状況に関する最新の年次報告書「中国留学発展報告」が先日発表されました。その中では、留学後、就職などのため中国に戻ることを選択する留学生が増えていることが示されています。
報告書は、近年、グローバル化のもとで発展してきた中国企業は、留学後に帰国する中国人留学生を引き付ける上で重要な役割を果たしてきたとしています。
日中経済貿易センターが招いた失態? (公社)日中友好協会は各都道府県日中友好協会のスパイ事件?
中国は職業教育の国際化 に力を入れており、「一帯一路(Belt and Road )」沿線国のみならず、ドイツや日本など世界中の先進国との交流展開にも高い期待を寄せています。これは「2021年中国国際サービス貿易交易会(CIFTIS)」に出展した教育産業の関係者が記者に明らかにしたことです。
同交易会の「教育サービス」展には60社以上の各国の教育機構、企業が出展しています。中でも、海外8か国の合わせて53校からなるブースには、各国の学生たちが制作した手工芸などが展示されています。また、北京留学中の各国の学生たちも「一日体験スタッフ」として駆けつけ、来場者と気軽に会話を交わすシーンがありました。
(CLAIR メールマガジン 2015 年 1 月配信)
時代とともに移り変わる中国の留学ブーム
~中国人留学生は「ウミガメ」から「コンブ」へ~
北京事務所
はじめに
中国では、海外から帰国し た留学生のことを「海亀(ウ ミガメ)族」と呼びます。中 国語で、海外から帰ってくる という意味の「海帰」と、「海 亀」の発音(いずれも haigui) が似ていることが由来です。 大海原で長い間経験を積み、 成人すると故郷の海岸へ戻っ てくる海亀のように、母国に 恵みをもたらすという意味が 込められていたとも言われて います。
かつて、中国のエリート階層の代名詞だった「海亀族」ですが、最近では、就職できず
ブラブラしながら仕事を待つ「海待族」と呼ばれる若者が増えてきました。「海待」と「海
帯(中国語でコンブの意味)」の発音が似ている(いずれも haidai)ことから、彼らは「海
帯族」とも揶揄されています。
本稿では、時代とともに移り変わってきた中国の留学ブームを、「海亀族」という言葉と
ともに振り返ります。
改革・開放とともに盛り上がった留学ブーム。華やかに活躍した「海亀族」
中国で最初の留学ブームが起きたのは、1970 年代末から 80 年代中頃にかけてです。
中国では、1966 年に始まった文化大革命の影響により、留学生の派遣が長い間中断され
ていました。その後、1978 年に改革・開放政策( 鄧小平の指導体制の下で、1978年12月に開催された中国共産党第十一期中央委員会第三回全体会議で提出、その後開始された中国国内体制の改革および対外開放政策 )が実施されると、欧米諸国との経済格差 を取り戻そうと、高度人材育成のため、留学生の大量派遣政策がとられました。この時期 の留学は、ほとんどが国費留学であり、厳しい選抜試験を突破した、中国トップレベルの 学生たちが派遣されていました。彼らは帰国後、国家に分配された職業(国営企業の役員など)に就き、中国の発 展に大きく貢献しました。
その後、1980 年代末から 1990 年代初めにかけて、2回目の留学ブームが起こりまし
た。この頃には、中国の改革・開放がさらに進み、成績の優秀な学生が、海外の奨学金を
取得することも可能になっていました。それらを活用し、海外で修士号・博士号を取得しようと、大量の私費留学生が現れたのです。彼らは中国に最先端の技術を持ち帰り、国内 の労働市場で高く評価され、相場を大幅に上回る高報酬を得ていました。 そのため、「海亀 族」は、学力も収入も高い、エリート階層の代名詞でもありました。
留学生数の増加と質の低下。「海帯(コンブ)族」の出現
3回目の留学ブームは、2000 年前後から現在にかけてです。留学の若年化の傾向が強 まり、高校を卒業した後、直接海外の大学に入学する留学生が出てきました。学力が足り ず、国内の有名大学に進学できない学生たちが、親の財力によって国外の大学へ留学する ケースが増えてきたのです。また、留学の大衆化もいっそう顕著になりました。中国の急 激な経済発展により、一般家庭の所得が上がり、多くの家庭にとって、子どもの海外留学 が手の届くものとなってきました。 しかし、海外留学の若年化や大衆化を背景に留学生の数が増加する一方、彼らの質の低 下が指摘されるようになりました。また、欧米諸国の景気低迷を受け、中国に帰国する留 学生が急増しました。その結果、各界で活躍する「海亀族」がいる一方、思うような職に 就けず、海に漂うコンブのようにゆらゆらと仕事を待つ「海帯族」が現れ始めました。
中国のグローバル化とともに低下する留学の優位性。
「海亀族」はやがて死語に かつて中国の将来を背負う一握りのエリートの特権だった海外留学。現代において、留 学は特別なことではなくなり、「海亀族」がもてはやされる時代は終わりました。中国国内 の教育レベルも上昇し、国際交流の機会も多様化したことから、国内で学ぶ学生と留学生 の間で、知識量や視野の広さなどの格差は縮小してきています。就職には、留学生よりも、 中国国内のマーケット情報に精通した国内残留学生の方が有利という見方もあります。 一方、中国の留学熱は冷めません。ある調査では、中国の留学需要が 2015 年に 319 万人に達するとしており、海外を目指す若者は、今後も増え続けると予測されています。 留学生の優位性は将来的にますます低下していくことが予想されます。しかし、それは、 中国のグローバル化が進展し、成熟してきたことの現れでもあります。「海亀族」という言 葉が死語になる日も、そう遠くはないのかもしれません。
中国社会で使われる「海亀」という言葉は、今や日本の事情通やビジネスマンの中でも広く知られるようになった。海外大学・企業で知識や経験を蓄え、本国に帰国し活躍するエリート学生や“留学派”を指す言葉だ。
ただ、本来なら「海帰」と書くべきだが、多くの留学派たちの帰国後の現実は厳しく、そこから同じ発音の「海亀」という自嘲的な新造語が誕生したという経緯はあまり知られていない。また海亀は「海帯」と呼ばれることもある。ここで言う海帯とは昆布のことで、「ありふれていて珍しくない」ということを揶揄する意味がある。
近年、海外から中国に帰国する海亀の数は、増加の一途を辿っている。参考になる統計としては、留学帰国者数のそれがある。中国に帰国した留学生の数は2018年に51.94万人とされ前年比8.01%の増加をみせている。2019年の帰還者数はさらに増え、およそ60万人に達したと試算されている。
なお中華系メディアによれば、2020年はコロナ禍の影響もあり、海亀の数は歴代最高の80万人に達するとも報じられている。本来、海外の大学・大学院で学んだ留学生たちは、中国よりも現地で就職することを望むケースが多い。しかし、コロナ禍による経済萎縮や米国を中心とした反中感情の高まりは、留学生たちが帰国せざるを得ない状況を加速させている。
また、2020年に中国国内大学を卒業した新卒社会人は約874万人と、こちらも歴代最大規模だ。中国では近年、高学歴化が進み就職競争が激しくなってきたが、20年から今年にかけてさらに就職難の時代に突入するとも予測されている。中国で働く海亀のひとりの趙氏(28歳)は言う。中国東北部遼寧省出身の彼は、19年7月にオーストラリアから帰国し、20年8月から江蘇省・蘇州市のある大手紡織企業の国際営業部で働いている。
「最近、中国国内メディアで、海外の優秀な人材が『祖国の呼びかけ』に応じて大挙して帰国するブームが巻き起こると宣伝していますが、帰ってきた人々のほとんどが就職に苦しんでいます。国家レベルで発展させようとしている最先端科学技術分野では、天文学的な報酬を払って優秀な留学派を取ろうとしています が、そんな人材ってあくまで少数派です」
一方、「文系の留学生たちの就職は厳しい」と趙氏は自身の経験から説明を続ける。
「オーストラリアで修士課程(金融学)を終えてすぐに帰国した私の場合も、当初就職がうまくいきませんでした。主な理由はほとんどの会社が“経歴者”を募集していたからです。幸い自分は父親の友人が地元で運営している小さい貿易会社で一年間インターンシップするかたわら、人材エージェントの就職コンサルティングサービスを受けてやっと今の会社に就職できました。約1万元(16万2000円)くらい人材エージェントに払いましたが、親からの全幅の支援がありました。親戚内や地元における親のメンツも考えなきゃならなかったので就職活動に必死でしたよ」
海亀たちの給料事情も非常にシビアだ。海亀のうち、40%の海亀たちは、国内大学卒業者とほとんど初任給に差がないとされている。国内大学卒業者の平均年俸の3倍水準となる30万元をもらうエリート海亀は5%未満である。前出の趙氏の給料は入社一年目で約7000元(約11万4000円)。就職できたことをよしとし、給料にはおおむね満足しているという。一方、親戚のはとこはびっくりするくらいの高給取りだそうだ。
「米国に留学していた親戚(36歳)は、ジョージア工科大学でポスドクの研究者をやっている間に杭州のある国家重点大学のポストに採用され2018年に帰国しました。杭州市と大学が求める科学技術人材の条件をうまくクリアしていたので、80万元(約1300万円)の定着費と新築マンションが無償で提供されましたよ。会社に就職してから一度会いに行ったことありますが、想像以上の豪華な家だったのでびっくりしました」(趙氏)
同じ海亀内にあっても新たなヒエラルキーが形成されようとしている中国社会だが、中国政府は現在、海亀の帰還を奨励する政策を取り続けている。
地域ごとに差異はあるものの、例えば、戸籍の取得が空の星を捕まえるように難しいと言われる北京・上海などの「一線都市」で、留学派人材に戸籍を与える「落戸制度」がその典型例だ。中国最先端都市と呼ばれる深圳では、高級人材が帰国して企業する場合、最大500万元(約8,170万円)まで、無償で創業支援資金の援助を受けることもできる。国内大卒者も巻き込んだ格差のピラミッドは、今後も拡大していくとみられる。
ただ少子高齢化が進み優秀な海外人材の獲得が急務となっている日本においては、才能を持つ隠れた中国留学派を取り込むチャンスともなる。中国国内の就職競争に揉まれる海亀=海帯たちの実情は、日本経済の行方にも直結すると考えればウォッチしていく価値が高まりそうだ。(北中所長補佐 仙台市派遣)
海外人材呼び戻し政策
中国では急速な科学技術の発展 を遂げ、先進国レベルへとキャッチアップする ために、海外からの優秀な研究開発人材を招聘 する「海外人材呼び戻し政策 」を実施しており次の様な「海外人材呼び戻しプログラム 」を通じた様々な優遇制度を設けている。
長江学者奨励計画
国内外の優秀な学者を中国の高等教育機関に招致する ことを目的としたプロジェクト。同計画は1998年にスタートし、香港の李嘉誠氏率いる企業グループ「長江基建有限公司」が多く出資したため、この名がある。
春暉しゅんき計画
海外にいる留学経験者の中国国内での共同研究や学術交流等の短期帰国を支援 するプロジェクト。教育部の主導で1996年より実施。
百人計画(千人計画)
中国科学院が取り組む海外人材呼び戻しプロジェクト。1994年の計画スタート当時、中国科学院の目標は2000年までに100人の研究者を誘致することだった ので、「百人計画」と名付けられた。
留学人員創業園
海外にいる中国人材の帰国と起業を奨励するための優遇政策。1994年から、国家科学技術部、教育部、人事部の呼びかけで多くの地域に「留学人員創業園」が設立された。
下図に示す通り、海外からの留学帰国生数は1990 年代以降、増加傾向にある。第十次五ヵ年計画(2001-2005 年)では「国外の教育資源を合理的に利用し、ハイレベル人材の養成ルートを拡大する」と示されている様に、中国政府は海外留学を通じた人材育成も重視している。
中国では海外から帰国して研究者や起業家として活躍する人材を俗に「ハイグェイ」(「海亀」と同じハイグェイと発音する「海外帰来」とかけている)と呼ぶ。このため、最近では日本でも中国の海外人材呼び戻し政策が通称「海亀」政策として認知される様になってきた。かつては海外留学帰国生であれば、ほとんどの者が何らかのポストに就けたが、最近ではポストに就けない「海待族」と呼ばれる人々も出てきており、海外から中国への人材招聘が進んでいる様子がうかがえる。
(北中所長補佐 仙台市派遣)
【独自】中国「千人計画」に日本人、政府が規制強化へ…研究者44人を確認
2021年
海外から優秀な研究者を集める中国の人材招致プロジェクト「千人計画 」に、少なくとも44人の日本人研究者が関与していたことが、読売新聞の取材でわかった。日本政府から多額の研究費助成を受け取った後、中国軍に近い大学で教えていたケースもあった。政府は、経済や安全保障の重要技術が流出するのを防ぐため、政府資金を受けた研究者の海外関連活動について原則として開示を義務づける方針を固めた。
情報流出恐れ
読売新聞の取材によると、千人計画への参加や表彰を受けるなどの関与を認めた研究者は24人。このほか、大学のホームページや本人のブログなどで参加・関与を明かしている研究者も20人確認できた。千人計画に参加した理由については、多額の研究費などが保証され、研究環境が日本より魅力的だとする研究者が少なくなかった。44人のうち13人は、日本の「科学研究費助成事業」(科研費)の過去10年間のそれぞれの受領額が、共同研究を含めて1億円を超えていた。文部科学省などが公開している科研費データベースによると、受領額が最も多かったのは、中国沿岸部にある大学に所属していた元教授の7億6790万円で、13人に渡った科研費の総額は約45億円に上る。米国は千人計画について「機微な情報を盗み、輸出管理に違反することに報酬を与えてきた」(司法省)などとして、監視や規制、技術流出防止策を強化している。海外から一定額以上の資金を受けた研究者に情報の開示を義務づけているほか、エネルギー省は同省の予算を使う企業、大学などの関係者が外国の人材招致計画に参加することを禁止した。重要・新興技術の輸出規制の強化も検討中だ。日本では現在、千人計画への参加などに関する政府の規制はなく、実態も把握できていない。政府は米国の制度などを参考に今年中に指針を設け、政府資金が投入された研究を対象に、海外の人材招致プロジェクトへの参加や外国資金受け入れの際には開示を義務づけることを検討している。今回確認された44人の中には、中国軍に近い「国防7校」に所属していた研究者が8人いた。うち5人は、日本学術会議の元会員や元連携会員だ。
中国は民間の最先端技術を軍の強化につなげる「軍民融合」を国家戦略として推進し、最新鋭兵器を開発・導入するとともに、日本周辺でも覇権主義的な行動を強めている。日本政府は軍事転用可能な技術が中国に流出すれば、日本の安全保障環境の悪化につながると強く懸念している。
国防7校のうち、「兵器科学の最高研究機関」とも呼ばれる北京理工大には4人が所属。「ロボット研究センター」で、人工知能(AI)やロボット工学、ロボット製造に活用できる神経科学などを研究・指導していた。同センターは、弾道ミサイルの誘導や軍民両用ロボットなどを研究してきたとホームページで説明している。
同センターに所属していた研究者は、読売新聞の取材に、「私の研究も、大学で進むロボットの研究も、軍事転用は可能だ」と語った。民間技術と軍事技術の線引きは困難だと指摘する研究者もいた。
北京航空航天大にも4人の日本人が所属していた。同大は、大量破壊兵器であるミサイル開発の疑いがあるとして、貨物や技術の輸出時には経済産業省の許可が必要な「外国ユーザーリスト」に記載されている。
同大に所属する宇宙核物理学の研究者は、「軍事転用される危険性はどんなものでもある」としつつ、「教えているのは基礎科学の分野で、軍事転用とは最も距離がある。経産省の許可も得ている」と強調した。
◆千人計画 =世界トップの科学技術強国を目指して、外国から優秀な人材を集める中国政府や省当局などの人材招致プロジェクト。国家レベルでは2008年から実施されている。中国の人材招致プロジェクトに参加した外国の研究者らは、米国や欧州を中心に、2018年までに7000人を超えるとされるが、中国側は近年、計画への参加者を明らかにしていない。
◆国防7校 =中国の国家国防科学技術工業局の監督下にある北京航空航天大、北京理工大、ハルビン工業大、ハルビン工程大、南京航空航天大、南京理工大、西北工業大の7大学。中国の「軍民融合」戦略の担い手で、中国軍の兵器開発とつながりが深いとされる。
中国千人計画の裏側 日本人売国奴44人の言い分❗️ この記事は読売に受け継がれた 2020年4月
日本のシリコンバレーと称される筑波で科学技術を学び、日本政府から6億円にも及ぶ支援を得て、ハイテク分野の研究で日本と中国で成果を収めてきた中国人の科学技術者がいる。中国に帰国した彼は現在、中国共産党政府が、海外のハイレベルの人材を招聘しょうするプログラム「千人計画」のリクルーターとなり、人材をスカウトしていた。アメリカで働く中国人研究者たち対して、中国共産党のスパイだった疑いが浮かび上がった❗️事件の顛末はこうだ。起訴された米ハーバード大学チャールズ・リーバー教授は、中国側との関係について虚偽の申告をしたと追及された。
日本人44人の売国奴
この記事が発表されて6カ月後、読売新聞のスクープ「日本人44人」が中国千人計画🇨🇳に加わっていたことが判明。
破格の金額 最高値は1億円超の助成金
リーバー被告は、中国政府から100万ドル(約1億900万円)を超す助成金を受け取ったとされる。ハーヴァード大学は、教授の起訴を受けて声明を出し、「極めて深刻だ」とした。
さらに、「リーバー教授を無期限の休職処分にした」と発表した。
中国政府の軍人が身分を隠してボストン大学で研究?
検察当局によると、ボストン大学でロボット工学を研究していたイエ・ヤンジン被告は、中国人民解放軍の軍人。学生だと身分を偽りながら軍人として勤め続け、アメリカで多くの任務を果たした。また、がんの研究者だったジェン・ザオソン被告は、ボストンのローガン国際空港で、かばんの中に生体サンプル21個を所持していたところを逮捕された。検察当局は、被告は中国に戻って研究を続ける予定だったとしている。
コロナウイルス発祥の地、武漢の大学のスタッフに
裁判資料によると、ハーヴァード大学のリーバー・リサーチ・グループの筆頭研究者だったリーバー被告は、米国立衛生研究所や国防総省から計1500万ドル(約16億3600万円)を超す助成金を得ていた。これらの助成金の対象者は、外国の政府や組織からの経済的援助を含め、すべての利害関係について申告が義務付けられている。
しかし、リーバー被告は2011年、ハーヴァード大学に知らせないまま、中国の武漢理工大学の科学者となった。
中国の千人計画とは
被告はまた、外国の研究者らを引き寄せることを狙う中国の「千人計画」にも加わった。アメリカは以前、この計画について、安全保障上の懸念があると警告を発していた。リーバー被告は武漢理工大学での役割の対価として、月給5万ドル(約550万円)と、生活費として上限15万8000ドル(約1700万円)が与えられていたという。武漢理工大学からはさらに、同大学での研究所の設立費用として150万ドル以上を支給されていたとされる。リーバー被告はその見返りとして、同大学のために働き、特許を申請し、大学名で論文を発行することが期待されていた。そのことをリーバー被告は申告しなかったとされる。また、捜査員の調べに対し、「千人計画」との関わりや武漢理工大学との協力関係について、うそを述べたという。マサチューセッツ地区連邦検事のアンドリュー・レリング氏は記者会見で、「これは中国政府が、戦略的なギャップと見なしたものを埋めようする、非常に直接的な行為だ」と述べた。
舞台裏での暗闘
中国は「千人計画」について、優秀な才能を国内に引き止め、頭脳流出を防ぐのが目的だと説明する。何十万人もの才能ある中国人がアメリカやイギリスなどの最高レベルの大学で学び、そのまま定住してしまうことを、政府は問題視しているのだという。一方アメリカは、中国が知的財産を繰り返し盗んでいると見ている。アメリカは過去何十年にもわたって、中国が科学および技術分野で窃盗行為をしていると告発している。米連邦捜査局(FBI)は「千人計画」について、中国による「非伝統的なスパイ行為」を実行するために利用され得ると警告。ただ、問題として報告されたケースの多くは、スパイに絡むものではなく、金銭的利害関係を完全に申告しなかったなどの倫理規定違反だ。アメリカは、中国との貿易戦争が始まった2018年以来、「千人計画」への監視を強めている。一方、中国は同計画についておおっぴらに話すのを避けていると言われている。中国の国営タブロイド紙・環球時報は、アメリカの懐疑的な態度を「ヒステリー」と表現した。2008年以降、中国国外に生活拠点を置く7000人以上の研究者や科学者が「千人計画」に参加している。その多くは中国系だ。
アメリカの取り締まりが人種による選別につながってはならないと、多くの人が警告している。台湾系アメリカ人の著名なHIV研究者、デイヴィッド・ホウ氏は、あるメディアのインタビューで、「政策を実施するなら、中国人科学者だけではなく、すべての人に対して実施すべきだ」と提言した。
中国🇨🇳国防7校に行った日本人
千人計画に参加した理由については、多額の研究費などが保証され、研究環境が日本より魅力的だとする研究者が少なくなかった。44人のうち13人は、日本の「科学研究費助成事業」(科研費)の過去10年間のそれぞれの受領額が、共同研究を含めて1億円を超えていた。文部科学省などが公開している科研費データベースによると、受領額が最も多かったのは、中国沿岸部にある大学に所属していた元教授の7億6790万円で、13人に渡った科研費の総額は約45億円に上る。米国は千人計画について「機微な情報を盗み、輸出管理に違反することに報酬を与えてきた」(司法省)などとして、監視や規制、技術流出防止策を強化している。海外から一定額以上の資金を受けた研究者に情報の開示を義務づけているほか、エネルギー省は同省の予算を使う企業、大学などの関係者が外国の人材招致計画に参加することを禁止した。重要・新興技術の輸出規制の強化も検討中だ。日本では現在、千人計画への参加などに関する政府の規制はなく、実態も把握できていない。政府は米国の制度などを参考に今年中に指針を設け、政府資金が投入された研究を対象に、海外の人材招致プロジェクトへの参加や外国資金受け入れの際には開示を義務づけることを検討している。
今回確認された44人の中には、中国軍に近い「国防7校」に所属していた研究者が8人いた。うち5人は、日本学術会議の元会員や元連携会員だ。中国は民間の最先端技術を軍の強化につなげる「軍民融合」を国家戦略として推進し、最新鋭兵器を開発・導入するとともに、日本周辺でも覇権主義的な行動を強めている。日本政府は軍事転用可能な技術が中国に流出すれば、日本の安全保障環境の悪化につながると強く懸念している。
国防7校のうち、「兵器科学の最高研究機関」とも呼ばれる北京理工大には4人が所属。「ロボット研究センター」で、人工知能(AI)やロボット工学、ロボット製造に活用できる神経科学などを研究・指導していた。同センターは、弾道ミサイルの誘導や軍民両用ロボットなどを研究してきたとホームページで説明している。
同センターに所属していた研究者は「私の研究も、大学で進むロボットの研究も、軍事転用は可能だ」と語った。民間技術と軍事技術の線引きは困難だと指摘する研究者もいた。
中国情報分析官の必要性
あなたがもし、この記事で日本があらゆる研究分野で中国に追い越されてしまう事に気づいたなら、チャイナウォッチャーとして、この資料 をお勧めします。
中国互联网联合辟谣平台
http://m.xinhuanet.com
中国千人計画
そんな時間はないという政府の人に
日中・中日機械翻訳システム
webmt.jst.go.jp
さて、これを数日、ウォッチした後、飛躍的に中国情勢にたどり着きます。ここから幾つか同時に勧められている中国の国家プロジェクトを重ね合わせると、極めて近く将来に起こる事が予想できますので、みなさんも考えて下さい。
VIDEO
売国奴の言い分 2021年4月1日
ある大学の准教授が大学の研究論文は英語で論文投稿サイトで世界中誰でも見れるのだから、それを売国というのは的外れと反論していた。
売国問題は子どもが被る
中国国家プロジェクトに「日本人44人」の重大懸念 2021年8月28日
東京オリンピックの開会式、見せ場の1つは「ドローンの舞」だった。遠隔操作によって1824台もの機体が飛び交い、発光ダイオード(LED)をきらめかせながら大会エンブレムの市松模様を描いたり、地球を形作ったりした。機体はアメリカ・インテル製だったが、もちろん中国もドローンの技術開発を進めている。機体に攻撃性を持たせ、人を襲わせる「殺戮ドローン」――2018年の段階で、それを開発するためのプログラムが始まったと報じられていた。またそこには、読売新聞が2021年元旦の記事で「少なくとも44人の日本人研究者が参加したり、関連した表彰を受けたりしていた」と報じた中国の「千人計画」も関係してくる。新刊『中国「見えない侵略」を可視化する』(読売新聞取材班)から抜粋して紹介する。
「殺戮ドローン」を作る技術
内部に3グラムの指向性爆薬を備えた手のひらサイズの小型ドローン群が、顔認証システムを使ってターゲットを捜索・追跡し、見つけ次第、額にくっついて脳だけを爆薬で破壊して殺害する──。
テクノロジーの未来について研究している「フューチャー・オブ・ライフ・インスティテュート」のスチュアート・ラッセル米カリフォルニア大バークレー校コンピューターサイエンス教授が、2017年に制作したショートムービー「スローターボッツ(殺戮ドローン)」の一場面だ。自律型のAIロボット兵器が悪用される恐怖の世界を描き、関係者に衝撃を与えた。
映画では、スローターボッツがテロリストの手に渡り、要人が暗殺される。権力者の側も、この最先端技術を悪用し、権力者の腐敗を追及する活動に関わる学生たちにスローターボッツを放つ。スローターボッツは教室で逃げ惑う学生たちからターゲットを見つけ出し、次々と殺害していく。監視カメラと顔認証システムを使って人権活動家らの行動を監視しているという中国を連想させる内容だ。「Slaughterbots」と検索すれば、動画投稿サイトYouTubeで見ることができる。香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは2018年11月、北京理工大が、こうした殺戮ドローンを開発するためのプログラムを開始したと報じている。5000人を超す候補者から31人の学生を選抜し、AIを利用した「インテリジェント兵器システム」の開発を目指すという。「スローターボッツ」の作者であるラッセル教授は同紙の取材に、「非常に悪いアイデアだ。生徒たちは最初の授業に『スローターボッツ』のフィルムを見るべきだ」と強い懸念を示した。そのうえで、「機械が人を殺す決定を下せることがあってはならない。そのような兵器はすぐに大量破壊兵器となる。それだけでなく、戦争の可能性を高めるものになる」と指摘した。北京理工大は中国国内で、「兵器科学の最高研究機関」と称される。実は同大の「ロボット研究センター」には近年、千人計画に参加する日本人4人が所属し、AIやロボット工学、神経科学など、自律型のAIロボットにも応用できる研究を行っていた。
中国共産党中央組織部の「千人計画」
千人計画とは何か。前身は、1990年代に行われた、海外の中国人留学生を呼び戻して先端技術を中国国内に取り込む「海亀〈ハイグイ〉政策」だとされる。中国では海外から帰ってくるという意味の「海帰」と発音が同じであることから、帰国した留学生を「海亀」と呼んでいる(参考:『中国人留学生は「知的財産の収集人」の危険な実態』)。
中国はその後、2020年までに世界トップレベルの科学技術力を持つイノベーション型国家へ転換することを目標に掲げ、その実現に向けた取り組みの一環として外国人研究者の招致を含む千人計画を2008年にスタートさせた。名前は千人計画だが、中国人を含めた参加者は、2018年までに7000人を超えているという。千人計画を率いるのは、中国共産党中央組織部だ。中央・地方合わせて9500万人の党員を束ねる党の中でも強大な力を持つ組織で、千人計画の全ての申請書を最終的に確認し、採用の可否の決定権を握ってきた。
中国の中枢が組織的に推進するプロジェクトだけに、参加する外国人研究者は、巨額の報酬や研究費に加え、家族を含めて外国人永久居留証を与えられるといった特権を享受できる。
中国が最先端技術を持つ外国人研究者を厚遇で囲い込んでいるのは、純粋に科学的な理由からだけではない。
北京理工大の「ロボット研究センター」はこれまで、弾道ミサイルの誘導や軍民両用ロボットなどを研究してきたとホームページで説明している。北京理工大で日本人研究者がAIやロボット工学などを研究・指導していることに対しては、欧米から懸念する声が出ている。
米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」のホームページに掲載されている報告書は、「中国の軍事指導者や戦略家は、無人プラットフォームによって戦闘のあり方が劇的に変わると信じ、ロボット工学や無人システムの研究・開発に対する惜しみない資金を、国防産業や大学に投じている」と警鐘を鳴らし、中国がこうした技術を千人計画を通じて得ていると指摘する。そして実例として、北京理工大で指導する日本人教授の名前を挙げている。
同大で指導する別の日本人研究者は、「自分は軍事研究に関わらず、日本に迷惑をかけないようにと考えている」と釈明しつつ、自身の研究について「応用すれば、無人機を使って攻撃したり、自爆させたりすることができる」と認める。
そのうえで、「中国の大学は、軍事技術を進化させる研究をして成果を出すのが当たり前だという意識が強い。外国の研究者を呼ぶのは、中国にはない技術を母国から流出させてくれると期待しているからだろう」と語った。内閣府の「科学技術イノベーション政策推進のための有識者研究会」に参加していた専門家は、「千人計画の問題は、数ではない。優秀な専門家に狙いを付けて中国に呼び寄せ、その中に一人でもすごい人がいれば、中国に大きな利益をもたらす」と語る。
「国防七校」にも8人の日本人
読売新聞が確認した研究者44人の中には、中国軍に近い「国防七校」と呼ばれる大学に所属していた研究者が8人いた。
国防七校とは、中国の軍需企業を管理する国家国防科学技術工業局に直属する北京航空航天大、北京理工大、ハルビン工業大、ハルビン工程大、南京航空航天大、南京理工大、西北工業大の7大学を指す。
中国は民間の先端技術を軍の強化につなげる「軍民融合」を国家戦略として推進している。軍民融合については本書で取り上げているが、日本政府は、日本が保有する軍事転用可能な技術が中国に流出することを強く懸念している。
北京理工大のケースには先ほど触れたが、国防七校の1つ、北京航空航天大にも4人の日本人が所属していた。同大は、ミサイル開発の疑いがあるとして、貨物や技術の輸出時には経済産業省の許可が必要な「外国ユーザーリスト」に記載されている。
同大に所属する宇宙核物理学の研究者は、「軍事転用される危険性はどんなものにでもある」としつつ、「教えているのは基礎科学の分野で、軍事転用とは最も距離がある。経産省の許可も得ている」と強調した。
日本人研究者本人や周りにいる中国人たちが軍事転用をするつもりはなくても、中国では軍民融合戦略に加え、国民や企業に国の情報活動への協力を義務付ける「国家情報法」が施行されている。軍事転用などのリスクの高い機微な技術は当然、中国当局に狙われると考えなければならないだろう。
千人計画の怖さは、外国人研究者の研究成果を中国自らのモノ、つまり「メイド・イン・チャイナ」にしてしまうところにもある。
代表的なやり方は、外国人研究者に中国人の若手を指導させ、最先端技術と研究手法を身につけさせるというものだ。
千人計画に参加した複数の日本人研究者が、特許の取得や論文執筆に加え、若い中国人研究者を育成することが参加の条件の1つだったと証言する。先ほどの専門家は、「優秀な研究者1人に10人の中国人学生をつければ、1万になる。そうやって学生に技術を学ばせ、いろいろな技術を中国が吸収していく。中国は千人計画と連動して『万人計画』も進めている」と解説する。
日本人研究者から指導を受ける中国人の若手研究者は、海外の大学などで学んだ留学経験者が多いが、最近は、中国人研究者が中国国内で育てた第2世代も増えてきているという。第2世代は、中国共産党の思想教育が浸透しており、愛国心が強いのが特徴だ。
千人計画では、外国人研究者に本国の大学で中国人留学生を受け入れさせるケースもある。そうした場合、留学生を通じ、外国の進んだ研究施設をそっくりそのまま中国国内に再現する「シャドーラボ(影の研究室)」が作られることもあるという。
日本人研究者たちが教えた中国の若手研究者が将来、AIやロボット工学の技術を用いて兵器開発に従事する可能性は少なくないだろう。
日本の研究が中国発の論文に
外国人研究者に中国発で論文を書かせることも、メイド・イン・チャイナ化の1つの手法として行われている。
「著名な科学誌に2本の論文を出すよう求められた」
千人計画に参加した複数の日本人研究者が、中国側から論文執筆のノルマを課され、特に「ネイチャー」「サイエンス」など世界的に著名な科学誌への掲載を求められたと証言する。ノルマが明記された契約書に署名した研究者もいた。
また、複数の研究者が、過去に日本で行った研究のデータを使って論文を書く場合でも、中国の大学の肩書で発表するよう要求されたと口にする。
文部科学省によると、2016~2018年に発表された世界各国の自然科学系の論文数(年平均)は、中国が約30万6000本で、アメリカを抜いて初めてトップに立った。日本は約6万5000本で、2001~2003年の2位から4位に順位を下げた。
論文の掲載数は、各国の学術レベルを示す指標とされている。しかし、ある日本人研究者は、「データは他国での研究で得たものなのに、中国の大学名で論文を発表する研究者が多い。中国の論文数は水増しされていると思う」と疑問を呈する。
中国の研究者招致「千人計画」当事者の思い 「学術会議が協力」情報拡散の背景は
木許はるみ
毎日新聞 2020/10/15
「日本学術会議が中国の軍事研究『千人計画』に積極的に参加している」という真偽不明の情報がネット上で広がっている。日本の軍事研究には批判的なのに中国には協力するというのは矛盾しているという趣旨だ。日本学術会議は「千人計画への参加は決定していない」と否定したが、委員会質問をした自民党議員やテレビ番組で立川志らくさんらが次々とこの情報を引用する事態に発展している。「千人計画」に参加して中国で研究を続ける日本人研究者は、こうした日本の状況をどのように感じているのか。匿名を条件に参加条件や待遇などを赤裸々に語ってもらった。【木許はるみ/統合デジタル取材センター】
甘利議員は「積極的に協力」から「間接的に協力」にブログを修正
「日本学術会議が中国の軍事研究『千人計画』に積極的に参加している」という情報は、ネット上の複数のまとめサイトが掲載し、拡散された。サイトは、8月6日に公表された甘利明衆院議員のブログ「国会リポート第410号」(https://amari-akira.com/01_parliament/2020/410.html)を引用している。
自民党の甘利氏は当初、このブログで、日本学術会議について「『千人計画』には積極的に協力しています 」などと掲載した。
日本学術会議事務局は毎日新聞の取材に対し、会議として意思決定する場合は、総会や幹事会で議決するが、「学術会議として、千人計画に協力することを決定していない」と否定している。
甘利氏は10月12日に410号の記述を「積極的に協力」から「間接的に協力しているように映ります」と訂正し、この日公表した「国会リポート第413号」(https://amari-akira.com/01_parliament/)でもその旨を記載した。
甘利氏が突如、「積極的に協力」から「間接的に協力しているように映ります」とブログの書きぶりを修正した理由を、同氏の議員事務所に問い合わせたところ、「国会リポート第410号訂正と同日リリースした第413号記載の通りです」とメールで回答が届いた。
国会リポート413号には<「積極的に協力」と云(い)う表現が適切でないとしたら「間接的に協力していることになりはしないか」と改めさせて頂きます>と書かれていた。少し表現が違うが訂正したいという気持ちは何とか伝わってきた。
しかし、発信者が訂正したり、修正したりしても拡散していくのが、この種の情報のやっかいなところだ。
当事者が何度否定しても広がっていく
「日本学術会議が中国の軍事研究「千人計画」に積極的に協力」という投稿は10月2日ごろから出回り始めた。その後、さらに「外された6人は関与か」などと臆測が臆測を呼ぶ展開になっている。
一方、「任命除外」された岡田正則・早稲田大教授は10月3日に毎日新聞の取材に対し、「千人計画という名前を、今初めて知りました 」と答えた。同じく除外された松宮孝明・立命館大教授も10月5日に出演したTBSの番組「グッとラック!」で、立川志らく氏が「一部聞こえてくるのは、中国の千人計画ですか、そこには協力していると、これの矛盾はどうなるんですか」と問いただしたのに対し「私、聞いたことありませんけれど、それはデマじゃないですか」と言下に否定した。
この場面の動画は、ツイッター上で「志らく氏はよく聞いたな」など直接聞いた立川志らく氏を評価するコメントと共に何度もリツイート(再投稿)され、拡散している。
10月8日の参院内閣委員会では、自民党の山谷えり子議員が、「日本の学術会議の研究者で、千人計画に参加しているという報道もある 」「日本の平和を守るための研究は禁じて、中国に対しては協力的である 」と質問で取り上げた。この場面もまた、ツイッターなどで何度もリツイートされている。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上の怪しげな情報が「報道」に格上げされ、国会議員の委員会質問の動画と共に拡散されているのだ。
千人計画 とは、主に海外の中国人研究者を呼び戻す中国への特別な優遇措置
そもそも千人計画 とは何か。
中国政府の発表によると、千人計画 とは、「科学技術強国」を目指す中国政府が2008年に始めたハイレベル人材招致計画だ。国外で有望な研究をしている中国人研究者を中国に呼び戻すことが主眼とされる。
2010年以降は、40歳以下の若手に向けた「青年千人計画 」もスタート。対象者に選ばれると主に帰国費用として数百万円から数千万円の一時金が支給されるほか、研究内容に応じた施設やスタッフ、研究費用が国や地方政府、研究機関から提供される。
米上院小委員会の報告書は、2017年時点で7000人がプログラムに参加したとしている。著名な中国人研究者が部下の外国人の若手研究者を引き連れて中国に研究拠点を移すこともあり、米国などは中国への頭脳流出を懸念していると解説されることが多い。
とはいえ、文献からは、実態が見えにくい「千人計画 」。実際に千人計画 に参加している当事者に話を聞きたい。そこで、毎日新聞中国総局や東京本社科学環境部など、中国在住の日本人研究者への取材経験のある部門の協力を得て、千人計画 参加者にアプローチし、匿名を条件に詳しく聞いた。
「学術会議と千人計画が無関係とファクトチェックできたら」
日本人研究者との一問一答は以下の通り。
――匿名を条件に取材に応じた理由は何でしょうか。
◆「千人計画=軍事研究をしている 」という情報が広まり、中国にいる日本人研究者が理不尽なバッシングを受けることを防ぐためです。間違った情報が記録されていく中、そのカウンターとなる情報を残す必要があると思いました。日本国内では、学術会議と千人計画が関係ないことをファクトチェックできれば、それで世間の関心は満たされます。
千人計画=軍事研究 という部分が検証されなければ、中国にいる日本人研究者に対する悲劇は残ります。中国国内にいながらにして、日本から誹謗(ひぼう)中傷を受け、精神的につらいだけでなく、回りに回って、日本の科学行政に悪影響が出ます。誤った情報を政治家が発言し、その情報をもとに日本の科学技術政策が進めば、日本の国益を損ないます。
匿名にしたのは、甘利さんがブログで書いたように「千人計画は参加を厳秘にすることが条件」だからではありません。そんな条件はありません。以前は千人計画の採択者リストは公開されていて、メディアで千人計画への参加を公言している日本人研究者も多くいます。
むしろ、そういった形で過去に名前を出した研究者がネットで検索されて、軍事研究とは関係がないのに、「スパイ」だと誹謗中傷を受けています。今はどのような形でメディアに出ても、事実無根のバッシングの対象になると思いました。
「影響は大きい。何より政治家が発言しているから」
――「日本学術会議が中国の軍事研究『千人計画』に積極参加している 」とする情報は、何で知りましたか。
◆SNSで情報が流れてきました。ネットで「千人計画」を検索すると、中国にいる日本人研究者が「臓器提供」「兵器開発」に関与しているかのような書き込みがありました。いわれのないことで悪く言われるのは、精神的にしんどいですよね。私の調子が良くないのが顔色に出ていたのか、息子に「パパ元気ないね」と抱きしめてもらいました。これまでもバッシングを受けることはありましたが、今回が一番、影響が大きいです。何よりも政治家が発言しているからです。
「そもそも外国人は中国で軍事研究に関われない」
――拡散された情報を見て、どのように感じましたか。
◆まず、千人計画 の参加者の圧倒的多数は軍事と関係のない基礎科学の研究者です。そもそも外国人は中国で軍事研究に関わることはできないというのは中国の常識です。
日本人が千人計画で軍事研究に参加しているという話を聞かされて、何をバカなことを言っているのか、と思いました。直接の軍事研究に限らず、軍事転用を視野に入れた軍関係の基礎研究プロジェクトへ研究費を申請することすらできません。中国の常識が分かっていない。
少し想像をすれば、分かるのではないでしょうか。中国政府が機密性の高い軍事研究を外国人にさせたとして、その人を帰国させるでしょうか。私たちの生活拠点は日…
「千人計画」特集が覆い隠す日本の基礎科学の危機 榎木英介病理専門医&科学・医療ジャーナリスト 2021/3/30(火)
悪夢のシナリオ
ある小話をひとつ。
あなたは日本の大学を定年退職後、日本の省庁所管の独立行政法人に勤め始めた研究者だ。配属先は中国事務所。現地中国の大学の教授も兼任することになった。もちろん所属先の承諾を得た上であり、給与は日本の所属先からもらっている。中国の大学から給与は受け取っていない。日本での実績が評価され、「千人計画」に参加することができた。
そんなあなたの所属先に日本の大手新聞から取材依頼があり、中国に関するテーマだったこともあり、匿名を条件に取材を受けることとなった。
数ヶ月経ったある日、友人から「これはあなたのことでは?」と声をかけられた。見せられた新聞には自分が。
中国の千人計画 に参加するために、中国の大学に高待遇で引き抜かれ、その引き換えとして軍事関連技術を流出させている…。
一面トップ記事だ。年齢、研究分野、中国での兼任先、日本で所属していた大学名などが記されており、個人特定が容易にできる記述であった。
給与は中国の大学からではなく、日本の本務先から出ているのに、そのことは一切説明がない。また、もともと軍事技術からは遠い基礎研究を行ってきたはずだし、自分の専門分野は中国のほうがはるかに進んでいるため、「技術流出」は無理筋だ。
ネット上では「軍事スパイ」「売国奴」と実名でバッシングされた。
悪夢のような話であるが、これはフィクションではない。2020年5月、読売新聞が掲載した記事だ。当時この記事はさほど注目されなかったが、日本学術会議の会員の任命拒否が問題化した際、甘利明衆議院議員がブログに書いていた記事が発端となり、中国の千人計画 が「外国人を高給で引き抜き、軍事研究や技術スパイをさせるためのものである」「それには日本学術会議の会員が関わっている」との流言が拡散した際、この記事のスキャン画像が拡散した。
また、その記事は、その後読売に所属する他記者によって別メディアでも盛んに取り上げられている。
読売新聞、 一面記事連発
この5月の記事が「バズった」ためだろうか。読売新聞は今年1月以降、何度も「千人計画 」に関する記事を一面で掲載している。その皮切りの記事は、多くの読者が読む元旦の号の一面に掲載されたのだ。「千人計画 」打倒のキャンペーンを行っているようだ。
しかし、いずれも昨年5月の記事同様に問題が多いと言わざるを得ない記事ばかりだ。しかもその問題点は当の読売新聞自身が文化部の記事で指摘していたのだ。
安全保障が重要なのはどの国でも同じで、決してタブー視すべきではない。しかし、事実に反した陰謀論に呑まれたものであっては、冒頭で挙げたような日本人研究者への無理筋なバッシングを生むだけでなく、日本の基礎科学や安全保障にもむしろ悪影響となるのではないか。
なお千人計画 に関しては以前書いた記事を参照されたい。
正しく恐れよ「千人計画」
上記記事では、日本人の研究者、特に軍事や産業技術から遠い基礎研究者、若手中堅の研究者が中国へ異動することを一律にバッシングするのは筋違いであることを指摘した。
本稿では、読売新聞の一連の記事の問題点を指摘した上で、日本の基礎科学が抱える問題を解決するために何をすべきかを考えてみたい。
読売新聞記事の「前提」
下記は1月以降読売新聞が「千人計画 」に関連し掲載した主な記事である。ウェブ上の記事をリンクしたが、誌面では前述の通り一面にも掲載されるなど大きく取り上げられている。
昨年の5月記事を含め、これらの記事の根底に以下のような前提があるようだ。
中国は軍事応用を目的とし日本の先端技術を獲得するため、日本人の大学研究者を狙っている
そのために「千人計画 」を通し、高待遇での引き抜き攻勢を行っている
安全保障に関わる技術流出は問題である
そのための対策として海外からの研究費の申告義務化を行うべきである。
これらを検討していこう。
中国は軍事応用を目的とし日本の先端技術を獲得するため、日本人研究者を狙っている?
「千人計画 」は軍事や応用分野に限ったものではなく、自然科学の分野を幅広く対象としたものであり、むしろ基礎科学分野の研究者が多い。しかも採択者の圧倒的多数が中国出身だ。
そのことから、この千人計画は軍事技術を主な目的と考えるよりも大学の基礎研究力の底上げ、大学ランキングの向上を狙った補助金政策であるのが実態であるといえるだろ う。実際、千人計画開始以降、中国の大学の世界ランキングは大幅に上昇している。先日も分野別のQS世界大学ランキングが発表されたが、東大よりランキング上位の大学が多数ある。
また、「千人計画 」に類似するプログラムは日本にもあり、「国際共同研究加速基金(帰国発展研究) 」として海外の日本人研究者対象が帰国した際、5000万円の研究費を支給する。人材招聘プログラムは世界各国にあるのだ。
高待遇での研究者引き抜き攻勢を行っている?
中国の大学に所属する日本人研究者は、千人計画の採択者やそれら以外を含め、主に「若手中堅 」と「日本を定年後のシニア 」に分けることができる。
若手中堅については、そもそも引き抜きというより、日本の大学が厳しい状況にあり、日本に職がなかったというパターンが多く、給与も「相場は「年収450万~750万円」」と決して高額ではないようだ。
また、シニアについても、かなり有名な研究者ですら「日本の大学で勤務時と同額を保証」だという。そしてそれらシニアについても、日本の国立大学を定年後、日本に職がなく、やむをえず定年後中国で研究というパターンが多いようである。以前は私立大学等が定年者の受け皿になっていたが、私立大学が自前で研究者を養成しつつあるので、そのルートは簡単ではなくなったのだ。
また研究分野も、読売新聞が心配しているような応用研究者より、天文 といったような「日本で支援が得られず職がなくなっている基礎分野 」の研究者が多い。さらには、そもそも日本から「流出」させるどころか、科学技術の多くの分野で日本よりも中国のほうが大きくリードしているという事実もある。
このような事情を考えると、千人計画の採択の有無を問わず、中国へ渡る日本人研究者が増えている問題の本質は、「軍事応用を狙った高給引き抜きによる技術流出」ではなく、「中国が近年研究レベルを向上させる一方、日本では研究環境悪化が続き、基礎科学の人材が流出している」というところではないだろうか。
しかし、読売新聞の一連の記事にはそのような視点は一切みられず、「日本のほうが進んでおり、中国へ高待遇で引き抜かれている」という印象をつくろうとしている。
この記事が書く「論文ノルマ」は、「千人計画」は何の関係もない。研究者としての地位の維持に論文数が要件になっているのは「千人計画」だけではなくよくあることなのだ。
確かに以前はそのような論文ボーナス が高額なものもあったようだが、むしろ最近の中国政府の方針は、数字ありきの評価の弊害を認識し改善しつつある。
その点も当然?読売の記事では一切触れられていない。
安全保障に関わる技術流出は問題である
安全保障に関わる技術流出が問題なのは論を俟たない。
しかし、これまで述べたように「
千人計画 」を含め、中国に渡る日本人研究者の多くは軍事や産業技術から遠い基礎研究者である。その成果は論文として世界に公表されるため、中国だけにその知見がいきわたるものではない。また、応用寄りの研究者についても「経済産業省の許可をとった上で渡航している」ことが、読売の記事自身にも記載されている。注意深く読めば…。
安全保障貿易の概要 リスト規制 これら安全保障上の規制に反する行為は犯罪行為であり、処罰されるべきであろう。しかし、安全保障関連技術とは無縁な基礎分野の研究者は言うに及ばず、応用研究の研究者についても、経産省に確認を行っている以上、安全保障上のリスクは低い。研究者個人をバッシングすることは完全に筋違いと言わざるを得ない。筋違いであることを隠すためか、読売新聞は「どんな技術でも軍事転用可能」と言わんばかりの記事を出している。
「自動車技術は回転と関係するので、ウラン濃縮のための核開発になる」とのことだが、かなり飛躍がある。それをいうならば、自動車メーカーが自動車を中国に輸出することも禁止すべきと主張すべきではないのか。
また、論文が公表されるような基礎研究の成果も、長期的には軍事につながりかねないというのであれば、日本の大学に所属する日本人研究者が発表した論文がそのようなことにもなりえるが、今後日本の大学から論文発表をやめろとでもいうべきなのだろうか。
本来はどこまでセーフでどこからアウトなのか「切り分け」が重要であり、そのための安全保障貿易におけるリスト規制である。そのセーフとアウトのラインの切り分けが重要であり、極端な対応は国益を損なうものであることは、対中強硬派のトランプ政権高官(当時)ですら主張しているのだ。
荒唐無稽な「何でも軍事転用可能論」は日本の国益を損なうものであると言わざるを得ない。
海外からの研究費の申告義務化を行うべき?
日本在住の大学の研究者に対して、外国から研究費を受け取った場合の申告義務化に反対する理由はない。
しかし、これが「千人計画 」の対策であるというのであれば、有効性は乏しいと言わざるを得ない。
強いてあげれば、「日本の大学に勤務し続けながら、中国の大学にも所属し、二国で研究室を展開する」場合にはある程度有効だろう。特にアメリカでは二か国から給与をもらいながら、税申告をせず、脱税で摘発されているケースもある。もちろんそれは犯罪である。ただ、そもそも中国にいる日本人研究者の多くは、若手、シニアを含め、中国の大学にフルタイムで勤務をしているため、これらの申告義務化とは関係ない。
「千人計画 」もフルタイム勤務型が多数である。アメリカなどで問題になっている「千人計画」のケースの多くはパートタイム型である一方、今後はフルタイム勤務型が千人計画 では必須となることを、最近毎日新聞が報道した。
千人計画、衣替え 技術力接近、続く対立
読売新聞は、「千人計画 」の対策として海外研究費の申告義務化を繰り返し訴えているが、実効性のない対応が有効であるように繰り返し、取り上げるのは問題の解決にはならず、問題を覆い隠すだけであろう。なぜこのようなことを書くのだろうか。
真の問題に光を
安全保障貿易関連の規制リストに違反することや給与の二重取りによる脱税はまごうことなき違法である。また、海外からの研究費申告義務に反した場合も罰則があるべきである。
しかし、それらと関係なく中国へ渡った日本人研究者を「高給で軍事技術を中国に売った」と筋違いなバッシングを展開することは、日本の基礎研究の危機を覆い隠し、長期的には国力の衰退をもたらし 、安全保障にも悪影響がでるのではないか。
当の中国でも、文化大革命以降、とくに80年代、90年代は活躍の場を求めてアメリカなどに多くの研究者が流出したが、海外へ渡る研究者へのバッシングは強く、それが中国人研究者の海外流出を加速させたという過去がある。それに対する中国人研究者を中心とした呼び戻し政策が「千人計画」だったのだ。
大新聞の影響力は少なくない。個々の研究者へのバッシングではなく、まずは日本の基礎研究環境の改善や基礎科学への地道な支援の重要性を訴えていくことが必要なのではないだろうか。
中国、千人計画 こんなにいた!日本人研究者
2020-10-29
中国千人計画の方はニューズウイークの遠藤論文、週刊新潮などの特集もあってすでに千人計画に協力した日本人研究者が個別に名前が挙がっています。ウィキペディアにはすでに36人の実名があがっていて衝撃です。日本学術会議の覚書がありながら、大西隆元会長は何もやってない、デマだ、と言っていましたが、36人のなかには学術会議関係者も含まれています。
即刻国益を考えない、売国的行為だ、けしからん、となるところですが、36人を色々調べてみると、引退して自分の研究テーマをアジアに展開しようと考えて、中国はそのひとつだった、という人もいます。千人計画に応募しては、と勧められてきた人もいますし、ポスドクでくすぶっていて、新天地を求めた若手研究者もいます。日本学術会議に関わっていた人もいます‥とその人の言い分を眺めてみるとさまざまです。
千人計画は、中華人民共和国国務院が科学研究、技術革新、起業家精神における国際的な専門家を認定し、採用するために2008年に策定した計画、制度。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E4%BA%BA%E8%A8%88%E7%94%BB
千人計画に参加した日本人
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E4%BA%BA%E8%A8%88%E7%94%BB#%E5%8D%83%E4%BA%BA%E8%A8%88%E7%94%BB%E3%81%AB%E5%8F%82%E5%8A%A0%E3%81%97%E3%81%9F%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA
中国の「千人計画」に日本人研究者44人 日本人研究者「自分は軍事研究に関わらず、日本に迷惑をかけないようにと考えている」と釈明しつつも「応用すれば、無人機を使って攻撃したり、自爆させたりすることができる」と認める
2021年8月28日
中国国家プロジェクトに「日本人44人」の重大懸念
略
北京理工大の「ロボット研究センター」はこれまで、弾道ミサイルの誘導や軍民両用ロボットなどを研究してきたとホームページで説明している。北京理工大で日本人研究者 がAIやロボット工学などを研究・指導していることに対しては、欧米から懸念する声が出ている。
米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」のホームページに掲載されている報告書は、「中国の軍事指導者や戦略家は、無人プラットフォームによって戦闘のあり方が劇的に変わると信じ、ロボット工学や無人システムの研究・開発に対する惜しみない資金を、国防産業や大学に投じている 」と警鐘を鳴らし、中国がこうした技術を千人計画 を通じて得ていると指摘する。そして実例として、北京理工大で指導する日本人教授 の名前を挙げている。
同大で指導する別の日本人研究者は、「自分は軍事研究に関わらず、日本に迷惑をかけないようにと考えている 」と釈明しつつ、自身の研究について「応用すれば、無人機を使って攻撃したり、自爆させたりすることができる 」と認める。
そのうえで、「中国の大学は、軍事技術を進化させる研究をして成果を出すのが当たり前だという意識が強い。外国の研究者を呼ぶのは、中国にはない技術を母国から流出させてくれると期待しているからだろう 」と語った。
内閣府の「科学技術イノベーション政策推進のための有識者研究会」に参加していた専門家は、「千人計画 の問題は、数ではない。優秀な専門家に狙いを付けて中国に呼び寄せ、その中に一人でもすごい人がいれば、中国に大きな利益をもたらす」と語る。
■「国防七校」にも8人の日本人
読売新聞が確認した研究者44人の中には、中国軍に近い「国防七校」と呼ばれる大学に所属していた研究者が8人いた。
国防七校とは、中国の軍需企業を管理する国家国防科学技術工業局に直属する北京航空航天大、北京理工大、ハルビン工業大、ハルビン工程大、南京航空航天大、南京理工大、西北工業大の7大学を指す。
中国は民間の先端技術を軍の強化につなげる「軍民融合」を国家戦略として推進している。軍民融合については本書で取り上げているが、日本政府は、日本が保有する軍事転用可能な技術が中国に流出することを強く懸念している。
北京理工大のケースには先ほど触れたが、国防七校の1つ、北京航空航天大にも4人の日本人が所属していた。同大は、ミサイル開発の疑いがあるとして、貨物や技術の輸出時には経済産業省の許可が必要な「外国ユーザーリスト」に記載されている。
同大に所属する宇宙核物理学の日本人研究者は、「軍事転用される危険性はどんなものにでもある 」としつつ、「教えているのは基礎科学の分野で、軍事転用とは最も距離がある。経産省の許可も得ている 」と強調した。
日本人研究者本人や周りにいる中国人たちが軍事転用をするつもりはなくても、中国では軍民融合戦略に加え、国民や企業に国の情報活動への協力を義務付ける「国家情報法」が施行されている。軍事転用などのリスクの高い機微な技術は当然、中国当局に狙われる と考えなければならないだろう。
千人計画 の怖さは、外国人研究者の研究成果を中国自らのモノ、つまり「メイド・イン・チャイナ」にしてしまうところにもある。
代表的なやり方は、外国人研究者に中国人の若手を指導させ、最先端技術と研究手法を身につけさせるというものだ。
千人計画に参加した複数の日本人研究者が、特許の取得や論文執筆に加え、若い中国人研究者を育成することが参加の条件の1つだったと証言する。先ほどの専門家は、「優秀な研究者1人に10人の中国人学生をつければ、1万になる。そうやって学生に技術を学ばせ、いろいろな技術を中国が吸収していく。中国は千人計画と連動して『万人計画』も進めている」と解説する。
日本人研究者から指導を受ける中国人の若手研究者は、海外の大学などで学んだ留学経験者が多いが、最近は、中国人研究者が中国国内で育てた第2世代も増えてきているという。第2世代は、中国共産党の思想教育が浸透しており、愛国心が強いのが特徴だ。
中国「千人計画」に参加する日本人研究者 “働けるなら日本で…”の本音
「中国へ行くしかなかった」
世界中の科学技術を盗もうとする中国の「千人計画」の全容と、そこに参加した日本人研究者へのインタビューを「週刊新潮」10月22日号で報じた。なぜ彼らは計画への参加を決めたのか。取材を続けると、背景に日本の研究環境の“現実”が見えてきた。
***
「自分を含めて中国に来た若手の研究者は、働けるなら日本にいたいというのが本音です。給料や研究費が高いから中国に行くのではなく、日本に研究者としてのポストがない。だから中国へ行くしかなかったのです」
中国トップ10に入る最難関大のひとつである浙江大学で、サルなど霊長類の遺伝子を研究する高畑亨教授(43)。給与は日本の国公立大の准教授クラス(平均年収700万円前後)だというが、研究費や“ボーナス”は潤沢に用意されている。
「5年前に浙江省の『千人計画』に選出された際に1500万円が支給され、5年分の研究室の運営費として5000万円を支給されました。『ネイチャー』や『サイエンス』に論文が掲載されたら、1500万円くらいのボーナスが出る」
実際、日本と中国では科学技術の予算に大きな差がある。20年前は共に約3兆千億円前後と拮抗していたが、2016年度の時点で中国の予算は22兆3988億円と大きく飛躍し、日本の6倍以上となっている。
ノーベル賞・大隅良典教授の見解は
「中国はいま、ほとんどノーベル賞の受賞者がいませんが、これから先は基礎科学の分野においても、どんどん出てくると思います。あと10年もしたら、目に見えて結果が出てくるんじゃないですか」
と懸念を示すのは、16年にオートファジーの研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した、東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏(75)。日本の研究環境にはこう警鐘を鳴らす。
「日本は財務省の役人に分かってもらえるような研究なら何とか予算がつく状況。今の日本のやり方は、研究にお金を出したらその分の見返りがなくてはいけないというもので、これでは絶対に上手くいかないと思います。このままいけば、日本で活躍の場がないからという理由で、基礎科学者が中国に流出することが、今以上に増えていくと思います」
10月22日発売の「週刊新潮」では、千人計画に参加した多くの日本人研究者の声とともに、図らずも露呈した我が国の研究環境の惨状を詳報する。
週刊新潮 2020年10月29日号掲載
海外の科学研究者を呼び込むことを目指す中国の国家事業「千人計画」に関連し、日本人研究者が中国への技術流出に利用されているとの批判が昨年から強まっている。だが、そうした批判の論拠が脆弱(ぜいじゃく)であるばかりか、すでに日本の科学研究はさまざまな分野で中国に追い抜かれている。日本からの人材流出の原因となっている、国内の深刻な研究環境こそ見直されるべきだ。(病理医、科学・技術政策ウォッチャー 榎木英介)
甘利氏ブログなどで広がった「千人計画脅威論」
在中国の日本人研究者で起きた問題とは
2020年昨年秋、政府が日本学術会議の会員任命を拒否するという問題が起き、発足直後の菅義偉政権がその根拠を明確に示せなかったために批判を浴びた。
この時と前後して、中国政府が実施している海外研究者を集める国家事業「千人計画」と日本学術会議の関連を指摘する声が、政権に極めて近い人物から上がった。自民党の重鎮で「経済安全保障」の旗振り役である、甘利明・党税制調査会会長である。
甘利氏は昨年8月、自身のブログで「日本学術会議は中国の千人計画に積極的に協力しています」などと記載。日本政府などが事実と異なると指摘したため、甘利氏は表現を修正した。
だが、その後も両者を関連付けた見方は消えない。「千人計画は、外国人研究者を狙った技術窃盗のための中国の国家プロジェクト」「参加は極秘であり。軍事関連の技術流出と引き換えに多額の報酬が支払われる」などといった論調が相次ぐ。
その結果、中国に滞在している日本人研究者が激しいバッシングに遭っている。今年の元日以降は、読売新聞が「千人計画」に関するこうした趣旨の記事を連発しているが、事実とは異なる。
実際に中国などへの軍事技術の流出に携わっている日本人研究者がいるとすれば、法に基づいて適正に対処し、犯罪に該当するならば摘発すべきだ。
ただし一連のバッシングを生んだ論調は、実態とは異なる「千人計画脅威論」をあおるものでしかない。これらは、本来必要な研究への取り組みを鈍らせるばかりか、日本の科学研究がすでにさまざまな分野で中国に追い抜かれているという「不都合な真実」を、多くの日本人から覆い隠してしまう事態を生み出しかねない。
そもそも「千人計画」とは何か、基本的な知識を概説したい。
正しく恐れよ「千人計画」
榎木英介病理専門医&科学・医療ジャーナリスト
2020/10/19(月)
「千人計画」に関心が集まるが…
日本学術会議の会員任命拒否が大きな話題となるなか、中国の「千人計画」なる計画に関心が集まっている。
発端は自民党の甘利明議員のブログのようだ。日本学術会議が千人計画に関与していたとの記載をしており、訂正されている。
そもそも千人計画とは?
ここで中国の千人計画とは何かをみてみたい。
上記などによれば、千人計画とは、中国から欧米などに流出した人材を呼び戻す「海外人材呼び戻し政策」の一環とされる。
中国では、文化大革命という知識人にとっては不幸な時代があった。その後トウ小平氏のお声がけで、俗に海亀政策と呼ばれるプログラムが始まり、頭脳流出した中国人研究者総勢100名を、21世紀になるまでに自国に呼び戻そうというものであった。今世紀に入ってから、その延長とも言える、千人計画がスタートした。中央政府によるものと地方政府によるもの、また、頭脳流出している中国人(一部外国人も可)が対象である創新・創業・青年の3種類、および外国人専門家(外專)などの各種プログラムがあり、それぞれが毎年数十名から百名強を10年程度で千人を目指すということで公募選抜し(後略)
出典:中国の日本人研究者便り
現在このプログラムに関わる者は1万人を超えるとされる。上述の通り、主に中国から国外に流出した研究者の呼び戻しが中心だが、日本人含め様々な国の研究者がこのプログラムに関わっているとされる。
千人計画と知的財産のトラブル
この千人計画であるが、各国でトラブルを引き起こしている。
その一つは、アメリカで千人計画に関わっていることを隠し、給料を二重取りしたケースだ。
2020年1月28日、アメリカ司法省は、ハーバード大学の元教授(化学・化学生物学科長)チャーリズ・リーバー氏を起訴した。ノーベル賞候補とも言われた世界的研究者が起訴された理由は、詐欺容疑。同氏は中国・武漢技術大学から研究資金として150万米ドル以上を受け取っていたが、その事実をハーバード大に報告していなかった。
出典:中国「千人計画」とは?アメリカの警戒、国益と学問の自由のジレンマ
他にも同種のケースが報告されている。
アメリカで中国「千人計画」参加の学者が続々逮捕!
千人計画に参加するアメリカ在住の研究者が知的財産を盗むのではないかという懸念をアメリカ政府は持っており、2019年には上院が報告書を出している。
Threats to the U.S. Research Enterprise: China’s Talent Recruitment Plans
近年、連邦政府機関は、中国に帰国する前に機密電子研究ファイルをダウンロードしたり、助成金申請時に虚偽の情報を提出したり、米国の助成金申請時に中国政府から受け取った資金を故意に開示しなかったりした人材採用計画のメンバーを発見しています。(DeepL翻訳)
出典:アメリカ上院報告書
ほかアメリカ以外でも知的財産がらみのトラブルが発生している。
知的財産の流出、そして流出した技術が軍事転用される可能性を考えれば、各国で千人計画に対する警戒感が高まっているのも無理はない。
中国に渡る若手研究者
ただ、トラブル事例をよく見ると、外国の有力研究者をスカウトし、特許などの知的財産を中国で申請してもらうなどの手口が多い。それは深刻な問題であり、日本も対処しなければならない課題であると言えるが、千人計画参加者の中でも基礎研究者、特に若手研究者に関しては、知的財産の問題と切り分けて考えなければならないのではないか。
というのも、こうした若手研究者は、日本ではやりたい研究ができない、活躍の場がないということで現地に出向いており、受け渡す知的財産を持ってはいないからだ。
研究チームを率いる新任の教授の「平均的な年収は600万円程度で、日本のほうが高い」。将来的には年金制度がより安定しており、人脈もあって共同研究がしやすい日本に戻るつもりだ。
それでも、15人の研究室を率いて豊富な研究資金で自由に研究ができる点は日本にはない魅力だ。研究室の開設費として約1500万円が大学から拠出されたほか、大学、国、地方自治体などの研究費提供プログラムも多く、日本のように資金確保が過大な負担となることもない。
任期も長く、10年契約を結んでいる。「日本では若いうちに自分のラボを持てる機会はなかなかない」と、この教授は言う。
もっとも、頭脳流出の背景には、こうしたプル要因以上に日本国内の就職難というプッシュ要因があるのかもしれない。博士号取得者の就職難が深刻化した世代に当たるこの教授も、国内で必死に就職活動をしたが希望のポストを得られなかったため、自ら応募して中国に渡った。
出典: 千人計画で「流出」する日本人研究者、彼らはなぜ中国へ行くのか 若手研究者の苦境は長らく言われてきたが解消されてこなかった。
チャンスを求めて外国に渡る者が出るのは当然だ。しかも、基礎研究では論文執筆が全てであり、論文は世界に公開される。
しかし、現在こうした若手研究者に対するバッシングが起こっている。
「武者修行」を奨励している日本政府
この10年ほど、「若手研究者の内向き志向」が様々な場で言われ、政府も留学の促進や日本人研究者の海外進出を奨励していた。
しかし、最近では日本からのPost-Doc研究者の留学も、もともと数少ない海外でのPhD取得者も減っているようです。これが最近の多くのアジアの若者が海外留学をするのと比べて、きわめて顕著に違う傾向です。特にグローバル世界に向かって、若手研究者の内向き志向、鎖国志向は困ったことです。
出典: 黒川清氏ブログ(2010年) グローバル化が重要だ、海外留学は「武者修行」だと、大学生から研究者まで、外国留学を奨励し続けている。
また、先にあげた若手研究者の苦境に、「職がないなら外国へ行け」という声を多数聴いてきた。
それなのに、中国にチャンスを求めて行く若手をバッシングするのは矛盾なのではないか。
科学研究における中国の存在感は日に日に増している。
主要な指標から日本の状況を見ると、研究者数は共に主要国(日米独仏英中韓の 7 か国)中第 3 位、論文数(分数カウント法)は世界第 4 位、注目度の高い論文数(分数カウント)では世界第 9 位、パテントファミリー(2 か国以上への特許出願)数では世界第 1 位である。これらは昨年、一昨年と引き続き同じ順位である。論文数(分数カウント法)では、中国が初めて米国を上回り、主要国中第 1 位となった。注目度の高い論文数では、米国が第 1 位を保っている。
出典:科学技術指標2020要旨
大学ランキングでも、中国の大学の中には東大や京大より上位の大学もある。
中国はランクイン数が 72校 から 81校 に増加し、その数はアメリカ、日本、イギリスに次いで世界第4位。アジアトップの清華大学と2位・北京大学はそれぞれ23位と24位でした。
出典:THE世界大学ランキング2020-東大は6ランクアップの36位、京大は65位を維持
戦前はドイツやイギリス、戦後はアメリカと、日本人研究者は世界の研究の中心地に渡り、最先端の知見を身につけてきた。
現在分野によっては中国が世界の中心となりつつあるなか、中国に渡る基礎科学研究者がいるのは無理はないことだ。
そもそも科学者はチャンスを求めて国をまたぐのが当然だ。日本人ノーベル賞受賞者の中にも、アメリカなどで研究を続けたものが何人もいる。
ゲノム編集という画期的な技術を開発し、2020年のノーベル化学賞に選ばれたEmmanuelle Charpentier博士も、職を転々としてきた一人だ。
新しい発見をしたいという衝動と、自由で独立したいという願望が彼女の道を支配してきました。パリのパスツール研究所で博士号を取得した後、5カ国、7都市で生活し、10の機関で働いてきました。(DeepL翻訳)
出典:ノーベル財団サイト
憂うべきは日本の現状
知的財産をめぐる国と国との争いは綺麗事では済まされない。同盟国日本とアメリカでさえ緊張感がある問題であり、逮捕者なども出ている。
こうしたなか、中国との知的財産の紛争や、日本の技術が軍事利用される懸念が上がるのは当然だ。
ただ、その主体は企業の研究者だ。
リストラやチャンスを求めて中国や韓国、アジアに渡っていった技術者がいる。
こうしたエンジニアの流出は大きな問題だが、流出すべきものを持ち合わせていない若手基礎科学研究者を、軍事研究に結び付けてバッシングすること、明らかに筋違いと言えるだろう。
日本も含め、世界各国が外国人の高度知識人材の獲得に奔走しているのは、もちろん慈善事業ではない。自分の国の利益のためにやっているわけだ。高度知識人材が大学の、研究機関のランキングを上げ、人材を育成し、知的財産を生み出す。
中国だけではない。アメリカが世界中から人材を集める国であることは知られているが、シンガポールや中東の国々なども含め、世界各国で人材獲得競争が起こっている。
日本とて同じだが、高度人材の受け入れは課題が多いようだ。
今やるべきことは、外国に人材が引き抜かれてしまった現実、外国では活躍できる人材を国内に止めることができなかった現実を分析し、対策を立てることなのではないか。真に恐れ、憂うべきは、千人計画そのものではなく、自国にいる本来活躍できるはずの人材に活躍の場を与えられなかったことにあるのではないか。
日本学術会議を批判するとするなら、こうした人材流出に有効な手段を提案できなかったことにこそすべきであり、実効性の乏しい日本学術会議と中国科学技術協会間の協力覚書などは枝葉のことだ。
「外科的アプローチ」で取り除け
米国と同盟国は、中国の知的不正行為を食い止め、中国の科学技術の優位性を維持するための手段を検討しているが、そのような努力が反応的なものではないことも確認しなければならない。その出発点は、なぜこれほど多くの科学者が中国に引き寄せられるようになったのかを問うことではないだろうか。(DeepL翻訳)
出典:China’s Science Talent-Recruitment Program Draws Fresh Attention
まずは現状を分析することから始めないといけない。
中国に強い警戒感を示すアメリカだが、その戦略はしたたかだ。
トランプ政権で対中戦略を主導するポッティンジャー大統領副補佐官は、9月末の会合の中で以下のように述べる。
"ロナルド・レーガン研究所が主催したオンラインイベントでポッティンジャー氏は、安全保障上のリスクがあると判断した中国人に学生ビザを拒否するという政権の方針に言及し、「これは外科的なアプローチだ」と述べた。
"トランプ大統領は、その膨大な数の約1%をターゲットに、軍事関連の中国研究者をターゲットにした行動をとっている。"とポッティンジャー氏は述べた。(DeepL翻訳)
出典:U.S. targets only one percent of Chinese students over security: White House official
背景には外国人人材に依存するアメリカの科学研究の現実があるのだが、国益を踏まえたリアルな対応だと言える。
米トランプ政権が発足した時から続くデカップリングと一線を画し、米中の研究現場では蜜月状態が続いていた。国際共著論文では、米中の連携件数が突出。オランダ学術情報大手エルゼビアによると、20年の中国の国際共著論文の38%が米国の研究機関の研究者との連携だ。米国の共著論文の26%も中国との連携で、国別で最も多い。
両国の共同研究は、中国だけにメリットがあるわけではない。米国の研究力や産業競争力の強さも支えている。
出典:米研究 危うい中国排除 留学生に依存 中国、「独立」へ着々
問題があるなら個別に対処すれば良い。しかし残念ながらネット上では、日本学術会議と千人計画の関連や、中国に流出した若手基礎科学研究者も含めて十把一絡げで叩くだけで、現状の分析もしないし、より安全保障上のリスクの高い部分への対応を立てるべきという具体的な議論はあまり耳にしない。
これでは、外科手術で患部を取り除くのではなく、病気になった人を殺すことになってしまうのではないか。
表面だけアメリカをまねても怪我をするだけだ。
研究者が外国に行くことが、送り出した国にも、受け入れた国にも利益をもたらすことは様々な研究で知られている。
人材の国際移動とイノベーション
国際共同研究は研究の質、論文引用度をあげる。こうしたことを否定することは、いわば鎖国しろというようなものであり、世界の最先端から外れ、日本の「研究力」はますます低下するだろう。
無意味なバッシングで時間や人材を浪費することで利益を得るのは誰か、よく考えた方がいい。
中国「千人計画」とは?アメリカの警戒、国益と学問の自由のジレンマ
公開日 2020年04月11日
2020年1月28日、アメリカ司法省は、ハーバード大学の元教授(化学・化学生物学科長)チャーリズ・リーバー氏を起訴した。ノーベル賞候補とも言われた世界的研究者が起訴された理由は、詐欺容疑。同氏は中国・武漢技術大学から研究資金として150万米ドル以上を受け取っていたが、その事実をハーバード大に報告していなかった。
ハーバード大は
The Verge に送ったメールの中で、「リーバー教授に対するアメリカ政府よる告発はきわめて深刻なものである。ハーバード大はアメリカ国立衛生研究所(NIH)を含む連邦機関に協力し、当該の不正行為について自ら調査をおこなっている」と説明した。
実は、同様の容疑で起訴・告発されたのはリーバー氏がはじめてではない。たとえば、2018年2月にアメリカ海洋大気局の研究者シュンツァイ・ウォン氏、2019年5月にエモリー大学の元教授(神経科学)シャオヤン・リー氏が告発された。直近では今年3月に、ウェストバージニア大学の元教授(物理学)ジェームズ・パトリック・ルイス氏が同様の処分を受けている。
彼らの共通点は、通称「千人計画」と呼ばれる中国の高度人材募集プログラムに参加していたことである。
「千人計画」とは何であり、なぜアメリカは問題視しているのだろうか?
アメリカの研究者を好待遇で集める「千人計画」
「千人計画」(Thousand Talents Plan)とは、正式名称を「グローバルエキスパート募集計画」と言い、中国が2008年末頃から着手している6種類の海外高度人材採用プログラムの総称である。
彼らのサイト(現在は閉鎖)によれば、グローバルな英知を結集することによる中国の偉業達成が目的である。主要なテクノロジー産業でブレイクスルーを生み出したり、同国のハイテク産業を活性化できる科学者らの人材が求められている。
「千人計画」は、その破格の待遇から注目されていた。たとえば、「イノベーティブタレント募集プログラム(長期)」の要綱によると、各参加者は国家予算から100万人民元(約1600万円)を支給され、外国人永住権に申請可能な上で、配偶者の働き口や子どもの学校も保証される。
アメリカ司法省の発表によると、冒頭のリーバー氏は、武漢技術大学から月5万米ドルと生活費100万人民元を受け取っていた。
英退役パイロットが中国軍を支援、専門知識を提供=英国防省
2022年10月18日 ゴードン・コレラ安全保障担当編集委員、BBCニュース
イギリス国防省はこのほど、イギリス軍の元パイロットが大金に釣られ、中国軍に専門知識を渡していたことが明らかになったと発表した。政府は、こうした元パイロットに対し、機密情報に関する警告を発した。
英国防省の報道官によると、中国人民解放軍の訓練に、最大で30人の元イギリス軍パイロットが参加したという。
一方、退役した元パイロットの訓練や採用はイギリスの現行法には抵触しないものの、同国を含めた各国がそうした活動を阻止しようとしていると話した。西側の関係者は、中国によるパイロットのヘッドハンティングは現在進行形で続いており、最近になって強化されたと指摘した。
この情報筋は、「元パイロットには大きな利益が提示されている。金銭が大きな動機になっている」と説明。最大で23万7911ポンド(約4000万円)が提示されたと考えられるケースもあると話した。
退役した元パイロットは中国に対し、西側の軍用機やパイロットの運用方法に加え、台湾などをめぐる紛争時に重要となる情報の理解を助ける仕事に従事しているという。
情報筋は、「これらの人々は、そうした知識を伝えていくにはとても魅力的な人たちだ。中国軍の空軍の戦術と能力を開発するために、豊富な経験を持つ欧米のパイロットが必要とされている」と指摘した。
ウクライナ戦争の最中「採用活動が大幅に活発化」
イギリス政府は2019年に、少人数の元パイロットらが中国軍に採用されたことを把握。その時は個別の事案として対応した。新型コロナウイルスのパンデミックで中国への渡航がほぼ不可能になったため、中国軍のこうした活動は一時減ったものの、現在はまた増えており、警告に至ったという。
西側情報筋は記者団に対し、「採用活動が大幅に活発化している」と語った。現役のパイロットも標的にされているが、誰も応じていないと考えられるという。
イギリス軍では、王立空軍(RAF)に限らずさまざまな部隊で、パイロットが高速ジェットやヘリコプターの操縦を行う。こうしたパイロットは、「タイフーン」や「ジャギュア」、「ハリアー」、「トーネード」といった戦闘機の操縦経験を持つ。
ステルス戦闘機「F-35」のパイロットはこの活動に関与していないとみられているが、中国は興味を持っているとされる。中国に採用されたパイロットには、50代後半の者や、退役からしばらくたっている者もいるという。イギリスだけでなく、同盟諸国のパイロットも標的にされている。
中国に採用されたパイロットらが、秘密保護法に違反したり、何らかの罪を犯したという証拠はない。今回の警告は、活動阻止を目的とするとともに、現役のパイロットや航空業界のパートナーに対し、機密度の高い情報を守る義務があると勧告するためのものだ。
英国防省の報道官は、「中華人民共和国の人民解放軍兵を訓練するために、英国軍の現役パイロットや元パイロットをヘッドハンティングしようとする中国の採用計画を阻止するために、断固とした措置を講じる」と述べた。
「現役退役を問わず、全ての軍関係者は秘密保護法の対象となっている。我々は国防省における機密保持契約と非開示契約の扱いを再検討するとともに、新国家安全保障法案によって、この件を含む現代の安全保障上の課題に取り組むための新たな手段を創出する予定だ」
中国軍がイギリス軍の元パイロットらをヘッドハンティング イギリス国防省は対策に乗り出す 2022年10/19(水)
中国軍がイギリス軍の元パイロットらをヘッドハンティングし、教官として採用しているとして、イギリス国防省が対策に乗り出している。イギリスの『タイムズ』は2022年10月18日、「イギリス軍の元パイロット少なくとも30人が、中国軍に一人当たり年間約4000万円~6000万円の報酬でヘッドハンティングされた」と報じた。これまでに機密情報が漏れた証拠はないが、教官として中国軍を訓練しているとみられ、地元メディアは「イギリスと西側諸国の利益に脅威がある」と指摘している。イギリス国防省は「中国軍がイギリス軍のパイロットや元パイロットを採用する計画を阻止するため、断固とした措置を取っている」とし、安全保障に関する法律の改正を目指している。(ANNニュース)
英退役パイロットが中国軍を支援、専門知識を提供=英国防省 2022年10月18日 15時32分
イギリス国防省はこのほど、イギリス軍の元パイロットが大金に釣られ、中国軍に専門知識を渡していたことが明らかになったと発表した。政府は、こうした元パイロットに対し、機密情報に関する警告を発した。英国防省の報道官によると、中国人民解放軍の訓練に、最大で30人の元イギリス軍パイロットが参加したという。一方、パイロットの訓練や採用はイギリスの現行法には抵触しないものの、同国を含めた各国がそうした活動を阻止しようとしていると話した。西側の関係者は、中国によるパイロットのヘッドハンティングは現在進行形で続いており、最近になって強化されたと指摘した。この情報筋は、「元パイロットには大きな利益が提示されている。金銭が大きな動機になっている」と説明。年収は23万7911ポンド(約4000万円)が提示されたと考えられる、と話した。退役した元パイロットは中国に対し、西側の軍用機やパイロットの運用方法に加え、台湾などをめぐる紛争時に重要となる情報の理解を助ける仕事に従事しているという。情報筋は、「これらの人々は、そうした知識を伝えていくにはとても魅力的な人たちだ。中国軍の空軍の戦術と能力を開発するために、豊富な経験を持つ欧米のパイロットが必要とされている」と指摘した。
「採用活動が大幅に活発化」
イギリス政府は2019年に、少人数の元パイロットらが中国軍に採用されたことを把握。その時は個別の事案として対応した。新型コロナウイルスのパンデミックで中国への渡航がほぼ不可能になったため、中国軍のこうした活動は一時減ったものの、現在はまた増えており、警告に至ったという。西側情報筋は記者団に対し、「採用活動が大幅に活発化している」と語った。現役のパイロットも標的にされているが、誰も応じていないと考えられるという。
イギリス軍では、王立空軍(RAF)に限らずさまざまな部隊で、パイロットが高速ジェットやヘリコプターの操縦を行う。こうした退役した元パイロットは、「タイフーン」や「ジャギュア」、「ハリアー」、「トーネード」といった戦闘機の操縦経験を持つ。ステルス戦闘機「F-35」のパイロットはこの活動に関与していないとみられているが、中国は興味を持っているとされる。中国に採用されたパイロットには、50代後半の者や、退役からしばらくたっている者もいるという。イギリスだけでなく、同盟諸国のパイロットも標的にされている。
当局によると、パイロットらは仲介人を通じてヘッドハンティングされている。また、南アフリカにある特定の航空学校(TFASA) が関わっているという。
中国に採用されたパイロットらが、秘密保護法に違反したり、何らかの罪を犯したという証拠はない。今回の警告は、活動阻止を目的とするとともに、現役のパイロットや航空業界のパートナーに対し、機密度の高い情報を守る義務があると勧告するためのものだ。
英国防省の報道官は、「中華人民共和国の人民解放軍兵を訓練するために、英国軍の現役パイロットや元パイロットをヘッドハンティングしようとする中国の採用計画を阻止するために、断固とした措置を講じる」と述べた。
「現役退役を問わず、全ての軍関係者は秘密保護法の対象となっている。我々は国防
豪軍、元パイロットが中国で訓練役に採用との報告で調査=国防相
[シドニー 2022年10月19日 ロイター] - オーストラリアのマールズ国防相は、オーストラリア軍の元パイロットらが中国で訓練役を引き受けているとの報告を軍が調査していると発表した。
声明で、元オーストラリア軍パイロットが、中国で運営されている南アフリカの飛行学校に採用されているという報告の調査を国防省に要請したと発表。「自国に尽くすより、外国から支払われる給料に魅力を感じる人がいると聞けば、私は深い衝撃を受け、動揺するだろう」と述べた。
これに先立ち、英政府は2022年10月18日、中国が自国の軍を訓練するために、英国軍の現役パイロットや元パイロットを雇うのを阻止するための措置を講じると発表。国家安全保障を理由に法的措置が可能だとした。
BBCは、最大30人の英軍元パイロットが中国人民解放軍の兵士を訓練するために中国に渡航したと報じた。
英国防省はツイッターで、中国での訓練に関与した英国人パイロットは、公務機密法の下で起訴される恐れがあると伝えられているとし、国家安全保障法案によっても起訴される可能性があると投稿した。
台湾有事に備え戦争準備を進めるオーストラリア、在日米軍基地へのF/A-18E/F派遣も視野に 2021.04.19
オーストラリア政府は中国による台湾の武力統一=つまり米国と中国が台湾を巡って武力衝突することを想定した戦争準備を前例のないスピードで進めていると報じられている。
台湾有事に備え前例ないスピードで戦争準備を進めるオーストラリア
豪メディア「Australian Financial Review(オーストラリアン・ファイナンシャル・レヴュー)」は16日、政府内部では台湾を巡って米中が武力衝突した際にオーストラリアが取るべき行動の規模と範囲について急速に議論が進んでおり、コリンズ級潜水艦、対潜哨戒機P-8A、空中給油機 A330MRTTの派遣やグアムや日本の米軍基地に豪空軍のF/A-18E/F部隊を展開させることを検討中で、さらにオプションとして最も政治的リスクが高い米空母打撃群へのホバート級駆逐艦派遣も浮上しているらしい。この様な政府の動きについてAFRは「台湾を巡って米中が武力衝突すれば必ずオーストラリアは貢献を求められる」と説明しており、政府内部では懸案だった太平洋安全保障条約(アンザス条約)の取り扱いについての議論も進められているとAFRは報告している。
1951年に締結されたアンザス条約の第4条は太平洋上の脅威に加盟国(米国、豪州、ニュージーランド)が共同対処することを義務付けており、これが台湾有事の際にも自動的に適用され政府が軍を派遣するための法的根拠になり得るのかについて議論が進められており、過去20年間で最大の貿易相手に浮上した中国に対するオーストラリアの立場が決定的に転換されたことを示す事例だ。中国を2004年に訪問したオーストラリアのダウナー外相は「アンザス条約は象徴的なもの」と語り当時のブッシュ政権から説明を求められ「台湾を巡る米中の武力衝突が発生しても米国を自動的に支持しない」と言って米豪間で摩擦を引き起こしたアンザス条約を再び持ち出してきたこと事態が皮肉なのだが、反戦を掲げる野党の労働党や支持基盤である豪労働組合がこれに同意するかは謎だ。
ただAFRは普段は反戦を支持する労働党や労働組合も大規模な戦争や紛争が発生する度、現実的な対処(反戦感情を抑えて脅威に対する対処を支持するという意味)を支持してきた実績があるので現・自由党政権は労働党からの支持が得られると踏んで台湾有事へのアンザス条約自動適用を持ち出してきたのだろうと指摘しているのが興味深い。
どちらにせよオーストラリア政府が前例ないスピードで戦争準備を進めているのは中国による台湾の武力統一が今後6年以内、あるいはもっと早く実行に移される可能性を米軍上層部が公に示唆しているためで日本も政府や防衛省が安全保障関連法に基づく支援を水面下で検討中らしいが、果たして日本はオーストラリアのように野党の強力を得て具体的な対応策や法的根拠等の整備が素早く整うだろうか?
