⓮ロシア解体へ進むのか!ロシアが勝利するのか?:「ウクライナ戦争」2023年冬の戦いから2024年へ ロシア軍、ヘルソン撤退の動き 2022/11/4

 ⓮ロシア解体へ進むのか!ロシアが勝利するのか?:「ウクライナ戦争」2023年冬の戦いから2024年へ 


トランプは地球環境問題にも他国の民主主義の未来にも関心なし。利益第一主義だ。


       地球上で極めて危険な二人。



  トランプは地球環境問題にも他国の民主主義の未来にも関心なし。利益第一主義だ。  

電力のない冬を過ごすウクライナ国民を笑うロシアのペスコフ報道官。


この口はプーチンと同じ「嘘をつく口」!



 ロシア軍、ヘルソン撤退の動き ウクライナ「ロシアのわな」警戒

2022年11月4日


 ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ南部ヘルソン州の州都ヘルソンで、ロシア軍の撤退の動きが指摘されている。地元メディアは2022年11月3日、ロシア軍の装備や検問所がなくなったと伝えた。ウクライナ側はロシアが市街戦を仕掛けて有利に戦うための「わな」である可能性を主張し、警戒を強めた。

ヘルソンの地元メディア「モスト」は2022年11月3日、「ロシアの軍用車両が市内で激減した」とする住民の証言を報じた。

ロシア国旗が撤去された行政庁舎の写真がインターネット上に出回ったほか、ヘルソン州のロシア側「行政府」幹部ストレモウソフ氏がヘルソンのドニエプル川西岸から軍部隊が「離れる可能性が高い」と述べ、ロシア軍撤退の観測が強まった。

一方、ロイター通信によると、ウクライナ軍の報道担当者は2022年11月3日、写真は「ロシア軍がヘルソンを放棄したとの印象を与えるためかもしれない」と述べ、ロシアによる情報操作だとの見方を示した。ロシア側が市街戦を準備している可能性があるとした。(共同)


南部ヘルソン「焦土作戦」か ロシア軍、撤退でインフラ破壊

2022年11/11(金) 

ロシアが一方的に「併合」したウクライナ南部ヘルソン州の州都ヘルソン市で、2022年11月9日に撤退命令を受けたロシア軍が、電気や暖房などのインフラを破壊したようであることが分かった。






地元メディアが2022年11月10日、住民の話として伝えた。

 ウクライナ軍が奪還してもインフラを利用できないようにする「焦土作戦」を行っている可能性がある。撤退に伴い、地雷を敷設しているとの情報も出ている。



ロシア深層

停戦阻む露の「自分探し」 遠藤良介

2022/11/1



8カ月が過ぎたロシアのウクライナ侵略戦争はいつ、どう終わるのか。早く交渉で終わりにすべきだと考える向きもある。だが、2022年10月に来日したウクライナ国会のジェレズニャク議員は記者会見で語った。「この戦争は戦場で、ウクライナの勝利で終わる。冬場の(民主主義陣営の)支援が勝利を近づける」「この戦争は(同じロシアに侵略された)日本の皆さんの琴線に触れるでしょう」


ジェレズニャク氏はロシアに破壊の限りを尽くされた東部マリウポリの出身で、「戦争が一日も早く終わってほしい」との気持ちは人一倍だ。それでも、現時点で停戦交渉が可能だとの考えは聞かれなかった。最近のウクライナでの世論調査でも86%が軍事的抵抗の継続を支持していた。


ウクライナ人の多くはこう考えている。プーチン露大統領はまっとうな話ができる相手ではない。妥協して中途半端な和平を結んでも、再侵攻のための準備時間を与えるだけだ。ロシアが2014年に併合したクリミア半島を今回の侵攻で拠点に使ったように。日本も北方四島を不法占拠されているが、日ソ平和条約のような「嘘」を信じないで日本固有の領土を取り返す手段を、今こそチャンスを逃さずに準備すべきだ。素人が考えているのだから、もちろん準備している、と思う。




 占領者(プーチンのロシア)は全てを破壊していったが、我々(ウクライナ)は全てを復旧させる

2022年11月14日 








⓬ウクライナ報道官「領土占領の状況、日本と酷似」
2022年11/4(金) 18:32
ウクライナのオレグ・ニコレンコ外務報道官が2022年11月4日までに、首都キーウ(キエフ)市内で産経新聞の単独インタビューに応じた。ニコレンコ氏は日本のウクライナ支援に「心から感謝する」と表明し、両国がともにロシアに不当に領土を占拠されているとして、北方領土問題の解決に向けて2国間の協力強化を呼び掛けた。露軍がウクライナの民間施設への攻撃を強めている現状については、「ウクライナ人に対するジェノサイド(集団殺害)」だと糾弾した。かつて第2次世界大戦、終戦後ロシアの潜水艦によって日本の領土だった北方から日本への避難民大型船が撃沈された。北海道の人々には記憶に新しいだろう。


ニコレンコ氏は、日本が「技術、人道両面でウクライナを支援し、対露制裁にも積極的に取り組んでいる」と述べ、「心から感謝している」と表明した。

またゼレンスキー大統領が2022年10月7日に「ロシアが不法占拠している北方領土を含む、日本の主権と領土の一体性を支持する」と表明したことに関して、「日本をめぐる状況は(ロシアに)領土を占領された現在のウクライナと酷似している」と指摘。北方領土問題も、「国際法が侵害された事例であり、解決が必要だ」と主張した。

ウクライナは現在、2014年にロシアに併合された南部クリミア半島の奪還に向けた国際会合「クリミア・プラットフォーム」を主導しているが、同会議で得た知見を「北方領土問題の解決にも活用できるのではないか」と述べ、両国間の協力強化を呼び掛けた。 一方、日本政府がロシア極東の石油・天然ガス開発事業に出資を継続する意向を示していることに関しては、「ロシアビジネスに関する一般論」だと前置きしつつ、「ロシアは原油や天然ガスを国際市場で売った資金で、ウクライナ人を殺している。われわれは、ロシアと商売をすることは間違っていると考えている」と述べた。

2022年10月10日以降、露軍がキーウを含むウクライナ全土の電力インフラなどへの攻撃を激化させている現状については「人々が生き延びるために必要なすべを奪おうとしている」と断じ、「ウクライナ人に対するジェノサイドに行きつく行為だ」と非難した。
プーチン露大統領については、「戦場でウクライナ軍に勝利できないから、軍事とは関係がない施設を攻撃(して戦果を主張)することで、国民の目から自国の損失を隠そうとしている」と批判。「モスクワ(ロシア政府)が他の旧ソ連諸国の国民に指示できるという病的な考え」をプーチン氏が持ち続けており、「そのために、われわれが巨大な損失を被っている」と語った。(キーウ 黒川信雄)



ゼレンスキー氏「全世界はこれを見よ」 集団埋葬地の写真公開、露軍の残虐さ非難
2022/9/17 20:10


ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ロシア軍から奪還した東部ハリコフ州イジュムで見つかった集団埋葬地から遺体を搬出する作業の写真を交流サイト(SNS)上に公開した。遺体はミサイル攻撃の犠牲者や子供、戦死した兵士らで、拷問の痕跡も見つかっているとし、「世界はこれを見るべきだ。ロシアが残すのは死と苦しみだけだ」と訴えた。

ゼレンスキー氏は同日のビデオ声明でも、4月上旬に露軍による民間人虐殺が発覚した首都キーウ(キエフ)近郊ブチャと「同じことをロシアは繰り返した」と非難した。

集団埋葬地は15日に見つかった。ウクライナ警察当局などによると、これまでに445人の遺体が確認され、大半が民間人という。耳を切り落とされたり、銃で撃たれたりした遺体、手を縛られた兵士の遺体などもあった。ウクライナは露軍による民間人殺害や兵士虐待などの戦争犯罪があったとみて捜査を開始した。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は16日の記者会見で「ロシアが続けてきた邪悪な行為と一致している」と述べ、ロシアを非難。「米国は、露軍が犯した戦争犯罪と残虐行為を実証するための努力を支援し続ける」と強調した。