個人的には日本周辺の「現実的」な危機に最大野党の立憲民主党がどのように向き合うのか注目している。
中国政府の「キツネ狩り作戦(Operation Fox Hunt)」
焦点:中国の海外「キツネ狩り作戦」、汚職官僚の追跡に変化
2015年11月10日、中国の汚職対策当局のトップによれば、中国は、国内で汚職を告発されて国外に逃亡している者をグローバル規模で追跡する作戦を変更したという。写真は北京の天安門広場。9月撮影(2015年 ロイター/Jason Lee)
捜査官を海外に派遣して容疑者を追跡する中国政府の手法に対して、各国から抗議の声があがっているためだ。
海外に逃亡した中国の汚職容疑者の送還作戦を担当する劉建超氏は9日、ロイターとのインタビューに応じ、中国政府は諸外国の政府との協力を強化しており、今後は相手国による承認がない限り、帰国するよう容疑者を説得するための当局者派遣を慎むと述べた。
中国は、「キツネ狩り作戦」と呼ばれる汚職対策キャンペーンのもとで今年600人以上の汚職官僚を海外で追跡し、国内に連れ戻している。劉氏が「大変な任務」と称する、根深い汚職に対する広範な摘発作戦の一環である。
国際刑事警察機構(インターポール)中国国家センター局が4月に発行したレッドノーティス(国際的な逮捕令状に最も近い文書)に記載された上位100人の容疑者のうち、17人が本国送還されたという。
法執行面での協力体制を改善するためイギリスを訪れた劉氏は、「さまざまなレベルの中国当局としては、訪問先の国に対して害を及ぼす意図は実際にはなかったものの、苦情を受けたことで、任務の進め方に改善の余地があることを認識した」とロイターに語った。
「そこで今、関係各国の当局と協議し、支援と理解を求めるとともに、相手国の法的手続、ルールを遵守することをはっきりと告げているところだ」と同氏は言う。経済犯罪で逃亡した容疑者を本国送還するなかで中国政府が受けた抗議を率直に認めるのは異例のことだ。
<「手ごわい」任務>
北京駐在の西側各国の外交官は、中国が海外に捜査官を派遣して帰国するよう容疑者を説得していることに各国政府は激怒しており、中国が各国の協力を望むのであれば、公明正大に法的手続と現地の裁判所を活用しなければならない、と話している。
なかでも米国は、中国の捜査官が米国内で逃亡者に対して帰国するよう圧力をかけていると主張し、中国に警告を送っている。
西側諸国は、中国との身柄引渡協定の締結に二の足を踏んでいる。その原因の一端は、中国の司法制度に対する懸念である。人権団体によれば、中国当局は拷問を行っており、汚職事件では死刑が行われることも珍しくないという。
2012年末に中国共産党のトップに就任して以来、習近平国家主席は汚職の取締りを推進してきた。それ以来、数十人の高級官僚が調査の対象となり、あるいは投獄されている。
中国政府は、汚職の容疑者を中国に連れ戻す作戦の進捗について定期的に最新情報を提供しており、ときには数十人の官僚がまとめて送還されたとの発表もある。
だが、汚職が疑われる官僚をその資産とともに中国が海外から連れ戻すことは困難で、汚職との戦いは難航している。
国家腐敗予防局の副局長を務める劉氏は「依然として、手ごわい任務だ」と話す。劉氏は党の中央規律検査委員会内の国際協力部トップでもある。
いまだ海外に留まっている対象リストのなかに楊秀珠容疑者がいる。中国東部の浙江省で建設局副局長を務めた楊容疑者は汚職の告発を受けており、米国の入国管理当局に身柄を保護されているが、亡命を申請している。
同容疑者の弟である地方官僚の楊進軍は9月に中国に送還された。これは中国が米国から容疑者を取り返すことに成功した最初の例である。
<円滑な協力>
劉氏は、習国家主席の公式訪問を受けたイギリス政府が、中国とのあいだで身柄引渡協定を締結することを期待しているという。「法執行に関してさらに円滑に協力していくことは、中国、イギリス双方にとって本当に利益になる」と同氏は語る。
劉氏はさらにインターポールのレッドノーティスで指定されたうち3人がイギリスに滞在しているという。うち1人に対しては帰国するよう説得が行われている。合計何人の官僚が国外で追跡されているのか、またこれまでに回収された資産の額については、明らかにしなかった。
劉氏は、容疑者の追跡は政治的動機によるものではないかとの懸念を一蹴し、「汚職に手を染めた者はすべて我々の敵であり、最後の1人まで司法に引き渡し、彼らの犯罪について裁判にかける」と断言する。
習国家主席は反汚職の戦いを、政府・党官僚の私生活にまで拡大し、ゴルフから暴飲暴食まで禁止行為としている。
劉氏によれば、中国ではゴルフは贅沢な娯楽であり、民間のクラブで18ホールをプレーするには150ドル(約1万8500円)以上かかる場合もあるという。官僚の多くが稼ぐささやかな給与に比べれば高額な出費だ。
「特定の娯楽云々の話ではない。政府官僚の振る舞いはどうあるべきか、ということだ」と劉氏は言う。
(原文執筆:Elizabeth Piper, Sarah Young and Paul Ingrassia)
歓迎ムード一色だが台湾TSMCの進出で加速する日本の頭脳流出 知識移転の危険性
東アジア「深層取材ノート」(第108回)
2021.10.17(日)
近藤 大介
それは2021年10月14日、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)の第3四半期のオンライン決算報告の席上で、おしまいに唐突に発表された。第3四半期の売上高が、NTベースで前四半期比11.4%増、ドルベースで12%増となったこと、売上総利益率が前四半期比1.3ポイント増の51.3%となったことなどが誇らしく報告された後、魏哲家(C.C.Wei)副董事長兼CEO が、こう述べたのだ。
「いまから日本での工場計画についてお話ししたい。わが社は、業界をリードする技術、世界最大の生産能力、効率的で費用対効果の高い生産、そして顧客へのよりよいサービスを提供するという競争優位を拡大し強化するため、製造拠点を広げている。わが社の世界規模の生産拠点拡大戦略は、顧客のニーズ、ビジネス上の機会、営業効率、経済コストの考慮に基づいている。投資先の価値・リスク調査を行った後、取締役会の承認を得て、日本に特殊技術の工場を建設する意向であること を発表した。このプロジェクトには、われわれの顧客と日本政府の双方から支持をいただく力強い関与を受けた。この工場は、22~28ナノメートルの技術を使う半導体ウェハー工場である。2022年に着工し、2024年の年末に始動する予定だ。詳細については、取締役会の承認を得てから提供していく」
巨額の支援金をつけ国を挙げての大歓迎
この魏CEO がサラリと語った発言が、日本では大ニュースになった。翌日の『日本経済新聞』は1面で大きく掲載。岸田文雄首相は2021年10月14日、衆議院解散の大変多忙な一日だったにもかかわらず、夜の記者会見でわざわざこの件に触れてコメントした。
「最先端半導体の製造をほぼ独占する台湾企業の日本進出が本日発表されました。これにより、わが国の半導体産業の不可欠性と自律性が向上し、経済安全保障 に大きく寄与することが期待されます。TSMCの総額1兆円規模の大型民間投資などへの支援についても経済対策に盛り込んでまいります」
岸田首相は「新しい資本主義」を標榜し、それを推進するため、「総額1兆円規模の大型民間投資などへの支援」を行うとしている。報道によれば、その第1号の目玉として、TSMCへの大型支援(時事通信によれば4000億円)を行い、熊本のソニー工場脇に巨大な半導体工場を建設する という。同日、萩生田光一経産相も、こう述べた。
「率直に歓迎します。半導体の国内生産基盤を整える ことは、わが国の将来を考えた時に極めて重要です。しっかり方針を定め、対策を考えていきたいと思います」
こうした日本を挙げての歓迎ぶりに、私は違和感を覚えた。
中国は半導体産業に27.5兆円を投入 している。日本が勝てる可能性はあるのか。かつての液晶技術の流出、半導体のように衰退するのではないか?
30年前、世界の半導体市場を席巻したのは日本企業だった
それは主に2点だ。まず第一に、日本の半導体産業は、一体どこへ行ってしまったのか?
いまから30年前の1991年の世界半導体メーカー売上高ランキング を見ると、1位がNECセミコンダクターズ、2位が東芝セミコンダクター、5位が日立セミコンダクターズ、7位が富士通セミコンダクターズ、8位が三菱電機セミコンダクターズ、9位が松下電器セミコンダクターズ。何と、ベストテンに日本企業が6社も入っている のだ。台湾企業など、韓国・香港・シンガポールと合わせて「4頭の小竜 」と呼んでいたほどで、上位20社にも入っていない。
それが昨年2020年になると、日本企業でのランキングで言えば、1位がキオクシア(旧東芝メモリ)、2位がソニーセミコンダクターソリューションズ、3位がルネサスエレクトロニクスだ。ところが世界ランキングで見ると、それぞれ11位、14位、19位に過ぎず、日本企業はベストテンにさえ入っていないのだ。
半導体は、「産業のコメ」と言われ、先端産業の中核をなす ものだ。そのため、半導体産業における衰退は、そのまま「日本の衰退」を物語っていると言ってよい。 経産省が今年2021年6月にまとめた『半導体戦略』という83ページのペーパーには、日本の半導体産業が挫折した過程や原因などが分析されているが、読んでいて虚しくなってくる。
逆に、台湾のTSMCは、ファウンドリー(半導体受託生産会社) として着実に進歩を遂げ、同社のHPによれば、いまや281種の製品技術で510社の顧客に1617種類の半導体製品を提供 している。総従業員は5万6000人。 今年1月~9月の売上高は、前年同期比17.5%増の1兆1492億2600万台湾ドル(約4兆6800億円)に上る。
驚くべきは、世界での市場占有率で、昨年は59.40%!! まさに「TSMCがいないと世界のスマホが作れない」状況なのである。詳しくは拙著『ファーウェイと米中5G戦争』(講談社+α新書)で述べたが、「米中新冷戦」は結局、台湾をアメリカと中国のどちらが掌握するかの戦い であり、その中の重要なファクターを占めるのが、台湾の企業 、TSMC、台湾そのもの を米中のどちらが取り込むかである。しかし台湾は「独立国」ではない点が引っかかる。
熊本工場は「最先端」工場ではない
さて、もう一つの違和感は、TSMCが熊本工場で作る半導体が、22~28ナノメートル という点だ。TSMC は昨年から、5ナノメートルの半導体を、世界に先駆けて量産している。韓国のサムスンが、1周遅れくらいで追走しているが、それ以外は何周も遅れている。
上述の会見などによると、TSMCは来年2023年、3ナノメートルの半導体生産を開始し、2025年には2ナノメートルの半導体生産を開始するという。こうなると、もう世界のどの半導体メーカーもついていけず、完全にTSMCの独走状態 となる。
当然ながら、海外としては、できるだけ最先端のTSMCの半導体工場を、自国に作ってほしい。昨年2019年5月15日、TSMCが米アリゾナ州に新工場の建設を発表した際にも、当時のドナルド・トランプ大統領が猛烈な攻勢をかけた。これが利いて、最先端の5ナノメートル の工場を建設し、2024年から量産態勢に入ることになった。
TSMC は、中国の南京にも工場を建設 しており、2018年末から量産態勢に入った。そこで主に作られているのも、12ナノメートルと16ナノメートルの半導体 である。
ところが 日本で生産するのは、28ナノメートル なのである。「日本はガソリン車の国 だから、これくらいの車体用半導体で十分でしょう」ということなのか。
日本進出と合わせて技術者大募集中
台湾の有力誌『天下雑誌』(2021年10月14日付)は早くも、「TSMCは長年欲しかったソニーのウェハー積層化技術を手に入れる」と書いた。
ソニーが TSMCに、 積層化技術を 売り渡すか、若しくは盗まれたら、日本の半導体は、 また 衰退してしまいかねない。
TSMCのHPを開くと、「最新情報」として、日本で働く技術者の募集を、大々的に行っている。「優秀な日本の技術者の皆さん、こっちの水は甘~いよ。高給与で来てください。」と誘っているのである。
日本が三顧の礼を尽くしてTSMCに工場を作ってもらい、その結果としてソニーの技術を取られ、おまけに優秀な日本人技術者の頭脳流出が加速したとなれば、これはもう日本にとって、悲劇と言ってよいのか喜劇と言ってよいのか分からない。
建材から半導体、そしてスパイダーマンのおもちゃまで。流通とサプライチェーンが滞り、アメリカも日本もドイツも世界中でさまざまな業界が困難に直面している。そして、その国の知的財産権、イノベーション、技術開発が今後も中国へ渡っていくようだ。
その要因は新型コロナウイルスのパンデミック以外にもあるようだ。
世界中を悩ませているサプライチェーンは、中国、台湾の中華族が握っている。中国は「人口世界一」なのだから。
2022.12.9 ガイアの夜明け
2022年12月9日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、ガイア20周年企画 第9弾「スクープ!ニッポン半導体 復活の道」。
スマホ、自動車、家電...あらゆる製品に使われる「半導体」。世界的な供給不足で極秘に始まった官民一体の「次世代半導体」開発の裏側を独占取材した。
新会社「ラピダス」誕生の裏側を完全スクープ! ニッポンは"次世代半導体"で巻き返す!
スマートフォンの中を見たことはあるだろうか。プロに分解してもらうと、スマホの心臓部のチップ1つ1つがすべて半導体、通信用の半導体はアメリカ製で、データを保存する半導体は日本製、メインの半導体を含む多くを台湾がつくっている。
自動運転など、将来の技術には欠かせない次世代の先端半導体は、これまで以上に開発競争が激しくなる。
先月、日本経済にとって画期的な発表があった。新たな半導体の国産化を掲げる新会社「ラピダス」の誕生だ。この会社には、「トヨタ」や「NTT」「ソニー」など、日本を代表する8社が出資。動いたのは経済産業省で、成功のカギを握るのは、因縁の相手となるアメリカとの協力だ。
「ガイア」は「ラピダス」誕生までの日米極秘交渉の裏側を独占取材。新会社の誕生を決定づけた100日間に密着した。
今年5月に開かれた日米首脳会談。そこで決まったことのひとつが、互いにチームを作り、次世代半導体を協力して開発していくことだった。
今、世界はスマホなどに使う半導体の多くを台湾の「TSMC」に依存しており、そのシェアは1社だけで世界の約6割を占めるほど。しかしその状況に、暗い影が落とされていた。
「(台湾に対し)決して武力行使の放棄を約束しない」と、中国・習近平国家主席。
中国が台湾の半導体にも手をかけるのか...。日本とアメリカは、ともに半導体の確保に迫られていた。
それから5カ月、「ガイア」は水面下で、経済産業省への取材を続けてきた。
半導体政策を所管する商務情報政策局では、5月の日米首脳会談を経て、次世代半導体政策を手がけるチームが編成された。そのリーダーが、経産省 商務情報政策局 金指壽課長だ。「ガイア」が取材した日の6日後、金指さんは、アメリカで極秘の半導体交渉をすることが決まっていた。
「まず、日本の最先端の半導体のロジックビジネスがグローバルの世界に戻ってくる。そうした強い意志をアメリカの政府関係者、産業界としっかり共有することが一番の目的になります。正直、今がラストチャンスだと思っています」。
1980年代、日本は半導体の生産で独走していた。そこでアメリカが仕掛けたのが、日米半導体協定。これにより、日本は海外メーカーから20%を輸入するよう求められ、50%を占めていた日本の世界シェアは10%にまで落ち込んだ。
アメリカがどこまで日本と協力して半導体の開発に乗り出してくれるのか、金指さんに一抹の不安がよぎる。
10月10日、ニューヨーク。金指さんとチームが向かった場所には、日米交渉に加わる主要メンバーが集まっていた。中心となるのは、新会社「ラピダス」の会長、東哲郎さん(※取材時は就任前)。東さんは、世界3位の半導体装置メーカー「東京エレクトロン」の社長に46歳で就任、売上高2兆円を超える巨大企業に成長させた業界の重鎮だ。
「私は以前から、日本で半導体の領域で最先端部分が欠落しているということに対して非常に危機感を持っていました」。
明日からの極秘交渉に向けた作戦会議は、夜遅くまで続いた。
2022年10月11日、交渉初日。政府代表団が最初に向かった先は、ニューヨーク郊外にある「IBM」の研究開発拠点。「IBM」は現在の最先端、超微細の2ナノメートルの半導体の開発に成功。日本は、家電などに使う40ナノ台の半導体しか作れないとされ、世界から10年以上遅れていると指摘されている。
日本が巻き返しを図るには、「IBM」が持つ先端技術が不可欠だが、実はこの交渉には重要な伏線があった。
訪米前、東さんを訪ねると、こんな経緯を明かしてくれた。3年前、東さんに電話をかけてきたのが、「IBM」の幹部、ジョン・ケリー氏。最先端の2ナノメートルの半導体開発にめどがついたので、日本に製造を委託できないかと、相談してきたというのだ。
その後、東さんは経産省などと協議を重ね、この日を迎えることができたという。
会議は2時間ほどで終わり、「IBM」は日本に最先端技術を提供することに大筋で合意した。
「2ナノは僕らやってなかったわけだから、技術的には学んでいくことが多いわけだけどね。いいチャレンジじゃないですか」と東さん。
10月12日、首都ワシントン。この日、日本にとってもう一つ大きな正念場が待っていた。交渉相手はアメリカ政府。バイデン政権は、半導体を安全保障上の重要な戦略物資と位置づけており、特に先端半導体は、中国へ輸出規制するなど神経を尖らせている。
「IBM」からの先端技術の提供にめどをつけたとはいえ、アメリカ政府の承認がなければ前に進まない。
交渉の主戦場となる商務省に到着したのは、東さん、「NTT」の澤田純会長、「NEC」の遠藤信博元会長。さらに、半導体業界の企業の幹部たちが交渉メンバーに加わった。
そんな一行を待ち受けていたのは、アメリカ商務省 ジーナ・レモンド長官。この時、どんな交渉が行われたのか...番組では、取材をもとに再現する。
10月14日、朝。東さんたちが次に向かった先は、シリコンバレーにある「グーグル」本社と、半導体大手の「インテル」。新会社「ラピダス」が作り出す新しい半導体を、早速アピールする。こうしたアメリカを代表する巨大企業が、なぜ、東さんたちの話を聞いてくれるのか。企業の幹部が揃って出迎えるのには、ワケがあった。
「東さんは、半導体業界で、今日も"レジェンド"と呼ばれていました。普段は優しい感じですけど、ビジネスモードになったら全然違うなというのはすごく感じます」と金指さん。
今年73歳を迎えた東さんは、交渉のリーダー役として5日間に及ぶ日程を終えた。
「日本のこれからの世代の人たちが、何とか将来に対して夢を持てるということを考えていった場合、連携とかコラボレーションをいかにうまく進めるかが非常に重要だと思っているわけ。日本人は弱肉強食に弱いんだよね。そこらをうまく連携できるような道筋ができてくれば一つの活路になるわけだから。そういう意味合いでは、僕は、いろんなことで実現したいなっていう...」
東さんは、「ラピダス」の成功に並々ならぬ決意を秘めている。
日米が最先端の半導体で連携する大きな理由
台湾に、世界経済の動向を左右する巨大企業、半導体生産で世界トップの「TSMC」がある。
特に、ロジック半導体と呼ばれる先端半導体では約6割のシェアを握っており、2021年の売上高は日本円で約6兆6000億円、利益は約2兆4700億円を記録した。
「TSMC」の本社がある新竹市の目と鼻の先、海を挟んだ中国福建省沿岸には、人民解放軍の空軍基地がある。その距離約250キロで、東京・名古屋間よりも近い。
「台湾有事に備える」。台湾における地政学リスクの高まりは、日米が最先端の半導体で連携する大きな理由だ。
1987年に創業した「TSMC」は、半導体の設計には関わらず、生産に特化する「ファウンドリー」と呼ばれる企業。あらゆる設計会社から生産を受け付け、技術を蓄積してきた。
メディアの個別取材はほとんど受けないが、今回「ガイア」が単独取材に成功。アジアとヨーロッパを統括するクリフ・ホー副社長 が、日本での新たな戦略について初めて答えた。
そして、将来のライバルになりかねない日本の「ラピダス」について、クリフ副社長の反応はー―?
半導体の巨人「TSMC」
「TSMC」とは、設計は手掛けず生産だけをやる「ファウンドリー企業」
「ラピダスのニュースの件は知りません。」「あなた方の目的は何ですか?」
記者が自分のPCで「ラピダスのニュースを見せて説明しようとしても」、社長は見向きもせず、「あなた方の目的は何ですか?」と、怒りの表情をみせた。
「私の知らないことを聴くな!」
「半導体製造の巨人「TSMC」が日本侵略?進出?」 「叩き殺してやらないと」二階俊博・元幹事長がTBSの番組収録で暴言 OAでは削除か
2022年12月23日
自由民主党の二階俊博・元幹事長が、2022年12月23日に行われたTBSの番組収録の中で暴言を放っていたことが週刊ポストの取材でわかった。本日20時からの放送では、当該部分は削除される方向で検討が進んでいるという。
舞台となった番組はCSの「TBS NEWS」及びYouTube「TBS NEWS DIG Powered by JNN」チャンネルで放送される『国会トークフロントライン』。政治家をゲストとして呼び、元「時事放談」プロデューサーのTBS政治担当解説委員・石塚博久氏が政策や政局などについて聞くことで知られる政治ニュース番組だ。ちなみに二階氏は2022年9月にも同番組に登場したことがある。2022年12月23日20時からオンエアされる番組は同日11時30分から事前収録が行われた。テーマは
防衛増税と低迷する内閣支持率などについてだった が、そこで、2022年11月上旬にTwitterなどで流れていた“二階氏がコロナに感染して死亡した”という内容のデマについて質問が出た。政治担当記者の間で出回ったメモによると、収録で二階氏はこう発言したという。
「だいたい、そういうことを流した者がいるとしたら、それを先に叩き殺してやらないと承知ならん。 フェアにやらないといけないときに人がどうこうだ、病気だ、すっころんだ、死んだって」
さらに、当時「大騒ぎだった」ことについて重ねて尋ねられると、「その前にそういうことを言ったヤツを先に引っ張り出さないといけない 」と発言したという。
前述のデマが流れた直後の2022年11月10日に行われた和歌山県知事選の出陣式では、二階氏は開始30分ほど前に会場に到着。デマを吹き飛ばした。「フェアにやらないといけないとき」というのは、知事選のことを指すのだろう。
確かにデマは許されることではないが、「叩き殺してやらないと 」といった発言は政治家としてふさわしくないことは明らかだ 。
TBSも慌てたようで、担当者から二階氏が会長を務める派閥・志帥会の番記者向けに「国会トークフロントラインでの二階会長の一部発言について、二階事務所より『使用は控えてほしい。各社にもその旨を伝えてほしい』と連絡がありました」とメールを送り、オンエアでは「削除する方向で検討」しているという。
中国には「大きなうそがある」 検閲システム元開発者の告白
2022年10月16日
米カリフォルニア州パロアルトで写真撮影に応じるチェン・ジャジュンさん(2022年9月23日撮影)。(c)Josh EDELSON / AFP
【2022年10月16日 AFP】米カリフォルニア州シリコンバレー(Silicon Valley)在住のチェン・ジャジュンさん(29)は中国の地方都市で暮らしていた10代の頃、インターネットの知識を駆使し、国内で発禁処分を受けたドキュメンタリー作品を見た。この作品は、民主化運動が武力で弾圧された天安門(Tiananmen)事件がテーマだった。
それから10年後。チェンさんは、中国のサイバースペースを取り締まる政府の検閲マシンの一部となり、中国共産党が国民から隠したがる事柄の拡散阻止を担うようになっていた。「働き始めた当初は仕事は仕事と捉えて、深く考えてはいませんでした」と話す。
「でも心の奥底では、自分の倫理観に反しているのは分かっていました。それに、こういう仕事をずっと続けていると(中略)葛藤がどんどん強くなってくるんです」
チェンさんのように、中国のプロパガンダ機関で働いていた経験を公表する人は極めて少ない。
■天安門事件のドキュメンタリーに衝撃
チェンさんは1993年、広東(Guangdong)省南部で生まれた。パソコンに初めて触ったのは小学生の頃、父親が自宅に一台のパソコンを持ち帰った時だった。
インターネットを通じて「全く新しい世界が広がっている気がしました」と当時を振り返る。中国政府の初期のネット検閲は徹底しておらず、仮想プライベートネットワーク(VPN)を使えば、表立って話題に上ることのないテーマや情報にもアクセスできた。
そうした禁断の果実の中に、1989年6月に天安門広場で起きた学生たちの抗議運動を題材にした約3時間のドキュメンタリー映画『天安門(The Gate of Heavenly Peace)』があった。
チェンさんが目にしたのは衝撃的な弾圧だった。
「極めて大きな意味を持つ歴史的な出来事なのに、私たちは誰からも教わっていませんでした。中国のインターネットでは検索することもできません。(天安門事件に関する)コンテンツはすべて削除されているのです」
「とても大きなうそがあるように思いました。さまざまな歴史が隠蔽(いんぺい)されていると」
■ティックトックの運営会社に就職
チェンさんは、同世代の優秀な中国人の例にもれず留学し、エストニアで経営学の学位を取得して帰国。ITの知識を買われ、動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」や同アプリの中国版「抖音(Douyin)」を運営している中国のIT大手バイトダンス(ByteDance、字節跳動)に職を得た。
「最初はわくわくしました」とチェンさん。「バイトダンスは、国外で事業を成功させている中国唯一の企業ですから」
知的好奇心を刺激される仕事で、月給も北京の平均を大幅に上回る4000ドル(約59万円)だった。
■検閲システムの開発に従事
チェンさんは、バイトダンスが不適切と考えるコンテンツを自動的にフィルターにかけて削除するシステムの開発チームに所属していた。 人工知能(AI)で画像や音声、書き込みをチェックし、規制対象となっている表現を削除する仕組みで、システムで問題が検出されると、大勢いるオペレーターの一人が確認し、問題の動画を削除するかライブ配信を停止するようになっていたとチェンさんは説明した。
対象となるコンテンツの大半は、どのソーシャルメディア企業でも不適切とみなされるような内容で、自傷行為やポルノ、無許可の広告などだったが、中には政治的にデリケートなものもあった。
チェンさんは、常に規制対象となっていたのは、戦車や黄色い傘、ろうそくなど、香港の民主化運動を象徴する画像、あるいは習近平(Xi Jinping)国家主席や中国共産党の指導部を批判する内容だと説明した。
チェンさんによれば、バイトダンスは中国のサイバースペース管理局から指導を受けていたが、あえて明確には示されていない規則を破らないように慎重を期し、自主規制していた。
「中国では、境界線が曖昧なんです。何が政府の怒りを買うかはっきり分からないので、こちらから厳しめに検閲することもあります」とチェンさん。バイトダンスには「石橋をたたいて渡っているようなところがあった」と評した。
■新型コロナと武漢の医師の死
2020年初め、武漢(Wuhan)市で新型コロナウイルスの流行についてソーシャルメディアで早期に警鐘を鳴らした医師がいた。李文亮(Li Wenliang)氏だ。 だが、李医師は「デマ」を流布したとして当局に処分された。
「李文亮博士が投稿した情報は検閲され、テレビのプロパガンディストたちは、この医師が誤った情報を流していると騒ぎ立てました」とチェンさん。
しかし、李医師自身が新型ウイルスに感染して死去すると、中国のネットユーザーの間に怒りが広がった。
「誰もがツイッター(Twitter)や微博(ウェイボー、Weibo)で最新ニュースをチェック」しながら、うわさと当局の否定の間で真実を追い求めていたとチェンさんは説明した。
「多くのツイートや微博の投稿が削除」され、チェンさんも「『私たちが求めているのはニュースの自由。検閲はもう要らない』と投稿したところ、微博アカウントを凍結されました」と言う。「その時に思ったのです。私も、この検閲機構の一部だったんだと」
「李医師が亡くなった夜、もうこれ以上やっていけないと思いました」と続けた。
チェンさんは仕事をやめ、米ノースイースタン大学(Northeastern University)シリコンバレー校の大学院課程に入学を申し込んだ。
■勇気ある理想主義者
チェンさんはカリフォルニアにいれば安全だと感じているが、中国にいる両親からは発言に気を付けるように言われている。「でも、この問題に関しては親の言うことを聞くつもりはありません」
「少なくとも10年は中国には帰れないと思っています」
だが、検閲との闘いは「民衆の闘い」であり、代償を払う価値はあるとチェンさんは言う。「私たちは、中国で何が起きているのか、認識を高めるべきなのです」
習主席の3期目続投は確実視され、チェンさんの心は重い。
「短期的に見れば、誰もが悲観しています。でも、中国の未来を長い目で見れば、みんな楽観しているのではないでしょうか」
「歴史を振り返ると、いざというときに改革を起こす勇気ある理想主義者が必ずいます」 (c)AFP/Huw GRIFFITH
水素燃料電池バス212台 北京冬季五輪に登場予定
2021年9月19日 9:28 発信地:中国 [ 中国 中国・台湾 ]
【9月19日 CGTN Japanese】北京市経済情報化局が14日の記者会見で明らかにしたところによりますと、北京市・天津市(Tianjin)・河北省(Hebei)は今後4年間で、2022年北京冬季五輪開催期間中の旅客輸送バスを含む燃料電池自動車の活用場面を体系化するということです。モデル車両の活用規模は5300台以上になり、燃料電池自動車の主要部品と装備製造産業群を構築する計画です。
北京市・天津市・河北省は、中国第1陣の燃料電池自動車のモデル都市群として、全産業チェーン協同の燃料電池自動車の自主開発産業システムを構築し、多元化した相互補完の燃料電池自動車のモデル的な活用場面を体系化しています。
次世代エネルギーとなる水素エネルギーも光触媒がかかわっている。日本政府は知らないが藤嶋教授などの学者は知っているのだ。
化石燃料、原子力エネルギーの更に上をいく次世代エネルギーのキーマンだ。 85歳、藤嶋教授は中国に骨をうずめるつもりで中国に渡ってしまった。
中国衛星ナビゲーションサービス産業 北斗システム応用で急速発展
2021年10月12日 18:04 発信地:中国 [ 中国 中国・台湾 ]
【10月12日 CGTN Japanese】中国独自の衛星測位システム「北斗」の活用に関する大会が10日、中国中部の河南省(Henan)鄭州市(Zhenzhou)で開かれました。
中国の衛星ナビゲーションサービス業界は2020年に急速な発展を遂げ、総生産額も急増しています。北斗システムの応用を中心とする衛星測位・位置サービス産業は、2020年の全体生産額が2019年と比べて約16.9%増の4033億元(約7兆789億円)に達しました。
中国進出企業に軍組織“侵食” 「軍民融合」で日本企業を虎視眈々…技術流出など経済安全保障の危機 ドイツ大手製造業内にも
10/23(土) 16:56配信
130 夕刊フジ
【日本復喝】
衆院選(2021年10月31日投開票)では、新型コロナ対策や経済政策、外交・安全保障政策などが焦点で、自民党と公明党の連立与党と、立憲民主党と共産党を中心とする左派野党、第3極の日本維新の会などが競り合っている。岸田文雄首相は、経済活動と安全保障を重ね合わせて、日本の独立や生存、発展を確保する「経済安全保障 」を打ち出しているが、軍事的覇権拡大を進める中国を意識しているのは間違いない。こうしたなか、中国に進出した日本の製造メーカーの合弁企業内で、民兵・予備役の軍事訓練や政治教育を行う「人民武装部 」が活動していたことがようやく分かってきた。日本企業は大丈夫なのか。産経新聞論説副委員長の佐々木類氏が迫った。
◇経済安全保障という言葉は、甘利さんが日本で初めて使った言葉だ。
「わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増すなか、領土、領海、領空、国民の生命と財産を断固として守り抜く」「防衛力の強化、経済安全保障など、新しい時代の課題に、果敢に取り組んでいく」
岸田首相は2021年10月8日の首相就任演説、所信表明でこう語った。いつものの就任演説で、過去のものと比較しても目新しくはないが・・・。
やや説明不足の感はあるが、「経済安全保障」を重視する認識は正しい。 自民党は選挙公約「衆院選2021公約」にも、「経済安全保障推進法 」策定を書き込んだ。
ただ、中国は、軍事技術と経済発展を結び付ける「軍民融合 」を国家戦略と位置付け、日本企業を虎視眈々と狙っている。有事の時は、中国の法律で日本企業を中国企業に転換できるようにしつつあるのだ。
都内に本社がある大手製造メーカーが中国に設立した合弁企業内で「人民武装部 」が活動していたことが、日中関係者への取材で分かった。この合弁企業は、日本側と中国側が50%ずつ出資して約20年前に設立された。
注目の人民武装部 は、中国共産党への絶対服従を求められているほか、人民解放軍の指揮下にもある。主に、民兵や予備役の「軍事訓練」や「政治教育」など、軍事関連業務を担う。企業が所有する「資源の徴用」に応じることも義務付けられている。
「民兵」とは、中国国防法で規程された組織で、人民解放軍、武装警察と並ぶ実力組織。「予備役」も日ごろから軍事訓練を行い、民兵同様、平時も暴動の取り締まりや災害救助などの任務を負う。
問題の合弁企業内の人民武装部は昨年2020年11月中旬、「人民武装愛国主義教育活動」を実施し、同社の民兵ら30人余りが参加していた。彼らの写真も存在する。
日本側企業による管理が及ばない内部組織の存在は、企業統治のあり方が問われるだけでなく、技術流出など安全保障上の懸念もある。そもそも、中国では合弁企業内に共産党員が3人以上いる場合、党組織をつくることが義務付けられている 。
■ドイツ大手製造業内にも 広報担当者、存在を否定
この大手製造メーカーの広報担当者は、取材に対し、「(合弁企業内において)“人民武装部 ”という組織は存在しておりません。従いまして、いただいたご質問事項に関してお答えできるものはございません」と回答した。
写真の存在も指摘したが、担当者は「回答は変わりません」と語った。
中国国防法には外資企業を除外する規定はなく、人民武装部 が存在するのは日本企業だけではない。
ドイツ大手製造業内にも、人民武装部 の存在が日中関係者への取材で確認されている。在中国のドイツメーカー広報担当者も「人民武装部はない」と存在を否定した。
外資企業における人民武装部の存在は、まだ表立って公表されるケースは少ない。他社にも存在する可能性は十分ある。中国側も、外資企業や外国政府から反発を受けないよう慎重に活動を展開しているとみられる。
米国は現在、安全保障の観点から中国への輸出管理を強めている。日本企業内の人民武装部 の活動次第によっては、米国が今後、日本企業を米国のサプライチェーン(供給網)から外すなどの制裁措置を検討する可能性もある。
岸田政権は、人民武装部 の実態を調査し、「経済安全保障上のリスク」について、目配せしていく必要がありそうだ。
■佐々木類(ささき・るい) 1964年、東京都生まれ。89年、産経新聞入社。警視庁で汚職事件などを担当後、政治部で首相官邸、自民党など各キャップを歴任。この間、米バンダービルト大学公共政策研究所で客員研究員。2010年にワシントン支局長、九州総局長を経て、現在、論説副委員長。沖縄・尖閣諸島への上陸や、2度の訪朝など現場主義を貫く。主な著書に『静かなる日本侵略』(ハート出版)、『日本が消える日』(同)、『日本復喝!』(同)など。
「中国を孤立化させてはいけない」を大義名分に、 日本政府、自民党政権は、中国共産党をもう助けるな!! 論説委員長・乾正人
2021/1/1 10:00
国際 中国・台湾
40年前、大学受験で選択した外国語は中国語だった。NHKラジオの中国語講座を熱心に聞き、元中国共産党員が先生をしていた市民講座に通った成果を誇示したいという若気の至りからである(英語が苦手だったからでもあるが)。
当時、そんなばかげたことをした高校生はほとんどいなかったが、市民講座で配られた質素なテキストに載っていた「赤脚医生(最低限の医療知識で農村を巡回した医者。文化大革命時に毛沢東が奨励した)」の話は、今でも覚えている。
私は「親中派」だった
いずれ中国は米国と肩を並べる大国になり、中国語をマスターすれば何かと得だ、という打算もあったが、幼稚な高校生の夢想をはるかに上回るスピードで中国は発展した。自由と民主主義とは無縁のディストピア(理想郷と対極の世界)になろうとは、想像だにしなかったが。
夢想から目覚めさせてくれたのは、平成元年6月4日に起きた天安門事件である。中国共産党は、軍を出動させ、自由を求める市民や学生に容赦なく銃弾を撃ち込み、鎮圧した。犠牲者数はいまだ正確にはわかっていない。私は当時、就任間もない宇野宗佑首相の番記者として、一挙手一投足を追っていたが、事件について何も発信しない彼に大いに失望した。「この人は総理大臣に向いていない」と日記に書いた。
それどころか、事件当日に外務省は、西側諸国が共同して制裁措置をとることに反対する文書を作成していたことが、先月公表された外交文書で明らかになった。7月に開かれたアルシュ・サミットでも日本は一貫して制裁を緩やかにしようと立ち回っていた実態も明確になった。
ベルリンの壁が崩壊した後、東側諸国が次々とソ連のくびきから離れ、ソ連共産党の一党独裁が終焉(しゅうえん)を迎えてから今年で30年。
天安門事件を引き金として中国共産党による一党独裁体制が崩れていたとしても、何の不思議もなかった。そんな瀕死(ひんし)の共産党を救ったのが、日本だったのである。
「中国を孤立化させてはいけない」を大義名分に、いちはやく経済協力を再開したのも日本だった。
歴史は繰り返すのか
日本は戦時中も中国共産党を救っている。生前、毛沢東 は訪中した日本の要人が「日本軍が中国を侵略して申し訳なかった 」と判で押したように謝ったのに対し、いつもこのように答えたという。
「申し訳ないことはない。日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらした。皇軍がいなければ、われわれは政権を奪えなかった 」
少し説明が必要だろう。蒋介石率いる国民党軍に敗走し、延安まで落ちのびた毛沢東が息を吹き返したのは、日本軍が昭和12年に国民党軍と全面戦争に突入し、蒋介石が国共合作に踏み切らざるを得なかったからだ。敗走に次ぐ敗走で2万5千人まで減っていた共産党軍は、8年後の終戦時には120万人にまで膨れあがり、後の国共内戦に打ち勝ったのである。ことに共産党軍に引き渡された日本軍の近代兵器が勝敗の帰趨(きすう)を左右したとの説もある。つまり、戦時中は軍部が、戦後は外務省が「中国共産党を助けた」のである。
新型コロナウイルスによって世界は一変したが、中国・武漢で最初の感染爆発が起きた際、中国共産党当局による情報隠蔽(いんぺい)が、パンデミック(世界的大流行)の引き金を引いたことを忘れてはならない。
すべての個人情報 を国家が管理し、自由 を求める「危険人物」を容赦なく監獄や収容所にぶち込む。チベットやウイグルでの弾圧が、香港でも公然と行われ始めた現実から日本政府も国会も目を背け、黙り込んんでいる。常に中国を助けたいという政府の動きは今現在もあるのだ。
いま再び、中国は西側諸国の「反中同盟」を切り崩そうと日本を懐柔しようとしている。手始めが、習近平国家主席の国賓来日実現だ。彼の「中華思想」の具現化が「一帯一路」の政策であり、アイデアは「英、スペイン、ポルトガル、オランダの大航海時代の植民地政策や日本の高度経済成長期の姿」にある。
日本は、瀕死の中国共産党を2度助けた。3度目は、絶対にあってはならない。もし習近平来日 に賛成する政治家や官僚がいれば、それはまさしく「国賊」になりかねない。
未来のことかもしれないが世界貿易戦争、経済冷戦状態、人権無視と自由との戦い、・・・。日本が中国に過度に忖度することが、かつての事件だが、アメリカを「真珠湾攻撃して裏切り行為」したような「裏切り」にならない様、日本政府は中国との付き合い方、日中外交を考えなければならない。
日中経済交流の現場40年
趣旨
近くて遠い国と言われて久しい中国。巨大市場が広がり続ける中、日本の製造業は今や中国なしでは存続できないほど、その存在が重要になっている。では、中国と親しく付き合っていくためには、どのようにすればよいのか。 そのコツをこのコラムでは紹介する。筆者は日中経済交流促進の実務に40年以上深く携わってきた。その間の体験談には、中国を深く理解できるヒントが多く隠されている。(本稿は「国際貿易」紙に2010年4月13日~2011年3月29日に掲載されたものを再構成したものです)。
片寄 浩紀(かたよせ こうき)
日本国際貿易促進協会 相談役
1946年、島根県出雲市生まれ。1964年、倉石中国語講習会(現、日中学院)にて中国語の学習を開始。1968年、東京大学法学部卒業、日本国際貿易促進協会に就職。同協会にて、日中貿易と経済交流促進事業に従事。2度の北京駐在を含め、日中技術交流、展覧会、代表団の派遣・受け入れ、機関紙発行等の企画・実施等々に携わり、専務理事を経て現在に至る。
大プロジェクト、製鉄所の建設で日中協力
操り人形
中国近代化にODA供与
1980年代になると、日中関係は政治・経済両面で最良の時代となった。それを象徴するのが対中国ODA(政府開発援助) である。1979年9月、当協会創立25周年の式典参加のために来日した谷牧副総理一行は日本政府との会談で第一次円借款の供与 で合意した。第2次世界大戦での敗戦国日本による中国への償いのようなものです。東南アジア諸国にもODA を実施している。
日本側は中国側代表団に対して、記者会見の場で「感謝の意 」を表明するよう要求したが、谷牧氏は「そんなことをすれば私は帰国できない」と言って拒否したという。国交正常化時に国家賠償請求を放棄した中国にとって、日本からの借款に対し「感謝 」すれば、中国の国民感情を逆撫でする。このことを日本側は考慮しなかったのだろうか。
その後日本政府の対中円借款は、2007年に終了するまで28年間にわたり合計約3兆円が供与された。鉄道、港湾、発電所、通信などのインフラ建設にこの資金が投入 され、中国経済の近代化に大きく貢献した。最近になってようやく中国政府要人は公式の場で中国の近代化に対する日本政府の協力に感謝の言葉を表明するようになったが・・・。
2011年3月発生の東日本大震災で混乱していた2011年に韓国政府が実行したのが、「竹島にヘリが着けるためのポート建設」だった。それまでは「板張りのもので、船が接岸すのがやっとだった」ため、2012年に、日本政府が気づいたときは、もうすでにコンクリート製の立派なものが出来上がって、「竹島奪回した!」とニュースになってしまっていた。それ以後は、日本国民もあきれ果てた。「放射能が付いた農産物、魚介産物は輸入するな」と叫ぶ国、韓国が何回も「友好国 」と言ってすり寄ってくるが、日本はその言葉に答えを見いだせないでいる。本当に困っているときに助けるのが「友好国 」のはず。同じことは、尖閣諸島にも言えるのだ。中国が常に尖閣諸島の周辺に漁船団や軍艦を出し上陸の機会を狙っているのだ。南シナ海の覇権 を狙っているのだ。「31年間日中友好でやってきたODAなどの援助」を感謝している中国に対しても今後、何が起きてもいいように、あらゆる判断が正しくできるようにしておかなければならない。同じアジア内で「争い」は起きなくても、周辺を巻き込み、世界的な「争い」になり、分断して「罵りあう」ことがあってはならない。
官営八幡製鉄所と日本人技術者たち
宝山での日中協力
この時代を象徴するもう一つのプロジェクトが上海宝山製鉄所建設での日中協力である。日本の新日本製鉄の全面的協力の下で、輸入鉄鉱石を使用する臨海製鉄所を上海に建設することが合意され、1978年12月に着工した。日本の明治時代に建てられた、明治大正時代を引っ張て来た重工業の象徴、八幡製鉄所を、2000人を超す技術者と古びた本体をそのままそっくり中国に移設したのだ。しかも日本の経済学者がわざわざケインズ経済の仕組みからトヨタ自動車の「改善(カイゼン)」という概念などを中国人に1年近くかけて講義したのだ。なぜここまで中国にこびへつらい、首をたれながら、辛抱図よく中国人に指導し続けることができたのか?このプロジェクトの経緯は山崎豊子氏によって「大地の子」として小説化された。八幡製鉄所、否、上海宝山製鉄所完成までには紆余曲折があったが、上海宝山製鉄所は中国の主力製鉄所として順調に発展し、中国の隅々まで所得倍増させていった。かつての日本の高度経済成長の時代のように。日本の新幹線も同じくそのままプレゼントしてしまった。本体とともに日本の鉄道技術と新幹線システムすべてを手渡したのだ。
中国というフランケンシュタインを造ったニクソン&ヴォルデモートの魔力を授けたオバマ…米大統領の対中大錯誤
2015/11/2
一神教では創造主が宇宙や人間を造ったとするが、中国と中国人は例外の可能性も有る。神は邪悪な国家・民族を造らぬ…と言っているのではない。中国の「創造主」は米国だと、リチャード・ニクソン米大統領(1913~94年)は晩年、米紙の保守系コラムニストだったウィリアム・サファイア氏(1929~2009年)に漏らしている。
「われわれは(中国という)フランケンシュタインを造ってしまったかもしれない」
お花畑の「関与政策」
ソ連との対立は、ニクソン氏を積極的な対中支援へと誘った。以来、米大統領は8代にわたり、強弱は有るものの中国経済発展→中国社会変質→民主化…なる方程式を思い描き、お花畑のごとき《関与政策》を採り続け、中国の軍事・経済力の怪物化に手を貸してきた。理想主義者を気取る非現実主義者のバラク・オバマ大統領(54)に至っては中国を甘やかし過ぎて「強大な魔力」まで授けた。米国防総省の一部官僚・軍人は今、中国を「ヴォルデモート」と隠語で呼ぶ。ヴォルデモートは小説・映画の人気シリーズ《ハリー・ポッター》に出てくる魔法使いで主人公最大の強敵。「名前を呼んではいけない例のあの人」と、恐怖のあまり実名をはばかるほど邪悪な魔術を使う。米国はフランケンシュタインとハリー・ポッターという英国生まれの小説に、要らざる「加筆」をした。しかし、2人の尊大な中国人が米英で10月20日に発した言い掛かりは小説より格段にグロテスクだった。習近平・国家主席(62)は英国議会と公式晩餐会の演説・あいさつで、場違いにも第二次世界大戦(1939~45年)での「日本の残虐性」を執拗に繰り返した。国連における中国軍縮大使の発言はさらに筋書が凝っていた。使用済み核燃料再処理工場計画などを持ち出し、日本保有の核物質は核弾頭1000発以上に相当。ごく短期間で核武装国家に成る…とか 。わが国がそれほど巧妙な核戦略を秘めていれば、中国に恫喝されまくる現下の惨状は引き出さなかった、と反論しておく。
世界覇権への100年戦略
所要時間の多くを費やした中国大使の対日批判 は、米国の中国軍事戦略研究の第一人者マイケル・ピルズベリー氏(70)の新著《100年マラソン=米国と交代して地球超大国にならんとする中国の秘密戦略》の正確性を証明した。著書の主旨はこうだ。
《中国は世界覇権に向けた野望の中心手段として「日本の右派は軍国主義復活を真剣に意図する危険な存在だ。右派を無力にしなければならない」と、日本を悪魔に仕立てる反日宣伝工作をアジアと日本で展開。米国と主要同盟国・日本が強力な経済・安全保障分野で協力し合う現状を破壊せんともくろむ》米国が一連の反日宣伝工作について、まずは同盟国を国際社会で孤立させる戦法で、最終決戦の相手=米国の国力を削ぐための前哨戦だと深く認識しているかは、疑わしい。中国は韓国を手下に従え、「従軍慰安婦の強制連行」「南京大虐殺」などと、米国はじめ主要国や国連を舞台に虚構をタレ流すのはそのたくらみ故。既に、日本と双璧を成す米国の同盟国・英国は、10月の習氏訪英で7兆4000億円もの札束を口に突っ込まれ、中国の少数民族浄化も民主運動家弾圧にも声を出せなくなった。
両翼を痛め付ける一方、主敵・米国へはどう仕掛けているのか。《100年マラソン》の分析を総合すると- 《「平和的台頭」「中国の夢」などと、米国主導の秩序や関与政策への誘いに従うフリをした》
《中国がマラソンで前に出るには米国の科学技術などの情報を得る他ない。先頭を得意げに走る米国のエネルギーをこっそり抜き取り、距離を詰め、最後は抜き去る。●(=登におおざと)小平(1904~97年)ら国家指導者はそう描いた。爪=野心・能力を覆い隠し、力を蓄え、時機を待つ=韜光養晦(とうこうようかい)戦略である》
《具体的には、建国100周年の2049年 を目標に経済・政治・軍事面で米国を完全に追い越し、中華秩序・覇権を確立する戦略を隠していた》
だが、100年戦略を隠す段階は終わった。東/南シナ海で堂々と国際法を無視し海洋侵略に狂奔、サイバー空間でも大量情+報窃取など、やりたい放題だ。
災いする国家的悪癖
オバマ政権はようやく10月末、中国が南シナ海で建設する人工島の22キロ以内にイージス艦を進入させ、主権を認めぬ示威行動に出た。ピルズベリー氏も《中国に対するバラ色の期待は、ほぼことごとく裏切られた。米国史上最も組織的&重大&危険な失敗戦略》と明言。中国寄りのシンクタンクや専門家も関与政策の限界・破綻→転換を、本年に入り目立って論じ出した。が、米国が中国を観る眼鏡を曇らせるのは大戦前からの国家的欠陥で、米国の中国びいきも災いし、日本が米国と戦わざるを得なかった歴史は刻まれてよい。米国は大日本帝國やソ連の崩壊は画策しても、対中コンプレックスを止められない。この悪癖の克服なしに、ピルズベリー氏の対中警鐘論が米国全体の主流に成り得るのか、小欄はいまだ懐疑的だ。実際…。米国防総省・総合戦略評価室では経済統計などを分析しソ連の弱点=経済に注目、超先端兵器システムの開発・配備競争によるソ連崩壊を実現させた。続いて1990年代末までに中国の軍事力/経済・社会構造/人口動向、果ては孫子の兵法さえ精査し《中長期的に強大化し脅威と成る》と提言したが、米政府はかくも優秀な部局の警告に全力で取り組まなかった。オバマ氏には、中国向けにこう演説していただきたい。
「罪なき人々や国々は残酷にも、正義感も人道的配慮も欠如した力と覇権への貪欲さの犠牲となっている▽法や秩序や正義の在る状態へと文明を進展させた実績と伝統は払拭されつつある▽条約違反と人道的本能無視に共同で反対せねばならぬ」
支那事変勃発後の1937年、フランクリン・ルーズベルト大統領(1882~1945年)が蔓延する疫病=無法を隔離すると、日本とドイツを念頭にぶった《隔離演説》である。
ルーズベルトの死より4年半がたち、怪物のヒナが東アジアに誕生した。「隔離」するべきは、生まれた時点で既に邪悪な心と醜い顔を持ったこのヒナであった。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)
「日本・ギリシャ編」
突然のプラント契約中止
1980年代の最大の困難は1981年に発生したプラント輸入契約の中止問題であった。中国は建国以来一貫してプラント輸入を重視してきた。建国初期はソ連東欧から156項目のプラントを導入し、機械工業などの基礎を築いた。1970年代、特に文化大革命が終わった1976年以後は、日本を含む西側諸国から機械、化学などの分野で多数のプラントを輸入する契約を締結した。ところが外貨の資金繰りがつかず、1980年の年末になり中国は突然すべてのプラント輸入契約の中止を通告してきた。関係諸国は困惑し、中国の国際的信用は急落した。契約当事者であった中国技術輸入総公司の某副総経理が自殺するという悲劇も起こった。
ところが、またしても日本政府は円借款とは別に商品借款を供与し、中国の資金不足の解決に協力した 。結果的にはほとんどの契約は数年以内に復活した。しかしこの問題以後、中国は大規模なプラント輸入はやらなくなり、もっぱら外国企業の対中直接投資の導入 に力を入れるようになった。世界一の重工業は日本から手に入れてしまったのだから、これから先は第2次、3次産業的なものを手に入れようと方針転換したのだ。
20年ぶり2度目の駐在
1996年1月から1998年5月まで再び北京に駐在した。最初の駐在は1977年で、毛沢東死去・文化大革命終結の翌年であったので、それからほぼ20年ぶりである。しかも今度の駐在期間に鄧小平の死去と香港返還があった。偶然にも毛沢東時代の最後と鄧小平時代の最後を北京で生活する巡り合わせとなった。
改革開放から十数年たった96年の北京は私にとってまるで知らない町になっていた。かつてメインストリートにも見られた馬車が全く消えており、自転車の大群は依然として存在していたものの、自動車が急増していた。高層ビルが林立し、業務関係先である各政府機関や公司、企業の住所も大半が移転していた。北京空港は新ターミナルになり、鉄道駅も巨大で壮麗な北京西駅が新しく使用開始されていた。
地図を片手に町を歩く
北京における日本企業の駐在事務所や日系企業が年々増大しており、当時北京に長期滞在する日本人は家族も含めて6000人規模になっていた。中国日本人商工会議所(現在の中国日本商会)や日本人会が活発に活動し、日本人学校も運営されていた。かつては1人駐在であった当協会の北京事務所も所長プラス中国人職員3人の4人体制になっていた。
まず北京を知らなければ仕事にならない。赴任後の半年間、私は毎週末に「北京生活地図」を片手に、バスと地下鉄を利用して徹底的に町を歩き回った。大規模な野菜卸売市場や水産物市場にも行ったし、イスラム教徒の居住区「牛街」の存在も知った。町歩きのおかげで北京がようやく身近になった。
弁護士の必要性
北京は外観が変化しただけでなく、経済システムも計画経済から市場経済に大転換していた。トラブルの解決方法もかつてのように何でも政府に訴えるのではなく、弁護士の協力や裁判による決着を求めるケースが増えていた。私は信頼できる弁護士と知り合いになっておく必要性を痛感し、中国国際貿易促進委員会の知人を通じて王俊峰弁護士を紹介してもらった。中国の広告主が「国際貿易」紙に掲載した広告代金の回収や北京事務所の中国人職員の家庭騒動などで王氏の事務所にお世話になった。また、それまで日本企業との結びつきが少なかった王氏を何人かの日本企業の駐在代表に紹介もした。
王弁護士が立ち上げた金杜律師事務所はその後急速に発展して北京最大の法律事務所となり、現在では上海など国内主要都市および東京、香港、ニューヨーク、シリコンバレーにも事務所を開いている。
激動の2008年
2008年もまた世界が激動した。日中関係では年初に日本企業が中国河北省の食品メーカーに委託生産して輸入した冷凍ギョウザによる中毒事件が発生した。事件を通じて、日中経済が日本国民の日常生活と緊密に結び付いていることが浮き彫りになった。5月12日の四川大地震、8月8日北京オリンピック開幕。8月下旬には河北省の三鹿集団公司はじめ中国の主要乳製品メーカーが生産する粉ミルクで化学物質メラミン混入事件が発生。また、1979年の合意以来約30年間継続された日本の対中円借款供与がこの年に終了した。
このODAが終わってようやく敗戦国日本が首をたれ続けた中国、中国呪縛が溶けつつある。
9月15日、米国のリーマンブラザーズ社の倒産を引き金に世界金融危機が発生。直ちに世界主要20カ国首脳会議が開催され、危機への対応が協議された。経済のグローバル化のすさまじさを実感させられた。加えて11月4日、オバマ氏が選挙に勝ち、アメリカ史上初の黒人大統領が誕生した。
双方向交流の時代
今世紀に入って中国はそれまでの外資導入だけでなく、中国企業の対外投資を積極的に進めるようになった。日本においても2009年蘇寧電器による家電量販店ラオックスの買収 、2010年山東如意集団によるレナウンの買収 などが大々的に報道された。中国企業の日本進出は611社に上るとの調査機関の報告も発表された。
貿易においても2007年以後アメリカに代わって中国が日本の最大の相手国になっている。中国にとって日本は米国に次ぐ第2の貿易相手国である。また、伝統的に日本は工業製品、特に生産財を中国に輸出し、農産物及び工業原料を中国から輸入する貿易構造であった。しかし製造業を中心に中国への産業移転が進み、在中日系企業が4万社 (外資企業には、のちに人民武装部 を置く決まりができる)に及ぶ状況を反映し、近年は輸出入とも工業製品が主体となっている。さらに新しい動きとして日本の食品や化粧品といった高級消費財が中国に輸出されるようになった。まさに双方向交流の時代に入った ということができる。
共同事業の構築へ
2011年3月11日、史上類を見ないほど激烈な東北関東大地震が発生し、東日本は甚大な被害を受けた。中国人研修生を避難させた後、自分は津波にのみ込まれた日本人の実話も報道された。この大地震によって今後日中経済交流にも一定の悪影響が出るのは避けがたい。しかし、国境を越えてより広い地域経済圏が形成されつつある今日、日中双方の経済界が互いに「智慧を出し合い地域経済の発展に寄与する共同事業を構築」していくことが日中関係をさらに発展させる鍵の一つになると思う。
2009年、中華人民共和国は建国60周年を迎え、同じ年に日本国際貿易促進協会(当協会)は創立55周年であった。私自身、協会で日中経済交流の実務に従事して40年以上が経過した。この間体験したことの断面を紹介し、若い世代の参考に供したいと考える。
当協会の創立
当協会は1954年9月に創立された純民間の貿易促進団体である。戦後の東西冷戦体制はすでに始まっており、当時わが国が国交を正常化していなかった「中国の人民民主主義、ソ連の社会主義諸国との民間貿易」を促進することが設立の趣旨であった。
当初は中国、ソ連の2大社会主義国との貿易促進、展示会の開催、代表団の派遣受け入れ、中国の輸出商品交易会(広州交易会)への日本企業の参加とりまとめ等の活動をやってきた。その後60年代に入り、この両国の対立が激化し、当協会はソ連との関係が断絶し、中国が主な相手国となった。
私は東京オリンピックが開催された1964年に大学に入り、第二外国語として中国語を選択した。その担当教授(工藤篁先生)が「中国語では目のことを眼睛という。中国人の瞳は黒いのに、どうして目に青の字を使うのか?」といきなり質問された。先生の中国語及び中国に対する深い洞察に感心し、次第に中国に対する興味が強まった。
1968年、私が当協会に入った時、協会はモスクワ事務所をすでに閉鎖しており、業務は対中関係だけであった。その中国は文化大革命(1966-1976年)の真最中であり、人事交流も少なく、日中民間貿易も種々の困難に直面していた。国交が無いため、訪中毎に一次使用のパスポートを申請しなければならず、「ハイテク製品」の対中輸出は厳しいココム規制(注)を受けた。またプラントの延べ払い輸出に対する輸出入銀行の融資も受けられなかった。当時貿易業界の最大の要望は「日中国交回復の早期実現」であった。
日中経済関係の歴史区分
現在の時点から振り返ってみると、戦後の日中経済交流の歴史は次の四段階に分けることができる。
第一段階は 1949-1971年の23年間で、中華人民共和国成立 から日中国交正常化以前の民間貿易の時代である。
第二段階は 1972-1977年の6年間で、日中国交正常化 以後貿易が急激に拡大した時代である。
第三段階は 1978-2000年の23年間で、中国の改革・開放 以後、対中ODA と対中投資 が拡大した時代である。
第四段階は 2001年から現在までで、中国がWTOに加盟 し、経済のグローバル化 に積極的に参画するようになった時代である。
(注)ココム(対共産圏輸出統制委員会)とは北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国が共産主義諸国への軍事技術・戦略物資の輸出を規制するために結成 し、1950年から活動を開始した委員会で、日本は1952年に加盟した。ココムはソ連が崩壊し冷戦が終結した後の1994年に解散した。
日本にも忍び寄る「港を買いあさる外資」の影
2021年3月
週末だというのに、「世界三大夕日」をうたう北海道釧路市の釧路川にかかる幣舞ぬさまい橋から太平洋を望む撮影スポットに、カメラを持って集まる人の影はまばらだった(ちなみに、残る2か所はインドネシア・バリ島とフィリピン・マニラ湾だそうだ)。
釧路港に注がれる視線
3月は夏や冬の観光ピークとずれているとはいえ、河口中央に太陽が沈み、美しさが際立つ季節だ。新型コロナウイルスの感染拡大で、外国人観光客はもとより、日本人旅行者もほとんど見かけない。釧路川に面した津波避難施設を兼ねる商業施設「釧路フィッシャーマンズワーフMOO」の中も、人影がほとんどない寂しさだった。
釧路湿原を案内してくれた男性は、廃虚のようになったビルや、駐車場になった更地を指して「私が子どもの頃はここも、あそこもデパートだった。今は、全て撤退した。あの頃の活気が戻ることは、もはやないのだろう」と語る。
コロナ禍をしのげば、夕日や釧路湿原を目指して世界から観光客は戻ってくるだろう。けれども、勢いを失った石炭、製紙、漁業に代わる産業が根付き、人口が増加に転じる未来像は、70歳の観光ガイドには描けないようだった。
MOOよりもさらに河口に向かっていくと、釧路港がある。
アジアから見て北米大陸に最も近い不凍港は近年、国際的な注目を集めるようになった。中国が「一帯一路」構想の「氷上シルクロード 」と言われる北極海航路の拠点として使いたいとの考えを示し、中国企業や駐日中国大使らが次々と釧路を訪れるようになったからだ。
日本政府も釧路港の重要性は分かっている。(日本政府よ!しっかりせよ。露の樺太・千島・四島占拠は侵略なのだから、日本の北海道、釧路まで共産主義国に取られてはダメだ)
国土交通省は2011年、「資源、エネルギー、食糧等の安定的で安価な供給」を目標に、鹿島港(茨城県)、志布志港(鹿児島県)、名古屋港(愛知県)、水島港(岡山県)とともに釧路港を穀物の「国際バルク戦略港湾」(「バルク」は、包装されずにバラバラに運ばれる貨物のこと。鉄鉱石、穀物、石炭を「3大バルク貨物」という)に指定した。
指定に基づく機能強化や整備が行われ、2018年には釧路港の戦略港湾としての運用が始まったが、町のにぎわいの復活や人口減少の傾向に歯止めをかけるものではなかった。
外国資本に危機感強めた米国
そんな環境の中で、「中国の投資があれば、釧路港や周辺が活気づくのではないか」といった期待感が高まる のは、無理もない。
一方で、一帯一路を進めるために中国政府が後ろ盾になった企業が世界中で港湾の買収や出資を繰り広げていることに、国際社会は安全保障上の懸念を強めている。一帯一路には、表看板の「巨大経済構想」の裏側に、軍事的な意図も隠されているとの見方が消えないからだ。
ギリシャのアテネ近郊ピレウス港で、積み上げられた多数のコンテナ(2017年9月)
11月11日、中国とギリシャは、中国海運大手の中国遠洋運輸(COSCO)がギリシャ最大の港であるピレウス港に6億ユーロを投資する計画を押し進めることで合意した。写真はピレウス港を視察する習近平国家主席(左)とギリシャのミツォタキス首相。代表撮影(2019年 ロイター)
ギリシャも「中華思想(世界支配思想)」に汚染された?
相手を借金漬けにして破産させ、メチャクチャに破壊させる。分かっていても「すまし顔」だ!!!。(中国よ!もっと分かりやすい「嘘」は、他になかったのか?)
ギリシャのピレウス港を視察するミツォタキス首相(右)と中国の習近平国家主席(2019年11月11日)=AP
COSCOは2009年にピレウス港のコンテナ貨物埠頭の改修と運用について期間35年の利権を取得し、以来、両国は協力関係を強めている。COSCOは16年にはピレウス港の株式の51%を取得した。
COSCOは22年までの3億ユーロ投資に加えて6億ユーロの投資を行うと約束しており、ピレウス港を欧州最大の商業港に育てる計画。
国際通貨基金(IMF)や単一通貨ユーロ圏から借りたオカネを返すため、ギリシャはピレウス港など国有財産の売却を進めています。欧州債務危機の最中にギリシャの国債を購入するなど、借金まみれのギリシャに援助の手を差し伸べてきた中国にとって、ピレウス港は欧州だけでなく中東・北アフリカへの重要な足がかりになります。
昨年2月には中国海軍最大の大型揚陸艦「長白山」がピレウス港に寄港しました。5月には中国人民解放軍がロシアとともに地中海で初めて海上合同軍事演習を実施しました。2011年に米英仏がリビアに軍事介入した際、3万6千人の中国人労働者がリビアで働いており、大掛かりな救出作戦が地中海で展開されたことがあります。
ギリシャは、中国の習近平国家主席の広域経済圏構想「一帯一路(債務の罠外交)」の要になります。港湾施設のほか東欧・中欧、バルカン半島諸国につながる鉄道網などのインフラを整備すれば、実需が生まれ、インフラ輸出を通じて中国国内で顕著になっている供給過剰を解消できます。景気回復の足取りが遅い欧州にとって中国マネーでインフラが整備できれば、これほどありがたい話はありません。
国有財産の処分を進めるギリシャ資産開発基金は、ピレウス港を運営する国営会社の発行済み株式の67.7%を売却する計画です。日経新聞は、コスコ・グループは3億~4億ユーロ(約380億~510億円)を投じて株式の51%を取得すると報じています。一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者の話として向こう5年間のインフラ投資3億5千万ユーロを含む計7億ユーロで株式の67%を取得すると伝えています。
最初は株式の51%を取得して、5年間で67%まで増やすという買収提案なのかもしれません。
筆者は昨年1月のギリシャ総選挙に合わせて、ピレウス港を飛び込みで取材したことがあります。コスコ・グループの子会社ピレウス・コンテナ・ターミナル(PCT)は意外とすんなり取材に応じてくれました。コンテナ船だけでなくフェリーやクルーズ船も発着するピレウス港周辺は、車が激しく行き交うなど、アテネ中心部以上の活況を呈していました。
コスコ・グループは2008年に49億ユーロを投資してピレウス港のコンテナ埠頭の運営権を35年にわたって獲得しています。PCTでは約1100人が働いていますが、中国人は最高経営責任者(CEO)ら7人だけだそうです。中国人幹部とギリシャ人社員の会話もなごやかに見えました。
PCTで働くギリシャ人によると日給は58ユーロ、ギリシャではかなりの厚遇です。コンテナ埠頭ではコスコ・グループのコンテナもありましたが、いろいろなコンテナを扱っていました。
当時、PCTは2つの埠頭を運営していました。拡張工事でコンテナの取扱量は最初、685個(TEU=20フィートコンテナ換算)だったそうですが、480万個へと飛躍的に増えたとのことでした。広報責任者は「将来は620万個まで増やします」と言います。少し水増し気味の数字なのかもしれませんが、「一帯一路(債務の罠外交)」が軌道に乗れば、コンテナ輸送はもっと増えるのは確実です。
ピレウス港とチェコなど中欧を結ぶコンテナ列車は週に3~4本しか運行しておらず、「毎日走らせるようにしたい」と意気込んでいました。ピレウス港でコンテナを荷揚げすれば、オランダ・ロッテルダム港、ドイツ・ハンブルク港などを経由するより輸送期間が10日間短縮できるそうです。ココス・グループがピレウス港を買収すれば、欧州の物流が一変する可能性があります。
急進左派連合(SYRIZA)のチプラス首相は政権につく前は国有資産の売却には否定的でしたが、ユーロ圏との交渉で支援を引き続き受ける代償として国有財産の売却をのまされました。チプラス首相も背に腹は変えられません。
中国国有大手・中国鉄路総公司は昨年12月、15億7千万ドルでセルビア・ベオグラードとハンガリー・ブタペストを結ぶ鉄道整備(全長350キロメートル)に乗り出しました。コスコ・グループも参加するコンソーシアムはトルコでもイスタンブール港のコンテナターミナルを買収しています。
物流の拠点としてピレウス港を開発するのはギリシャも欧州連合(EU)も大歓迎ですが、中国には別の狙いもあるようです。
昨年5月、中国とロシアは北大西洋条約機構(NATO)が勢力圏とする地中海で初めて海上合同軍事演習を実施しました。軍事演習には中国のフリゲート艦2隻など中露両国から計10隻の艦船が参加しました。米国一極支配の現・世界秩序を再構築するのが狙いです。
中国にはロシアとの緊密な関係を見せつけることで、日本の安倍政権を牽制する思惑もあったようです。「一帯一路(債務の罠外交)」は地中海を経由しており、中国には貿易だけでなくエネルギー、安全保障といった国益が生じます。中東・北アフリカで中国人の救出や海賊対策などの作戦を展開する必要が生じた場合、ピレウス港は燃料の補給など重要な軍事拠点になります。
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)には欧州の英独仏伊など多くの国が出資しています。欧州復興開発銀行(EBRD)もAIIBと協力する方針で、欧州は中国マネーがインフラ整備に投資されることに大きな期待を寄せています。
中国が貿易、エネルギーに加えて軍事面でも国際協調に徹するなら欧州との相思相愛は続くでしょう。しかし欧州にとって安全保障上の脅威であるロシアと組んで地中海で軍事的なプレゼンスを増す腹積もりなら話は別です。中国への警戒心は一気に膨らむ可能性があります。ピレウス港の運用はその試金石になるでしょう。
2015/7/15 ギリシャへの中国、ロシアの接近
中国とロシアは今回のギリシャ支援の合意を歓迎しているが、いずれもギリシャに接近している。
ギリシャのチプラス首相は4月と6月に訪露してプーチン露大統領と会談し、ウクライナ危機での米欧の制裁を「経済戦争」と呼んでロシア寄りの姿勢を見せた。
プーチン大統領は6月19日、ギリシャとの間で、ロシアからの天然ガスパイプラインTurkish Stream をトルコを経由してギリシャにつなげる計画に基本合意した。
ギリシャの農産品の輸入についても話し合われた。ロシアはEUの制裁に対抗し、EUからの農産品の輸入を禁止しているが、ギリシャの例外扱いを検討している。
ロシアのエネルギー相は7月12日、ギリシャ経済てこ入れのため、ロシアはギリシャに燃料を直接供給することを検討中だと語った。
「ロシアはエネルギー部門での協力拡大を通じてギリシャ経済の再生を支援するつもりだ。このため、われわれはギリシャへのエネルギー資源の直接供給の可能性を検討している。直接供給は近く始まる」と述べた。
Turkish Stream の概要は下記の通り。
ロシアは2014年12月1日、ウクライナを迂回してロシアから欧州南部に天然ガスを輸送するパイプライン South Stream の敷設計画を撤回した。
EUの反対でブルガリアの許可が得られないためとし、「EUの立場は非建設的であり、そのためロシアは他の地域にエネルギー輸送先を切り替え、またはLNGに軸足を置き替える」と語った。
2014/12/4 ロシア、South Stream 計画を取り止め
ロシアはその後、新ガスパイプライン Turkish Stream 構想を打ち出し、本年初めにルートが確定した。
South Stream と同様に4本のラインが敷設される予定で、海底部分のうち660kmはSouth Stream用に予定されていたルート、その他に 250kmがトルコ向けの新ルートとなる。
黒海南西部沿岸の都市キイキョイから陸上に入り、ギリシア国境のイプサラまでの180kmが敷設される。
年間輸送能力は630億m3で、うちトルコが140億m3 を引き取る。
第1ラインの完工は2016年12月を予定しており、全てトルコに供給される。トルコ向け天然ガス価格は 6%値引きする。
South Streamとの大きな違いは、パイプラインのEU内の部分でGazpromがその建設や操業に関与しないことである。EUの干渉に嫌気がさしたと思われる。
今後の計画も含め、欧州の天然ガス輸入の南部ラインはすべてトルコを経由することとなる。
付記
2015年11月にトルコ軍によるロシア軍機撃墜事件があり、両国の関係が悪化し、本件も棚上げされた。
2016年7月15日のトルコのクーデター未遂事件で、政権は反対派を一掃、事件の首謀とする宗教指導者で滞米のギュレン師の引渡しを求め、米国との関係が悪化した。
同時にロシアとの関係回復を図った。
2016年10月10日、ロシアとトルコは 「トルコストリーム」建設の政府間協定を締結した。
建設の合意の一環としてガス価格の値引きで合意した。
ロシアは撃墜事件後に発動したトルコ産農産品への禁輸措置解除も表明した。
ーーー
ギリシャの生産再建・環境・エネルギー相は5月29日、ギリシャがBRICS開発銀行への参加を検討していると発言した。
ロシアもギリシャの意向を関知しているとしている。
5カ国は7月7日、モスクワでBRICS開発銀行の第1回総会を開いたが、ギリシャ問題は取り扱われていない。
初代総裁にはインドの民間銀行元会長 K.V. Kamath が就任した。
当初の資本金は500億ドルで5カ国が均等出資する。将来は1千億ドル規模へ拡大する。
年内にも業務を開始する。
ーーー
中国の李克強首相は6月29日、ブリュッセルでEU首脳との会談後の記者会見で質問に対し、「中国はこれまでも、ギリシャが危機を抜け出すための要求に応えてきた。問題解決に建設的な役割を果たしたい」と述べた。
「シルクロード経済ベルト 」と「21世紀の海のシルクロード 」計画 (一帯一路構想)を進める中国にとっては、ギリシャは欧州への入り口として重要である。
今回のギリシャの財政改革案に含まれる民営化のうち、アテネ郊外のPireaus港については中国遠洋運輸公司(COSCO) への売却が有力である。
(おわり)木村正人
「2016年 オーストラリア編」
中国マネーに目がくらんだ豪州に米国激怒 海兵隊拠点の隣にまさかの“敵” 2016年4月
米海兵隊が中国を睨む拠点としているオーストラリア北部、ダーウィンの港が中国企業に長期貸与され、米国の対豪不信が高まっている。貸与は米国に知らされないまま決められ、中国政府や軍とも関係が深い企業が米軍の活動などを監視する可能性もあるためだ。契約は99年という長期にわたる。中国は豪政府の脇の甘さを突いて米国の戦略拠点に食い込み、同盟にくさびを打ち込んだ形だ。(坂本英彰)
2016年2月7日、北京で中国の王毅外相(右)と握手を交わすオーストラリアのビショップ外相。オーストラリアは経済での対中依存度が高く、その流れが安全保障面に及ぼす影響などを米国が懸念している(AP)王毅外相が訪問した国はどうなったか?
9割が「危険」
「まるでアフガニスタンのような扱いだな」
豪有力紙オーストラリアンが3月上旬、米国務省が豪国内で秘かに世論調査を行っていたと報じた。豪政府関係者は頼りとする同盟国に、信頼できない途上国のように扱われたことに苦虫をかみつぶしたという。
豪北部準州は昨年10月、ダーウィン港の長期リース権を約5億豪ドル(約440億円)で中国のインフラ・エネルギー関連企業「嵐橋集団」に貸し与えると発表した。調査は貸与についての世論を探るものだった。
オーストラリアの安全保障に影響があると思うかどうかを問う質問に対し、43%が「大い」に危険があるとし、「幾分」を含めると9割の回答者が懸念を感じていた。この結果は「経済的利益より安全保障の優先を豪政府に迫るものとなる」と評価された。報道は沈静化していた貸与問題をめぐる議論に火をつける結果となり、北京で行われた中国外務省の定例記者会見にも飛び火した。
「オーストラリア国民は冷静に客観的になってほしい。これは国際ルールにも豪国内法にも則ったビジネスであり、両国に巨大な利益をもたらすものだ」
報道官はこう述べ懸念の払拭に努めた。
オーストラリアのターンブル首相も「米豪の軍事協力が緊密にできるよう、慎重に行っている」として、ダーウィン港の長期貸与は安全保障上の問題をクリアしたものだと強調した。
「明らかな失態」
しかし、この時期の報道については、米側の意図があるとの憶測が出ている。
「巧妙に国務省側からリークされたものだろう」
シドニー大学の研究者で元オーストラリア軍将校のジェームズ・ブラウン氏は豪シンクタンクへの寄稿でこう指摘した。
「オーストラリア政府は中国の戦略性を十分に調べもせずに通した。明らかな失態であり、米政府の怒りは相当なものだ」
ブラウン氏は、嵐橋集団は民間企業とはいえ、微妙な戦略地点でインフラなどを確保する中国の国有企業のパターンを踏んでいるとの米側の見方を紹介。情報収集や地方政府への圧力といった懸念を抱いていると指摘した
豪州の港、中国企業の運営でいい? 豪政府リスク判断へ 2021年5月7日
オーストラリア政府が、同国北部ダーウィン港の運営を中国企業が担うことが安全保障上、妥当かどうか検討を始めた。シドニーモーニングヘラルド紙が3日、報じた。東南アジアに近いダーウィンは戦略上の要衝で、中国企業が持つ港の運営権を豪政府が取り上げる可能性がある。
同港を巡っては豪北部準州政府が2015年、埠頭(ふとう)を99年間、リースする契約を中国企業「嵐橋集団」と結んだ。同社は「商業上の投資だ 」と説明してきたが、ダットン国防相が同紙に、妥当性について豪政府として再評価を始めたことを明らかにした。
同港の運営が問題になって18年にできた「重要インフラ安全保障法」に基づいて、中国企業の運営が妥当かどうか検討する。同法では、電力、ガス、港湾、水道の各施設の所有者や運営者に、政府が安全保障上のリスクを減らすための指示を出すことができる。
2021/07/07(水)
ダーウィン港所有の中国企、ホテル開発を放棄?
オーストラリアのダーウィン港の99年リース権を所有する中国のエネルギー・インフラ企業の嵐橋集団(ランドブリッジ)が、港付近にある高級ホテルの建設用地を北部準州(NT)政府に返還し、同社による開発計画を放棄したことが分かった。
米国からは、ダーウィン港の貸与が発表された直後から不満が噴出していた。
オバマ大統領自身、昨年11月、マニラでターンブル豪首相と会談した際に事前に相談がなかったことに不快感を表明して「次回は必ず教えてほしい」と念押しするなど、同盟国に対しては異例ともいえる厳しい態度に出ていた。
「中国軍のフロント企業」
オバマ氏にとってはメンツをつぶされることでもあったのだ。オバマ氏は2011年、オーストラリアを訪れて軍事上の政策転換であるアジア回帰を表明し、ダーウィンを米軍の新たな拠点にすると発表したのだ。
以来、ダーウィン郊外には1000人を超す海兵隊員が巡回駐留しており、近く2500人規模に増強する方針だ。ダーウィンの豪空軍基地には戦略爆撃機を巡回駐留することも協議するなど、インドネシアを挟んで南から中国を睨む重要な戦略拠点だ。その港が中国側に長期貸与される事態は米国にとって、同盟国にはしごを外されるようなことだったといえる。「オーストラリアの指導者は、中国台頭を制御することの難しさをもっと論議すべきだと感じている米高官は多い」。ブラウン氏はこう指摘する。
嵐橋集団は山東省を拠点とするエネルギーやインフラ産業を主軸とする企業で港湾や石油、ガス、不動産など幅広いビジネスを展開。創業者でトップの葉成氏は、国政助言機関である人民政治協商会議の委員を務める。米紙ニューヨーク・タイムズの取材に葉成氏は「これはビジネスだ」として安全保障上の懸念を一蹴 しつつも、投資は中国の外交政策「一帯一路(債務の罠外交) 」に資すると認めた。
一帯一路(債務の罠外交) とは中国と欧州を陸路や海路でつなぐ習近平政権の大構想「中華思想」だ。葉成氏は中国政府との密接な関係を否定するが、豪有力シンクタンクの戦略政策研究所は「中国軍のフロント企業」だと警鐘を鳴らす。
「経済は中国」「安保は米国」のアンバランス
同研究所のピーター・ジェニングス所長は国会の委員会で、長期貸与 についての政府対応のお粗末さを厳しく批判した。
「中国には西側諸国の軍が船舶をどう動かし、荷揚げをし、荷を積み込み、機器からどんな信号を出すのかといった細部を含め、軍のオペレーションについての極めて強い関心がある」
同氏の発言を米メディアはこう報じている。
嵐橋集団へのダーウィン港の長期貸与 を決めたのは北部準州で、連邦政府は助言という形でかかわった。しかし、高まる批判の中で豪財務省は3月なかば、外国投資についての審査の厳格化を発表した。今後は州レベルの資産などでも空港や港湾など重要インフラは、連邦政府の承認を必要とするという。
今回の事態の背景にあるのは、オーストラリアの経済的な対中依存 だ。同国の対外貿易は約24%を中国が占め、2位の日本(約11%)、3位の米国(約9%)を大きく引き離している。
経済は中国に、安全保障は米国にそれぞれ依存するという引き裂かれた状態が、オーストラリアの立場を苦しくしている。中国と経済的な結びつきを強める一方で中国を睨んで防衛強化を図るというアンバランスもこの現れだ。とりわけ中国と地理的に近く財政基盤の弱い北部準州は中国投資を渇望 し、長期貸与への批判には「反中思想だ」などと強く反発している。
「オーストラリアは選択を迫られる。米中の対立が厳しくなればなるほど、それは厳しいものになる」
豪国立大学のヒュー・ホワイト教授は米メディアに、こう指摘した。
中国軍艦艇がオーストラリア哨戒機にレーザー照射 2022年2月20日
【シンガポール=森浩】オーストラリア北部沖合のアラフラ海上空を飛行していた哨戒機が海上の中国軍艦艇からレーザー照射を受けた問題で、豪州のモリソン首相は2022年2月20日、記者団に「起こってはならない無責任な行為だ。威嚇以外の何ものでもない 」と述べ、中国に抗議した。
豪州国防省によると、照射があったのは2022年2月17日で、中国の艦艇は2隻で東に向かって航行していた。豪州の排他的経済水域(EEZ)内だったとみられている。
航空機へのレーザー照射はパイロットの視界に影響を与える可能性があり、危険な行為とされている。哨戒機には10人が搭乗しており、モリソン氏は「なぜあのような危険な行為をするのか、中国は豪州だけでなく全世界に向けて説明するべきだ 」と指摘した。
豪中関係は新型コロナウイルスの発生源をめぐって、モリソン政権が国際的検証を訴えたことで急速に悪化した。豪州では2022年5月末までに総選挙が予定されているが、対中政策は争点の一つとして浮上している。モリソン氏はレーザー照射をめぐって「政府は融和的な道を歩まない 」とも付け加え、中国に強い姿勢を示すことをアピールした。(映像提供 ロイター)
中国は日本の北海道も買いあさったが、豪州ダーウィン、米海兵隊拠点を中国に99年貸与された
著者:荒井悦代(あらいえつよ)
米海兵隊が駐留するオーストラリア北部ダーウィンの港湾管理権が2015年10月、中国企業「嵐橋集団(ランドブリッジ)」に渡ってから3年が過ぎた。港の99年間貸与契約 には、アジア太平洋重視を打ち出したオバマ米大統領(当時)が不快感を表明し、豪州政府が中国の影響力排除へとかじを切る要因の一つとなった。しかし、豪州首都から約3000キロ離れた現地では中国の投資を歓迎する空気が強く、中央との温度差を感じさせた。(ダーウィン 田中靖人)
日本の約3・5倍の面積に人口わずか約25万人の北部準州。州都ダーウィンはそのうち12万人が住む港町だ。第二次大戦前から海軍基地が置かれ、旧日本軍が開戦直後から爆撃を繰り返した戦略的要衝である。
海沿いの市中心部から車に乗ると、軍民共用の国際空港まで約5キロ、米海兵隊の地上部隊が乾期の半年間に配備される豪陸軍基地までは15キロで、わずか20分で基地のゲートに着いた。
海兵隊の駐留は昨年9月で終了していたが、12月上旬には米空軍のB52戦略爆撃機2機が飛来した。この地はまぎれもなく米軍の対中抑止の一翼を担っている。
だが、市中心部は空き店舗が目立ち、人影はまばらだ。複数の新しい高層住宅は、昨年夏に生産を始めた天然ガス液化工場の建設関係者を見込んだもので、「今は空室が多い」(地元主婦)という。
中国語の看板が目につく最大都市シドニーと異なり中国マネーをうかがわせるものはない。それだけに港湾施設前の「嵐橋集団」の文字が目を引いた。
「ダーウィンには海外からの投資案件が多数あり、当社はその一つにすぎない 」
嵐橋集団の豪州責任者、マイク・ヒューズ副総裁はこう強調した。同社は15年、港湾を99年間賃貸 する契約を5億600万豪ドル(約409億円)で交わし、全額を前払いした。それまで2年間に港湾が得た利益の25倍を超える高額だった。同社はさらに、25年間で2億豪ドル(約160億円)を投資することも約束した。
豪州海軍が警備艇を置く海軍基地は外されたが、商業港に加え、豪州北部で唯一、大型艦が接岸できる軍民共用桟橋も賃貸対象となった。ヒューズ氏は「小さな港だが潜在力は高い」と語った。
賃貸契約には、中国共産党の影も指摘された。中国山東省に本拠を置く嵐橋集団の葉成(よう・せい)総裁は13~18年、中国の国政助言機関、人民政治協商会議の代表を務めた。14年8月には集団内に民兵組織を設立するなど、本社地元の軍との関係の深さもうかがわせる。
同社は豪州のアンドリュー・ロッブ前貿易・投資相を2016年の退任直後から年間88万豪ドル(約7000万円)で顧問に雇っていたことも発覚した。ロッブ氏は別の中国人企業家からも多額の献金 を受け、現在は中国の巨大経済圏構想「一帯一路(債務の罠外交) 」への参加を促す団体の幹部を務めている。
嵐橋集団は有事に米軍の港湾利用を制限するのではないか。そんな疑問をヒューズ氏にぶつけると、「当社は港の運営者であって所有者ではない。港湾の平等な利用が契約で義務づけられている」と否定した。
台湾の林穎佑(りん・えいゆう)・中正大学准教授は「有事に意図的に船を座礁させ、米豪軍の行動を妨害する可能性はある」と別の見方だ。
外部の懸念に比べ、現地の受け止め方はおおらかだ。北部準州政府の担当者は「嵐橋集団の運営に満足している。港の拡張や設備投資も確実に実行している」と評価した。
北部準州商工会議所のグレッグ・ビックネル事務局長も「経済界は歓迎だ。お金に国籍は必要ない 」と発言。嵐橋集団が軍民共用桟橋の脇に21年に開業する高級ホテルや、中国東海航空が18年5月に深センからの直行便を開通させたことを挙げ、中国の「高価格帯の観光客」に期待を示した。
2005年の中国における反日活動
2005年の中国における反日活動(2005ねんのちゅうごくにおけるはんにちかつどう)は、中華人民共和国で2005年に発生した反日デモ。3月下旬に反日署名運動として始まったが、4月に入って成都、北京、上海などでは一部の反日活動が破壊行為をともなう暴動に発展した。
概要
2001年に小泉純一郎首相が就任して以降、小泉首相の靖国神社参拝で中国との関係は悪化し、日中両国の首脳会談は中国により一方的に拒否されていた。これにより中国国内では反日感情が高まり、小泉首相への抗議がおこなわれた。「参拝中止という中国側のたび重なる要請を聞き入れず、過去を反省しない日本」という印象が中国内で広がっていた。
2004年7月に、サッカーのAFCアジアカップ2004が中国の重慶で行われたが、反日感情が剥き出しになり、日本のグループリーグから決勝までの数試合は、君が代演奏時や試合中で激しいブーイングや反日行為に晒された。また、勝利を喜ぶ日本人サポーターに罵声を浴びせたり、ゴミや食べ物が投げつけられ、インターネット上でも反日的な書き込みが相次いだ。
2005年3月に大韓民国で竹島問題(独島問題)を契機として盛り上がった反日運動を引き継ぐように、中国各地でも3月下旬ころから歴史教科書問題や日本の国連安保理常任理事国入り反対の署名活動が始まり、インターネットサイトや携帯メールなどで中国各地に拡大した。4月2日には、四川省成都で日系スーパーに対する暴動が発生、4月9日には北京で日本に対する大規模なデモの一部が暴徒化した。4月16日には上海でも日本に対するデモの一部が暴徒化した。
4月17日から18日にかけて町村信孝外相が北京を訪問し、事態について中国側の謝罪と賠償を求めた。中国政府は暴力行為には遺憾の意を表したが、「そもそもの原因は日本側にある」として謝罪と賠償については拒絶した。ただし、水面下での取引はあったとされ、4月19日中国指導部は無届デモ全面禁止を通達し、反日デモの嵐は収束に向かった。一方、この中国側の動きに呼応するように、日本では東シナ海海底ガス田問題について中国提案に譲歩することが発表された。また、4月22日インドネシアの首都ジャカルタで開催された国際会議で、小泉首相は異例に過去の日本の侵略や植民地支配についての謝罪を行い、翌日の胡錦涛国家主席との会談でも謝罪要求など中国側を刺激するような発言は一切行わなかった。小泉は、『私は(日本の常任理事国入りに)中国が反対しても韓国が反対しても、いつでも首脳会談を行う』と述べている。
4月23日以降は中国国内での反日運動は厳しく押さえ込まれ、徐々に収束へと向かった(ただし、中国本土以外に住む中国人は4月23日以降もデモを起こしており、予断は許されない状況でもあった)。日本の外務省から出された海外安全情報等によると、5月1日の労働節(メーデー)、5月4日の青年節(5・4運動)が、もっとも危険な日と警戒していた。
後に、国連安全保障理事会を拡大する日本など4カ国(G4諸国)の「枠組み決議案」に対し、中国は拒否権を行使して反対し、さらに中国にロシアが同調した。最終的に、ドイツの常任理事国入りに反対するアメリカの拒否権により、「枠組み決議案」は反対に終わった。
この反日感情には、靖国神社問題が背景にあったと思われる。靖国神社参拝を行わなかった福田康夫首相と胡錦涛主席との会談で、胡錦涛は日本の国際連合安全保障理事会の常任理事国入りに柔軟姿勢を示した。また対日穏健派の金大中前大統領も、常任理事国入りを支持していた。また同じく鳩山由紀夫首相の際に、サルコジ大統領は「世界第二の経済大国である日本が第二次世界大戦の敗戦国であるという理由だけで、常任理事国になっていないことはおかしい」と発言したが、デモ活動は起きずネットユーザだけの批判だった。
この事件以降、日本国内では中国に根強い反日感情があることが知られ、中国に対する警戒心が生まれた。1992年に訪中した明仁天皇は、温家宝首相による北京オリンピック開会式の招待を断った。さらに中国旅行の書籍では、中国の反日感情に気をつけるような記載が見られた。
翌年の小泉首相の靖国参拝に対しては、中国では反日感情の再燃を抑えるためにデモが封じ込められ、北京の日本大使館で30人ほどがデモを起こしたのみだったが、韓国では数千人が小泉首相の写真を燃やすデモが起きた。韓国政府は靖国神社の参拝問題について、A級戦犯が分祀されたとしても日本政府首脳らの参拝は受け入れられず、分祀は問題の根本的な解決にはならないと述べている。
王雪萍(東洋大学)は、中国の歴史教科書が日本の中国侵略の説明について、1980年代までは資本主義と制封建勢力が結合した権力集団が責任を持つとしてきたが、1990年代以降、階級を分けて日本国内の矛盾を説明する内容がなくなり、戦争責任を日本という国家全体に帰するようになり、一部の軍国主義者と一般国民を区別する方法をやめたことによって、反日デモの矛先が日本政府、日本の資産階級のみならず、日本の一般国民にも向けられるようになったと分析してい。
各地の状況
広州、深圳のデモ行進[要出典]
3月26日、広州の頤高數位城と天河體育中心前は自発的に署名活動を組織し、署名運動は広く浸透していった。3月27日(日)、深圳の自家用車のオーナーからなる車列が行進を行い、4月3日(日)には深圳のデモ参加者達は集団革命烈士の弔い儀式とデモ行進を行った。
4月10日、広州、深圳の両都市ではまたデモ行進が行なわれ、広州では3,000人前後、深圳ではおよそ1,000人(香港の放送局による)が参加した。
成都における活動[要出典]
4月2日、四川省成都の繁華街、春熙路中山広場で反日署名活動が行われ、その後日本のスーパーイトーヨーカ堂成都店(現地名、成都伊藤洋華堂)前で抗議集会があり、集会は暴徒化して店のガラスなどが壊された(成都には日本領事館がない)。
北京のデモ行進
4月9日、北京市中関村で大規模なデモ行進と署名活動が行われた。これは、1999年米国が中国の駐ユーゴスラビア連邦大使館を誤爆し、北京で学生デモが発生して以来で、北京の最も大規模な学生と民衆のデモ活動の1つとなった。デモ隊は、建国門外の日本の大使館や朝陽門外の日本大使公邸に向かって投石などを行った。中国政府は数人を逮捕したと発表している。このデモでは、「投げて良いものは石・ビン・缶・ペンキなど軽いものに限る。重いもの、危険物を投げてはいけない」などの細かなデモ概要が、事前に携帯電話のチェーンメールで流されていた。警察が取り締まりに当たることはなく、道路封鎖だけを行い、デモ隊も警察隊に物を投げつけるようなことはしなかった。午後9時、デモ隊・警察官が一斉に中国国歌を斉唱して終了し、あらかじめ用意されたバスに分乗して帰宅した。
4月17日(日)にもデモが行われる予定であったが、町村信孝外相との協議を妨害することによる国際的なイメージダウンを避けるために許可が下りず、行われなかったとされている。一方、事前情報により、武装警察隊が主要通路を封鎖し、また各大学、国有企業、政府機関も“デモを参加しないように”の指示が出されていた。
上海におけるデモ
それまで目立った動きを見せていなかった上海中心部でも、初の反日デモが行われた。参加者は、ネット掲示板を利用してデモを呼びかけた。市政府も事前動向を察知しており、市内の大学生に対してデモに参加しないようにショートメッセージサービスを送った。
2005年4月16日(土曜日)午前8時半頃200人くらいの学生が人民広場南側に集まり、9時延安中路を沿って上海日本総領事館の所在地である長寧区に進んだ。日本総領事館周辺には1万人以上が集まり、約5時間にわたって、レンガの破片やペットボトル、ペンキ、卵、果物などを総領事館に向かって投げた。警察はデモ行進に同行して監視しているだけであった。政府は、デモに参加した学生たちを専用バスで学校に送った後、コンテナで日本総領事館入口の万山路を閉鎖した。
上海市内では、暴徒により日本料理店など10軒以上が壊された。この日の上海のデモ参加者は、最終的に10万人に達した模様である。反日デモの一部は暴徒化しており、中国人経営の日本料理店や中国人が乗っている日本車に対して、大勢で襲撃した。日本人がデモ参加者に追い掛け回される騒動があったほか、中国人に取り囲まれた日本人2人がパトカーに逃げ込んだが、群衆がパトカーの窓ガラスを割ったため、2人は頭などに軽いケガをした。
日系企業では、看板など日本語が書かれた部分を布で隠したり、外では日本語を話さないように指示をしたり、家族を帰国させたり、日本からの出張を中止したりなど、被害に遭わないための対処をしている。旅行会社も、観光客の身の安全の保障が取れないためか、パッケージツアー旅行中止の措置が取られた時期もあった。また、休業中の日本料理店が放火されるという、極めて悪質な事件もあった。
デモ(暴動)参加者の無差別破壊活動により、日本料理店等が破壊されたことについて、中国政府は一切の補償はしないことになっているが、非公式に上海市人民委員会が損害賠償の話を進め、窓ガラス数枚程度割られる被害にあった日本料理店に対して、ガラス代数千円規模のもののみ弁償が行われたという情報もある。日本総領事館にも建築物を所有する不動産店から同じような要請があったが、日本国内のイメージダウンを警戒してか受け入れたと言う情報はない。
デモ参加者は、上海の都市戸籍を持たない地方(農村戸籍)と国内の経済ライバル地域からの若者が多い。4月25日(月曜日)、中国の検察機関は暴動参加者の調査を始め、16人を逮捕した(李碧純(湖南省)、张建勇(湖北省)、尹秀峰(上海市))。またネットでデモを呼びかけた湯曄という上海の若者をも逮捕して、懲役5年の判決を言い渡した。同日上海市共産党党部の機関紙解放日報の社論は「大量の証拠により、今回の違法デモは愛国的な行動ではなく違法な行為であり、民衆が自発的に行ったものではなく背後に陰謀がある」と指摘した。
また、「沖縄を中国に返せ」と書かれたビラが出たと、沖縄県の沖縄タイムスが報じた。
香港における活動
4月10日、香港教育評議会と中国歴史教育学会などが連携して、署名活動を行った。彼らによれば、日本の尖閣諸島(中国称釣魚台群島)の横領、歪曲された教科書の検定通過、および日本の国連安保理常任理事国入りに反対し、4月17日(日)にデモ行進が行われた。他の地域と違って警察に従ったデモであったが、参加者は数千人規模となった。
中国政府の対応
4月10日、中国外交部スポークスマンは、「デモは日本の侵略の歴史に対する誤った対応を不満に思った民衆が自発的に起こしたもので、デモの参加者には冷静で理知的、かつ合法的で秩序のある振舞いを求める」との態度を示した。後に参加者の若干名を逮捕しているようだが、どのような基準による逮捕か不明である。また上海市当局は、日本政府や企業に対するデモ隊の破壊行為について謝罪を拒否した。
4月17日急遽訪中した町村信孝外相は、北京の釣魚台賓館で中国外交部長李肇星と会談し、謝罪と補償を求めたが、李外相は今回の事態は日本の行動が中国人民の心情を傷つけたために発生したものであり、中国政府としては謝罪しないことを明らかにした。
4月18日、温家宝首相は町村外相との会見を拒否し、代わりに会見した唐家璇国務委員は、「東シナ海のガス田開発で中国国民を刺激すれば計り知れない結果をもたらす」と警告した。
4月19日中国中央テレビの情報で,中国共産党は,北京で党や軍の幹部約3,500人を集めて日中関係に関する異例の大報告会を開き,李肇星外相が「無許可デモに参加しないよう」呼び掛けたというのがあった。2004年に開催されたサッカーのアジアカップで起こった観客の暴動が、CNN等海外メディアに報道されたことによる時と同様なイメージダウンを避けるための意識した戦略が見てとれる。
4月23日、商務部の薄熙来部長が、「不買運動」は日中貿易を妨害してると伝え、「日本製品のほとんどが中国から生産された商品であり、不買運動は良いものではない」と記者会見で答えた。
5月4日、大規模な反日デモが懸念されたが、中国政府の事前の警告の結果、組織的なデモは発生しなかった。しかし、江沢民前国家主席が、この日南京市内の南京大虐殺記念館を訪問していたことが後日判明。現在、この行動が江沢民の意思の表明であることは確実視されているが、江沢民本人は一連の反日デモについて一切何も語ってはいない。
中国での報道
中国のインターネット・ニュースや報道で、反日デモ自体は17、18日ごろになり伝わり始めていたが、中国国内での報道は規制されており、デモで投石など暴力・破壊行為が行われたことは伝わっていない。4月21日から、中国中央宣伝部の指示により、中国のマスメディアは人民に対して、デモに参加せず秩序を守るように呼びかけ始めていた。
日本における反応
外務省は、在外日本人に対する嫌がらせ行為(タクシーへの乗車拒否、セクシャルハラスメントやヘイトスピーチの嫌がらせ電話・電子メール、取り囲み、暴行)があった事を警告し、日本国政府は日本人に冷静になるよう呼びかけている[3]。暴動の被害については中国政府に抗議するとともに、謝罪と損害賠償を求めた。日系家電メーカー各社の中国人顧客向けフリーダイヤルには嫌がらせ電話が続き、留守番電話に切り替える対応に追われた。日本人入居者向けに、市内のスーパーに「買い物バス」を出しているマンションも出た。
また日本のマスメディアは、デモ隊の一部が暴徒化したシーンを繰り返し報道した。
デモ後に、東京都港区の中国大使公邸が、ペンキで汚されたりドアが傷つけられたり、大使館教育処に爆弾送付の電話があったりした他、大阪・福岡・長崎の総領事館には、片栗粉と推定される白い粉(炭疽菌テロへの便乗)、拳銃の薬莢、銃弾風の金属片、剃刀の刃などがデモを誹謗する内容のメモ同封で郵送されている。更に在大阪総領事館では、男がガラス瓶を投げ込んだ後、焼身自殺を図る事件が発生。4月18日早朝には、日中協会の神奈川県の事務所、文京区の日中学院にエアソフトガンでベアリングが撃ち込まれた。中国銀行横浜支店には火炎瓶が投げられ、右翼の男が現行犯逮捕されている。被害は10都道府県25箇所に上る(4月19日現在)。25日には山梨県で友好記念樹が何者かに切り倒され、赤スプレーがかけられた。内閣総理大臣小泉純一郎も記者会見で、こういった日本での事件について「それはいけませんね」と答え、「反日感情が出ている時こそ友好意識を持つ事が大事だ」と述べた。
それに影響してか、東京韓国学校にも4月15日に“出て行かねば皆殺す”との脅迫電話があった。
日本国内では大規模な反中デモや集会などは起きておらず、平静を保っている。しかし、10都道府県(4月19日現在)で25件の中国関連施設での嫌がらせが明らかになり、中国に対する反感は表面に表れつつある。4月18日には、在日中国大使館で黄星原参事官が記者会見を行い、日本での中国関連施設に対する嫌がらせはテロや脅迫・破壊行為であるとし、日本政府に対して安全確保、釈明、謝罪、補償を求め、抗議するに至った。また、日本の報道機関に対しても「被害や犯行を矮小報道している」と不満を表明し、バランスの取れたものにするよう求めている。
4月23日には、東京で中国の反日暴動に対して200人ほどのデモ行進が行われた。他にも、東京で台湾人など数十名ほどが集まり、中国における歴史問題や台湾外交等について批判する反中デモが起こった。
2004年にブームとなり、2005年に入っても伸びていた中国旅行はゴールデンウィークを前にキャンセルが続出し、5月連休時の臨時増便を取りやめた航空会社も続出した。また、中国への修学旅行をキャンセルする高校も続出した。
日本政府は、4月22日の小泉・胡会談に先立ち、東シナ海海底ガス田問題を打開するため中国側提案を受け入れる方針を固めた。中国側のデモ収束決定と併せて考えると、一連の動きは中国共産党が日本の譲歩を引き出すために仕掛けたと推定できる。
三谷博と劉傑は共同で『朝日新聞』に寄稿し、中国による軍拡、東シナ海・南シナ海における軍事恫喝、反日デモの暴力行為、反日教育などは一切批判せず、反日デモのすべての原因と問題は、小泉純一郎首相の靖国神社参拝と新しい歴史教科書をつくる会の歴史教科書であり、中国は一切悪くなく、悪いのはすべて日本であり、反日デモの原因と問題は日本にだけ存在するという認識を示した。
反日運動の主な内容
「愛国無罪」や「日本製品ボイコット」などを叫び、成都、深圳、広州、北京などの大都市でデモ行進した。一部のデモ隊が暴徒化し、日本料理店などに破壊活動を行った。上海では、日本人留学生3名が中国人とみられる人物により暴行を受け、重傷(内1人は意識不明の重体にもなった)を負った。後に、暴行を加えたうちのひとりとみられる中国人の男1人が逮捕された。日本料理店だけでなく、日本製品を使う中国人に対しても激しく攻撃するなどの感情的な行動もみられる。日本料理店については、近辺のライバル店の集団が突如現れ激しく攻撃するなど、便乗行為すら発生しているという報告もある。
反日運動の中国側の主張
日本が戦争犯罪を認めない国家として、国際連合安全保障理事会常任理事国に入る事は世界平和に貢献できない
扶桑社の歴史教科書(→歴史教科書問題)は歴史を歪曲している
日本の右翼が日中戦争を歪曲している
尖閣諸島における領海主権要求問題や東シナ海の海底資源問題
ウィーン条約違反
北京にある日本大使館では窓ガラス約20枚が割られ、上海でも13枚の窓ガラスが割られるなどして日常業務に支障が出ており、この件についても特に警官隊が静止するようなことはなく事実上黙認し、謝罪も拒否している。
中国も批准しているウィーン条約の第31条(領事機関の公館の不可侵)は、これらの行為を防止する義務を有していることから、中国政府は重大な違反を犯していることになる。
中国政府の対応の意図
中国政府は、近年、経済発展と国内社会の安定を国家の中心課題として取り上げている。しかし現在中国は、経済発展に向かう「政府」と「共産党」との間に、思惑のズレが見られている。しかも、デモが「愛国無罪」と愛国心を前面に出して行われているため、強く制止すると批判が逆に政府に向いてしまうことが懸念され、中国政府はデモを容認するしかないのではないか、との見方が日本を含めた海外では主流である。
これらのデモは、扶桑社の歴史教科書問題だけではなく、日本の国連安全保障理事会の常任理事国入り阻止も問題にしており、また、東シナ海海底天然ガス田をめぐって日中の対立が表面化し始めた時期とも重なるからである。少なくとも、日中の交渉に反日デモによる威圧を利用しようとする動きは、明瞭に観察できる。また、現在の好景気が外国資本(主にアメリカや日本)によるところが大きいこと、それ以上の過熱化を防ぐために引き締めを行う非常に重要な時期であること、北京オリンピックや上海万博などを控えたこの時期にボイコットなどを含めた日本との対立を避けたいということが考えられる。
東シナ海ガス田問題
東シナ海ガス田問題(ひがしシナかいガスでんもんだい)は、東シナ海での日本国と中華人民共和国(中国)のガス田開発に関わる問題である。
概要
問題となっている海域には、中国側の調査で春暁(日本名:白樺)、断橋(日本名:楠)、天外天(日本名:樫)、平湖、冷泉(日本名:桔梗)、龍井(日本名:翌檜)、残雪、残雪北の8ガス田が確認されているが、春暁(白樺)、断橋(楠)においてはその埋蔵地域が日中中間線の日本側海域に掛かっているため両国間の問題になっているほか、日本政府は天外天(樫)、龍井(翌檜)についても資源が中間線を越えて広がっている可能性を指摘している。
日本は2005年に経済産業省が中国に対抗し民間開発業者への試掘権付与手続きを行うなどしていたが、その後経産大臣に二階俊博ら親中派議員が配置されたこともあり一転してソフト路線となり、現場に海軍を配置して強硬に開発を推し進める中国に対して傍観するしかない状況となった。地区を限定して共同開発する話もあったが、その後一方的に共同開発より格下の「出資」扱いとされてしまった。対中関係を配慮するばかりに、この問題における出遅れや対応の遅さが指摘されている。
主張する海域の違い
問題となっているガス田は、両国の排他的経済水域内にあり、日本はその権益の範囲を現在国際的に一般的な日中中間線とするのに対し、中国は1970年代頃までの国際法上の解釈に基づく大陸棚の先端沖縄トラフまでを主張している。
こうした排他的経済水域に関わる問題は、国連海洋法条約において「関係国の合意到達の努力」に委ねられているが、解決が見られない場合は調停を要請できる。それでも解決が見られない場合は各裁判所に要請する事ができる。当条約は平和的解決を要求しているが、条文には強制力がないため、関係国がこれに応じない場合調停や裁判所での解決ができない。日本・中国共に国連海洋法条約に批准しており、日本は国際司法裁判所や国際海洋法裁判所に付託する事を中国に要請しているが、中国はこれに応じていない。
経緯
中国政府は、この海域の資源開発研究を30年以上前から続けており、1999年に平湖ガス田(全体が日中中間線より中国側にあるガス田)で天然ガスの生産を開始している。
中国は経済成長により電力需要が逼迫していることから、春暁(白樺)、天外天(樫)両ガス田でも日本の抗議にもかかわらず採掘施設の建設を進め、2005年9月下旬には、日中中間線から4キロメートルの位置で天外天ガス田の生産を開始した。なお、11月にも操業を始めるとみられる春暁(白樺)の採掘施設は、中間線から1.5キロメートルしか離れていない。
日本政府の対応と中国の反応
2004年
6月、中国が春暁(白樺)の本格開発に着手したことがわかり、春暁(白樺)・断橋(楠)付近の海域を独自に調査。春暁(白樺)・断橋(楠)は地下構造が中間線を挟んで日本側につながっており、天外天(樫)、龍井(翌檜)もその可能性があることを日本政府は確認した。このため、中国が日中間で地下構造がつながっているガス田の採掘を始めると日本側の資源まで吸い取られてしまう可能性が高いとして問題視している。そして、外交ルートを通じて当該海域での開発作業の即時中止と、地下構造のデータ提供を求め続けているが、2005年現在、中国側はデータ提供を拒んでいる。
2005年
7月、当時の中川昭一経済産業大臣は帝国石油に試掘権を付与した。日本の資源を守る目的があるとされた。試掘権付与手続きと平行して、日本政府は中間線付近の5ガス田に日本名を命名した。春暁は「白樺」、断橋は「楠」、冷泉は「桔梗」、天外天は「樫」、龍井は「翌檜(あすなろ)」とし、公文書などでも使用を始めた。しかし小泉首相は中川を農水大臣に横滑りさせ、親中派として知られる二階俊博を経済産業大臣に任命する。二階は中国を刺激しないように外交ルートを通じての話し合いに終始し、結果的に日本による試掘は頓挫することになった。
中国側は日本の抗議に対し日中共同開発を提案していたが、日中中間線より日本側の領域のみの共同開発としているため、日本政府は受け入れを拒否した。2005年10月、同問題についての日中局長級協議で、日中中間線をまたぐ春暁など4ガス田に限って共同開発する提案を中国側に行った。中国政府は「日本の行為(試掘権付与)は中国の主権と権益に対する重大な挑発かつ侵害」「強烈な抗議」と自国の行為を棚に上げて反論している。中国は、中国海軍の最新鋭艦であるソヴレメンヌイ級駆逐艦を含む5隻程度の艦隊でガス田周辺の警備を行っており、管轄の南京軍区や東海艦隊は、ガス田開発問題が表面化して以降、日本との突発的な軍事衝突に備えて第一級警戒態勢を布き、幹部の無許可での移動を禁じていると言われている。
2008年
6月8日、中国政府は春暁ガス田の共同開発相手として日本企業の参加も認めると伝えてきた。
東シナ海ガス田が全て操業を開始したとしても、大消費地の上海周辺の需要量から、1-2年の需要を賄なう程度の埋蔵量しかないのではないかと推定されており、日本はもちろん、中国側から見ても決して採算性のある事業ではない。そのことから、中国の真の狙いは、ガス田の開発それ自体より、日中中間線付近に複数のプラットフォームを建設することにより、日中中間線近くの海上に「事実上の中国領土」を人工的に作り上げ、第一列島線の一部でもある東シナ海の制海権と軍事的優位を確立することにあるのではないかと推定されている[1]。
6月18日、日中両政府がガス田問題で合意。共同プレス発表で、(1)「白樺(しらかば)(中国名・春暁)」に日本が開発に参加する(2)「翌檜(あすなろ)(中国名・龍井)」南側の日中中間線をまたぐ海域での共同開発区域付近での共同開発--との合意内容を明らかにした。両政府は、具体的な合意内容は条約交渉を経て確定するとした。「樫(中国名・天外天)」と「翌檜」本体、「楠(くすのき)(中国名・断橋)」は共同開発の合意に至らず、「共同開発をできるだけ早く実現するため、継続して協議を行う」とした。
2009年
1月4日、『産経新聞』が、2007年6月18日の日中両政府間の政治合意後も、中国が「樫」(天外天)で単独開発をしている事実をスクープした。
2008年7月、海上自衛隊のP3C哨戒機が、樫(天外天)のプラットホーム周辺の海域が茶色く濁っているのを確認し、変色した海域が拡大したり、海面が激しく泡立ったりしたのも把握した。また、同月頃にパイプやドリルを使い、樫(天外天)で掘削を開始した。掘削は最短で1カ月程度で終わるとされることから、石油と天然ガスの採掘に入ったとの見方が強いと報じた。そして、同日、中国外務省の報道局長は「天外天(樫)が中国の海域であることは争いがなく、作業を行うのは固有の権利で日本との間に共同開発の問題は存在していない」と強く反発した。
2010年
5月16日、『産経新聞』は、中国が2010年から圧力外交に転じ、日本に対して「白樺」ガス田(中国名・春暁)を共同開発より格下の「出資」とするように要求したと報じた。親中派の鳩山由紀夫首相は関係閣僚と協議してこの要求を受け入れ、出資比率の5割超を中国側に譲る方針を決めたことを報じた。
3月18日、中国海軍は、沖縄、沖ノ鳥島近海で軍事訓練を実施、艦載ヘリによる日本の海上自衛隊護衛艦への異常接近行為や、日本側哨戒機に中国艦が速射砲の照準を合わせるなどの武力示威行為をおこなった。4月10日にも東シナ海で中国海軍の武力示威行動が発生した。
4月20日、海上自衛隊のP3C哨戒機に速射砲の照準を合わせ、撃墜の威嚇行動を取っていたことも判明した。
5月3日、中国の海洋調査船が日本の排他的経済水域(EEZ)内で調査中の海上保安庁測量船に接近し、調査の中止を要求する事態が発生したため、日本側は中国政府に厳重抗議をおこなった。
2016年
2016年10月、川村泰久外務報道官は新たにガス田開発施設2基の活動なされている可能性が高い炎の確認がなされたとし、同月12日までに金杉憲治外務省アジア大洋州局長により駐日中国大使館に対して「一方的な資源開発は認められない」との抗議がなされた。
2019年
菅義偉官房長官は2019年3月22日の記者会見で、東シナ海の「日中中間線」付近で中国の移動式掘削船がガス田の試掘とみられる活動をしていることに対して、日本政府が外交ルートを通じて中国政府に抗議したことを公表した。
関連する国連海洋法条約の条文
国連海洋法条約
第5部 排他的経済水域
第74条 向かい合っているか又は隣接している海岸を有する国の間における排他的経済水域の境界画定
向かい合っているか又は隣接している海岸を有する国の間における排他的経済水域の境界画定は、衡平な解決を達成するために、国際司法裁判所規程第38条に規定する国際法に基づいて合意により行う。
関係国は、合理的な期間内に合意に達することができない場合には、第15部に定める手続に付する。
関係国は、1の合意に達するまでの間、理解及び協力の精神により、実際的な性質を有する暫定的な取極を締結するため及びそのような過渡的期間において最終的な合意への到達を危うくし又は妨げないためにあらゆる努力を払う。暫定的な取極は、最終的な境界画定に影響を及ぼすものではない。
関係国間において効力を有する合意がある場合には、排他的経済水域の境界画定に関する問題は、当該合意に従って解決する。
第6部 大陸棚
第77条 大陸棚に対する沿岸国の権利
沿岸国は、大陸棚を探査し及びその天然資源を開発するため、大陸棚に対して主権的権利を行使する。
1の権利は、沿岸国が大陸棚を探査せず又はその天然資源を開発しない場合においても、当該沿岸国の明示の同意なしにそのような活動を行うことができないという意味において、排他的である。
大陸棚に対する沿岸国の権利は、実効的な若しくは名目上の先占又は明示の宣言に依存するものではない。
この部に規定する天然資源は、海底及びその下の鉱物その他の非生物資源並びに定着性の種族に属する生物、すなわち、採捕に適した段階において海底若しくはその下で静止しており又は絶えず海底若しくはその下に接触していなければ動くことのできない生物から成る。
第78条 上部水域及び上空の法的地位並びに他の国の権利及び自由
大陸棚に対する沿岸国の権利は、上部水域又はその上空の法的地位に影響を及ぼすものではない。
沿岸国は、大陸棚に対する権利の行使により、この条約に定める他の国の航行その他の権利及び自由を侵害してはならず、また、これらに対して不当な妨害をもたらしてはならない。
第79条 大陸棚における海底電線及び海底パイプライン
すべての国は、この条の規定に従って大陸棚に海底電線及び海底パイプラインを敷設する権利を有する。
沿岸国は、大陸棚における海底電線又は海底パイプラインの敷設又は維持を妨げることができない。もっとも、沿岸国は、大陸棚の探査、その天然資源の開発並びに海底パイプラインからの汚染の防止、軽減及び規制のために適当な措置をとる権利を有する。
海底パイプラインを大陸棚に敷設するための経路の設定については、沿岸国の同意を得る。
この部のいかなる規定も、沿岸国がその領土若しくは領海に入る海底電線若しくは海底パイプラインに関する条件を定める権利又は大陸棚の探査、その資源の開発若しくは沿岸国が管轄権を有する人工島、施設及び構築物の運用に関連して建設され若しくは利用される海底電線及び海底パイプラインに対する当該沿岸国の管轄権に影響を及ぼすものではない。
海底電線又は海底パイプラインを敷設する国は、既に海底に敷設されている電線又はパイプラインに妥当な考慮を払わなければならない。特に、既設の電線又はパイプラインを修理する可能性は、害してはならない。
第80条 大陸棚における人工島、施設及び構築物
第60条の規定は、大陸棚における人工島、施設及び構築物について準用する。
第81条 大陸棚における掘削
沿岸国は、大陸棚におけるあらゆる目的のための掘削を許可し及び規制する排他的権利を有する。
日本の戦争謝罪
戦争謝罪(せんそうしゃざい)とは、日本がこれまで1940年前後に戦争等を通して諸外国に与えた損害について、日本政府などが公式あるいは非公式に表明してきた「謝罪」のことである。
本項では、日本への謝罪要求についても概説する。
概要
日本の戦争犯罪に対する認識が足りないとする立場からは、政府がこれまでに発してきた謝罪声明が「公式な謝罪」と認めるには不充分なものであるという認識から、「まだ日本は罪を充分に認め、謝罪していない」とする主張が存在する。これに対して、「国家間の謝罪としては、これまでに何度も発せられてきた謝罪声明で既に充分であり、これ以上繰り返す必要はない」という意見もある。
前者は、日本という国が戦争に関する責任をまだ果たしていないという見方を、後者は、日本が既に責任を果たした(あるいは責任など無い)という見方を持っていることが多い(ただし、戦後の国家間の様々な条約により謝罪は既に完了したとする立場もある)。中国・韓国・北朝鮮の政府や団体が、日本の謝罪が不充分とする意見を表明することがしばしばある。
日本による謝罪
「日本の戦争謝罪発言一覧」を参照
日本が謝罪した主な事例を挙げる。
中華人民共和国 : 1972年の日中共同声明
アジア諸国(および「多くの国々」):村山談話
韓国:日韓共同宣言
北朝鮮:日朝平壌宣言
オランダ:小渕恵三首相が2000年2月の首脳会談において「日本がオランダ人戦争被害者を含む多くの人々に対し多大の損害と苦痛を与えたことに対し、改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明」すると述べた。
イギリス:1998年のブレア首相との会談で橋本龍太郎首相がイギリス人捕虜に対する日本軍の取り扱いについて謝罪している。
謝罪内容
これまでに日本は以下の事柄について「謝罪」表明してきている。
植民地支配と侵略:村山談話、日韓共同宣言、日朝平壌宣言
中国への侵略:日中共同宣言、村山談話
欧米人の捕虜、民間人の収容:2000年2月の日蘭首脳会談、1998年の日英首脳会談。
慰安婦:宮沢喜一による謝罪、村山富市首相「平和友好交流計画」に関する談話(1994)、河野談話
創氏改名:橋本龍太郎首相が1996年の日韓共同記者会見において「おわびと反省の言葉」を表している。
南京事件:2000年に河野外相が政府見解として「南京入城後に、一般市民や非戦闘員を含む犠牲者が出たということについては否定できない事実」と述べているが、謝罪あるいは反省、遺憾の念は表明されていない。
昭和天皇は「今世紀の一時期において,両国の間に不幸な過去が存したことは誠に遺憾であり,再び繰り返されてはならない」と1984年の全斗煥大統領歓迎の宮中晩餐会における謝罪の言葉を述べた。しかし、「遺憾」などの表現は、日本の謝罪が未だ不充分であることの例として、中韓北だけでなく欧米のメディアでも取り上げられたことがあった(もちろん自国が過去の植民地に謝罪したことがないことも鑑みた論調の欧米メディアもある)。
また明仁天皇は1990年5月24日に盧泰愚韓国大統領を迎えた宮中晩餐で「我が国によってもたらされたこの不幸な時期に,貴国の人々が味わわれた苦しみを思い,私は痛惜の念を禁じえません」とのおことばを述べた。
謝罪が表明されている外交文書には日朝平壌宣言と日韓共同宣言がある。閣議決定として謝罪が表明されたものには村山談話がある。国会決議として表明されたものには歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議(不戦決議)があるが、これは「謝罪」の表現を欠くものとなっている(後述)。
中国・韓国などから繰り返される謝罪要求に、これまで日本政府が表明してきた数々の「反省」「謝罪」声明をもって謝罪は既に十分に済んでいるとして、例えば塚本三郎(元民社党委員長)は「日本政府は16回も謝罪を重ねてきた…それでも中国や韓国は政府の首脳が交替する度に同様の言いがかりを続けてきた。これ以上彼等の要求に付き合ってはいけない」と述べている 。また、アメリカのオークランド大学の地理学者、ジェーン・ヤマザキは、1965年の日韓国交正常化以降に行われた日本の国家レベルでの謝罪について、「主権国家がこれほどに過去の自国の間違いや悪事を認め、外国に対して謝ることは国際的にきわめて珍しい」と述べている。また日本の謝罪が功を奏していないことを指摘し、「謝罪が成功するには受け手にそれを受け入れる用意が不可欠だが、韓国や中国には受け入れの意思はなく、歴史問題で日本と和解する気がないといえる」としている。マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相は、2019年8月7日、訪問先の福岡県宗像市で毎日新聞のインタビューに応じ、日韓両国が対立を先鋭化させている現状について、「我々は過去は過去として捉えるべきだ。日本は(韓国に)すでに謝罪している。1度で十分だ」と答えた。。
謝罪と経済援助
詳細は「日本の戦争賠償と戦後補償」を参照
「謝罪外交」への批判
日本政府および公人による謝罪が繰り返されることについて、そのような外交行動を「謝罪外交」として批判する見解もある。小室直樹は国際法上、国家が「謝罪」するということは国家責任を負うことを意味し、賠償に応ずることを意味すると指摘し、首相や外相がひとたび謝罪すれば事実でないことについてもその責任を日本が負わされることになるとして「謝罪外交」を強く批判している。また、「謝罪外交(土下座外交)は、歴史教科書問題のときの昭和57年夏の宮沢喜一官房長官談話にはじまり、このときに中国と韓国が他国の教科書検定に口出すという内政干渉という暴挙に屈したことにはじまった」とし、「それ以来の謝罪外交によって日本国家は犯罪国家として認定されてしまった」と主張している。
日本への謝罪要求
外交カードとしての謝罪要求
中国、韓国、北朝鮮が戦争謝罪を政治的カード、外交カードとして利用していることの懸念から、日本政府が更なる謝罪声明の必要はないとする見解がある。
中国の江沢民は、1998年8月「(日本に対しては)歴史問題を始終強調し、永遠に話していかなくてはならない」と外国に駐在する大使など外交当局者を集めた会議で指示を出していたとされる。2005年の中国における反日デモの背後には中国政府の愛国主義教育により高揚された反日感情があり、こうした「歴史カード」を巧みに駆使しつつ3兆円を超える日本からのODAについては人民に伏せている現実を指摘し、それを批判せずただ謝罪外交を続ける日本政府を批判しているとされる。「結党以来、中国人民を虐殺してきた中国共産党にとって「反日」が唯一の「大義」であり存在意義である事や、朝鮮民族の歴史=属国としての歴史という歴史的経緯から両国とも振り上げた拳を下ろせない状態になっている」という見解もある[誰によって?]。
2005年には韓国の盧武鉉大統領が島根県の「竹島の日」制定や新しい歴史教科書問題についてふれ、「日本がこれまでやってきた反省と謝罪をすべて白紙化するものだ」と非難した。歴史教科書問題は内政問題であり、竹島問題は、戦争犯罪とは関係のない事柄であるにもかかわらずこのような声明が出されたことに、日本の戦争犯罪を「利用」し、外交利益を得ようとする意図が表れていると批判された。
「謝罪」表現の問題
日本の革新勢力(主に日本の行為を侵略戦争と断じ、日の丸や君が代に批判的な勢力)および中韓北が謝罪発言で問題にするのは、その表現方法である。ただ反省する、遺憾の意を表す旨しか表されていない場合は不充分であると判断する人がいる。しかし「充分な謝罪」の基準はあいまい、かつ感情が入る余地も大きいため、どのような発言に対しても「謝罪不足」と非難することができてしまう。謝罪要求をする側が一般に「公式」と認める「謝罪」とは、
謝罪するところの行為を侵略戦争、戦争犯罪などの罪悪であると認めている。
そうした犯罪、侵略行為に対して、自国に責任があると認めている。
端的に「謝罪」またはそれに準じる表現で謝罪を表明している(「遺憾」「反省」などの表現は謝罪と認められない)。
日本が過去の罪を、謝罪要求側の歴史認識どおり全て認め、未来においてそれ以外の主張を認めず永遠に反省を続けること。
の4つの条件を満たしているものである[要出典]。
1に関しては、日本の首相で先の戦争を「侵略戦争」であると認めたのは1993年記者会見での細川護煕が最初であるとされる。
2に関しては、日中共同声明 において「責任を痛感し、深く反省する」と表したのが最初である。
3に関しては、1990年5月の海部首相によるものが最初である。
4については未だに実現されていないため、日本の謝罪を十分であるとは結局のところ認められていない。
日中間における謝罪表現の問題
日本と中国とでは同じ東アジア文化とはいえ、異文化であり、謝罪表現や言葉や行動の意味が異なる[15]。以下にみるように日中外交においても、そのような文化的な違いにもとづくともとれる摩擦が生じ、日本の謝罪についてこれまでにさまざまな問題が発生した。
「お詫び」と「謝罪」
1972年の日中共同声明において田中角栄首相が「お詫び」という言葉を使ったさい、翻訳の問題もあり、中国側では深刻な謝罪表明でなく、軽い謝罪と受け止められ、問題視された。しかし日本側の外交努力によって、共同声明は無事発表されたが、この事件がのちの90年代以降にも再言及され、繰り返されている。日本の外務省および欧米の主要メディアは一般に「お詫び」を「apology」等に翻訳して、充分な「謝罪」表現として認識しているが、中国側ではそうではないことがしばしばある。また、日本側が「謝罪」と明記しなかったのは、日中戦争が一方的な侵略戦争でなく、通常の一般的な戦争であったと認識していたためとの見解もある。
1998年の日中共同宣言において、日本政府は1972年の日中共同声明 を踏襲し「責任を痛感し、深く反省する」という同じ表現を繰り返した。中国側は、同1998年に先に結ばれた日韓共同宣言が「お詫び」という表現を率直に使用していたことから同様の「謝罪」を期待していたところ、1972年の「反省」が繰り返されたために、これを批判した。なお、小渕首相は会談においては口頭で「お詫び」を言っている。
2005年のアジア・アフリカ首脳会議におけるスピーチで小泉首相は村山談話を踏襲する形で「謝罪」を発したが、人民日報など中国の主要メディアはこれが「謝罪」ではなくより「軽い」表現である「お詫び」(中国語の「歉意」に翻訳される)という表現を使用していることから、批判した。
朱鎔基の発言
中華人民共和国に対しては謝罪内容を持つ声明が日中共同声明 にある。これはしかし「謝罪」という言葉を使用していない。そのためか、中華人民共和国側としては未だ公式な謝罪が無いという認識である。例えば朱鎔基首相は以下のように発言している:
日本は全ての正式な文書の中で、中国の人たちに謝罪したことはありません。もちろん95年の村山元首相が、非常に概括的にアジアの人たちに謝罪をしました。しかし正式な文書の中では、中国の人たちに謝罪をはっきりとしたことはありません。
村山元首相は日本政府を代表して、初めて侵略戦争を公式に認め、関係国の被害者に謝罪した首相であり、我々はこれを高く評価している。
朱鎔基は村山談話を公式の謝罪表明として認めているが、しかし村山談話は特に中国だけに向けて発せられたものではない。しかし、中国も「アジア諸国」に含まれる以上、中国に対しても謝罪していることになる。
朱鎔基の発言に関する日本側の反論として、日本の外務省事務次官は「わが国から申し上げると、ひとつの原点が1995年の内閣総理談話というものがあって、これでわが国政府の正式な立場を表したものであるが、その中で過去の一時期に植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたことに対し、当然中国をも大きく念頭に置いていたわけであり、『痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします』としている。3年後の98年に江沢民国家主席の訪日の際にも、首脳会談の中で、小渕総理(当時)より、今申し上げた95年の内閣総理談話において痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明したことを説明し、『日本政府は改めてこの反省とお詫びを中国に対しても表明する』と明確に伝えている。従って、改めて文書どうこうという話ではないであろうと思う」と述べた。
公式謝罪と私的謝罪
日本を糾弾する人々の言う「公式な謝罪」とは、一般に
日本国政府または日本国を公式に代表する者が表したもの
発言者が私人としてでなく公式の権限において表したもの
に限られるという意見である。
1に関しては、首相、大臣、内閣、国会、天皇以外の者、例えば左派政党の一国会議員が謝罪しただけでは、「日本国の謝罪」としては認められないとする意見。
2に関しては、村山談話が発表される直前の不戦決議草案が「謝罪」の表現を含んでいたため国会で却下されたことを理由に、村山談話を首相個人の私人としての発言でしかないとする批判がある。また、日本国政府を代表する公人が公式の権限において発言する場合でも、記者会見や首脳会談などよりも外交文書や閣議決定、国会決議などにおいて謝罪する方が評価は高くなるとする意見もある。
失言と謝罪要求
謝罪声明自体は実際になされていても、首相や閣僚の失言(例:森喜朗首相の神の国発言)や首相、大臣の靖国神社参拝、歴史教科書検定などの問題から、「謝罪も実は口だけで本心では反省していない」と日本の右翼勢力や中韓朝から非難されることがある[22]。これらの非難に対して、失言についてはあくまで失言であり、それ以前の謝罪声明が虚偽であることの証明にはならない、あるいは、靖国神社参拝や教科書検定などの問題は同時期の戦争に関連した別の問題であって、そのことがそれ以前の謝罪の虚偽性を証明するものではないと日本側は説明している。
また日本と同じく第二次世界大戦の敗戦国であるドイツでも、戦争責任に関する「失言」が問題視されることがある。2007年4月にはバーデン=ヴュルテンベルク州首相のギュンター・エッティンガーが元ナチスであったことをとがめられたハンス・フィルビンガーに対して擁護したことが失言とみなされた
ドイツ「半導体生産ライン」、中国企業の買収却下
独政府が「技術と経済の主導権確保」を理由に
2022/11/21
ドイツの車載用半導体の生産ラインを買収しようとしていた中国企業が、ドイツ政府から「技術と経済の主導権を守る」との理由で認可申請を却下されたことがわかった。
この中国企業は、深圳証券取引所に上場する半導体メーカーの賽微電子(SMEI)だ。同社は11月10日、ドイツ経済・気候保護省から11月9日付の決定通知書を受け取ったと発表した。
賽微電子(SMEI)は、100%子会社のスウェーデン企業サイレックス・マイクロシステムズを通じて、ドイツの車載用半導体メーカーのエルモス・セミコンダクターからドイツ国内の半導体生産ラインを8450万ユーロ(約124億円)で買い取る計画だった。
サイレックス・マイクロシステムズは2021年12月にエルモスとの契約に署名し、2022年1月に外国企業の直接投資に関わる許可申請をドイツ政府に提出。2022年後半の取引完了を目指していた。
しかし今回の決定により、賽微電子(SMEI)はエルモスの買収手続きをこれ以上進められなくなった。今後の対応について同社は、「関係先とともにドイツ政府の決定通知書を詳細に検討し、そのうえで判断する」としている。
中国の産業界に意外感
この事件は、ヨーロッパとのビジネスに携わる中国の関係者の間で意外感をもって受け止められた。というのも、今回の決定はドイツのオラフ・ショルツ首相の中国訪問の直後というタイミングだったからだ。
2022年11月4日、ショルツ氏は(2021年12月に)ドイツ首相に就任後初めて訪中し、習近平国家主席と会談。10月に開催された中国共産党の第20回全国代表大会の閉幕後、中国を訪れた最初のヨーロッパ首脳となった。
本記事は「財新」の提供記事です
ショルツ氏の訪中をめぐっては、ドイツ国内に反対意見もあった。だが同氏は、ドイツの大企業十数社の経営者を伴って中国詣でを敢行。このことは、両国の経済関係強化に前向きな動きだと(中国の産業界で)解釈されていた。
訪中直前の2022年10月26日にも、中国の国有海運大手の中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)がドイツのハンブルク港のコンテナターミナル運営会社に出資する計画(一帯一路)が、ショルツ首相の後押しにより条件付きで認可されたばかりだった。
(財新記者:張而弛)
中国政府機関、カナダによる中国企業への投資引き上げ命令に反発
2022年11月11日
カナダ政府は2022年11月2日、中国企業3社(注)に対して、カナダの重要鉱物企業からの投資引き上げを命じた。これに対して、中国政府機関が相次いで反発した。
カナダでは2022年10月28日に、中国への警戒の高まりを背景に、カナダの重要鉱物企業セクターを保護するための規定を強化したガイドラインを発表していた(2022年11月1日記事参照)。
中国外交部は2022年11月3日の記者会見で「鉱物資源のグローバル産業チェーン・サプライチェーンの形成と発展は、市場ルールと企業の選択がともに作用したものだ。カナダが国家の安全という概念を拡大し、人為的に中国とカナダの企業間の正常な経済・貿易・投資の協力に障害を設置することは、カナダ政府自身が掲げる市場経済の原則と国際経済・貿易のルールに背くものだ」と批判した。その上で「中国企業への不当な抑圧をやめ、カナダでの正常な経営活動に公平、公正、無差別のビジネス環境を提供するよう求める。中国政府は引き続き自国企業の正当な合法的権益を断固として守る」とした。
中国商務部は2022年11月6日、外交部同様に、中国企業の活動は市場経済の原則に基づいたものであり、カナダが国家の安全という概念を拡大して障害を設置することに反対した上で「経済・貿易の政治問題化をやめ、中国を含む各国の投資者のために、公平、公正、透明、無差別なビジネス環境を構築すべきだ。中国は必要な措置を取り、中国企業の合法的権益を断固として守る」とした。
新エネルギー車の市場拡大などを受け、中国ではリチウムをはじめ鉱物資源の安定調達の需要が高まっている(2022年5月30日付地域・分析レポート参照)。カナダでは今回の3社のほか、紫金鉱業集団によるネオ・リチウム(Neo Lithium)の買収(2021年10月19日記事参照)など、中国企業による関連企業の買収が行われている。
商務部直属の研究機関の中国WTO研究会の霍建国副会長は「これまで外国政府が中国の投資者に対して審査を行ったり罰則を科したりしたことはあるが、投資引き上げを求めたことはない」(「第一財経」11月3日)と、今回の事態の特殊性を強調した。
商務部研究院国際市場研究所の白明副所長は、今回の措置は国際貿易のルールに背き、米国の対中抑止に同調したものと批判し、中国企業の業績への影響は限定的な一方で、カナダにとっては長期的な影響が大きいとした(「環球時報」11月4日)。
(注)中鉱資源集団の子会社の中鉱(香港)稀有金属資源、盛新鋰能集団の孫会社の盛澤鋰業国際、蔵格鉱業の子会社の蔵格鉱業投資(成都)の3社。
中国企業側の公告によると、中鉱(香港)稀有金属資源はパワーメタルズ(Power Metals)について90日以内に、(1)全ての株式の売却、(2)独占販売協議の終了、(3)中国側が任命した役員の退職を求められている。また、盛澤鋰業国際はリチウムチリ(Lithium Chile)、蔵格鉱業投資(成都)はウルトラリチウム(Ultra Lithium)について90日以内に投資(投資プロジェクト内の権利を含む)を放棄し、投資促進のために行っている全ての商業活動を停止するように求められている。公告では、3社いずれも、今回の措置により業績に大きな影響はないとしている。
カナダと中国の2国間関係については、中国の通信大手華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)のカナダ国内での拘束、その報復行為とみられる中国でのカナダ人の拘束などを巡り、近年、関係が悪化している(2021年9月28日記事参照)。そうした中、中国がカナダに対して輸入規制の緩和に踏み切ったのは、ロシアのウクライナ侵攻により、菜種をはじめとする原材料および食料価格の高騰から、中国が自国の食料安全保障の立場を再考しての動きとの見方がある(「フィナンシャル・ポスト」紙5月19日)。
なお、カナダ政府は、菜種に関する中国の市場開放を歓迎する一方で、2022年5月19日、中国の通信機器メーカーである華為技術(ファーウェイ)および中興通訊(ZTE)を、国内の高速通信規格「5G」から排除することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。
(河野円洋)
カナダ政府、外国国有企業から重要鉱物セクターを保護するガイドライン強化を発表
2022年11月01日
カナダのフランソワフィリップ・シャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相とジョナサン・ウィルキンソン天然資源相は10月28日、カナダ国内の重要鉱物セクターに投資しようとする外国の国有企業から同セクターを保護するために規定を強化した最新のガイドライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに関して声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。カナダ政府が今回の規制強化を定めたのには、中国への強い警戒の高まりがあるとみられる。
声明で両閣僚は、重要鉱物はグリーンなデジタル経済を推進するために不可欠なものであり、その需要の増加と供給の制約がカナダに数世代にもわたって経済的機会をもたらしているとして、「カナダ政府は、気候・環境問題の目標を達成しつつ、機会を捉えるべく取り組んでいる」「だからこそ、カナダは、国内、北米圏、および世界中の志を同じくするパートナーとともに、北米の重要な鉱物サプライチェーンで戦略的な回復力を構築する必要がある」と述べている。
その上で、「その目標を支える外国からの直接投資は引き続き歓迎するが、そうした投資がわが国の安全保障と重要鉱物のサプライチェーンを脅かす場合、カナダは断固として行動する」としている。具体的には、重要鉱物のサプライチェーンが関係するケースでのカナダ投資法適用に関する追加の方針として、10月28日以降、カナダの重要鉱物セクターにおける外国の国有企業による重要な取引は、カナダにとって純利益が見込まれる場合にのみ例外的に承認するとしている。また、外国の国有企業がこうした取引に参加する場合、「取引価格には関係なく、その投資がカナダの国家安全保障に害を及ぼす可能性があるとみるに足る合理的な根拠を成し得る」として、外国国有企業による投資を明確に牽制している。
声明は「本日の指針は、カナダ政府が『重要鉱物戦略』を最終決定していく過程で生まれたもので、同戦略によりカナダは重要鉱物の世界的な供給国として位置づけられる」と締めくくっている。現地報道によると、政府は重要鉱物戦略を2022年内に発表する予定だ(CBCニュース10月28日)。
シャンパーニュ大臣は10月下旬のワシントン訪問中にレモンド米国務長官と会談し、重要鉱物のサプライチェーンに依存する戦略的な産業部門の強化のため、カナダと米国の重要鉱物行動計画の下で協力を強化することで合意したほか、滞在中にカナダのプロジェクトの売り込みを行ったもようだ。同会談の声明で、電気通信ネットワーク分野のサプライチェーン保護における中国排除の動きに関して、カナダが米国などに追随する意向を明確に表明したほか、「カナダが望んでいるのは中国からのデカップリングだ」「人は真に同じ価値観を共有できる者と取引をしたがるものだ」と述べたとされる。
10月11日には、クリスティア・フリーランド副首相兼財務相がワシントンでのイベントで、同盟国や友好国に限定した限定的なサプライチェーンを構築する、いわゆる「フレンドショアリング」(注)の重要性に言及したほか(2022年10月28日記事参照)、メラニー・ジョリー外相が27日に、米国が主導するインド太平洋経済枠組み(IPEF)へのカナダの参加を模索することを表明しており(2022年10月31日記事参照)、カナダ政府の今後の脱中国や友好国との連携の動きが注目される。
(注)同盟国や地域に限定してサプライチェーンを構築すること。米国が対中摩擦の中、敵対国から同盟国へと物資の供給元を切り替えることにより、サプライチェーンの安定化・強化を図ろうとする中で現れた概念。
(高山さわ)
カナダ政府、国連の新疆ウイグル自治区人権レポートを支持する声明を発表
2022年09月05日
カナダ政府のメラニー・ジョリー外相は9月1日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が8月31日に公表した中国の新疆ウイグル自治区における人権をめぐる状況に関する報告書を支持する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。
ジョリー外相は、強く待望されていた同報告書が公開されたことは非常に重要なことで、「新疆で発生している深刻で組織的な人権侵害と違反についての証拠を集積する上で重要な貢献をしている」と評した。ジョリー外相は、報告書は、ウイグル族やその他のイスラム教少数民族の恣意(しい)的かつ差別的な拘留は、国際犯罪、特に人道に対する罪となる可能性があると判断したものとしている。
また、カナダは、現在進行中の重大かつ組織的な人権侵害について、重大な懸念を繰り返し表明してきたとして、「続々と現れる証拠は、中国政府当局の主導による組織的な人権侵害を裏付けている。これらの証拠には、100万人を超えるウイグル族やその他のイスラム教少数民族の宗教や民族性に基づく大規模かつ恣意的な拘留や、広範な大規模監視、政治的再教育、性的暴力、強制労働、拷問、強制不妊手術などが含まれている」と述べた。
ジョリー外相は、中国政府とは2022年初めの会談を含め、政府間のトップレベルで直接対話をしてきたことについて触れたほか、諸外国との協力に関して、ファイブ・アイズの同盟国、G7、国連人権理事会といった国際的なパートナーと協力して、強制労働により生産された商品がカナダおよび世界のサプライチェーンに入り込むリスクに対処するために取り組んでいる点について触れた。
声明では、「カナダは中国政府に対し、国際的な人権上の義務を守り、OHCHR報告書で提起された懸念と勧告に対応するよう要請する。新疆ウイグル自治区の状況に対処し、中国政府がその行動の責任を問われることを確実にするために、国際的なパートナーと協力して協調行動を取り続ける」と締めくくられている。
カナダでは、関税定率法136条で強制労働により製造等された品目の輸入を禁止しているが、2020年7月には対象品目に「全体または一部が強制労働によって採掘、製造または生産された物品」が追加された。また、2021年11月には「サプライチェーンにおける強制労働および児童労働との闘いに関する法律を制定し、関税率を改正する法案(S-211)」および、中国の新疆ウイグル自治区で生産された物品の輸入を禁止する「新疆からの物品に対する関税率を改正する法案(S-204)」が上院に提出され(2021年11月26日記事参照)、それぞれ上下院での審議が続いている。
なお、OHCHR報告書に対しては、米国政府も9月1日に歓迎・支持する声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている(2022年9月5日記事参照)。
(高山さわ)
越中(ベトナム・中国)で共同声明発表、中国のCPTPP加盟や「一つの中国」を支持
2022年11月08日
ベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長は、中国共産党の習近平総書記(国家主席)の招待を受け、10月30日~11月1日に中国の北京を公式訪問した(2022年11月4日記事参照)。78歳のチョン氏の外遊は2019年に体調を崩して以来初めてで、習氏との会談は2017年以来となった。習氏にとっては、共産党大会で3期目に入って以降、初めて会う外国要人となった。
10月31日に、チョン氏と習氏の会談後、両氏立ち会いの下で両国間の貿易、農業、観光、環境などの分野に関する13の覚書に署名をした。11月1日には一連の成果として、包括的戦略的パートナーシップの継続的な促進と深化に関する越中共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。
経済、貿易面においては、両廊一圏の枠組み(注)と一帯一路構想の開発戦略のコネクティビティー強化、中国企業のベトナムへの投資奨励、電子商取引(EC)分野の物流協力や製品拡大促進の方向性などを確認した。ベトナム商工省は、中国商務部とサプライチェーン確保のための協力強化に関する覚書、中国税関総局と2国間貿易での食品安全に関する覚書をそれぞれ締結した。
インフラ面では、ベトナムのラオカイ、ハノイ、ハイフォン間の鉄道の標準軌化に向けた調査や、防災能力向上のための国際河川のデータ共有などを促進する。グリーン分野、気候変動対策では、積極的な協業を模索することが記載された。
また、ベトナムは中国が2021年9月に申請していた、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)加入要請も支持した。
「一つの中国」政策の支持を表明
今回の共同声明では、ベトナムは「一つの中国政策」を支持し、台湾の独立に向けた動きへの反対や、各国の内政不干渉を堅持する立場が明記された。
ベトナムは貿易額で中国と米国が占める割合が高く、対立を深める両国と切り離せない経済関係を持つ。米国との関係では、インド太平洋経済枠組み(IPEF)交渉参加を進めているが、中国との関係も維持しつつ、地政学的に難しいかじ取りが続いている。なお、今回の訪中代表団メンバーは、共産党の要職である政治局員、書記局員を中心に構成。国会会期中ということもあってか、国家主席、首相、国会議長をはじめ、商工相などの同行はなかった。
(注)2つの回廊と一帯の経済圏での2国間の経済協力枠組み。2つの回廊は、中国の昆明からベトナムのラオカイを通り、ハノイとハイフォンを経てクアンニンに至るルートと、南寧からランソン、ハノイ経由でクアンニンをたどるルートを指す。一帯の経済圏は、中国南部からハイフォンまでトンキン湾(北部湾)海域にまたがる地域を指す。
(萩原遼太朗)
習国家主席がベトナム書記長と会談、サプライチェーン構築などで協力
2022年11月04日
中国の習近平国家主席は2022年10月31日、北京市でベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長と会談した。中国外交部の発表によると、双方は「四好精神」(注1)と「16字の方針」(注2)を堅持し、伝統的な友好関係を固め、戦略的コミュニケーションを強化するとした。また、政治的な相互信頼を深め、意見の不一致の適切な管理を進め、新時代の両国間の全面的な戦略的協力パートナーシップを新たな段階に引き上げることで一致したとしている。
習国家主席は、経済面では両国間で安定した産業チェーン・サプライチェーンシステムを構築し、中国の技術集約的企業がベトナムへ投資することを奨励するとした。また、医療・衛生、グリーン発展、デジタル経済、気候変動対応分野での協力を深めるとした。
会談を受けて、2022年11月1日付で「中越の全面的な戦略的協力パートナーシップのさらなる強化と深化に関する共同声明」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが発表された。上記の協力のほか、ベトナムとの貿易不均衡緩和のために、ベトナムから中国側へのサツマイモ、かんきつ類、ツバメの巣などの輸入、中国からベトナム側への乳製品の輸入について市場アクセスを進めるとした。
また、南シナ海の状況について、2011年の「中国・ベトナムの海上問題解決指導の基本原則に関する合意」を引き続き順守するとともに、各自の主張・立場に影響しない過渡的、臨時的な解決方法を協議するとした。その上で、双方が受け入れることができる基本的かつ長期的な解決方法を探り、国際法に適合する「南シナ海行動基準」の合意を目指すとした。ベトナム側が「一つの中国」原則を支持することも盛り込まれた。
チョン書記長の訪中に先立ち、2022年10月29日付の「環球時報」は、ベトナムの「軍事同盟に加入しない、同盟を組んで他国に対抗しない、国内に外国の軍事基地を置かず他国との戦争に領土を利用させない、国際関係の中で武力の使用もしくは武力による威嚇は行わない」という方針を評価するとした。その上で、2022年10月の米国のダニエル・クリテンブリンク国務次官補によるベトナム訪問は、中国の外交上の孤立を狙ったものとして「中越関係は特殊な意味を持つことを、大国は理解できない」と評した。
(注1)「良い隣人、良い友人、良い同志、良いパートナー」の関係。中国語では全て「良い」という意味の「好」という文字がつく。
(注2)「長期安定、未来志向、善隣友好、全面協力」という方針。中国語で16文字で表現されている。
(河野円洋)
習国家主席が岸田首相と会談、ハイレベルの対話強化などで共通認識
2022年11月21日
中国の習近平国家主席は2022年11月17日、タイ・バンコクで岸田文雄首相と会談を行った。
習国家主席は中日国交正常化後の50年について、各分野での交流と協力により、両国の人々に幸福をもたらし、地域の平和、発展、繁栄を促進してきたと評価した。
その上で、歴史問題、台湾問題は両国関係の政治的基礎と基本的信義に関わり、約束を守り適切に対処すべきとした。
また、海洋問題や領土問題について、原則的合意を厳守し、政治的な知恵と責任感で対立を適切に管理すべきとした。政府、政党、議会、地方の往来・交流を行い、積極的な青少年交流を通じて相互に客観的で前向きな認知を形成すべきと強調した。
経済については、両国経済は相互に依存しており、デジタル経済、グリーン発展、財政・金融、医療・高齢者ケア、産業チェーン・サプライチェーンの安定性や円滑性の維持などで対話・協力を強化すべきとした。
中国外交部は、双方は以下5点の共通認識に達したと発表した。
中日関係の重要性に変わりはなく、今後も変わることはない。ともに中日の4つの政治文書(注1)の原則を順守し、「互いに協力のパートナーであり、脅威とならない」という政治的共通認識を実践する。ハイレベルの往来と対話を強化し、政治的信頼を強め、ともに新時代の要求に一致する建設的で安定した中日関係の構築に取り組む。
早期に新たな中日ハイレベル経済対話を実施し、省エネ・環境保護、グリーン発展、医療・介護、高齢者ケアなどの分野での協力を強化し、ともに企業に対し公平で、無差別の、予見性のあるビジネス環境を提供する。
中日国交正常化50周年に関する一連の活動を評価する。早期に新たな中日ハイレベル人文交流協議メカニズム会議を実施する。政府、政党、議会、地方および青少年などの往来・交流を積極的に行う。
早期に国防部門の海・空連絡メカニズムホットラインを開通し、防衛、海上部門の対話を強化し、2014年の4つの原則的共通認識(注2)をともに順守する。
国際地域の平和と繁栄を守る責任をともに背負い、国際地域の問題について協調・協力を強化し、グローバルな課題対応に努力する。
2022年11月15日付の環球時報は、「日本が会談を求めてきた」のは中米関係の積極的な動き(注3)の影響であり、「中国が原則を堅持し、自律を保てば、中国外交には広々とした空間が開けている」と評した。
(注1)1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明を指すとされる。
(注2)2014年に示された、東シナ海などをめぐる状況悪化回避などを含む4つの共通認識。
(注3)米国のジョー・バイデン大統領との会談については2022年11月15日記事、2022年11月16日記事参照)。
(河野円洋)
日中国交正常化50周年、習国家主席と岸田首相が祝電交換
2022年10月03日
中国外交部は9月29日、日中国交正常化50周年に当たり、習近平国家主席が岸田文雄首相と祝電を交換したと発表した。
習国家主席は祝電で「50年前の今日、中日のかつての指導者たちが時局を見極めた長期的な視点から、中日国交正常化という重大な政治的決断を行い、両国関係の新たなページを切り開いた」とした。その上でこの50年の両国関係について、4つの政治文書(注)と重要な共通認識により、各分野での交流と協力を絶えず深め、地域および世界の平和と発展を促進してきたと評価した。
習国家主席は今後の両国関係について「中日関係の発展を非常に重視している。岸田首相とともに、双方が国交正常化50周年を契機に、時代の流れに乗って、共同で新たな時代が求める中日関係の構築に注力するよう、リードすることを望む」とした。
李克強首相も岸田首相と祝電を交換した。李首相は「相互の対立や矛盾をコントロールし、国交正常化50周年を中日関係の新たなスタートとして、引き続き健全で安定した(両国関係の)前進を望む」とした。
2022年9月22日には李首相と、日本の経団連や日中経済協会、日中投資促進機構などをはじめとする経済団体・企業とのオンライン会見が行われた。李首相は国交正常化50周年に言及し、「中国は日本とともに、両国の協力を全方位的かつ幅広い領域で、マルチレベルでレベルアップさせることを望んでいる」とした。また、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の活用にも言及するとともに、新型コロナウイルス感染対策をしっかり行うという前提の下で、日中間の直行便を増加させるとした。
(注)1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言、2008年の日中共同声明を指すとされる。
(河野円洋)
日中国交正常化50周年を記念し、広州市で大湾区企業家サミット開催
2022年10月13日
日中国交正常化50周年を記念した「大湾区(注)企業家サミット」が2022年9月29日、在広州日本総領事館と粤港澳大湾区企業家連盟、広州日本商工会の主催により、広東省広州市で開催された。同サミットは日中企業間の協力関係強化を目的とし、同企業家連盟の会長企業を務める新華集団の蔡展思総裁をはじめ、広東省や香港、マカオの現地企業や進出日系企業関係者ら約200人が参加した。
サミットでは、中国企業の大湾区でのビジネスの取り組みが紹介された。農業用ドローン開発大手の極飛科技(XAG、本拠地:広州市)はドローンを活用した農業のIT化や、省人化への取り組みを紹介。今後は日本での製品普及についても意欲を示した。自動運転技術を開発するスタートアップ企業の文遠知行(WeRide、本拠地:広州市)は自社の自動運転に対する取り組みや無人タクシーの商用化について説明。同社の張力最高執行責任者(COO)は、中国の自動運転市場は今後最大6,400億ドル規模まで拡大するとの見方を示した。
「大湾区のイノベーションエコシステム」や「カーボンニュートラルに向けた日中企業連携」をテーマとしたパネルディスカッションも行われた。日中の企業関係者5人が登壇し、ジェトロがモデレーターを務めた。深セン市でスタートアップ企業の支援を行う深セン清華大学研究院の王羽主任は、大湾区の特徴として各都市で分業化が進んでいる点を強調したほか、三菱商事(広州)の張月華総経理は、国家戦略によるイノベーションの実施が大湾区の強みと述べた。激化する人材の獲得競争について、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)広州の吉田将史・華南エリア統括パートナーは、大湾区内の境界をまたぐヒト・モノ・カネの動きの流動化の必要性や、デジタル人材育成の必要性に言及した。
カーボンニュートラルに関する日中間の企業連携の事例では、張総経理から北京市などで進めているバッテリーのリサイクル事業を紹介。将来的なカーボンリサイクル事業の展開にも意欲を示した。(注)広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)を指す。
(田中琳大郎)
「2020年 オーストラリア編」
今、オーストラリアと中国の関係がひどく悪化している。
2020年6月8日、中国政府は中国人に対してオーストラリアに旅行しないよう勧告。中国の文化観光省のWebサイトには、「決して豪州には行かないように」との通知が掲載された。
中国側はこの勧告の理由を「オーストラリアで中国人への差別が横行している」からだとしている。だが直接の理由は、4月にオーストラリア政府が、新型コロナウイルス感染症に対する中国当局の初期対応などについて、WHO(世界保健機関)に独立的に検証する作業を求めたことがある。その報復として、中国政府は今、オーストラリアへのあからさまな「嫌がらせ行為」をいろいろと繰り広げているのだ。
まだこの対立が収まる兆しはない。そしてこの争い、日本にも対岸の火事ではない。というのも現在、オーストラリアの最大の貿易相手国は中国だ が、それがシフトしていく可能性もあり、そうなると日本とビジネス面でのつながりが増す可能性があるからだ。
オーストラリア政府は中国に対して、これから代わりに日本やインドとの関係をさらに強化するとも示唆している。つまり、日本のビジネスパーソンにとっても、この状況は知っておく必要があるだろう。
「新型コロナ発生の責任」を否定し続ける中国
現在、中国は「新型コロナウイルスの発生源である」という世界的なイメージに過激なほどの反論を続けている。例えば、世界中でTwitterなどを駆使し、新型コロナの感染拡大について中国の責任を転嫁するようなプロパガンダを行っている。在日中国大使館も、5月に「COVID-19ウイルスについて米国による24のうそとその真相」という5回シリーズの動画をTwitterで掲載している。世界中の大使館関係者やプロパガンダ要員などが中国の主張を拡散させている。
もちろん今のところ、新型コロナがどう発生したのか明確には分かっておらず、誰も100%正確なことは言えない状況ではある(もし誰かが真実を知っているにしてもそれが表には出ることは当面ないだろう)。要は、突っ込みどころの多い中国の言い分ですら100%間違っているとは今のところ言えないのが、新型コロナをめぐる情報を扱う際の難しさである。
とにかく、中国の対外イメージが低下しているのは間違いなく、それは中国の情報関連機関も認めている。中国政府系のシンクタンク、中国現代国際関係研究院では、新型コロナによって、中国に対する敵意が1989年の天安門事件以降で最も高まっていると分析している。中国はそれを何とか改善したいと考えているのである。
オーストラリアは2021年4月に国際社会に向けて独自調査を求めたことで、その中国の「地雷」を踏んだわけだが、もちろん全てを見据えた上での動きだと見る人は多い。なぜなら、これまでも、両国間にはさまざまな衝突があった。実のところ、オーストラリアによる中国に対する不信感はかなり根深い。
買収・投資でオーストラリアに侵食
オーストラリアと中国は経済的なつながりも深く、関係は悪くなかった。もちろん水面下ではいろいろな駆け引きはあったが、両者の関係が表面的にも悪くなりだしたきっかけの一つは、2016年までに大きくなっていた南シナ海問題だった。16年当時、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、南シナ海での中国の海洋進出を巡り、国連海洋法条約に基づいて、中国が主権を主張する独自の境界線「九段線」に国際法上の根拠がないと認定。中国が南シナ海に強引に造成した人工島は、「島」だと認めることすらしなかった。
さらに2017年になると、オーストラリア国内で中国が異常な活動 をしているという疑惑が明らかになり、両国関係がさらにギスギスするようになった。大きな話題となったのが、中国政府によるオーストラリアへの内政干渉工作だった。中国人留学生 を使ったスパイ工作 や、政治家へのひそかな献金 、中国人による土地買収 の強化などの行為が問題視されるようになっていった。
オーストラリアは、全土の2.3%を中国企業が所有しているとも言われている。また10年ほど前から、中国はカネに物を言わせて、オーストラリア企業の買収や投資をし、それに1500億オーストラリアドルが費やされているという。
さらにオーストラリアの基幹インフラ にまで手を出そうとした。15年には北部準州が、ダーウィン港の管理権を中国企業に99年間貸与 する契約を結び、大変な論争を引き起こした。有事などの際に港がどう中国側に使われるか分からないという懸念が上がったのである。また2016年には最大都市シドニーなどに送電する電力公社オースグリッドについて、中国国営企業などが買収 を試みたのだが、さすがに政府が安全保障上の懸念 があるとして売却を阻止したこともある。
少なくとも、中国がオーストラリアを乗っ取る勢いであったことは間違いない。中国は、オーストラリアで影響力を強めて親中にすることで、南シナ海問題でも自分たちが優位に立てると考えている。ちなみに中国のこうした動きは、インフラ投資 という名で今まさにバヌアツやフィジーやカンボジア、タイ、マレーシア、ラオスなどでも起きている。バヌアツのラルフ・レゲンバヌ外相は悪びれることなく、中国からの多額の投資 の見返りに、国連で中国寄りの投票を求められていると暴露している。
中国はオーストラリア産牛肉を一時、輸入禁止とした。写真は2019年、中国・北京で。
相手を借金漬けにして破産させ、メチャクチャに破壊させる。分かっていても「すまし顔」だ!!!。
ファーウェイの動きにいち早く警戒
中国は、オーストラリアの政治にも食い込もうとした。2019年5月にオーストラリア史上初めて中国生まれの中国系オーストラリア人女性が連邦議会の下院議員に当選。だがこの女性が中国共産党と近い企業と関係があるとして糾弾されている。また、中国のスパイ工作員とみられる中国人が、若い中国系オーストラリア人男性を連邦議会で当選させようと画策していた疑惑も取り沙汰されている。この中国系オーストラリア人男性は結局、ホテルで死亡しているのが発見された。
もう一つ忘れてはいけないのが、中国の電気通信大手、華為技術(ファーウェイ)の問題 だ。オーストラリアは、米国政府が同盟国にファーウェイ製品の排除を求めた際、真っ先に賛同した国だが、その理由は、以前から独自でファーウェイの動きを警戒していたからだった。オーストラリアの大手企業元幹部は筆者の取材に「2014年に、社内のネットワークからファーウェイ製品を介してデータが不正に中国に送信 されていることを察知した」と明かした。この大手企業は実際にファーウェイ側に説明を求めたそうだが、返答は「メンテナンスをしていた 」というものだった。結局、同社はファーウェイと契約を解除し、政府にも通達。「それ以降、オーストラリア政府は政府関係機関や大手企業にファーウェイ機器を使わないよう非公式に通達していた」という。
とにかく、こうした経緯から、最近のオーストラリアと中国の衝突は起きるべくして起きたのである。そして冒頭のように「オーストラリアに行くな」と告知したり、中国人留学生にはオーストラリア留学に慎重な判断をするよう促したりしている。また中国政府は、オーストラリア産の食肉 を一部輸入停止したり、オーストラリア産大麦 に追加関税を課すなどの措置にも乗り出している。さらにはつい最近、麻薬密輸の罪で逮捕されていたオーストラリア人が死刑判決 を下されたことも、中国による嫌がらせの一部と見る向きもある。
こうした両国の関係は、今後さらに冷え込む可能性が考えられる。
(中国に変わって) 日本は 「オーストラリアとの関係強化」に期待できる
日本としては、オーストラリアが中国と距離を置くことで、オーストラリアとの関係強化が期待できる。両国はこれまでも良好な関係を築いているが、その関係がさらに強まるかもしれない。事実、今後海外進出を考えている豪企業への調査では、進出先として日本は5位に入っている(2019年調査)。1位は中国で2位は米国だが、今年に入って中国とは対立し、米国は新型コロナや国内の暴動が不安要因として懸念されるようになっており、自ずと日本への注目も高まりつつある。
さらに、オーストラリアが進めているスマートシティ計画でも、日本の先端テクノロジーが注目されており、何かと警戒される中国製品よりも期待されている。オーストラリア国内では南東部などで大型のインフラ開発が進んでおり、そうした事業でも日本への期待が高まっている。
国民感情的にも、オーストラリアは中国よりも日本にさらに近づくだろう。新型コロナが落ち着けば、さらなる商機も見えてくるかもしれない。世界を見据えているビジネスパーソンならしばらくオーストラリアの動向は要チェックだ。
中国が「日本のEEZの言い分は存在しない」と主張
2022年8/5(金) 23:45配信
2022年8月4日に始まった中国軍の台湾攻撃に向けての大規模演習で、5発の弾道ミサイルが日本のEEZ=排他的経済水域内に着弾しています。中国軍の少将は、この演習が日本も対象であるとの認識を示しました。
中国軍の少将で国防大学の孟祥青教授は、中国国営の中央テレビに出演し、今回の6カ所の演習場所について「北のエリアは沖縄に近い」と指摘しました。
日本や沖縄の在日アメリカ軍なども対象にしたものとの見方を示した形です。
また「南のエリアはバシー海峡に近い」と述べ、南シナ海の入り口にあたるバシー海峡を封鎖する狙いもあるとしました。
そのうえで、「外部勢力の干渉を抑止する」と強調しています。
中国軍が発射した5発の弾道ミサイルが日本のEEZ(排他的経済水域)に落下したことについて、中国外務省は「日本のEEZの言い分は存在しない」と主張しました。
中国外務省・華春瑩報道局長:「日中両国は関連の海域で境界をまだ確定しておらず、日本のEEZという言い分は存在しない」
中国外務省は2022年8月5日の会見で、アメリカのペロシ下院議長の訪問に対抗しての台湾周辺での軍事演習について「事前に注意喚起した。国際法と国際慣行に合致している」などと述べ、安全上の問題はないと正当化しました。
また、日本のEEZに5発のミサイルが落下して日本政府が抗議したことについて、当該の海域は日中間で境界が確定していないと主張しました。
中国軍の前例なき大規模演習、4日間の日程終了 威嚇を繰り返す恐れ
2022年 8/7(日) 18:46
ペロシ米下院議長の台湾訪問への対抗措置として中国軍が台湾周辺で実施した前例のない大規模な「重要軍事演習」は2022年8月7日、事前に予告した4日間の日程を終えた。中台の「暗黙の境界」とされてきた中間線を軍用機や軍艦が越えたり、台湾上空を飛行する弾道ミサイルを発射したりといった威嚇が、今後も繰り返される恐れがぬぐえない。
中国軍で台湾方面を担当する東部戦区は7日、台湾周辺の空海域で演習を行い、地上攻撃や空中での遠距離攻撃能力の検証を行ったと発表。台湾国防部(国防省)も中国軍が台湾本島と海上の台湾軍艦に対する攻撃を想定した演習を行ったと公表した。
一方、中国の大手データ会社は2022年8月7日、衛星画像などを分析した結果、中国軍の052型ミサイル駆逐艦「南京」が2022年8月5日、台湾・花蓮沖の12カイリ以内に入ったとSNSで公表した。台湾の主張する領海にあたる12カイリ以内に中国軍艦が入ったことが事実であれば、異例の事態だ。
一連の演習はペロシ氏が2022年8月2日深夜に台湾に到着した直後、中国軍が国営メディアを通じて公表した。台湾を包囲するように六つの海空域に演習エリアを設定した。一部のエリアは台湾が主張する領海内の地域を含んでいた。さらに台湾海峡の演習エリアは中間線の台湾側に及んでいた。
土地規制区域 なぜ尖閣を指定しないか
市ケ谷の防衛省も・・・
2022/10/16
政府は、安全保障上重要な土地の利用を規制する土地利用規制法の「注視区域」や「特別注視区域」の候補地として、5都道県10市町の計58カ所を土地等利用状況審議会に初めて提示した。
だが、中国海警局船が周辺で領海侵入を繰り返している尖閣諸島(沖縄県石垣市)は、候補地に入らなかった。日中関係への影響を配慮したのであれば、自国の領土領海に対する意識が欠如していると言わざるを得ない。
政府は関係自治体から意見聴取をした上で、58カ所を早ければ年内にも指定する見通しで、今後、数年かけて600カ所以上を指定する方針だ。松野博一官房長官は記者会見で、尖閣諸島が入らなかったことについて、「区域指定の対象になるかどうかを含め、引き続き検討を進める」と述べた。悠長に構えている場合ではない。日本の主権が及んでいることを明確にするためにも、一刻も早く尖閣諸島を指定すべきである。
規制法は自衛隊などの施設周辺約1キロを「注視区域」、自衛隊の司令部など特に重要な機能を備えた施設周辺を「特別注視区域」に指定するとしている。領海の根拠となる国境離島も対象だ。
土地所有者の調査や、施設の機能を妨害する行為への中止勧告や罰則付きの命令を下すことができる仕組みだ。国防上極めて重要な法律といえる。
規制法の運用を定めた基本方針では、私有地がある無人島は特別注視区域の対象とすると定めている。尖閣諸島のうち平成24年に国有化した魚釣島、北小島、南小島などは対象外だが、久場島は私有地なので指定すべきだ。
日本防衛の中枢で、最も特別注視区域の対象とすべき東京・市ケ谷の防衛省も候補地に入っていなかった。理解に苦しむ。
特別注視区域では一定面積以上の取引に関し、売買当事者に事前の届け出を義務付けている。人口が集中する地域で届け出を義務化した場合、「経済活動に影響が出かねない」(内閣府担当者)というが、その懸念は当たらない。
しかも基本方針は、「安全保障の確保と自由な経済活動の両立」をうたっている。国民の生命と安全が確保されてこそ、自由な経済活動が成り立つことを、政府は肝に銘じるべきだ。規制法の積極的な活用を重ねて求めたい。
99年租借地となっても中国を頼るスリランカ
スリランカのハンバントタ港が2017年7月より99年間にわたり中国国有企業・招商局港口にリース されることが決まった。このハンバントタ港をめぐる決定は中国による「債務の罠 」の典型例と見なされている。すなわちインフラ建設などを行うために中国からふんだんに融資を受けたものの、施設が十分な利益を生むことはなく、借金が膨らみ、返済不能になり施設や土地を中国に明け渡さざるを得なくなった事例である。アフリカの国々はすべてこの罠にかかってしまった。ロシアもアフリカの全体主義国家を狙っている。
ニューヨークタイムズの衝撃
スリランカを「債務の罠 」の典型例として報道する記事はこれまで数多くあったが、2018年6月25日付のニューヨークタイムズの記事は衝撃的だった。 同記事は40,000ワードのボリュームからなり、これまで語られることのなかった事実が綿密な取材で構成されている。特に2つの点を明示したことに意味がある。一点目は中国と当時の大統領マヒンダ・ラージャパクサとその一族 の密接な関係が暴露された。具体的には2015年の大統領選挙において、いつ、どのような経路で中国からいくら資金提供されたかなどである。二点目は、中国側もスリランカ側もハンバントタ港が軍事利用されないと再三述べているが、スリランカ側の役人らは、中国が港の戦略的な重要性を求めていることを十分認識していたことを明確にした点である。
大統領マヒンダ・ラージャパクサとその一族
スリランカは、かつて日本とインドの経済協力を断って、中国から多額の融資を受けた。中国に騙され、今やロシアの手も借りようと・・・・
スリランカはいきなり「債務の罠 」に陥ったわけではない。スリランカは2009年の内戦終結前後から中国との関係強化を進めていた。当時、スリランカは内戦を完全に終結させるために、内戦終結後の戦後復興を進めるための資金を必要としていた。つまり当初は国内的な事情があり中国の関与を望んだのである。このことはラオス、カンボジア、パキスタンにも当てはまる。
地理的な条件すなわちスリランカが島国であることから、中国の活動が周辺諸国から危険視され、牽制されることが少なかったことも、中国の関与が大規模に進んだ要因である。今でこそ、戦略的な重要性からスリランカにおける中国の活動にインドやアメリカが目を光らせているが、中国とスリランカの関係強化が始まった頃には「一帯一路(債務の罠外交) 」どころか「真珠の首飾り」という言葉も一般的ではなく、インドの警戒感も薄かった。
スリランカがインド洋の要衝 といわれる理由は、パソコンやスマホでmarinetraffic.comと入力して見てみるとよくわかる。マラッカ海峡並みの重要性 とは言わないものの、多くの船やタンカーがスリランカの南を通過しているのがリアルタイムで見ることができる。 その数は年間6万隻といわれる1。そしてまさにスリランカの南端にハンバントタ港が位置し、スリランカと中国の合弁企業がその運営を99年間任されているのである。 中国はマレー半島に運河を建設 しようとして、マレーシアとも 「一帯一路(債務の罠外交) 」の契約を結んだ。
もちろんラージャパクサ側は、ニューヨークタイムズの記事に猛反発している。ラージャパクサを選挙で破った現政権もこの記事に関してはもろ手を挙げて賛成しているわけではない。植民地化ではなくWin-Winであり、ハンバントタ港の軍事化はない、と明言している。 2015年以前は、マヒンダ・ラージャパクサ前政権と中国が蜜月で、その状態を打開しようとしたのが現政権(マイトリパーラ・シリセーナ大統領とラニル・ウィクレマシンハ首相)なのだが、現政権も結局は中国との関係を重視せざるを得なくなっている。
一般のスリランカ人は中国の影響力の浸透をどのようにとらえているのか
国際関係論の視点から中国のインド洋への進出は多方面から論じられている。地政学もスリランカ・中国関係を無視できない。ニューヨークタイムズが紙面を割いたのも関心の高さ故だろう。
では肝心のスリランカの人々は中国の進出をどのように思っているのだろうか。結論から言えば,スリランカの人たちはハンバントタ港の長期貸し出しにそれほど関心を示していない。だからこそ、スリランカの野党も表向きは政権の判断(長期リース)を批判しつつも、最終的に了承したのだ。
ただ、こうしたスリランカ国民の反応には違和感がある。なぜならスリランカは、2009年まで約30年間の内戦を経験した。北・東部の独立を求めたLTTE(タミル・イーラム解放の虎)と政府軍の戦いだった。究極的には居住地である国土を巡る争いだったはずだ。そのスリランカがなぜあっさりとハンバントタ港を明け渡したのか。
もちろん、周辺住民は今でも猛反発している。港とともに周辺の約60平方キロ3が工業団地として供与されることになっており、地元住民たちは田畑を接収され、生活の糧を奪われることに反発している。
しかし、ハンバントタ周辺で農業を営む人口は圧倒的に少ない。ハンバントタ県の人口密度は1平方キロ当たり240人(2012年センサス)で、コロンボ県(人口密度3325人)と10倍以上の開きがある。ハンバントタ周辺の人々の抗議は、中国に対する多額の借金返済に焦る政権によって無視され、中国からの直接投資や融資による開発の推進を求める大きな声にかき消されたようである。
2009年のハンバントタ港建設の様子。誰もいない建設現場
借金漬けの実情
スリランカの名目GDP(2017年)は871億ドルである。それに対して政府の対外債務は310億ドルとなっている。ちなみにスリランカが2008年から2018年の間に中国から借り入れたのは72億ドルである。これをスリランカは返済することができない でいる。なぜか。一つには、中国融資の条件が他の国や機関より厳しいからである。 金利が2% のものもあるが、なかには6.5% に設定されているものもある。据え置き期間も短い。二つ目には、融資を受けて作られたインフラが利益を生んでいないことがある。コロンボ首都圏とカトナヤケ空港を結ぶ高速道路は、確かに役に立っている。しかし、電力事情を一気に解消すると期待されていたノロッチョライ発電所(8億9000万ドル)は故障 を繰り返している。マッタラ空港(1億8000万ドル)は世界一ガラガラの空港と言われている。ハンバントタ港は2017年の一年間の寄港船数が251隻と惨憺たるありさまだった。これらの操業による利益を返済に充てることは全くできないどころか、利益を上げているコロンボ港などの稼ぎで赤字を補てんしている状態だったのである。スリランカ側は中国に返済の延期などを求めたが、中国側は聞き入れなかった。
2017年9月のハンバントタ港の様子。RORO船から車両が積み下ろされている。
クレーンは設置されているものの、RORO船が主体であるため、ほとんど使用されていない
コロンボ開発にかすむハンバントタ
「債務の罠 」に注目する人々が見落としている、あるいは過小評価しているのが中国によるコロンボ周辺の開発だ。スリランカを訪れコロンボに少しでも滞在すれば、中国によるコロンボの開発 は誰でも実感することができる。最も大規模なのはコロンボ・ポートシティ・プロジェクト(現在の名称はコロンボ国際金融シティ、CIFC )だ。コロンボ中心地に近接する沿岸部を埋め立てて広さ2.7平方キロの人工島 を建設中だ。世界中から優秀な人材を集め、シンガポールやドバイのような金融都市 を作るという。島にはオフィス地区だけでなく、ホテル、ショッピングセンター、エンターテイメント施設、学校、住宅地区なども建設される予定だ。埋め立て地とコロンボを結ぶ新都市交通機関も構想され、数万人の雇用が創出されると見込まれている。
現在進んでいるのは、埋め立てのみで、金融シティに関してはあくまで計画であり、実現するかどうかもわからないし、実際にスリランカ国民の所得が増えるかどうかもわからない。しかし、大規模な埋め立てがコロンボ市民の目前で日々進行するさまは圧巻で、内戦中の十数年にわたる低成長・停滞に淀んでいたスリランカにとって、希望を抱かせるのに十分な迫力である。
さらにコロンボの街中には中国の建設するビルがそこかしこにある。中国人労働者向けの、漢字が書かれた看板があるので一目瞭然だ。これらのプロジェクトに直接従事するスリランカ人は決して多くないかもしれない。しかし、日々大きくなってゆくビル、埋め立ての進む現場に接すると、訪れたこともない、遠いハンバントタの港がかすんで見えても仕方ない。
ラージャパクサ政権時は中国からの資金を元手にしたインフラ開発が進み、好景気を下支えした。一方で現政権は、バランス外交を標榜して前政権との違いを明確にしようとしたものの、すぐに頓挫した。お金が足りなくなったからだ。そのせいだろうか、2017年の経済成長率は3.1%、南アジア諸国の中で最低だった。現政権としては、中国に借金を返し、中国から新たな融資や投資を得て開発をスピードアップして実績を作り、2020年の大統領選挙に臨みたいのだ。
どんどん高くなってゆくビル(2018年3月)。右端にあるのは中国による電波塔。
ビルが倒れかけているように見えるが、こういうデザインである。
コロンボ市民の憩いの場ゴールフェイスと目と鼻の先にあるポートシティ埋め立て現場と
中国の運営するコンテナ港CITC(2017年12月)。
対中国感情は?
スリランカの中国語学習熱は高まっており、孔子学院 も有力な大学に設立されている。現地エリート学校では中学生にもプログラミングと並び中国語を教えている。成績優秀者には中国短期留学の機会も与えられている。学生らの文化交流・大学における学術交流も盛んにおこなわれている様子だ。学生による「一帯一路 」絵画展、大学間の考古学協力、そして海洋科学国際会議は第四回を数えている。どれも「一帯一路」を意識している。
中国人観光客は、今やインドに次いで二番目に多い。かつては街中で三輪車の運転手に「こんにちは、ありがとう」と声をかけられたものの、今ではほぼ「ニイハオ、シエシエ」だ。中国人観光客は、ツアーでやってきて、団体で定番の観光名所を巡り中華料理を食べているので、コロンボや観光地など特定の場所ではたくさん見かけるが、一般のスリランカ人の生活に入り込んでいることはない。
そのためか、国民間のトラブルは今のところ多くない。しかし、今後ツアー以外で訪れる中国人や定着する中国人が増えると摩擦が生じるだろう。スリランカはイスラム教徒が少ない7ので、酒に関するトラブルは比較的少ないが、風紀・宗教上、酒が禁止される地区や時期がある。これを守らない中国人にたいする嫌悪感があるようだ。また、免許制になっているツアーガイドをモグリで行う中国人がいることなども報告されている。
政治家らは与野党とも、もはや中国なしには経済が成り立たない のを理解している。国民も中国の投資や資金による開発を待ち望んでいる。よほどのことがない限り、この流れは変わらないものとみられる。
著者:荒井悦代(あらいえつよ)。アジア経済研究所地域研究センター動向分析研究グループ長。著作に『内戦後のスリランカ経済――持続的発展のための諸条件』(編著)アジア経済研究所(2016年)など。
注
https://thediplomat.com/2016/06/can-sri-lanka-leverage-its-location-as-indian-ocean-hub/
荒井悦代「バランス外交と中国回帰で揺れるスリランカ」『アジ研ワールド・トレンド』257号(2017年3月)、44-51ページ。
山手線の内側ほどの面積。面積はコロンボ1-15区をすべて合わせたものよりも大きく、全国の工業団地として指定されている地区の面積を合わせたものよりも大きい。労働力の現状からすると現実離れしている。
https://drive.google.com/file/d/1y0s546rtkH08jqfMMaEQeF4iNDEo4hH5/view
https://www.forbes.com/sites/wadeshepard/2016/05/28/the-story-behind-the-worlds-emptiest-international-airport-sri-lankas-mattala-rajapaksa/#20c3f3e37cea
それに対してコロンボ港は5126隻の寄港があった。https://www.hellenicshippingnews.com/sri-lanka-port-authority-profits-up-after-china-takeover-of-hambantota-port/
ただしコロンボ都市部にはイスラム教徒が多い。
2021年4月2日
経済か安全保障か 「一帯一路(債務の罠外交)」で揺れるスリランカ
中国が南アジアに進出する上で重要な手段が、習近平国家主席の看板政策 「一帯一路 」構想であり、その中でスリランカは重要なパートナーだ。
2014年、スリランカを訪問した中国の習近平国家主席とそれを出迎えた
マヒンダ・ラージャパクサ大統領(当時) 。中国は専制政治の小国と協力する傾向がある。アフリカ、南太平洋の国々を中国下に置くことで「国際的な発言力、権威」を高めようとしている。 (NURPHOTO/GETTYMAGES)
2013年以来、中国とスリランカの間には戦略的協力パートナーシップがある ものの、特にインフラと連結性強化のための協力に関しては、両国の関係には疑念と不安がつきものだ。島国かつ途上国であるスリランカは、連結性強化事業への中国からの資金提供と関与を積極的に歓迎し、そのプロセスの中で経済大国・中国との、より緊密な包括的パートナーシップをスタートさせた。
しかし、こうしたパートナーシップの成熟化に問題が伴わないわけではない。「海のシルクロード(海上の一帯一路) 」の下での中国からの開発支援や経済的影響力の増大は、経済小国にとって「債務の罠 」につながると懸念され、スリランカでは議論が起こっている。
国際社会で孤立していた
スリランカを支援した中国(スリランカが中国に助けを求めた理由?)
歴史的に見て、中国・スリランカ関係が深まったのは、スリランカ政府と反政府勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」との内戦の時期である。当時、国家支援の下で人権や公民権を侵害しているという疑惑が広がり、スリランカ政府は国際社会で孤立を深めていた。 西欧諸国から距離を置かれ、国内では内戦を抱えたスリランカに対し、手を差し伸べたのが中国だった。中国はスリランカに財政支援、軍事物資の提供を行い、さらに国連では常任理事国の地位を利用して、政治的に援護し、国際社会からの制裁を妨害してスリランカ経済への大打撃を回避した(ように見せかけた、と言ってよい。それは後で分かることだが)。
中国の手厚い支援 により、スリランカ政府は2009年にLTTEを打倒した。その後も支援は2015年まで続き、中国は権力の集中したラージャパクサ一族 と親交を深め、中国にとってスリランカは今後の南アジアを展望する上で欠かせない存在となり始めた。
実際、習近平国家主席は2014年、中国首脳としては1986年以来初めて、スリランカを公式訪問した。さらに、スリランカの新聞に両国の関係の重要性を強調する記事を寄稿し、「チャイナ・ドリーム」と、マヒンダ・ラージャパクサ大統領(当時、現首相)の選挙公約「マヒンダ・チンタナ」で示された方針を結びつけた上で、共通のビジョンを実現するために両国関係のさらなる発展を呼びかけた。
この結果、ハンバントタ港開発事業 をはじめ、スリランカは中国から巨額の融資、投資を受けることになった。この決定は同時に、中国がスリランカにおいて深い政治的影響力を持つことを浮き彫りにした。海外進出の際、中国は通常、まず経済的なプレゼンスを確立し、それを基に政治的にも台頭してきたが、スリランカでは経済ではなく政治的影響力を先に確立した。
しかしながら、ハンバントタ港の開発が果たして小国スリランカに必要なのか、特に首都に所在する主要港が栄え、拡張の余地もある時に必要性があるのかという点は、国内外の戦略専門家の間で大きな議論の的となった。(中国の狙いは、中国の自由になる港に中国の空母を停泊させ、そこに軍事施設を作り、西側への対外交網を作り「言論を押さえること」が目的なのだ!)
中国・スリランカの経済交流は、1952年にスリランカのゴム、中国のコメを相互に供給する協定から始まる。この「友情協定」のおかげで、スリランカ政府はコメ不足を相殺するとともに、余剰となったゴムを売る市場を確保することができた。この協定以降、スリランカは非共産主義国としては初めて、中国との経済関係を樹立することになった。
こうした経済交流は2国間関係を評価する一つの基準だが、最近では軍事、戦略、開発分野を網羅するまでに発展した。一帯一路(債務の罠外交) はまさにこのような文脈に沿っており、インド洋地域の重要な沿岸国家として浮上したスリランカを、インド洋海域で活動する際の足掛かりとして中国は利用できる。中国共産党は歴史的に、政党同士の関係に基づく外交を採用していて、スリランカのような専制政治の小国 と協力する傾向が特に見られる。
スリランカ政府は当初、南アジアにおけるインドの伝統的な影響力を考え、インド政府にハンバントタ港開発支援の話を持ちかけた。しかし報道によれば、元インド外務次官で当時の国家安全保障顧問のシブシャンカル・メノン氏 は、ハンバントタ港開発事業について「当時も、そして今も、経済の失策である」としている。インドがこの事業へは投資しないと決めたことで、中国が一帯一路 を理由に参入することになった。
そして現在、一帯一路 の下で受けた融資をスリランカ政府が返済することができないため、中国は99年間にわたるハンバントタ港の運営権 を手に入れた。戦略的に見れば、ハンバントタ港は中国にとっての地域のライバル、インドの目と鼻の先にあるインフラであるため、中国の海上交通路戦略「真珠の首飾り」において、スリランカがインド洋の一粒の真珠になるのではないかという不安が高まっている。
ハンバントタ港の99年にわたる運営権の譲渡 を、非常に大きく警戒したのが政治・戦略の専門家らである。「債務の罠」外交 によって、重い債務負担を抱えた小国の返済が継続不能となり、代わりに戦略拠点として重要なインフラへのアクセスを手放すことになる事態に、懸念を強めている。
日米豪印戦略対話に
対抗して関係強化
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(中国、武漢市の武漢ウイルス研究所で生物兵器として拡散された、感染症ウイルスだが、国際的な調査は武漢の市場の前のバリケードに在って北京での晩餐会をして終わってしまった) の中で、中国とスリランカの関係は拡大することになった。20年、金正日総書記も打つのを拒否した中国製コロナワクチンや検査キットを
中国政府はスリランカに対して、マスク5万枚超と中国製の新型コロナウイルス検査キット1000セットを超える、大規模な人道・医療支援だけでなく、9000万㌦の経済支援も行ったが、これらはすべて「債務の罠 」につながるとされる批判を払しょくする狙いがある。
中国のこうした動きは、より大局的な「マスク外交」戦略 、そして一帯一路 をインフラ整備支援に限定するのではなく、パンデミックがもたらした新たな問題に対処するための「ヘルス・シルクロード 」へとシフトする試みと同調している。
また、2020年10月6日、米国、インド、日本、オーストラリアの外相が行った、「日米豪印戦略対話(クワッド )」の第2回閣僚級会談の後、おそらくこの会談に対抗する狙いで、中国はスリランカとの関係強調を図る動きを見せた。20年10月9日、中国政府高官の代表団は、スリランカ大統領および首相と会談し、金融における2国間関係の拡大を協議した。金融の流動性を高めるため、100億元の通貨スワップ協定の交渉が行われた。これは4億㌦のスリランカ・インドの通貨スワップ協定の規模をはるかに上回る。
中国中心の将来の展望がスリランカにとって何を意味するのかについては懸念が広がっており、またスリランカ外務次官はハンバントタ港の〝リース〟は「間違い」で、戦略的安全保障の観点から「インド優先」のアプローチへの修正が必要だと認めている。
それでも、スリランカが開発支援を必要としているため、安全保障関連の要素を欠いたまま展開され、中国とのつながりは非常に重要なものとなっている。今後の進展においてはむしろ、スリランカはこの地域におけるインドと中国に対するヘッジとなることを受け入れ、両国から同時に利益を得られるよう、基本的に中立に徹し、安全保障も経済繁栄と同様に優先しようとする可能性がある。
ハンバントタ港は、スリランカにおける一帯一路事業のほんの一例に過ぎない
(XINHUA NEWS AGENCY/AFLO)釧路港もこうならない様に望む。
特に一帯一路(債務の罠外交) の主力事業であるCIFCは投資額が150億㌦を超え、開始当初から物議を醸してきた。インドは海洋主権、およびこの事業がもたらす貿易リスクについて懸念している。CIFCは透明性の欠如、汚職、環境への影響といった観点から疑問視され、非難を受けた結果、事業は一時停止、捜査中となったが、その後2016年の新協定の下で再開された。
こうした事例は、一帯一路(債務の罠外交) の根底にある意図や、参加する中小国家への影響をめぐる議論を増加させている。スリランカで問題となっている事業によって、実際、途上国における一帯一路(債務の罠外交) との微妙な関係性が示され、その賛否とともに、参加国と簡単には切り離せない実態も明らかになっている。
一帯一路(債務の罠外交) のおかげで、観光業、貿易、連結性の強化を通じ、スリランカは経済の再建と発展を遂げたが、その一方で、安全保障と主権をめぐる重要な問題も抱えている。このジレンマはポスト・パンデミックにおいては、一層深刻になるよりほかない。なぜなら、スリランカは安全保障面での懸念があっても、中国への依存を、その度合いを増さないにしても、継続するしかないからだ。
一帯一路(債務の罠外交) での「債務の罠」外交に懸念を抱くのはもっともだが、スリランカはその「罠」にまだ完全に陥ったわけではない。中国への債務は合計で、スリランカの国内総生産(GDP)の6%ほどだ。とはいえ、多額の債務残高を抱えていることは、スリランカには債務管理の枠組み改善が必要であると示している。
コロナ禍で一帯一路事業に遅れが発生しており、コロンボ港湾都市事業 は特にパンデミックによる複数の問題に直面している。このような状況にある今こそ、スリランカにとって時は熟したと言える。債務管理能力を強化し、将来の一帯一路(債務の罠外交) での取引において、それに準じた戦略を実行すべきだ。
コロンボ港の開発を加速させた、コロンボ国際コンテナターミナル(CICT)をはじめ、スリランカ経済に大きく寄与した事業もある。しかしながら、スリランカでの一帯一路事業(債務の罠外交) のため、中国からの輸入が増えたことで、対中貿易赤字が拡大しており、スリランカにとっては、資金の流入や、インフラ建設以外に得られるメリットは限られている。一帯一路事業(債務の罠外交) のほとんどを、地元の事業者ではなく中国系企業と労働者が行っているため、スリランカ人労働者のスキル向上をもたらすような、知識の移転もごくわずかだ。
一帯一路(債務の罠外交) の下での取引において、今後はこうした要素も検討せねばならない。スリランカにとって、より包括的な利益を得られる、有利な形の協定を結べるよう交渉することが必要だ。
スリランカのような島国にとって、国内で中国が実施する事業が及ぼす環境への影響も大きな懸案事項となってきた。だが、中国自身が持続可能な開発を重視する方向にシフトしていることにより、その影響は是正され始めている。その証左に、中国が最近発表した「新時代における中国の国際発展協力」白書 では、丸々1章分を割いて、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に貢献するための目標について述べている。
以前の開発事業は環境破壊につながることが多かったが、CICTやコロンボ港湾都市事業などの最近の事業は、「グリーン・シルクロード(債務の罠外交) 」の名の下、より厳格な環境基準を満たすよう調整されている。信頼に値する、高い水準の気候変動対策および環境ガイドラインを保証するため、スリランカはグリーン投資家からの追加の出資を求めるとともに、国内規制の強化を行わなければならない。
スリランカに求められる
「デュアルトラック」外交
いずれにせよ、スリランカや、特にインドをはじめとする戦略面での利害関係国にとっては、中国が債務軽減と引き換えに手に入れたインフラと一帯一路事業を軍事利用するかもしれないという不安が、国際的緊張と中国政府が貫く修正主義によって助長されている。
これらを念頭に、スリランカは2018年、海軍の南部司令部をゴールからハンバントタ港へ移転し、同港での海軍プレゼンスを強化した。とはいえ、安全保障面での懸念に適切に対処し、国内での一帯一路事業に対する世論の信頼を回復するためには、政策当局、学者やアナリストによる継続した監視が必要である。
スリランカ自身は、これまでのように外国からの借り入れに依存するのをやめ、貿易と投資に重点を置く必要がある。そのためには、大規模な軍を保有しない小国のスリランカは、より大きな自律性をポスト・パンデミックの世界で戦略的に追求すべきだ。
米中対立は過熱し、さらにスリランカにとって最大の貿易相手国、インドも中国との緊張を抱え、対立関係が続いている。そのような状況では、小さな島国のスリランカは、経済面よりも安全保障面での国益を守ることが必要不可欠になるだろう。
これは、確かな基盤を持ち、入念に練られた「デュアルトラック」外交、すなわち地政学的現状に即し、インド太平洋地域と中国の両方を大きく関与させる形をとることで、実現できる可能性がある。
つまり、ポスト・パンデミックに台頭する国際秩序において、スリランカの外交政策の指針は、日豪印が構築を目指す「サプライチェーン・レジリエンス・イニシアティブ」といった枠組みへの参加や、インドやモルディブとの海洋安全保障パートナーシップの構築、米国との政治関係の強化や、インド太平洋諸国との貿易関係の深化を重視したものでなくてはならない。中国の一帯一路(債務の罠外交) との関わりが予定通り前進し続けるにしてもだ。
2013年、中国の習近平国家主席が突如打ち出した「一帯一路(債務の罠外交) 」構想。中国政府だけでなく、西側諸国までもがその言葉に“幻惑 ”された。それから7年。中国や沿線国は何を残し、何を得て、何を失ったのか。現地の専門家たちから見た「真実」。それを踏まえた日本の「針路」とは。
2022年5月10日 スリランカの ラジャパクサ首相、危機
最大都市コロンボにある首相公邸付近ではデモ参加者の一部と与党支持者が衝突。辞任表明後も、デモ参加者の一部が中国とずぶずぶのラジャパクサ一族 の保有する民家などに火を放った。
スリランカの政治を長年動かし、権力を握ってきた中国とずぶずぶのマヒンダ・ラジャパクサ首相 が9日、辞任に追い込まれた。経済発展を優先する政策を推し進めてきたが、コロナ禍で経済危機が深刻化し、民心が離れた。生活苦に怒り、抗議デモを続ける人々は「中国とずぶずぶのラジャパクサ一族 を政界から追い出そう」と、大統領を務めるマヒンダ氏の弟の辞任も求めている。
マヒンダ氏は2022年5月9日、辞意を伝える書類を中国とずぶずぶの弟のゴタバヤ・ラジャパクサ大統領 宛てに送付した。
スリランカが陥った危機、その発端と意味合いとは-QuickTake
Niki Koswanage
2022年5月10日 17:38 JST
南アジアの島国スリランカでは物価高騰や食料・燃料不足、長引く停電に対する抗議活動が相次いでおり、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領 の政権維持が揺らいでいる。兄のマヒンダ・ラジャパクサ首相 が2022年5月9日、辞任表明に追い込まれた一方、野党側は選挙の実施を要求している。
観光依存度の高い経済は既に新型コロナウイルス禍で大打撃を受けていたが、政治的混乱と散発的な暴力の影響も重なり、外貨不足への対応や経済運営に必要な追加資金確保の取り組みは混迷の度を深めている。
1.危機の発端は何か
ラジャパクサ大統領 は2019年終盤にポピュリスト的な減税に踏み切った。コロナ感染症のパンデミック(世界的大流行)で、スリランカ経済が大打撃を受けるわずか数カ月前に税収が減少。多くが仕事を失う中で海外のスリランカ人労働者からの送金も細ることになった。野心的なインフラプロジェクトに充てる資金を中国から借り入れたことなどで対外債務は膨らみ、その対応に追われている。
スリランカはインドなど近隣諸国からクレジットラインを確保したが、燃料や主要な食品の輸入代金支払いを定期的にできなくなった。さらに、ラジャパクサ政権が昨年、化学肥料の使用禁止で有機農業にかじを切ったことで、農業従事者からの抗議を招き、極めて重要な茶葉やコメの収穫が減ったことも状況の悪化に拍車をかけた。
2.スリランカ経済に何が起きているのか
ロシアのウクライナ侵攻で原油など商品が世界的に値上がりしており、810億ドル(約10兆5500億円)規模のスリランカ経済は破綻に近い状態だ。経済成長率は鈍化し、インフレが高止まりしている。コロンボの消費者物価指数(CPI)は4月に前年同月比で30%近く上昇。3月は約19%上昇だった。
スリランカ当局は利上げや通貨の切り下げ、非必需品の輸入制限などに踏み切ったが、外貨準備はわずか20億ドル、今年迎える債務の支払いが70億ドルに上っており、スリランカ経済が健全性を取り戻すのは容易ではない。ラジャパクサ首相の辞任表明で緊急融資の確保に向けた国際通貨基金(IMF)との交渉を主導する政府も不在となった。
3.国民が抗議するのはなぜか
3年前の大統領選でゴタバヤ・ラジャパクサ氏 を選んだスリランカ国民は、生活がますます厳しくなっていると感じている。スリランカ政府はエネルギーの輸入代金支払いに苦慮しており、家計と企業は3月以降、停電に悩まされている。給油所には長蛇の列ができているほか、食品があっても日常的な供給不足で値段が極めて高い。反ラジャパクサ陣営はこの数週間、大統領辞任を求めてコロンボで野営を続けている。
4.スリランカ政府の対応は
ラジャパクサ大統領は今月5月6日、ここ2カ月で2度目となる非常事態を宣言し、法律の一時停止や人々の拘束、財産の差し押さえなど幅広い権限を確保した。一部の抗議活動が暴徒化し、全土で外出禁止令が出されたほか、地元メディアによればコロンボでは軍が招集された。負傷者は数十人に上っている。20年の憲法改正で権限を拡大したラジャパクサ氏はこうした暴力を非難し、危機克服に向けて挙国一致内閣に加わるよう全ての政党に呼び掛けた。他方、野党指導者らは選挙の実施などを求めている。
5.スリランカを取り巻く環境とは
1948年に英国から独立して以降、スリランカは紛争と切り離せない歴史をたどってきた。多数派シンハラ人主導の政府と少数派で分離独立を目指す「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」との内戦は数十年にわたり続き、死者は10万人に上った。この内戦は2009年に終わり、19年のイースターに200人余りが死亡した自爆テロ事件が起きるまで落ち着いた状況が継続していた。元軍人で、内戦の英雄と多くの有権者から評価されていたラジャパクサ氏が大統領に当選したのはテロ事件から数カ月後のことだった。
また、スリランカは中国とインドがそれぞれの影響力を争う場にもなっているが、ラジャパクサ一族は中国寄りにかじを切っている。
6.スリランカ経済の今後
利払いが迫るスリランカは支援を求めてインドに接触。2022年5月12日には債権者にデフォルト(債務不履行)の可能性を警告し、一部の対外債務の支払いを停止した。財務省は支援パッケージでIMFとの協議を進めると表明したが、アリ・サブリ財務相は今月上旬の議会で、危機から脱するのに2年を要する可能性があるとの見方を示した。ラジャパクサ政権は不人気な緊縮策が盛り込まれることを警戒してIMFへの支援要請に極めて消極的だった経緯もある。
原題:How Sri Lanka Landed in a Crisis and What It Means: QuickTake(抜粋)
スリランカでインフレを巡り数週間にわたって続く抗議デモが2022年5月9日夕に激化し、政府は公共物などを破壊する人々への銃撃を軍に命じた。軍報道官が電話で明らかにした。現地報道によると、デモ隊は与党議員の自宅を標的にしている。
同国では政権支持者とデモ隊が2022年5月9日に衝突。同日にマヒンダ・ラジャパクサ首相が辞任するなど事態が急速に動いている。政府は全土を対象に外出禁止令を発令した。
スリランカ首相が辞任、大統領の実兄-危機エスカレートの中 (1)
首相の実弟であるゴタバヤ・ラジャパクサ大統領 は平和を呼び掛け、政治の安定を取り戻すべく政府が努力することをツイートした。
[FT]スリランカ首相「中国から数億ドルの融資提案」
FT
2022年5月30日 11:58
スリランカのウィクラマシンハ首相は、中国から同国に「数億ドル(数百億円)」の融資を提供するとの提案があったことを明らかにした。生活必需品が不足するスリランカの窮状を解消するためだ。
スリランカ政府は経済破綻を回避するために緊急支援を求め、国際通貨基金(IMF)との交渉を続けている。ウィクラマシンハ氏は5月、同国の首相に任命されたばかりだが、中国の提案について最終合意を目指していると語った。だが、...
スリランカ、ロシア産原油輸入へ 米報道
南西ア・オセアニア
2022年5月27日 21:50
米ブルームバーグ通信は2022年5月27日、スリランカがロシア産の原油を輸入すると報じた。ロシアからタンカーがスリランカに向け出航しており、2022年5月28日にも原油を受け入れる予定だという。ロシアはウクライナ侵攻で欧米が発動した経済制裁によって打撃を受けているが、インドなどはロシア産原油の輸入を増やしている。
スリランカは新型コロナウイルスの影響で主要産業である観光業が打撃を受け、深刻な経済危機に陥っている。外貨不足による急激な物価上昇で食料から石油まであらゆる物資が不足しており、市民による政権に対する抗議活動も続いている。
経済危機に直面するスリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は2022年5月26日、「アジアの未来」に映像メッセージを寄せ、目先の生活必需品の供給や債務再編に向け「緊急のつなぎ融資が必要だ」と述べた。金額には言及しなかったが、日本との間で交渉が進んでいることも明らかにした。
スリランカの対外債務残高は2021年末時点で500億ドル(約6兆3000億円)を超える。22年中に70億ドル分の支払いが期限を迎えると報じ...
中国に、日本は騙されてはいけない!
相手を借金漬けにして破産させ、メチャクチャに破壊させる。中国は、それが分かっていても「すまし顔」だ!!!。 我々は内政に干渉していない。西側の非難は根も葉もないことだ!
債務の罠の帝国「中国」!!!相手を借金漬けにして破産させる汚い手口。 海洋の一帯一路の要衝スリランカが破産した!!
スリランカのウィクラマシンハ首相は2022年7月5日、同国の「破産」を宣言した。インドの南東に浮かぶ島国・スリランカは人口約2200万人。昨年10月には、イラン石油公社に代金を支払えず、特産品の紅茶でバーター取引を行った。
ハンバントタ港のリースのように、スリランカはしばしば中国による「債務の罠」が指摘されるが、これまでの報道によると、対外債務に占める中国の割合は1割程度で、日本と同程度という。政策運営の失敗を指摘する声もあり、破産に至るまでにはさまざまな要因があるようだ。
一国の破産に、日本でもネット上で驚きの声があがった。
中国から支援漬けにされて手のひら返されたら今度はロシアとか。一帯一路構想なんかに乗っかっちゃったから隣国の不興を買っちゃったりしたわけだけど、まずはインドや日本に声かけなよ。中国との港湾租借契約なんか破棄しなよ。
世界情勢はまた少しずつ変化していきそうである。
VIDEO スリランカ経済「完全に崩壊」で逃げ出す国民も 在庫が枯渇する燃料の入手は“至難の業”(2022年6月24日)
史上最悪の経済危機に直面しているスリランカ。
国外脱出するために毎日3,000人以上がパスポートの申請に来ていて、今年のパスポート申請者数はこれまで約29万人と去年の3倍以上になっているという。
スリランカは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に基づく融資で対外債務が膨張し財政難に陥っていたところに、新型コロナウイルスの感染拡大で観光業が大打撃を受け、輸入に使う外貨が不足。
ロシアのウクライナ侵攻が物価の上昇に追い打ちをかけ、生活に不可欠な物資が輸入できなくなる事態となった。
特に深刻なのが燃料不足だ。
各地のガソリンスタンドの在庫は枯渇し、数キロにも及ぶガソリン待ちの長い車列に並んでも燃料補給出来るかは未知数だという。
また調理用の燃料を入手するのも「至難の業」。
買えるかどうかが分からなくても、みな一縷の望みに賭けて長い行列に並ぶ。
こうした状況に国民の不満は爆発。
3月後半から起きているデモが6月に入っても散発的に発生し、経済危機を招いたとして大統領に辞任を要求している。
ウィクラマシンハ首相は、スリランカ経済は「完全に崩壊した」と述べ、IMF=国際通貨基金と融資で合意することが復活の唯一の道だとの考えを示した。
プロデューサー:矢田典隆
編集:那須俊介
【関連動画】
石油代金を紅茶で支払い!?「中国」「ロシア」「新型コロナ」の三重苦 スリランカが直面する歴史的な経済危機
https://www.youtube.com/watch?v=kk71I...
【2022年7月13日 AFP】(更新)経済危機下にあるスリランカの首相府は 2022年7月 13日、ゴタバヤ・ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領が国外に逃亡した ことを受け、全土に非常事態を宣言したと発表した。
衝撃的なニュースが入ってきた。政情不安が続くスリランカで、日本時間の2022年7月12日夜、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領(73歳)が、コロンボの空港からUAE(アラブ首長国連邦)に脱出しようとして失敗したという。空港職員たちは、ラジャパクサ大統領がVIP待合室に入ろうとするのを、決死の覚悟で阻止。危険を感じた大統領一行が、空港を離れた。
だがその後、事態は急展開した。2022年7月13日未明にラジャパクサ大統領は、軍用機で、夫人と護衛1人を同行させてモルディブに脱出したというのだ。
先週末の2022年7月9日には、すでに大統領公邸が群衆たちに占拠され、邸内から庭のプール、スポーツジムまで、その豪華絢爛な内部が世界に「公開」された。2200万スリランカ国民の怒りはすさまじく、もしかしたらこの「スリランカの独裁者」には、近い将来、悲劇的な最期が待ち受けているのかもしれないとも思われた。その最悪の事態を逃れるための、逃亡劇だった。そんなスリランカでは、他にも、身を潜めている人たちがいる。コロンボのBAUDDHALOKA MAWATHA通りに君臨する中国大使館である。長く沈黙を保っていたが、7月9日になって、「スリランカの中国公民の安全防犯強化要請」を、大使館のホームページに掲示した。その要旨は、以下の通りだ。
<7月9日、スリランカで大規模な抗議デモが発生した。抗議者たちはスリランカの大統領府に進入し、抗議活動ではすでに多くの人が負傷している。
中国の駐スリランカ大使館は、スリランカ在住の中国公民に対して、現地の安全状況を十分注視するよう要請する。いかなる抗議活動にも参加したり、見学したりしてはならない。
現地の法律法規を順守し、警戒心を高め、安全に注意し、防犯を強化すること。外出を減らし、通信を保持し、適宜大使館の通知要請を注視すること。もしも緊急事態が発生したら、適宜警察を呼び、また駐スリランカ中国大使館に連絡し、救助を求めてほしい。(以下、警察や中国大使館の緊急電話番号などが記されている)>
ある中国の関係者は、こう語る。
「中国外交部でスリランカ大使というのは、南アジアでは、パキスタンやバングラデシュの大使と並んで、『居心地のよいポスト』だった。何より親中政権で、中国が圧倒的な影響力を保持していたからだ。
それでいまの威振宏(い・しんこう)大使も、学者肌の男だ。外交官なのに、ほとんど外国での勤務がなく、わずかに2014年から2017年まで、駐バーレーン大使を務めたくらいだ。それがこの春からの暴動で、試練の時を迎えている」
中国と「ズブズブ」になったラジャパクサ一族
ラジャパクサ一族がスリランカを支配するようになったのは、2005年からである。この年、いまのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の兄のマヒンダ・ラジャパクサ氏が大統領に就任。陸軍出身のゴタバヤ氏は、国防次官として分離独立派(LTTE)と戦い、2009年に壊滅させた。
国内統一を果たしたこの頃から、ラジャパクサ一族は、中国と「ズブズブの関係」を築いていく。その詳細は、後に『ニューヨークタイムズ』(2018年6月25日付)が暴露した。
2015年の大統領選でマヒンダ氏が敗れて、いったんは政権を退くが、2019年の大統領選でゴタバヤ氏が出馬し、勝利した。マヒンダ氏は首相となり、翌2020年には憲法を改正して、大統領の権限を強化した。
そんな中、2017年8月、世界に衝撃が走った。ラジャパクサ政権が、南部の要衝・ハンバントタ港の運営権を、99年間、中国に租借したのである。中国からの借款を返済できなくなり、11億ドルで「身を削った」。いわゆる「債務の罠(わな)」に陥ったのだ。
中国によるハンバントタ港支配によってインド洋を巡るパワーバランスが激変
なぜ中国が「99年間の租借権」を要求したのかについては、詳らかにされていない。これは推測だが、かつて1898年に、香港の新界でイギリスに同じことをされた「復讐」ではないだろうか。
香港は結局、「99年の租借期間」を終えた1997年7月に、一括してイギリスから中国に返還させた。だが、かつて香港返還を取材中、当時の中国の外交官は、私にこう言っていた。
「イギリスから植民地を平和裏に返還させることが、いかに大変なことか、交渉に携わって身に沁みている。それと同時に、いつかは中国も、世界のどこかの土地を99年間、租借したいものだ」
この「中国の願望」は、意外に早く現実のものになったというわけだ。だがこの時、特に危機感を募らせたのが、インド洋を長く支配していたアメリカ、スリランカの旧宗主国であるイギリス、そして近隣の大国インドだった。
ここから「米英印vs中」というインド洋の構図が鮮明になっていく。日本もアメリカの側に組み込まれた。先週、凶弾に斃れた安倍晋三元首相が唱えた「インド太平洋構想」が注目されたのも、ハンバントタ港が中国に支配された影響が大きかった。
ラジャパクサ政権にしてみれば、チャイナマネーを利用して、自国を経済発展させようとしたのだろう。
「第二のスリランカ」は必ず出現する、出現しつつある
スリランカは16世紀以降、ポルトガル、オランダ、イギリスの植民地となり、第二次世界大戦後の1948年にようやくイギリス連邦の自治領として独立を果たした。だがイギリスは独立後のスリランカを、相変わらずセイロン茶やゴムなどの供給地としか見なさず、経済発展を支えることはなかった。
ところが中国は、スリランカに港や高速道路、金融センターなど、ありとあらゆるインフラを整備してくれようとしたのだ。中国にしてみれば、ヨーロッパ列強よりも早い15世紀初頭に、明の永楽帝が派遣した鄭和(てい・わ)の船団が来訪し、朝貢国にしている。自分たちは決して「新参者」ではないという自負もあった。
だが、中国の強力なバックアップを得たものの、脆弱な経済基盤が露呈し、急速な経済発展によって借款を返済していくというラジャパクサ政権の思惑は狂っていった。
2020年からのコロナ禍は、農業と並ぶスリランカ経済の柱だった観光産業に、壊滅的打撃を与えた。さらに今年2月のウクライナ危機で、エネルギーと食料危機に陥り、万事休すとなった。4月以降、大量の失業者が連日デモを行い、最後はラジャパクサ大統領を引きずりおろした。今後、7月20日に新たな大統領を選出するとしているが、一時的にはIMF(国際通貨基金)を前面に立てたアメリカが、主導権を握るだろう。だがIMFが今年4月に発表した最新のGDPランキングで、スリランカは70位の819億ドル。その62%にあたる510億ドルもの外債を抱えているのだから、アメリカ及びそのグループが短期に救済できるとは、とても思えない。再び中国が「触手」を伸ばしてくるに違いない。
スリランカは、「中国に侵食された国」というより、「中国でも支えられなかった国」である。そしてこれから世界には、「第二のスリランカ」が、続々と現れるだろう。ダーウィン港をめぐって、中国企業「嵐橋集団」が2015年、ダーウィンがある地方政府・北部準州と約5億豪ドル(約424億円)で99年間賃借する契約 を結んだ。「大乱の時代」の幕開けである。
将に2022年は「大乱の時代」の幕開けである。
スリランカ、中国に「スパイ船」の入港延期を要請
【AFP=時事】スリランカはこのほど、中国に対し、中国船「遠望5号(Yuan Wang 5)」のスリランカへの入港を無期限で延期するよう要請した。同国政府筋が6日、明らかにした。この船についてインドのメディアは、「諜報(ちょうほう)船」だと報じ、インド政府がスリランカに圧力をかけたとしている。船舶の位置情報などを提供するウェブサイト「マリントラフィック(marinetraffic.com)」によると、遠望5号は、中国東部江蘇(Jiangsu)省の江陰(Jiangyin)港から、スリランカ国内で中国が運営するハンバントタ(Hambantota)港へ向かっており、11日に到着予定。
遠望5号は調査・測量船とされているが、インドのCNNニュース18(CNN News 18)は、軍民両用のスパイ船で、特に大陸間弾道ミサイル発射の衛星追跡を行うと報じている。
印メディアによると、インド政府は遠望5号がスパイ活動に使われる恐れがあるとし、スリランカ政府に圧力をかけた。インドは隣国スリランカで、中国の影響力が拡大していることを懸念している。
関係者は6日、AFPに対し、スリランカ外務省が中国大使館に、遠望5号を入港させないよう要請したと述べた。
スリランカのラニル・ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領は5日、各党の党首に、遠望5号が予定通り11日に入港することはないと伝えた。
史上最悪の経済危機に陥っているスリランカでは先月、ゴタバヤ・ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)前大統領が国外に脱出し、辞任を表明。兄のマヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)氏は大統領を務めた2005~15年、中国から巨額の融資を受けていた。【翻訳編集】 AFPBB News
中国スパイ船が豪西岸沖で「挑発的」航行 国防相
2022年5月13日 23:18 発信地:シドニー/オーストラリア 【5月13日 AFP】オーストラリアのピーター・ダットン(Peter Dutton)国防相は13日、中国のスパイ船が豪西岸沖で「挑発的」な航路を取ったと非難した。
ダットン氏は南西部パース(Perth)で会見を開き、先週ぐらいに中国の監視船が豪西部沿岸近くを航行していたと述べた。一方、国防省の声明では、今月6〜13日の間、この船を追跡した。ダットン氏は「目的はもちろん、沿岸部の機密情報を集めることで、軍事施設や情報当局の施設にも接近していた」と述べた。さらに「これは挑発行為であり、これほど南下したことからもそう考えている」と批判した。
豪州では21日に連邦選挙を控えているが、世論調査で連立与党は野党のリードを許している。
ダットン氏はスパイ船の存在を公表した理由について、「国民に対して正直かつ率直でいることが最善」だとした。その上で、労働党のアンソニー・アルバニージー(Anthony Albanese)党首の名前を挙げ、同氏は「国防を真剣に考えていない」ため、労働党への投票はリスクが高いと訴えた。(c)AFP
中国出資のカンボジア巨大ダム、数万人の生活破壊 人権団体報告
2021年8月10日 18:10 発信地:プノンペン/カンボジア
【8月10日 AFP】中国が出資するカンボジアの巨大ダムについて、エネルギー生産量が当初の計画を下回っている上、数万人の村人の「生活を流し去った」とする報告書を10日、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)が発表した。
カンボジア北東部にある発電量400メガワットの「セサン下流2水力発電所ダム(Lower Sesan 2 Dam)」は、2018年12月の開業以前から長らく論争を巻き起こしていた。水産専門家は、資源豊かなメコン(Mekong)川の主要な支流であるセサン(Sesan)川とスレポック(Srepok)川の合流点をダムにすると、メコン川の氾濫原沿いに住む数百万人にとって重要な水産資源が脅かされると警告していた。
報告書でHRWは、ダムの上流と下流に住む数万の村人の収入に大きな損失が出ていると指摘。執筆したHRWのジョン・シフトン(John Sifton)氏は、「カンボジア当局は、このプロジェクトをめぐる補償、再定住、生計回復の方法について早急に見直す必要がある」と述べた。
カンボジア政府は、建設を担った中国電力大手・中国華能集団(China Huaneng Group)が約束した通り、カンボジアの年間電力需要の約6分の1が賄われることを期待して、約5000人の再定住を伴うダム事業を推進した。だが、実際の生産量は当初計画の3分の1程度にとどまっているという。
ダムはアジアからアフリカ、欧州にまたがる中国の巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」の一環で、建設費は7億8000万ドル(約860億円)とされている。(c)AFP
中国の援助で「債務のわな」? 小国モンテネグロの巨額道路建設
2021年6月11日 8:00 発信地:マテセボ/モンテネグロ
【6月11日 AFP】バルカン半島の小国モンテネグロ。静かな村の頭上を走る真新しい高速道路が、山腹のトンネルに消えていく。
ここは、中国からの資金に頼る10億ドル(約1100億円)規模の大工事の起工部だ。この事業のために同国の経済は危機に直面している。モンテネグロ政府は中国からの融資のうちすでに9億4400万ドル(約1030億円)を、工事の第1区間である41キロの完成に費やしてしまった。世界で最も高価な舗装道路区間の一つと言える。
そして残る約130キロを完成するには、少なくとも10億ユーロ(約1330億円)が必要とみられている。
中国人労働者たちが6年がかりで硬い岩盤にトンネルを掘り、山間部や峡谷にそびえ立つコンクリートの橋脚を建ててきたが、道路は文字通り行き先が見えない。
「立派なものが建ったが、ここで終わるわけにはいかないでしょう」と語るのは、マテセボ(Matesevo)村で引退生活を送るドラガンさん(67)。「まるで高級車を買って、車庫に入れっぱなしにしているみたいです」
未完成の区間の資金調達、建設による環境破壊、発注絡みの汚職疑惑といった問題が指摘されているが、地元住民は工事の恩恵を強調する。
「土地が売れて、出て行った人もいます」と匿名で取材に応じた村民が語る。自宅脇には片側2車線の高速道路を支える巨大な橋脚が出来上がっている。「野菜やニワトリが作業員に売れました」。工事現場から出た土砂の山によって、川の氾濫も止まったと言う。
■深刻な資金切れ問題
マテセボと首都ポドゴリツァ近郊の町を結ぶ最難関の区間は、11月に開通する予定だ。
計画では、道路は南部アドリア海(Adriatic Sea)沿岸の港町バール(Bar)と北部のセルビア国境をつなぎ、さらにセルビアが自国の首都ベオグラードまで延ばすことになっている。
だが、そのための資金をどこから得るのか、そして国内総生産(GDP)49億ユーロ(約6530億円)のモンテネグロがすでに中国に負っている債務をどうやって返済するのかは不明だ。
AFPが閲覧した契約書によると、返済できなかった場合、モンテネグロは主要インフラの管理権を中国へ譲らなければいけない可能性がある。
中国は巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」の下、小国に払いきれない借金を負わせているとして広く批判されている。経済をてこにして政治的影響力を強める、いわゆる「債務のわな外交」を憂慮する向きもある。
しかし中国当局は、モンテネグロなど西バルカン地域への融資にはいかなる他意もないと主張している。
在モンテネグロ中国大使館は4月に発表した声明で「この協力は双方に有益であり、ウィンウィンだ」と述べた。さらに「中国の融資にネガティブなレッテルを貼ることは、中国に対して不当なだけではなく、西バルカン諸国に対する非礼でもある」とけん制した。
モンテネグロは第1回返済期日を7月に迎える。中国側のこうした主張を検証する欧州初の国となり得るかもしれない。
連立内閣の設備投資相ムラデン・ボヤニッチ(Mladen Bojanic)氏はAFPに「建設を続ける資金源が見つからなければ、深刻な問題になる」と述べつつ、道路を完成させると明言した。
■「衆人環視」を避けた決定
現在、欧州連合(EU)に救済を要請しているボヤニッチ氏は野党時代、この道路建設はリスクが高く無謀だとして反対していた。
汚職まみれの事業だと非難する活動家らもいる。選ばれた地場下請け業者の3分の1以上は、ミロ・ジュカノビッチ(Milo Djukanovic)大統領率いる旧与党、社会主義者民主党(DPS)にコネを持っていた。
公開入札も行われず、支払金額と実際の作業の相関関係が不明だと、汚職監視団体「MANS」は指摘する。MANS調査部門ディレクター、デヤン・ミロバック(Dejan Milovac)氏は「建設に関する決定は、不当にも衆人環視を避けて行われた。今、そのツケが回ってきた」と言う。
政府はあらゆる汚職の申し立てを調査すると約束している。
さらなる問題は環境破壊だ。マテセボ付近を流れる川の一部は国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)によって保護されているが、道路工事で荒廃した。工事を担当した中国企業は、修復のための資金供出に同意している。
■通行料金では補えない
問題は予見されていた。専門家らは10年前、この事業は立ち行かないと政府に忠告していた。またアドリア海での商業・観光面での利益や北部貧困地域の開発への恩恵も、道路建設コストに見合わないと主張していた。
通行料からの収益では、推定で年間7700万ユーロ(約100億円)とされる道路のメンテナンス費用さえ補えないと現政府は認めている。
「1日当たり2万2000~2万5000台の車両が利用しないと高速道路は採算が取れない」と土木技師のイバン・ケコビッチ(Ivan Kekovic)氏は言う。交通量の最大区間で予想される利用台数のおよそ4倍だ。
マテセボ村に近いコラシン(Kolasin)町の教師、ジェリコ・ライコビッチ(Zeljko Rajkovic)氏(55)の考えはこうだ。首都ポドゴリツァまで旧道では90分かかるが、新しい道路を使えば、より安全で30分。しかし、往復の通行料と余分な燃料がかかる。「大嵐か緊急の時ぐらいしか利用しないと思います」
中国、アフリカとの首脳会合で6.7兆円の支援約束 「ひも付き」
2018年9月3日 22:51 発信地:北京/中国
中国・北京で行われた中国アフリカ協力フォーラムの開幕式典の様子(2018年9月3日撮影)。(c)HOW HWEE YOUNG / POOL / AFP
中国はこの一帯一路構想で、国外の市場や資源へのアクセス向上と、海外における自国の影響力拡大を目指している。ただこの構想により、一部の国が多額の債務を抱えることになると警戒する声もある。
習氏は、一帯一路は「排他的な共同体やブロックを形成するための構想ではない。むしろ、より開放的かつ共有的で、相互利益につながるものだ」と述べた。
また今回拠出を表明した600億ドルの支援については、産業振興やインフラ整備、アフリカの若者への奨学金など8つの事業に充てられると説明した。
習氏はさらに、アフリカの後発開発途上国や重債務国、貧困国については、今年中に返済期限を迎える中国からの無利子借款の債務を免除する方針も明らかにした。
その後演説した南アフリカのシリル・ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は、中国の対アフリカ投資を擁護。FOCACは「中傷者らが信じ込ませようとしているような、新植民地主義がアフリカに広がりつつあるという見方には異議を唱える」と述べた。(c)AFP/Ben Dooley
中国・北京で開幕した中国アフリカ協力フォーラムで握手する、習近平国家主席(右)と国連のアントニオ・グテレス事務総長(2018年9月3日撮影)。(c)Andy Wong / POOL / AFP
中国・北京で開幕した中国アフリカ協力フォーラムで演説する南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領(2018年9月3日撮影)
中国・北京で開幕した中国アフリカ協力フォーラムで握手する、習近平国家主席(右)とエジプトのアブデルファタハ・シシ大統領(2018年9月3日撮影)
中国・北京で行われた中国アフリカ協力フォーラムの開幕式典に先立って行われたリハーサルの様子(2018年9月3日撮影) ガーナで中国人大量逮捕 身勝手すぎる理由とは?
Jun 11 2013
アフリカ第2の金生産国ガーナへ、一攫千金を求めて多くの中国人が渡り、違法採掘を行なっていることが問題視されている。2005年以降、現地入りした中国人の数は5万人と言われている。その多くが観光ビザなどで入国した後に、適切な法的手続きを済ませずに違法滞在や採掘、環境破壊などを行なっているというのだ。
これに対して地元民からの反発が強まっているようだ。エスカレートするゴールドラッシュの波に、とうとうガーナ政府が動き出し、昨年から取り締まりを強化している。
海外各紙はその様子とともに、両国の言い分を取り上げている。
【中国人を取り締まるも、事を荒立てたくないのが本音か】
フィナンシャル・タイムズ紙によると、ガーナの法律では、同国民にのみ小規模作業の採掘許可が与えられ、外国人に許されているのは技術的支援や設備提供に限られている。これは、まずは国民に利益がいくことと、環境へのダメージを最小限に抑えるためだという。
しかし、一攫千金を目指して奮い立った中国人は年々増加。ガーナ人地主の中にも、中国人による設備投資や手数料の支払いと引き換えに、彼らに採掘を許可する者も少なくないという。
結果として、荒稼ぎをする過程で、環境破壊や中国人によるガーナ人労働者の不当な扱いなどが問題となってきたようだ。
最近では、採掘現場の穴が崩壊しガーナ人労働者が死亡する事件が相次いでいる他、中国人がシアンや水銀などの有害物質を使用して採掘を行っていることで、水源汚染が進んでいるとガーディアン紙は報じている。汚染された水の浄化費用が高くなりすぎて、今では、地元住民へ安全な水を供給することができないまでに悪化しているという。
危機的な状況を見過ごすことができなくなったガーナ政府は厳しい取り締まりを行うようになり、今月に入ってからも100名以上の中国人を拘束したという。彼らは一人あたり2000ガーナセディ(約95,000円)の罰金が課せられ、近く強制送還される見込だとガーディアン紙は報じている。
一方で、主要貿易国であり、大規模な経済投資元でもある中国との関係を悪化させたくないのも本音だ。ガーナ政府は「これは反中国的な動きではなく、問題となっている違法採掘者のほとんどが中国人であるというだけだ」と述べているという。
【中国はガーナを非難。ネット上では炎上も】
中国政府は、ガーナの中国人に対して現地の法律を順守するよう呼びかけている。一方、採掘に携わっていない無罪の人間までが摘発の対象になっていることを非難し、ガーナ政府に適切な対処を要求している。
また、本国のインターネット上ではこの問題が炎上しており、真実はさておき、拘束され乱暴な扱いを受けたためにひどく負傷した同国民の写真などが投稿されているとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。「勤勉な中国人が富を得ていることに対して地元民が嫉妬している」という声や、「欧米メディアが大げさな報道で煽った」ことなどに対する批判が強まっているとフィナンシャル・タイムズ紙は取り上げている。
なおガーディアン紙によると、違法採掘者の多くは広西チワン族自治区(南寧市)上林県の出身だという。ある採掘者の出身村には180世帯があり、身体的に問題がある男性以外のほとんどにあたる100人程の青年がガーナに来ていると語っている。
フィナンシャル・タイムズ紙では、「我々が撤退したら地元上林の経済は20年分は後退してしまう」と語る採掘者の声も取り上げている。
「2021年:オーストラリア編」
豪州、商業港の契約見直しで“中国排除” あわや機密情報ダダ漏れ…日本の地方も狙う中国のしたたかな浸透工作
2021年5月
オーストラリア連邦政府による「中国排除」の動きが活発化している。地方政府が中国企業と結んだ北部ダーウィンの商業港の賃借契約について、見直しの検討を始めたのだ。日本と米国、インドとの戦略的枠組み「QUAD(クアッド )」の一角であるスコット・モリソン首相率いるオーストラリアは、習近平国家主席の中国共産党政権による軍事的覇権拡大や、香港やウイグルでの人権弾圧を断じて看過しない姿勢を明確にしつつある。中国の浸透工作が指摘される日本は大丈夫なのか。産経新聞論説副委員長の佐々木類氏が迫った。
◇
「冷戦思考とイデオロギー上の偏見に基づき、両国の正常な交流や協力を妨害、破壊する一連の措置を打ち出した」
中国国家発展改革委員会は6日、オーストラリアとの戦略経済対話に基づく、すべての活動を無期限で停止すると発表し、こう反発した。具体的理由は明らかにしていないが、連邦政府がダーウィン港の賃借契約の見直しを検討していることへの報復措置 とみられる。
ダーウィン港は、インド洋の一部ティモール海に面し、太平洋にも近い。第二次世界大戦前から海軍基地が置かれ、米海軍艦船が寄港したり、在沖縄米海兵隊がローテーションで駐留している。オーストラリアにとって国防上の重要拠点である。
同ダーウィン港をめぐっては、中国企業「嵐橋集団」が2015年、ダーウィンがある地方政府・北部準州と約5億豪ドル(約424億円)で99年間賃借する契約 を結んだ。オーストラリア北部で唯一、大型艦が接岸できる軍民共用桟橋も賃借契約の対象だ
当時の嵐橋集団トップの葉成氏は、中国人民解放軍の出身で軍と密接な関係にあった。葉氏は、アンドリュー・ロッブ元貿易相を議員辞任後に年収88万豪ドル(約7460万円)で集団の顧問として迎え入れるなど、政界人脈を利用して同国への浸透工作を図っていた。その事実は、公共放送ABCなどの報道で知られている。
ティモール海を隔てた対岸には、中国の巨大経済圏構想「一帯一路(債務の罠外交)」を支持する東ティモール が位置する。東ティモール では、中国が経済支援をテコに存在感を強めており、ダーウィン港を出入りする米軍やオーストラリア軍艦船の監視を強めているのが実態だ。
これだけ重要な港が、中国企業の管理下にあるのだから、オーストラリア連邦政府が見直すのは当然だし、遅いくらいの対応だ。「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に向けたクアッド の一角がこの体たらくだったのだから、何とも心もとない。
3日付のオーストラリア紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」によると、モリソン首相が議長を務める国家安全保障会議から契約の見直しについて、ピーター・ダットン国防相に助言を求めてきたという。連邦政府は国防省の判断を踏まえて、嵐橋集団にダーウィン港の管理権を強制的に売却させる見通しだ。
■“微笑み攻勢”港町釧路市に中国の魔の手
日本と違ってオーストラリアは連邦制をとる。地方政府の権限が強いとはいえ、ことは「国防上の問題 」だ。地方自治体が金目当てに中国とやりたい放題 でいいわけがない。
クアッド もそうだが、オーストラリアが、米国と英国、カナダ、ニュージーランドの英語圏4カ国とつくる機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ 」も、オーストラリアがこんな状態ではその名が泣こうというものだ。機密情報がダダ漏れ になるところであった。
気を付けねばならないのは、日本も他人事ではないということだ。
したたかな中国共産党政権は、他国の地方から中央を包囲する 「毛沢東戦略 」を実践し、その毒牙は日本の地方にも向けられているからだ。
微笑みながら相手国の土地やインフラ施設の乗っ取りを狙う「チャーム・オフェンシブ(微笑み攻勢 )」がそれだ。姉妹都市 や文化交流 を装った日本の地方自治体への働きかけ は彼らの常套(じょうとう)手段 であり、最も得意とする浸透工作 でもある。
そのターゲットの一つが北海道釧路市 だ。次回は釧路市 に忍び寄る中国の魔の手について、報告する。
「豪首相は激怒」なぜ中国報道官は"陰惨なフェイク画像"で豪州を挑発したのか
中国外務省の趙立堅副報道局長(中国・北京=2020年4月8日)
結論:
職場の労働環境について話をするならば、ホンダのように、EVに完全シフトして、社員が1つのことを目指したようには、トヨタはいかなかったんだな?ホンダの中心であるホンダ技術研究所は決して中国共産党国営企業とは組まずに、日本国内でEV電池もモーターも生産も工場も国内で開発しようとしている点が、トヨタとは全く違うな。ホンダのように生き生きとした社員が、生き生きとした自動車を作ることができるし、あと10年でEV車に完全変化する。2030年あたりのトヨタとトヨタに部品供給する日本電装(技術研究所は中国に移転してしまった)は、本当に大丈夫な会社なのか?疑問だ。2030年あたりには、ガソリン車は走ってはいるけど、ガソリン車の新車は生産しないので、そのための部品もだんだん縮小して、世界中のどの部品企業も倒産しているだろう。
フランス、ルノーのCEOが言っていたように、大学の研究者、民間企業、国家政府の首長の3者が一体となって初めて電気自動車を次世代カーにできる、と言ってましたね!しかも時間がないとも。
アメリカのバイデン大統領は2021年に就任してすぐに、200兆円の予算でアメリカ中に、EV用電気ステーションを何十万基も作るそうです。2022年内にはできるでしょう。それに比べて日本はEVに関しては何もしていないに等しい。日本の自動車産業は今後はすべて海外工場で研究もして、部品も海外で取り寄せて、海外の工場で生産ラインを立ち上げていくつもりです。しかしながら中国だけは節操のない、約束の概念がおかしな国であることを忘れず、恐れず、今や中国は「世界の工場」となってしまったのだから、ここで生産販売拠点を持つしかない。しかし、いつ、つぶされてもよい覚悟で、びくびくしながら、首をたれながら、最後は中国に骨をうずめる覚悟で起業家さんも、世界から移住した研究者さんも、そこで頑張るしかない。
習近平はアメリカに対して必ず強気に出始める。そのとき試されるのは日本の姿勢だ。習近平国賓招聘をまだ「中止する」と言えない日本。中止する必要はないと言い張る自民党の二階幹事長が絶対的力を持っている日本の政権与党。このようなパワーバランスが転換しようとしている時でもなお中国の顔色を窺うのだろうか。
かつて、第2次世界大戦のときナチスの幹部が「国家の最大の問題は、人口問題だ!」としみじみとつぶやいたけど、 その言葉が、 習近平の 「世界を支配できる国は、最も人口が多くて、その1人1人統制できることが、国家の最大問題だ!」と、このように聴こえてくるようだ。
日本中国友好協会(左はソフトな独裁者、
右はハードな独裁者)
韓国とプーチンと習近平の3人が軍事パレードに参加
日中韓3か国地方政府交流会議
【日中韓3か国友好同盟】
81年前の日●●軍事同盟ではありません。81年前の黒田氏の言葉「一番強い国(当時はドイツだった)に追従することにした」。
VIDEO 興梠一郎氏に聞く最新ウクライナ情勢 中国が仕掛ける“分断”【日経プラス9】(2022年6月30日)
習体制「一強」「独裁」の「完成」とは?
京都府立大教授・岡本隆司
2022/11/6
去る2022年10月16日に開幕、10月22日に閉幕した中国共産党第20回党大会 。いささか間遠ながら、落ち着いた時点で部外者の目から振り返ってみるのも悪くあるまい。
田舎住まいの歴史屋は、外(と)つ国の過ぎ去った昔ばかり考えている。あいかわらず浮世に疎い。今回も膨大精細な報道記事をみただけ、それなら、ひたすら拳々服膺(けんけんふくよう)、異議不満がないのかといえば、そういうわけでもない。
「習氏の独裁完成」(産経)、「習氏1強が完成 新体制」(朝日)、「習指導部 側近重用」(毎日)、「『習派』指導部固める」(読売)、「習氏3期目、長期政権入り」(日経)。これらは2022年10月24日の各紙1面にあった見出しだが、論調・趣旨は筆致に程度の差こそあれ、おおむねどこも同じだった。あまのじゃくの筆者には、横並びが気に入らない。なぜそうなるのか、のほうに興味をそそられる。
奇(く)しくも今年2022年は国交正常化50周年、その昔を振り返ると、中国報道では、日中の平和共存の難しさを指摘する産経など、警戒の声もありながら、ほぼ日中「友好」だった。つまるところ「友好」であってほしいという願望の反映であって、一定の時間をかけてみれば、決して「友好」でなかった事実は明白である。不動産バブルの崩壊に伴う中国崩壊論が広がったのが、一頃前である。しかし崩壊する兆しは見えてこず、慧眼(けいがん)の向きはつとに、中国崩壊論が崩壊した、と揶揄(やゆ)していた。それでも崩壊論がなかなかやまなかったのは、やはり崩壊を願う輿論(よろん)に影響を受けたのではないか。
不透明感が強い中国に対する報道は、もとより正確を期しがたい。しかしせっかく記事にするなら、その見えにくさもふくめ、彼我の対象・認識を長い目で解析すべきではないか。
「側近」だけで固めた習体制を「独裁」「一強」の「完成」とするのは、たしかにわかりやすい。結果として似たような記事になったのも納得できる。ただそれも、輿論の帰趨(きすう)に棹(さお)さすと見えなくもない。
中国の政体は、独裁こそ史上の通例である。 それならいわゆる「完成」以前の「体制」はどうだったのか。なぜ「完成」をめざしたのか。そこを紋切り型の「権力闘争」や「派閥」で説明されても、違和感は残る。「独裁」「一強」の「完成」という見方・表現に再考の余地はないか。自らの認識・論理を問いなおす姿勢も必要ではないだろうか。 溢(あふ)れる関係記事に溺れかかった雑感、杞憂(きゆう)であれかしとあらためて念じている。
「2021年:フィジー、キリバス、ソロモン諸島編」
建国100周年の2049年を目標に経済・政治・軍事面で米国を完全に追い越し、中華秩序・覇権を確立する‼
2019年11月13日
ソロモン諸島でうごめく中国マネー
中国は、台湾の国際的活動空間を狭めることで、台湾の蔡英文政権に圧力を加えているが、最近ソロモン諸島と、次いでキリバスが台湾との国交断絶を発表し、中国との外交関係の樹立を発表した。これには、大きな中国マネーが動いたと言われている。10月24日号の英エコノミスト誌によれば、中国土木・建設会社は、外交関係の変更のために50万ドルの借款・贈与をオファーした。他にも、中国鉄道会社は、金鉱再生のために8億2500万ドルを貸すと約束した。中国政府はスポーツ・スタジアムを建設し、台湾への借金120万ドルを肩代わりすると申し入れた。
国交樹立後、中国がソロモン諸島の一つ、ツラギ島をいわば租借する話が持ち上がった。9月、ソロモン諸島の地方の高官が中国のサム・エンタープライズ(China Sam)社と合意を締結した。この合意では、植民地時代ソロモン諸島の首都であった小さな島、ツラギ島の75年間の賃借が石油、ガスターミナル、漁港、「経済特区」の建設と共に定められていた。これがソロモンで政治問題化している。どう決着するのか、まだよくわからない。
この島を賃貸する契約を結んだのはツラギの地方当局の代表であるが、地方当局にはそういう契約を結ぶ権能はないのではないかということが問題にされている。一般論としては、これについては相手が民間企業であるとすれば、権能ありとの論もなしとの論もありうると思うが、中国は中国式社会主義で企業と国家の関係が我が国のような場合とは異なる。これを考慮すれば、中国が南太平洋に島を賃借してでてくるというのは好ましいことではない。
ソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相は、10月はじめ北京を訪問し、中国の「一帯一路」構想 に署名した。また首相と閣僚はChina Samと華為技術などの中国の大企業の役員と会っている。
ソロモン諸島の隣のバヌアツ島に、中国は深海港建設の計画をもっており、これは中国海軍の本拠地にもなりうるものである。
第2次世界大戦中、この地域は日米の激戦地であったが、これらの諸島が持つ地政学的価値があるからである。特に、これらの諸島は米国と豪州を結ぶシーレーンの上にある。日米豪印が進める「自由で開かれたインド太平洋戦略」にとって、中国の進出は、その戦略を進めていく上で、大きな阻害要因になる。これは日米豪間で話し合うべき問題であろう。
中国は、A2AD(anti-access と area-denial)戦略をとっていると言われてきた。これは防衛的戦略とも言えるが、中国の戦略的意図はそういう防衛的な考え方からより積極的な影響圏の拡大になって来ていることを、この南太平洋への進出は示している。
2018年6月6日
中国が太平洋島嶼国の取り込みを狙う理由
2018年5月18~19日に、日本と太平洋の島嶼国による第8回太平洋・島サミットが福島県いわき市で開催された。今回の太平洋・島サミットの首脳宣言では、開発・発展、水産資源の管理、環境問題に加え、安全保障と戦略の側面にも重きが置かれた。首脳宣言の注目点は次の通りである。
・太平洋において、法の支配に基づく自由で開かれた持続可能な海洋秩序の重要性を強調。(a)法の支配及び航行の自由の普及及び定着、(b)連結性の強化を通じた経済的繁栄の追求、(c)海上安全及び防災の分野における協力等の平和と安定に対するコミットメントの3本柱から成る「自由で開かれたインド太平洋戦略」等による積極的かつ建設的な貢献を歓迎。
・全ての国が航行及び上空飛行の自由、その他の国際的に適法な海洋の利用を含む国際法を尊重することの重要性を改めて表明。国家が国連海洋法条約を始めとする国際法に基づき領土及び海洋に係る主張を行うとともに、自制し、武力による威嚇又は武力の行使に訴えることなく平和的方法により紛争を解決することの重要性を強調。
・海洋安全保障及び海上安全の分野において緊密に連携する意図を再確認。国境管理及び警備を含む,海上安全及び海上法執行の分野における太平洋諸島フォーラム島嶼国のための能力構築の重要性を改めて表明。安倍総理は、海上法執行及び北朝鮮関連の国連安全保障理事会決議の履行に関する太平洋島嶼国のための能力構築プログラムの立上げを発表。
・港湾及び空港等、国際スタンダードにのっとった、開かれ、透明で、非排他的かつ持続可能な形での、主権及び平和的利用を尊重する、質の高いインフラ整備を進めていくことの重要性を強調。
・4月下旬の南北首脳会談において発出された「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言文」を歓迎。米朝首脳会談を通じ、この目標に向けた北朝鮮による具体的な行動が示されることに期待を表明。国連安全保障理事会決議を完全に履行・執行し、北朝鮮に対して圧力をかけ続けていく。「瀬取り」を含む北朝鮮による制裁回避戦術に対して深刻な懸念を表明し、自国が旗国となっている貿易又は漁業に従事する北朝鮮船舶の船舶登録の解除を含め、関連の国連安全保障理事会決議に従った取組を加速させていく。
出典:第8回太平洋・島サミット(PALM8)首脳宣言(外務省ホームページ)
日本と太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟国(豪州、ニュージーランド、太平洋島嶼国14か国)は、1997年以降3年に1回、太平洋・島サミットを日本国内で開催している。今回は、上記17か国に加えてPIFの準加盟国である仏領ポリネシアとニューカレドニアが参加した。太平洋の島嶼国は長年にわたり日本と緊密な関係にある。特に、マグロやカツオなどの水産資源の管理、気候変動による海面上昇への対策などで協力を深めてきた。
上記首脳宣言は、法の支配、国際法の重視を謳い、日本の国家戦略である「自由で開かれたインド太平洋戦略」を明記するなど、日本が国際的ルールに則った海洋秩序を擁護する海洋国家のリーダーの一員であることを示す、良い内容である。最近、中国による太平洋島嶼国への進出が目立つが、当然、それを意識していると思われる。「自由で開かれたインド太平洋戦略」の明記もそうであるし、「国際スタンダードにのっとった、開かれ、透明で、非排他的かつ持続可能な形での」質の高いインフラ整備というのもそうであろう。
中国が太平洋の島嶼国の取り込みを狙う第一の理由は、台湾と国交を持つ国が6か国(ツバル、ソロモン諸島、マーシャル諸島、パラオ、キリバス、ナウル)も集中しているためである。今や台湾と国交を持つ国は、最近、中米のドミニカ共和国とアフリカのブルキナファソが相次いで断交し、18か国に減っている。太平洋の島嶼国が3分の1を占める計算になる。太平洋の島嶼国は、中国にとり、もっと大きな戦略的意味もある。これらの国々は、中国が中期的な進出目標とする第二列島線(小笠原~グアム~サイパン~パプアニューギニア)の終点およびその周辺に位置するという点である。中国は、これらの国々に対し、他の地域におけるのと同様、経済支援による攻勢を強めていくであろう。また、中国は、PIFへの関与も強めようとしている。
中国の進出に対し、同地域を「裏庭」と見てきた豪州やニュージーランドは警戒を強めている。ただ、2006年にフィジーで起きたクーデターに対し両国が厳しい姿勢を示したことにフィジーが反発し対中傾斜を強めるなどの事例もあり、島嶼国と豪州、ニュージーランドの双方と良好な関係を持つ日本の役割は重要である。
今回新たに参加した仏領ポリネシアと仏自治領ニューカレドニアには、フランス軍が駐留しており、フランスは中国の太平洋進出に目を向け始めている。日本とフランスとの間では「2プラス2」(外交・防衛閣僚会合)があり、両国は防衛協力を強化している。英国も航行の自由を掲げ、同じく日本と「2プラス2」を持ち、豪州への英軍の立ち寄りを頻繁にするなど、太平洋への関与を強めている。法の支配に基づく国際秩序を支持する西側の主要国が太平洋において連携を深めていく流れが出来つつあるように見える。太平洋・島サミットを中心とする、日本と太平洋島嶼国との緊密な関係は、間接的であるにせよ、益々貴重な財産になると思われる。
なお、今回の首脳宣言では北朝鮮について詳細な言及があり、一つには、北朝鮮の核・ミサイル問題が国際社会全体の問題であること、もう一つにはPIF加盟国のサモアやマーシャル諸島に設立されたペーパーカンパニーが「瀬取り」に関与していた事案が指摘されるなど、具体的な問題として対応する必要があるためである。
2019年09月17日
中国の魔の手に落ちたソロモン諸島…押さえておきたい3つのポイント
黒色中国では、2019年5月から本件について度々取り上げてきましたが、結局ソロモン諸島は台湾とは断行して、中国との国交を結ぶことになりました。
ソロモン諸島が台湾と断交し、中国と国交を結ぶのが、なぜ注目すべき重要事項なのか……ツイッターでも取り上げてきましたが、こちらでおさらいしてみようと思います。
【目次】
(1)中国が第二列島線の遥か後方に「足場」を得てしまう
(2)台湾がオセアニアで国交を持っていた中で、ソロモン諸島は最も面積が広く、人口が多い
(3)ガダルカナル島
(1)中国が第二列島線の遥か後方に「足場」を得てしまう
いきなり「ソロモン諸島」と言われても、どこにあるのかわからない人が少なくないと思いますので、ちょっと図説してみました。
ソロモン諸島はパプア・ニューギニアの更に東側にあります。
「こんなところの島国が中国と国交を結んだからって大したことないだろw」
…という人もいるでしょうが、中国は近年、海洋進出を進めており、第一列島線(図上の九州からフィリピン、南シナ海にかけての赤線)、第二列島線(太平洋に突き出している赤線…途中でグイッと曲がっているところにはグァムがあります)という言葉を聞いたことがある人もいると思いますが…
今回、中国がソロモン諸島と国交を結ぶことで、第二列島線の遥か後方に、いきなり「足場」を持ってしまった…ということ。オセロでいえば「角を取った」ようなものです。
(2)台湾がオセアニアで国交を持っていた中で、ソロモン諸島は最も面積が広く、人口が多い
▲台湾はキリバス、ナウル、パラオ、トンガ、ツバルとも国交を持っていましたが、ソロモン諸島はその中でも面積が最大(2万8450km2…ちなみに北海道の面積が2万2373km2)。で、人口も最大(52万3千人)です。外務省の基礎データによれば、人口は2017年時点で61万人となっています。オセアニアには、まだ5つ台湾と国交を持つ国がありますけど、それらも今後はソロモン諸島に続く可能性がありますね。更に台湾の孤立は深まり、西太平洋が「中国の海」に変わる可能性が出てきたわけです。
(3)ガダルカナル島
「でも、同じオセアニアですぐ近所のパプア・ニューギニアはもっと大きいし、人口だって多いんじゃない?いまさらソロモン諸島で大騒ぎする必要ないでしょw」
…という人のために説明すると、▲ソロモン諸島の首都・ホニアラがあるのは、ガダルカナル島です。つまり、第二次大戦で日本の命運が決まった「ガダルカナル島の戦い」のあったあの島です。
なぜガダルカナル島が重要だったのか…更に地図を広い範囲で見てみますと…
▲オーストラリアとハワイの間にソロモン諸島があります。そしてそれ以外に目立った島はありません。ツバルは小さすぎる上に水没の危機にある島だし、マーシャル諸島は米軍基地も置かれているものの、ほとんど環礁で面積は181km2に過ぎません。
なので、ソロモン諸島は、米豪分断のための戦略拠点だったわけです。もしここに中国海軍の基地が出来たり、潜水艦隊が置かれたりしたら…
「中国と外交関係を正常化すればソロモン諸島が大きな恩恵を受ける立場にあることが分かった」
…とあるので、今後、ソロモン諸島は一帯一路に参加したりで、中国のインフラ投資が始まるものと思われます。
▲一足先に、一帯一路参加国となったパプア・ニューギニアの状況についてはこちらの記事がわかりやすいです。
* * * * *
今回の国交断絶で困るのは台湾だけではありません。中国の覇権が拡大され、米国に取って代わって、「世界帝国」となるのが、また1つ実現に近づいたわけです。今後も引き続き注視しておきたいと思います。
ちなみに…▲日本ではほぼ報道もされないのですが、中国のネットで見ていると、「第三列島線」の話もチラホラとでてきます。
太平洋島嶼国事業 Pacific Island Nations Program
キリバス政府、フィジー国内の保有地に中国の軍事基地計画はない
(2021年2月23日、ISLANDS BUSINESS/PACNEWS)
フィジー北部サブサブ近くにあるキリバス政府保有の土地が、中国の軍事基地に利用されるのではないかという声を受け、キリバスのターネス・マーマウ大統領府が、これを否定した。
大統領府は、同地の開発目的は農業利用に限られ、「政府は、土地に(陸または海の)軍事基地を建設する可能性を完全に排除している」と、フィジー誌「Islands Business」に回答した。
キリバスのアノテ・トン前大統領は、フィジー北部バヌアレブ島・サブサブ港の西海岸線にある、深海に面した5,460エーカーの土地を「商業、産業、農業利用する可能性」を模索したいと考え、2014年、アングリカン教会から930万豪ドル(730万米ドル)で購入した。同地は、主に丘陵地帯とジャングルに覆われている。
当時、トン政権は魚の缶詰事業を推し進めたいとして、首都タラワにある国営水産会社や、フィジー政府が所有する水産加工会社PAFCOと協力していた。しかし2016年、トン前大統領が最長任期を勤め上げると、同事業計画は中止され、マーマウ新政権に引き継がれた。
マーマウ大統領が先日、フィジーの土地開発で中国と協力していることを認めると、中国が土地を開発することで、軍事利用されるのではないかという憶測が飛び交った。Islands Business誌が、これについて大統領府に質問を投げかけると、同府はこれを否定し、「土地利用計画の最終化に際して、中国の手助けが必要であり、特に活用案が出ている農業分野についてのアドバイスを受けている」と説明した。さらに、中国が開発や活動に直接関与することはないとした上で、同国の役割は「ナトアバツ(フィジーの保有地)計画を仕上げるため、技術支援と助言を提供すること」であり、「計画の焦点は、農業投資を通じて土地を開発することだ」と続けた。
大統領府は、農業投資の具体的な内容に関して、キリバスのための農作物生産と言及するにとどまり、計画が整い次第、実際の農作業が始まるという。また、現在ナトアバツに居住する約300の家庭について、マーマウ大統領事務所は、「相談先を紹介し、フォローしていく」としている。
本計画への中国の関与について、2019年9月に、マーマウ政権が台湾から中国へ外交関係を切り替えて以来、中国がキリバスに投資してきたことへの「見返り」ではないかと問われると、大統領府は「目的は、農業部門における中国の豊富な経験を活用して、計画をまとめ上げ、健全で実行可能なものにすることだ」と回答。また、「キリバスと中国の関係は、相互の尊重と信頼に基づいている。すべての資金協力は、透明性のある方法で行われている」と補足した。
(訳:立入瞳)
【解説】
この記事を読んで頭に思い浮かぶのは、フィジーの民族構成、歴史、土地所有権、キリバスとフィジーの関係です。
最新のフィジー国勢調査(2017)は、「民族に関わらず、皆フィジー人」として現政権が進めてきた多民族・多文化国家への改革を反映し、民族構成を記載していません。そのため前回2007年の国勢調査によりますが、フィジーの民族構成は、先住民系(イタウケイ, iTaukei)が56.7%、インド系が37.3%、その他が6%からなり、現在も概ね先住民系6割弱、インド系4割程度、その他(ロトゥマ、欧州系、アジア系、近隣島嶼国民の子孫)1割弱と見て間違いないでしょう。
インド系住民は英国植民地時代の1800年代に農業労働者としてインドから移住させられた人々の子孫と、現在もビジネス部門で活躍するグジャラート州出身の人々の子孫などで構成されます。
近隣島嶼国民の子孫も英国植民地時代が関係しており、例えばソロモン系の住民でブラックバードと呼ばれる労働者として強制移住させられた人々の子孫、キリバスのバナバ島から同島のリン鉱石採掘のためにフィジーのランビ島に強制移住されられた人々やその子孫がいます。ランビ島のキリバス人はある程度の自治を認められており、ランビ島キリバス人評議会はキリバス議会に議席を1つ有しています。ただ、フィジー行政におけるランビ島キリバスコミュニティの位置づけには議論がありました(ランビ島の話は、2013年頃、当時のリモン駐フィジー・キリバス高等弁務官(大使)に教えていただきました)。
次にフィジーにおける土地所有権ですが、これは先住民系フィジー人の根っこに関わる話であり、政治問題化しやすいデリケートなものです。少し詳しく見てみましょう。
フィジーの土地は所有権の観点からNative Land(約83%)、Freehold Land(約10%)、Crown Land(約7%)の3種類に分けられます(数字はフィジー地方行政・住居・環境省の都市・農村計画局)。この中で、Crown Landは国が管理する土地で、Freehold Landは先住民系フィジー人でなくとも購入し所有できる土地です。
政治問題化しやすいのは先住民系フィジー人だけが所有権を持つNative Land。この土地は個人ではなくマタンガリ(mataqali)という氏族単位が共同所有しています。先住民系フィジー人は生まれた瞬間から土地所有権を有しており、先住民系フィジー人は土地に根が生えていると言えます。
Native Landは氏族単位の所有ですが、現政権の前は、氏族長など氏族の中で立場の高い人物が土地を貸すことを決め、借地料を管理するケースが多くあったようです。現在のバイニマラマ政権は2006年のクーデター以降、この制度が不公平だとして、政府が土地の貸借を仲介し、土地所有権を有する全てのマタンガリの人々それぞれの銀行口座に借地料を均等に配分する仕組みを構築しました。生まれたばかりの赤ちゃんも対象になります。なお、フィジーには先住民系フィジー人の家系が記された公式資料が存在します。
この改革に対し、先住民系の人々、とりわけ酋長など伝統的権威を中心に「国が我々の土地を奪う」と強く反発してきました。伝統的権威からすれば借地料の管理は氏族内で地位と尊厳を保持するために必要な要素であり、この改革はその権威を揺さぶるものでした。しかし平民にとっては、(本来正当な権利のはずですが)思いがけず収入が得られるようになり、野党支持者でも静かに評価する人もいるようです。
このNative Landですが、例えば開発のために土地を借りる場合には、マタンガリの人々の確か6割以上の署名による同意を得る必要があります。現在は土地の有効活用、海外からの投資促進のために、TLTB(iTaukei Land Trust Board)やInvestment Fijiなどがこの大変な手続きを支援しています。
Freehold Landは、背景はそれぞれ異なりますが、もともとは例えば湿地帯、河川流域、沿岸部、マングローブなど本来住民が居住するのに適さない土地を埋め立てたところであったり、英国植民地時代に入植者がランタンやウイスキーなど珍しい物品と交換した土地であったりします。多くは先住民系フィジー人の根幹を揺るがすような土地ではないようです。
記事に戻ると、対象となっている土地は本島であるビチレブではなく、北部バヌアレブ島のサブサブ近郊の南岸にあるナトアバツといわれる地区の約22平方キロメートルの部分で、英国植民地時代にアングリカン教会が所有権を得た土地のようです。その周辺には先住民系フィジー人ではなく、購入しない限り土地を所有できないソロモン系住民が、キリバスが土地を購入するまでコミュニティを形成していたそうです。
ここから、キリバスとフィジーの関係を見ていきましょう。
キリバスがその土地を購入したのは2014年5月頃だったと思います。その当時、2013年から2014年はフィジーでは民政復帰に向けて、緊張が高まっていた時期でした。時系列でみると次のようになります。
2013.9 憲法改正・新選挙制度制定(民族別議席配分廃止、全国比例代表制の導入)
2014.2 ナリラティカウ フィジー大統領(当時)、キリバス訪問
2014.3 バイニマラマ暫定首相が軍司令官を辞任
※軍人は選挙に出られないため、首相には軍人に留まるか政治家になるか、どちらかを選ばなければなりませんでした。このとき、首相は軍司令官であったことから権力を維持できていたとする見方があり、軍司令官を辞すると権力が弱まり、内政が不安定化するとの懸念もありました。
2014.5 キリバス(トン政権)、現地教会からフィジーのナトアバツの土地を購入
2014.9 フィジー総選挙、8年ぶりに民政復帰
当時を振り返ると、民政復帰の遅れや疑念を背景に、フィジーは豪州、NZとの対立が高まっており、島嶼国の支持が必要な時でした。キリバスは民政復帰を促す観点から豪州寄りでもありつつ、フィジーは経済的にも航空路的にも重要な国であるため難しい立場にいました。そのようなときにフィジーのナイラティカウ大統領(当時)がキリバスを訪問したことで、両国の関係が近くなったように思います。
ナイラティカウ大統領は、キリバスを訪問した際に「気候変動で厳しくなったときには、フィジーはキリバス人を受け入れる」といった発言もしており、キリバスがフィジーの土地を購入した際には「キリバスが気候変動で住めなくなった際の移住先を確保した」との報道がありました。
当時、筆者も前職の仕事で何度かキリバスを訪問していましたが、トン大統領(当時)に真意を伺うと、「輸入に依存しているキリバスの食料安全保障の確保が最大の目的であり、キリバス人が自ら農業を行い食料生産するための土地だ」と話していました。万が一の際の移住先というニュアンスはあったかもしれませんが明言されませんでした。ただ、対外的にはキリバスが気候変動に関して強い危機感を持っているという印象は広がったと考えられます。
最後に今回の記事について考えてみましょう。
まずこの広大な土地を実際に農業開発するには、相当の資金と人が必要だと思われます。それをキリバスだけで行うことは難しく、台湾と国交があった時期でも台湾が開発資金と人を出すことは難しかったでしょう。中国の資金と技術協力で農業開発するというのは自然な考え方だと思います。
次に、中国の軍事利用云々についてですが、仮に中国とキリバスの間でそのような話があるとすれば、フィジーの主権にかかわる話であり、キリバスとフィジーの関係が決定的に悪化することになるでしょう。フィジーは主権国家であり、国軍を有しており、フィジーの合意なしに話が進むことはあり得ません。フィジーには土地開発を規制する法律もあるはずです。ただし、Islands Business紙が取り上げているということは、現地には関連する噂があるのでしょう。
最後にキリバスが購入した土地についてですが、言葉は悪いですが、フィジーから見れば、先住民系フィジー人が利用していない重要度の低い土地なのだと思います。売り手側も良い金額で売れたといった話もありました。しかし、当時の結果として、フィジーは島嶼国ファミリーとして気候変動の影響に不安を抱えているキリバスを救うという寛大さを、キリバスは将来の移住を考えなければならないほど気候変動の危機が迫っているとの印象を、それぞれ対外的に与えることになりました。
近年は、バヌアツ、ソロモン、パプアニューギニアなどでも中国政府や中国企業による土地開発に関する報道が目に付きます。先進国側の強い警戒感が背景にあるのでしょうが、現地にも何らかの噂があると考えられます。今後もこのような報道を追っていく必要がありそうです。
(塩澤英之主任研究員)
地域を「震撼」させる中国とソロモン諸島の安全保障協定
IPDForum 4月 30, 2022
FORUMスタッフ
中国との安全保障協定に基本合意した太平洋島嶼国のソロモン諸島政府は、国内での中国軍事基地の建設は容認しないと表明したものの、インド太平洋地域の同盟・提携諸国の間では、同協定によりもたらされる地域的安定性への影響に関する懸念が引き続き高まっている。
AP通信が4月上旬に報じたところでは、2022年3月下旬にソーシャルメディアに流出した同協定の草案文書には、中国はとりわけ「社会秩序維持を支援することを目的として」ソロモン諸島に警察や軍隊を派遣できると記されているだけでなく、中国人民解放軍海軍艦艇の寄港や燃料補給の可能性を示唆する内容も含まれている。これは中国人民解放軍が大規模な軍事的存在感を確立する可能性を示すもので、「南太平洋全域を震撼させるほどの事態」である。
ソロモン諸島当局の説明によると、同協定により、国内の治安機関が不十分なソロモン諸島は「長年にわたる暴力的な政情不安」に良好に対応できるようになる。軍隊のない人口約70万人のソロモン諸島と推定200万人の現役軍人を有する人口14億人の中国の提携というかなり偏った構図が見られるにも関わらず、中国当局の主張に同調するように、同協定には懸念を煽るような魂胆は一切ないと明言したソロモン諸島政府は、同協定により自国の国家主権が損なわれることもないとも断言している。
太平洋地域の他の場所、特に南シナ海の紛争海域における中国の攻撃的行為や軍事化を目の当たりにしてきたオーストラリア、ミクロネシア、ニュージーランド、米国などの諸国の首脳陣は、同協定に潜む中国の長期的な意図について懸念を高めている。ソロモン諸島はオーストラリアの北東約2,000キロ、米国の重要な軍事基地が所在する米領グアムの南東約3,000キロの地点に位置している。
4月13日にソロモン諸島のマナセ・ソガバレ(Manasseh Sogavare)首相と会談したオーストラリアのゼッド・セセリャ(Zed Seselja)国際開発・太平洋担当相は声明を通して、「ソロモン諸島に協定の調印を考え直すよう丁重に依頼し、地域の安保枠組に沿った開放性と透明性の精神を持って太平洋地域の隣国の意見に耳を傾けることを求めた」と述べている。
ロイター通信が報じたところでは、セセリャ国際開発・太平洋担当相はまた、「ソロモン諸島が今後も安保提携国としてオーストラリアとの関係を維持すると表明したこと、また軍事基地や他の外国勢力の軍事機関としてソロモン諸島が利用されることはないと断言したソガバレ首相の意志を喜ばしく受け止めている」とも語っている。
オーストラリア国防軍の統合作戦部長を務めるグレッグ・ビルトン(Greg Bilton)中将がAP通信に語ったところでは、中国人民解放軍海軍艦船がソロモン諸島に寄港するようになれば「今後の進展の方向性が変わる」ことになる。
ビルトン中将は、「中国艦船がオーストラリアの『裏庭』を行き来するようなものであるため、特に空海における豪国防軍の日常的な作戦に変化が生じる」と説明している。
英国植民地となってから約80年後に英連邦王国として独立したソロモン諸島に長年にわたり安保や他の支援を提供してきたオーストラリアとニュージーランドは特に強い懸念を抱いている。
タスマニア大学の学術理事を務めるリチャード・ハー(Richard Herr)博士は、2022年4月にオーストラリア戦略政策研究所の解説・分析ウェブサイト「ザ ・ストラテジスト(The Strategist)」に掲載された記事で、「協定草案の文言と内容には中国政府の素顔が現れているため、これを読めばソロモン諸島、延いては地域一帯に対する中国の野心が明らかに感じられる」とし、「草案には中国が『中国人要員と自国の主要事業の安全性を確保するために』軍隊を使用することを許可するという中国優先の治外法権的内容が暗黙のうちに含まれていることから、これはソロモン諸島だけでなく周辺諸国の懸念の対象となる」と述べている。
同記事には、「取って付けたようにソロモン諸島当局が中国の軍事基地を許可しないと公に宣言したところで、こうした懸念が解消される可能性はほぼ皆無である」と記されている。
近年、ソロモン諸島のソガバレ政権は中国政府との関係を強化している。ハー博士の説明によると、2019年に同国は中国支持に進路変更して自治国家の台湾と断交し、中国政府が推進する一帯一路インフラ構想に基づく事業契約を結んだという経緯がある。自国で実施されている建設事業において島民よりも中国人を優先して雇用する中国企業に対する国民の鬱憤がこうした政府の方針への不満と相まって、昨年には中華街を含む首都ホニアラで反政府運動が暴動に発展した。
AP通信が伝えたところでは、この暴動発生時、オーストラリアはソガバレ政権の要請に応じて、両国の間で2017年に締結された二国間安全保障条約に基づき、暴動鎮圧支援としてソロモン諸島に外交官、警察、軍隊を派遣している。同安全保障条約には、主要な安保課題発生時にこうした支援を迅速に展開することが規定されている。
ソロモン諸島の輸出の推定65%は対中貿易である。内容は主に木材、魚類、アルミニウム、パーム油、カカオ豆となる。世界銀行の報告書によると、典型的に農業、漁業、林業で生計を立てている島民の8人に1人は貧困層に属している。しかし、ソロモン諸島は金、ニッケル、亜鉛、鉛といった未開発の鉱物資源が豊富な島である。(写真:ソロモン諸島の首都ホニアラの中央市場に小舟で到着した男性。島民の多くは漁業で生計を立てている)
中国が正式に保有する海外軍事基地は、海上交通の要衝「アフリカの角」に位置するジブチの「中国人民解放軍駐ジブチ保障基地」のみである。しかし、ソロモン諸島の場合は、地域周辺の戦略的に重要な他の場所に中国が投資を行うことで、表面上は民生向けに建設された施設が最終的に軍事化され得るという懸念がある。アナリスト等は特に、カンボジア、パキスタン、スリランカにおける港湾事業や海軍基地建設への中国の関与事例を指摘している。
国際戦略研究所(IISS)の上級研究員を務めるユアン・グラハム(Euan Graham)博士の説明によると、過去5年ほどにわたり、中国は海軍の存在感の強化と地域支配の目的を一層推進することを目的として、南太平洋の港湾施設に目を付けている。
4月上旬、グラハム博士はAP通信に対して、「中国が太平洋に進出するには、その存在感を維持するためにいずれは兵站機能が必要となる」とし、「これは戦争計画ではない。中国の真の目的は自国の存在感と影響力を拡大することである」と説明している。
習近平が考える3つの「台湾包囲網」戦略
フォーサイト-新潮社ニュースマガジン
2020年7月14日(木)
外交と「一帯一路」で包囲
「台湾経済界の取り込み、政府・経済界・軍・マスコミなどへの浸透活動をさらに活発化させるのか」
この質問に対し、党中央に近い元高官の1人は、
「どこの国でもやっていること。蔡英文政権が続いても、台湾内部の分断を図ることに変わりはない。ただし、(経済界や報道部門などへの浸透工作の)方法は洗練化されるだろう」としたうえで、
「これまで習近平政権はさまざまな対台湾政策を公開、発表してきたが、3つの大枠について、われわれ党中央には台湾を完全に包囲する自信がある」と指摘した。
元高官が指摘する1つ目は、「外交」だ。
具体的には、国連や国際金融機関など国際社会での外交空間で中国が主要なポストを増やすこと、「一帯一路」を着実に広げ、他国への影響力を拡大し続けること、その中で台湾と外交関係を持つ国を減らし台湾の外交空間を狭めることだ。
経済力の拡大とともに、国際機関で中国人が主要ポストを広げているのは周知の通りだ。「一帯一路」にしても、筆者はかつて『「一帯一路」で中国「債務の罠」に蝕まれる世界の実情(上)』(2018年10月29日)、『同(下)』(同日)で指摘したが、スリランカやパキスタンなどにおける「債務の罠」への批判を承知で確実に広げている。
中国側の認識としては、「一帯一路」戦略において、世界の港湾で中国企業が完全に経営権を握るには中国への警戒感や軍事転用への懸念から障害はあるが、
「すでに港湾への投資先は20カ国超、総投資額は約1000億元(約1兆5900億円)、今後も港湾への出資は加速させる」というものだ。
中国による港湾建設は、「商業利用」からいずれ「軍事利用」する可能性を筆者も常々主張してきたが、最近では中国側も否定せず、むしろ肯定する傾向が見えるのも変化の1つだ。
なかでも「一帯一路(債務の罠外交) 」は、
「中国の安全保障にとって重要な場所を優先させるべき」とし、インド洋、南太平洋で海軍艦艇などが補給に使用できるよう「方向性が定められつつある」という。
そして今回スタートする第2次蔡英文政権でも、中国は台湾の外交空間を縮小させる一方、台湾有事をにらみ、南太平洋諸国に対する経済外交を加速させるとしている。
中国は中南米、アフリカで台湾との外交を断絶させる試みに成功してきた。最近では、南太平洋のキリバス、ソロモン諸島に台湾と断交させ、台湾を外交承認する国を15カ国にまで減少させた。
南太平洋の島国に対する経済外交を加速させることで、中国の経済的、戦略的な幅を広げる思惑だが、台湾の外交空間を狭めるだけでなく、港湾などの建設を進め、将来的に軍事利用することで、台湾有事の際に軍事的視点で米国と豪州に対するけん制の意味合いも込めている。
中国はすでにパプアニューギニア、バヌアツ、フィジー、トンガと国交を結んでいたが、これにソロモンを加えることで、豪州のアジア太平洋への出口を塞ぐ形をとったといえよう。
これらの国では中国による支援、港湾建設、その他のインフラ建設、軍艦寄贈などが進んでおり、艦艇の寄港、レーダー建設など軍事利用できる選択肢を視野に入れていると考えられる。
当然ながら、それらの国に対する「債務の罠」も進むだろう。パプアニューギニアでは対外債務の約3割弱、トンガでは約6割が中国の融資によるものである。
つまり、「台湾に対する包囲」と「中国による地政学的拡大」が南太平洋諸国への中国の支援、投資拡大の大きな理由なのだ。
もちろん、パプアニューギニアやナウルなどで豊富な天然ガスやリン鉱石、海洋資源も狙いではあろう。
中国の南太平洋諸国への支援は、2006年~2016年ですでに日本の12億ドルを超え、米国の19億ドルを超えようとしている。近く超えるだろう。
米中デカップリングと中華圏構築への自信
元高官が指摘する2つ目は、
「米中の経済切り離し(デカップリング)は、全体化はしないが安全保障の領域で進む」との認識だ。
そして、安全保障領域の米中デカップリングが、逆に自国の軍事・産業技術の発展を加速させることになり、「中華圏」が構築されるとの自信である。
AI(人工知能)などの軍事技術と5G(第5世代移動通信システム)など産業技術の「一流化」は、
「平和統一にせよ武力統一にせよ、台湾回収の道筋を短くする」ととらえている。
まず、米中デカップリングの認識としては、中国の内部通達で党・政府の情報システムから外国製品を排除し、2022年までに国産に切り替えよとの命令が昨年末に表面化したことで端的に示されている。
ちなみに、デカップリングの損失をどう埋めるのか。官僚の1人は、
「米国以外の国との戦略的経済関係を築く。日本との関係も当面はそうだが、『一帯一路』の国々との関係を深めていく」と指摘する。
すなわち、対米依存度を下げ、半導体の国産化を急いでいるのが中国の現状であり、一部は成功しつつある。
中国が「国家中長期科学技術発展計画(2006-2020年)」や「中国製造2025」を制定した目的は、一流技術の「国産化」である。
外国の技術をさまざまな手段で入手し、それを分析したうえで中国企業に資金(補助金)を与え製品化し、国内外で主導的立場を図ろうとしてきた。この姿勢は変化したのだろうか。
中国企業の言動からみれば、筆者の個人的印象は、大きな変化はないと感じる。
とりわけ5Gの分野では、米国による中国企業の排除要請に正面から応えているのは、米国が求めた61カ国中、同盟国の3カ国に過ぎず、足並みが乱れ米国の影響力が弱まっているというのが中国側の認識だ。
また、5Gで中国が主導的地位を世界で確立すれば、その後の研究・開発でも中国は米国に優位に立てるとの認識がある。
さらに、「一帯一路」で5G技術、海底ケーブル、衛星測位システム「北斗」による通信インフラを普及させていくことへの見通しも、かなり強く描いている。
ちなみに、5Gで米国から目の敵にされる通信機器大手「ファーウェイ」(華為技術)は、スマホが中国国内のユーザーに支えられ売上高がぐらついておらず、傘下の半導体企業「海思半導体」(ハイシリコン)の技術も向上したとされる。また、米国製部品が日韓の部品に置き換えられるなど、米政権の“攻撃”が逆に力をアップさせている傾向があるようだ。
ようは、「デジタル網やハイテク分野で必ずしも米国が優位ではなく、こうした分野ではデカップリングが進む。しかも、米国が中国の総合国力の増大を阻止できるわけがなく、どのように遅らせるかという政策が重点となっていくだろう」と見ているのだ。
米国は安全保障領域で中国製を締め出し、対米投資も制限している。しかし、
「中国は自力更生をさらに加速させる。国家が経済活動に関与するシステム・政策が変わることもない」と元高官は断言した。
その理由として元高官は、
「資金配分は党の支配であり力の源である。特に国有企業への資金配分をやめたらどうなると思うか」と述べ、調整はあるものの産業補助金政策が変更されることはないと指摘した。
以上のように、中国の政権筋が指摘するのは、米国の中国に対する「敵対行動」は、ファーウェイを強化しつつある、他のハイテク分野でも「自立」が進む、その結果中国による中華圏網が構築され、最終的に「台湾包囲網」が形成される―との認識である。
軍事技術と圧倒的軍事力で包囲
3つ目は、最先端の軍事技術に裏打ちされた軍事力構築への自信だ。
中国は、対台湾向けなどで東風シリーズの短距離弾道ミサイルだけで約1500発、在日米軍基地などに対しては準中距離弾道ミサイル「DF-21」(東風21)を約450発保有しているとされる。
また、昨年10月の国慶節での軍事パレードで、極超音速滑空ミサイル「DF-17」(東風17)を登場させた。軌道を予測できない同ミサイルは、日本が新たに導入するミサイル防衛システム「地上配備型イージス・アショア」に対しても脅威となる可能性が強く、台湾有事で日米に対して対中攻撃を自制させるための「相互抑止」兵器と受け止められよう。
このように中国は、台湾有事をにらみ、最先端の軍事技術の革新を追求している。特にAIが戦争の概念、軍事バランス、作戦行動、装備体系を根底から変えると位置づけ、研究開発を進めている。
習近平政権は2017年7月、「次世代人工知能開発計画」を公表し、国家を挙げて2030年までに世界で主導権を握る方針を示した。数年間だけで数十億ドル規模という豊富な資金を投じて研究者を育成し、米国をAI技術で追い抜くとの姿勢にほかならない。
すでにAI関連の論文数は米中でトップ争いを演じており、無人機の分野でも中国はすでに2017年には109台の無人航空機による編隊飛行を成功させている。
先の元高官は、
「『智能化戦争』の到来は遠くない。大量の情報を処理する必要が生じる戦争の局面で、人工知能は圧倒的な軍事的優位に立てる要素だ」と指摘、台湾有事で米軍が台湾を救援する時間を与えないままに台湾回収ができる態勢を目指すとしている。
むろん、先端技術を開発しただけでは勝利がもたらされるわけではなく、それを導入し巧妙で賢明な作戦を展開できる国が勝利を得るであろうことは中国軍もわかっている。今後、中国軍は組織、教育の領域で改編を進めていくだろう。
中台統一に向け、中国が自信を深めるのは、米国を含めた世界の民間企業が開発した技術が流通する時代であるため、米国が先端軍事技術を利用しても、優位に立つ時間がかつてより短くなった点、加えて習近平「軍民融合」戦略で見える「ファーウェイ」の先行きで指摘したように、「軍民融合」戦略で、AIや自立型無人機技術、量子技術などの軍事技術への転用に向けて着実に歩みを進めることができるとの認識がある。
党のエリート層は軍事行動に前向き
習近平主席が中華民族の歴史に偉大な指導者として名を残すとすれば、中台統一を実現した時であることに間違いはない。
西側諸国が考えているより、中国の政権内部では、台湾を武力で攻略するハードルは低い。
拙稿『習近平「中台統一で武力行使」の「可能性」と「タイミング」(上)』、『同(下)』(ともに2019年2月4日)でも触れたが、某中国筋は平和統一ができない場合、最初の武力統一の機会は「2030年代後半」と明言したことがある。
実際、中国内部では大衆レベルもそうだが、平和的統一への希望は薄れており、軍だけでなく、党のエリート層は、軍事行動に前向きである。
また、米軍が台湾を救援するために犠牲を厭わない、との台湾や日本の見方には、中国では否定的見解の方が多いというのが筆者の印象だ。
某軍事筋は、
「『台湾旅行法』など米国の台湾コミットはうわべだけだ。台湾を犠牲にするだろう。たとえ米国が戦闘部隊を派遣しても、中国側も犠牲者は多く出ようが、米兵の犠牲者は小国相手では済まない規模となる」としたうえで、
「ベトナムでもアフガニスタン、イラクでも戦争の途中で戦争への支持は国内で分裂するのが米国だ。台湾で米軍が武力介入しても、同じ現象が起こるだろう」と指摘する。
ただし、武力という手段を使わなくても統一は可能だとの指摘も中国にはある。
たとえば、中国の軍事技術発展と軍事力の質量の拡大で、米軍を台湾救援の射程に寄せつけない態勢がほぼ確立できれば、漁船や艦艇で台湾を海上封鎖、経済制裁と石油供給網を遮断することで台湾を攻略できるという「台湾無血解放」のシナリオもある。
しかし、このシナリオでは、一気呵成の武力統一よりも米国が黙っている可能性が低い。
あるいは、空中封鎖や軍事・経済施設への限定的攻撃、インフラへのサイバー攻撃、さらには空爆と弾道ミサイルですべての政治・軍事資産を破壊し、台湾人の抵抗意欲をなくすシナリオもあるようだ。
むろん、全面的で大規模な上陸作戦もあろう。
これまで筆者は米国のシンクタンクによる米中軍事衝突のシナリオを折に触れて紹介してきたが、米国防総省がシミュレーションした台湾をめぐる18の机上演習で、いずれも米国が中国に敗れたという報道がかつて米国であった。
その報道内容が事実か宣伝かは不明だが、いずれにせよ、米軍の大きな損害は必至である一方、台湾を失えば、米国の信頼性が特に同盟国で一気に(更に)瓦解するだけでなく、アジア、世界での地政学が大きく変化することは客観的事実である。
今後、習近平政権は、台湾有事に向けた軍事的臨戦態勢が整っていることを表明するかもしれない。統一への具体的スケジュールを示し、中国国内で国民に対し、台湾統一に向けた対決路線を浸透させる大衆工作が行われるかもしれない。
中国経済が落ち込み社会が不安定化するなどして習近平政権の弱体化が進んだり、政権基盤が盤石でない内政状況が進めば、「台湾回収」に向けた動きがより早く表面化する可能性もある。(2020年1月)
南太平洋波高し――王毅外相歴訪失策の真相
遠藤誉中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
2022年6/9(木) 16:31
対中包囲網を警戒した習近平政権は一帯一路で南太平洋諸島国を引き寄せ勢いを見せたが、最近の日米豪印の動きに対抗しようとして先回りした歴訪で中国は転んだ。クワッドも空虚だが中国の失策から何が見えるのか。
◆王毅外相の南太平洋諸島国歴訪はなぜ失敗したのか?
中国の王毅外相は5月26日から6月4日の日程で南太平洋諸島8ヵ国を歴訪し、オンライン2ヵ国も含めて、合計10ヵ国と会談を行った。その会談に先立ち、共同声明を出すつもりで、4月12日に草案(中国・太平洋諸島国共同発展ヴィジョンのドラフトと、5ヵ年計画のドラフト)を関係各国に送付した。
ミクロネシア連邦のバヌエロ大統領がこの草案を受け取ったのは同日、4月12日のことだ。
そもそもミクロネシアは第二次世界大戦までは日本が統治した時期もあったが、日本敗戦以降はアメリカの信託統治下に置かれ、1986年に国防と安全保障をアメリカに委託して独立した国だ。1991年になって国連に加盟したものの、アメリカから支援を受ける代わりに国防と安全保障に関してアメリカに委託している。
そのような国を包含しながら、共同声明の冒頭に「政治・安全保障」という項目を設定するとは、中国はいったい何を考えているのか。お粗末すぎる。
5月23日のコラム<オーストラリアに誕生した「偽装反中」の新首相と習近平の戦略>に書いたように、今年4月19日にソロモン諸島と安保協定を締結することに成功し、5月にはキリギスと安保協定締結交渉にまで漕ぎ着けたのを良いことに、「全ていけるだろう」と思いあがったのか、それとも、バイデン大統領の訪韓・訪日や、豪印を東京に呼び寄せることに成功しそうな気配に焦ったのか、真の理由は定かではないが、実に不適切で、中国にしては戦略的読みが浅すぎて驚くばかりだ。
案の定、ミクロネシア大統領はすぐさま反対の意を表明し、5月20日に「オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ領のミクロネシアの島や、他の南太平洋諸島国」などに反対意見を述べた手紙と、王毅が送ってきた共同声明草案を送付した。それを5月25日にアメリカ大手メディアABCにリークされ、取り返しのつかない状態になった。
だからと言って、この段階で共同声明の草案を引っ込めるわけにもいかなければ、翌日の26日から予定している太平洋諸島国歴訪を中断するわけにもいかない。
王毅は草案がメディアに公開されてしまった状況で、歴訪を始めたのだ。スタート時点から既に失敗している。そして5月30日に「共同声明が出せなかった」という大きな敗北を喫したのである。これを時系列的に「表1」に示す。
黒文字で示したのは、共同声明草案送付を含めた王毅外相の足跡で、赤文字で示したのはミクロネシア大統領やオーストラリア外相の動きおよび王毅外相が太平洋諸島10ヵ国に対して呼びかけた共同声明が失敗した「事件」などである。東京において開催された日米豪印「クワッド」枠組み共同声明も赤文字で示した。
バイデン大統領の来日に合わせて対面で開催された日米豪印「クワッド」の枠組みは、「インドが参加した」という事実があるだけで、それ以外は実質上失敗に終わっていると言わざるを得ない。
なぜなら6月1日のコラム<IPEF(インド太平洋経済枠組み)に対する中国の嘲笑的対米酷評と対日批判>に書いたように、インドがいるために、インドに気を遣い、結局は対露包囲網にも対中包囲網にもすることはできなかったからだ。
一部の御用学者は、それでも「どこともグループを作らないインドがクワッドやIPEFに参加しただけでも素晴らしい成果だ」と岸田首相を褒めて見せるが、インドは反NATO色の濃い上海協力機構の正式メンバー国だし、新興国グループBRICSの主要メンバー国でもある。特に上海協力機構には拙著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』に詳述したように、モディ首相自らが「入りたい」と切望し、習近平国家主席とは十数回以上会ってようやく上海協力機構入りしたくらいだ。
したがって、何も中国は、こんなにバイデンの訪日に対抗するために太平洋諸島国を歴訪することはなかったし、ましてや安全保障項目などを謳った共同声明を準備するなど、自滅を招く行為でしかない。
◆太平洋諸島国の政治外交的傾向
今般、王毅が歴訪あるいはオンライン会談を行った太平洋諸島国を「中国(中華人民共和国)と国交を樹立させた時期」や「アメリカなど他の西側諸国との安全保障系統にあるか否か」などの要素を抽出して書くと表2のようになる。
表2:王毅が歴訪あるいはオンライン会談を行った太平洋諸島国の外交・政治状況
(表の中の「中国」は「中華人民共和国」を指す。長くなるので省略して書いた)
このうち、オンライン会談を行ったのは「クック諸島、ニウエ、ミクロネシア連邦」である。ほかにも、訪問した国に東ティモールがあるが、この国は太平洋諸島国ではなく、東南アジアに分類されるので、表2の中に入れていない。東ティモールは1975年にポルトガルから独立し、翌年インドネシアに占領され、2002年にインドネシアから正式に独立した年に中国と国交を樹立し、2017年に一帯一路に参加している。
表2から明らかなように、防衛や安全保障上、アメリカやオーストラリアあるいはニュージーランドなどに委託している国が多く、伝統的にもアメリカ色が強い。
それらの国を相手に「中国と防衛と安保関係を締結しよう」などと提案するなど、「無謀」としか言いようがない。ひたすら呆れるばかりだ。
◆太平洋諸島フォーラムを分断する中国の暴挙
太平洋諸島国間には、1971年に成立した「南太平洋フォーラム」があり、大洋州諸国首脳の対話の場及び地域協力の核として発展した。現在、「 オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィジー、サモア、ソロモン諸島、バヌアツ、トンガ、ナウル、キリバス、ツバル、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオ、クック諸島、ニウエ、仏領ポリネシア、ニューカレドニア」など16ヵ国と2地域が加盟している。1989年からは、援助国を中心とする域外国との対話を開始し、2000年10月の総会より、太平洋諸島フォーラムに名称を変更した。
そこに、いきなり中国が割って入って「中国と国交を樹立する国だけ」をつないだ「中国太平洋諸島共同体」を設立しようと提案したわけだ(参照:先述の中国・太平洋諸島国共同発展ヴィジョンのドラフト)。
あれだけアメリカに対して、国連に準拠して行動すべきで、日米豪印「クワッド」や米英豪オーカスあるいはIPEFなど「小さなグループ」を主導して国際社会を分断すべきでないと言ってきた中国が、結局は自分も「穏やかに安定していた南太平洋諸国圏」の秩序を中国側に引き寄せるために「小さなグループ」を形成しようとしているではないか。
日頃の主張と行動が矛盾している。
◆これまでの習近平の対太平洋諸国戦略は経済中心
これまでの習近平の動き方は実に戦略的で、しかも一定程度成功している。それはあくまでも経済を中心としていたからだ。その動きを拾って表にしてみると以下のようになる。
表3:太平洋諸島国に対する習近平や王毅などの動き
2014年から慎重に動き、2018年までに多くの国を一帯一路に参加させ、南太平洋のラインを押さえることに成功している。これは経済を中心とした結びつきだったからだ。ところが今回の王毅の太平洋諸島国歴訪にまつわる「共同声明」は「安全保障」を謳っている。そのようなことをした瞬間に中国は転ぶ。
目的はインド太平洋ラインに楔(くさび)を打って分断することであるのは明らかだが、手段が稚拙過ぎる。なぜこのような愚かで拙速なことをしたのかを究めようと、インサイダー情報に当たるため、実際に高齢の元中国政府高官に連絡して取材した。
するといつもと違って質問には答えず、「アメリカが世界にどれだけ多くの軍事基地を持っているか知っているのか。しかも中国は軍事基地を創ろうとしているわけではない」と不機嫌に言ってのけるだけだった。
それはおそらくアメリカの太平洋諸島国に対する、今年に入ってからの「突然の行動」に焦ったのではないかと推測される。
◆アメリカ国務長官が37年ぶりにフィジーを訪問し、29年ぶりにソロモン諸島に大使館
たとえばアメリカは今年2月13日に国務長官が37年ぶりにフィジーを訪問し、ソロモン大使館も復活させている。明らかに習近平の動きに対抗するためだ。ブリンケン国務長官が29年ぶりにソロモン諸島に大使館を再設置すべくソロモンを訪問した写真もある。
30年もほったらかして中国の思うままに行動させておきながら、アメリカもまた何を今さらと思う。まさに唐突感があるが、表1に示したように、オーストラリアの外相が一刻を争うように王毅に先回りしてサモアやトンガを訪問して「中国に協力するなよ」とけん制しているのを見ると、たしかにここに来て、「西側諸国」の動きも突然に慌ただしい。
5月31日にはニュージーランドのアーダーン首相がホワイトハウスを訪れバイデン大統領と会談した。会談では「中国が南太平洋のソロモン諸島と安全保障協定を結んだことに強い危機感を示し、太平洋諸島国への関与を深めていく考えを強調した」とのこと。バイデン大統領は「われわれは太平洋諸島国にもっと関わらなければならない」と述べて、中国が影響力を拡大させつつある太平洋諸島国への関与を深めていく考えを強調している。
中国外交部は6月1日の記者会見で、「太平洋諸島国と中国との協力を中傷することには断固反対する」と述べ、「中国とソロモン諸島との安全保障協力は、第三国を狙ったものではなく、軍事基地を設置する意図もない」と強く反発した。外交部はさらに、「アメリカが世界中に軍事基地を持ちながら、他国の通常の安全保障協力に懸念を表明することは非常に偽善的であり、根深い覇権主義的な考え方を反映している」と批判したが、これらの言葉は筆者が取材した高齢の元中国政府高官の言葉と一致している。
つまり、これが中国の共通した認識なのだろうと判断される。
ということは、アメリカには多くの軍事基地が世界中に置かれていることに中国は警戒し始めたということになろうか。
だから突然、「南太平洋、波高し」の情況を招いた。
それを裏付けるかのように、6月7日にはカンボジア南西部の海軍基地に中国軍は施設を建設している。
波が高いのは南太平洋ばかりではなく、中国は何やら新しい行動に出ようとしていることが窺(うかが)える。その視点で、見過ごさないように観察を続けたい。
★★★★★★ ★★★★★★ ★★★★★★ ★★★★★★
嘘の帝国「ロシア」!!!!!
ロシアのプーチンが、2022年2月24日ウクライナ戦争 (プーチンが仕掛けたプーチンの戦争) を起こす!
ウクライナ侵攻 背後の情報戦 アメリカが見せたインテリジェンスの威力
3/5(土) 20:22配信1209
「まさか」、「ありえない」。
世界の虚を衝いたロシアによるウクライナ戦争(プーチンが仕掛けたプーチンの戦争)。
世界中が見ている中でいともあっさりと一つの主権国家が蹂躙されていく惨劇を見ながら、得体の知れない胸騒ぎと焦燥感のようなものを感じるのは戦いの壮絶さからだけではない。
明日は我が身だからだ。
ウクライナ戦争(プーチンが仕掛けたプーチンの戦争)の裏側で繰り広げられていた情報戦についてシリーズでお伝えする。
第1回は、侵攻前夜の動きについて詳報する。
◆「“王 プーチン”を知らしめる」会議 ―歴史的暴挙への連帯責任
”NOと言えない” ロシア国家安全保障会議(2022年2月21日)
「絶対にNOとは言えない会議」、とでも言えばいいのだろうか。
2月21日のロシア国家安全保障会議の議題は、ウクライナ東部にあるロシア系武装組織が支配する地域「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認するかどうか。
世界に向けて配信された会議にはなんとも不気味で異様な空気が漂っていた。
一人、ポツンとテーブルに座るプーチン大統領。
そのほかの出席者たちはというと、20mは離れたところに並べられた椅子に神妙な表情 で座ってプーチン氏の独白のような進行を見守っている。
「わざと側近たちを離れた場所に座らせて自分が王だということを国民に知らしめる設定」(米情報機関幹部)とも、新型コロナを警戒しての設定ともいわれる謎の配置だとも?訳が分からない配置だ。
プーチン大統領はスピーチが終わると、次々と出席した幹部を指名して、ドネツクとルガンスクの独立を承認すべきかどうか、意見を言わせていく。
答えは承認しかない。忖度するまでもない。常に「死」と隣り合わせているからだ。ウクライナ侵攻を正当化するために、“独立国となった”ドネツクとルガンスクからの依頼を受けて、ロシア軍は同地域の平和維持に駆けつけて併合する、という見え見えのシナリオが用意されている。独立の承認はそのシナリオの実現に向けて不可欠なセレモニーだ。
この会議、映像からは出席者たちが極度の緊張感に包まれていることがわかる。それもそのはず、この21世紀の世界においてこれまでに積み上げてきた秩序と規範、ルールを踏みにじるウクライナに対する一方的な侵攻という歴史的暴挙の連帯責任を問うものだからだ。
世界が見ている前で一人一人に独立承認への賛意を宣言させることで、後から「実は私は侵攻に反対だった」などと言わせないことがこのセレモニーの目的だ。
「絶対にNOとは言えない」空気の中でハプニングを起こしたのは、スパイ機関、SVRのトップだった。
◆スパイを失っていたCIA
その一方でアメリカ政府は11月から、侵攻の4日前の2月20日までは「軍事侵攻の準備は進んでいるが、プーチン大統領はまだ最終決断していないとみられる」という立場で一貫してきた。
これだけの情報が揃っているのになぜか。それはいくら高度なインテリジェンス能力を誇るアメリカの情報機関でも、さすがにプーチン氏の心の中をリアルタイムでうかがい知ることはできないからだ。
2月15日付のニューヨークタイムズがその背景を説明している。
アメリカ情報機関に強固な取材源を持つことで知られるデビット・サンガー記者らの記事だ。それによるとCIAはプーチン氏の側近の一人を情報源として獲得することに成功し、正確にプーチン氏の政策決定を把握してきたという。しかし、身の危険を感じた、その人物を2017年にロシアから脱出させてからはプーチン氏の日々の動きを正確に知ることはできなくなった。
ウクライナ侵攻に向けて軍事的準備が進んでいることに危機感をおぼえたアメリカ政府は、11月上旬までにこのインテリジェンスをヨーロッパの主要国とも共有して包囲網を築いたほか、バーンズCIA長官をモスクワに派遣し、アメリカ側の重大な懸念を伝えている。
アメリカはその高度なインテリジェンス能力による成果を最大限に活用、公開しながら、なんとか迫りくるロシアによる侵攻を抑止しようとしたのであった。
◆“ロシア軍一部撤退” 虚偽情報へのカウンター
インテリジェンスを通じて何が起きているのか、相手が何を仕掛けようとしているのか、正確な情報をつかめなければ、外交も交渉も軍事攻撃もできない。偽情報でこちらの行動を操ろうとする悪意ある相手に惑わされるだけである。
その典型的ケースが2月15日の「ロシア軍一部撤退か」騒動 だ。
ロシア政府報道官はベラルーシでの演習終了を受けてロシア軍の一部が撤退を開始したと発表した。同時にロシア国防省は「クリミアから引き揚げている」とする戦車の映像を公開 した。
緊張がずっと張り詰めた状況が続くと人間は本能的に「そうであって欲しい」という情報を信じたくなるものだ。日本でも「もしや緊張緩和か」と期待感が高まったが、アメリカ政府は即座にロシアの動きは虚偽であり、むしろ数日の間で最大7千人の増派をロシア軍はしていると反論 した。
その後の実際の侵攻をみればロシア軍の発表は明らかな偽情報であり、攻撃に向けて最終準備を悟られないようにするフェイントだ 。何も情報がなければ、悪意ある国の情報戦に翻弄され、判断を迷わされることになるといういい例だといえよう。ましてや、インテリジェンスもなく国家として「のるか反るか」の重大決断をするとなれば、ただのギャンブルとしかいいようがない。アメリカは正確にロシア軍の動きを把握できていたからこそ、ロシアによる情報戦にカウンターを打つことができたのだ。
◆覆ったバイデンの融和路線
他方でインテリジェンスが戦争の到来を告げていたとしても、政治指導者はその表現にあえて「のりしろ」をつけるという政治判断もあり得る。知っていることをそのまま言わず、交渉の余地を残すというやり方だ。
2022年2月20日、プーチン大統領がウクライナ東部のロシア人支配地域の独立を承認しようとする動きを見せていたが、バイデン政権は批判をヒートアップさせることはなかった。前述の通りバイデン大統領は20日の演説で「大規模攻撃に出ると信じるに足るものを持っている」とまで踏み込んだものの、「侵攻が始まろうとしている」と断定しようとはしなかった。逆に侵攻がなければプーチン大統領と首脳会談をおこなう用意があると明らかにする柔軟姿勢をみせていた。
翌2月21日、ロシアが独立を承認したドネツクとルガンスクに対する制裁が発表されたが、かねてよりいわれていた「強力な制裁」ではなく、ドネツク地域だけに限られた制裁であった。ロシア全体に影響が出るような制裁を明らかに避けた、小出し戦術であった。
その日の夕方におこなわれた記者ブリーフィング。その場でNSC(国家安全保障会議)高官も「同地域には2014年からロシア軍が駐留しており、今回、追加派遣があったとしても侵略とは断定しがたい」と、ドネツク進駐は侵攻だとみなさないことを示唆するかのような柔軟発言をし、「融和モード」をさらに演出した。
20日から21日までは明らかにバイデン政権なりのギリギリいっぱいの「融和のバーゲンセール」の期間だといえた。ロシア軍の戦争準備が着々と進み、アメリカ政府もその動きを正確に把握しながらも、バイデン政権は「戦車がその姿を現す最後の瞬間まで外交努力を続ける」(ブリンケン国務長官)と決め、最後の瞬間にプーチン大統領が心変わりして緊張緩和への向かうことに一縷の望みをかけたのであった。緊張緩和のわずかな可能性に賭けて、あえて事態の切迫を伝えるインテリジェンスとはそぐわない融和的な政治ポジションをとったのである
だが、それは翌2月22日の朝に一変した。CNNでの生出演で国家安全保障担当次席補佐官が「侵攻がおこなわれつつある」と、対決モードに舵を切ったのであった。2月22日の午後にはバイデン大統領自身が演説をおこない、「侵攻の始まり」だと一気にトーンを上げた。この時点で2022年2月24日に予定されていたロシアとの外相会談もキャンセルとなり、ワシントンの空気は一気に開戦モード になっていった。この180°転換ともいえる動きの背景に一体何があったのか。
【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領は2022年2月24日、ウクライナでのロシア軍の軍事作戦に関し、ウクライナ領の占領は「計画にない」と主張した。だが、これまで侵攻の意図を繰り返し否定してきたロシアの言い分を信じるのは難しい。
「必要に迫られた」と正当化 ウクライナ侵攻でロシア大統領
ロシアは2008年、旧ソ連構成国ジョージア(グルジア)と武力衝突。その結果、親ロ派地域の南オセチアやアブハジア自治共和国のジョージアからの独立を承認した。一方で、ジョージアの状況はそれ以降こう着して大きな衝突は起きておらず、プーチン氏が今回、ウクライナ東部の親ロ派の独立を承認し、平和維持部隊の派遣を決めたことはウクライナ政府に停戦への圧力をかけるための戦略という楽観的見方もあった。
しかし、ロシア軍はウクライナ侵攻を開始した。プーチン氏は 2022年2月 24日の演説で「14年にウクライナでクーデターを起こし権力を奪った勢力が、紛争の平和的解決を拒否している」とウクライナのゼレンスキー政権を強く非難。同政権を「ネオナチ」と決め付け、ウクライナ国民に向けて「あなた方の父や祖父らがナチス・ドイツと戦ったのは、今日ネオナチが権力を握るためではない」とまくし立てた。
14年の政変でウクライナが親欧米に転じたことへの根深い恨みとウクライナへの異様な執着を感じさせ、最終的な目標がゼレンスキー政権の排除とウクライナ解体にあることをうかがわせた。
ロシア軍の支援を受けるウクライナの親ロ派は 2022年2月 24日、これまで一部しか支配していなかった東部のドネツク、ルガンスク両州の全域の掌握を目指す考えを表明した。
嘘の天才プーチン露大統領(元KGB、 反体制派を弾圧してきた人)メディアなど言論統制 した人。独裁者、核戦争もい問わない殺し屋
アドルフ・ヒトラー(大量人権侵害の開祖)
専制主義者、独裁者 ヒトラー
2022年3月4日 15:00 ロシア軍が原発に迫る
エネルゴダール市のオルロフ市長は3日、同市近郊で激しい戦闘が起きているとしていた。ロシア軍が戦車で同市内に入って原発を掌握しようとしたが、住民や作業員らが原発周辺と周囲の道路に集まったと述べていた。
ウクライナにはザポリッジャ原発を含め、稼働中の原発が4基ある。チョルノービリ原発 の跡地には放射性廃棄物があるが、現在はロシアが同地を占拠している。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ザポリッジャ原発が攻撃されたことを受け、国際社会に「即時の行動」を強く求めた。
ゼレンスキー氏はツイッターに投稿した動画で、「欧州最大の原発がいま燃えている」と訴えた。
また、ロシア軍について、赤外線カメラを装着した戦車から、ザポリッジャ原発 の原子炉6基を意図的に狙って砲撃したと非難した。
またプーチンは核兵器も使えるなら使いたいと言った。ロシア無き世界は彼にとっては必要ないとも言っている。しかも今現在、ロシア国民の70%はプーチンのこの考えを支持している。しかし残りのロシア人は反対したため、プーチンにつかまって刑務所に送り込まれようとしている。
SVR とは泣く子も黙るロシアを代表する対外情報機関で、アメリカや日本を含む世界各国にスパイを送り込んで諜報活動をおこなっている。かつてのKGBの流れを汲む後継組織でもある。そのトップがなんと「独立を支持する」と言うべきところを「併合することを支持する」と口走ってしまったのだ。
よほど緊張していたのであろう、思わず裏で検討している本当のシナリオをカメラの前で口にしてしまったかのような発言に、プーチン氏はいら立ちと侮蔑の表情で「今はそんなことを議論していない」と一喝した。このSVRトップの今後の無事を祈りたくなる会議はウクライナ戦争(プーチンが仕掛けたプーチンの戦争)の号砲となった。
◆アメリカのインテリジェンスの威力
戦争開始に向けて着々と、ある意味、見え見えとも言える環境整備をロシアが進める一方で
侵攻を受ける側の当のウクライナには最後まで「まさか、そんなこと」という空気が残っていた。ロシア軍17万人が目の前の国境沿いに集結しているにもかかわらず、ウクライナは「パニックを起こす情報は我々の助けにならない」(2022年2月12日ゼレンスキー大統領)、「侵攻が迫っている兆候はない」(2022年2月20日レズニコフ国防相)という姿勢を崩していなかった。
そうした中、ある国だけはロシアの大規模侵攻を正確に、しかも前の年の11月から訴えていた。アメリカだ。
ワシントンポストが掲載した米情報機関作成とされる文書
ここに1枚の図がある。
去年12月3日付のワシントン・ポストが報じたアメリカの情報機関作成の文書とされるものだ。ウクライナ国境沿いにロシア軍17万5千人が集結していることを伝えている。
この文書の分析が秀逸なのはロシア軍部隊の規模がほぼ実際の侵攻時の規模と一致しているのみならず、東部ドネツクだけでなく、首都キエフ方面を含むウクライナ北東および南部からの侵攻ルートも正確に指摘していることだ。当時は多くのひとが軍事侵攻を疑っていたし、軍事侵攻の可能性があると言う人も東部ドネツク地方に限定されるとの見方が主流だった。
衛星画像の画質を落とす「サニタイズ」された公開用の文書になっているものの、2022年早々に軍事侵攻が迫っていることを正確に警告している。軍事侵攻のタイミングについては衛星画像で見える軍の準備状況から逆算したのであろう。当時の大方の予測と真っ向から反しながら、複数の方面からの攻撃を正確に予測できているのは、衛星画像で見える準備状況の分析に加えてロシア軍内の通信を傍受しているからだろう。
恐るべきはアメリカのインテリジェンスだ。その高い能力を「情報のための情報」に留めず(情報を内部で抱えず)、世論とロシアに対して訴えることで侵攻を抑止することに活用していることは特筆すべきだ。
◆インテリジェンスというパワー 流出したロシア軍の文書
もう一ついい例がある。ロシアとウクライナによる停戦交渉が開始された時も日本の一部では期待感が高まったが、ワシントンでは誰も停戦交渉が成立するとは思っておらず筆者は日本との大きな温度差を感じた。その理由はロシア軍の現地での動きを見ていれば、当面ロシアが停戦を考えていないことは明らかであり、インテリジェンスを通じてそれを認識しているアメリカ政府からも停戦に関する期待感が伝わってくることもなく、アメリカメディアも専門家も停戦交渉には冷淡であったからだ。
インテリジェンスとはパワーだ。それがあれば有利に事を進められ、それがなければ、とんでもない悲劇に自らを突入させることになりかねない。
“侵攻作戦計画書”には2月18日の印が…
アメリカのインテリジェンス能力の威力をうかがわせる動きはほかにもある。
3月2日にSNS上に出回ったロシア軍の作戦計画書の一部とみられる文書。ウクライナ軍が入手したとされる文書でウクライナ国防省も公式フェイスブックでアップしている。
そこにはウクライナ侵攻作戦がロシア軍部によって2月18日に承認されたと考えられる押印がある。
侵攻作戦は2月20日から3月6日と想定されていた?オリンピックの関係上習近平も知っていた。
また、部隊が使う暗号表とされる文書は、ウクライナ侵攻作戦の期間が2月20日から3月6日と想定されていたことを示すものとなっている。この文書が真正であればロシア軍は2月18日時点で20日から侵攻を開始し、15日間でウクライナ侵攻を完了させる計画だったことになる(真贋の検証は難しいが、ここではこの文書が真正であるという前提で話を進める)。
何らかの事情で遅れたのか、結果として侵攻のXデーは20日ではなく24日となった。
ここで注目したいのはロシア軍部が侵攻を承認したとされるのが2月18日という点だ。ワシントン時間2月18日の午後5時にバイデン大統領は会見をホワイトハウスで開いている。そこで突然、「我々にはロシアが首都キエフを含む全土に対して攻撃を開始すると信じるに足るものを持っている」と警告した。
「軍事態勢としてはいつでも侵攻があってもおかしくない状況だが、プーチン大統領はまだ最終決断していない」というのが、それまでのアメリカ政府の公式見解だったが、そこから明らかに踏み込んだ表現だったので筆者も驚いたのをおぼえている。
これは何らかの方法でロシア政権内の意思決定をリアルタイムに近い形で把握していることを伺わせる発言だといえる。2月20日付のニューヨークタイムズ電子版は「バイデン大統領の踏み込んだ警告の背景にはインテリジェンス」と報じ、ロシア軍の動きに関するインテリジェンスに基づくもので「高い確信」を持っている、とする米政府高官の言葉を伝えている。
正確なインテリジェンスがあれば、最も適切なタイミングで的確なメッセージを打ち出せる、というインテリジェンスの効用を示している。逆に何も情報がなければ、ロシア側の偽情報やフェイントに惑わされながら、ひたすら平和を祈るだけだったかもしれない。
モスクワでの反戦デモと、それを取り締まるプーチン直属の警察官たちは、夜のオオカミ 、と恐れられている。©Getty Images
2022年の平昌五輪女子フィギュアスケートの銀メダリスト、エフゲニア・メドベージェワや歌手のヴァレリー・メラジェらもSNSで抗議の意を発表するなど、反戦を表明するロシアの著名人も徐々に増えてきました。プーチンを恐れるあまりゾンビ化したロシア人です。
しかし、これらを見て「ロシアの一般市民の多くは今回のウクライナ戦争(プーチンが仕掛けたプーチンの戦争)に反対している」と考えるのは早計です。今でもロシア人の大部分の七割はプーチン大統領を支持していて、ウクライナへの侵攻にハッキリ反対している人は、選挙分析や人口動態から見て人口の10%程度はいるのではないか、という目算です。プーチンに対して懐疑的な人はさらに多いはずです。
それでも2022年2月初めに非政府系の組織が発表した調査では、プーチン大統領の支持率は70%に迫っていました。刻一刻と状況が変化しているとはいえ、現在もそれが大きく低下しているとは考えられません。
では誰がプーチンを支持し、誰が反対デモを起こしているのでしょう。それを理解するためには、ロシアに存在する3つの大きな「分断」 が重要になります。
1つめの分断は「ソ連時代を体験したかどうか」です。現在30代後半以上のロシア人は、ソ連が崩壊した1991年以前の記憶を持っています。そしてソ連末期や1990年代のエリツィン大統領時代は、多くの人にとって“苦しかった原風景”になっています。
失業率がすさまじく高く、自殺者も多くいました。一家離散など悲惨な事態がロシア中で繰り広げられていた時代を知る世代にとって、プーチンは「国を立て直した救世主 」。ロシアが豊かになったのはプーチンのおかげ、プーチンこそが超大国だったロシアを復活させてくれる指導者なのだと考えています。
しかし30歳以下の若い人たちはそもそも超大国だったソ連という時代を知らないため、プーチンに対する熱狂的な支持者は「ソ連人」に比べて少ないのです。
都市部以外では国営のテレビや新聞や2022北京パラリンピック競技だけを見て暮らしている人が大多数
2つ目の分断は、「国営のメディア以外から情報を得ているか」です。ロシアはメディアへの締付けが厳しく、国営放送のテレビ・ラジオや国営新聞で発信されている情報にはかなり規制が入っています。
モスクワやサンクトペテルブルクのような大都市部には英語などを使える人も多く、インターネットやSNSを通じて世界のメディアや情報に接しています。しかし少し田舎の方へ行くとIT化はまだ進んでおらず、国営のテレビや新聞だけを見て暮らしている高齢者がまだ多くいます。
つまり、自由な言論に触れている人々と、政権のコントロール下にあるメディアの情報だけを見聞きしている人々で世界の見方が全く違うのです。その境目は、インターネットやスマホを自由に扱えるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
プーチンに盾突くのは大げさではなく「死」を意味する
3つめの分断は「ウクライナの今を理解しているかどうか」です。ウクライナは1991年の独立以降、民主主義体制を確立して表現の自由を謳歌してきました。ウクライナの親露派と反露派の国会議員どうしが殴り合いの喧嘩をする場面を見た人もいると思いますが、あれはまさに自由があるからこそできることでしょう。
一方のロシアでは、プーチンの支配が完成しているので、対立すら起きません。クレムリンの主に盾突くことは、大げさではなく「死」を意味します。ドーピングの闇の真実を訴えた医師でさえ「裏切者」呼ばわりされ、今は亡命先のアメリカで暗殺者の襲来に怯えているような状態です。
ソ連が1991年に崩壊した後、ロシアとウクライナはまったく異なる道を生きてきました。しかしロシアの一部の人たちは、ウクライナが今も昔のままだと錯覚しています。30年間会っていない昔の彼氏・彼女に、過去のイメージをそのまま抱き続けているような状態なのです。
以上が「3つの分断」です。これはつまり「プーチンがロシアをソ連時代のように再び大国にしてくれると信じ、国営メディアを見て生活し、ウクライナの変化に気づいていない人」がプーチンの固い支持基盤だということを示しています。プーチンはこの層を今回のウクライナ侵攻を支持する層だと認識しており、演説でウクライナ政府をナチスに喩えたのも、その証拠の1つです。
ロシアでは第2次世界大戦のことを「大祖国戦争 」といいます。毎年5月9日には大祖国戦争戦勝を祝う式典が開かれ、パルチザンとしてナチスドイツから祖国を守った老兵士たちが赤の広場に招待され英雄として称えられます。
第2次世界大戦当時、ウクライナでは民族主義が沸き起こり、ステパン・バンデラ という人がウクライナ東部を拠点にソ連にレジスタンス戦を仕掛けました。「敵の敵は味方」という論理からナチスとも協力し、ソ連軍と戦ったのです。
このバンデラという人物は、ソ連の歴史教育では「ナチスの協力者」「テロリスト」として扱われてきました。しかし近年のウクライナでは、独立のためにソ連と戦ったバンデラの名誉回復がなされ、両国の間で評価が正反対になっています。
プーチンが2022年2月24日のテレビ演説でゼレンスキー政権をナチスになぞらえたのはこの流れを意識しているため で、ナチス(戦争をしてでも倒したい対象)に勝利したことを誇りに思うロシアの保守派たちには“刺さる”表現なのです。
「すべてが崖から落ちてしまった」
それでも今回のウクライナ侵攻で、ロシア国内でのプーチンに対する信頼感が揺れているのも事実です。ロシアでは許可なく大規模集会を開いたりデモを行うこと自体が禁止されていて、反体制指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏などは神経剤での襲撃を受けたり逮捕されたりしています。若者はもともと政治への関心が薄いうえに、デモに参加することは就職など将来に直結します。その恐怖があるにもかかわらず1000人規模のデモが頻発していること自体がすでに異常事態なのです。
反プーチン派の動きは他にもあります。昨年ノーベル平和賞を受賞したドミトリー・ムラトフ氏(59)が編集長を務めるロシアの非国営新聞「ノーバヤ・ガゼータ」は、ウクライナへの連帯とプーチン政権への批判的な態度を強め、紙面でも「(ウクライナへの侵攻は)ウクライナの損失よりもロシアの損失のほうがはるかに大きい。ルーブルも未来も、すべてが崖から落ちてしまった」と強い口調で主張しています。
メディアを管理する官庁がロシアの公式発表以外の報道を禁止する通達を出しているのですが、「ノーバヤ・ガゼータ」はそれに堂々と反旗を翻したのです。
ロシア国内でプーチンへの支持が揺れている最大の理由は、侵攻先がほかでもないウクライナであったことでしょう。
ロシアが2014年にクリミアを併合した時は、ほとんどのロシア人は“奪還”に喝采を送りました。それは、かつてロシアの一部だったクリミアの同胞がウクライナ独立後の失政によって苦しんでいて、その人々をプーチンが救出したという意識があったためです。おそらく今でも、クリミア併合については「ロシアに帰ってこられてよかったね」という意識はあまり変わっていないと思います。
しかし、今回のウクライナへの侵攻は状況があまりにも違います。ロシアとウクライナは同族意識も強く、お互いに血縁者も多くいます。
乱暴な言い方をすれば、モスクワにとってのキエフは、東京から見た京都のような位置づけです。その場所を爆撃したり民間人が巻き添えになることに対して、プーチン支持者の中からも「なんでこんなことをするんだ」という嘆きと悲しみの反応が出てきているのです。
現時点で、ロシア国内でプーチンに対するハッキリとした「ニェット」(NO)を掲げる反対派はまだ少数です。「プーチンはウクライナのファシストからロシアを守っている」と軍派遣に賛成する人もまだまだ多くいます。しかしプーチンに対する批判のマグマは溜まりつつあり、目に見えない地殻変動が起きていると私は感じます。
一般のロシア人に話を聞いても「プーチンは誇大妄想に取りつかれている」「大統領でいること自体が恥ずかしい」「身震いするような恐れを感じる」「殺戮者だ」のような強い言葉でプーチンを批判する人が出はじめています。
BBCのロシア版サイトには、たった1人で「戦争反対」と書いたボードやウクライナの国旗を掲げて、武装したロシアの特殊部隊「アモン」に拘束されている高齢女性の写真が掲載されていました。それを見て私は胸が苦しくなりましたが、多くのロシア人にとっても目を背けたい光景のはずです。しかもロシア国内では物価が上がっており、今後の生活についても不安がよぎっていることでしょう。
プーチンの計算違いは、このロシア国民の悲しみと怒りと不安のマグマです。政権は必死に抑え込みにかかるでしょうが、反プーチンの感情を持つロシア人がこれほど現れることは想像できていなかったのではないでしょうか。
親プーチンと見られていたカザフスタンがウクライナへの軍派遣を断っていたことがわかったり、アメリカや西欧諸国が制裁を強めるなど包囲網を強化していますが、ロシアは国際社会から非難されることに“慣れて”おり、こうした圧力がプーチンに軌道修正を強いる決定打になるかどうかは不透明です。
むしろロシア国内でたまる反プーチンという感情のマグマこそが、このウクライナ戦争の行方を左右する大きなポイントだと思います。
ロシア軍は、赤外線カメラを装着した戦車から、ザポリッジャ原発の原子炉6基を意図的に狙って砲撃した。 ウクライナ原発火災は砲撃が原因か、鎮火後にロシアが制圧 死傷者数人
2022年3月4日 15:03
2022年3月4日に、プーチンはウクライナにある、ヨーロッパ最大の原子力発電所に攻撃を加えた。ウクライナのゼレンスキー大統領をヒトラーに例えて、ロシアの平和維持軍で攻撃したのだ、とプーチンは言っている。しかし、どう考えても、どう見ても、プーチン自身がヒトラーを尊敬しているように見えるし平気で人殺しをしている。
視察 国際原子力機関(IAEA)の調査団 に同行“謎のサングラス男性”正体は「 プロの 裏工作員」 ウクライナ側は「茶番」
2022年9/4(日)
今も危険な状態が続くザポリージャ原発の状況について、テレビ朝日 元モスクワ支局長 武隈喜一報道局コメンテーターに話を聞いていきます。
サングラスの人物=実は原子力とはまったく関係がない原子力の知識ゼロの人物
Q. IAEAの視察で説明したサングラスの人物、この人物は一体…?
(テレビ朝日 武隈喜一報道局コメンテーター〇の話)
〇ロシア国営原子力企業「ロスアトム」の顧問
〇ロシアメディアでは原子力専門家と紹介しているが、実は原子力とはまったく関係がない原子力の知識ゼロの人物
〇民族紛争のあとに“裏工作”を行ってきた“政治的なゴロツキ”(”軍事的な”ワグネルと同類)
ロシア国営原子力企業「ロスアトム」の顧問=“政治的なゴロツキ ”(”軍事的な”ワグネルと同類のマフィアみたいなただのゴロツキ ) プーチンから粛清されないよう、一生懸命に説明してますね。
Q. IAEAの専門家は説明を聞いておかしいとは思わないのか?
(テレビ朝日 武隈喜一報道局コメンテーター〇の話)
〇本来であれば、ロシア軍を退去させた上で客観的に視察することが目的であったが、それは行われなかった
〇ウクライナ側にとってこの視察は「茶番」
Q. IAEAは今後、ザポリージャ原発に専門家2人を常駐させる。これで原発の安全は保たれる?
(テレビ朝日 武隈喜一報道局コメンテーター〇の話)
〇きのうもIAEAの職員がいるにもかかわらず、砲撃して原子炉が一時停止した
〇安全性が高まるどころか、ロシアはIAEAの職員を原発もろとも人質にとっている状態
Q. 双方が「相手の攻撃」だと主張している。ウクライナ側が攻撃する理由はあるのか?
(テレビ朝日 武隈喜一報道局コメンテーター〇の話)
〇ウクライナ側がこの原発を攻撃する理由が見当たらない
〇ただし、南部はウクライナの反転攻勢によって戦闘が激しくなっていることは確か
Q. ロシアが占拠している場所をロシアが攻撃する目的は?
(テレビ朝日 武隈喜一報道局コメンテーター〇の話)
〇ロシアは危機を煽ることによって、この原発の人質としての価値を高めようとしている
〇“自作自演”で致命傷にならないように攻撃していると考えるのが自然
〇プーチン大統領は核によってNATO、西側諸国を脅すのが戦略
〇原発を人質に、停戦交渉の切り札に使っていく ことも考えられる
〇ロシア軍が原発から撤退することはないだろう
IAEA事務局長、ウクライナのザポロジエ原発を退去-滞在は数時間
2022年9/4(日)
国際原子力機関(IAEA)の調査団を率いているグロッシ事務局長 は2022年9月1日、ロシア軍が占拠するウクライナのザポロジエ原発に到着して数時間後、調査団メンバーの一部とともに現地を退去した。周辺地域での砲撃が激化しているとのリポートがある。
グロッシ事務局長
南東部の原発、一時「事故寸前」 ロ軍占拠下、送電再開へ―ウクライナ ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムによると、十数人の調査団メンバーのうち5人はザポロジエ原発に残って機器を積み降ろし、2022年9月3日まで滞在する見込みだという。BBCウクライナの報道によると、グロッシ氏は滞在中に調査団が重要な情報を収集したとし、確認したかった「重要な対象」にもアクセスできたと述べた。ウクライナ側は、この訪問は「完全な仕組まれた茶番劇」としている。
【ワシントン時事】ウクライナの原子力企業エネルゴアトムは2日、ロシア軍が占拠する南東部ザポロジエ原発での国際原子力機関(IAEA)の調査について、ロシア兵がとどまる原発内の「危機管理センター」への視察が認められなかったと明らかにした。ロイター通信が伝えた。ロシア側が非協力的な姿勢を強めている可能性もあり、公正な現状評価が困難になるとの懸念が高まっている。
グロッシ事務局長率いるIAEA調査団は1日から、砲撃による原発への被害状況の確認を続けている。グロッシ氏は1日公開した動画で「主要エリアの最初の視察を終えた。まだやるべきことは多い」と説明し、専門家2名の原発常駐を目指す考えを示した。
AFP通信によれば、ロシアのペスコフ大統領報道官は2日、「調査団がさまざまな困難や問題にもかかわらず到着し、作業を始めたことを大変前向きに受け止めている」と記者団に表明。ロイター通信は同日、ロシア通信の報道として、IAEA査察官2人が今後原発に常駐するとのロシア当局者の発言を伝えた。
ザポロジエ原発は3月にロシア軍が占拠し、軍事基地化した。8月上旬から原発敷地内に砲撃が相次ぎ、深刻な原発事故につながるリスクが高まった。ロシアとウクライナは互いに非難合戦を展開 している。
調査団が到着した2022年9月1日も原発やその周辺では激しい砲撃があった。原発があるエネルホダル市では複数回の爆発音が報告された。エネルゴアトムによると、原発敷地内にも迫撃砲による攻撃があり、稼働中の原子炉2基のうち1基が運転を停止した。ロイターは2022年9月2日、この原子炉が稼働を再開したとのエネルゴアトムの声明を報じた。
ロシア国防省は通信アプリで「ウクライナがIAEA調査団の原発への到着を妨害しようとした」と主張。 これに対し、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は「ロシアがウクライナのせいだと見せ掛けるため、調査団の通り道を砲撃した。家屋が破壊された」とロシアを非難した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は2022年9月1日のビデオ演説でIAEAの調査開始を歓迎。その上で、「ウクライナと国際社会の目標だ」として原発一帯の非武装化 を訴えた。米国などの西側諸国もロシア軍に原発からの撤退を要求しているが、ロシアは応じる姿勢を見せていない
「プーチンは現実から切り離された自分の世界に生きている」 恫喝に動じない唯一のリーダー“メルケル”が見た独裁者のウソ
ロシアによるウクライナ軍事侵攻が続き、各地で激しい戦闘が起こっている。「ほかに選択肢はなかった」と侵攻について正当化したプーチン大統領の“宿敵”だったのが、ドイツのアンゲラ・メルケル元首相だ。2021年12月の引退まで、4期16年にわたりドイツを率いてきたメルケル氏の素顔に迫った決定的評伝『メルケル 世界一の宰相』から、プーチン大統領とのエピソードを再構成して紹介する。
◆◆◆
プーチンが手本にしているのは、独裁者スターリンである――各国首脳のなかで誰よりもプーチンを知るメルケルは、早くからその正体を見抜き警戒していた。プーチンは一体どのような価値観を持ち、いかなる行動原理で動いているのか。ひとつの手がかりとなる、若き日の彼のエピソードを紹介しよう。
ドレスデンでのKGB活動について「第一の敵はNATOだった」と発言していたプーチン大統領 ©️JMPA
ドレスデンでのKGB活動
KGB(ソ連の秘密警察)のスパイとして、37歳までの4年間を東ドイツ(当時)のドレスデンで過ごしたプーチン。本人いわく「我々に課せられた主要な任務は、市民の情報を集めることだった」。プーチンは、妻と娘ふたりとともに、ドイツ語を素早く習得した。芸術と音楽の都だったドレスデンの中心地にある薄暗いバーで、プーチンは内通者候補と面会を行なった。
一方、シュタージ(東ドイツの秘密警察)が所有する川沿いのホテルの優雅なレストランや客室には、スパイ活動のための隠しカメラが仕込まれていた。KGBとシュタージは協力関係にあり、彼らの諜報活動には脅迫が用いられた。とはいえ首都ベルリンとは違い、そこまでドラマチックな展開があるわけでもなかった。プーチンはむしろ、ドレスデンでの生活を楽しんでいた。それゆえ不覚にも10キロ以上太ってしまった。腹まわりに贅肉がついたのは、美味しい地ビールをつい飲みすぎたせいだ。
しかし1989年、ベルリンの壁崩壊によって、事態は一変する。1カ月後には、KGBドレスデン支部の鉄フェンスの向こうに、敵意に燃える東ドイツのデモ隊が結集した。プーチンは彼らにこう言い放った。
「下がれ! ここはソ連の領土だ。ここには武装した兵士がいて、発砲する権限がある」
実際には、武装した兵士はいなかったが、ハッタリをかまして時間稼ぎをしたのだ。「お前は誰だ」とデモ隊に詰め寄られて、「通訳だ」と嘘をついて切り抜けたりもした。苦境に立たされるプーチン。だが、ソ連軍の司令部に電話をかけても、「モスクワから指令があるまで何もできない」と言われるばかり。
取り残され絶望的な気分となったプーチンは、山ほどあるKGBの書類やファイルをかき集めて、小さな薪ストーブに放り込んだ。昼も夜も燃やし続けたため薪ストーブは壊れ、真っ黒焦げの鉄の塊と化した。数カ月後、プーチンはふたりの幼い娘を連れて、中古の大衆車のハンドルを握り、ドレスデンから逃げ出した。
この屈辱的な出来事と、その後のソ連の崩壊から、プーチンは決して忘れられない教訓を得た。当局の監視下にないデモや自由をいきなり認めてしまっては、絶大な軍事力を持つ帝国すら崩壊するのだ、と。ドレスデンでのKGB活動について「第一の敵はNATOだった」と発言したことがあるプーチン。そして、その考えは、現在に至るまで変わっていないのだ。
ヒトラー、スターリン、そしてプーチン。ウクライナへの野望
現代の独裁者ともいうべきプーチンが抱く、ウクライナ征服への野望。その根本の動機には、ロシアを世界の大国にしたい、昔のような帝国として復活させたい、との思いがある。現代の皇帝(ツァーリ)を目指すプーチンらしい発想だ。そのためには、隣国ウクライナを、EUやアメリカではなく、ロシアの勢力圏にとどめる必要がある。
ヨーロッパで2番目に広いウクライナには、肥沃な農地が広がり、鉄鉱石・天然ガス・石油などゆたかな天然資源が埋まっている。東側と西側とにまたがる地政学上の要所でもある。それゆえ、プーチンのみならず、過去にはヒトラーやスターリンといった独裁者たちからターゲットにされ悲惨な目に遭ってきた。
2014年、ウクライナがEUと政治経済にかんする包括協定を結ぼうとしていたときのことだ。ウクライナをEUから引き離したいプーチンは、断固として協定を結ばせまいとし、ウクライナ政権のヤヌコーヴィチ大統領(当時)に圧力をかけた。すでに腐敗した政権だったということもあり、プーチンの思惑通りに進むかに見えた。だが、恐れを知らぬキエフの若者たちによるデモが起こる。数日間のうちに、たちまちデモに参加する群衆の数は膨れあがり、ヤヌコーヴィチ大統領の腐敗政権を終わらせよ、との声が高まった。
注意深く観察していたプーチンは、警戒心を強めた。なぜならドレスデン駐在のKGB時代に経験した、ベルリンの壁崩壊時の苦い思い出があったからだ。ロシアの“利益圏”とみなしていた地域で、“衆愚政治“が広がっているーー過去のトラウマが、プーチンを一気に目覚めさせた。
電光石火のウクライナ侵攻作戦
ヤヌコーヴィチがロシアへ逃げ出したその1週間後。プーチンによる電光石火のウクライナ侵攻作戦に、当時は弱体化していたウクライナ軍は不意打ちを食らった。アメリカも油断していた。プーチンと同じく警察国家育ちで、KGB出身のプーチンの残虐さを知り抜いたメルケルでさえ、ウクライナについてはEU任せにしていたふしがあった。
メルケルは、プーチンが自由を愛する民主主義者に変わるという幻想は一度も抱いたことはなかった。とはいえ、経済成長を続ける西側をまのあたりにして、富を愛するプーチンがEU寄りの政策を取るのではないかと期待していたのだ。
しかしウクライナ侵攻により、「欧州の安全保障」という幻想は粉々に打ち砕かれた。プーチンが選んだロシアの未来とは、「西側の一員となる未来」ではなく、「西側に対抗する未来」だった。
プーチンが仕掛けたのは、「欺瞞作戦(マスキロフカ)」だった。これは20世紀前半にロシア軍が生み出した手法で、「だまし、否定、偽情報」の3つを駆使するというものだ。
プーチンは、クリミアのロシア系住民がロシアの介入を求めたと言い張った。「ファシストによる非合法の暫定軍事政権が、キエフやクリミアに住むロシア人の脅威となっている」と主張し、現地の群衆をあおり立てた。クレムリンによる同じような作り話は、1956年にハンガリー革命の制圧を正当化するのにも使われたし、1968年の“プラハの春”でも鎮圧のための戦車派遣を合法化するのにも使われた。さらには1948年、東西冷戦のはじまりともいうべき西ベルリンの封鎖を正当化するときにも使われている。
メルケルvsプーチン
2014年のウクライナ危機に際して、西側代表としてプーチンとの外交交渉を担ったのがメルケルだった。KGB仕込みのプーチンの恫喝に動じない唯一の西側リーダーが彼女だからである。オバマはプーチンには関わりたくないと思い、それゆえ彼女に舵取りを任せた。
じつは学生時代にロシア語の弁論大会で優勝したこともあるメルケル。もちろんプーチンもドイツ語は得意だ。プーチンとの会話はいつもまずロシア語ではじまる。だが、このときはプーチンに道理を説こうとするあまり、「アンタは、国際法を公然と無視してる」と、ついタメ口のドイツ語になることもあったという。
対するプーチンは、「その軍隊は、我々ロシアの軍隊ではない」と嘘をつき、「誰でもロシア軍の軍服を買える」とあからさまな言い訳をした。「プーチンは現実から切り離された自分の世界に生きている」――メルケルはオバマに愚痴った。
メルケルは、21世紀の戦争における最も危険な武器は、戦車やミサイルではないと認識していた。サイバー攻撃、SNS、フェイクニュースなどがあらたな戦場となっている。プーチンは、いわばハイブリッド戦争を展開しているのだ、と。
ファクトをもとに責任を問う
一方でメルケルも、プーチンに対して独自の「欺瞞作戦」を使うこともあった。プーチンは、ソチオリンピックに引き続き、同地にて開催予定のG8サミットで、帝政ロシアの復活をアピールしようと目論んでいた。しかしメルケルは、ソチでのG8は開催しないと発表。プーチンの“パーティ”を台無しにしてみせた。のみならず、ロシアはもはやG8のメンバーではない、とまで述べ、プーチンに強烈なパンチを食らわせたのだ。
そして7月、一般市民を乗せたマレーシア航空の飛行機が、ウクライナ上空で撃ち落とされるという痛ましい事件が起きた。これをきっかけに、国際世論におけるロシアへの非難が高まり、ついにオバマも本気を出してメルケルを支援するようになる。
2014年9月、ベラルーシのミンスクにある独立宮殿の壮麗な式典の間には、紛争地域の地図に身をかぶせるようにして話し合うメルケルとプーチンの姿があった。ときには15時間ぶっ続けで話し合いを行った。供される食事が肉料理か、それともジャムを添えたパンかによって、夜なのか朝なのかがわかるという状態だった。
元科学者らしく事実をもとにプーチンを追及するメルケル。現地の航空写真や戦場地図、ロシア軍の最新の動きなど、分単位でアップデートされる情報を入手していた。一日ごとの民兵の動き、拠点として押さえた場所、犠牲者の数――ファクトがあればプーチンの責任を問うことができる。
9月4日、ミンスク宮殿にて停戦交渉が終わった。合意文書にはプーチンの署名もあった。
《メルケル政界引退》愛犬を同席、わざと遅刻… プーチンのいじめに“東独育ち”の女性宰相が放った“痛烈な”一言
「プーチン大統領は別の世界に住んでいるようだ」政権に批判者が次々に殺害される…ロシアの“なぜ人々の声が届かないのか”
メルケルとプーチンの初めての会談はクレムリンで行われた。そこでプーチンは、KGB仕込みの睨(にら)みでメルケルを威嚇した。メルケルも目を見開いて応酬した。
そして、2007年に黒海に面したソチで行われた2度目の会談で、“事件”は起こった。
じつはメルケルは過去に犬に2度噛まれたことがあり、犬を怖がるという情報をプーチンは手に入れていた。
それゆえプーチンは、自分の愛犬であるコニーという名前の黒いラブラドールレトリバーを会見部屋へと入れたのだ。メルケルのまわりをまわって、匂いを嗅ぐコニー。メルケルは両膝をぴたりとくっつけて、足を椅子の下に入れて、落ち着かない様子だった。その間、プーチンは不敵な笑みを浮かべていた。
腹を立てたメルケルは、側近にこうこぼした。「プーチンはあんなことをするしかなかった。ああやって自分がいかに男らしいかを見せつけた。これだからロシアは政治も経済もうまくいかないのよ」。
ウクライナ戦争中に韓国が竹島周辺で測量計画 日本政府「強く抗議」
[2022年5月] 韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が仕掛ける
竹島、日韓トンネル問題・・・
韓国が島根県・竹島の地形などの精密な測量計画を進めていることについて、松野官房長官は韓国側に抗議し、調査の中止を求めたことを明らかにしました。
松野官房長官:「我が国としては、韓国政府に対して外交ルートで強く抗議をするとともに、調査の中止を強く求めたところであります」
松野官房長官は、韓国が計画している竹島周辺の測量について「受け入れられず極めて遺憾だ」と強調しました。
そのうえで、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が派遣した代表団に同行している韓国外務省の担当課長にも申し入れを行ったことを明らかにしました。
岸田総理大臣は26日、代表団に関係改善が急務だという認識を示していました。
日韓トンネル構想といういらないプロジェクトを知っていますか?韓国にとってはメリットばかりでも、日本には危険しかない、国家存亡の危機です
2022年6月1日
皆さんは日本と韓国をトンネルで結ぶ
日韓トンネル構想をご存知だろうか?
日韓トンネルに再び注目が集まっている。きっかけは西日本新聞がネットに掲載した「韓国政権交代で、日韓トンネル実現期待」という記事
『国民の力』の尹錫悦(ユン・ソギョル)韓国大統領
『国民の力』の尹錫悦(ユン・ソギョル) 大統領を支えるのはベテランの金鍾仁(キム・ジョンイン)=
2021年4月、韓国・釜山市長選を機に再び注目が集まりました。保守系で当時野党だった「国民の力」の金鍾仁氏(キム・ジョンイン) が、日韓海底トンネルの建設 を打ち出したのです。2022年も、今後も日韓友好、交流会の中心人物になっていくでしょう。
この日韓トンネル構想に関して日本と韓国で賛否両論が起きている。
もし日韓トンネルが建設されたとしたら
どのようなことになるのか?
その辺りの事情を探っていこう
日韓トンネル構想とは?
そもそも日韓トンネル構想というのはどういうものか?
そこから説明したい。
日韓トンネルは文字通り日本と韓国を結ぶのだが
具体的な地名を出すと釜山(ぷさん)から巨済(ごじぇ)から対馬そこから佐賀県唐津までを結ぶ構想だ。
日韓トンネル構想で想定されるトンネルの長さは231kmにも及ぶ。
このうち、海底区間128kmから145kmにも及ぶ
すでに釜山から巨済島までを結ぶ加徳大橋と巨加(こが)大橋は完成している。
巨済島から対馬、対馬から壱岐、壱岐、唐津までの海底トンネル建設が予定される。
海底区間の距離が定まっていないのは巨済島から対馬までのルートが決まっていないからだ。
対馬の北部に接続するプランや対馬の中央部につながるプランがある。
ちなみに対馬から壱岐、壱岐から唐津に関しては1つのルートでほぼ決まっている。
あとは海底断層帯との折り合い次第だ。
もしも日韓トンネルが開通すれば日韓での貨物輸送量は3276万トンになるとされている。
コンテナに置き換えれば655万個にもなるようだ。
日韓トンネルを推進した人物とは?
日韓トンネル構想だが推進してきたのは誰なのだろうか?
最初に日韓トンネル構想の話が浮上したのは統一教会系グループ事業 である。
日韓トンネル研究会 の日韓海底トンネル推進議員連盟 が推進し始めています。
統一教会とは文鮮明によって立ち上げられた偽キリスト系宗教団体だ。
1945年から布教活動が始まり1954年に世界基督教統一神霊協会 が創設された。
信者は信者同士で結婚させられ合同結婚式に参加しないといけない仕組みになっています。
この統一教会(世界基督教統一神霊協会)は日本でも大きな騒動となったほか霊感商法に関する被害が全国的に発生して社会問題にもなった。なので、名称変更を政府にお願いしているところです。
そんな人達が日韓トンネル構想をぶち上げているのだとすれば日本人からすれば穏やかじゃない。
日本の総合建設会社である大林組 も
「ユーラシア・ドライブウェイ構想」をぶち上げその中に日韓トンネル構想もあった。
1980年代に提案されているがこの当時に実現可能だった技術で考えられたため
本当に実現性があるのか?という議論が巻き起こる事になる。
韓国側と日本側それぞれのところから浮上した構想について紹介しよう。
統一教会の構想
統一教会が推進する日韓トンネル構想についてだ。
統一教会のトップ、文鮮明教祖は1981年自ら開催した国際会議において
「国際ハイウェイプロジェクト」というプロジェクトを提唱する。
人類一家族(じんるい、いちかぞく)を実現するために世界を高速道路で結ぶというのがプロジェクトの中身だ。中華思想(海の一帯一路、陸の一帯一路構想に似ている。)と同じ概念だ。
日韓トンネルは全世界を高速道路で結ぶ基点として登場した。
日本の技術者、日本の地質学者が中心になって、まず日本で日韓トンネルの研究が始まった。その中心は野澤氏。
その後、日韓トンネルの推進団体が立ち上がりこの研究会に九州選出の大物保守政治家(麻生太郎 )も賛同しているとか
大林組の構想
次に大林組が考えた日韓トンネル構想について詳しく説明する。
1980年に 「ユーラシア・ドライブウェイ構想」を大林組が統一教会を資金バックにして発表した。統一教会は日本人信者から多額の寄付を頂いている団体です。
九州本島から壱岐までの島々を吊り橋と斜張橋でつなぎ壱岐から対馬までをの部分を海底トンネルで掘削する。
対馬は地上を縦断して対馬から釜山は海底断層帯や軟弱な地盤に配慮しながらトンネルを掘っていく
これが大まかな構想。
ここまで日韓トンネルの構想の中身について説明した。
日韓トンネル構想に対する反応。
現状、日韓トンネルに対する反応は賛否両論 だ。
賛成派の意見をまとめると日韓での物流が活性化する事、日韓文化交流が活性化することが挙げられている。
コンテナ655万個分の物流量があり陸路でやり取りが行われる想定なので物流の活性化はたしかに考えられる。
また、日帰りで行き来ができるようになるエリアが韓国と九州、中国地方となるので便利となる。
このエリアでの観光需要の高まりが予想される。莫大な観光収入が得られる。
そして電気やガスを日韓で融通し合う事ができるようになる。
なのでエネルギー産業にもいい効果が期待できる。
一方で日韓トンネル構想反対派の意見だが
統一教会が主導した構想だからという言い分がある。
統一教会は霊感商法で国内世論から避難を浴びておりそこが主導する構想に警戒心を持っている人が多い
日韓トンネルを完成させるまでに莫大な建設費用と維持費がかかる。
そして海底断層帯があるため災害のリスクを考える必要がある。
他にも国防上の問題もある。
関税の問題もある。
これらの問題が山積みされている中で果たして強行すべきだろうか?
それが反対派の意見だ。
とある学者(大学教授、政治関係者)の考え
別の考え方として両国政府や民間企業から十分な出資や穏やかな条件を設定しての貸付であれば日韓トンネルは建設可能ではないだろうか?
と指摘する学者もいる。
この学者は日韓トンネルの建設費を10兆円程度と想定 している。
このうち、四兆円を出資で賄って日韓トンネル着工から3年後、6年後にそれぞれ3兆円の融資を受けるというものだ。
上手く行けば数十年で完済できるというのがこの学者の見立て年間収入は4000億円、営業利益は2200億円ほど
この金額を想定している。
それ以前に日本と韓国が陸続きになることは国防上いいのだろうか?
という不安を覚える人も多いのも事実
韓国人が日韓トンネルを通って日本に悪さ をしに来るというのはなんら不思議な事じゃない。
これまでも韓国人はマナーの悪さ や品位の低さ がたびたび問題になっているからだ。
日韓トンネル研究会のHPを見ると釜山から唐津までではなくそこから先の事まで想定されているのが分かる。
釜山からソウルにつながり北朝鮮の平壌、中国の瀋陽、天津、北京までつながる。
日本から北京まで陸続きで行けるようになる。
途中で北朝鮮を経由する、これに不安を覚えない人がいるのだろうか?
またそれ以上にシベリア鉄道、シルクロード、中国の一帯一路との連結も1つの可能性として提案されている。
アジアとヨーロッパを結ぶ道と聞けば喜ばしい が現実味はあまりない
韓国側のメリット
韓国側のメリットとして日韓トンネル構想による公共事業を生み出しそれによって経済効果を生み出したい狙いがある。英国とフランスがユーロトンネルで結ばれたように日本と韓国も、平和と友情の証である「日韓トンネル」で結ばれ貿易効果はかなりデカイ
実際に日韓トンネルが完成すれば韓国側の経済効果は凄まじいものになる。
建設業界や建設資材業界、飲食業などのサービス業などなど・・。
日本側の建築技術が韓国に。
他業種の分野で54兆ウォン、日本円でおよそ5兆円ほどとされている。
そこに45万人ほどの雇用拡大効果が出てくる。
失業率の高い韓国には45万人の雇用拡大効果はかなりデカイ
失業率が劇的に改善される。
2022年の時点で大きな利益が出るだろうと期待される事業の1位に日韓トンネルを選んでいる。
朝鮮半島がユーラシア大陸における交通の要衝になるという期待もあるようだ。
日本側は?
その一方で日本は韓国ほどのメリットは出ないとされている。
北朝鮮との関係が悪いなかで韓国に比べると経済効果は限られる可能性がある。
もしも日朝関係が改善されれば日本にとっても大きなチャンス、メリットになるだろうと考える人もいる。
北朝鮮には莫大な石油が眠り経済協力を積極的に行えば石油を得られるのではないか?という見方もある。
※筆者は北朝鮮が崩壊しないと無理だと思っている。
その場合は北朝鮮との国交正常化や拉致問題の解決が求められるが完全な解決には程遠く
状況は進展していない。
日韓トンネルが誰にとって得なのかはこれで明らかになっただろう。
韓国にとっては経済を大きく発展させるチャンスであり政財界が熱心に取り組むのも理解できる。
日本にも恩恵があるのかもしれないが日朝関係の発展が難しくトラブルの引き金なってもおかしくない。
少々のメリットのために大きなリスクを負う必要はない
筆者の意見
日韓トンネル構想、反対か賛成かで言えば反対です。
ごちゃごちゃと書いてきましたが韓国・北朝鮮は反日教育をしているような国です。
職を求めて日本に移住しようとする人や犯罪をしようとする人も入国しやすくなる。
韓国がサツマイモやシャインマスカットやイチゴの苗盗難事件などの作物を勝手に栽培している状況で韓国人が入国しやすくなるというのは危険だろう。
逆に日本の犯罪者が韓国に逃げてしまう可能性だってある。
更に考えれば韓国側と日本側の土木建築技術レベルに差はないか?レールの企画を揃えないといけなくなる。
着工によって両国の技術レベルを揃える必要があるから技術の流出も考えられる。
海底断層帯があり、地震が起きやすいから地震で破損したら大惨事になる事は間違いない。
日本側のトンネルが大丈夫でも韓国側のトンネルから海水が侵入すれば最悪、何千人も死ぬ事故になる。
なので技術を提供しないといけない。
両国で資金を出し合うわけだけど韓国側の資金の出どころは・・統一教会の資金ではないか?。
一方的に日本が資金を出す事になるかもしれない。
もっと言えば北朝鮮の工作員が侵入したり、脱北者が亡命してくる可能性もある。
技術を教えれば日本のシェアを奪うだろうし、北朝鮮の工作員が入りやすい状況を作るべきじゃない。
手間暇がかかる割に日本にとってメリットはかなり少ないと思う。
いろいろな意見があると思うけど、日韓にトンネルを通すのは愚策だと思う。そう思いませんか?自民党議員や事業体の皆様?
長期政権安倍晋三元首相が守ろうとした日本の姿が九州のここにもありました(北方四島だけではない)。安倍さんが、かつてポロリとこぼした独り言が有ります。「韓国、中国、ロシアには騙された感があったな」
日本国民が、中国ロシア連合と第3次世界大戦になったときに、安倍さんから聞くセリフ「韓国、中国、ロシアには騙された感があったな」、こんな言葉は聞きたくありませんね。その時は、みんな巨大なマンモス級の核爆弾で日本もろとも無くなってます。
2021/09/07 10:00
このままでは中国に乗っ取られる…マレーシア元首相が中国人の大量移住に激怒するワケ
大慌てで移住条件を厳しくしたが…
中国大陸から大量の定住申請が舞い込んでいる
「あの人たちには、定住条件を引き上げたところで、何も響きません。中国のお金持ちにとっては、保証金なんてどこからでも引っ張ってこれますから――」
マレーシアに移住してから4年になる日本人のM子さんは、中国人の富裕層の「お金持ちっぷり」をこう表現する。
マレーシアは長年、世界各地からの定住者誘致を推し進めてきた。だがこのほど、突如として受け入れ条件の厳格化を打ち出した。定住希望者向けビザの取得に必要な保有資産証明などの必要額を、従来水準よりも4倍以上に引き上げるというのだ。
日本にとって、マレーシアは14年連続で「ロングステイの希望国トップ」と、海外での定住を検討する人々の間で高い人気を誇っている。その一方で、現地の受け入れ当局は過去数年にわたって、中国大陸から大量の定住申請が舞い込み対策に苦慮していたという。マレーシアで、目下どんなことが起きているのか。
仕事をしなくても外国人が定住できる「MM2H」ビザ
マレーシアではいま、新型コロナウイルスのデルタ株による感染が広がり、市民生活にも大きな支障が出ている。厳しい行動制限を打ち出しているにもかかわらず、新規感染者数は連日、過去最多水準にある。先には、コロナ禍対応へのまずさから、昨年2月に生まれたムヒディン政権がとうとう倒れ、新首相としてイスマイル・サブリ首相に交代する事態にもなっている。
マレーシアには、「マレーシア・マイ・セカンドホーム(MM2H)」と称する外国人の定住希望者を誘致するスキームがある。一定額の保有資産証明を提示し、定期預金を現地金融機関に積み立て、諸条件をクリアできれば、現地に居を構えることができるというものだ。現地での就業、投資をしなくても住めるとあって、中国をはじめ、韓国、英国そして日本からもこのビザを使って住んでいる人がいる。
MM2Hは2002年の制度開始以来、正常な形で承認発給が行われていた2018年までに総計4万3943人の外国人が同ビザを取得、これまでの経済効果は120億リンギ(現在のレートでは3240億円)に上っている。
月収27万円で住めたのに新条件は「月収108万円以上」
マレーシア経済にも一定の効果が上がっているにもかかわらず、同国政府は条件を厳格化しようとしている。変更点は別表の通りだ。
最も大きな変更は、資産や収入条件のハードルが一気に上がったことだ。例えば、「マレーシア外で稼いでいる安定的収入」が、従来のひと月当たり1万リンギ(約27万円)が一気に4万リンギ(約108万円)に引き上げられる。
マレーシア政府が外国人定住者を絞り込みたい理由とはなんだろうか。ひとつのヒントになりそうな話をM子さんが教えてくれた。
英語を習うはずが…教室で飛び交うのは中国語
M子さんの子供はペナン島のインターナショナルスクールに通っているのだが、「カリキュラムには満足しています。ところが、中国大陸出身のお子さんが次々と増えてしまっていて……」と嘆く。英語を習うために入学したのに、授業前後の教室で飛び交う言語は中国語。子供はいつのまにか、英語ではなく中国語を覚えるようになっている。
もともとマレーシアはインターナショナルスクールの誘致、そして外国人学生の募集にも力を入れており、米国や英国はもとより、豪州やカナダなどの名門校への進学も目指せる卒業資格が取得できるメリットがある。
M子さんによると、中国の人々は「『マレーシアは不動産価格が中国の大都市と比べて、格段に安い。環境は良いし、中華料理も安く食べられる』って手放しで喜んでいます」
華人にとってマレーシアは「中国大陸の地方都市のよう」
マレーシアは、全人口のおよそ24%を中国本土にルーツを持つ華人が占める。民族別人口のうち、マレー系が65%と多数派を占めるが、8%いるインド系とともに、3つの主要民族が共存しているというのがマレーシアの特徴と言えようか。使用言語や食生活などの文化も3民族間で大きく異なり、例えば、華人の間では中国大陸で使われている標準中国語(日本では北京語とも)が広く使われている。
「マレーシアには華人が至るところにいます。中国の人によっては、大陸の地方都市のどこか、くらいにしか思っていない人もいるようです(M子さん)」
言葉が通じて、物価も安いとなれば、住環境の良いマレーシアを、中国大陸の富裕層が見逃すはずはない。続々と定住しているのも当然のことだ。数字で見ても中国国籍者のMM2Hビザ取得者に占める割合は全体の30%を超えている。
中国から狙われる「日本の研究」
"ツバメの巣"でタッグ!?マハティール氏来日のワケ[エムスタイルジャパン株式会社]
2022年8月9日
8月8日に福岡市のベンチャー企業が行った研究発表会ですが、そこに訪れていたのはマレーシアの元首相マハティール氏です。現在97歳で世界的な大物政治家でもあるマハティール氏がなぜ九州のベンチャー企業を訪れたのでしょうか。実は両者をつないだのは超高級食材「ツバメの巣」でした。 8年間かけてやっと完成した技術がマレーシアへツバメのごとく飛んでいこうとしている。マレーシアで合弁会社を作りましょう、とマハティール氏は呼びかけた。
砲撃で原子力研究施設が損壊 ウクライナ東部ハリコフ
2022年3/7(月) 10:59配信
【リビウ(ウクライナ西部)共同】ウクライナ原子力規制監督局は2022年3月6日、ウクライナ東部ハリコフで小型研究用原子炉 がある「物理技術研究所」が同日、ロシア軍の砲撃を受け、複数の施設が損壊したと発表、「新たな核テロ 」だとしてロシアを非難した。周辺の放射線量など詳細は不明。ウクライナメディアによると、同国のシュカレト教育科学相は、ロシアの侵攻後、ウクライナ全国でこれまで211の学校が攻撃で破壊されたり損傷したりしたと述べた。
プーチンはこの建物の中で、プルトニウムを使ったジェノサイド計画と核兵器を作っていたと、疑いを掛けて、我々の平和維持軍がミサイル攻撃した、と言った。
2022年3月6日
2022年3月6日、 ウクライナの核施設、及びすべての原子力発電所を攻撃し、制圧する、とプーチンは主張している。
中国人もロシア人も、2022オリンピックの新聞や2022北京パラリンピック競技だけを見て暮らしているので、ウクライナ戦争は知らない人が多い。
この2人が世界のリーダーとなるのだろう。 2人が 生きている限り・・・
習近平とプーチン
中ロ、ガス供給拡大で関係強化 米欧けん制狙う ロシアの経済は盤石、戦争準備整う
2022年02月04日
【北京時事】中国とロシアは2022年2月4日、ロシア産天然ガスの中国向け供給量を拡大する契約 に調印した。ロシア国営ガス独占会社のガスプロムが発表した。ウクライナ情勢が緊迫化する中、中ロは関係強化を通じ、両国への圧力を強める米欧をけん制する狙いとみられる。
中ロは2014年、パイプラインを通じて年380億立方メートルのロシア産ガスを中国に30年間供給する契約を締結、「シベリアの力」。ガスプロムと中国石油天然ガス集団(CNPC)がこの日結んだ契約では、供給量を100億立方メートル増やし、計480億立方メートルとした。
◇ ガスプロムが「シベリアの力2 」の準備に着手
ガスプロムは、モンゴル を経由する新しい対中国輸出用ガスパイプライン「シベリアの力2」の設計測量作業に着手した。ガスプロムは、プーチン大統領の指示をうけて、昨年9月からこの輸送ルートの検討に着手しており、2020年内には投資のためのすべての事前調査を終えるという。2022年今現在もガスパイプライン「シベリアの力2」は建設され続けている。
トルコ を経由するガスパイプライン、サハリンを経由するガスパイプラインも計画がある。
輸出用ガスパイプライン「シベリアの力」「シベリアの力2」「シベリアの力3」は、国境を越えてつながる「LPGガスの一帯一路政策 」である。中国の「一帯一路」と酷似した政策であって、騙されてはならない。
「欺瞞作戦(マスキロフカ)」これはプーチンが生み出した手法で、「だまし、否定、偽情報」の3つを駆使するというもの
日本も、マスコミや政府も、安全保障上、自国の軍事や地理上の施設など、情報を刻々とニュースなどに乗せて、世界中にばらまくことはやめた方が良い。アメリカも同じく戦争状態時に、自国が危なくなるような情報を相手に見せては命取りになるだろう。 中露の軍艦が日本列島一周をしたニュースをどれだけの人が知っていただろうか。
日本は国民含めて政府関係者も少し「平和ボケ 」している。国連もあてにならなくなった。
日本の番組、アメリカのTV番組も毎日チェックされていて、中国大使館やロシア大使館から本国へ筒抜けになっている。しかも、中国は法律で留学生、観光客が情報を持って帰るような義務を負わされている。驚くような法律が存在する。
戦争が始まってから「交渉」「電話相談」で解決しましょう、と言っても、「正常には育っていない、道徳心も倫理観もない人」には通じない。核戦争を始めるか、若しくは、狂った判断をした、ただ一人を抹殺するか、のどっちかを選択しなければならない。サダムフセインとの戦争が早く終わったのは、抹殺したからだ。
「ヴァッファ」とは、中露がアメリカと戦争をするための緩衝地帯のこと。ロシアとNATO諸国との 「ヴァッファ」がウクライナ戦争。ウクライナを緩衝地帯とするとロシアにもアメリカにもメリットがある。核戦争を避けられるメリットがある。
中国が狙う台湾は、クワッド諸国との「ヴァッファ」である。ここを、うまくを緩衝地帯とすると中国にも日本、アメリカ、オーストラリアにもメリットがある。自分たちの国が戦場にならなくて済むからである。
ウクライナ戦争 、次の 中露の 狙いは台湾戦争。
南シナ海の自由と台湾の主権が中国の支配に落ちるのは、2023年頃 と言われている。
世界のリーダーになりつつある習近平
「国のGDPを立て直した救世主」 習近平
(香港やチベット、新疆ウイグル自治区などで人権弾圧、ジェノサイド、テニス選手やジャーナリストなどの弾圧をして、その事実を経済力と軍事力で隠蔽することに成功しつつある。中国は、金の力で、他国を支配できることを「世界に忖度」させた。)
金融経済型の共産党主義=中国
は世界のリーダーとなるか?
新民主主義、人権無視の
全体専制主義、独裁政権の考えが「世界を支配」するのか?
ドナルド・トランプ氏(第45代) トランプ流の保護貿易主義 中国、武漢のコロナウイルスが世界中にパンデミックした。 融和主義者のバイデン、岸田首相は「世界の自由」を取り戻せるのか。
習近平はトランプ会談の時にアメリカ・ホワイトハウス内で「中国とアメリカで世界のリーダーを分けよう!」 と呼びかけた。
2021年現在の現職者はジョー・バイデン(第46代)
Joe Biden。
就任日 2021年1月20日のあとの電話会談で、
習近平から、挨拶の後、世界を分け合って経済などをリードしましょう、と言われたらしい。甘い言葉には「裏」がある、、、
結論:
「われらは実に朋友を得る幸せを褒め称える。自分よりも勝れ、あるいは等しい朋友には、親しみ近づくべきである。このような朋友を得ることができなければ、罪過つみとがのない生活を楽しんで、犀さいの角つののようにただ独り歩め」(経典『スッタニパータ』、仏陀の言葉)
中国人の信仰は偶像崇拝 :世界中に存在する孔子学院の校長先生「孔子」
習近平国家主席は中国共産党(中国の政治は彼の党だけで動いている!)のトップ。
モ沢東と、同様に、いまや「核心」=「カリスマ」=「偶像」と呼ばれ、賛美されている。中国共産党がこのほど採択した2021年10月「歴史決議」は、習主席への個人崇拝をさらに推進する内容となっている。少数民族の人権問題、外国企業への倫理観、一帯一路がもたらす新植民地政策などは、当然ながら触れてはいない。 中国と米国とで「地球を2分割する」。バイデン米大統領との2021年11月のオンライン会談で習主席は平然とそんなプランを口にした。
中国人の宗教は、無宗教の人が50パーセントを超えているから、中国人は、このような偶像者を崇拝しながら安心して平和に生活するしかないんだろうな。中国の子供が「熊のプーさんに似ている」と言ってたそうだが、その後、どうなったんだろうか。習近平が最も嫌いなアニメ偶像、プーさんは中国から消えた・・・?
元は中国、武漢市のウイルス研究所(アメリカの資金が投入され、中国初の人のクローンを生み出す。研究者は米・独・仏・・・から高い給料で招聘した。)で作られたらしい。中国は否定している。この5番目のオミクロン・ウイルスX iは、人類史上最悪の「曲者 」だ。今現在、「第6波」のパンデッミックが来ようとしている! 北京オリンピックも来ようとしている! 習近平が日本に招待され、来ようとしている! 世界は「自由の尊重・基本的人権の尊重・法治国家・三権分立・・」などの民主主義を堅持しなければならない。アジア・アフリカなどの国々は「 中国式民主主義」 に騙されないように。
日本で2021年8月に流行したデルタ株は左側の映像。右側が2022年にパンデミックになりそうなXiウイルス=オミクロンウイルスの写真。
習近平国家主席は日本に北京オリンピックで 会いましょう!日中国交50周年で会いましょう!と呼びかけた。
中国外務省の汪文斌報道官 (写真)は、日本が公式レベルで台湾との関係を強化しないことを希望すると述べた。写真は7月、北京で撮影(2020年 ロイター/Tingshu Wang)中国外務省の汪文斌報道官は16日の会見で、日本が公式レベルで台湾との関係を強化しないことを希望すると述べた。
菅義偉新内閣で防衛相に就任する岸信夫氏についての中国の見解を問う質問に答えた。岸信夫氏は台湾と強いつながりを持つ。
汪報道官は、中国は日本との協力強化を望んでいる と述べた。もっと日本の「知恵」が欲しい。
安倍晋三元首相が講演で「台湾有事は日本有事だ。日米同盟有事でもある」と述べたことに対して、中国側は強く反発し、外務省が北京駐在の日本大使を呼びつけ、主要公式メディアが安倍氏を名指しで非難するなど強硬な対応を示した。日本の政府高官ではない政治家の言動について、中国側がこれほど大げさな抗議をするのは異例だ。(時事通信解説委員・西村哲也)
台湾有事なら「恐ろしい結果」 現状変更企てと中国非難―米長官
◇夜に日本大使呼び出す
中国外務省の発表によると、華春瑩外務次官補は安倍氏が講演した2021年12月1日の夜に垂秀夫大使を呼んで「厳正な申し入れ」を行い、安倍氏の発言について「中国の内政に対して粗暴に干渉し、中国の主権に公然と挑戦し、はばかることなく『台独』(台湾独立)勢力を後押しした」と批判した上で、日中間の四つの政治文書の原則に反すると主張した。
実際には、安倍氏は台湾独立を支持する発言をしておらず、1972年の日中共同声明などで示された2国間関係の原則から外れたことを言ったわけではない。
華次官補はさらに、日中戦争の歴史を取り上げて、日本側に「歴史を深く反省し、歴史の教訓をくみ取る」よう促し、中国の主権を侵害したり、台独勢力に誤ったシグナルを送ったりしないよう要求。日本が誤った道を進んでいけば、「必ず火遊びで焼け死ぬだろう」と警告した。
「火遊びで焼け死ぬ」は、習近平国家主席(共産党総書記)が11月16日のバイデン米大統領とのオンライン会談でも使った言い回しで、「台湾問題に介入する者は、自分が火だるまになって滅びる 」という意味だ。
中国外務省報道官も12月1日の定例記者会見で安倍氏の発言にコメントし、「大胆にも軍国主義の古い道を再び歩み、中国人民のレッドライン(譲れない一線)を越えようとする者は、誰であっても必ず頭を割られて血を流すことになろう」と語った。
また、国務院(内閣)台湾事務弁公室の報道官は同2日、安倍氏を批判するとともに、民進党政権が「外部勢力」と結託して、台湾独立を図るのは非常に危険だと警告した。
安倍氏は今も有力政治家だが、政府を代表する立場にはないので、中国側が日本政府に文句を言うのはお門違いだ。北京の日本大使館によれば、垂大使は華次官補に「政府を離れた方の発言の一つ一つについて、政府として説明する立場にない」「中国側の一方的な主張は受け入れられない」と強く反論。同時に「台湾をめぐる状況について、日本国内にこうした考え方があることは中国として理解する必要がある」と伝えた。
◇日本の軍事介入警戒論も
国営通信社の新華社や党機関紙・人民日報系の環球時報なども次々と批判の論評を発表。新華社は、日本には「戦後の束縛を打破し、軍事的拡張の古い道を再び歩む」ことを考えている政治家がいると決めつけた。
また、環球時報は岸田内閣について「(安倍氏の発言内容を事前に)知っていながら黙認したに違いない」「安倍氏の影響から脱していない」といった中国の日本研究者たちのコメントを紹介した。
新華社のベテラン記者が開設したといわれる微信(中国版LINE)アカウント「牛弾琴」も、安倍氏の発言は中国への挑発であると同時に、岸田文雄首相との主導権争いだと指摘した。中国の日本ウオッチャーに、安倍氏が岸田内閣の対中政策を左右するほど大きな影響力を持っているとの見方が多いことが分かる。
今春以降、日米首脳会談などの共同文書に相次いで「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記されたことから、中国では台湾問題について日本の介入に対する警戒が強まった。
11月18日には、公式シンクタンクである社会科学院日本研究所の研究員が台湾海峡情勢に日本が軍事介入する可能性について分析し、警戒を訴える異例の論文を発表。その中で、中国側が台湾問題に関連して特に注意すべき人物として、安倍氏と弟の岸信夫防衛相を挙げていた。
しかも、習主席はバイデン大統領とのオンライン会談で、中国の「核心的利益」とされる台湾問題に関して「断固たる措置」を取る可能性に言及するなど厳しい姿勢を示し、政権首脳としての外交力をアピール。異例の総書記・国家主席3選を果たすため、自画自賛の新歴史決議(同16日全文公表)と合わせて、自分の政治的威信を高める宣伝工作を展開していた。
中国側としては、習主席は台湾問題に対する外国の介入を許さない強力なトップリーダーだと宣伝している中で、安倍晋三氏の台湾有事発言が飛び出したことから、あえて大騒ぎして日本側にくぎを刺そうとしたとみられる。
中国は日本を利用して「経済発展GDP2i位」を成し遂げ、日本は中国に利用されて「経済発展GDP3位」になった相互依存の関係上、日本は中国に頭を押さえつけられ、日本は中国に忖度していかなければ「日本の存在・未来」は無くなってきているのか?もう、中国も「独立した国家」になったのだから、中国の「日中戦争」を持ち出しての「圧力」、2022年は中国の大事な年だから「北京オリンピックは協力するように、日中国交50周年も協力するように」といった「圧力」からは逃れたいものです。2022年からは、日本は「中国を信用しきって交流する事」から「本当の戦略的外交」に移行したほうが良い。
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日本はスイスのような永世中立国になってほしい。
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安倍氏、ウクライナ侵攻批判の一方「プーチンは米国に不信感」「ロシアにはだまされた感あった」と説明
時事ドットコム2022/06/06
遅きに記した感あり!
安倍晋三元首相は2022年6月4日、京都市で講演し、ロシアのウクライナ侵攻を批判する一方、「ロシアにはだまされた感があった」 との見方を示した。安倍氏は「プーチン大統領と27回首脳会談 を行った。彼は米国に大きな不信を持っている。北大西洋条約機構(NATO)の拡大だ」と説明した。
安倍氏は「ベーカー米国務長官(当時)は東西ドイツが統一しても管轄権を広げないと言った」と指摘。「その後、どんどん拡大して、ハンガリー、チェコ、バルト3国にも広がり、いよいよウクライナまできてしまうのではないかと(ロシアは)思った」と述べた。
一方、安倍氏はウクライナ侵攻については「だからといって、あんなこと、2022年2月24日ウクライナ戦争をやっていいわけではない。彼らがどう考えているかを理解するために私は述べている」と語った。
安倍さん曰く、「プーチンに騙された感があった!」
ロシアのプーチン大統領を説得できる政治家はいないのだろうか。国内では27回の首脳会談を重ねた安倍晋三元首相を特使に推す声がある。ジャーナリストの鮫島浩さんは「むしろ安倍氏は今回のウクライナ危機を受け、日本国内に米国の核兵器を配備する『核共有』の検討を提案している。安倍氏にはプーチン氏を説得しようという気はないようだ」という――。 日本は韓国からも騙された。
「コリア編」
徴用工解決へ30億円基金案
日本企業、韓国企業や個人で、報道
2022/6/29 11:43 (JST)
宗教学者 島薗進 は 新宗教における「隔離型教団」の代表的な例として オウム真理教、エホバの証人、幸福会ヤマギシ会と共に統一教会 をあげている。
韓国の「反日デモ」の様子
【ソウル共同】韓国政府が元徴用工問題の解決策として、日韓の企業や個人による募金で300億ウォン(約31億円)程度の基金をつくり被害者に支給する案が浮上していると、複数の韓国メディアが2022年6月29日までに報じた。近く政府や専門家による官民共同の協議会が発足する見込みで、具体案の検討が進められているとみられる。
元徴用工訴訟では、敗訴して差し押さえられた日本企業の資産を原告側が売却して現金化する手続きを進めている。もちろん国際法違反である。 ソウル新聞は2022年6月28日、敗訴した日本企業には基金への出資を求めない方向になると報道。朝鮮日報も2022年6月29日「日本企業が中心に募金をする」との政府関係者の話を伝えた。
領有権の根拠を示せなかった韓国、米豪いずれも説得できず 竹島研究者が指摘
韓国が実力支配する竹島(島根県隠岐の島町、韓国名・独島(トクト))について考える島根県主催の第3回講座が11日、松江市殿町の県民会館であった。県竹島問題研究顧問の藤井賢二さん(65)が、竹島が日本領と画定されたサンフランシスコ平和条約を軸に領有権確立の舞台裏を解説した。
藤井さんは1952年に発効した平和条約の成立過程をたどり、戦後も国際的に竹島の帰属先は日本であるとの認識が共有されていたことを示した。米国務省が49年に作成した条約草案で日本が保持する島として竹島が記され、51年の米英間の協議では「朝鮮に帰属する島には竹島は含まれない」とされたという。
岸田氏、パートナーと確信 韓国大統領、関係発展へ
2022年6/29(水) 21:34配信
【マドリード共同】韓国の尹錫悦大統領は29日、訪問先のスペイン・マドリードで記者団に対し、岸田文雄首相との28日の会話を受け「韓日の懸案を解決し、未来の共同利益のために両国関係を発展させるパートナーになれると確信を持った」と語った。
尹氏は、29日開催の日米韓首脳会談に絡み「韓米日の間で、北朝鮮の核危機と関連して安保協力を強化しなければならないという共感がある」と指摘。「安保協力は北朝鮮の核が高度化すればするほど強化されると思う」と強調した。
いつまでも続く韓国に優しい日本政府の政策!日本が精神的に破壊され、物理的にも破壊されるまで「融和政策」が続くのか?感の鈍い戦後歴代首相たち・・岸、森、鳩山、小泉、安倍、・・・
韓国国立海洋調査院所属の海洋調査船
「Hae Yang 2000」による東シナ海の海洋調査活動
令和4年5月29日
我が国政府は、本29日、竹島北方の我が国排他的経済水域(EEZ)において、韓国調査船「Hae Yang 2000」がワイヤーのようなもの等を海中に投入していることを確認しました。我が国からの照会に対し、韓国側は、調査を実施している旨応答しています。なお、同船による海洋の科学的調査について、韓国側から我が国に対して、事前の同意の申請はありませんでした。
これを受け、直ちに船越健裕アジア大洋州局長から金容吉(キム・ヨンギル)在京韓国大使館次席公使に対し、また、熊谷在韓国日本国大使館次席公使から李相烈(イ・サンヨル)韓国外交部アジア太平洋局長に対し、我が国EEZにおいて我が国の事前の同意なく海洋の科学的調査を実施しているのであれば受け入れられず、即時に中止すべきと強く抗議しました。
我が国周辺海域における海洋調査船の活動状況
近年、我が国周辺海域では、外国海洋調査船による特異行動※が多数確認されています。
※特異行動:事前の同意を得ない調査活動または同意内容と異なる調査活動
海上保安庁では、外国海洋調査船の特異行動に関する情報を入手した場合には、巡視船・航空機を現場海域に派遣し、当該調査船の活動状況や行動目的の確認を行い、得られた情報を関係省庁に提供するとともに、巡視船・航空機により中止要求を実施するなど、関係省庁と連携しつつ、その時々の状況に応じた適切な対応を行っています。
海上保安庁が確認した外国海洋調査船による特異行動の状況は
こちら
外国海洋調査船にかかる広報文
・中国海洋調査船「潤江1」の視認について(第1報/最終報)
自衛隊の哨戒機は国際法に違反しない距離で航行した。 韓国海軍艦艇は国籍旗と軍艦旗を掲揚せずに日本の排他的経済水域や 竹島北方の我が国排他的経済水域(EEZ) を航行しており国際法違反である。 その上、韓国海軍艦艇は自衛隊哨戒機に対して火器管制レーダーを照射(厳密には自衛隊哨戒機が韓国海軍艦艇からの火器管制レーダー照射を感知した)し、自衛隊哨戒機による3つの異なる周波数による再三の質問に応答しなかった。国際法上火器管制レーダーの照射は"ロックオン"と同じ扱いであり、日本はこの韓国海軍艦艇を撃沈する権利を国際法と日本国憲法の両方のもとに有する。この件について韓国に日本を非難する資格はない。
日本も標的、密かに暗躍する韓国政府系サイバー集団
中国政府系だけじゃない、サイバー戦争の最前線に躍り出た韓国
2020.5.14
(山田敏弘:国際ジャーナリスト)
各国が新型コロナウイルスで混乱する中、世界的にサイバー攻撃が増えている。つい先日も、米ニューヨーク・タイムズ紙が、中国やロシア、イラン、北朝鮮などが、新型コロナウイルスの混乱に乗じてサイバー攻撃を激化させていると報じている。
こうした政府系のサイバー攻撃としては、欧米諸国などを狙う「ビシャス・パンダ」呼ばれる中国政府系のハッカー集団、「ハデス」と呼ばれるロシアのハッカー集団が暗躍している。さらに、「キムスキー」と呼ばれる北朝鮮のハッカー集団の活動も確認されている。
政府系ハッカー集団はほかにも多数あり、敵対する国家などに攻撃を繰り返している。悪いことに、世界が新型コロナ対策で忙殺され、弱っている今こそ、ハッカーたちにとっては「攻撃のチャンス」となる。過去を振り返っても、天災や大惨事が起こった際には決まってサイバー攻撃が増えているのだ。
活発になっている「韓国」の動き
中国については、人民解放軍の戦略支援部隊(SFF)に属するサイバー・コー(サイバー攻撃部隊)が、諜報機関である国家安全部(MSS)などとも連携しながら、新型コロナの治療に関する情報やデータ、さらにワクチン製造に関する情報を狙って日本を含む世界中でサイバースパイ工作を行っている。筆者もこうした攻撃にはあちこちで警鐘を鳴らしてきた。いまや中国は、スパイ工作からプロパガンダまで、サイバー空間で圧倒的存在となっている。
2014年10月29日 1:20
【ソウル=共同】韓国外務省は2014年10月28日、2014年版の外交白書を発表した。日韓関係に関する項目では、領有権を争う竹島(韓国名・独島)で日本が不当な主張を強めながら、集団的自衛権の行使容認へ向けた動きなど軍事力の強化と活動範囲の拡大を進めているため「周辺国と国際社会に疑いと憂慮が拡散している」と記述した。
旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する韓国の立場や日本の動きに関する記述の分量を大幅に増やし、約1ページ半にわたって詳述した。
韓国の「反日デモ」の様子
日本国民自己破産、家族の破産 VS 韓国の教団による献金・霊感商法・マインドコントロールを使った銭ゲバ、教団の財閥化
IMF危機の恩を仇で返した韓国に、日本は手を差し伸べるべきか
韓国による通貨スワップの延長要請を拒絶した米国の静かな怒り
2022.1.22(土)
韓国には、1997年のトラウマが今なお根強く残っている。アジア通貨危機に端を発した経済危機である。最終的に、IMFの救済を受けることを余儀なくされた。その後、復活した韓国はついに先進国入りを果たしたが、今の韓国は、経済危機の前の状況によく似ているという。
3つ目の共通点は、米国から突き放した態度を取られているという点だ。最も大きい決定打である。
2021年9月21日、文在寅大統領は国連総会の演説で、「南北と米国の3者、あるいは南北米中の4者が集まって、韓半島での戦争が終了したことをともに宣言しよう」と提案した。
だが、バイデン政権は「北朝鮮が、まず非核化の意志を確実に見せてこそ、北朝鮮と対話する」という立場を以前から何度も明確にしており、韓国の提案は米国を裏切る事実上の不意打ち行動だ。日米豪印による戦略対話の枠組みである「QUAD(クアッド)」を拡張し、韓国が参加する「クアッド・プラス」に対しても韓国は消極的だ。さらには2021年1月26日、文在寅大統領は中国の習近平国家主席との電話会談で、「中国共産党創立100周年おめでとうございます」と祝福した。この行動は、朝鮮戦争で韓国を救うために中国と戦い血を流した米国を侮辱する行為だ。米国は直ちに、韓国に「残念だ」という反応を見せた。
米国が願う「北京オリンピック外交的ボイコット」に対しても、韓国は呼応するつもりがないようだ。
韓国はひたすら「終戦宣言」だけにすがっている。
2021年12月13日、オーストラリアを訪問した文在寅大統領は、オーストラリアのモリソン首相との首脳会談後の記者会見で、「米国と中国、南北の全員が、(終戦宣言に対して)賛成の立場を明らかにした」と断定した。韓国の特技であるメディア戦の一つであり、米国に圧力をかける不純な意図が込められた発言だった。
駐韓米国大使が長期間空席のままだという異常な状況は、裏切り行為を続ける韓国に向けた、米国の不快な心情が反映されたものだろう。
だが、米国大使の長期間の空席などよりも、600億ドルの通貨スワップを延長してほしいという韓国の要請に「NO!」を突きつけたことに、はるかに米国の不快感をうかがい知ることができる。
なぜ韓国政府は日本の措置を「明白な経済報復」だと決めつけ、露骨に日本政府を敵視する姿勢を取るのか。
考えられるのは、足下の韓国経済が急速に悪化していることだろう。米中貿易戦争の余波で世界経済に減速懸念が強まる中で、貿易依存度(国内総生産GDPに占める輸出入の割合)が80%を超す韓国経済の先行きに暗雲が広がっている。日本の貿易依存度は30%程度なので、その大きさが分かる。
しかも、韓国の輸出先トップは中国で、全体の4分の1を占めている。米中貿易戦争の激化が、韓国経済を直撃することになりかねないのだ。
2021年8月1日に米国のドナルド・トランプ大統領が中国からの輸入品3000億ドルぶんに、2021年9月1日から関税10%を上乗せするとツイッターで発信した途端、韓国の通貨ウォンは一気に急落した。緩やかなウォン安ならば輸出企業にプラスに働くが、急落は通貨危機に直結しかねない。金融市場では「アジア通貨危機、リーマンショックに続く、3度目の通貨危機が起きそうだ」という見方まで広がっている。
景気悪化を「日本のせい」にしたい文大統領
実は、韓国経済の足下が崩れ始めているのだ。
しかも、韓国経済は財閥企業に大きく依存している特徴がある。韓国GDPの2割はサムスン電子と現代自動車が稼ぎ出していると言われるほどだ。対中輸出の激減で輸出産業の業績が悪化すれば、そのしわ寄せは若者に行く。財閥系企業に入れるかどうかで人生の成否が決まるとも言われるほど財閥志向の強い韓国の若者たちが、新卒採用の道を閉ざされれば、大きな社会不安が起きかねない。そうなれば、当然、不満は文政権に向く。
2017年5月に就任した文大統領はちょうど折り返し点に差し掛かっている。韓国大統領の任期は1期5年で再選が禁止されている。民主化以降、これまでのほとんどの大統領が任期後半にレイムダック化し、激しい政権批判にさらされたのは周知の通りだ。
とくに、経済の悪化は支持率の低下に直結する。韓国経済の悪化は自らの経済運営の失敗のせいではない、ということを強調しなければ、批判の矛先は大統領に向く。だからこそ、ことさらに景気悪化の原因を「日本のせい」にしなければならないのだろう。
2021年8月6日、ソウルの中心部の通りに「BOYCOTT JAPAN」と書かれた旗が掲げられた。日本には行きません、日本製品は買いません、というキャンペーンだ。
IMF危機の恩を仇で返した韓国に、日本は手を差し伸べるべきか
韓国の「反日デモ」の様子
IMF危機の恩を仇で返した韓国に、日本は手を差し伸べるべきか
2018年11月12日
BTS (爆弾少年集団) 、ナチス帽着用でユダヤ人権団体が嫌悪感 「日本の人々とナチズムの犠牲者に謝罪すべき」
コンサートでのパフォーマンスも批判された。
メンバーが原爆のキノコ雲がプリントされたTシャツを着ていたことから、音楽番組『ミュージックステーション』の出演がキャンセルとなった韓国の人気アーティスト「防弾少年団(爆弾少年集団)」(BTS)に対し、米国を拠点とするユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)」が嫌悪感を表明した。
過去にメンバーがナチス親衛隊(SS)のロゴが入った帽子を被っていたり、コンサートでナチスを連想するようなパフォーマンスを行なっていたことが、その理由だという。
米国時間11月11日に公式ホームページ上に掲載されたBTS(爆弾少年集団)に関する声明では、SWCのアブラハム・クーパー副館長が、「長崎の原爆被害者をあざけるTシャツを着ていたことは、過去をあざけるこのグループの最新の事例にすぎない」と指摘。
BTS(爆弾少年集団)にナチス親衛隊のロゴが入った帽子を被って写真撮影をしたメンバーがいたことや、コンサートでナチスの鉤十字に似た旗を振っていたことなどを問題視した。
SSが第二次世界大戦のホロコーストで、ユダヤ人の大量虐殺に関わっていたことに触れながら、「国連での講演に招かれたこのグループは、日本の人々とナチズムの犠牲者たちに謝罪する義務を負っていることは、言うまでもない」とした。
そのうえで、「それだけでは不十分だ」として、こう結んだ。
「このグループの経歴を作り上げ宣伝している者は、あまりにも簡単に過去の記憶を誹謗している。その結果、韓国や世界の若い世代が、偏見と不寛容を生み出すことが”クール”であると感じてしまう可能性があり、さらに歴史の教訓を消失させる手助けにもなってしまう。メンバーだけではなく、このグループ(爆弾少年集団)の経営陣も、公然と謝罪すべきだ」
しかし2019年今年もコンサートツアーが計画されている。
問題視された写真とパフォーマンスとは
俺の方が「イケメンだ」
韓国の歴史教育(反日教育)で育った若者が、プーチンの下でゾンビ化したロシア人同様プロパガンダの先頭に立つ場面
韓国大統領も応援!
韓国大統領も応援!
韓国大統領も応援!
こちらはBTSのメンバーの一人であるジミンさんが原爆Tシャツを着ていたことで「反日」との声が上がりました。実はこの写真、2017年のワールドツアー開催中のブラジルで3月19日に着用していたことが分かりました。ジミンさんはブラジルでの原爆Tシャツ着用のみならず、もう一度同じシャツを着用しています。
韓国大統領も応援!
こちらは2017年の3月29日にワールドツアーでアメリカに行った時に着用していました。ですので、1回目の着用からわりとすぐです。
BTSメンバーのSUGAさん(日本名で管さん)が反日発言した?と話題になったことがありました。
字幕には「独島」と表示されていますね。
これは日本の領土である「竹島」を韓国での呼び名にしたもの。
反日派グループ
韓流ポップグループを見に韓国に旅行に行って被害にあった日本人が多いので気を付けよう!英語を使い、日本語を使わない事も重要です。街中で日本語で話しかけられても、絶対に反応してはダメです。 危険極まりないです。タクシーに乗ると100万円以上ぼっくたれる。旅行や渡航をする場合は覚悟を持って行って下さい!韓国に旅行に行くのは無政府国や内戦国に行くようなもの!釜山に旅行に行く人はノージャパン運動条例可決都市 を理解して行くべき。韓国人に話し掛けようと英語で話そうとしたらその韓国男性が差別的な言葉を叫びながら、いきなり殴りかけてきた。嘘だらけの韓国、中国、ロシアへの旅行は危ない、と思った方が良い。非友好国なので来てほしくないと思っても、彼らは「日本が好き」?と言って観光に来るんだろうな。
韓流ドラマや韓国のポップスが好きな「韓国ファン」の言葉:
~~~1 なぜ着てたのか~~~
あれはマスタニム(ファン)から貰ったもので、撮影時に着てました!(2回も着てましたか?私は1回だと思ってました。2回目やらかしたのはロシア語で良くない意味が書かれたTシャツを着てて、途中で気づき後前反対にしてきてました!これは完全スタイリストが選んだTシャツです 違ってたらすみません。)
~~~2 なんでまだ好きなのか~~~
これは私の個人的な話になりますが答えさせていただきます。(私はジミンのファンです)
まだファンを続ける理由は2つあります。
1つ目はまずこのことを知った時私はすごく悲しかったです。
意図的に着用したのならどうしてそんなことをしたのか、またはその画像を知らないで着用したのなら世界的にも有名な原爆をしらなかったのかとても考えました。
沢山考えた結果ほんとのことを知ることは出来ませんよね?例え表上、僕は日本大好き~~~とか言ってたって日本が嫌いなら嫌いだし、表上謝罪した所でジミンの考えや思いは簡単には知ることができませんよね?
所詮アイドルなんて表上しか見れません。いくらファンと交流が多いいアイドルだって隠してるものはあります。、それの隠してるものは人間だってあります。”裏”です。
では何故ジミンの裏だけをなぜここまでみんなが注目するのかを考えました。
今回のBTSのアルバムの歌詞からいい例えが見つかりました。
光が明るいほど影は濃く大きくできる。
光を目だとして影を裏だとします。ここから分かるのは誰しもにある裏が人気になることによってより濃く大きくなってしまったのです。そして私はジミンを1:1で見ると目(光)がひとつなら影(裏)は普通のままだって言うことです。
そこで私は友達もジミンも同じ人間ということにたどり着きました。友達に裏があったとしてそこを深追いする友達はいい友達ではないと思います。そうするとジミンの裏にファンは深追いするのは良くないなと思いました。
また友達が悪いことをしていたらちゃんと注意して止めることが必要。これは中学の好きな先生の言葉ですが、これをジミンに当てはめると、今回のTシャツも二度と過ちを侵さないように良くないといい、止めることが必要だと思いました。 そのままほっておくのでは無くちゃんと注意することが大切だと思います。
2つ目に私の頭の中に嫌いになるという選択肢がありませんでした。なぜならジミン自身(プライベートや人間性)を好きになったわけじゃなくて、ジミンの作りだす音楽、ダンス、声、努力の仕方を好きになったし、私の憧れでした。
ジミンは中学3年まで両親に釜山芸術学校に行くのを反対されてましたが、親を説得出来るぐらい努力をして釜山芸術学校創立発、主席で入学し、そしてBig Hitにスカウトされて練習生になることができました。しかし、練習生の時も15回もデビューを切られそうになったのに、切られそうになる度にきついノルマを、達成して13ヶ月というとても短い間でデビューすることが出来た努力家です。
ダンスも1日のほとんどを使って練習したり、痩せるために10日に1食ダイエットをしたり。armyのことを1番に思ってステージをしてるってことが伝わってきます。
ジミンの今回の件でダンスの練習をやめたわけじゃないし、歌のトレーニングを怠った訳では無い。なので私は嫌いになる選択肢がありませんでした。BTSがたとえ反日でも日本が大っ嫌いで彼らの曲が大好きなので大好きです。これが私の考えです。
ジミンの世界観やジミンが作る曲、ジミンが歌ってる時の声、ジミンの舞台への思い、ジミンのダンスの完成度、これらが私のジミンが好きになった基準です。
これらを失ってまで嫌いになるのならこのまま好きでいたいです。
私の意見しかハッキリ伝えることは難しいです。
ですが私のように思ってる方はいると思います。特に2つ目は沢山の方が思っていると思います。
最後にジミンは原爆の被害者の方、日本の人に対して気分を害する良くないことをしたと思います。ファンとしてあやまりたいです。
嘘だらけの韓国、中国、ロシアへの旅行は危ない
VIDEO 日本人女性暴行事件で韓国人容疑者 “髪を掴んで押し倒したが暴行はしてない” / 字幕付き
VIDEO “女性を暴行”映像が中国で大炎上 「地元警察が後ろ盾に」訴えも(2022年6月13日)
安倍元首相の死去に対する韓国人の反応、追悼に対し「正気か」「親日派か」の声も
羽田真代 2022/07/11
安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃され、亡くなったというニュースは、隣国・韓国でもリアルタイムで伝えられ、トップニュースになった。オンラインニュースには多数のコメントが付いており、日韓関係悪化の責任がある人物なので気の毒とは思わないと非難したり、容疑者を安重根になぞらえて美化したりと、驚くような声も多数上がっている。安倍元首相の死に対し、韓国人がどんな反応をしているのか。代表的な声を紹介する。(ビジネスライター 羽田真代)
安倍晋三元首相が死亡、韓国でもトップニュースに
7月8日、安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃され、死亡した。筆者は安倍元首相と直接面識はないが、複数の知人が彼と交友があったことから、勝手ながら親近感を持っていた。そのため、彼の死に強い衝撃を受けている。
聞けば当初は奈良県ではなく、長野県に応援演説に入る予定だったという。予定が変更されていなければ、またご存命だったのでは……と思えてならない。
韓国でも、安倍元首相の銃撃や死亡報道はリアルタイムで伝えられた。
また、オンラインニュースでは安倍元首相に関する記事が多く掲載されており、この日の購読ランキングの上位を占めている。タイトルを見ると「日 安倍前総理、演説中に銃に撃たれ死亡…“容疑者、前職は自衛隊員”(KBS)」「日 保守の象徴安倍、政治テロによって死亡(朝鮮日報)」「亡くなった安倍、日 右翼の求心点で、最長寿の首相…退任後も自民党の実力者(東亜日報)」といった具合だ。
「極右政治家」「日韓関係が悪化したのは安倍のせい」
韓国では多くの人たちが「安倍元首相=極右政治家」という認識である。「日韓関係が悪化したのは、韓国を嫌う安倍のせいだ」と主張する韓国人が圧倒的に多い。
2019年7月から韓国では日本製品不買運動が発生。当初は「NO JAPAN」と日本全体を批判していたが、時が経つにつれて不買運動のターゲットは安倍政権に変わり、「NO安倍」を目にすることの方が多くなった。「日本人が悪いのではなく、極右安倍政権のせいで日韓関係が悪化した」というのが韓国人の言い分だからだ。
安倍元首相の写真が焼かれるデモも度々起こったし、「安倍首相は第2のヒトラーだ」 と言って、旭日旗を掲げてチョビ髭を生やした彼のポスターが国会議員会館に張り出されたこともあった。
山上徹也容疑者を「第二の安重根だ」と山上容疑者を英雄扱い
韓国では、安倍元首相を射殺した山上徹也容疑者を英雄扱いする国民が一定数存在する。「山上は第二の安重根(アン・ジュングン/1909年にハルビンで伊藤博文を殺害した人物)だ」と、容疑者を称える声があちらこちらで上がっているのだ。
それだけではない。安倍元首相の死を喜ぶ声も上がっている。
韓国では、2022年5月に保守派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が就任したことによって、日韓関係の修復を求める声が高まっていた。しかし、我々日本人は安倍元首相の死を通して、彼らの生の声をしっかりと見ておく必要があるのではないだろうか。以下、安倍元首相死亡のニュースに書き込まれた韓国人の声を紹介する。
「左派たちが喜ぶだろうな」
「私たちを苦しめた人だったけど、日本と日本国民に対してはとてもよくやった人物だ」
「南無阿弥陀仏~金正恩は? プーチンは? 習近平は? 文在寅は?」
「(銃撃されたという報道のタイミングで)訃報ニュースはまだか?」
「こんな風に死んだら駄目だ。テロの犠牲者になれば、過去の過ちは全て葬り去られる」
「故人の冥福をお祈りいたします」
「あの世で慰安婦のおばあさんたちに会ったら、100倍謝罪しろ」
「死亡という報道を見ても、哀れな気持ちは全くしない。一方で、銃を撃った英雄、その人の方が哀れだ。死人はよく死んだ。我が国にもこんな英雄がいたらいいのに」
「日本で安重根義士が現身したんだ…」
「もうだめだ。安倍は日本極右の永遠の聖人として末永く美化され、この事件で同情票が集まり、日本の極右が権力を握るだろう」
「安倍よ、さらば。これで韓国の左派も消えれば、暮らしやすい大韓民国になる」
韓国国民らは自国のことを「民主主義国家だ、三権分立国家だ、法治国家だ」と声高らかに自慢するが、テロリストを称えて安倍元首相の死を喜ぶ彼らの姿は、果たして民主主義国家に住む国民の姿と言えるだろうか。
大物議員の中にも、故人を批判する声が……
こうした声が一般国民から起こるのはまだしも、韓国の国会議員の間からも上がっているから驚きだ。文在寅(ムン・ジェイン)元大統領は安倍元首相の冥福を祈ったものの、同じ野党・共に民主党の姜炳遠(カン・ビョンウォン)議員は冥福を祈りつつ「韓日両国の確執助長と歴史否定を政治的な滋養分とした。歴史的評価が下されるだろう」と、故人を批判した。
共に民主党所属の李洛淵(イ・ナギョン)氏はFacebookに「安倍元首相の冥福を祈る」「最近の米国でもそうだったが、安倍元首相襲撃でも私は民主主義の危機を感じる」とコメントを出した。文大統領と同じ、当たり障りのない哀悼の意だった。
だが李氏のコメントに対して、民主党権利党員だけが使用可能な権利党員掲示板には「安倍と民主主義がなぜ連結するのか」「我が国を滅ぼすと経済報復をし、我が国に戦争を誘発して戦争難民発生時に皆殺すと発言した安倍を追慕?」「李洛淵は正気なのか」「あなたは親日派か」といった書き込みが多数寄せられている。
政治家や党員のように政治に関与する人物であれば、反日感情は抑えてコメントすべきではないだろうか。共に民主党は与党だった過去5年、強固な反日姿勢を貫いていたから、安倍元首相が亡くなったからといって反日感情を抑えられないのかもしれない。しかし、このような対応は大人気ないと感じるし、それを統制できない同党のレベルも低いと感じざるを得ない。
安倍元首相の死を喜ぶ人々
安倍元首相の冥福を祈る韓国人も、もちろん多くいる。だが、同じくらい彼の死を喜ぶ国民がいるのが現実だ。
先ほどのコメントでは敢えて紹介しなかったが、筆者がなによりも驚いたのは「文在寅前大統領はいつ殺されるんだ?」「次は文在寅の番だ」と、自国の前大統領を殺してくれと言う声があまりにも多かったことだ。このような発言は、冗談であってもすべきではない。
民主主義国家は暴力で言論を抑圧してはならない。テロによって政治家が殺されてはいけないのだ。それを「山上容疑者は第2の安重根だ」とテロリストを英雄扱いして称えるなどもってのほかだ。
韓国の反応を、日本人は忘れてはならない
先ほども述べた通り、日本人は今回の韓国の反応を記憶しておかなければならない。多くの韓国人には、日本や日本人のことを心から心配し、労わる気持ちなどない。我々は東日本大震災の時にも同じような経験をしたはずだ。韓国が日韓関係改善を望むのは、韓国にとってそれが自国の利益になるからだ。日本が困った時、彼らは心の底から心配して手を差し伸べることなどしない。3.11の大地震では、韓国軍は竹島に上陸してヘリポートを作って領土を乗っ取ってしまったのだ。
安倍元首相は今後の隣国との付き合い方を再考するよう、自身の死を通して我々に教えてくれたような気がする。安倍元首相のようにリーダーシップがあって、世界と対等に会話ができる政治家を日本が失ってしまったことが残念だ。彼にはもう少し日本を牽引していただきたかった。中国と台湾が結びつくのを阻止して欲しかった。
少々余談だが、山上徹也容疑者は元海上自衛隊員の41歳の男だと各メディアが報道した。だが、彼は2002年から2005年までの3年間しか海上自衛隊に勤めていないし、辞めたのも17年も前の話だ。元自衛隊員だと強調して報道するのは、間接的に自衛隊に批判が向くことにならないだろうか。もちろん間違っているがマスコミは馬鹿だから仕方ない。
もう一つ問題なのは、素人が武器製造サイトを見て殺傷能力のある銃を簡単に製造できる世の中になってしまったということだ。工業高校レベルの知識や技術があれば、3Dプリンターで銃を簡単に作れるという声もある。今回の“成功”を機に、世界で模倣犯が出なければいいのだが……。
最後になったが、ここで安倍元首相のご冥福をお祈り申し上げる。これまで日本を代表する政治家として多忙を極めていたのだから、天国ではどうか安らかにお過ごしになれますように。
統一教会はオーム真理教と同じ「犯罪集団だ」。相手を借金漬けにして破産させ、メチャクチャに破壊させる。分かっていても「すまし顔」だ!!!。
安倍晋三元首相(67)が奈良市内で参院選の街頭演説中に銃撃されて死亡した事件を受け、世界平和統一家庭連合(旧統一教会) は2022年7月11日午後2時ごろから、東京都内で記者会見を開き、安倍元首相を銃撃したとして逮捕された山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=について在籍の記録はないと明らかにした。一方、山上徹也容疑者の母親については統一教会 法人の協会員で月に1度程度、行事に参加していたことを認めた。 山上徹也容疑者は「母親が宗教団体統一教会 にのめり込んで破産した。安倍晋三氏が団体を国内で広めたと思い恨んでいた」などと供述したと報道されている。
相手を借金漬けにして破産させる汚い手口。
日本国民は、こんな間抜け顔、ポンコツ頭の人間に、騙されていいのか?
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長は、世界平和統一家庭連合の会長なので旧統一教会のことは、よく分からないと言っている。山上徹也容疑者は物故者の岸信介を安倍さんと結び付けて殺害したのだろうか?とにかく、事件を巡っては、安倍元首相を銃撃したとして逮捕された山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=が「母親が宗教団体にのめり込んで破産した。安倍氏が団体を国内で広めたと思い恨んでいた」などと供述したと報道されている。山上徹也容疑者には、もっと歴史を調査し理解して正確な判断を して欲しかった。
韓国ソウルのオリンピック・スタジアムで行われる「3万組国際合同祝福結婚式」
日本人女性・韓国人男性のカップルが多く生み出されており、結婚した日本人女性は韓国人の夫や家族に尽くすことが求められる。
統一教会 概説
文鮮明と妻の韓鶴子。
朝鮮半島の平安北道定州出身の文鮮明(1920年- 2012年) によって、1945年に布教活動が始まった。その後1950年に朝鮮戦争が勃発、1952年に経典の「原理原本」の草稿が完成した。
1954年5月に韓国ソウルで、世界基督教統一神霊協会が創設された。1965年に文鮮明一家と幹部たちは、アメリカに宗教・政治的情宣活動の拠点を移し、世界宣教・経済活動を拡大し巨大な統一運動傘下の組織を創設した。韓国の多くの少数派宗教団体とは異なり、朝鮮半島を超えて世界中に普及したという特異性を持つ。世界193か国に支部がある。
日本では、1958年6月に崔奉春(チェ・ボンチュン。日本名西川勝。)が来日し、統一教会を伝えた。1959年から1965年まで宣教が行われ、同年にアメリカ、イギリスでも布教が行われた。近年は東ヨーロッパと南アメリカで拡大している。
1964年7月16日、日本で宗教法人の認可を受けた。 初代会長になったのは元立正佼成会信者 の久保木修己 だった。同年、「原理研究会」が設立され全国の大学で学生伝道を開始。世界平和統一家庭連合の総裁は、文鮮明の妻である韓鶴子が就任している(2008年時点)。
1968年4月、文鮮明が岸信介 らの協力を得て反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立した。「統一教会」は韓国で作られた新興宗教です。文鮮明が教祖です。
「統一教会」にはその政治活動を行う「(国際)勝共連合」という組織がありました。その会長が安倍晋三の祖父である岸信介です。
その岸信介は昔「民主党」という組織を作っていました。今の「立憲民主党」、「国民民主党」とは何のつながりもありません。
岸信介の「民主党」は「自由党」と合体して「自由民主党」となったのです。
だから、今の「自民党」は統一教会と繋がりがあります。小沢一郎=実父は済州島出身、母は在日朝鮮人、 菅直人=実母が済州島出身、以下民主党には大量にいます。
民主党と言えば連合や電機労連などの組合がバックと言うだけで近代政党の体をなしていない。選挙の候補者選定に当たってもいい加減、かつ不透明で、このような反共カルト詐欺集団に関係する者が同党の議員にいても何の不思議もない。民主党は解党して左派系(旧社会党系)と右派系それぞれ新たな政党を立ち上げて、党の進むべき道(単に政権を取ると言うことではなくて)と政策一致を果たす責任があると思います。といっても、今の趨勢からすれば、連合の分裂なくして民主党の分裂もありえないですがね。情けないことに社会党時代から党員獲得と財政基盤を組合に頼り切ってきた左右の社会民主勢力。仮に政権をとっても昔の自民党ほどにも見識と信念のある人がいないのだから、こんな政党?に期待する人はどうかしています。
「合同結婚式」(信者は「祝福」と呼ぶ)と呼ばれる教団内婚制をとり、教祖のインスピレーションに従って信者同士で結婚する。小規模な閉鎖的コミュニティを除き、教団内婚制をとる巨大教団はほかには見られない。1990年代の前半に霊感商法や合同結婚式で話題になったが、この時代でさえもあまり信者を獲得できていなかった。この合同結婚式によって家庭を持った日本人の信者数は10000組を超え、2004年時点で統一教会による合同結婚式で韓国人男性と結婚して韓国で暮らす日本人女性信者数も7000人ほどいる。
2010年代には信者の高齢化が進み、若い信者が入ってこない状態で衰退傾倒になっている。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス名誉教授であるアイリーン・バーカーは論文によると、1970年代に入信した信者たちは教団に残っているが、その後に入信者を増やすことには成功していないため、教団の高齢化が進んでいる。
2012年には開祖の文鮮明が死去し、妻の韓鶴子が組織全体の責任者となったが、「家庭連合幹部と母親韓鶴子女史が、後継権を奪い、韓鶴子女史が自ら教主となり、相続権を奪われた」と主張する七男の文亨進派と分裂した。文亨進によって、サンクチュアリ教会が設立 された。文亨進が家族連合(韓鶴子率いる統一教会)との『統一マーク使用権訴訟』で勝訴している。サンクチュアリ教会の掲げる主張は統一教会とは異なり、「全能の神が与えた権利によって武器を持ち、民が互いと人類の繁栄を守ることのできる平和の警官、平和の兵士の王国」と銃賛美の宗教となっている。 文鮮明は1950年12月以降から韓国へ移住まで北朝鮮部分に住んでいた拷問を受けたこと、3年近くの興南監獄で多くの罪なき囚人たちが死んでいくのを見たことで反共思想になったと述べている。満40年10か月ぶりの北朝鮮訪問後の1991年12月7日に北京での声明文「北朝鮮から帰って」において、「北朝鮮に恨(ハン・恨み) が多いと言えば誰よりも多い人間です。」「過去40年の東西冷戦時代に誰よりも徹底した反共指導者であり、国際勝共連合の創始者として一生を勝共闘争に捧げてきたことは、世界がみな知っております」「冷戦時代の終焉とともに招来した平和の運勢を世界的に拡散させるために、私は「世界平和連合」を創設し、国際的平和運動を主導しています。」「統一祖国の明るい新世紀を迎える準備を急ぎましょう。」と冷戦崩壊後に対北朝鮮方針を転換した理由を述べている。
2012年9月3日に世界基督教統一神霊協会(統一教会)の創始者の文鮮明が死亡した際には、北朝鮮の金正恩第1書記は遺族に弔電を送り、「文鮮明先生は逝去したが、民族の和解と団結、国の統一と世界平和のために傾けた先生の努力と功績は末永く伝えられるだろう」との哀悼の意を表している。
2013年1月22日には北朝鮮と世界基督教統一神霊協会(統一教会)の合弁会社「平和自動車(Pyeonghwa Motors)」 の最高経営責任者(CEO)で、米国市民権を持つ朴相権へ追加投資を引き出すために、北朝鮮から平壌市の名誉市民証を授与されている。
諸問題との関連
宗教学者島薗進 は新宗教における「隔離型教団」の代表的な例として オウム真理教、エホバの証人、幸福会ヤマギシ会と共に統一教会 をあげている。
「霊的な子ども」を生み出すことと考えられていた「勧誘活動」と共に、「資金調達」はサタンの領域から神の領域への合法的な金銭の移動と考えられ重視された。勧誘活動と資金調達は、共に非常に儀式的な活動であり、 たとえその活動で敵意にさらされようと、愛を与え、多くの人に復帰に関わる機会を与える活動と考えられていた。多くの信者は、寄付した人がその行為の霊的意義を認識しているか否かに関わらず、神の領域へ資金を移動することで利益を得ると信じている。
合同結婚式も統一教会がカルト視される一因となっている。教団内婚制で世代が再生産されるため、ピークを越えたとはいえ教団の持続力は強い。教団内婚制も、カルト視されたりマインド・コントロール疑惑 が持ち上がる一因になっている。
日本では1992年には、歌手で女優の桜田淳子(当時34歳) 、元新体操選手の山崎浩子(やまさきひろこ、当時32歳)、元バドミントンの世界チャンピオンの徳田敦子(当時36歳)ら有名人が韓国ソウルのオリンピック・スタジアムで行われる「3万組国際合同祝福結婚式」(前年までに12回行われ、計2万組の夫婦が誕生していたとされる)に参加することが公になり、マスコミでスクープとして飛びつき、過熱気味な報道が繰り広げられた。 次第に霊感商法被害や、見知らぬ異性同士が教祖のマッチングで結婚するのは不気味だと、激しいバッシングに変わった。
1993年には前年の合同結婚式に参加した山崎が突如行方不明になり、統一教会側は拉致監禁であると記者発表してデモ行進を行った。1か月後、週刊文春の独占で山崎の動静が伝えられ、その後山崎はテレビで婚約破棄と脱会宣言した。1990年代以降、元信者が結婚無効を求める裁判も相次いでいる。
日本「エバ」論
日本のセミナー等で、『原理講論』で説かれる堕落の経緯と復帰の歴史を説明される際に、韓国はアダム国家、日本はエバ国家とされ、先に堕落したエバがアダムに侍ることは当然であると説かれている。朝鮮を植民地支配し民族の尊厳を踏みにじった日本はエバと同じであり、韓国に贖罪しなければならないとされているのである。合同結婚式では、日本人女性・韓国人男性のカップルが多く生み出されており、結婚した日本人女性は韓国人の夫や家族に尽くすことが求められる。 サタンと姦淫したエバである日本とアダムとされる韓国という構図で規定される。
「血分け」批判と諸見解
「血分け」および「韓国のキリスト教#特徴・批評」も参照
カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、神に陰陽説を当てはめるという考え方から性が過度に大きく扱われているが、性的乱交のような腐敗は今のところ見られないと述べている。櫻井義秀 は、統一教会の布教当初、血分けの疑惑が持ち上がったが、それは未確認のまま終わっていることを紹介している。
1955年の梨花女子大事件 の時も、「血分け」と称して淫行が行われているのではないかという疑いがもたれたが、文鮮明の容疑は兵役法違反及び不法監禁であり、無罪となっている。
韓国では、 統一教会は数ある異端の一つと認識されているが、単に宗教団体というよりある種の財閥と認識されている。日本ほど反社会的宗教団体とは見なされておらず、韓国ではむしろ、日本で「摂理」と呼ばれるキリスト教福音宣教会が教祖による女性信者への性的暴行などで社会問題となっている。
櫻井義秀は、文鮮明が初期の信者たちと「血統転換」をどのようにやったかは伝聞でしかないと述べており、統一教会の血分け疑惑に関して著書でさらなる論考はしていない。そして文鮮明が、北朝鮮の興南牢獄に収監され国連軍の進攻で解放された経験や「血分け」スキャンダル等の迫害を受けたことを受難として、メシアにふさわしい聖痕として教説化したことを指摘している。
ポリテクニック・サウスウェストの哲学科助教授・バーミンガム市のセリーオーク・カレッジ新宗教運動センター理事のジョージ・D・クリサイディス(英語版)は、統一教会は血分け教、セックス教であるという主張には裏付けがなく、想像の域を出ていないと述べ、次のように解説している。
統一教会の初期には、夜遅くまで講話が行われることがあり、その際は夜間外出禁止令のために信者たちは朝まで帰宅できなかったが、敵対者はこれを不道徳な性的行為、乱交パーティーであると批判し噂が広まった。官憲が1954年に文鮮明と信者四人を逮捕し、罪状には姦通罪も含まれていた。しばらくして徴兵拒否以外のすべての罪状は取り除かれ、徴兵拒否も無罪となり3か月後に釈放された。キリスト教主流派や統一教会の批判者は、統一教会は批判者が血分けと呼ぶ性の入会式を行っており、救世主的教祖が 女性の新入団者と性行為を行って女性を浄化し、その上で夫と性行為を行い夫の浄化と子孫の浄化を復帰するということを行っていると主張している。
しかし、クリサイディスは、統一教会がこれらを実践しているという情報は、いずれも間接的なものにとどまっており、統一教会と性の儀式を結びつける証言はごくわずかしかないとのべている。統一教会の信者であるユー・ヒョーウォン夫人は、歴史的に統一教会と関係のある聖主教で裸体儀式(楽園で人間が裸体であったことにちなむもので、性儀式ではない)が行われていたため、統一教会もその槍玉に挙げられると述べている。
ヨン・ポクチョンによる、文鮮明がキリスト教主流派から「血分け教」の開祖とも呼ばれる李龍道に出会い傾倒していたという証言は、年代が史実と合致しない。クリサイディスは、ユー夫人の見解の方がヨンの証言より問題が少ないと述べている。またクリサイディスは、現実問題として、教祖が合同結婚式に参加する8,000人もの花嫁と性交渉を行うことは不可能であると述べている。
クリサイディスは反カルト派や主流キリスト教の論者で、統一教会は血分け教、セックス教であると批判する論者は、「血」は実物なのか象徴なのか、性行為の相手は救世主である教祖なのか配偶者なのか、後者の場合、集会で行われるのか非公開であるのかを論じることもなく、出どころの不確かな引用、さらなる孫引きを行っていると述べている。
クリサイディスは、「血分け」(ピガルム)というハングルが存在するのだから、その言葉が指す何らかの宗教儀式(乱交パーティーではない)は朝鮮半島にあっただろうと推測することはできる[131]が、正確にどの新キリスト教集団が血分けを実践していたかはわからず、統一教会が行っていたことを裏付けるだけの証拠はないと述べている。
統一教会が元々「セックス教団だ」、「入会した女性信者は儀式と称する教祖との性行為を強いられる」、「血分け教である」、というバッシングは、1995年の文鮮明の逮捕に関する噂が元になっていると思われるが、その後の無罪放免になった顛末は無視されているという。
クリサイディスは、統一教会に血分けの疑惑がかかるのは、同会が婚姻外の性交渉を厳しく戒めていること、血統の復帰の過程は婚姻関係の中だけで「原理的」性交渉として行われること点から見ても筋が通っていないと論じている。クリサイディスは、このような主張が行われるのは、糾弾する側が悪意を持っているということか、より寛容に解釈するならば、血分けの実践と「祝福」(合同結婚式)の後の夫婦間の決められた手順の性行為を混同したのだろう、と述べている。
統一教会とキリスト教主流派
異端・カルト110番によると異端・カルトである。また日本カトリック司教団が1985年6月22日に出した世界基督教統一神霊協会に関する声明では、キリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ないことを明確に宣言とある。
キリスト教は世界中に布教されたが、その過程で様々に変質し、伝道する国の文化に順応してきた。世界の新宗教の多くはキリスト教の伝道活動の影響を受けて発生している。キリスト教の他文化への順応は、1世紀におけるヘレニズム化のように容認される場合もあれば、認められない場合もある。
キリスト教が土着の宗教と混合して生まれた宗教が、キリスト教の主流派から認められず、その宗教がキリスト教であると主張した場合、モルモン教のように主流の教会から異議を申し立てられたり、ラスタファリアンのように独立した宗教を形成することもあった[135]。
櫻井義秀は、統一教会は独特の聖書解釈が見られる『原論講論』を教典とし、教祖・文鮮明が再臨主であると主張していることから、キリスト教の主流派からは異端と見なされていると述べている。統一教会側は、キリスト教の主流ではないが、その教えは韓国に伝来したキリスト教の土着化による正当なものだと主張している。
文鮮明はプロテスタント的なキリスト教の影響を受けており、聖書の正典を知るために教会の伝承が必要であるとは考えない。しかし、キリスト教の最大会派であるカトリック教会では、エキュメニズムの対象にもなり得ないため、キリスト教ではない宗教であると宣言している。
ジョージ・D・クリサイディスは、統一教会を研究する際は、キリスト教の主流の信仰・実践と比較して「逸脱したキリスト教徒」とするのは単純に過ぎ、キリスト教だけでなく韓国の宗教と文化的背景を考慮し、韓国の伝統的な宗教とキリスト教宣教師の到来と活動の結果生まれた新キリスト教集団にルーツを探り研究する必要があると指摘している。独自の神学は仏教、儒教、道教、シャーマニズム等の土着の諸宗教の影響も受けている。
宗教社会学者のマーク・マリンズ(Mark R. Mullins)は日本のキリストの幕屋やイエス之御霊教会を「メイド・イン・ジャパンのキリスト教」と名付けて、キリスト教の土着化の例として欧米に紹介した。死者に戒を授け仏弟子とする日本の仏教が「仏教の土着化」であるなら、先祖に洗礼を授けることも「キリスト教の土着化」になるかもしれないが、これはバプテスマや自発的信仰を重視するプロテスタントとの根幹にかかわることであり、異論もある。
櫻井義秀 は、こうした日本のキリスト教のマイノリティ教派を土着化の事例として認めるならば、韓国におけるキリスト教系新宗教も土着化の事例に相当するかもしれないと述べてる。宗教社会学的には、どちらも外来宗教の土着化と見なせる。櫻井は、但し、十字架上のイエス・キリストの血による贖罪を最終的な救済として認めるか否かでキリスト教と異端を分けることは、教派の神学としてはあり得るだろうと述べている。統一教会は、イエス・キリストは霊的救済のみに成功し、肉的救済はメシヤに託されたとしており、十字架上のイエス・キリストの死を最終的な救済とは考えない。
統一教会は、アメリカの保守的な宗教指導者・政治的指導者たちと連携を築き、これによって社会的存在感を確固たるものにしてきた[139]。文鮮明は、アメリカのキリスト教根本主義者ジェリー・ファルエル牧師が設立した私立のクリスチャン大学であるリバティ大学が経済的危機に直面した際に多額の資金援助をするなど、多くの保守派の活動に援助を行った。
発生の背景には、1930年代の韓国のキリスト教における神秘主義的な運動があり、独立後の朝鮮戦争を経た1950年代以降の韓国において生まれた、新宗教運動の潮流の一つである。その神学は、仏教、儒教、道教、シャーマニズム、さらに韓国のキリスト教の影響を受けており、西洋的文脈になじまない信念も見られる。宗教的コミュニオンへの家族的没入が統一教会の実践的規律になっている。
統一教会は、国別に機能を特化させる戦略をとっており、櫻井義秀 は、「宗教的競争力のなさを、政治・経済部門の事業多角化とグローバルな事業展開で乗り切ったことが、統一教会を成長させた最大の戦略的要因である」と述べている。
韓国では、宗教としてはシャーマニスティックなキリスト教祈祷院のメガチャーチというようなものであるが、むしろ多様で巨大な複合企業体と認識されており、経済活動や社会事業を行い、結婚に悩む農村部では結婚相談所のような役割も果たしている。
統一教会は初期から政治・経済領域に事業を拡大し、政権との間に宗教活動を政治的に庇護してもらう関係を構築し、このやり方は韓国と日本で成功した。異端視される宗教がこのような戦略に成功することは非常に珍しい。アメリカでは、保守政治や信教の自由を擁護する活動を積極的に行っており、ウェールズ大学のサラ・ルイスは統一教会の宗教間対話と平和志向の促進を評価し、統一運動の関連組織の主要な目的のひとつに、「異なる信仰を持つ人びとが出会い、信仰のうちに調和を見出せるようにすることがある」と述べている。
アメリカ進出当初、活発な活動で欧米のメディア及び研究者の注目を集め、宗教社会学の古典的業績のかなりの部分が統一教会の研究で生み出された。日本では、脱会者の証言に軸を置く批判的な研究や、現役信者の証言による教団像の研究はあったが、調査の範囲は狭い[75]。研究者が統一教会と適切な距離を保つことの困難さ、統一教会から研究者へのコントロールの懸念もあり、総合的な調査研究は非常に少ない。
カトリックの聖職者の減少を憂慮していたザンビア出身の大司教エマニュエル・ミリンゴ(英語版)は、2001年に韓国人鍼灸医師マリア・スンと合同結婚式で結婚し破門されかかった。ミリンゴはスンと別れて静かに暮らしてたが、2006年にワシントンでスンと共にカトリック教会における聖職者妻帯の認可を求め、4人の妻帯司祭を司教に任命し、自動的に破門された。
プロテスタントの日本基督教団牧師・宗教研究者の石井智恵美は、キリスト教を名乗ることについては、正統派キリスト教による根強い批判が見られると述べている。
カトリック神学者のネメシェギ・ペトロは、統一教会はキリスト教、特にカトリック的キリスト教とは本質的に異なる宗教であり、キリスト教に属する諸教会・教団の再統合を目指すエキュメニカル運動の対象外であると述べている。また、統一教会はキリスト教との関係という点で、マニ教と非常によく似ているという。(マニ教はサーサーン朝ペルシャのマニ(3世紀)を開祖とする二元論的な宗教で、統一教会と異なり性を忌むべき悪と見なしていたが、イエスを高く評価し、開祖マニこそが最終的な真理をもたらすものであり、自説が宗教・哲学・科学全ての問題を理性的に解決する真理であると主張し、人類の最終的な唯一の宗教にならなければならないと考え、信徒は世界的な布教を行い、強固な宗教組織を作り、社会生活においても互いに連帯していた。)
ネメシェギは、人間と悪魔が性交できるといった神話的な思想は絶対に排除しなければならないものであり、原罪の教えは人間の悪魔化についての教えではなく、この世の一切の悪いことは神の意志に適うものではなく、神との調和を取り戻すことで、神の助けによってそれらの一切を取り除くことができるという希望を抱かせる教えであると述べている。統一教会は、イエスの復活を認めないからこそ、その死の理解が間違っているという。
またネメシェギは、次のように批判している。『原理講論』は文鮮明が受けたという啓示を根拠にしているが、啓示の客観的根拠は本書では述べられておらず、その教説には誤りが多く、実際に神の啓示であるとは思われず、文鮮明が啓示であると思い込んだのは、若い時からかかわっていた神霊主義的現象や、朝鮮半島のシャーマニズムの影響であったかもしれない。また陰陽論を神に当てはめるやり方は、キリスト教神学と哲学が初めから支持してきた神の絶対的超越性、独立、自己充足性、純一性、自由についての教説とは一致しておらず、神の絶対的超越性を十分理解できていないからこそ、被造世界にみられる特徴をそのまま神に当てはめてしまっているという。
キリスト教の主流派における公式の教会会議や委員会の中には、統一教会の統一思想に反対し、キリスト教であるという主張に異議を表明したり、危険性を警告するものもある。
1975年には、フランスのカトリック司教協議会が統一教会の危険性について警告書を出している。パナマの司教会議も、同一の立場から統一教会の実態について述べる司牧書簡を発表した。
1976年には、ニューヨーク大司教区が、アメリカのユダヤ系委員会、全米教会会議と共に、統一教会は反キリスト教的・反民主的であるという共同声明を出した。
神学者の宮本久雄は、原罪とは、狭義には人間の神との関係の破綻、神と人間との生命的な関係の虚無化を意味しており、従って本来は、モラル規範への単なる違反や男女の性的欲求とは直接関係がないと述べている。日本では、日本カトリック司教団がカトリック信者向けに、「私たちは、一つの人間家族をつくり上げることの意義を否定するものではありませんが、この世界基督教統一神霊協会がキリスト教ではなく、ましてやカトリックでもないことを示し、キリスト教一致運動としてのエキュメニズムの対象にもなり得ない」ことを宣言し、その教えはカトリックの教えと明確に相反するため、統一教会のいかなる運動や会合などにも関与しないように注意を喚起している。
プロテスタントの日本基督教団は、教団として統一教会対策に取り組んでおり[147]、ジャーナリストの米本和広は、日本基督教団は総会で「統一教会を潰す」という決議を採択したと述べている。
日本福音同盟は統一教会はキリスト教ではないと表明し、様々な姿と紛らわしい組織体を持ち、それらを通じて多くの人々を勧誘し「マインドコントロール」していると断じ、その活動に憂慮を示している。
統一教会の信者は「高額でエンドレスな献金要求」がされることが問題になっています。 また献金以外にも販売活動や募金活動も行わなければなりません。
そして集金されたお金は韓国本部に送られて文鮮明への献金になっている と言われています。恐ろしい集金システムですね。
それに韓国の統一教会では寄付についてはそこまで要求されることがなく多額の寄付に追われるのは、世界中の統一教会の中でも日本の信者だけだそうです。
立正佼成会(りっしょうこうせいかい) は、霊友会から派生した日蓮系・法華系の新宗教である。文化庁『宗教年鑑 令和3年版』における信者数は、2,220,381人。立正佼成会は、すでに末期症状です。 青年部はいないし、ここ20年くらいは新しい会員もほとんど入っていません。若い人たちは、佼成会に魅力を感じることがなくなり、得るものがありませんから、どんどん去っています。教会に出てきた若手には、どんどんお役をつけて苦しませますから、すぐに来なくなります。喜びもなく、希望も感じられず、無理難題のお役を強引につけますから逃げて当然です。そんな教団のあり方に嫌悪して辞めているのに、教団の役員は気にもとめず、同じ過ちを繰り返しています。もう歯止めがききません。教団本部も教会長もたるんでいて、自分の私利私欲しか考えていません。仏教徒のくせに不飲酒戒などまったく気にもせず、教会でお酒を飲んではしゃぐ役員もいます。 青年部育成などと唱えていますが、掛け声ばかりで実際は誰も具体的に動かないので、青年部が集まる気配がありません。末期症状です。昔は、法座が命だと言っていましたが、今では、まともな法座のできる支部長がいません。質問者の悩みなどどこかに置いてしまって、自分のことばかりを話します。 縁起も四諦も六波羅蜜もきちんと把握できていないから、実のある法座などできるはずがありません。法座ができないので、手取りも導きも結びもできない支部長ばかりになってしまいました。支部長は、主任の動きには気をつけているはずですから、主任に悩みがありそうなら、声をかけてケアをします。お役を引きたい、教会を辞めたいと思う程、主任が深く苦しみ悩んでいるのに、そのことに気がつかない時点で支部長は失格です。人格完成・世界平和などと口では偉そうに言うのに、目の前の人の辛さは見抜けないのです。 悩みがあれば、法座で出すのが本来の姿です。一般会員ではなく、主任さんクラスの人がこのような知恵袋で悩みを相談していることに、僕は大きなショックを受けました。主任でさえが、安心して法座で本音を語れないのなら、何のための佼成会なのかが分かりません。質問者さんを責めているのではなく、悩みを持っている信者さんを見過ごすような、支部長・教会長など失格だと思います。そのような酷い状態なのですから、一日も早く主任のお役を引き、立正佼成会が嫌ならば辞めたほうがいいと思います。
2022-07-10
サンクチュアリ協会 文亨進氏来日『カルト集団と過激な信仰』あらすじ・感想〜統一協会(教会)との関係【安倍元首相銃撃事件】
昨日、安倍晋三元首相が遊説中に銃撃され、亡くなられてしまいました。
心からご冥福をお祈りいたします。
現在みなさまの心境はそれぞれかと思いますが、この事件がマスコミの印象操作で誰か(巨大な闇)の都合のいい方向に流されていくような気がしませんか?
日頃、陰謀論には興味がない私なのですが今回ばかりはそう思ってしまいます。
◇◇◇
以下、Amazonプライムビデオで数年前に見た番組の感想という形をとり、事件の山上容疑者が供述しているらしい<特定の宗教団体>の話を少ししていきたいと思います。
この作品の第五話に出てくる「世界平和統一聖殿」(サンクチュアリ協会[教会])。
この団体は「統一協会」(劇中では世界基督教統一神霊協会表記)の分派。
文鮮明が亡くなった後、七男の文亨進(ムン・ヒョンジン 劇中ではショーン・ムーン 米国生まれ)が自らが文鮮明の再臨主(後継者)だと信者を率いる団体です。
(※統一協会の名称は、1994年5月(日本では2015年8月)に「世界平和統一家庭連合」に変更されています)
◇◇◇
タイトルは「世界平和統一聖殿」ですが、山上容疑者が指す<特定の宗教団体>、つまり統一教会の成り立ちが紹介されており、合同結婚式の様子や、信者が多額の参加料を支払わなければならない仕組みが描かれているので興味のある方はぜひご覧ください。
◇◇◇
統一教会(現在の総裁は文鮮明の妻、韓鶴子)は宗教以外のビジネスでも成長
し、政財界にも影響力があります。
韓国では、食品、建設、不動産業、特にリゾート産業が強く財閥化しています。(統一グループ。勿論韓国以外でもビジネスを展開)
ヨン様でお馴染み「冬のソナタ」(2002年)に出てくるあのスキー場(龍平リゾート 別称:ドラゴンバレー)も同教団所有です。
下記新潮の有料記事に、文鮮明の死後後継者争いで揉めた件(骨肉の争い)、お金問題(多額の負債と凄い資産)、北朝鮮との関係が記載されています。いかに銭ゲバかというのがよくわかるのでご一読ください。
話は戻ります。
容疑者の供述によると、母親が宗教にのめり込み破産に追いやられ大学を辞めざるを得なく云々恨みが蓄積していたような感じで「もともとトップを殺そうとした」とのこと。
気になって調べてみると、6月26日の『異端・カルト110番』の記事を見つけました。
6月25日東京大会を皮切りに九州、関西、中部、北海道を縦断し、7月13日の「全日本歓迎特別集会in首都圏」まで2週間を超える日本大会を開催する計画である。
とのことです。
Twitterで確認したところ、実際に今(2022年7月10日)日本に来て居るそうです、、、。
容疑者の「もともとトップを殺そうとした」という供述もあながち嘘ではないかもしれませんが、、、
サンクチュアリ協会は武装教団。
聖書(ヨハネの黙示録)の『鉄の杖』を『銃器』と解釈しているのか、文顕進の頭には銃弾が並んだ王冠が乗せられ、合同結婚式を挙げているウェディングドレス姿の新婦と新郎は銃器を抱えています。
子どもにまでも銃を持たせ使い方を指導している大変恐ろしい団体です。
◇◇◇
昨年、前述の映像でサンクチュアリ協会のこの様子を知り、すっかり武装集団のイメージが記憶に刻まれ、今回の銃撃事件の犯人の様子を映像で見た私としては、素人が自分で銃器を作り数発で命中させることができるものなのか?
どこかで密かに特殊な訓練を積んだ人物なのではなかろうか?
と、頭の中が疑問符でいっぱいであれこれ結びつけてしまいましたが、私のようにそう思う人も大勢いると思います。
サンクチュアリ協会が今回の件でなにかをしたわけではないのに、すっかり印象操作をされています。
◇◇◇
統一協会と政治の繋がりその他諸々については、NHK党の黒川あつひこ氏が歌って踊らなくとも、殆どの国民が気づいてい当たり前のことかと思うのですが、、、
それにしても、なぜ、今だったのか???
なぜ、安倍氏だったのか???
誰が本当の加害者なのか???
◇◇◇
〜以上、本日はここまでとなります。
考えて学び知ることも弔いのひとつかな?と思い書いてみました。
いつもの如く事実がメディアによって封印されませんように。
収入財産に見合わない高額のお布施をむしり取る宗教が消滅しますように。
そういえば、楽天の三木谷氏はどこいったのでしょうか???
真の後継者は文信俊、文亨進の二人の馬鹿息子
シンプルに言うと寄付をすることで救われるしないと地獄に落ちるという教えですからしなければならないのでしょう。
しかし周りがいくら止めても信仰を持っているうちは止めないですし、自分のお金がなくなったとしても借金をしたりして親戚や知人と金銭トラブルになることも多いようです。
自分の親も統一教会員で、破産まではしていないが同じような状況にある。誰が何を言っても聞く耳持たない。
もう成人してから距離を置いているが、先日祖母が他界し、葬儀で親戚が、母が親戚からお金を借りたもらったと金銭トラブルが起きていたことが発覚。
母は親戚から縁を切られた。
実家に足を運ばなくなってから親戚付き合いもしていなかったが、恥すぎて自分ももう親戚と縁を切るしかないんだと、、
自分の親族親戚は誰もいなくなりました。
ヤフコメには↑のようなコメントがありました。
お金がなくなるだけではなく、借金をすることで親しい人から縁を切られて孤独になりより統一教会に負のループが起きるのではないかと思います。
「教団財産、どれほど残るのか…」 財産保全法案否決に被害者ら落胆
編集委員・北野隆一2023年12月5日 17時24分
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済のための法整備をめぐり、自民、公明、国民民主の3党が共同提出した修正法案が2023年12月5日、衆院本会議で3党と立憲民主、日本維新の会、共産などの賛成多数で可決し、衆院を通過した。包括的財産保全を可能とする立憲・維新両党提出の法案は否決。委員会審議を傍聴していた被害者や弁護士らが取材に応じた。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済のための法整備をめぐり、自民、公明、国民民主の3党が共同提出した修正法案が5日、衆院本会議で3党と立憲民主、日本維新の会、共産などの賛成多数で可決し、衆院を通過した。包括的財産保全を可能とする立憲・維新両党提出の法案は否決。委員会審議を傍聴していた被害者や弁護士らが取材に応じた。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士は「立維案が否決されたことは大変残念。可決された自公国案は被害者救済には役立ち得るが、限界がある」と語った。「教団の財産隠しを正面から防ぐには包括的財産保全が必要だ。参院の審議では包括的な財産保全の文言を法案に入れてほしい。また参院では参考人として被害者・弁護団の声を聞き、国会の記録に残してほしい」と求めた。
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牧原秀樹法相、旧統一教会の関連会合に秘書含め「37回出席」 閣議後会見で明かす
2024/10/8
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旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に関連し、牧原秀樹法相は2024年10月8日、閣議後の定例記者会見で教団や教団の関連団体のイベントなどに秘書の出席も含めて37回、「出席した」と明かした。
内訳は、教団主催イベントが3回で、教団の関連団体のイベントが34回。関連団体のイベントのうち牧原氏本人が出席したのは9回で、そのうち7回であいさつをし、1回は講演も行っていた。残る25回分は牧原秀樹法相の秘書が出席したという。
出席した経緯について牧原氏は「選挙のボランティアとして初出馬の時から応援を受けているが、地元の市議の後援会で選挙の責任者をしている人が関係のある人だった」として、教団からの応援との認識ではなかったと説明した。
閣議後の記者会見に臨む牧原秀樹法相=2024年10月8日午前9時20分、東京都千代田区の法務省、久保田一道撮影
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牧原秀樹法相は2024年10月8日の閣議後の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や、関連団体が主催する集会や会合に少なくとも計10回自ら出席していたと明らかにした。選挙支援も受けていたという。教団との関連を認識していなかったと釈明した。
牧原氏の説明によると、教団主催の行事に少なくとも1回、関連団体の行事への出席は9回で、計10回のうち9回は講演やあいさつをしていた。関連団体への出席は秘書らによる代理出席を含めると計34回確認されたという。「当時は(関連性を)認識していなかった」と説明した。
また、衆院選に初めて立候補した2005年以降、教団に関連する人物に「選挙ボランティア」として支援を受けていたと明らかにした。自身を支援する地方議員の選挙の責任者が、教団の関係者だったという。
自民党は2022年7月の安倍晋三元首相襲撃の直後に、所属国会議員と教団との接点を確認する調査を実施。牧原氏は、党が設定した回答期限の段階では「調査中」と回答したという。このため、党が同年9月に教団との接点が確認されたとして氏名を公表した議員の中に、牧原氏は含まれなかった。牧原氏は、調査の実施時期が海外出張と重なり、確認が間に合わなかったと釈明。2023年2月までに自身に関する調査結果を党に報告したと説明した。石破内閣で教団側との接点を認めた閣僚は、牧原氏で9人目。(久保田一道)
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岸田文雄首相が自民党政調会長だった2019年に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体トップと面会していたと複数の関係者が取材に証言している。これまでも複数の自民党議員に教団側との接点が明らかになっている。教団と自民党の関係とは。
Q 旧統一教会と自民党はどのような関係なのか 。
A 教団は遅くとも1960~70年代から日本の政界と関係を築いてきた。創始者の文鮮明(ムンソンミョン)氏が安倍晋三元首相の祖父、岸信介元首相と面会し、その後も岸氏の系譜を継ぐ派閥・清和政策研究会(現安倍派)との関係を重視した。
Q 安倍元首相との関係はどうだったのか。
A 安倍氏は、小泉内閣の官房長官だった2006年に教団の友好団体「天宙平和連合」(UPF)の会合に祝電を送った。21年9月にもUPFのイベントにビデオメッセージを寄せている。国政選挙では教団票を差配していたとも言われている。
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自民党と旧統一教会、共鳴の半世紀 岸信介元首相から続く歴史、これからもつづく・・
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VIDEO 興梠一郎氏に聞く最新ウクライナ情勢 中国が仕掛ける“分断”【日経プラス9】(2022年6月30日)
中露イランの急接近 これから世界で起きる3つの危機
佐々木伸 (星槎大学大学院教授)
イランのライシ大統領がこのほどロシアを訪問し、プーチン大統領と会談したほか、外国の首脳として下院で異例の演説を行った。ライシ師は米欧を激しく非難、ウクライナ問題で米欧と対決するプーチン氏にエールを送った。今回の訪問で米国と敵対する中露とイランによる3国枢軸が一段と鮮明に。「敵(米国)の敵は味方」という古典的な国際関係の構図が浮き彫りになった。
ロシアとイランは中央アジアにおけるアメリカ合衆国の政治的影響力の拡大を抑制することに共通の利害を持つ。 この結果、イランは2005年には上海協力機構オブザーバー国となった。 中国とロシアの主導する上海協力機構への参加は、1979年以来イランが有した外交関係でももっとも広範なものといえる。
イランのライシ大統領(エブラーヒーム・ライースィー) ライシ師は国内経済を追い込む米制裁の全面解除を改めて要求。反米の保守強硬派政権の誕生に欧米が警戒を強める
最新鋭戦闘機と地対空ミサイルを売却か
両首脳の会談は2022年1月19日に行われた。訪問に当たってはイランの最高指導者ハメネイ師がプーチン氏に書簡を送り、お膳立てをしたとされる。プーチン氏は新型コロナウイルス感染を警戒して対面の会談には慎重だったが、6メートルの長テーブルを間に介しての会談となった。
両国の発表などによると、プーチン氏はシリア内戦やアフガニスタン危機などでのイランとの協力を指摘、米国との核協議に関しては、イランの立場を知ることが重要だと述べた。これに対し、ライシ師はイランが40年も米国に抵抗してきたことに言及、「イランとロシアが共闘して米国に立ち向かう時だ」として、両国の連携強化を強調した。
ライシ師は20日にはロシア下院で演説、「北大西洋条約機構(NATO)がさまざまな口実を使って独立国家に侵入を図っている」と米欧を非難し、ウクライナ侵攻も辞さないとするプーチン氏を援護射撃した。外国の首脳が下院で演説するのは極めて異例。プーチン氏がライシ大統領を歓迎し、厚遇した証と受け取られている。
首脳会談での具体的な合意については公式的には発表されていないが、今年で期限切れとなる「経済・安全保障協力協定」の枠組みを更新することで一致したという。特に安全保障面では、ロシアがイランに対し100億ドルに上る兵器売却で合意したとされ、イランが強く求めていた最新鋭戦闘機SU35や地対空ミサイルS400も含まれている模様。
イランは核協議が不首尾に終わった場合、不倶戴天の敵であるイスラエルが核施設などに軍事攻撃を仕掛けてくると警戒しており、SU35、S400ともイスラエルに対する強力な抑止力になると見られている。イスラエルはロシアと良好な関係を維持しており、今後、イランへの兵器売却を思いとどまるようロシア側に働きかけることになるだろう。
新協定のモデルになったのはイランが昨年3月に中国と締結した戦略協定だ。
中国がイランのエネルギー、通信、交通などの分野に総額4000億ドル(約44兆円)を投資するのと引き換えに、イラン原油を安価で安定調達するというのが骨子。制裁で苦しむイランにとっては国益にかなう協定だ。イランはロシアからの兵器購入費約100億ドルの支払いについては、中国からの石油代金の未回収分でまかなうのではないかと観測されている。
世界の対立軸が収れん
イランとロシアによる関係強化により、世界の対立軸はこの2カ国に中国を加えた「反米枢軸」と「米国連合」という図式に収れんしつつある。とりわけ、米国の制裁に対抗しようとするイランの動きが目立つ。イランは昨年9月、ライシ師がタジキスタンで開催された「上海協力機構(SCO)」首脳会議に出席、機構への正式加盟が承認されたが、これもそうした動きの一環だ。
SCOは中国とロシアが主導し、8カ国で構成。オブザーバーで参加してきたイランは9番目の加盟国となる。プーチン氏にとってもイランとの関係強化を世界に見せつけることはプラスだ。
同氏には、旧ソ連圏諸国で構成する「ユーラシア経済同盟」にもイランを引き入れたい思惑があり、ブロックを固めて米欧と対決していくハラのようだ。米国との関係が最悪の状態にある中国にとってもイランと連携することは米国をけん制する上で戦略的に役に立つ。
こうした「反米枢軸」に対し、同盟国に相応の役割分担を求めるバイデン政権も「米国連合」の構築にまい進してきた。中国の勢力拡大に対抗するため昨年9月、米英豪の3カ国による新たな安保枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設。さらに日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」を活性化、米英豪加ニュージーランドの英語圏5カ国による機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」の結びつきを強めた。
バイデン政権が同盟国との関係を強化しているのは米単独で「反米枢軸」と対峙していくのは財政的に耐え切れなくなり、応分の負担を要求せざるを得ない、というのが実情。特に日本は対中、対ロシアの最前線に位置し、同政権にとっての日本の存在価値は格段に上がった。今後も日本が米戦略にさらに組み込まれていくだろう。
風雲急の〝3つの危機〟
バイデン政権が直面する対外的な難問は中国による台湾侵攻の懸念、ロシア軍のウクライナ侵攻の脅威、イラン核合意の破綻――という〝3つの危機〟だ。
特にウクライナ情勢は23日、米国務省が在ウクライナ米大使館職員の家族に国外退去を命じ、ロシアとウクライナへの渡航警戒レベルを最も厳しい「渡航中止」に引き上げたほど緊張が高まっている。米高官は「ロシアの軍事行動はいつでも起こり得る」と警告している。
ウイーンで続けられてきたイラン核合意の再建交渉は昨年末に再開したものの、制裁の解除が先決とするイランと、核合意の順守を要求する米国との隔たりは大きく、進展は見られていない。一方で、イランは核開発を続行しており、このままでは核保有にさらに近づくのは確実。イスラエルによる軍事攻撃の可能性が高まり、イラン危機が再燃するのに多くの時間を必要としないだろう。
イランが核協議での支持を得るため、また米制裁による経済悪化に歯止めを掛けるため、合意の当事者であるロシアや中国に接近するのは当然の帰結であり、米国と対立する中国やロシアにとってもエネルギー資源豊富なイランを陣営に引き入れることには大きなメリットがある。
中露とイランは3カ国枢軸を誇示するようにこのほど、ペルシャ湾の外側のオマーン湾付近で海軍の合同演習を実施した。 〝3つの危機〟が3カ国枢軸と米国連合の対決の中でどう展開するのか、国際情勢は風雲急を告げている。
“イランがロシアに数百機の無人航空機 供与の準備か” 米高官
2022年7月12日 10時14分
アメリカ・ホワイトハウスの高官は、中東のイランがウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し、数百機の無人航空機を供与する 準備をしているという見方を示しました。
アメリカ・ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は、11日の記者会見で「われわれが得た情報では、イラン政府がロシアに対し、武器を搭載できるものを含めた数百機の無人航空機を供与する準備をしていることを示唆している」と述べました。
サリバン補佐官は、これらの無人航空機について、すでにロシア側に提供されているかどうかは確認できていないとしていますが、イランがロシア軍に対して、今月中にも使用方法の訓練を始めるという見方も示しました。
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は先月、訪問先の中央アジアでイランのライシ大統領と会談し、ともに欧米と対立し、経済制裁を受ける両国の結束を強調しています。
サリバン補佐官は、ロシアがイランに軍事支援を頼る状況について、ロシアがウクライナでの戦闘で武器を失っていることを示すものだとして、引き続きアメリカとしてウクライナへの支援を続けていく考えを示しました。
ロシア ウクライナに軍事侵攻(12日の動き)
2022年7月12日 9時27分
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる2022年7月12日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ロシア ドイツに天然ガスを送るパイプラインの供給停止
ロシアからドイツに天然ガスを送る主要なパイプライン「ノルドストリーム」は、2022年7月11日から定期的な点検を理由に供給を停止しました。
ロシア側が経済制裁を科すドイツに揺さぶりをかけるため、点検終了後も供給を再開しないのではないかとの懸念が広がっています。プーチンお得意の揺さぶって相手の出方を見て、因縁をつけてから制裁をしてくる「欺瞞作戦」だ。
ノルドストリームはロシアからバルト海の海底を通ってドイツにつながる現在、ヨーロッパ最大規模の天然ガスパイプラインです。
このパイプラインを運営するロシアの国営ガス会社ガスプロムは2022年7月11日から定期的な点検を理由にロシアからドイツに向けた天然ガスの供給を停止しました。
点検は2022年7月21日までの予定だとしています。
このパイプラインを巡っては、先月2022年6月ロシアからの供給量がおよそ60%削減されました。
ドイツ政府は暖房需要が増える冬に向けて十分な量を備蓄できないとして、国民や企業にガスの節約を求める異例の事態となっています。
こうしたことから、今回の定期点検についてもロシア側が経済制裁を科すドイツに揺さぶりをかけるため、点検終了後に供給を再開しないのではないかとの懸念がドイツでは広がっています。
ドイツ政府の担当者は、2022年7月11日の定例の会見でパイプラインの点検について「本来は再開されるものだが、どうなるか予測はできない」と述べるにとどめました。
ドイツはエネルギーの脱ロシアを進めていますが、天然ガスの輸入に占めるロシア産の割合はことし4月時点で依然、35%を占めています。
ロシア プーチン大統領とトルコ エルドアン大統領 電話で会談
ロシア大統領府は2022年7月11日、プーチン大統領がトルコのエルドアン大統領と電話で会談したと発表しました。
それによりますと、両首脳は、トルコが、国連とともに仲介役として、調整しているウクライナ産の穀物の黒海での海上輸送について、協議したということです。
農業大国ウクライナの南部の黒海に面する港ではロシア軍による封鎖によって穀物の輸出ができない状況が続いています。
これに対し、トルコ大統領府も、エルドアン大統領が「今こそ黒海での穀物輸出の計画に向けて行動を起こすときだ」と強調したとしています。
一方、ロシア大統領府は、今回の電話会談の中で「両首脳は、近い将来の首脳会談を前に課題について協議した」として、首脳会談への調整が進んでいることを明らかにし、プーチン大統領が、ウクライナ情勢の仲介役のエルドアン大統領と直接、会談に臨むかどうかも注目されます。
エルドアン大統領はこの日、ウクライナのゼレンスキー大統領とも穀物の輸出などをめぐり、電話で会談したとしていて、ロシアとウクライナの停戦交渉に、積極的に関与する姿勢を改めて強調しています。
ロシア軍 東部ドネツク州 ハルキウ州を攻撃
ロシア軍が侵攻するウクライナ東部のドネツク州では、ウクライナ側の拠点、クラマトルシクから30キロほど南東の町で、5階建ての集合住宅がミサイルで攻撃され、ウクライナの非常事態庁は、これまでに31人が死亡したと明らかにしました。
ロシア軍は東部ハルキウ州でも攻撃を続けていて、地元の州知事は2022年7月11日、「ロシア軍がハルキウ市内のショッピングモールや集合住宅などを攻撃した」と投稿し、地元の検察当局によりますと、これまでに6人が死亡したとしていて市民の犠牲が広がっています。
また、ロシア国防省は2022年7月11日、東部ドニプロペトロウシク州で巡航ミサイル「カリブル」を発射して、アメリカがウクライナ軍に提供した高機動ロケット砲システム=ハイマースなどを破壊したと発表しました。中東のイランがウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し、数百機の無人航空機を供与すると発表しました。ドイツはパイプラインを停止され、ウクライナへの武器供与はできなくなる模様。ゼレンスキーが信頼しているイギリスもジョンソン首相が辞任したので、ますますプーチン有利になってきている。後はアメリカが頑張るしかない。
一方、イギリス国防省は2022年7月11日、ロシア軍が兵士に対して休息の計画が欠如し、身体面や精神面での負担を訴えることが相次いでいると分析しています。
ゴットランド対カリーニングラードンの戦いが始まろうとしている!
ゴットランド島では軍事的な警戒が強まっています。
スウェーデン軍の傘下には地域を守るためのボランティアの市民兵がいますが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、急きょ追加で数週間の訓練を受けることが必要となりました。市民兵となっているのは、ふだんは会社勤めをしている人や子育て中の人など、普通の市民です。取材で演習場を訪れた時には、そうした普通の市民が銃を持って林の中を駆け抜け、腹ばいになって射撃を行うなど、実践的な訓練を繰り返し行っていました。プーチン政権は、最新鋭の地対空ミサイルシステム「S400」を配備するなど、NATOに対抗するための重要な戦略拠点であるカリーニングラードでの軍備増強を進めてきました。
5月上旬、バルト艦隊の部隊が短距離弾道ミサイルの模擬発射訓練を行った と明らかにしたほか、「スウェーデンとフィンランドがNATOに加盟すれば、当然ロシアは国境を強化しなければならない。地域の非核化はありえない」などと、核戦力をちらつかせて警告するなど、北欧2か国のNATO加盟への動きに反発を強めています。
ロシア、オデッサ商業港を攻撃 ウクライナと穀物輸出合意の翌日
「わずか24時間後にロシアは約束を破った」と批判した。
2022年7月23日 掲載
【キーウ共同】ウクライナ軍は2022年7月23日、南部オデッサの商業港がロシア軍のミサイル攻撃を受けたと発表した。 両国代表は2022年7月22日に、ロシアの黒海封鎖でウクライナ産穀物の輸出が滞っている問題を受け、トルコ・イスタンブールで輸出再開と航路の共同監視を柱とする合意文書にそれぞれ署名したばかりだった。合意では、オデッサなど計3港から穀物を運び出し、両国は商船や民間船、関連する港湾施設にいかなる攻撃も行わないとしていた 。合意はトルコと国連が仲介した。国連のグテレス事務総長も報道官室を通じ、攻撃を「明確に非難する」との声明を発表し、合意履行を関係国に求めた。国連は手も足も出ない状況になった。
イスタンブールでロシアと穀物輸出再開の合意に調印した翌日の攻撃を国連事務総長は強く非難している。
オデッサ当局は声明を出し「敵は巡航ミサイル『カリブル』でオデッサ港を攻撃してきた 」と主張。「うち2発は撃墜したが、2発は港のインフラを破壊した」と明らかにした。
ウクライナ外務省報道官は「合意の達成に大変な努力を注いでくれた国連のグテレス事務総長とトルコのエルドアン大統領の顔に、ロシアのプーチン大統領は唾を吐いた 」と批判した。「合意を履行できなくなれば、世界の食料危機悪化の全責任をロシアが負うのだ」と訴えた。(ロシアは、シリアへロシアの船で小麦をタダで2回運ばせていた。)国連のハク事務総長副報道官も声明を出し「国連事務総長はオデッサ港攻撃を明確に非難する」と発表。「ロシア、ウクライナ、トルコによる合意の完全な履行は必須だ」と呼び掛けた。トルコのアカル国防相は「このようなことが合意の後に起こり、懸念している」と発言。「ロシア側はわれわれに、今回の攻撃に全く関係しておらず、詳しく調べていると話した」と明らかにした。 (ロシアよ!もっと分かりやすい嘘は、他になかったのか?) 欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)はツイッターに「イスタンブールでの調印から一夜明けたら穀物輸出の中心施設を狙って攻撃した」と書き込んだ。「ことさら非難に値する。国際法も国際的な約束もロシアは完全に無視することがまた示された」と強く非難した。「またまたロシアのプーチンに騙された」と強く非難した。
【ワシントン=坂口幸裕】ブリンケン米国務長官は2022年7月23日、ロシア軍がウクライナ南部オデッサの商業港をミサイル攻撃したことを「強く非難する」声明を発表した。両国は2022年7月22日に黒海を経由したウクライナ産穀物の輸出再開で合意したばかりで「わずか24時間後にロシアは約束を破った」と批判した。 合意の完全な履行を要求した。2022年7月22日の合意では、ウクライナの港から穀物などを運ぶ船が通る「回廊」を設けて貨物船や港に攻撃しないと確認した。声明ではロシアの行為について「協定に対するロシアの責任の信頼性に重大な疑問を投げかけ、食糧を世界に供給するための国連、トルコ、ウクライナの活動を台無しにする」と断じた。ブリンケン氏は「ロシアは黒海の封鎖でウクライナ経済と世界の食糧供給を阻害しようとしている」と指摘。「ロシアは世界の食糧危機を深刻にさせた責任を負っている。ウクライナ侵攻を停止し、合意を完全に履行しなければならない」と求めた。
ザポリージャ原発への攻撃、IAEAが非難 「災害が起こるリスク」
ウクライナ情勢
2022年8月7日 10時44分
国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)は6日、ウクライナ中南部ザポリージャ原発 が5日にロシアによって攻撃されたことについて、「原発災害が起こるリスクをはっきり示している」として、同原発への攻撃や同原発からの攻撃をただちにやめるよう呼びかけた。グロッシ事務局長が声明を出して訴えた。
同原発は欧州最大の出力を誇る。現在はロシア軍が占拠 し、ウクライナ人職員が運転している。
グロッシ氏は、ウクライナ側から得た情報として、原子炉そのものは損傷しておらず、放射性物質の飛散も確認されていないとした。ただ、敷地内のその他の場所が被害を受けたという。
グロッシ氏は、同原発の安全確保のため、IAEA専門家の現地派遣が「極めて重要」だと指摘した。
ロシア併合問う住民投票、ザポリージャ州で実施へ…親露派トップが署名
読売新聞 2022/08/09 10:36
ウクライナ南部
ザポリージャ原子力発電所を脅しに使ってロシア化しようとたくらむ。 【ワシントン=田島大志、キーウ=工藤彩香】タス通信によると、ロシア軍が約60%の地域を占領しているウクライナ南部ザポリージャ州 の親露派トップは8日、同地域のロシアへの併合の是非を問う住民投票 を実施する命令に署名した。
実施時期は明らかにしていないが、南部戦線の攻防が激化している中、ロシア側が同州で支配の既成事実化を進める狙いとみられる。
露軍が占拠するザポリージャ原発 では3日連続で砲撃が続いた。市民による激しい抵抗運動が起きているメリトポリでは、市長がSNSで8日夜に大きな爆発が10回あったと伝えた。
一方、コリン・カール米国防次官は8日の記者会見で、ウクライナへの侵略開始後、ロシア軍の死傷者が7万~8万人に上るとの見方を示した。露軍が装甲車両を3000~4000台失ったとの分析も説明した。
カール氏は、露軍は巡航ミサイルや精密誘導弾の不足も露呈しているとし、「米国が主導する国際的な輸出規制により、軍事装備を取り戻すことが難しくなっている」と指摘した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は8日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)のインタビューで、西欧諸国に対し、全ロシア市民の入国を拒否する制裁を実施するよう呼びかけた。また、ビル・クリントン米元大統領とビデオ会談し、露軍によるザポリージャ原発 への砲撃に、国際社会の関心 がさらに高まるよう協力を求めた。
侵攻初日の2月24日に北部のチェルノブイリ原発、約1週間後の3月4日に中南部のザポリージャ原発を占拠した。最近ではロシア軍がザポリージャ原発の施設内に兵器を運び込み、ウクライナ側の反撃に備える動きも出ている。チェルノブイリ原発は現在、発電していない。このため、電力源を押さえる目的ではなく、首都キーウ(キエフ)への進軍途中にある重要施設として掌握したとみられている。3月下旬には、ロシア軍がチェルノブイリ原発周辺で大量の弾薬を輸送・保管しているとウクライナ政府が発表した。「ウクライナ軍は原発周辺を攻撃できない。ロシア軍はこれを利用し、一帯を弾薬の集積場所や司令部の拠点として使っている」。ウクライナ軍参謀本部は当時、SNSでこんな見方を示していた。
ウクライナ侵攻34、29日~8月5日(日本時間)の動き
2022年8月5日 8時19分
ウクライナ東部ドネツク州トレツクで4日、公共交通機関の停留所付近に砲撃があり、民間人ら8人が死亡し、4人が負傷しました。中部ドニプロペトロウスク州ニコポリでは同日、住宅地に計60発の砲弾が撃ち込まれ、1棟が全壊し、50棟が被害を受けました。ロシア軍の無差別攻撃はやむ気配がありません。
EU、親ロシア派のヤヌコビッチ氏を制裁リストに追加
欧州連合(EU)は4日、元ウクライナ大統領で、親ロシア派のヤヌコビッチ氏(72)を制裁リストに加えると決めた。ロシアの侵攻で、ウクライナのゼレンスキー政権が転覆するとにらみ、大統領に再び就こうと画策した、としている。加盟国の閣僚で作るEU理事会で決定した。
EUの発表によると、ヤヌコビッチ氏はロシアに居住。今年2月の侵攻当初、兵力差でロシアが圧倒するとみて、ゼレンスキー大統領にとってかわることをめざしていたという。
ヤヌコビッチ氏は2010~14年に大統領を務めた。14年2月、首都キーウ(キエフ)の独立広場で親ロ派政権に抗議する市民が治安部隊と衝突。ヤヌコビッチ氏は逃亡し政権が崩壊した。
02:00(アンカラ4日20:00)
穀物輸出船「ウクライナから新たに3隻出港」トルコ国防相
トルコのアカル国防相は4日、ロシアによる黒海封鎖でとどまっていたウクライナからの穀物輸出をめぐり、新たに3隻の貨物船が5日にウクライナから出港すると明らかにした。トルコのアナトリア通信が伝えた。
黒海を経由する食料輸出は1日、国連とトルコが仲介した合意に基づき、1隻目がウクライナ南部オデーサ港から出港した。
アカル国防相は、5日に出港する3隻がどの港から発つかは明らかにしなかった。
「ウクライナの子供死ぬべきだった」 ロシア司会者発言、大問題に
2022年10月25日
ロシア国営テレビRTの司会者が、ウクライナの子供を「溺死」「焼死」させる必要があったと番組で発言し、国内外で大問題となっている。ロシア国営テレビRTのシモニャン編集長は2022年10月24日、この司会者の出演を打ち切ると表明。ロシア連邦捜査委員会のバストルイキン委員長も調査を指示した。
司会者は親政権派のアントン・クラソフスキー氏。2022年10月20日の番組で、子供時代にウクライナで反ロシア的な言葉を受けたという作家に対し、そんなウクライナの子供たちは死なせればよかったと暴言を吐いた。
ウクライナのクレバ外相は2022年10月23日、「ロシア国営テレビRTを世界中で禁止すべきだ」と猛反発した。シモニャン氏らの批判を受け、クラソフスキー氏は謝罪。ただ、今月2022年10月10日にウクライナ全土がミサイル攻撃された際も、踊って喜ぶような動画をソーシャルメディアに投稿し、物議を醸していた。
ロシア国営テレビRTの番組で、ウクライナの子どもたちを焼くよう呼び掛けて物議を醸していた司会者
アントン・クラソフスキー(Anton Krasovsky)氏(47)。ロシア政府支持派で、西側諸国から制裁を科されている。問題のコメントは先週の番組内でのもので、ソーシャルメディアで批判が相次いでいた。
番組のゲストが、1980年代のソビエト時代にウクライナを訪問した際の体験として、現地の子どもたちはウクライナがロシアに「占領」されていると話していたと語ると、クラソフスキー氏は「そんなやつらは水死させるべきだった」「そんな子どもたちは田舎小屋に押し込んで焼けばよい」と言い放った。
ウクライナのドミトロ・クレバ(Dmytro Kuleba)外相は2022年10月23日、ロシア国営テレビRTが「ジェノサイド(集団殺害)を扇動」していると非難。同局を「世界中で禁止」するよう訴えた。
ロシア国営テレビRTのマルガリータ・シモニャン(Margarita Simonyan)編集長はロシアによるウクライナ侵攻を強く支持してきたが、2022年10月23日深夜にメッセージアプリのテレグラム(Telegram)で行った投稿では、クラソフスキー氏の発言を「野蛮で不快極まりない発言」と非難し、同氏の番組出演を停止すると発表。翌2022年10月24日には、残虐行為の呼び掛けへの反対も表明した。
クラソフスキー氏は同じくテレグラムに、自身の発言に「ぼうぜんとしたすべての人たちにおわび申し上げる」と投稿。シモニャン氏と、自身の意見を「野蛮であり得ない」と感じたすべての人たちに謝罪するとした。
重大な犯罪を調査するロシア連邦捜査委員会(Investigative Committee)は、視聴者からの苦情を受けて本件の捜査を命じたことを明らかにしている。
クラソフスキー氏は過去にも放送中に、ウクライナは「存在するべきではなく、存続させないためにわれわれは手を尽くしている」と発言していた。(c)AFP
ロシア放送「われわれを批判したウクライナの子どもは川に投げ込まなければ」発言で炎上
ⓒ 中央日報日本語版2022.10.24
ロシア国営放送のあるパーソナリティが放送の途中で1980年代にウクライナの子どもたちが自国を非難したという話を聞いて「子どもたちを川に落として殺すべきだった」と発言して議論が起きている。
ロイター通信などが23日に伝えたところによると、ロシア国営放送局RTでパーソナリティを務めるアントン・クラソフスキー氏は先週自身が進行した番組でゲスト出演したSF作家のセルゲイ・ルキヤネンコ氏との対談中に問題の発言をした。
放送でルキヤネンコ氏は1980年代にウクライナ西部を訪問した際に病院で会った子どもたちが「ロシアがウクライナを占領しなかったならウクライナはもっと良い暮らしをしていただろう」と話したと伝えた。するとクラソフスキー氏は「その子どもたちはティシナ川に落として殺すべきだった」と話した。
彼はまた、ロシアを批判したウクライナの子どもは溺死させたり小屋に入れて燃やしたりできるともした。
クラソフスキー氏は普段から好戦的な言動で有名な極右性向の人物で、欧州連合(EU)の制裁リストにも上がっている。
ソーシャルメディアではクラソフスキー氏がウクライナを侵攻したロシア軍が性暴力犯罪を行っているというニュースを見て笑う姿を収めた映像も出回っているとロイター通信は伝えた。
ウクライナのクレバ外相はツイッターで問題の放送の動画をシェアしまがら「まだRTを禁止していない国はこの放送を見なければならない。あなたの国でRTの放送を許可するということはこの放送内容を支持するという意味」と批判した。
議論が拡散するとRTはこの日クラソフスキー氏の発言に問題があるとしながら彼との契約を中断すると明らかにした。
RTのマルガリータ・シモヤン報道局長はテレグラムのアカウントに上げた声明で「クラソフスキー氏の発言は激しくおぞましい」と非難し「私をはじめとするRTのチームはわれわれのうちだれかがそうしたとんでもない言葉を共有できるという考えすらできない」と明らかにした。
アフガン元特殊部隊員を勧誘か ウクライナ参戦へ高額報酬提示 ロシア
2022年10/28(金)
米誌フォーリン・ポリシー(電子版)は2022年10月27日までに、アフガニスタンのイスラム主義組織タリバン暫定政権に追放された民主政権の元特殊部隊員らが、ロシアのウクライナ侵攻に参戦するよう勧誘されていると伝えた。アフガンでは旧ソ連による侵攻の記憶から反ロシア感情が根強いが、プーチン政権に近い民間軍事会社「ワグネル」が高額の報酬を提示しているとみられるという。
昨年2021年夏にタリバンが全権を掌握した際、民主政権側は「報復」の標的とされるにもかかわらず、撤収する米軍は希望者を退避させられなかったといわれる。元隊員らは米軍の高度な訓練を受けており、参戦が現実となれば、ウクライナを支援する米国にとって皮肉な事態となる。
同誌の取材に応じた元隊員は「(同僚たちは)国も仕事も将来もなく、失うものがない」ことから、最大1万人が勧誘に応じる恐れがあると警告。周辺国で日給3~4ドル(約440~590円)の仕事を待つ元隊員が、ロシア側に立って戦う見返りに「1000ドル(約14万6000円)を提示されたら、拒否しないだろう」と語った。
その上で、プーチン政権に近い民間軍事会社ワグネルの暗躍を許すくらいなら「ウクライナ側で戦うよう、西側諸国が活用する方がいい」と主張。約10年に及んだ旧ソ連による泥沼の侵攻を念頭に「(アフガン人は)ロシア人のために戦いたくない。ロシア人は敵だ」と強調した。
プーチン政権に近い民間軍事会社ワグネルは、プーチン大統領に近い実業家プリゴジン氏が創設 。ロシア人だけでなく中央アジア諸国出身者も戦闘員として募集し、労働移民や受刑者も勧誘の対象にしていると伝えられている。
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極超音速兵器を共同開発 中国に対抗、抑止力向上図る―米英豪
2022年04月06日06時51分
【ワシントン時事】米国 と英国 、オーストラリア 3カ国の首脳は2022年4月5日、3カ国安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」 の新たな取り組みとして、極超音速兵器 を共同開発すると表明した。中国やロシアが先行する同兵器の開発競争で巻き返しを図り、インド太平洋地域での抑止力向上を目指す。ホワイトハウスなどが発表した。
最高位の軍事秘密の塊なので日本は「AUKUS(オーカス) 」には入れない。
米英豪の首脳声明によると、極超音速と電子戦に関連した兵器の開発に共同で当たる。声明は「これらの取り組みがサイバー能力や人工知能(AI)、量子技術、潜水能力に関する協力を深化させる 」と強調した。
米英豪 3カ国は昨年2021年9月に立ち上げたオーカス の枠組みを通じ、豪州の原子力潜水艦建造で協力 を進めている。中国は「深刻な懸念」を表明しており、極超音速兵器の共同開発についても中国敵視策だとして反発を強めそうだ。
一方、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は2022年4月5日、昨年9月に続き外気吸入型の極超音速巡航ミサイル(HAWC)の飛行実験に成功したと発表した。DARPAは一連の実験成功に関し「技術的成熟度を高めた」と説明した。
極超音速兵器とは、 音速の5倍以上の極超音速で飛行するミサイル兵器。弾道ミサイルから分離された弾頭(滑空体)が標的まで滑空・飛行する「極超音速滑空ミサイル」と、スクラムジェットエンジンなどの技術を利用した「極超音速巡航ミサイル」がある。
いずれも弾道軌道ではない低い軌道を飛び、高い機動性を誇ることから、現行のシステムでは探知や迎撃が困難とされる。中ロが開発に力を入れている ほか、北朝鮮も2021年9月に極超音速ミサイル「火星8」の初の発射実験を実施したと公表した。(時事)
「2019年 グリーンランド編」
アメリカが何と言おうと、中国に頼るグリーンランド 氷上の一帯一路(債務の罠外交)
世界のレア・アースを握る中国 影響は日本にも
山本隆三 (常葉大学名誉教授) 2019年9月4日
13年前に公開された地球温暖化対策を訴える映画『不都合な真実』は、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を受賞し、大きな話題になった。地球温暖化問題の啓発に貢献したことから、映画の主人公を務めたアル・ゴア元米副大統領はノーベル平和賞も授与された。映画の中ではゴア元副大統領は非常に説得力のあるスピーチを行っている。映画公開後彼のスピーチを生で聞く機会があったが、それほど迫力はなかった。映画では上手な編集作業が行われているのだろう。映画の中で世界最大の島グリーンランドの氷河、氷床が全て溶融すると地球の海面が20フィート(6メートル)上昇する話題が登場する。環境省によると海面が1メートル上昇すれば、東京都の東部は海面下になるとされている。1.2メートルで米国東部の平野部も海面下になるらしい。6メートル上昇すれば、日本、世界の多くの都市は海面下になるだろう。かなりセンセーショナルだが、海面上昇がいつ起こるのか映画は触れていない。
押し寄せる中国の投資家
中国の投資家が、鉱物資源開発をめぐって、グリーンランドに押し寄せている。大きな資源が存在すると長く言われながらも、これまではグリーンランドの資源開発を阻む障害が存在した。ごく最近まで氷床が資源豊かな大地を覆い尽くし、しかも、ウランの掘削が禁止されてきたからだ。潤沢なウラン資源と混在する形でレアアースその他の資源が存在するため、事実上、すべての鉱物資源開発ができなかった。だがいまや氷床は溶け出し、グリーンランド自治政府はウラン掘削を禁止する法律を撤廃している。資源開発に異を唱える人はいない。だが、ウランが掘削されることを現地の多くの人が心配している。注意深く掘削しなれば、ウラン掘削によって土地や水が数世代にわたって汚染されるリスクがあるからだ。・・・
中国が押さえるグリーンランドの資源
温暖化が進むことでグリーンランドの氷が溶融すると、経済的には様々なメリットが出てくる。農業を行うことが可能になるし、原油、鉄鉱石、銅、金、ダイヤモンド、レアアースなど豊富にあるとされる鉱物資源の採掘が容易になる。既に、南東部において、金、ルビー、ピンクサファイアの採掘が数年前から開始されている。グリーンランドの近くにある国はカナダ、北欧、ロシアなど多いが、早くからグリーンランドの資源に目を付けていたのは中国だった。 昨年1月には自称「北極圏近傍国家」として初の北極圏白書を発行した。
2009年、デンマーク領であるグリーンランドの自治権が拡大され、外交と防衛を除き、鉱業権を含めグリーンランド自治政府が権利を持つことになった。中国はその直後からグリーンランドの鉱物資源調査を行い、その後中国企業が鉄鉱石鉱山開発プロジェクトに関心を示した。さらに、現在は世界第2位の埋蔵量を持つとされるレアアース鉱山の開発に中国政府系企業が関与している。
中国への対決姿勢を強めているトランプ大統領がグリーンランド購入意思を8月中旬に示したが、グリーンランドは自治領なのでデンマークが売却を決定するものではなく、グリーンランドの住民が帰属を決めることになる。デンマークの首相は「馬鹿げている」とコメントし、前首相は「エープリルフールの時期ではないけど」とコメントしたが、グリーンランド自治政府キム・キールセン首相も「グリーンランドは売り物ではないが、米国を含む他国との貿易、協力関係には開かれている」とコメントしている。
グリーンランドの豊富な鉱物資源に目をつけ既に開発に乗り出している中国のさらなる進出を警戒するトランプ大統領が、グリーンランドを欲しがるのも無理はないかもしれないが、既にグリーンランドとの関係を深めつつある中国に追いつくのは簡単ではなさそうだ。
海面上昇は7メートル?
今年1月米国科学アカデミー紀要に掲載されたグリーンランドでの氷の溶融に関する論文によると、溶融の速度は2002年から03年にかけ転換点を迎え、2003年との比較で2012年までに4倍になっているとのことだ。日本の約6倍の面積があるグリーンランドの80%を覆っている氷の厚さは最大3キロメートルあるとされるが、2002年から16年まで年平均2800億トンの氷が溶融している。
米国フロリダ州とニューヨーク州を合わせると日本の約80%の広さがあるが、両州を人の腰の高さまで満たす量になる。15年間の溶融量が全て海に流出しているならば、世界の海面を1センチメートル上昇させたことになる。
今年の夏欧州は熱波に襲われたが、熱波は欧州からグリーンランドに達し、7月29日、30日にかけ異常な気温上昇がグリーンランド中心部に位置するサミット観測所で観測された。29日には11時間以上零度を上回った。8月3日にかけ気温は、1981年から2010年の平均を摂氏3度から9度上回る状態が続き、この間の氷の溶融量は1日当たり120億トンから240億トンに達した。
20世紀を通しグリーンランドでは9兆トンの氷が溶け海面を2.5センチメートル上昇させたとの報告がある。温暖化が進み何世紀かに亙り285万立法キロメートルある全ての氷が溶融することが起こると、23フィート(約7メートル)海面が上昇するとの予測もある。映画『不都合な真実』の中ではいつ海面上昇が起こるのかの説明はなかったが、上昇の高さは誇張ではない。
豊富にあるグリーンランドの資源があまり注目されていなかった理由は、氷に覆われているためインフラの整備が困難であり採掘が容易でないことだったが、温暖化の進展に合わせるかのように、中国を中心にした海外資本が進出し始めた。しかし、インフラも、労働力もない場所での資源開発は簡単ではない。
容易ではないグリーンランドの開発
グリーンランドは1979年にデンマークの自治領となり、2009年には範囲な自治権を持つことになった。人口5万6000人、主要産業は輸出額の90%以上を稼ぐ水産業だが、他に大きな産業はなく、政府歳出額、約116億デンマーククローネ(約17億米ドル)の約3分の1相当をデンマーク政府からの補助金に依存している。グリーンランド政府は独立を目指しているものの財政状態から難しく、そのため海外から投資を呼び込み財政基盤を強化し、経済的自立、独立を狙っている。
グリーンランドは地理的には北米に近く戦略的には重要な場所であり米軍基地が置かれているが、グリーンランドへの開発投資に興味を示したのは中国国営企業だった。グリーンランド政府は、経済発展を担うのは資源開発と観光産業と考え、先ず必要なインフラ、港湾、空港、水力発電、鉱山開発設備について中国国営企業、CSCEC(中建)、CHEC(中国港湾)、シノハイドロ(中国水電)と議論を行ったが、現時点で合意に達したとの報道はない。投資額に対し適切なリターンを得ることが難しいためとみられている。
グリーンランドは、原油を初めとした多くの鉱物資源に恵まれているが、その自然条件から採掘は簡単ではない。温暖化による氷床の溶融は資源開発を徐々に可能にしているものの、カナダのシンクタンク・フレーザー研究所の2018年のレポートによると、世界の83の国、州の中でグリーンランドの鉱物資源への投資の魅力度は、アフリカ・ジンバブエに次ぐ63位だ。しかし、その条件下でも中国企業は資源開発に乗り出している。
資源に進出する中国と出遅れた米国
昨年1月中国政府が発行した「北極圏白書」の中にはグリーンランドは登場しないが、関係国と協力し、海路「北極シルクロード」 を開発するとの表現が出てくる。中国は北極圏の開発への強い関心を明らかにしているが、中国がグリーンランドの鉱物資源に関心を持ったのは、グリーンランドの自治権が拡大され、リーマンショックから資源価格が回復し始めた10年前だ。
リーマンショックの影響を受け低迷していた原油を初め多くの鉱物資源の価格は、2010年から上昇に転じ2011年には高騰した。例えば、グリーンランドに賦存するとされる鉄鉱石価格は2倍以上、銅価格は3倍以上になった。資源価格の上昇を見た中国地質調査局は、2011年からグリーンランドで資源の調査を開始する。
中国民間企業も資源開発に関心を示し、鉄鉱石鉱山開発に20億ドル以上の資金提供の意向を示す企業も登場した。しかし、2011年をピークに資源価格が下落を初め、中国企業による開発は中断したままだ。
一方、レア・アースの開発を手掛ける中国企業が登場した。国土資源部が最大株主の盛和資源が、世界最大級とされるレア・アースとウラン鉱山の開発を手掛けるグリーンランド・ミネラルズ・アンド・エナジーに2016年資本参加したが、生産開始時には盛和が主導権を取る覚書が締結済みと発表されている。さらに、国営企業CNNC(中国核工业集团公司)も事業に参画することが今年1月発表された。
非鉄金属の開発企業、国営のチャイナ・ノンフェラス・メタル(中国有色矿业集团有限公司)も豪州企業と共に鉄鉱石と亜鉛鉱山の開発に関与しており、開発開始時には中国から労働者を動員する計画と言われている。自然条件、インフラの問題からグリーンランドの採掘コストは高いと見られているが、鉱山によっては、厳しい自然条件と労働力の問題を考えても適切なリターンが得られる案件が登場してきているようだ。
中国は武器製造など幅広い分野で使用されるレアアース世界シェアの80%以上を握っているとされ、米中貿易戦争の報復としてレア・アースの輸出を制限する可能性があるのではとも報道されている。さらに、世界最大級とされるグリーンランドのレア・アース資源を中国が握ることになれば、米国のみならず日本も欧州も影響を受ける可能性がある。
グリーンランドは、デンマークからの独立を果たすため中国からの資源開発資金と観光客に期待している。キールセン首相自身が観光客誘致の使節団を率いて訪中するほど力を入れている。英「エコノミスト」誌は、グリーンランドは旧宗主国から離れ、結果他の国への従属に悩むことになるかもしれないと昨年指摘している。
米国はチャイナ・マネーに対抗できるのだろうか。グリーンランドの自立に米国が寄与するため、たとえば、民間企業による投資を支援する政策、さらにグリーンランドの経済と雇用に役立つ開発・資金計画を、まず示すことが必要だろう。
グリーンランド、凍らぬ海の下に眠る宝 進む資源開発、迫る中国の影
2019.03.03
グリーンランド現地ルポ
日本の約6倍の巨大な島に5万6000人が暮らすグリーンランド。デンマークの自治領のこの島は、地球温暖化のおかげで独立する最初の国になるかもしれない。
今年1月、米学術誌に「グリーンランドの氷がこれまでよりはるかに速いスピードで解けている」との論文が掲載されたが、島では氷河が解けることで地下資源の開発が進み、これまでになかった資金が回り始めている。(石井徹、写真も)
「鉱物に金属、宝石……。島には様々な地下資源が眠っています。私たちは、レアアースの採掘を計画しているんです」。鉱物資源開発会社「グリーンランドミネラルズ」の現地責任者ヨハネス・キェッドは自信ありげに話した。会社は2007年の創業以来、島の南端近くの鉱山で資源調査や試掘を続け、4年後の本格操業を目指している。
グリーンランドは島のあちこちで鉱物資源開発が進む「自然資源の最後のフロンティア」。なかでも最北端の亜鉛鉱山は世界で6番目の生産量が期待される。自治政府の鉱物資源相エリック・イエンセンは「温暖化で氷河が後退して氷が薄くなったおかげで、鉱物資源の開発がしやすくなったのは確かだ」と認める。
18世紀から200年以上にわたってデンマークから植民地支配を受けてきたグリーンランド。1979年に自治政府が発足し、自治権を拡大してきたものの、外交や安全保障などの権限はいまもデンマークが握る。先住民族が9割を占める島民の独立への思いは強く、議会にはすでに反対派はいない。ネックになってきたのは、独立することでデンマークからの補助金がなくなることだ。
そこに、温暖化という追い風が吹いた。
鉱物資源が主要産業に急成長しただけでなく、輸出の9割を占める水産業も好調に。17年のタラ漁獲高は13年の2倍以上だった。最近では、マグロが揚がったというニュースが現地の人を驚かせた。
冬場は海氷の上を犬ぞりで移動してアザラシを狩り、オヒョウを釣る生活は、氷が薄くなり、冬場も船で漁をするようになって大きく変わったという。水産大臣も務めた元漁師のハンス・イバーセン(78)は「海が温かくなったおかげで、南の魚種が北上して捕れるようになった」と話す。
世界遺産の氷山が浮かぶディスコ湾が冬も凍らなくなったことで、観光客数も伸びている。
沿岸の街イルリサットには季節を問わず、遊覧船で氷山観光をする人たちが世界中から集まるようになった。
財源が増えるなかで、10年前には自治政府予算の3分の2を占めていた補助金の割合は3分の1にまで減り、経済的な自立が見えてきた。一方で、一時は島中が沸き立った石油資源開発は、石油価格の変動のなかで頓挫。地下資源開発も波が大きく、独立に向けた期待と不安が入り交じる。
存在感見せる中国 米にも警戒感
そんな島で、にわかに存在感を見せているのが「一帯一路」構想の延長で北極海開発を目指す中国だ。中国資本が島の主要産業に相次いで出資。「グリーンランドミネラルズ 」の筆頭株主も中国企業だ。さらに今、島内の空港整備計画をめぐってデンマークと米国を巻き込む騒動が起きている。
広大な島では、都市間を行き来する飛行機は「日常の足」。だが、島内のほとんどの空港は滑走路が短く、40席足らずのプロペラ機しか飛べない。経済成長で需要も増えるなか、中心都市ヌークやイルリサットなど3カ所にジェット機も就航できる滑走路をつくる計画が持ち上がった。総工費36億デンマーククローネ(約600億円)は、島にとっては巨額だ。
そこに中国が出てきた。入札に参加する企業の候補6社に中国のインフラ大手「中国交通建設」が残ると、デンマーク政府は急遽1億ドル余りを自ら出資すると言い出した。島内に米空軍基地を抱えることから安全保障面で問題視し、米国の警戒にも配慮したとみられる。この受け入れをめぐって政権与党は分裂し、議会は混乱。政府が最終的に受け入れを決めたため、今回は中国と距離を置く形で落ち着きそうだ。
それでも、財務大臣のヴィットス・クヤゥキッチョック は、したたかだ。「中国の脅威や安全保障上の問題については理解している。でも、私たちには投資が必要で、お金に色がついているわけでもない。ほかの国とも話しているし、バランスは取っているよ」
温暖化が進む北極圏で繰り広げられる「パワーゲーム」と、その波に乗って悲願の独立を成し遂げようとする人たち。その一方で、専門家が「グリーンランドの氷がすべて失われると、世界の海面は約7メートル上昇する」と指摘するように、海抜の低いバングラデシュや太平洋の島々の人たちの将来は、この島の氷がどうなるかにかかっている。
2021年8月24日7:00 午後1年前更新
豪 グリーンランドミネラルズ 社、地元の声聞く会合に不参加 グリーンランドのレアアース事業
[メルボルン 2021年8月24日 ロイター] - オーストラリアに上場する鉱物資源開発会社グリーンランド・ミネラルズ は2021年8月24日、自社のレアアース(希土類)プロジェクトを巡って今月にデンマーク領グリーンランドで開かれる公開会合への出席を見送ると表明した。地元の懸念を聞き取るためのこの会合に、政治的な性質があるためとしている。
グリーンランド・ミネラルズ は昨年、グリーンランド南部における旗艦開発プロジェクト「クバネフィエルド」で暫定承認を獲得。現在は2021年9月半ばまで、広く意見を聞く手続きに入っている。
同社は開示資料で、2月の地元協議会には参加したものの、8月の会合には出席しないと表明。プロジェクトを支援している政府部門が参加しなくなるという会合形式の変更があり、「自社に著しく不利」になると指摘した。
また、自社は正式に招待されているわけでも、出席義務があるわけでもないと説明。地元からの質問には引き続き答えるとしたほか、協議期間が終わった後に公表される白書で懸念に対処するとした。
グリーンランドでは4月、選挙で勝利した左派イヌイット・アタカチギット(IA)党が新たな政府連合を表明し、プロジェクトを阻止する方針を強調した。
グリーンランド・ミネラルズ株は2月に7年ぶりの高値を付けた後、新政府発足以来では急速に値を下げており、24日は12%安となった。
クバネフィエルドはレアアースが大規模に埋蔵されている一方、放射性ウランも含まれるため、一部の住民から懸念の声が出ている。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
知識人・富裕層が中国脱出 習政権に嫌気、日本移住も―ルポライターの安田峰俊氏インタビュー
2022年10月25日
中国共産党大会を経て、習近平総書記(国家主席)が異例の3期目入りした。習氏は党大会で過去10年の実績を誇り、「ゼロコロナ」政策の成果を強調。新指導部の顔触れを見ると、習氏の3期目はさらに独裁色を強めそうだ。一方で、長期化する強権政治に嫌気が差した知識人や富裕層が、続々と国外脱出を図っている。中国社会の実情に詳しいルポライターの安田峰俊氏に聞いた。
―中国で今起こっていることとは。
メディア界の重鎮や知識人、富裕層が、続々と中国から逃げ出している。脱出先としてシンガポールに次いで人気があるのが日本。文化的に近く、比較的低い予算で定住できる。自分が知るだけでも、日本で言うなら大手雑誌の編集長クラスの大物や、数億円のビルをぽんと買えるような大金持ちが来ている。永住するつもりで家族を連れ、全財産を中国から持ち出している。
メディア人の脱出に関しては、習政権で言論空間が急速に狭まったことが背景にある。中国は「言論の自由がない国」というイメージがあるが、2012年まで続いた胡錦濤政権やその後の習政権初期は、かなり規制が緩かった。直接的な党批判さえしなければ、地方政府の政策批判や調査報道もでき、人権派の人たちが当局の取り締まりをインターネットでライブ発信することすらあった。こうした状況を覚えているメディア人は、当然現在の社会に疑問を覚える。天安門事件から30年の節目となった19年に一気に統制が強まり、この頃から見切りを付け始めた人が多い。
―富裕層はなぜ逃げる?
中国政府にぶら下がっている国営企業よりも、民営企業の関係者が危機感を感じている。(当局が巨額の罰金を科すなどした)「アリババたたき」に代表されるように、どんな大手企業でも政府に目を付けられると大打撃を受ける時代。富裕層は突然財産を没収されるかもしれないという恐怖を感じている。
決定打となったのが、今春の上海でのロックダウン(都市封鎖)。北京や広州といった大都市に住む先見の明のある人々も、上海の状況を見て逃げ始めた。資産数億~100億円レベルの中国人が日本に流入しており、大都市圏では高額な不動産が、投資目的ではなく「住宅」として買われている。これは日本にとってはチャンスで、政府は富豪誘致のための仕組みを本格的に整備した方が良いのではないか。
―こうした現状をどう見るか。
中国にとってはまずい状況だ。今国外に逃げているのは、社会の中で最も「元気な人々」。自分の頭で考え発言し、コンテンツを作って国民の心を動かせる知識人や、自由市場で自らの才能で稼ぎ、巨額の富を築ける経済人だ。本来であれば、国が大切にして自国にとどめるべき層が出て行っている。一番頭の良い人たちが中国を見切っているということの意味は深刻だ。習政権3期目でこの傾向は続くだろう。
―中国社会の閉塞(へいそく)感は今後も強まっていくのか。
揺り戻しはいずれ来る。1980年代から胡政権の時代まで、中国は経済や社会の各方面でおおむね自由が拡大していく傾向にあった。それが習政権下でイデオロギーを重視する極端な「左寄り」に傾き、統制が強まった。ソフト路線だった胡政権末期の党内には、次期総書記(習氏)に権力を集中させ引き締めを図らなければならないという共通認識があった。ただ、結果として習氏は強くなり過ぎた。いずれ習氏が何らかの理由で執務に困難を来したり、政策上の失敗で求心力を失ったりした場合、相当な混乱を伴う揺り戻しがあるのではないか。「夜明け前が一番暗い」。今の中国はそういう状況だ。
習政権の10年で中国の市民社会は崩壊 活動家や知識人の声
2022年10月17日
【北京AFP=時事】人権活動家チャールズさん(仮名)は、中国で市民社会が花開き、肉体労働者の生活改善のために打ち込んでいた頃のことを今も忘れていない。(写真は中国・天津の裁判所前で撮影を阻止する私服警官。資料写真)
だが、3期目が確実視される習近平主席が率いてきたこの10年で、さまざまなコミュニティーの団体は解体され、再生の希望は打ち砕かれた。
チャールズさんは中国を離れ、活動家の友人数人は今も当局に拘禁されている。
「2015年以降、市民社会全体が崩壊し始め、ばらばらになってしまいました」
中国の市民運動や新興の独立系メディア、学問の自由などはことごとく破壊された。中国共産党に対するあらゆる脅威を排除しようと、多くのNGO職員、人権派弁護士、社会運動家が脅迫を受け、当局に拘束されるか国外に追放された。
LGBTQの権利向上に携わるNGOの職員は、「団体の資金・運営面、あるいは個人のレベルでも、私たちはますます無力になっています」と匿名を条件にAFPに語った。
AFPは習政権下での市民社会の崩壊について、活動家や知識人にインタビューした。
■「709事件」と外国NGOへの規制
2015年に300人以上の弁護士や人権活動家が逮捕された弾圧は、開始された7月9日にちなんで「709事件」と呼ばれている。人権団体によると、今も多くの弁護士が拘束されるか監視下に置かれ、弁護士資格を剥奪された人々もいる。
もう一つ大きな転換点となったのは、2016年に採択されたいわゆる海外NGO管理法だ。同法により、中国国内で活動する外国のNGOを取り締まる広範な権限が警察に与えられた。
報復を恐れて匿名を条件に取材に応じた環境NGOの職員は、「2014年には横断幕を掲げて抗議活動を行ったり、科学的調査を行い、国内メディアと協力して環境汚染を暴露したりすることができた」が、「今は何をするにも警察への事前の届け出が必要です。プロジェクトは政府機関と協力しなければなりませんが、それはいわば監督委員会のようなものです」と語った。
■ゼロ・トレランス
現在の状況は、胡錦濤前国家主席の比較的寛容な時代とは様変わりしている。
「大学では2015年ごろにLGBTQやジェンダーに関する活動グループがいくつか誕生しました」と語るのは、LGBTQの若者組織の一員、カールさんだ。今は「圧力が強まった」のを感じていると話す。
2018年ごろには、当時芽生え始めたフェミニズム運動「#MeToo(私も)」も当局に弾圧され、学生活動家数十人が逮捕されるなど、社会運動に対する政府の「ゼロ・トレランス(不寛容)」方針が鮮明になった。
今年7月、北京の清華大学はレインボーフラッグを配布した学生2人を厳重注意し、インターネット上ではLGBTQの学生団体による多数のソーシャルメディアのページが凍結された。
■敵視される「西側」の価値観
市民社会の衰退を示すもう一つの前兆は2013年、習政権発足後の党内通達で、立憲民主主義や報道の自由といった「西側」の自由主義的な価値観とされる主張が禁じられたことだ。
この通達をリークしたとして、2014年から2020年にかけて刑務所や自宅軟禁下で過ごしたジャーナリストの高瑜氏(78)は、「1980年代にはこうしたイデオロギーについて議論も出版もできたが、この通達では敵視の対象になった」と指摘する。
「正常な社会では、知識人は政府の誤りを問いただすことができる。そうでなければ…毛沢東時代と同じではないでしょうか」
清華大学の元政治学教授で党の方針に批判的な呉強氏は「この10年で、中国の知的領域に一種の密告文化がはびこってしまいました」と話す。
「今や学生は議論を交わして学ぶのではなく、教授の一語一句を点検する検閲官のようです」
■「新世代の活動家の芽を摘む」
ジェンダーの平等を目指す団体「エクイティ」の創設者フェン・ユアン氏は「おそらく今、私たちはどん底にいるのでしょう(中略)それでも人々はたゆまず声を上げ続けています」と言う。
一方でチャールズさんの友人で、#MeToo運動の先頭に立ったジャーナリストの黄雪琴氏や、労働運動家の王建兵氏らは、公共秩序騒乱の疑いを受け、裁判が開かれないまま1年以上勾留されている。
当局は若い活動家の集まりを脅威と見なし、見境なく起訴しているとチャールズさんは言う。「政府が今、標的としているのは、小規模で地道な活動をしている個人です」
「新世代の活動家の芽を摘もうとしているのです」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕
異例 チベット自治区で大規模デモ
2022年10/28(金)
こちらは、中国チベット自治区のラサで、2022年10月26日に行われた新型コロナ対策への抗議デモとみられる映像です。
中国のチベット自治区で起きた新型コロナ対策への抗議デモとみられる映像が、SNS上で拡散しています。少数民族への監視が厳しいチベット自治区で、大規模デモが起こるのは異例です。
こちらは、中国チベット自治区のラサで、2022年10月26日に行われた新型コロナ対策への抗議デモとみられる映像です。
アメリカ政府系メディアなどは、参加者は数百人に上り、警察と衝突が起きたと伝えています。多くは漢族の出稼ぎ労働者で、「家に帰りたい」と訴えていたということです。
地元政府は、ラサの新規感染者は毎日数人程度としていますが、関係者によりますと、2022年8月からロックダウンが続いています。少数民族への監視が厳しいチベット自治区で大規模デモが起こるのは異例です。
中国では各地で厳しいゼロコロナ政策が続き、市民の不満が高まっています。
「一帯一路 (債務の罠外交) 」構想における中国の五大国際インフラ建設プロジェクト
国建協情報 2018 年 1 月号(No.864)掲載 【要約版】
「一帯一路(債務の罠外交)」は、2013 年に習近平国家主席が発表した構想で、中・欧間の貿易路に関わるアジア、中東、欧州の 65 カ国をカバーする地域において、対外経済関係の強化 を図り、インフラ整備 による連結性を高め、貿易・投資の円滑化 を進めることにより貿易を拡大することを目的としており、中国とヨーロッパを結ぶ巨大な経済圏をつくり上げようとするものである。
「一帯」とは、中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト」であり、3 つのルート、6 つの経済回廊で構成される。6 つの経済回廊のうち重点事業と
して位置付けられているのは、① 江蘇省連雲港を起点として、「一帯」構想の核心地(中心エリア)となる新疆ウイグル自治区のウルムチ、カザフスタン、ロシア、ドイツを経由してオランダのロッテルダムに至る延長 10,800km の「第 2 ユーラシアランドブリッジ」、② 中国・パキスタン経済回廊、③ バングラデシュ・中国・インド・ミャンマー(BCIM:Bangladesh- China- India-Myanmar)経済回廊である。
「一路」は、“21 世紀海上シルクロード”とも呼ばれるもので、福建省を核心地(中心エリア)として中国沿海の港から、南シナ海を経て、① インド洋やヨーロッパ、② 南太平洋、に至る二本のルートからなり、スリランカや東アフリカの諸国が重要な舞台となっており、インフラとしては、港湾、鉄道などを中心に交通関連のインフラ整備が展開されている。
ここでは、「一帯一路(債務の罠外交)」構想のプロジェクトと位置付けて中国が資金提供し、中国企業が参画
2022年10月18日
中国海運企業のハンブルク港湾インフラ投資は警戒を=独情報高官
ロイター編集
[ベルリン 2022年10月17日 ロイター] - ドイツ対外情報機関の連邦情報庁(BND)のブルーノ・カール長官は17日の議会公聴会で、中国海運企業がドイツで最重要な港であるハンブルク港のターミナルの1つに投資しようとしていることについて、警戒が必要だと訴えた。
カール氏は重要なインフラへの中国の資本参加には極めて危機感を覚えるべきだと主張。港湾が重要インフラと見なされる以上、そうした投資のいかなる可能性も極めて慎重に審査されるべきだとの見解を示した。第5世代(5G)移動通信システムなどの技術や経済的影響力を使って中国寄りの考え方をドイツに植え付けようとする狙いを想定すべきだとし、いざ両国間で政治的に不一致が生じる際に、そうした策略が政治的影響力の行使に効果を発揮することになるとした。
国内情報機関である連邦憲法擁護庁(BfV)のトーマス・ハルデンワンク長官も公聴会で、ドイツの重要インフラの権益を中国が保有することになると、世論形成への妨害工作や誘導の道が開かれる可能性があると訴えた。同氏はロシアのウクライナ侵攻のようなやり方が「嵐」だとすれば、中国の手口は「気候変動」のように何年もかけて進行するやり方だと説明した。
2人とも立場的に資本参加の可否を直接評価することは避けた。
ハンブルク港を巡っては3つのターミナルの1つに対し、中国遠洋運輸(COSCO)が権限を取得しようとしている。議会筋によると、市民の権利擁護を掲げる緑の党のハーベック経済相の下、同省は承認に否定的。一方で社会民主党(SPD)のショルツ首相の首相府は出資受け入れに好意的という。中国側はドイツに対し、両国の経済関係を政治問題化すべきでないとし、国家安全保障の名目で保護主義を採用しないようにとも主張している。
中国はドイツにとって最大の貿易相手国になっているが、中国依存をいかに低減させるかの問題は論争の種。特にロシアのウクライナ侵攻で、強権的な専制主義の色合いを強める国家への依存の危険が改めて意識されている。
ドイツ最大港へ中国参入 連立政権内で賛否
2022/11/2 16:55
三井 美奈
ドイツではショルツ首相の訪中を前に、ハンブルク港のターミナルに中国の国有海運大手「中国遠洋運輸(COSCO)」が資本参加することが決まった。国内最大の貿易港だけに、「安全保障上の危険を招く」として連立政権内で是非論が分かれ、対中政策の迷いが浮き彫りになった。
ターミナルをめぐっては2022年9月、港湾運営会社とCOSCOの間で、35%の権益獲得を認める計画で合意していた。ショルツ氏は2018年までハンブルク市長を務めており、この計画を支持した。「ギリシャやベルギーの港にも中国企業が参入している。特別なことではない」と小学生並みの反論を主張した。
だが、第2与党「緑の党」のベーアボック外相は独紙で「重要インフラへの参入には慎重であるべき。中国が民主主義に対抗するとき、何を意味するかを考えねばならない」と警告。第3与党、自由民主党からも反対の声が出た。連邦議会では情報機関トップが公聴会で、中国企業のインフラ投資に警戒を促した。
独報道によると、6閣僚がCOSCO参入計画の見直しを要求。2022年10月26日の閣議で、資本比率を25%未満にすることで妥協が成立した。人事などの重要決定を覆せない比率にとどめ、参入を認める。(パリ 三井美奈)
ショルツ政権、独ハンブルク港への中国出資を容認
2022年10月28日
【フランクフルト=南毅郎】ドイツのショルツ政権は2022年10月28日までに、中国の国有海運大手によるハンブルク港のターミナルへの出資を認めると決めた。独メディアが伝えた。同港はドイツ最大の港湾で、重要インフラへの中国の関与強化に安全保障面から懸念の声も出ている。
出資するのは中国の国有海運大手「中国遠洋運輸(COSCO)」。当初は35%の出資を計画していたものの、25%未満に制限する。出資は認めるものの上限を設けることで、人事などの重要な決定事項に関与できなくなるという。
ドイツにとって中国は最大の貿易相手国で、自動車の販売などを通じて経済的な結びつきが強い。ハンブルク港は独最大の港湾で、中国側も欧州の貿易拠点として重視しているとみられる。独メディアによると、中国は欧州にある複数の港湾で独自にターミナルを持ったり、港湾運営会社に出資したりしている。
今回の出資を巡っては、重要インフラへの関与強化に独国内でも慎重論が強い。ショルツ政権内でも、対中依存度を高めるとしてハベック経済・気候相など複数の閣僚が反対していた。ショルツ氏はハンブルク州首相を務めた経験がある。
中国、独ハンブルク港物流ターミナルの株式取得へ…ショルツ政権容認
2022/10/28
【ベルリン=中西賢司】ドイツのショルツ政権は2022年10月26日、中国国有海運大手「中国遠洋運輸(COSCO)」が独最大の港湾ハンブルク港にある物流ターミナルの株式を取得することを認める閣議決定を行った。同港の国際競争力強化が狙いとみられるが、経済安全保障の観点から欧州各国の批判を招く可能性がある。過去にハンブルク市長を務めたショルツ首相は、COSCOによる35%の株取得という要求を25%未満に引き下げることで妥協を図った。事業や人事など運営に関する重要決定では、介入できない措置を取った。
ロシアのウクライナ侵略を受け、ドイツでは国内で中国の影響が大きくなることへの警戒感が高まっている。独政府内では経済の対中依存度を下げるべきだとの声も強く、COSCOの株取得を巡っては経済相らが反対していた。
同港は取扱量が欧州第3位の重要港で、COSCOが参入するのは四つあるターミナルの一つ。欧州連合(EU)には、域内の重要インフラ(社会基盤)に対する非加盟国企業などの投資について、各国政府が審査できる仕組みがある。
ドイツのショルツ首相が訪中-習主席、「混沌」の中で連帯求める
Bloomberg News
2022年11月4日
欧州主要国の首脳が中国を訪れたのはここ2年余りで初めて
BASFやVW、ドイツ銀行、ビオンテックなど独企業の幹部も同行
中国の習近平国家主席とドイツのショルツ首相は2022年11月4日、北京で首脳会談を行った。ショルツ首相は就任後、初めて中国を訪れた。
国営中央テレビ(CCTV)によれば、習主席はショルツ首相による訪中は相互の信頼を高めると同首相に伝え、「流動的かつ混沌とした局面」で世界の平和と発展により貢献するために両国が協力すべきだと表明した。
欧州主要国の首脳が中国を訪れたのは、ここ2年余りで初めて。中国共産党を総書記として率いる習主席はこれまでの慣例を破り党トップとして異例の3期目入りを10月に決めた。
ショルツ独首相が近く訪中計画、戦略変更で対中タカ派転向も-関係者
2022年11月4日夜に中国を離れるショルツ首相は、李克強首相とも会談する予定。李氏は来年3月に引退することが事実上確定している。ショルツ首相の訪中には、BASFやフォルクスワーゲン(VW)、ドイツ銀行、ビオンテックなど独有力企業の最高幹部らも同行。西側諸国と中国の関係は、習主席による香港の統制強化や新疆ウイグル自治区の人権問題、ロシアによるウクライナ侵略への非難を中国が拒否していることなどを受けて悪化している。
習主席はショルツ首相に対し、航空と新型コロナウイルスの防疫でドイツとの協力を深めていく用意があると説明したとCCTVは伝えた。習主席は新エネルギーや人工知能(AI)、デジタル化といった分野で両国は協力を活性化させるべきだとも話し、ドイツが中国と共に保護主義に抵抗することができるよう望むと語ったという。
独ショルツ首相が企業団引き連れ「中国詣で」…習近平総書記3選のお祝いに「ハンブルグ港」を献上か
2022年11/4(金) 8:07
中国の買収に対する警戒心
Gettyimages
現在のドイツの政権は、社民党、緑の党、自民党の3党連立で、社民党と緑の党は左派で、自民党は保守リベラル。だから、「社民党+緑の党vs.自民党」の対立は想像に難くないが、不仲は実はそこだけではない。社民党と緑の党もしっくりは行っていないし、緑の党に至っては党内部でも内輪揉めが多い。要するに、極めて不安定。
直近の政府の揉め事はというと、中国企業COSCOによるハンブルク港への出資問題。ハンブルク港は、オランダのロッテルダム、ベルギーのアントワープに次ぐEU第3の規模を誇る港で、見渡す限り積み上がっているコンテナの山は、壮大な眺めだ。そして、そのコンテナのターミナルを運営する会社が4社ある。
2022年10月の終わり、その中の一社の株式が35%、まもなく中国の手に渡るというニュースが、突然、流れた。ドイツ国民にしてみれば、寝耳に水だった。
EUでは、EUの加盟国以外の国が、重要なインフラへの出資、あるいは買収を試みた場合、政府は審査の上、安全保障上などで問題があると見れば、それを阻止することができる。
港湾施設は重要なインフラの一つなので、今回、政府内の関連省庁が審査していたらしく、2022年10月末、ベアボック外相(緑の党)を含む6人の大臣、つまり6つの省が、中国の出資は問題ありという結論に達した。自民党ももちろん強く反対。さらにEU委員会と、ドイツの諜報機関である連邦情報局も反対だった。
ところが、ショルツ首相は賛成で、2022年10月25日、首相権限でこれを押し切った。その際に氏が妥協案として出したのが、中国に譲渡する株の比率を35%から24.9%に下げること。これなら人事など重要な決定にそれほど力を発揮できないという理由だが、どうだか?
2015年、ハイテク・ロボット産業のKUKA社が中国の美的集団に売却した株式はたった5.43%だった。しかし、今ではすでに95%が中国のものだ。
KUKAは、日本のファナックに匹敵するような、いわば中国に売ってはいけない会社だった。その結果、今、中国ではKUKAのロボットが、黙々とメルセデスを組み立てている。もっとも、メルセデスの株の約2割も今では中国が持っている。
いずれにせよ、中国資本のKUKA参入後、ドイツでは、中国の買収に対する警戒心にスイッチが入ったと言われていたが、どうもショルツ氏は別らしい。
ただ、港に関して言えば、中国はすでに、フランス、ベルギー、スペイン、イタリアの港湾施設にも出資しているし、ギリシャ最大のピレウス港は100%中国のものだ。今さらドイツが中国資本を拒否したところで何の意味もないどころか、損するだけとショルツ氏は思っているのだろう。
中国無しにドイツの繁栄はないのか?
ドイツでは、メルケル前首相が極端な親中派で、彼女の16年の施政中にドイツと中国は蜜月を享受し、大いに繁栄した。
それを受け継いだショルツ首相が、中国依存をそう簡単に修正できるわけもないし、元々、親中派である社民党のこと、修正する気もないのだろう。そもそも中国とドイツの仲の良さは、前々世紀以来のことだ。
しかも、確かに、中国のハンブルク港への出資を阻止しても、中国はロッテルダムやアントワープに荷を移動させるに違いなく、結局、他国を喜ばせるだけだ。一方、中国船が来なくなったハンブルク港は収入激減で、閑古鳥が鳴くだろう。
つまり、「中国無しにドイツの繁栄はない」というのが社民党の基本的な考え。ドイツは基本的に重商主義である。
さらに極め付きは2022年11月4日のショルツ氏の訪中。これがあるからこそ、ショルツ氏はどうしてもハンブルク港を習近平氏へのお土産の一つにしたかった。こんなことさえ纏められないようでは、自分の統率能力に傷がつくと危惧したのだろう。
しかし、ショルツ首相の統率能力は、実際にはすでに地に落ちている。というのも2022年11月1日、ウズベキスタンを外遊中のベアボック独外相が、首都タシケントでの記者会見の席上、公然と驚くべきことを言い放ったのだ。
「私は、我々が連立協定で共に取り決めたことを、ここ中央アジアではっきりと示した。首相も、今こそ私と同じように、中国に対してそれを明確に示すべき時だ」
「それ」というのは、人権、民主主義、平和の大切さと、その実現のための努力。さらには、対中国政策の変更である。なぜなら、中国が変容しているから、対中国政策はこれまでのままではいけない、とベアボック氏は朗々と説いた。
もちろん、その主張は正しいが、しかしながら、新前の外相が外遊先から、自国にいる首相に向かってほとんど命令口調のコメントを発するとは、かなり異常な出来事だ。これは、ショルツ首相が内閣を統率できていない証拠であり、また、ショルツ氏の今回の無理な首相決定が、いかに政権内で問題視されているかということでもある。
なぜ今わざわざ訪中するのか
そういえば、ショルツ氏はついこの間も、原発の処遇をめぐる緑の党と自民党の喧嘩に、やはり首相権限を持ち出して、陳腐な妥協案でケリをつけた。こんなにしょっちゅう伝家の宝刀を抜いていたら、あっという間に錆び付いて役に立たなくなるだろう。
しかも、今回のショルツ氏の訪中は、あまりにも時期が悪すぎる。先日の中国の共産党大会で、習近平氏が独裁への道を歩み始めたことが世界中に明らかになり、それにより今では多くの国が、台湾侵攻の可能性のみならず、ウイグルの人権侵害にまで注目し始めた。
つまり、各国は対中政策を練り直しているところなのに、ショルツ氏は早々と、いつも通り経済界のボスたちを何十人も引き連れて北京入りするわけだ。商売の拡大のために一番乗り? それとも友好の証明?
2022年11月15日、16日はバリ島でG20が開催されるので、ショルツ氏はここでどのみち習近平氏と顔を合わせるが、その前にわざわざ訪中するのは、経済界の意向も大きいのだろう。バリ島には企業団を連れてはいけない。
ただ、このままでは、ショルツ氏が直々、習近平氏に祝辞(あるいは恭順の意? )を述べにいったと受け取られても仕方がない。しかも、ショルツ氏の訪中には、政府も、議会も、国内の世論もまるで付いてきていないことを、ベアボック外相の過激な言葉が余すことなく示している。
それどころかEU議会の方からも、ショルツ氏の政治家としての能力に疑問を呈する声が聞こえてくる。こうなると、今回の訪中はショルツ氏にとって、EUにおける信用を失う旅になる危険さえある。
これを見ていて彷彿とさせるのは、天安門事件の後、西側諸国が対中制裁を取っていた最中、イの一番で北京に飛んだ日本の姿だ。
当時の日本は対中制裁に加わっていたにもかかわらず、世界で孤立していた中国に歩み寄った。日本が独自の考えで単独行動に踏みったとは思えないので、中国以外にも何らかの外圧があったことは確かだろう。ひょっとすると、今回のショルツ氏の訪中にも、それがあるかもしれない。
日本はドイツと立ち位置が違う
さて、日本だが、独中が首脳会談をするからといって、岸田首相は安易に中国に歩み寄るべきではない。ドイツと日本は根本的に対中国の立ち位置が違う。
ドイツは中国に経済的に依存しているが、国境に迫られたり、軍事的に脅されたりしているわけではない。しかも中国は、今のところは極めて親独だ。
だからドイツは、一方的な技術移転や取引条件の不公平など、問題は多々あっても、最終的に互いに儲かればOKと割り切りっている。人権問題は、少なくともメルケル政権では、必ず一応は言うだけの紋切り型に過ぎなかったし、ショルツ氏もそれを踏襲しようとしている。
しかし、日本の場合は違う。日本は中国にとっての仮想敵国で、中国は反日。しかも、日本を見下しているが、日本の政治家の中には、中国を仰ぎ見ている人がたくさんいるという歪な関係だ。
日本における中国の影響力は伸張するばかりで、そのうち主権を脅かされるようになっても不思議ではない。要するに、ドイツと一緒にはできない。
昨年12月に発足したショルツ政権は、エネルギー危機、インフレ、不況という未曾有の困難に襲われ、内輪揉めの雑音を発しながらも頑張っている。後期メルケル政権は、社民党との連立だったので、何の議論も起こらなかったことを思えば、今は侃侃諤諤で、政治の場がイキイキとしてきたとも言える。
ただ問題は、出口が全く見えないことだ。とりわけ今回のショルツ首相の訪中は、完全な迷走に思える。
いずれにせよショルツ氏は、ウクライナ戦争が勃発して以来、初めて訪中する西側首脳だ。2022年11月4日の独中首脳会談は、政治家としての氏にとっての分水嶺になるような気がする。しっかりと観察したい。
川口 マーン 惠美(作家)
2022.10.28
ショルツ首相「ウクライナ復興マーシャルプラン」主導もEU内で孤立深めるドイツの末路
いまだに微妙な独仏関係
独仏関係は常に微妙である。元々、戦争ばかりしてきた両国だが、第二次世界大戦後、さすがにもう戦争はこりごりと思ったのだろう、50年代終わりより、ドゴール仏大統領とアデナウアー独首相が、若い世代を巻き込んだ積極的な和解政策に乗り出した。
1963年には両首脳がエリゼ条約(仏独協力条約)に調印。ヨーロッパに新秩序を作ろうという試みは、没落したヨーロッパの再生を期したプログラムでもあった。もちろん、当時、倫理的、また軍事的にも有利な立場にいたのがフランスで、ナチの汚名を注ぐため弛みない努力を続けざるを得なかったドイツの発言力には限界があった。
ただ、その後、ドイツが経済力では次第にフランスを凌駕していったのだから、やはり両国の関係は常に微妙なのである。
独仏の歴史上、和解の象徴とされているもう一つの出来事が、1984年、第1次世界大戦の激戦地であるフランスのヴェルダンで、ミッテラン仏大統領とコール独首相が手を繋いで並び立った瞬間だ。
第1次世界大戦というのは、近代戦に対応できていなかった兵士たちが、戦闘機、戦車、機関銃、さらには毒ガスという残虐かつ容赦ない攻撃にさらされた戦争で、ヴェルダンの戦闘では、フランス軍36万、ドイツ軍33万の兵士が戦死したと言われる。
だからこそ、こんな無意味な殺戮は金輪際やめようという平和への意志は堅固に見えたが、今、思えば、それには「自分たちの国では」という但し書きがついていたのかもしれない。いずれにせよ、それ以後も両国は武器の大型輸出国であり続けたし、時には他国での戦争にも参加している。
その後の独仏関係はというと、シラク仏大統領とシュレーダー独首相はほぼ良好な関係を維持し、サルコジ仏大統領の時代(2007〜12年)の独仏関係はメルケル主導で、フランス側からは“メルコジ”などと揶揄されるほど密接だった。その後継者であるオランド大統領に至っては、さらに手際よくメルケル氏に丸められた感がある。
2017年、マクロン大統領が就任すると、ドイツメディアは、“ベテランのメルケル氏に導かれる若きマクロン”といった微笑ましいイメージを好んだが、これはかなり的外れだった。
確かにマクロン氏はメルケル氏と良好な関係を築き、両者はEUの双頭として君臨し始めたが、マクロン氏が最終的に目指しているのはフランスの復権であり、フランスが中心となったヨーロッパの栄光だ。その証拠にマクロン氏は、メルケル氏が退任した途端、後任のショルツ首相には遠慮せず、陰に陽にとドイツ批判を展開し始めた。
しかし、いくらマクロン大統領が頑張っても、今後、フランスがEUの覇者になれるかどうかというと、かなり怪しい。彼らは内政で多くの問題を抱えすぎている。そんなわけで、独仏関係はいまだに微妙なままだ。
来年はエリゼ条約から60年、再来年はヴェルダンの和解から40年だが、この両国が本当に仲良しかというと、それもわからない。国民レベル、特に戦後世代の交流においては何の確執もないが、政治的にはいまだに宿敵であるといった方が当たっているかもしれない。
独仏関係がギクシャクする原因
10月20日、毎年一度、独仏の首脳および閣僚が一堂に会する重要な会議が、今年は開かれないという速報が流れた。しかも、ドイツ側が勝手にそれを発表したため、フランス側が怒ったという。
現在の独仏のギクシャクの主原因は、もちろんエネルギー政策だ。EUの輸入するガスの価格はすでに青天井となっており、国民と産業を守るため、フランスはもちろん、他の多くの国々も膨大な資金を投入してガス代を抑えている。しかし、そんなことがいつまでも続けられるわけはなく、無理をしすぎると国家経済が破綻する恐れまで出てきた。
そこでマクロン大統領が音頭を取り、EUの貧しい国でも脱落しなくて済むようにと、EUが現在ノルウェー、および米国から輸入しているガスの値段に共通の上限価格を付けることを提案した。これにイタリア、スペイン、ベルギー、リトアニアなどが即座に賛同した。
ところが異議を唱えたのがドイツ。そんなことをすると、貴重なガスが、高く買える国(たとえば日本!)に流れてしまうというのがその理由だ。ショルツ首相いわく、「理論的に正しい政策でも、結果的にガスが来なくなれば元も子もない」。そして、デンマーク、オランダなど、やはり豊かな国々がドイツ側に付いた。
確かに、何が何でもガスが必要ならば、経済力のあるドイツはどんなに高くても買うだろう。そして、ドイツのその行動がガス価格をさらに吊り上げる。しかし、EUの他の国は、そんなお金はない。当然のことながら、EUではドイツに対する不満が膨らんだ。しかも、その不満に一気に火を点けることになったのが、9月末にドイツが発表した2000億ユーロ(約38兆円)の救済計画だった。
この破格の援助については前回書いたが、他国から見れば、日頃からEUの連帯を唱えているドイツが、周りに何の相談もなしに、また勝手なことをし始めたのである。2年半前、コロナの感染がイタリアで爆発した時、ドイツが即座に国境を閉じ、マスクの輸出を禁じたことを、皆、忘れてはいない。
参照)ドイツのガス代高騰救済策「2000億ユーロ投入」がEU各国の猛反発で撃沈寸前
そもそもドイツはこれまで国内のエネルギー高騰を抑えるために、それほど効果的な対策は打っておらず、その結果、企業や国民はエネルギー高騰をまともに被り、未曾有の困難に陥っている。
しかし、これだけ皆が困っているというのに、エネルギー政策を仕切っているハーベック経済・気候保護相(緑の党)は長らく、今年の暮れに予定通り原発を止めるにはどうすれば良いかということばかりに気を取られていた。そして、EUに向かっては、「皆でガスを譲り合おう」と連帯を求めた。
それが突然、2000億ユーロで自国経済のテコ入れをするというのだから、他のEU国が怒るのも無理はない。腹を立てたマクロン氏いわく、「ドイツは自国を孤立させるようなことをすべきではない!」。
とかく意見が合わない
独仏関係を阻害している案件は他にもある。その一つが、すでに中止になったガスパイプライン計画「MidCat-STEP」を復活させるかどうかの問題だ。
MidCatとは、2013年に始まったフランスとスペインを結ぶパイプラインのプロジェクトで、これが開通すれば、アフリカ最大のガス産出国アルジェリアのガスを、モロッコ、スペイン経由でフランスまで運ぶことができる。
ただ、スペインとフランスの国境はピレネー山脈なので工費が嵩むし、フランスはそれほどまでにしてアルジェリアのガスを必要としていなかった。その上、自然保護団体の強硬な反対もあり、工事はピレネー山脈の部分を残して止まってしまっていた。
ところが、それを現在、喉から手が出るほどガスが欲しいドイツがどうにかして完成させようとしている。そうすれば、そのガスをフランスからさらに自国に引っ張ってこられるからだ(数年先の話だが)。
すると、今度はそれにフランスが反対。公式な理由は、すでにスペイン〜フランス間には小さなパイプラインが2本あるが、どちらも利用率が50%止まりだというもの。つまり、「新しいパイプラインなど必要ない」。
現実には、フランスが重要視しているのはガスではなく、原子力だ。原発を世界から消し去りたいドイツとは、そこでも対立している。現在、EUのタクソノミーでは、原子力もガスも共にグリーンとして認められたが、議論が沸騰していた頃、ドイツはフランスの原発を潰すため、まさに死力を尽くした。
この2国はとかく意見が合わない。その他、戦闘機や戦車の共同開発を含む軍事共同プロジェクトも暗礁に乗り上げているというから、先行きはかなり暗い。
ドイツ主導のウクライナ復興プラン
そう思っていた矢先の25日、ベルリンで突然、EUとショルツ首相主導のウクライナ復興援助のための会議が、各国の投資家や企業の代表を集めて大々的に開かれた。ショルツ氏いわく、ウクライナに対する「21世紀のマーシャルプラン」だそうだ。まだ戦争はたけなわなのに……。
実を言うとドイツは、すでにウクライナからの避難民でにっちもさっちも行かなくなっており、このまま避難民が増え続けると大変なことになる。そこでウクライナの徹底抗戦よりも、停戦の方向に舵を切り始めたのではないか。同日にはシュタインマイヤー独大統領が、キエフを電撃訪問してゼレンスキー大統領と会っている。
ウクライナのこれまでの被害総額はEU側の発表では3500億ユーロ、ウクライナ政府の試算によれば7500億ユーロ。フォン・デア・ライエン欧州委員長(ドイツ人)は復興援助会議のスピーチで、「すべてのユーロ、すべてのドル、すべてのポンド、すべての円を投資しろ。これは世界中の民主主義を守るための投資だ」と気勢を上げていたから、まもなくウクライナの瓦礫が多くの投資家や企業にとって、垂涎の的に変貌するのかもしれない。
一方、ゼレンスキー大統領は、EUが凍結しているロシア財閥の資産をウクライナの復興のために放出しろと言っている。スイスやリヒテンシュタイン辺りにたくさんありそうだが、そんな簡単に行くものかどうか?
いずれにせよ、商売上手なドイツのこと、この復興事業で儲けすぎると、またEU国の反感を買いそうだ。ところで来週31日には、ドイツのシュタインマイヤー大統領が訪日するが、何の用だろう。まさか集金……?
★★★★★★★ ★★★★★★★★★★★★★
バブル崩壊後の日本経済の「失われた30年」
★★★★★★★ ★★★★★★★★★★★★★
小泉が派遣法の改正をしたおかげで、大部分の正社員の仕事が派遣に置き換わってしまいました。日本中にフリーターが激増してしまったのも、この男のせい。
小泉内閣時代の内閣ブレーンの一人で、経済と金融の大臣を兼任し、それまで3度、政府閣僚に選べられています。その後も諮問会とか委員会によく政府から呼ばれている人ですね。
慶應義塾大学総合政策学部の教授で、学歴も相当なもの、人材派遣業のパソナグループの会長でもあります。他にかなりの役職を受け持つ、まぁ多忙な人ですね。
2008年には韓国政府のアドバイザーとして顧問団に迎えられたり、小泉時代に総務大臣兼郵政民営化担当大臣に登用されて、郵政民営化推進で、自民党内部からも猛批判を受けた人です。
政策は
・所得税の最高税率を引き下げ(所得1000万円まで累進課税とする)
・解雇規制を緩和する
・同一労働同一賃金の法制化
・民間でできることは民間へ
以上は実現できていないか、あるいは骨抜きって感じで、多くは自民党内部の反対で押し切られていたみたいですね。
発言としては、財政悪化の要因は国債発行の乱発で日本の財政寿命は約3年とか、若者に自由を謳歌してもいいが引き換えに貧しくなるのも自由だ、頑張って成功した人の足を引っ張るななどがあります。
また格差社会の要因の一つは正社員という特権であるということもテレビで発言してますね。
平蔵を国賊と言ってる人たちは、恐らくバブル崩壊以後の失われた20年(30年?)の時代に、あまり良い事がなかった人が、非正規雇用を生み出したのは竹中のせいとか、自己責任ばかりが横行したのは平蔵のせいだ!と思っているからでしょうね。
また「時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのはおかしい」と、まぁ私は定時に帰れという意味で、労働者の質の問題に触れていると思うのですが、これを悪く取る人もいたようです。
比較的合理的な理論で押し切るタイプの人ですが、やっぱり学歴・職歴が凄いのと、ズバズバ歯に衣着せぬ物言いの人なので、ものすごく好き嫌いが別れる人ではあると思います。特に既存の経済評論家や保守派の人には相当嫌われているようで。
人材派遣法の歴史は?
日本における派遣法の歴史
派遣法が施行されたのは、1986年7月1日です。 しかし、それ以前から人材派遣のようなことをしている会社は存在していました。 1980年代に入って雇用される労働者が増え、また業務請負という形態で派遣していたため、労働者保護の観点から派遣法が施行されることになったのです
労働者派遣法の歴史 荒井大
【派遣法の歴史】
[1985年(中曾根内閣)]
派遣法が立法される。
派遣の対象は「13の業務」のみ
[1986年(中曾根内閣)]
派遣法の施行により、特定16業種の人材派遣が認められる。
[1996年(橋本内閣)]
新たに10種の業種について派遣業種に追加。合計26業種が派遣の対象になる。
[1999年(小渕内閣)]
派遣業種の原則自由化(非派遣業種はあくまで例外となる)
この頃から人材派遣業者が増え始める。
[2000年(森内閣)]
紹介予定派遣の解禁。
[2003年3月(小泉内閣)]
労働者派遣法改正
例外扱いで禁止だった製造業および医療業務への派遣解禁。専門的26業種は派遣期間が3年から無制限に。
それ以外の製造業を除いた業種では派遣期間の上限を1年から3年に。
[2004年(小泉内閣)]
紹介予定派遣の受け入れ期間最長6ヶ月、事前面接解禁。
*鳩山政権による派遣法改正の動き*
1、製造業への派遣を原則禁止(常用型を除く)
2、日雇派遣、2か月以下の労働者派遣を禁止
3、登録型派遣の原則禁止(専門26業種を除く)
登録型…仕事がある時だけ雇用契約を結ぶもの。
常用型…仕事がなくても給料がもらえる(雇用契約を結べる)。
労働条件・労働基準めぐる法改正情報
http://labor.tank.jp/r_houkaisei/
派遣法 なぜ でき た?
もともと、労働基準法第6条で中間搾取の禁止が定められていますが、その規制を緩和する意味で制定されたのです。 労働者派遣法は、派遣事業の適正な運営と派遣労働者の雇用の安定、福祉の増進を目的としています。
派遣はいつから始まった?
日本の人材派遣の歴史は、1986年に「労働者派遣法」が施行されたことで始まり、これまで世の中の情勢にあわせ、何度も改正がなされてきました。
派遣法1999年の改正は?
1999年:対象業務が原則自由化となる(ネガティブリスト化) 規制緩和の波はさらに強く押し寄せ、適用対象業務の原則自由化(禁止業務のみを指定するネガティブリスト化)が実現。 一方で、建設、港湾運送、警備、医療、物の製造業務が禁止業務とされます。
人材派遣業の儲けの仕組み
人材派遣会社では、自社で雇用する派遣社員の労働力を派遣先の企業に提供することで「マージン」を上乗せした報酬を得ることで利益を出しています。 このシステムから、人材派遣業は「ピンハネ業だから楽して儲けている」などと揶揄されることがありますが、実際にはそれほど大きな利益があるわけではありません。
有期雇用派遣社員として働ける期間は最大3年
これは、2015年の派遣法改正により定められた内容です。 以前は派遣期間に制限はなく、派遣社員として長期間同じ部署で働くことができましたが、2015年の派遣法改正により「働けるのは3年間だけ」というルールに変更されました。
すぐに辞めてしまう理由
派遣で来た方がすぐ辞めてしまう主な理由としては次のようなことが考えられます。
仕事内容に馴染めない(未経験者が作業の手順や方法を理解できない)
職場に馴染めない(社内での決まりごとや雰囲気など)
地域や環境に馴染めない(他の地域から働きにきた場合など)
困ったことを相談できる人がいない(職場トラブルや将来のキャリアプランなど)
事前の研修や、就業後のフォロー体制などがない派遣会社だと、就業の前と後でのギャップが生じてしまい、「馴染めない…」と感じる機会が多くなります。
また、相談に乗ってくれる人がいないことで、不安や不満が退社に直結してしまうのです。
最初はほんの小さな「嫌だな…」と思う気持ちから始まったとしても、誰もフォローしてくれないために次第に勤務から足が遠のいてしまい、無断欠勤を続けた結果、そのままフェードアウトする。
派遣社員 何が問題?
単調な仕事や、いわゆる「誰でもできる仕事」を任されるため“やりがい”は生まれにくい特徴があります。 また仕事のやり方や方針に対して基本的に口を出すことができないため、働くことのモチベーションは維持しにくいでしょう。 なぜならそれが「派遣社員」の本質だからです。
派遣 時給上がった なぜ?
派遣は正社員と待遇が異なり、実際に働いた時間分のお金しかもらうことができません。 ボーナスや昇給などは基本的になく、企業によっては交通費の支給もありません。 そのため、その分が時給に上乗せされた形となり、高い時給に反映されているのです。
グループ内派遣のメリットは?
またグループ内派遣は、法律に則って雇用された派遣社員や正社員を雇うよりも、人件費を削減できるのが特徴です。 そのためグループ内派遣を許せば、専ら派遣のときと同様、企業はグループ内派遣からの派遣労働者ばかりを受け入れるようになり、正社員や法律に則った派遣社員の雇用を妨げることになりかねません。
派遣法 違反 どうなる?
当該法律に違反すると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金刑が科せられます。 また、派遣先企業が更に派遣を行うことで利益もあげていた場合、労基法6条が規制する「中間搾取の排除」に該当するため、労基法違反にもなり、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金刑が科せられます。
なぜ派遣はダメなのか?
短期間での派遣就業では、労働者の収入が不安定になります。 また派遣会社、派遣先企業共に適正な雇用管理をすることが難しいという判断から、2012年の改正労働者派遣法で、日雇い労働者(日々もしくは30日以内雇用期間)の派遣は原則禁止となりました。 日雇派遣は条件に当てはまれば、派遣が認められています。
派遣が多い会社 なぜ?
まず、派遣会社が多い理由を室伏氏に聞くと「大手企業が人件費を削減したいがために、政府に構造改革を促した影響です」とキッパリ。 「企業としては人件費、社会保険料の負担が大きく、どうしても抑えたいコストです。 そこで大手企業を中心に構成されている経団連が自民党に働きかけ、派遣法の改正に踏み切らせました。
正社員 派遣 どっちが稼げる?
短期的に見た時、派遣の方が稼げるとお伝えした理由は、派遣の時給に高さにあります。 例えば月給25万円の正社員の場合、時給換算すると大体1500円程と言われています。 一方派遣はというと、条件の良い案件なら時給1800円という求人もあります。 正社員のように週5で8時間働く場合、月給は約32万円となります。
派遣社員 年収 いくら?
令和2年度の派遣社員の全国平均年収は約374万円でした。 専門性が高い職種ほど給料が高く、三大都市圏とそれ以外との地域差は、年収にして約54万円になります。 派遣社員の給料は人材派遣会社から支払われ、月末締め翌月給料日支払いであることが一般的です。
WDBのマージン率は?
どの派遣会社でもマージンはあるのですが、WDBはその率が高いです。 基本的なマージン率は「25%〜30%」とされているのですが、WDBでは34%に設定されています。
派遣 女性 多い なぜ?
一方、派遣社員という働き方を選んだ理由として女性がもっとも多く選んだのは「働く日数・期間を選べる」という選択肢でした。 同じ調査の中で今後も派遣社員として働きたいと答えた男性は3割にとどまったのに比べ、女性は4割と比較的高い割合を示しています。 派遣女性の中には、家事や育児しながら働いているという方も少なくありません。
フリーターと正社員 どっちが稼げる?
フリーターと正社員では、基本的に正社員のほうが高収入の傾向にあるようです。 厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概要『雇用形態別にみた賃金』(p1)」によると、フリーターを含む非正規雇用の平均月収は男女計で21万4,800円。 正社員の平均月収は32万4,200円とされています。
派遣 1日いくら?
厚生労働省は、業種ごとの派遣料金の費用相場を公開しており、2021年4月時点では2020年度の結果が公表されています。 専門的な技術や知識が必要な職種の場合、1日あたりの平均料金は20,000~30,000円、それ以外の職業は10,000~20,000円が派遣料金の相場です。
派遣 1時間 いくら?
営業職種従事者の1人あたり1日8時間の平均派遣料金は2万1,083円、1時間あたりの平均派遣料金は2,635円となっています。
派遣会社 どれくらい抜いてる?
公表されていた派遣会社のピンハネの実態
私のように、フルタイムの派遣社員として働いている場合の、一般的な派遣料金の内訳。 派遣社員のお給料は、派遣先企業が派遣会社に払う「派遣料金」の70%。 30%が派遣会社の取り分。 派遣会社は派遣料金の30%をピンハネしてる!?
派遣 最低 賃金 2022 いくら?
2022年は10月1日から【時給1,072円】に改正されます。 この最低賃金は東京都内に派遣中の労働者を含みます。
派遣社員の人口は?
派遣の現状 | 一般社団法人日本人材派遣協会 2020年1~3月平均の派遣社員数は約143万人となりました。 雇用者全体(5,661万人、役員除く)に占める派遣社員の割合は2.5%となり、この割合は15年ほど大きな変化は見られず2~3%を推移しています。
なぜ派遣会社が多いのか?
まず、派遣会社が多い理由を室伏氏に聞くと「大手企業が人件費を削減したいがために、政府に構造改革を促した影響です」とキッパリ。 「企業としては人件費、社会保険料の負担が大きく、どうしても抑えたいコストです。 そこで大手企業を中心に構成されている経団連が自民党に働きかけ、派遣法の改正に踏み切らせました。
なぜ派遣はダメなのか?
単調な仕事や、いわゆる「誰でもできる仕事」を任されるため“やりがい”は生まれにくい特徴があります。 また仕事のやり方や方針に対して基本的に口を出すことができないため、働くことのモチベーションは維持しにくいでしょう。 なぜならそれが「派遣社員」の本質だからです。 派遣会社にとっての派遣社員は人的資源。
派遣会社のリスクは?
一番想定されうるリスクとしては、派遣事業で保有している集客チャネルや人材プールに、正社員雇用を希望する人材が少ないことや、経歴やスキルの関係から採用企業側の正社員としての採用ニーズがあまりないことがあげられます。
派遣社員 なぜ生まれた?
バブル崩壊以降、年功序列、終身雇用といった日本独特の雇用の在り方が問われ正社員のリストラが目立つようになってきた時期がありました。 そこで企業が求めたのが派遣社員です。 必要な期間、必要なポジションに労働力を充当できるのは企業にとって大きな魅力だったのかもしれません。 それに加えて、働く側の意識の変化があります。
派遣の悪いイメージは?
派遣のイメージは正社員に比べ、重要な仕事ややりたい仕事をやらせてもらえないイメージがあります。 人間関係ができて、気心がしれたころに辞めてしまう印象が強いので、仕事にまつわる悩みなどの相談がしづらいイメージがあります。 いつ雇用期間を切られるのかが全く予想できないため、将来に対して不安のある働き方だと思います。
派遣の仕事は何歳まで?
派遣に年齢制限はない
派遣労働者に年齢制限はなく、60歳以上で働いている方も存在します。 派遣会社への登録も、年齢制限はもちろん、性別や学歴、職歴、資格、スキル、経験などの条件も設けられていません。 即戦力として資格やスキル、経験が求められるイメージがあるものの、未経験者を歓迎している会社も数多くあります。
使えない派遣社員の特徴は?
「使えない……」交代になりやすい派遣社員の特徴
能力が自社の求める水準に達していない ...
能力に関して改善が見られない ...
注意やアドバイスに対して不機嫌になる ...
職場の規則に従ってくれない ...
派遣社員への教育内容を再考する ...
職場環境をチェックしてみる ...
交代を要請する ...
派遣元を変える
派遣社員の教育は 誰が する?
派遣スタッフの教育訓練に関しては、雇用主である派遣会社が実施すべきですが、派遣先の業務に密接に関連した教育訓練については、実際の就業場所である派遣先が実施することが適当であるとし、派遣先の正社員と同様の教育訓練を受けさせることが義務化されました。
派遣法改正案は「正社員の雇用」を守るためだった!?
非正社員は誰も救われない“矛盾と罠”
――国際基督教大学 八代尚宏教授インタビュー
2010.12.2
今年3月に閣議決定し、国会審議が行われていた労働者派遣法改正案は、首相交代などの混乱のなか、継続審議となった。08年秋の世界同時不況後、派遣労働の規制強化に向けた世論の高まりとともに注目を浴び、登録型派遣や製造業務派遣の原則禁止を柱とする本法案。今後、再審議で成立したとして、本当に非正社員は救われるのだろうか。検証するとともに、非正社員が真に救われる働き方やそれを担保する制度について、国際基督教大学の八代尚宏教授に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)
派遣法改正でも正社員は増えない
むしろ失業者が増える可能性も
――「派遣の原則禁止」を目指した派遣法改正案だが、これが実現すれば本当に非正社員は救われるのだろうか。派遣法改正案の問題点とともにお教えいただきたい。
それを明らかにするためには、まず派遣労働の規制緩和がなぜ行われたかを考えなければならない。
そもそも派遣社員などの非正社員の増加は、「小泉政権における新自由主義的な構造改革によってもたらされた」という認識が広まっているが、これはまったくの誤解である。なぜならこの規制緩和は、1999年に派遣労働の雇用機会の拡大と保護強化を目的とした国際労働機関(ILO)第181号条約に日本が批准したことに基づいており、2001年に成立した小泉政権誕生以前の話であるからだ。
この条約は、欧州を中心に失業率が高止まりしている状況下で、失業率を低下させるためにも有料職業紹介や派遣労働を容認し、不安定でも雇用機会を増やすことが先決だという事情から生まれたもの。日本も批准し、それ以前の派遣先の職種を厳しく制限した「原則禁止・例外自由」を逆転して、「原則自由・例外禁止」へと原則を大転換した。これに伴い、「当分の間」禁止となっていた製造業への派遣が、2004年に自由化されたに過ぎない。
したがって、規制緩和の目的は「雇用機会の拡大」にあったわけだから、それを元に戻して規制を強化をすれば、結果も逆になるのは当然だ。
朝日新聞が全国主要100社を対象に行った「派遣が禁止された場合の対応」へのアンケート(09年11月実施)によると、「他の非正社員に置き換える」(契約社員:36社、請負・委託:30社、パートタイム:22社)のがほとんどで、「正社員の増加で対応」はわずか15社だった。
小泉労働法制「改革」についての雑感
静岡県労働研究所 理事長 大橋 昭夫
小泉内閣は、昨年6月27日労働基準法の一部を改正する法律を成立させ、これが本年1月1日から施行されている。 この詳細については触れないが、この改正法は、有期労働契約の契約期間の上限の延長、有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準、解雇権濫用法理の明文化、裁量労働制の一層の拡大を実現したもので、解雇規制を除き労働者に対して、大きな苦難を強いたものと評価される。 この改正は、もっぱら日本経団連の意向に沿うもので、この推進勢力は、小泉総理大臣のブレーンで総合規制改革会議議長宮内義彦オリックス会長を中心とするグループであったと言われる。 宮内議長は、「鉛筆型の人事戦略」を唱え、少数のコア社員を細い芯とし、これのみを保護し、その周りの木の部分に成功報酬型の社員を、さらに、その周りにパートタイマーや派遣労働者を配置し、これらの木の部分を必要に応じて調整することが、グローバル経済を勝ち抜く今後の経営戦略であることをあからさまに述べている。自分が生き抜くためには、大多数の労働者の生活など視野に入らないのである。 今回の労基法の改正は、労働者派遣法の「改正」による派遣業種の一層の拡大と相俟って、我が国の正規労働者の数を著しく減少させ、これをパートタイマー、派遣労働者等の不安定労働に代替させるものであって、わが国社会の労働秩序を根底から破壊することになる。 厚生労働省は、今回の改正法案の提出にあたって、「今日、我が国の経済社会においては、少子高齢化が進み労働力人口が減少していく一方、経済の国際化、情報化等の進展による産業構造や企業活動の変化、労働市場の変化が進んでいる。このような状況の下で、経済社会の活力を維持、向上させていくためには、労働者の能力や個性を活かすことができる多様な雇用形態や働き方が選択肢として準備され、労働者一人一人が主体的に多様な働き方を選択できる可能性を拡大すること、働き方に応じた適正な労働条件が確保され、紛争解決にも資するよう労働契約など働き方にかかるルールを整備すること、これらの制度の整備、運用に際しては、労使によるチェック機能が十分に活かされるようにすることなどを基本的な視点とする」と説明しているが、この視点は、余りにも労働者の生活実態を知らない「綺麗事」であり、役人の文章である。 私が指摘するまでもなく、わが国の経済社会の活力を維持、向上させていく最良の手段は、雇用の確保であり、人間らしい生活をするのに必要な賃金の保障である。 厚生労働省のいう「多様な雇用形態や働き方」という概念は空漠としており、その内容が如何なるものか明確でないが、派遣労働や有期契約による労働、更には残業代を回避するための裁量労働であると察しはつく。 これらの労働形態は、いずれも不安定雇用であって、多様な働き方を実現し、それが豊かな生活につながる契機となることは経験則上ありえない。 私の弁護士としての経験からすると、労働者は少々他と比べて賃金が低いとしても、雇用が安定的に確保され、将来の生活の見通しが立つ時にこそ、労働生活においても主体性を発揮でき精神的にも自由になれるものである。 いま、労働者の自己破産の申し立て件数が激増し、それがわが国の平均的な法律事務所の日常的業務になっている。 私もこの種の事件を数多く取り扱うが申し立てをする労働者の所得が低く、そのうちの少なくない者が、派遣労働者、有期契約労働者、フリーターであり、その所得水準が生活保護基準以下である者も存在する。 多様な雇用形態や働き方は、私の実感からすると、使用者の身勝手や彼らの生存権のみを保障するもので、労働者に対し永久に社会底辺に沈殿させる効用しかないように思われる。 私は、西ヨーロッパに見られる如く、「共生き」の思想を前提とした労働ルールの確立こそ、社会発展の源泉であると考えるし、小泉内閣の方向は、社会の不安定化を招来させることにしかならないと思う。 今回の労基法の改正で評価できる点は、唯一解雇権の制限法理が法文上明らかになったことのみである。 この規定は、小泉内閣の原案では、「使用者は、この法律又は他の法律の規定によりその使用する労働者の解雇に関する権利が制限されている場合を除き、労働者を解雇することができる。但し、その解雇が、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と解雇が原則自由になっていた。しかし、労働者の反対があり、最高裁で確立した解雇権濫用法理の精神に立ち帰り、現行の「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労基法18条の2)となったのである。 これは、西ヨーロッパ諸国の解雇制限法に比べると極めて簡単な条項ではあるが、それでも法規範として、すべての裁判官の判断を拘束するもので一歩前進だと評価できる。 小泉構造改革は、今やすべての面にわたって失敗しているが、更なる労働「改革」は、労働者の生活をより一層困難にするもので、働く人々は、思想、信条、潮流、傾向を超えて、この流れに対抗する必要があろう。 わが国に憲法の精神に忠実な「働くルール」が確立されることを切に望むものである。それが真の意味での労働改革である。
破たんした小泉「構造改革」 社会と国民に何もたらした
貧困と格差 際限なし
「官から民へ」「改革なくして成長なし」―。ワンフレーズ政治で「構造改革」路線をひた走った小泉純一郎政治。その「本丸」とされた郵政民営化問題で、麻生太郎首相が迷走発言を続けるなか、小泉純一郎元首相や竹中平蔵元経済財政担当相らがマスメディアに盛んに登場し、「構造改革」路線の“復権”をはかる動きもみられます。「痛みに耐えれば、明日はよくなる」どころか、「生きていけない」と悲鳴があがるほどの貧困と格差の惨たんたる状況に国民を追い込んだのが「小泉改革」でした。歴史の審判はすでに下っています。
雇用のルール破壊
「派遣切り」・ネットカフェ難民
東京のど真ん中に、五百人もの人たちが衣食住を求めて集まった「年越し派遣村」。大企業の理不尽な「非正規切り」で「人間としての誇りを奪われた」「自殺も考えた」との声が渦巻きました。貧困を目に見える形でつきつけ、政治を動かしました。
「派遣村」に象徴される「使い捨て」労働の深刻な広がりは「構造改革」の名によるリストラの促進や労働法制の規制緩和がもたらしたものです。
この十年間で正規労働者が四百九万人も減り、その代わりに、非正規労働者が六百六万人も増えました。
自民、公明、民主、社民などの各党が賛成した一九九九年の労働者派遣法改悪。派遣労働を原則自由化し、「派遣」という形での「使い捨て」労働の増加に拍車をかけました。
二〇〇一年に発足した小泉内閣は、「構造改革」を加速。まず「不良債権処理」の名で中小企業つぶしをすすめ、〇三年には、企業がリストラをすればするほど減税をするという「産業再生」法を延長・改悪し、大企業のリストラを後押ししました。
一方、派遣法を改悪し、〇四年三月からは製造業への派遣を解禁しました。この中で、もともと危ぐされていた派遣労働者の労働災害が増加。〇七年の死傷者数(五千八百八十五人)は、〇四年と比べると九倍という激増ぶりを示しました。
ネットカフェで寝泊まりしながら「日雇い派遣」で働く若者の姿が、底なしに広がる「働く貧困層」の象徴となりました。
ギリギリの生活を強いられている派遣労働の実態が大問題になり、日本共産党の論戦とあいまって政府でさえ派遣法の見直しを言い出さざるをえなくなりました。労働分野の規制緩和が破たんしたことは明確です。
しかし、米国の金融危機に端を発した景気悪化を口実に、〇八年後半、大企業は製造業を中心に大量の「派遣切り」「期間工切り」を始めました。被害は日増しに広がり、今日の日本社会を覆う最大の社会問題になっています。
景気のいいときには、正社員を派遣や期間工に置き換えて大もうけをし、景気が悪化したらモノのように使い捨てる―この大企業の横暴勝手を容易にする仕組みを作ったのが、労働の「構造改革」であり、今日の事態は、まさに政治災害そのものです。
社会保障の連続改悪
医療崩壊・国保証取り上げ
「わずかな年金は減らされたうえ、保険料の天引きは容赦ない」「病気になってもお金がなければ病院にもいけない」―。「構造改革」による社会保障の連続改悪によって、こんな苦難が国民を襲いました。
その大もとにあるのが、小泉内閣が決めた社会保障費の抑制方針です。二〇〇二年度から毎年、社会保障費の自然増分から二千二百億円(初年度は三千億円)削減されてきました。
抑制の対象は医療、介護、年金、生活保護と社会保障のあらゆる分野に及び、庶民への痛みの押し付けの結果、「生きること」自体が脅かされる実態が広がっています。
医療分野では、国民の負担増に加え、医療費削減を目的に医師数の抑制政策を続けたため、救急患者が救われない医師不足が社会問題化し、「医療崩壊」と呼ばれる事態が出現しました。
高すぎる国民健康保険料が払えずに正規の国保証を取り上げられた世帯は約百五十八万世帯にまで広がっています。受診を控え、手遅れで死亡する例は後を絶ちません。
そのうえ、国民生活の最後の命綱である生活保護さえ切り縮められました。老齢加算の廃止で、「朝はパン一枚、昼はうどん」「暖房費節約のため、ストーブをつけず布団に入る」「風呂の回数を減らす」など生活の根幹まで切り詰めざるをえない実態です。(〇八年一月、全日本民主医療機関連合会の調査報告)
こうしたなか、昨年四月に導入された後期高齢者医療制度に、国民の怒りが爆発しました。同制度に対する不服審査請求は全国で一万件超。「『高齢者はいずれ死を迎える、お金も手間もかけなくてよい』という、人間性を喪失した制度だ」などの怒りの声があふれています。
日本医師会など医療関係四十団体は〇八年七月、「社会保障費の年二千二百億円削減撤廃」を決議。国民の批判は、小泉内閣がしいた二千二百億円の削減路線そのものに向けられはじめました。
自公政権は社会保障費の削減路線の転換は明言しないものの、〇九年度予算案で一時的な手当てを行い、社会保障費の実質の削減幅は二百三十億円に“圧縮”せざるをえなくなっています。第二次小泉改造内閣で厚労相だった自民党の尾辻秀久議員でさえ、一月三十日の参院本会議で「乾いたタオルを絞ってももう水はでない。潔く二千二百億円のシーリングはなしと言うべきだ」と述べるなど、社会保障費削減路線の破たんを認めざるをえなくなっているのです。
庶民負担増 大企業は減税
7年間で国民に50兆円近くも
小泉政権以来の増税などで国民負担は、年間十三兆円も増えました。二〇〇二年度から〇八年度まで七年間の国民負担増を累計すれば、五十兆円近くになります。
その一方で、大企業・大資産家への減税は、一九九八年以降の十年間に行われたものだけでも、大企業に年間五兆円、大資産家に年間二兆円、あわせて年間七兆円以上になっています。十年間の累計では、四十兆円もの税収が失われました。
地方の切り捨て
激減する交付税・農業破壊
「交付税が四割減って半分も補てんされない」「このままでは吉野は死んでしまう」
昨年七月。奈良県吉野郡で開かれた日本共産党の演説会に先立ち、市田忠義書記局長と懇談した地元町村長らから、こんな嘆きの声が率直に寄せられました。
「地方ができることは地方へ」をうたい文句に自民・公明政権が強力に推進した「三位一体改革」は、農山漁村の自治体を存亡の危機にまで追い詰めています。
実際、「三位一体改革」が断行された二〇〇四年から三年間で、国庫補助負担金は四・七兆円、地方交付税は五・一兆円がそれぞれ削減されました。一方、国から地方への税源移譲はわずか三兆円しかありません。地方自治体にとっては差し引き六・八兆円のマイナスです。
全国知事会は昨年七月の知事会議で、このままでは一一年度までに地方自治体の財政が破たんするという衝撃的な試算を発表しました。とりわけ地方交付税が財政に占める比重が高い町村の財政は深刻です。
「地方交付税の削減など、国による兵糧攻めからの生き残り策」「周辺町村が財政破たん寸前だった」。全国町村会の「道州制と町村に関する研究会」が昨年十月にまとめた調査報告でも、市町村合併の理由の柱に「三位一体改革」による交付税削減を指摘する声が相次ぎました。
国会でも、鳩山邦夫総務相が「急激にやりすぎた。失敗の部分がある」(十二日、衆院本会議)と答弁。「三位一体改革」の破たんを認めました。
また、輸入自由化の促進による農業破壊、大型店の進出による商店街の「シャッター通り」化など、地方経済の冷え込みも深刻です。
しかし、自民党は、こうした“地方切り捨て”を反省するどころか、一〇年三月末の合併特例新法の期限切れを前に「おおむね七百から千程度の基礎自治体に再編」すると、いっそう合併を推進することを主張。さらに、政府は「時代に適応した『新しい国のかたち』をつくる」として道州制の導入を掲げています。
こうした動きには全国町村会が「強制合併につながる道州制には断固反対していく」と明記した特別決議を採択するなど、痛烈な反撃が巻き起こっています。
経済ゆがみ、ぜい弱に
「戦後最悪の経済危機」(与謝野馨経済財政担当相)―。内閣府が十六日発表した二〇〇八年十―十二月期の国内総生産(GDP)が実質で前期比3・3%減(年率換算12・7%減)となったニュースは、衝撃を与えました。金融危機の震源地である米国よりも急激な落ち込みだったからです。なぜこんなことになったのか。ここにも、背景に小泉内閣いらいの「構造改革」があります。
極端な輸出依存
「衝撃 石油危機以上 輸出依存体質響き」(「毎日」十七日付)、「外需依存の成長 岐路」(「日経」同)、「外需頼み 転換カギ」(「読売」同)といった見出しが商業メディアに目立ちました。極端なまでに輸出に依存した「経済成長」の破たんです。
「構造改革」を掲げた小泉内閣が発足(〇一年四月)して以来の変化をみてみましょう。内閣府のGDP統計によると、所得や個人消費は低迷しているのに、輸出が極端に伸び、〇八年に失速します。財務省の法人企業統計をもとに、製造業大企業(資本金十億円以上)の〇一年度と〇七年度を比較すると、経常利益は二・二五倍に増えています。ところが、従業員給与は〇・九八倍と減っています。大幅に増えたのは株主への配当と社内留保です。一方、民間信用調査会社の調査では、法的整理による企業倒産が増えています。ほとんどが中小企業です。
自動車、電機など輸出大企業を中心に従業員や中小企業・業者にしわ寄せする形で、大もうけし、もっぱら株主に還元するという構図です。
財界全面後押し
こうした企業体質をつくり出したのが、「構造改革」だったと、日本経団連会長の御手洗冨士夫キヤノン会長が述べています。
「これは、何といっても構造改革の進展がもたらしたもの」「多くの企業でも、筋肉質の企業体質が形成されている。過剰設備や過剰債務、過剰雇用という、いわゆる『三つの過剰』は完全に解消している」(〇八年六月十九日の講演)
文字通り、財界の全面的な後押しで推進されたのが小泉流「構造改革」でした。
財界が求める雇用など「三つの過剰」の解消を推進するテコと位置づけられたのが不良債権の強引な早期最終処理です。
小泉内閣が最初につくった「骨太の方針」(〇一年六月)は、不良債権処理の加速を通じて「効率性の低い部門から効率性や社会的ニーズの高い成長部門へとヒトと資本を移動することにより、経済成長を生み出す」とうたいました。小泉内閣は、リストラすればするほど減税する「産業再生」法を拡充、製造現場への労働者派遣を解禁しました。
懸念したことが
この結果、「成長」したのは、「筋肉質」になった輸出大企業や大銀行だけでした。「不良債権」扱いされた中小企業は倒産に追い込まれ、大量の失業者が生まれ、正社員から賃金の安い非正規社員への置き換えが進みました。
あまりにも、国内経済を脆弱(ぜいじゃく)にしてしまった「構造改革」。政府の「ミニ経済白書」(〇七年十二月)でさえ、輸出は増加しているが、家計部門が伸び悩むなか、米国経済など海外リスクが顕在化した場合、景気は「厳しい局面も予想される」と懸念していたことが現実のものとなりました。
推進者がいま「懺悔の書」
小泉流「構造改革」をめぐり居直る竹中平蔵元経済財政・金融担当相と対象的に「懺悔(ざんげ)の書」を書いたのは、中谷巌氏。小渕内閣の経済戦略会議の議長代理として「構造改革」の提言をまとめた中心人物です。竹中氏も同会議のメンバーの一人でした。
中谷氏は自著『資本主義はなぜ自壊したのか』のなかで、「一時、日本を風靡(ふうび)した『改革なくして成長なし』というスローガン」にふれ、「新自由主義の行き過ぎから来る日本社会の劣化をもたらしたように思われる」として、「『貧困率』の急激な上昇は日本社会にさまざまな歪(ゆが)みをもたらした」と指摘。「かつては筆者もその『改革』の一翼を担った経歴を持つ。その意味で本書は自戒の念を込めて書かれた『懺悔の書』でもある」と書いています。
郵政民営化矛盾が噴出
小泉内閣が「構造改革」の本丸と位置付けた郵政民営化。その矛盾が噴出しています。
「私は郵政民営化を担当した大臣」(二〇〇八年九月十二日、自民党総裁選の討論会)と自認する麻生太郎首相。その麻生首相が「(郵政事業の四分社化を)もう一回見直すべき時にきているのではないか。小泉首相のもとで(郵政民営化には)賛成ではなかった」(二月五日の衆院予算委員会)と言い出したのは、郵政民営化の破たんを象徴しています。
当時の小泉首相が「郵政選挙」までやって強行した郵政民営化のかけ声は「官から民へ」「民間でできることは民間で」「貯蓄から投資へ」でした。
「民間」といっても日米の大手金融機関のことです。もうけのじゃまになる郵便貯金、簡易保険などの郵政事業をバラバラにするのが四分社化でした。
「貯蓄から投資へ」といっても、庶民の預貯金を呼び込もうとしている証券市場の売買の六割以上は外国人投資家。その大半はヘッジファンドとよばれる投機基金です。庶民の虎の子の財産が食い物にされかねません。
安心、安全、便利を願う国民にとっては「百害あって一利なし」の郵政民営化。その矛盾のあらわれは小泉流「構造改革」路線そのものの破たんを物語っています。
“改革が足りないから”と居直る竹中氏だが…
小泉流「構造改革」がモデルにした本家の米国で、市場まかせの「新自由主義」路線が破たんしました。にもかかわらず、小泉流「改革」にしがみつこうとする勢力がいます。
一月一日放送のNHK番組で、小泉「改革」を推進した元経済財政・金融担当相の竹中平蔵氏は、大企業の「非正規社員切り」横行が社会問題になり、小泉「改革」に批判が強まっていることに、こう居直りました。
「大企業が非正規を増やすのは原因がある。正規雇用が日本では恵まれすぎている。正規雇用を抱えると企業が高いコストをもつ」
「同一労働同一賃金」をやろうとしたが、反対されたとし、「(年越し派遣村などは)改革を中途半端に止めてしまっているから、こういう事態が起きている」。
竹中氏が“止まっている”という「改革」の中身は、正社員の賃金水準を賃金が安い非正規社員の水準に引き下げるという意味での「同一労働同一賃金」です。大企業の総人件費を抑えるのが狙いです。これでは、働いても働いても貧困から抜け出せない「ワーキングプア」を労働者全体に広げることにしかなりません。
しかも、竹中氏は「問題は、いまの正規雇用に関して、経営側に厳しすぎる解雇制約があることだ」(「竹中平蔵のポリシー・スクール」二月一日付)として、企業業績が悪化したら従業員を抱え込まなくていいような「新たな法律を制定することが必要だ」と主張しています。正社員を含めた“解雇自由法”をつくれといっているようなものです。
一方で、「日本を元気にしないといけない」として、最優先課題にあげたのが法人税率をもっと引き下げることでした(一月一日のNHK番組)。竹中氏がかかげる「改革」はあくまで、大企業のための「改革」を徹底しろということにすぎません。
2021.09.30
国が見捨てた就職氷河期世代の絶望…バブル崩壊後の30年間で何が起きたか
当事者として、取材者として
小林 美希 プロフィール
2021年9月29日に自民党の総裁選が行われ、その後には総選挙が控えている。政治家が「中間層の底上げ」を訴えるが、考えてみてほしい。もとはといえば、中間層を崩壊させたのは政治ではなかったか。
国際競争の名の下で人件費を削減したい経済界は政治に圧力をかけた。不況がくる度に労働関連法の規制緩和が行われ、日本の屋台骨が崩れていった。最も影響を受けたのが就職氷河期世代だ。これからを担っていくはずだった若者たちが、非正規雇用のまま40~50代になった。
私が非正規雇用の問題を追って18年――。いったい、何が変わったのか。
大卒就職率6割以下の時代
1980年代には8割あった大卒就職率は、バブル経済が崩壊した1991年以降に下がり始めた。そして2000年3月、統計上、初めて大卒就職率が6割を下回る55.8%に落ち込んだ。大学を卒業しても2人に1人は就職できなかったというこの年に、私は関西地方で大学を卒業した。
その3年後の2003年3月に大卒就職率は過去最低の55.1%を更新。日経平均株価は同年4月に7607円まで下落した。この時の私はもちろん、当事者だった大学生の多くは雇用環境が激変するなかにいるとは気づかずにいた。
私の就職活動は苦戦した。約100社にエントリーシートを送り、50社は面接を受けた。神戸に住んで大学に通っていた私の就活の主戦場は大阪で、面接を受けるために毎日のように大阪周辺を歩き回った。最終的に内定が出たのは消費者金融会社の1社のみだった。
卒業後に東京で就職活動をやり直し、ハローワークに通った。新聞広告の求人を見て応募した業界紙の「株式新聞」に採用が決まった。就職試験の日、「うちは民事再生法を申請したばかりですが」と説明があり、倒産しかけた会社に就職することに悩んだが、「面白そうだ」という直感が勝った。
この株式新聞時代に出会い、後の私の記者活動に影響を与えたのが、伊藤忠商事の丹羽宇一郎社長(当時)だ。丹羽氏との出会いがなければ、私は就職氷河期世代の問題を追及しなかったかもしれない。
新人の時には経済記者として食品、外食、小売り、サービス業界を担当。商社の担当も加わり、出席した伊藤忠商事の記者懇談会で初めて丹羽氏に挨拶をする。記者に囲まれていた丹羽氏に私は「社長の役割とは何か」と聞いた。この若気の至りとも言える質問に対し、丹羽氏は真顔で「経営者とは、社員のため、顧客のため、そして株主のためにある」と答えてくれたのだった。
若者が疲れ切っている…なぜ?
株式新聞入社から1年後の2001年の初夏、毎日新聞が発刊(現在は毎日新聞出版)する『週刊エコノミスト』編集部に契約社員として転職した。私はだんだんと雑誌の仕事に慣れていき、天職と思って没頭していた。深夜や明け方に及ぶ校了作業は達成感があり、職場で夜を明かして新聞をかぶってソファで寝ていたこともあった。
これはマスコミ特有の働き方かと思っていたが、この頃、金融、製造、サービス業などに就職していった友人たちも長時間労働というケースが多かった。そのうち、充実感とは違った何かがあると感じ「なにかおかしい。若者が疲れ切っている」と首をかしげるようになっていった。
その疑問が確信に変わったのは、2003年前後に上場企業の決算説明会で経営者や財務担当役員らが強調した言葉を聞いてからだ。
「当社は非正社員を増やすことで正社員比率を下げ、利益をいくら出していきます」
2001年のITバブル崩壊から間もなくてして企業利益がV字回復し「失われた10年」が終わるかのように見えた。私はこの利益回復は非正規雇用化で人件費を削減したことによるものに過ぎないと見た。これでは経済を支える労働者が弱体化すると感じた私は、若者の非正規雇用の問題について企画を提案した。
『週刊エコノミスト』の読者層の年齢は高く、若者の雇用問題をテーマにしても読まれないという理由で、企画はなかなか通らなかった。さらに世間で浸透していた「フリーター」という言葉の印象が自由を謳歌しているイメージが強く、若者は甘いという風潮があるなかでは、ハードルが高かった。
悩んだ私は、再び、若気の至りの行動に出た。伊藤忠商事の丹羽氏にアポイントをとって、企画が通らないこと、企画が通らなければ転職したほうが良いか迷っていると人生相談をしたのだ。若者の非正規雇用化が中間層を崩壊させ、消費や経済に影を落とすと見ていた丹羽氏は「同じことを3度、上司に言ってごらんなさい。3度も言われれば根負けして上司は必ず折れるから」とアドバイスしてくれた。
私は企画が通らないまま非正社員として働く若者の現場取材を進めた。その頃、ある会合で話したコンビニ大手の社長が「息子がフリーターで……」と悩む胸の内を明かしたことがヒントになり、デスクや編集長を説得した。
「子どもの就職や結婚を心配するのは立場を超えて一緒のはず。読者の子どもを想定して、タイトルを若者とせず、娘や息子に変えたらどうか」
企画を提案し始めてから数か月経った2004年5月、ついに第2特集で「お父さんお母さんは知っているか 息子と娘の“悲惨”な雇用」を組むことが実現した。非正規雇用に関するデータを探し、マクロ経済への影響など当時は存在しなかったデータはシンクタンクのエコノミストに試算してもらった。
この特集について慶応大学(当時)の金子勝教授や東京大学の児玉龍彦教授がそれぞれ大手新聞の論壇コーナーで取り上げてくれたことで、続編が決定。第1特集となって「娘、息子の悲惨な職場」がシリーズ化した。
富の二極分化で「中間層崩壊」
この頃の若年層の失業率は約10%という高さで、10人に1人が失業していた。内閣府の「国民生活白書」(2003年版)により、2001年時点の15~34歳のフリーター数が417万人に上ると公表されると社会の関心が若者の雇用問題に向いたが、企業側の買い手市場は続き、労働条件は悪化していく。
パート・アルバイト、契約社員や派遣社員として働き、休日出勤やサービス残業の日々でも月給が手取り16万円から20万円程度のまま。正社員でも離職率の高い業界や会社での求人が多く、ブラック職場のため過労で心身を崩すケースが続出した。
社会保険料の負担から逃れるために業務請負契約を結ぶ例まで出現。大企業や有名企業ほど、「嫌なら辞めろ。代わりはいくらでもいる」というスタンスで、若者が使い捨てにされた。こうした状況に警鐘を鳴らすためには、経営者の見方を取り上げなければならないのではないか。
2005年1月4日号の『週刊エコノミスト』では、ロングインタビュー「問答有用」のコーナーで経済界の代表的な経営者であった丹羽氏に中間層の崩壊について語ってもらった。この時点で、若者の労働問題について本気で危機感を持つ経営者は私の知る限りでは他にいなかった。丹羽氏はこう語った。
富(所得)の2極分化で中間層が崩壊する。中間層が強いことで成り立ってきた日本の技術力の良さを失わせ、日本経済に非常に大きな影響を与えることになる。中間層の没落により、モノ作りの力がなくなる。同じ労働者のなかでは「私は正社員、あなたはフリーター」という序列ができ、貧富の差が拡大しては、社会的な亀裂が生まれてしまう。
戦後の日本は差別をなくし、平等な社会を築き、強い経済を作り上げたのに、今はその強さを失っている。雇用や所得の2極分化が教育の崩壊をもたらし、若い者が将来の希望を失う。そして少子化も加速する。10~15年たつと崩壊し始めた社会構造が明確に姿を現す。その時になって気づいても「too late」だ。
企業はコスト競争力を高め、人件費や社会保障負担を削減するためにフリーターや派遣社員を増やしているが、長い目でみると日本の企業社会を歪なものにしてしまう。非正社員の増加は、消費を弱め、産業を弱めていく。
若者が明日どうやってご飯を食べるかという状況にあっては、天下国家は語れない。人のため、社会のため、国のために仕事をしようという人が減っていく。
それが今、現実のものとなっている。
格差はこうして固定・拡大化した
丹羽氏のインタビューが掲載された年の8月8日、小泉純一郎首相(当時)が郵政民営化を掲げた解散総選挙に打って出て圧勝し、規制緩和路線に拍車がかかっていく。小泉郵政選挙の投開票は9月11日。その1週間後の9月18日には一般派遣の上限期間が3年とされる改正労働者派遣法が公布され、2週間待たずの9月30日施行で、いわゆる派遣の「3年ルール」ができた。
この3年ルールとは、表向きには派遣で同じ職場で3年が過ぎたら正社員や契約社員などの直接雇用にすることを促す改正だったが、実際には多くの派遣社員が3年の期間直前で契約を打ち切られることになった。同じ年に労働基準法も改正されて非正規雇用の上限期間が3年になったことで、非正社員が“3年でポイ捨て”され、非正規雇用のまま職場を転々とせざるを得ない労働環境が整備された。
1995年に旧日経連が出した「新時代の『日本的経営』」で雇用のポートフォリオが提唱され、景気の変動によって非正規雇用を調整弁とする固定費削減が図られて10年経った2005年に「3年ルール」ができた。ここが分岐点となり、日本は格差を固定化させ、格差を拡大させる路線を歩んでしまったのではないだろうか。
本来なら、2007年から団塊世代の定年退職が始まるため人手不足を補うという意味で、まだ20~30代前半で若かった就職氷河期世代を企業に呼び込むチャンスがあったはずだ。大卒就職率はリーマンショック前の2008年3月に69.9%まで回復したが、卒業後数年が経った非正社員は置き去りにされた。
問題提起し続けるために
小泉郵政選挙を機に私は、「もし自分が政治家だったら、何を問題にし、何の制度を変えていくか」ということを、より強く意識するようになった。就職活動をしていた大学時代に講座を聴いて影響を受けた、朝日新聞大阪本社の新妻義輔編集局長(当時)の言葉を思い出していた。
「人の苦しみを数字で見てはいけない。構造問題に苦しむ人が1人でもいるのなら、それを書くのが記者だ」
新妻氏は若い記者時代に森永ひ素ミルク事件(1955年に森永乳業の粉ミルクにひ素が混入して多くの被害者が出た事件)を追っていた。事件の担当医に「被害者は何%か」と数字を聞いた時に、医師から注意を受けた経験からの教訓だという。
就職氷河期世代が抱える問題は、まさに非正規雇用を生み出す法制度という構造問題が起因しているはず。それを問題提起し続けることは、私の役割なのではないか。労働問題に特化するには組織にいては限界があると考えた私は、小泉郵政選挙から1年半後の2007年、フリーのジャーナリストになった。
絶望と諦めのムードが蔓延した
第一次安倍晋三政権(2006年9月から2007年9月)が就職氷河期世代向けに「再チャレンジ」政策をとったが、政権が短命に終わるとともに支援は下火になった。2008年のリーマンショックが襲い、就職氷河期世代だけでない多くの人が職を失った。
政府は就職氷河期世代の支援というよりは、支援事業を担う民間企業を支援したと言える。国は15~34歳の「フリーター」対策の目玉政策として2004~06年に「ジョブカフェ」のモデル事業を行っており、同モデル事業を行った経済産業省から委託を受けた企業が異常に高額な人件費を計上していたのだ。
調べると、ジョブカフェ事業ではリクルート社が自社社員について1人日当たりで12万円、コーディネーターに同9万円、キャリアカウンセラーに同7万5000円、受付事務スタッフに同5万円という“日給”を計上していたことが分かった。『週刊AERA』(2007年12月3日号、同年12月10日号)でスクープ記事を執筆すると、国会でも問題視された。
このジョブカフェでは委託事業が何重にも再委託され、税金の無駄も指摘した。昨年問題になった新型コロナウイルスの感染拡大の対策で多額の委託料が電通に支払われているにもかかわらず、何重にも委託されている問題はなんら変わっていないのだ(参照「給付金『再々々々委託』の深い闇…10年以上前から全く変わっていない」)。
就職支援事業が企業の食い物にされる一方で、就職氷河期世代の非正社員がやっと正社員になれるかもしれないというところで契約を打ち切られる。そうしたことが繰り返され、いくら頑張っても報われずに絶望の淵に追いやられた。正社員になったとしてもブラック職場で追い詰められ、心身を崩して社会復帰できないケースも少なくはない。こうした状況が続いたことで、絶望と諦めのムードが蔓延した。
2010年代に何が起きたか
2009年3月に日経平均株価はバブル崩壊後最安値の7054円をつけ、2010年3月の大卒の就職率は60.8%に落ち込んだ。2012年12月に第2次安倍内閣が発足すると、あたかも「アベノミクス」によって新卒の就職率が高まったかのように見えた。しかし、それは、団塊世代が完全にリタイアするタイミングが重なったことによるもので、15~59歳の労働力人口がピーク時より500万人減っていたことが後押ししただけだった。
安倍政権が打ち出した「女性活躍」の名の下で、企業は人手不足を補うためにブランクのある“優秀な”主婦の採用に乗り出し始め、専業主婦の間には「働いていないと肩身が狭い」という意識が一時的に広がった。
一方で、相も変わらず就職氷河期世代は置き去りにされた。2015年に専門職も含めた派遣で全職種の上限期間が3年になり、同年は労働契約法が改正されて有期労働契約が5年続くと労働者が希望すれば期間の定めのない「無期労働契約」に転換できるようになった。2005年にできた「3年ルール」と同様、制度は悪用され、派遣は3年で“ポイ捨て”、非正規雇用の全般でも5年で“ポイ捨て”が広がった。
安倍政権で内閣府に就職氷河期世代支援推進室が設置され、2019年に「就職氷河期世代支援プログラム」が策定され、3年間で30万人を正社員化すると掲げたが、国は就職氷河期世代の中心層を2018年時点で35~44歳として(次ページ図)、最も支援が難しい40代後半や50歳を過ぎた層に重点を置かずにいる。そして、支援プログラムがこれまでの施策の焼き直しの域を脱しないことから、就職氷河期世代の絶望は深まった。
就職氷河期世代の非正社員「約600万人」
いったん絶望し、諦めてしまえば、どんな支援があったとしても届きにくくなる。私が就職氷河期の問題を追ってから18年が経つ。16年前のインタビューで丹羽氏が言及した通り、もはや「too late」の状況に陥っているのかもしれない。現在、35~49歳の非正社員は約600万人に膨らんでいる。もはや誰も解決の糸口を掴めないくらい、事態は深刻になる一方だ。
自民党政治の下で、製造業の日雇い派遣が解禁され、労働者派遣は今や全ての職種で期間の上限が3年になった。就職氷河期世代を置き去りにしたまま、業界団体のロビー活動も後押しして外国人労働の拡大が図られた。「女性活躍」は女性に仕事と家事と子育て、介護の両立を押し付けるだけ。「働き方改革」や正社員と非正社員の「同一労働同一賃金」も、実態は伴わない。
就職氷河期を追うなかで、そのライフステージに寄り添い、周産期医療や看護、保育の問題もライフワークになったが、全て構造問題がある。国が作る制度が密接に関わり、政治が現場を疲弊させている。新型コロナウイルスが蔓延するなか、政治の機能不全が鮮明となった。総選挙を前に、これまでを振り返らざるを得ない。
政治家にしがらみがあれば、正しいことが言えなくなる。けれど、この18年の間に分かったことがある。世論が盛り上がれば、政治は正しい方向に動かざるを得なくなるということだ。その世論を作るのが、現場の声であり、現場の声を活字にして伝えるのが私の役割だ。就職氷河期世代の問題を解決するのは困難だろう。しかし、目指すべき道が見えなくならないよう、私は書き続けていきたい。
氷河期世代がこんなにも苦しまされている根因
問題の根が深く支援プログラムでも救えない
岩崎 博充 : 経済ジャーナリスト
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2019/08/02
最近になって、政府が重い腰を上げて取り組み始めたものに「就職氷河期世代」の問題がある。「ロストジェネレーション世代」とも言われるが、2019年現在35~44歳のアラフォー世代の貧困問題と言っていい。
もっと正確に言うと、1993~2004年に学校卒業期を迎えた人である。バブル崩壊後の雇用環境の厳しい時代を余儀なくされ、高校や大学を卒業した後に正社員になれず、非正規社員やフリーターとして、その後の人生を余儀なくされた人が多かった世代の問題だ。
厚生労働省の支援プログラムは功をなすのか
この就職氷河期世代を対象とした支援プログラムが、3年間の限定付きではあるが厚生労働省の集中支援プログラムとしてスタートしている。支援対象は多岐にわたり、少なくとも150万人程度が対象者。3年間の取り組みによって、同世代の正規雇用者を30万人増やすことを目指している。
もっとも、わずか3年の支援プログラムで就職氷河期世代が背負った「負のスパイラル」が断ち切れるとは到底思えない。もっと継続的で長期のスパンに立った構造的改革を実施すべきだ……、という意見も数多い。
全国の自治体が取り組む「ひきこもり対策」もその効果を期待する声は多いものの、成果については疑問の声も多い。
就職氷河期世代とはいったい何だったのか。いまなお、同世代1689万人(2018年)のうち約371万人が現在も正規就労できずに、フリーターやパートの人がいると言われる。推定で61万人いると言われる40~64歳の「中高年ひきこもり」も、この世代の割合が突出しているとされる。
因果関係を立証はできないが、京都アニメーション放火殺人事件を起こしたのは41歳の男だった。最近の凶悪犯罪に、この世代の姿が目についていると感じている人もいるのではないか。世帯別の平均月収を5年前と比較すると、35~44歳の世帯の給与だけが低いというデータもある。「アラフォー・クライシス」とも言われるが、この世代の人々が抱える闇とは何か。彼らを救うために社会はどうすればいいのか。
就職氷河期世代と呼ばれる人々が どんな人生を歩いてきたのかはすでによく知られている。生まれて以降、社会人になるまでは比較的順風満帆で、バブル経済の恩恵を受けて学生時代までは恵まれた人生を歩んだ人が多かった。
ところが、学生から社会人になる際に日本は空前の不況に見舞われる。
氷河期世代が体験した無間地獄
1990年代後半から2000年代前半にかけて、日本経済はどん底とも言えるような状態にあった。1990年代前半に不動産バブルが崩壊し、その後世界的な景気後退期にさしかかり、1997年にはアジア通貨危機が世界を襲う。日本では、山一證券が経営破綻し、北海道拓殖銀行など金融機関の連鎖破綻が起きたときでもある。
さらに、2000年にはアメリカ発のITバブル崩壊が起こる。日本も大きな影響を受け、1990年代後半から2000年代前半に就職活動を行った世代は、厳しい就職氷河期にさらされる。とりわけ2000年前後は、大卒でも2人に1人しか就職できない時代を経験することになる。
同世代の非正規社員は371万人(2018年、総務省統計局、労働力調査基本集計より)で、正規雇用を希望しながら非正規雇用で働いている人は50万人に達する。非労働力人口のうち、家事も通学もしていない無業者も約40万人いる。
こうした現実に、厚生労働省も2018年度から就職氷河期世代を正社員として雇った企業に対する助成制度をスタート。「35歳以上60歳未満で、正規雇用労働者として雇用された期間が1年以下、過去1年間に正規雇用されたことがない人」を正社員として雇った企業に助成金を出すというものだ。
「特定求職者雇用開発助成金(長期不安定雇用者雇用開発コース、2019年4月より安定雇用実現コースに変更)」と呼ばれる制度で、無職や非正規社員を正社員として採用した中小企業に対して、1人当たり第1期30万円(大企業は25万円)、第2期30万円(同)、合計で60万円(同50万円)を1年間支給する制度だ。ハローワークを通して、求職活動することが条件になる。
一方、内閣府がこの6月に発表した文書によると、政府を挙げて3年間の集中支援プログラムを実施。次のような人を支援対象としてざっと100万人を救済するという。
①正規雇用を希望していながら不本位に非正規雇用で働く者(少なくても50万人)
➁就業を希望しながら様々な事情により求職活動をしていない長期無業者
③社会とのつながりを作り、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者など
具体的には、「安定就職に向けた支援プログラム」 「就職実現に向けた基盤整備に資するブログラム」「社会参加実現に向けたプログラム」などを立ち上げ、民間企業や市町村などと連携しながら就職氷河期世代の自立を促すとしている。
「40歳前後への職業訓練は無意味」「10年遅い」という批判も多いが、実際にこれまで政府は「自己責任論」を盾に同世代への支援には手を付けてこなかった。しかし、未婚率の高止まりや人口減少の原因の1つであることが明白となり、政府も腰を上げざるをえなくなったというのが真相だ。
ちなみに、この世代が注目されたのは、朝日新聞が今から10年以上前に同世代を「ロストジェネレーション」と名づけて、悪戦苦闘する人々をテーマにキャンペーン報道を行ったことがきっかけだ。
今後の日本の大きな問題になると指摘し、大量退職を迎えていた団塊世代以上に注目すべき問題として取り上げている。2007年の元旦から始まったこのキャンペーン報道は、翌年のリーマンショックと重なって注目された。低い時給で過酷な労働環境を強いられながらも、ネットカフェで泊まり歩き、中には餓死する若者の姿も報道されている。
ロストジェネレーション世代という言葉は、やがて就職氷河期世代と名を変えつつ、当時25~34歳だった若者もいまや年齢を重ねて35~44歳となり、10年前に比べてやや減少したものの、いまなお厳しい生活を余儀なくされている人も少なくない。
10年前に「フリーター」や「ニート」だった世代は、いまも「非正規社員」や「引きこもり」と呼ばれ、いまなお苦しい生活を送っているのは間違いないだろう。氷河期世代の「無間地獄」という呼び方もされる。
40歳で非正規社員として、時給1000円前後で働き続ける独身の男性は「いまだに1度もボーナスを貰ったことがない」「結婚なんて夢のまた夢」「時給は上がっても物価も上がった」と証言する。
なぜ就職氷河期世代は「捨てられた」のか?
就職氷河期の悲惨さはどの程度だったのか。統計データから見ても、その現実はよくわかる。例えば、大卒の「有効求人倍率」の推移を見ると、就職氷河期に入る直前の1991年には1人の求人に対して求職数は1.4倍あった。しかし、その2年後の1993年には1倍を割り込み0.76倍まで下落する。
以後、2006年(1.06倍)と2007年(1.04倍)を除いて、2014年までの約19年間。わが国の有効求人倍率は1倍を下回って推移する。1999年には0.5倍を割込み0.48倍にまで下落。2人で1社の求人を奪い合う状態になる。リーマンショック時には、0.47倍(2009年)にまで下落している。
ちなみに、アベノミクスの開始とほぼ同時に、有効求人倍率は1倍を回復したのは事実だが、これは団塊世代のリタイアと少子化の深刻化によって人手不足が顕著になったほうが大きい。アベノミクスの成果として、有効求人倍率が1倍を超えたと単純に捉えるのは危険だ。
ここで注目したいのは、就職氷河期世代の中でもいまだに非正規雇用を余儀なくされ、最悪ひきこもりになっている原因はどこにあるのかだ。そこには、個々の責任というよりも、日本特有のさまざまな悪しき制度や仕組みが根本的な原因といえる。同世代が陥った無間地獄の原因と本質をピックアップすると、大きく分けて次の5つのポイントが考えられる。
原因その1◆日本特有の「新卒一括採用」
世界でも例を見ない新卒一括採用が、日本企業の強みであった時代はとっくに終わっているが、就職氷河期世代の人々にとつては最悪の結果をもたらした。新卒以外での中途入社が難しく、とりわけ非正規雇用だった人材の中途採用には慎重な企業が多い。2人に1人しか正社員として就職できなかった就職氷河期世代にとって、その後、正社員として雇用される機会を奪われることになった。
新卒一括採用の背景にあるのが、終身雇用制と年功序列だ。とりわけ、氷河期世代以前の好景気時に大量採用された社員があふれている現実は、運よく正社員になれた就職氷河期世代も、企業の中でこの大量採用組に苦しめられることになる。
原因その2◆大手企業の労働組合が会社側に寝返った?
戦後、日本の労働組合は強い力を持っていた。それが、高度経済成長時代を迎えてバブル景気に沸いた頃には、すっかり企業と仲良しコンビになり、バブル崩壊による大リストラ時代には、企業の言うことを素直に聞く傀儡(かいらい)団体に成り下がってしまった。就職氷河期世代が就職難に喘いでいた頃には、既存の正規社員も自己の雇用を守るのに必死となり、新卒が極端に減少していることにも目をつぶった。
企業別労働組合の限界とも言えるが、「産業別労働組合」や「クラフトユニオン(職種別労働組合)」のシステムに転換していれば、こんな事態にはならなかったかもしれない。企業別労働組合からの脱出を目指す政党が現れないのも、就業者の80%を超す「サラリーマン(正規、非正規などを合計)大国・日本」にとっては不幸な話だ。
原因その3◆小泉政権時代の非正規社員の規制大幅緩和
就職氷河期世代が不幸だったのは、2000年代はじめに小泉政権が誕生し、非正規社員の規制を大幅に緩和したことだ。それまで許されなかった製造業での非正規雇用を全面的に緩和し、その影響で大企業は正社員の採用を大幅に抑え、非正規雇用を増やす雇用構造の転換を進めることができた。
就職氷河期世代の人たちも、この規制緩和がなければ新卒採用されなかった人でも、中途から正社員になる道はかなり多かったはずだ。そういう意味でいえば就職氷河期世代の悲劇は、小泉政権時代の規制緩和によってもたらされたとも言える。
労働条件の非常識な劣悪化
原因その4◆企業本位の労働環境社会
就職氷河期世代を苦しめた背景の1つに、非正規社員を直接雇用しないまま長年使い続ける慣行があった。
日本の製造業を支える工場での労働力をはじめとして、コンビニやファミレスといった安価で質の高いサービスを支えてきたのは、就職氷河期世代を中心とする非正規雇用の人たちだ。先進国の中では最低レベルの賃金で、長時間労働を余儀なくされた同世代が、日本経済を底辺で支えてきた、といっても過言ではない。この非正規労働者を守るための手段がほとんどないのが現実だ。
問題は、そうした過酷な非正規社員の現状を横目で見ながら、労働基準監督署などの労務管理当局が怠慢を続けたことだ。加えて、司法も貧困問題に対して厳格な判断を避け続けてきた。
そもそも日本では、海外では常識になっている企業内でのいじめやパワハラに罰則規定がない。経団連などの反対で罰則規定が外されたのだが、検察や司法がもっと労働者の立場に立っていれば、就職氷河期世代の悲劇はもっと少なくて済んだのかもしれない。
さらに、下請け会社や個人を元受け会社から守る「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」の法整備が行われたのも2003年以降のことだ。
こうした法律の不備や労務管理当局の怠慢が、同世代を苦しめている一因でもある。政府と密接な関係のある芸能プロダクションと所属芸人との間に正式な契約書がなくても通用する――。それが日本の労働環境の常識だとしたら、あまりにお粗末だ。
原因その5◆起業、独立に厳しい社会環境
もう1つ原因があるとすれば、正社員になれなかった就職氷河期世代が、起業して自営業になるという道があったにもかかわらず、その道へあまり進めなかった現実がある。日本では、そういったビジネス環境が整っていないためだ。
何の実績もない若者に事業資金を融資してくれる銀行はほとんどないし、連帯保証人の問題もある。政府の開業資金融資制度も、ハードルが高く、あまり現実的ではない。起業家の才能や熱意を評価して、潤沢な起業資金を融資する投資家が多いアメリカとは大きな違いだ。
ただ、最近は「クラウド・ファンディング」など変革の兆しもある。同世代も、日本に閉じこもっていてはいけないのかもしれない。
支援プログラムが役に立たないこれだけの理由
さて、厚生労働省が今年5月に発表した就職氷河期世代への就職支援プランだが、はたして有効なプランと言えるのか。
施策の方向性としては、「相談、教育、訓練から就職まで切れ目のない支援」を行い、ハローワークに専用窓口を設置。キャリアコンサルティング、生活設計面の相談、職業訓練の助言、求人開拓などの各専門担当者のチーム制によるきめ細かな「伴走型支援」を実施するとしている。
ただ、結論から言うと、就職氷河期世代に対する救済プログラムが本当に機能するのかどうかは疑わしいところだ。例えば、「地域若者サポートステーション」と呼ばれる就労サポート窓口が全国に175カ所設置されているが、40歳以上の就職氷河期世代に対する公的支援は全国でわずか十数カ所開設されるだけだ。
通称「サポステ」も、15~39歳のニートやひきこもりを対象にした制度だが、40歳以上のひきこもりは推計で61万人、サポステ効果も限定的と言わざるをえない。
また前述した特定求職者雇用開発助成金も最大60万円が企業に支払われるが、2018年度に給付された金額はわずかだ。その金額はあまりにも少ない。
筆者の個人的な感想だが、企業にお金を出すのではなく、同世代の非正規雇用者に自立支援金といった名目で、直接資金を融資するほうがいいのではないか。そのお金で起業するのもいいし、海外を放浪してくるのもいい。先進国の多くは、大学を卒業してすぐに就職するのではなく、海外で見聞を広げる制度が充実している。
就職氷河期世代にターゲットを絞って救うプログラムもいいが、本質は「貧困問題」と同じだ。最近になって、NHKも取り上げた「外国人技能実習生の奴隷化」問題にしても、結局は就職氷河期世代だけでは対応しきれなくなった人口減少、人手不足の対応策として、海外の留学生がターゲットにされているだけなのかもしれない。
京アニ放火事件のような凶悪犯罪の加害者をネットでは「無敵の人」と呼ぶ。失うものが何ひとつない、無敵状態の人という意味だ。今後、10年が経過して彼らが45歳から54歳になったとき、日本はどうなっているのか。このロストジェネレーション世代が、その時まだ「無敵の人」であるとしたら、その社会はあまりに理不尽だ。
日本の「失われた20年」と構造改革の失敗
1990年代に始まる日本経済の長期停滞は、2002年には終わらず今も続いており、この間の日本経済を「失われた20年」と呼ばれることが多くなってきた。日本の名目GDPで確認すると、1990年から2010年までほぼ500兆円前後で停滞したまま推移している。他の国がGDPを上昇させる中で、日本だけが成長を止めたまま20年が経過している。(図1)国民一人あたりの名目GDPでは、1990年代に世界3位くらいだったものが、2007年19位、2008年23位、2009年19位と大きく順位を落としている。(図2)日本では物価が上昇しないが給料も上がらないという状況が続いており、消費や投資などの内需が増えていない。産業分野でも、かつて世界を席捲していたエレクトロニクス市場で軒並みシェアを落としている。日本市場では日本製品が幅を利かせているが、海外ではLGやサムソンがシェアのトップ。日本製品は一部のお金持ちの趣味のブラ※4ンドになっている。鉄鋼でも、アルセロール・ミッタルが世界一の生産量を誇っており、新日鉄は中国や韓国のメーカーにも抜かれて4位(2009年)となっている。 小泉政権が主導した構造改革は、日本の成長のためには聖域なき構造改革が必要だという主張の下、三位一体の改革、郵政民営化、各種の規制緩和などが行われたものだ。この構造改革について、改革は必要だったが、結果として都市と地方の格差や国民の貧富の差を拡大し格差社会を進めた、といった意見が多い。改革の路線は間違っていないが、影の部分が大きくなってしまった、という論調だ。私はそうではなく構造改革は成長戦略としても失敗したのだと考えている。先に紹介したように、構造改革が始まった2000年以降現在に至るまで、日本の成長力も国際競争力も低下している。「失われた20年」のうち、2000年以降の10年は構造改革の失敗によるものといっても過言ではない。
※4 アルセロール・ミッタル ヨーロッパのアルセロールとインドのミッタル・スチールの経営統合によって、2006年に誕生した世界最大の鉄鋼メーカー。年間粗鋼生産量で世界シェアの約10%を占める。
2007年5月21日
ポリシーウォッチャーの役割
「改革の日々が始まった」-2001年4月26日、それはまるで、日本最大のお祭りのようだった。国民的熱狂、聖域なき構造改革、抵抗勢力とのすさまじい戦闘。小泉内閣という奇跡の内閣が誕生した瞬間を、著者はときめきと興奮をもって振り返る。
本書は、従前の日本政治においては考えられなかった異色のリーダー・小泉総理の下、要職を歴任した竹中平蔵氏の挑戦の記録である。「小泉総理の下、日本は間違いなく変わるだろう。そう思ったからこそ私は、大臣就任を引き受けた。これからその変革の『歴史的瞬間』に立ち会いたいと思う。」という書き出しから始まる著者の大臣日誌に基づきながら、不良債権処理、郵政民営化、経済諮問会議の舞台裏が生々しく語られている。
「改革なくして成長なし」-しがらみを持たない強いリーダー小泉総理は、当選回数や派閥からの人事を一切行わず、金融再生プログラムや郵政民営化といった改革を断行した。この改革の中で、重要な役割を果たしたのが、民間出身の経済学者として専門的見地を政策に活かす役割を与えられ、入閣した竹中大臣であった。抵抗勢力のなりふり構わぬ陰謀や策略に遭いながら、いかにして改革を断行したかが、本書の見所になっている。また、本書は、著者の日誌をベースに書かれているため、さまざまな場面が、せりふや感想とともにリアルに語られており、冒険書を読むような面白さがある。そして、随所に見られる小泉総理のリーダーシップも見逃せない。不良債権処理をめぐり、抵抗勢力にののしられ、辞任を迫られる竹中氏に、当て付けのように金融担当大臣兼務を命じる場面や与党幹部の夕食会で、郵政民営化の「基本方針は絶対変えない。ちゃんと理解しておけ。自民党はとんでもない男を総裁にしたんだ」と、反対を強める党側へ迫力の宣戦布告をする場面などは圧巻である。
さて、よく小泉政権に対して、「劇場型内閣」「骨抜きの政策」だなどと、人気があるが中味のない政権であるかのような批判があったが、本書を読む限り、骨抜きではない改革が実行されたように思える。小泉内閣の改革の成果については議論のあるところだが、少なくとも、日本の経済再生のために、以前から散々問題視されながら放置されていた不良債権処理に着手し、金融再生プログラム(竹中プラン)を実行、りそな銀行への公的資金注入など、金融改革を断行したことは、評価できるのではないか。
なぜ、今まで散々先送りされてきた金融改革を断行できたのか?なぜ、総選挙を行うほどの抵抗に遭った郵政民営化法案が成立したのか?もちろん、歴史的な国民の支持と小泉総理のリーダーシップがあったことは確かだが、改革を主導した竹中大臣の専門家としての力が大きかったことは間違いない。竹中氏は、「骨太方針」の決定、「工程表」の作成、そして「戦略は細部に宿る」という共通認識のもと、官僚の思うがままに作られていた「政策の制度設計」を大臣自らが詳細に作るという「政策決定プロセス」によって、総理の意思を貫く、政治主導型の改革を実現していく。特に、制度設計は、従来、官僚「霞ヶ関文学」の専売特許であり、その知恵は官僚に独占されていた。竹中氏は、30年間「政策」を勉強してきた「政策研究者」として、政策の重要性を理解し、政策の骨組み、つまり法律の条文や施行後の運用ルールなどを詳細に検討。抵抗や妨害、骨抜きにされることを予測し、常に二手三手先を読みながら作戦を練り、抵抗勢力との合意形成に挑む。そして、譲れないところは妥協せず、打開点を探る戦略家の一面も見せる。「普通のこと」がなかなか実現できない日本において、実行力のある改革を断行するポイントは、この「政策」「政策決定プロセス」をいかにうまくやるかにあったようだ。
著者自身は、自らの大臣経験を振り返って「昆虫学者が昆虫になったようなものだ」と語っている。小泉総理の熱意に共感して、自分が研究していた対象の世界に足を踏み入れ、自らが研究の客体となったわけである。自らがプレーヤーとして、官僚の無謬性と戦い、業界・政治家・官僚の「鉄のトライアングル」へ挑戦し、マスコミや学者から激しいバッシングを受け、戸惑い、悩み、立ち向かっていく。この得難い体験を通して、「政策は難しい」ことを実感する。また、「優れた植物学者が、即優れた庭師である保証はなにもない」のと同じように「経済学や政治学は間違いなく政策のために必要ではあるが、政策の専門家と経済学者、政治学者は同じではない」と説明する。そして、評論や絵空事を言う学者ではなく、実務的な知恵と将来的なシナリオを描ける「政策専門家=ポリシーウォッチャー」が必要であると主張する。
ポリシーウォッチャーの役割は、政策の調査研究、分析評価、監視、提言を行うことと情報発信を行うことである。特に情報発信を通して正しい世論を形成することで、「よく知らされた国民」(Well informed public)を生み出すと著者は言う。情報は溢れているが、スキャンダルやゴシップネタばかりで本当に有益な情報(政策論議や政策分析)となると極端に少ないというのが現状ではないだろうか。小泉政権を通して、また最近の政治からも、世論の力、国民の支持の重要性が注目されている。国民が適切な判断を行うことで、良い政策が生まれ、さらに政策が実行されているかを評価監視することで、政策がより良い方向に向かうという好循環が生まれるというわけである。
「政策は難しい」という難問にどう立ち向かうのか。著者は、「政府の中核で政策を実行した経験を、政策専門家の育成に役立て、民主主義のインフラとして、政策専門家が民間部門から政府の政策をしっかりウォッチし、国民に伝えるという機能を果たしていきたい」と決意を語っている。ポリシーウォッチャーを通した「民主主義による世論の後押し、政治主導の構造改革、力強い日本」の実現。竹中氏の挑戦は、まだまだ続きそうである。
2006年09月20日
小泉構造改革が残したもの
森重 透
1.「いざなぎ超え」とは言うけれど
マクロ経済は、長期にわたったデフレ局面からの脱却を視界に入れつつ、足もとなお拡大を続けている。2002年2月から始まった今回の景気回復は、すでにこの5月に「平成バブル景気」を抜き去り、11月には「いざなぎ景気」(1965~70年、57ヶ月)を超え、戦後最長となりそうな勢いだ。
しかし、実質GDPの伸びで見た景気拡張期間はなるほど長かったかもしれないが、国民一人ひとりの生活実感から見れば、まさに「実感なき景気回復」ではなかっただろうか。そして、それはなぜかを考えれば、今回の回復局面の特徴が明らかになろう。
まず、息の長い回復ではあるが低いレベルの成長だったことだ。「いざなぎ」は年平均成長率10%超、「平成」は5%程度だったが、今回は2%強と「平成」の半分にも及ばないレベルである。成長率と拡張期間の積和でこの間の実質GDPの伸びを見ても、「いざなぎ」当時は約1.7倍であるのに比べ、今回は1.1倍程度に過ぎず、さらに名目GDPの伸びで見れば、その差は2倍以上にも拡がる。横綱と前頭筆頭ぐらいの差はあるのではないか。とくに、緩やかなデフレ下の回復のため名目値がほとんど伸びなかったことは、実感の乏しさをより強めたはずである。
二番目の特徴は、企業部門と家計部門の所得状況の違いだ。「経済財政白書」(7月)には、「企業部門の改善によって家計にも好影響が及ぶ好循環がみられる」趣旨が盛り込まれているが、雇用環境には目に見える改善があるとはいえ、賃金・可処分所得関係の統計では、むしろ家計の疲弊ぶりが顕著であり、4年以上も続いているのに景気回復の恩恵は家計・個人にはほとんど及んでいない、と言ってよい。企業部門から家計部門への波及(トリクル・ダウン)の遅れは、企業が業績好調にもかかわらず、賃上げ幅を低く抑え続けているからである。今回の景気回復は、大企業の資本の論理、すなわち、リストラ、非正規雇用の拡大等による賃金コスト削減をバネにもたらされた側面が大きいが、それがまだ続いているということだ。
そのほかの特徴としては、米国経済の好調や中国特需などに支えられた外需主導、デジタル家電ブーム等、一部の大企業・製造業に偏った回復であったことなどから、多くの中小企業や非製造業への波及が遅れていることも挙げられる。また、地域間で景気回復のテンポや景況感に大きな格差があり、これがなかなか縮まらないことも、全体的に景気回復を身近に感じられない要因の一つだろう。
2.二極化・分断化の進行
このように、マクロ面で見れば、実感が乏しいとはいえ息の長い景気回復が実現したことは事実である。しかし、この回復が、間もなく終結を迎えようとする小泉内閣の構造改革の取組みによってもたらされたか、ということになると疑問符が付く。「構造改革なくして回復(成長)なし」、「官から民へ」、「中央から地方へ」を標榜した構造改革路線が、スローガン通りの実行力を伴ったものでなく、今回の景気回復とは無関係であることは、すでに本コラムでも何度か指摘した。また今年の「経済財政白書」(7月)も、企業の適応努力こそが日本経済回復の主役と正当に位置づけているし、多くの識者の見方もこれに沿うものが圧倒的に多い。
むしろそのことよりも、この小泉政権下の経済運営によって、構造的には深刻な問題が発生した。経済社会の二極化・分断化の進行、社会生活基盤の劣化、という由々しき問題である。下掲グラフは年齢階級別完全失業率だが、15~24歳の若年層の失業率・学卒未就職率は、この間一段と上昇し、高止まりしていると言ってよい状況である。失業こそは、一個人を社会的・経済的弱者に転落させるもので、とくに若年層で定職に就かない者がなお多く存在するという現実は、これからの日本の国力や競争力、社会保障システムへの悪影響を考えると憂慮させるものがある。
さらに、パート、アルバイト、派遣社員など「非正規雇用者」は、すでに雇用者数の約3人に1人となった。ここでも若年層(15~34歳)の雇用情勢は厳しく、失業の長期化、フリーターやニートの増加、そしてフリーター経験をプラスに評価している企業がほとんどないことから、彼らが中高年になっても非正規雇用者にとどまってしまう懸念がある。こうなると、4対1とも言われる正社員との給与格差が固定化されるとともに、累積的に所得格差が拡がり、生活基盤の劣化、ひいては非婚・少子化などの様々な問題を助長する恐れがあるのだ。過重な労働実態、過労による労災件数の増大、ワーキングプアの増加、うつ病、突然死など、今日、雇用の劣化あるいは崩壊とも呼べる事例は枚挙にいとまがない。
このような状況も反映してか、7月に発表されたOECDの「対日経済審査報告書」によれば、先進30カ国の相対的貧困率(平均値に比べて所得が半分未満の相対的貧困層の割合)で、日本は米国(13.7%)に次ぐ二番目の高さ(13.5%)だったそうだ。そして、労働市場の二極化傾向の固定化の恐れを警告され、格差是正の具体策として、非正社員への社会保険の適用などを指摘されているのである。
このほかにも、大企業と中小企業、都会と地方、高齢層と若年層、官と民等々・・・規模・地域・年齢・官民間に存在する諸々の二極分化(格差の拡大と固定化)の問題を真摯にとらえ、これを是正しながら持続的成長を模索していくというような、「徳のある経済政策」は、小泉政権下ではついにお目にかかれなかったと言ってよい。
3.何が欠けていたのか
「聖域なき構造改革」という看板を掲げた小泉構造改革路線は、約5年半に及んだ小泉政権のバックボーンであったはずなのに、結局それは、「小泉劇場」の主役・小泉純一郎が大見えを切るときの小道具に過ぎなかったようだ。
新規国債発行30兆円枠の公約は、「この程度の約束を守れなかったというのは大したことではない」と言って、簡単に破られてしまった。公的年金改革を審議する年金国会での、「人生いろいろ」発言に見られるような、おちゃらかし発言。はぐらかしや、レトリック依存型の国会答弁も多く見られた。地方の景気にも目配りすべきではないかとの記者の問いに、小泉首相は「官から民への流れは変わらない。政府が口出しすべきではない」と答えたそうだ。道路公団の「民営化」は、結局、妥協の産物に終わった。そして、改革の「本丸」と意気込んだ「郵政民営化」は、その意味や効果が不鮮明なまま、分社化を伴う株式会社化で行き暮れようとしている。結局、高い人気に支えられ、連日劇場は満員御礼だったが、バックボーンは最後まで「小道具」で終わった。
「改革なくして景気回復なし」の名の下に、実体的な景気対策には関心が薄く、かと言って、公的セクターの改革、すなわち、責任ある社会インフラの構築と質の高い公共サービスの供給という、「民」が果たせない「官」の固有の役割というものを、いかに実効ある形で遂行していくかといった制度問題を、徹底的に真摯に議論する風でもない。詰めた議論よりは、歯切れの良い「ワン・フレーズ」で「改革」をくさびとして使い、多くの「抵抗勢力」を放逐しつつ人気を得ていくという手法は、まさに独壇場と言えるものだった。
しかし、「改革の本丸」であるべき財政再建問題と、これに密接にからむ社会保障制度と税制のあり方に関する真摯かつ周到な議論と実践を抜きにしては、「経世済民」を託された責任ある政治家としての本務は果たせないのではないか。「ノブレス・オブリージュ」とは、財産、権力、社会的地位には責任が伴うことを言う。小泉首相に限らず、政治家全員がこのことを心に銘じるべきだろう。
【論文】マーケットはなぜ小泉政権の改革を疑問視するのか(会員限定)
2001年8月04日
sheard_p020710.jpgポール・シェアード
小泉政権は「聖域なき構造改革」を打ち出しているが、この実現可能性について、マーケットは非常に大きな不信感をもっている。
■ 矛盾だらけの経済政策を繰り返すな
なぜ不信感をもっているのか。その理由は、日本がまた、いつもと同じような失敗を繰り返すのではないか、という懸念が拭い去れないことにある。日本はいつも、過去になぜ失敗したのかという事後的な点検が行われないままに、次の政策を展開しようとする。そして、いつも矛盾
ばかりの政策を展開する。つまり「こんなことをやります」と言っておきながら、実はそれとは違うことをやってきた。その典型的な例がペイオフの延期だ。今回の「骨太の方針」のなかで、そうした懸念をいちばん強く感じたのは不良債権問題に関する部分だった。まずは、それを中心に話を進めよう。
「骨太の方針」、すなわち経済財政諮問会議の基本方針は、不良債権処理に関しては、2001年4月6日に経済対策閣僚会議で決定された緊急経済対策の考え方を継承している。緊急経済対策には、問題の本質をついた、さまざまないい意見が書かれているが、その大きな目玉は、やはり不良債権処理が最大の課題である、というものだった。
ちなみに、それより少し前の3月19日に日銀は政策決定会合で「通常では行われないような、思い切った金融緩和に踏み切る」ことを決定しているが、その議事録のなかにも、不良債権問題の解決が急務であるという趣旨の文章が入っている。
こうした流れからいくと、4月6日の時点での政策の結論は、やはり不良債権処理が最重要課題だ、というものだったといえる。
最近、不良債権を「2~3年以内に処理する」という言葉の意味が議論されないまま、独り歩きしている感があるが、緊急経済対策のなかには、主要行について、「破綻懸念先以下の債権に区分されているものについては、原則として2営業年度以内にオフバランス化につながる措置を講ずる」、それから、新規発生分については「原則として3営業年度以内に......措置を講ずる」と書かれている。
これは非常に重要なポイントだ。なぜなら、この「措置を講ずる」という表現は、金融監督庁のマニュアル、あるいは旧大蔵省の行政に従ってやってきた過去の金融再編行政では、不良債権は解決しない。今までのやり方を白紙に戻して、2~3年以内に不良債権をかたづけよう、という強い意思表明の表れだからだ。
今回の基本方針も、この方針に沿って、「不良債権問題を2~3年以内に解決することを目指す」、「経済再生の第一歩として、不良債権の処理を急ぐべきである」とはっきり書いてある。多くの人はこれを読んで、正しい方向に動いていると思うだろう。ところが、である。今回の基本方針には、不良債権の最終処理は「金融機関の自主的な判断で進められる」というくだりが入っている。 これでは、全く話が違ってしまっている。4月の緊急経済対策で、「過去の行政のもとで、金融機関が自主的に問題に取り組んできたけれども、そのやり方では解決しない。政府が主導権をとって、2~3年以内に解決させる」という強い意思表明をしたにもかかわらず、ここでまた、「自主的な判断で進められる」ということでは、議論するまでもなく、問題解決にはならないだろう。
ちなみに、不良債権問題の裏側にある借り手企業/産業については、私的整理のためのガイドラインを「関係者間で早急に取りまとめることが期待される」と書いてある。
もちろん日本の場合、「期待される」、あるいは「自主的な判断で進められる」といった場合、それは国が強制的にやるといっているのと同じだという解釈もないわけでもないが、それは一昔前の行政のあり方を反映した解釈だ。つまりそれは、不透明な、玉虫色的なやり方にもなっているということだ。
■ さまざまな数字が独り歩きをしている
それに、緊急経済対策にも、踏み込み不足だった点がある。ひとつは、対象を全預金取扱金融機関ではなく、主要行に限定していたこと。もうひとつは破綻懸念先以下の不良債権に絞って話をしていたということだ。
詳細は省くが、これでは、ペイオフ延期などの過去の政策との整合性がないばかりか(ペイオフ延期のときは、主要行は大丈夫だが、信金や信組などは検査不十分で不安だから、という説明がなされた)、不良債権問題を全体的に把握することはできない。いうまでもなく、マーケットが非常に神経質に注意を払っているのは、不良債権の全体の大きさだ。ところが、上述したように、限定した見方をとっているために、いろいろな数字が独り歩きをしてしまっている。
例えば、一時期新聞を賑わせた12兆~13兆円という数字は、主要行の破綻懸念先以下のものを指している。しかし全銀行ベースの問題債権は64兆円で、全預金取扱金融機関ベースでは81兆円くらいあるとされている。また最近では、151兆円という数字が独り歩きをしている。これは民主党が金融庁から取り寄せた数字で、要注意債権以下の債権をもっている借入先の全借入金を示している。
われわれプロでも、これらの数字の使い方にはものすごく苦労している。この間、民主党の鳩山氏が「150兆円という数字をどう思うか、大手行の資産査定を厳格にやり直すべきだ」という趣旨の発言をしたところ、首相は「元利払いや貸出条件に問題がなく、単に注意が必要な債権は100兆円ある」と答えた。この発言は、要管理債権以下の不良債権以外の要注意債権が100兆円ある、ということだが、公表ベースでは、こういう数字は出てこない。一国の総理大臣が、国会でこのような答弁をしていることからもわかるように、問題の大きさがどれくらいであるのか誰にもわからず、マーケットは政府に対して依然として不信感をもっているのである。
■ 危機対応の制度的枠組みが不在
マーケットが不信感をもっている第2の理由として、金融再編の枠組みが不在だということが指摘できる。2001年1月には行革の一角として金融再生委員会が廃止された。金融再生委員会は、金融問題を解決するために特別につくられた組織だったにもかかわらず、その仕事が終わる前に廃止されてしまった。日野正晴前長官は退官のインタビューで(『日本経済新聞』2001年2月2日)、「本当はペイオフ1年延期時に、それと連動して金融再生委員会や再生法、健全化法も延長すべきだったが、議員立法なのでこうなってしまった」と述べている。筆者も全く同感である。3月末には、資本増強の枠組みも期限切れとなってしまった。
そしてその6日後に政府は公式見解として(緊急経済対策)、不良債権が日本経済のいちばん大きな問題だ、この問題に集中的に取り組む、ということを表明した。1998年にも同じ議論があり、問題解決のために60兆円のパッケージと金融再生委員会をつくった。その枠組みを廃止した途端に、改めて問題の重要性、枠組みの必要性が認められるというのは、酷評すれば、先進国の経済政策としては大問題だ。少なくとも説明責任というものがある。そうしたことを議論しないで、ポッポッと次の政策が出てくるというのはいかがなものか。
もっとも、枠組みがないというのは多少言いすぎで、実は金融危機対応枠組みというものが4月1日からスタートしている。それは資本増強、国有化、(ペイオフコスト以上の)預金者保護という3つの機能を持ち備えている。
ただ問題は、危機がなければこの枠組みが使えないということだ。これに対し98年の枠組みは、危機の産物としてできたもので、危機がなくても、危機が起こらないように使うことができた。
こうして、不良債権問題の重要性に対する認識と、その問題を解決するために用いる制度的枠組みとの間に、大きな空白ができている。そうした空白があるからこそ、いろいろな方針や意見が錯綜しているといえる。つまり枠組みがないから、金融機関が自主的判断ベースでやるしかないということになっている。だが、金融機関の自主的判断ベースではこの問題は解決されないことは目に見えている。自主的ベースでできるような話であれば、とっくの昔に解決しているはずだからだ。
■「財政再建」重視の危うさ
第3に、小泉首相が財政再建を最重要視しているのではないか、ということだ。首相の所信表明演説を見ると、「不良債権処理や資本市場の構造改革を重視する政策へと舵取りを行う」とし、1に不良債権問題の解決、2に規制緩和、3に財政再建を行う、と述べている。筆者はこのポリシーミックスと順序づけにはおおむね賛成だが、小泉内閣が実際にやっていること、あるいは発信しているメッセージを見ていると、不良債権処理がかなり後退している感じを受ける。特に、上述したように、「措置を講ずる」が「自主的判断で進められる」というように後退しているのが気になる。むしろ第3の財政再建をアジェンダの上位にしようとしているらしい。
例えばここ2カ月間の議論をみると、田中真紀子氏が多くの話題を提供してきたが、それはともかく、経済面では新規国債発行を30兆円以内に抑制するなど、財政再建の話題でもちきりだった。だが経済の現状を考えると、財政再建に今踏み込むことは非常に厳しい緊縮財政になりかねない。すると不良債権問題の先送りと財政再建の優先という、橋本政権のときと全く同じポリシーミックスとなってしまう。
こうして、橋本、小渕、森の各政権から得られたはずの教訓が生かされず、また元に戻ろうとしており、"不思議の国のアリス"のような経済政策になっている。
■ 構造改革断行の2つの選択肢
以上、小泉内閣の経済政策・構造改革の基本方針について検討を加えてきたが、これらの一連の議論を見ていて、問題だと感じるのは、政府がどちらの方向に進もうとしているのか、その方向性が見えないということだ。
改革を断行するに当たり、政府には大きく分けて2つの選択肢がある。ひとつは期限を区切ったうえで、自ら主導権を発揮して改革を進めることだ。この場合は、金融再生に向けた新しい枠組みづくりと、危機を未然に防ぐための公的資金の投入が必要になる。またマーケット・メカニズムを最大限活用し、新しいマーケットが育成されるようなやり方をとる必要がある。
もうひとつは、市場に任せるという、まさにハード・ランディング的な解決策だ。この場合は、ペイオフの早期実施と、金融危機対応枠組みを極力使わないという覚悟、それに労働市場、小口預金者保護などのさまざまなセーフティ・ネットが必要になる。加えて、緩和的なマクロ政策と、規制緩和などの、経済体質を強化するためのミクロ政策を次々と実施しなくてはならない。
後述するように、筆者は前者の政策を取るべきだと思っているが、今のところ、小泉政権がどちらの方向に進もうとしているのかが見えない。むしろ、このどちらでもなく、中間の道を歩んでいるようにも見えるのである。すなわち、危機が起きると政府が動き、その際、マーケットを阻止するような政策を取るという、これまでと同じ過ちにはまってしまう可能性がある。
公的資金の投入や銀行保有株式取得機構の設置、それに貸し渋り対策などで、政府は銀行に対してあらゆるところで関与を強めている。これでは、マーケットに任せるという2つ目の選択肢は取りえない。こうした状況では真の意味でのマーケット・ベースということはできない。それにもかかわらず「金融機関の自主的な判断で進められる」という表現を用いたりするので、混乱が生じることになるのである。
国が関与することにさまざまな弊害があるのは十分承知しているが、筆者は、ここまで国が関与を強めている以上、国が主導権を握り、期限を区切って市場を生かす形で改革を断行したほうがいいと考えている。ところが、では主導権を発揮しているかといえば、それも中途半端な状態にある。
実は私は財政再建の信者だが、一回限りの措置として、金融問題の解決のために公的資金を30兆円入れるということを断行すれば、日銀はそれを支援するだろうし、それが2年後のマーケットの発展につながるということであれば、マーケットもそれを評価するのではないか。だが、小泉首相は財政再建という目標があるために、公的資金を投入するという流れをつくれないでいる。こうしたことから、マーケットから見ると、財政再建を優先していることが、実は不良債権を断固として処理するという腹が固まっていない、と見えてしまうのである。
■今は財政再建を打ち出すな
では、具体的に小泉首相はどういったアクションを起こすべきか。
まず、今の局面では財政再建を打ち出さないことが必要だ。今財政再建を打ち出すと、それはものすごい緊縮財政になってしまう。
仮に出すにしても、出し方を工夫すべきだ。実は財政構造改革と財政再建は違う。財政構造改革というのは、財投改革や公的金融機関の民営化、あるいは効率的な税制システムの構築などのミクロ的な改革だ。これは今すぐにでも実行できるし、これをすぐに行うことには筆者も大賛成である。
一方で、今の経済局面のなかで、どれだけの財政出動が必要なのかという問題がある。これが財政再建の問題だ。日本の場合は、この2つの概念がいつもこんがらがってしまっている。前総理の橋本氏も、財政再建を実現したかったために財政出動を締めたが、本当の財政再建は、経済を回復させなければ成り立たない。そこで、では経済を本当に回復させるには何が必要なのか、という議論が、財政再建の中枢にくるはずだ。
そこで、不良債権がいちばんのネックであるという判断なら、それをやるべきだし、非効率的な財政の仕組みの問題であるなら、それを見直す必要がある。そのなかで必要に応じて財政出動をすることもありうべき選択肢だろう。預金者保護と不良債権処理を同時に達成するためには、例えば30兆円というコストがかかることもあるかもしれない。この場合は、短期的には財政再建はできなかったということになる。
つまり、すべての政策目標、特に矛盾しあっているいくつかの政策を同時に達成することはできない。それなのに、あれもやる、これもやると主張するのは、部分的な発想でしかない。まず不良債権処理に重点を置くべきである。
財政再建は確かに重要な課題ではあるが、それが本当に緊急の課題がどうかを考えると、実はそうでもない。ひとつは、日本のマクロ的な現状をみると、民間部門の黒字を政府が吸収しているという面がある。そうなると、問題は個人の将来不安が解消されていないから、また規制緩和が不十分で日本企業の投資プロジェクトに問題があるから、あるいは金融システムが十分に機能していないから、民間部門が活性化されない、ということになる。
この問題を解決するには、IT関連を中心に規制緩和を実行することだ。そうすれば、さまざまな形で、新しい需要と新しい投資機会が生まれてくる。そして結果として、税収が増えて、政府の赤字も減っていく。
もうひとつは、国債の利回りだ。これは現在1.2%程度であり、財政再建をやらなければ日本は破綻する、というメッセージをマーケットは発信してはいない。しかし小泉政権は、あたかもそうしたメッセージが発せられているかのように動いている。橋本政権時の増税と同じく、小泉政権でもプライマリーバランスの赤字を支出削減で抑えようとしているが、それは因果関係を間違えている。まず解決すべきは不良債権問題である。
■戦略的にマーケットを活用せよ
そこで、不良債権処理を進めることを考えるとき、ぜひ指摘しておきたいことは、戦略的に、マーケット・メカニズムを最大限に生かすことが重要だということだ。これは、政府が主導権を取るという方向とは、一見矛盾しているように見えるがそうではない。例えば、しばしば引き合いに出されるアメリカのRTC(整理信託公社)は、預金の全額保護をせずに、破綻懸念の金融機関をつぶして、預金保険機構でカバーされていない人たちに債権カットに応じさせた。同時に、RTCは資産を取って、資産価値と預金保険機構でカバーされている額との差額を埋めた。これは預金者保護の鉄則です。そのうえで、受け取った資産をすぐさま売却した。
RTCがそうしたように、資産を売却すると、非常に大きなマーケットが育成される。現在、非常に大きな規模になっているCDO(Convertible Debt Obligations)やABS(資産担保証券)は、実はRTCが登場するまではなかった。これが、マーケット・メカニズムを最大限生かすということの意味だ。銀行の国有化や買取機構、それにペイオフの延期といったやり方は、やはり問題だろう。
ただ、日本の現状を見ると、残念ながら現に政府はそれをしていないし、今までの経験から見ても、ほとんどやる意思とやる能力がなさそうである。
今後の政策の展開次第では、金融は、おかしなことをやる可能性がある。政府の要人はいろいろなところで、低成長には甘んじなければならないけれども、マイナス成長はだめだと発言しだしている。一方で財政再建論者が趨勢を握ったとすれば、やはり金融危機が起こる。そして財政再建プラス金融危機イコールマイナス成長となったとき、マーケット・ベースで進まないような手を考え出してくる可能性がある。ペイオフ延期はないにしても、危機対応枠組みを使って実質的な全額保護の延長をやりかねないなどの危険性が残っているのである。
日本人の間では、金融危機が起きたときに危機を止めるのは政府の要件だから、それも仕方がない、という考え方があるようだが、それは違う。そもそも不良債権があるから危機が起きるのであって、危機を封じ込めたければ、そうした全面保護のような形で政府が対応するのではなく、まず政府が主導権を取って不良債権を処理すべきなのである。そうでないと、金融危機対応枠組みがまた悪用されることになってしまう。
この論文で検討してきたようなポリシーミックスを実現するには、本来なら経済財政諮問会議のようなところで総合的に調整する必要がある。その点では、竹中氏も精いっぱい努力しておられるようだが、まだ理想的な形には至っていないと思っている。現在の小泉政権には、政策を立案する陣容はあっても、それを実行に移していくというシステムがない。それが小泉政権のアキレス腱ともなっている。
ここまで小泉政権に対して、批判的な検討を加えてきたが、小泉政権は、構造改革を断行すると述べている内閣であり、その意味では期待もしている。これまでと同じような愚を犯すことなく、構造改革に踏み込んでいってほしいと思っている。それが日本経済を停滞から脱却させる道である。〈了〉
消えた6000億円! 自動車損害賠償責任保険(自賠責保険) の積立金を「借りパク」した、財務省の誠意なき態度と役人天国ニッポン
日野百草(ノンフィクション作家) の意見 - 14 時間前
財務省「完済するめどなし」の現実
ついに財務大臣が「申し訳ない」と会見した。
鈴木俊一財務大臣は2022年11月11日、財務省が自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)7500億円のうち、5952億円を借りたまま完済していない件に触れた。その上で、「1回でお返しするのは無理な状況」として、完済するめどは立たないと釈明した。
このお金は、すべて「自動車・バイクを所有するユーザー = 国民」の積立金だ。財務省が返還しないために、2023年度からなんと自賠責保険が値上げされるのだ。
この問題については、筆者(日野百草、ノンフィクション作家)も当媒体で「「自賠責保険」値上げでドライバー大激怒! 積み立て6000億円踏み倒し、財務省はもはや脱法組織か」(2022年6月18日配信)として、
「政府および財務省は自動車損害賠償責任保険に加入するすべてのユーザーが支払ってきた積立金6000億円を直ちに国庫から全額、返金すべきだ。 被害者救済のために積み立てられている自賠責7500億円のうち、6000億円がいまだに財務省から返還されていない。それも20年も前からである。一般会計の補填(ほてん)であり、まったくの目的外利用であることは明白だ。それを歴代内閣も利用してきた。交通事故被害者団体などが声を上げ、ようやく2018年末、国土交通省(国交省)に返還を約束する覚書を交わしたが、2018年度の被害者救済事業の支出が23億円、2019年度が150億円と考えればまったく足りない」
と書いた。
さかのぼれば、1994(平成6)年から1995年の2年間で約1兆2000億円を自賠責保険から借り入れており、第1次小泉内閣による規制緩和を経て、財務省による一般会計(国の基本的活動を遂行するのに必要な経費やそのための収入を経理する会計)の補填に使われて来た。
約15年間、返還に応じなかった時代もある。特に第2次安倍内閣、麻生太郎財務大臣の時代には事実上の「返還拒否」であった。
2018年末、国土交通省に返還を約束するも、2022年度は54億円だった。つまりこの額なら100年たっても完済できないことになる。かつて不動産会社がバブル崩壊で追い詰められ、4000億円の借り入れのうち51億円だけ返す約束を交わす(のち完済せず解散)という手口があったが、財務省が同じような手口に手を染めている、
22世紀まで返ってこない積立金
天下の財務官僚が恥ずかしいと思わないのだろうか?
ましてや国民の積立金であり、国民の被害者救済のための自賠責保険である。あげく財務省が自賠責保険の積立金の80%も借りたまま返さないがために原資は不足、これを
「交通事故の被害者支援を充実させるため」
と称して、自賠責保険料とは別の賦課金を最大150円値上げするとした。
少ない額と思うかもしれないが、これまで32円だったものを150円にするのでおよそ5倍の値上げ、そもそも6000億円も借りたままの財務省からではなく、国民から追加で取ろうとしている。
それも
・低金利による運用益の減少
・交通事故の被害者支援を充実
という名目である。
前者はともかく、後者など自賠責保険の「被害者救済」という目的からすれば当たり前の話で、実際のところは
「財務省が6000億円を借りたまま、完済に100年かかる返済しかしてくれないから」
のはずなのに。これでは財務省のためにごまかそうとしていると思われても仕方がない。
今回の会見で、鈴木財務相は7億円の繰り戻しと補正予算のうち12.5億円を追加返済するとしたが、それでも単純計算で
「約85年」
かかる計算だ。このままなら2100年、22世紀まで自賠責保険の積立金は返ってこない。2022年に生まれた子でも85歳、現在支払っている国民は誰も完済を見ることはなく、財務大臣も財務省の現役官僚すべてがそうだろう。日本では、このような理不尽な行為が財務省という国家財政の中枢で繰り返されているのだ。
まして、2022年6月9日の衆院本会議では自民、公明、国民、立憲維新( 4 悪党) の与野党一致の賛成で可決されている。反対に回ったのは共産党とれいわ新選組だけ。これがこの国の議会の、一般国民に対する答えである。
自賠責保険そのものの原資が枯渇するまで時間もない。残る1441億円(2022年度時点)に数十億の返済があったとしても、積立金からの持ち出しは77億円(2021年度)とすれば20年程度で底をつく。
「誠意をもってお返ししていくことが大切」
鈴木財務相は会見でそう語った。しかし、大臣にとっては会見していることが精いっぱいの誠意かもしれないが、国民の側からすれば誠意に取れない。ドラマ『北の国から』の菅原文太の言葉を借りれば、
「誠意って、何かね」
としか言いようがない。
JAF会長の危惧が実現か
大事なことなので繰り返すが、自賠責保険の目的は交通被害者の救済である。だからこその、強制保険なのだ。
また加害者にとっても人身事故を起こしてしまったときに(物損事故は対象外)最低限の賠償責任を担うための救済でもある。
これまで6000億円を借りたまま完済せず、自賠責保険の値上げを繰り返してきたことからすれば、明確な謝罪と釈明があったことは一歩前進といえるかもしれない。しかし、その言葉とは裏腹に、追加返済が19億5000万円ではよりいっそうの不信を招くだろう。
2017年、当時の日本自動車連盟(JAF)会長は「踏み倒されるのでは」と危惧していた。本当にその通りになってしまう可能性が高い。
自分たちで使っておいて「足りないから値上げして、国民から徴収」がこの国の「誠意」ということか。
誠意って、何かね?
VIDEO 井上達夫×先﨑彰容が対論“国柄”と“国防”を考える<前編>
2023/04/04 #プライムニュース #BSフジ #NEWS
多極化する世界で日本は?安保3文書改定で国を守れるか?東大名誉教授で法哲学者の井上達夫氏と思想史家の先﨑彰容氏が“国柄”と“国防”について考える。
『井上達夫×先﨑彰容が対論“国柄”と“国防”を考える』
ウクライナに装備品、経済支援をし、ロシアに経済制裁を科している日本はこの戦争の「当事国」ではないのか、反撃能力保持を示した安保3文書改定で、自衛隊は日本を守ることができるのか、多極化する世界で、日本の立ち位置は、民主主義と権威主義との対立、中国やロシアとの向き合い方、日米同盟の今後など、東大名誉教授で法哲学者の井上達夫氏と思想史家の先﨑彰容日大教授が日本の“国柄”と“国防”について考える。
出演者:
井上達夫 (東京大学名誉教授 法哲学者)
先﨑彰容 (日本大学危機管理学部教授 思想史家)
VIDEO 井上達夫×先﨑彰容が対論“国柄”と“国防”を考える<後編>2023/4/3放送