米CNNテレビは国連当局者の話として、国連が戦争犯罪の調査チームを現地に派遣する予定だと伝えた。



今年が最大のチャンス!?北方領土を取り戻す方法とは!? 【正義のミカタチャンネル】ロシア専門家・中村逸郎先生 2021年4月3日収録


ロシアによるウクライナ侵攻のはるか昔、同じロシア兵によって不法に占拠された日本の「北方領土」。家に侵入し、高価なものを要求するロシア兵たち…当時幼かった旧島民は、ロシア語に塗り替えられていく日常をハッキリと記憶していた。
明らかな不法占拠である。ロシア人を4島から非難させた後に、取り返すべきだ。今がチャンス!!!!!!!!!!!!!!!

ウクライナの次は日本が危ない!?日本を襲う最悪のシナリオ【正義のミカタチャンネル】ロシア専門家・中村逸郎先生 2022年3月12日収録


【テレビ初告白】なぜ彼は国後島から泳いできたのか 脱出のきっかけ「不愉快な出来事」とは… すべてを語る
2022/07/04




テレビで引っ張りだこ!ロシア政治の専門家・中村逸郎教授は島根出身…山陰放送との意外な関係も判明2022/04/21



NHK|オリガルヒ7人死亡の裏側と”制裁逃れ”を語る ロシア富裕層の実態を知る『オリガルヒ・ハンター』の主張とは?| ニュースウオッチ9
2022/05/26



「図々しく、よく考えず」プーチン大統領が痛烈批判もロシア経済は・・・(2022年6月18日)



【タカオカ解説】日本にも逆襲!?天然ガス開発事業「サハリン2」をロシアが事実上の国有化 プーチン大統領が持つ「交渉のカード」とは
2022/07/04



ロシアの核報復システムの実態は?プーチン大統領が大幅に変更!?【正義のミカタチャンネル】ロシア専門家・中村逸郎先生 2022年3月12日収録






【中村逸郎にきいた】北朝鮮の核実験を支えているのはロシア




プーチン大統領が逃走中!?居場所は?【正義のミカタチャンネル】ロシア専門家・中村逸郎先生 2022年3月12日収録




なぜ解決しないのか?ロシアから見た北方領土問題、色丹島出身大学生の思いは…
2022/06/03


ロシアによるウクライナ侵攻のはるか昔、同じロシア兵によって不法に占拠された日本の「北方領土」。家に侵入し、高価なものを要求するロシア兵たち…当時幼かった旧島民は、ロシア語に塗り替えられていく日常をハッキリと記憶していた。
明らかな不法占拠であるのにも関わらず、なぜ「北方領土問題」は解決しないのか…。取材班は「サハリン州」の州都であるユジノサハリンスクを取材。街の隅々で「ロシアから見た北方領土」を発見する。“戦争の結果”は覆らないとしながらも、経済的な交流を強く望むロシアの人々。「北方領土を日本に返したら…」色丹島からやってきた女性大学生の思いとは?

※2016年11月、12月に「ウェークアップ!ぷらす」で放送されたVTRの再編集版です

敵は国内にいた!?プーチン大統領は暗殺に怯えている?【正義のミカタチャンネル】ロシア専門家・中村逸郎先生 2022年3月5日収録



中国はロシアを見捨てた!?プーチン大統領を止めるのは習近平主席?【正義のミカタチャンネル】ロシア専門家・中村逸郎先生 2022年3月5日収録



救世主はトランプ前大統領!?第三次世界大戦を止める方法は?【正義のミカタチャンネル】ロシア専門家・中村逸郎先生 2022年3月12日収録




第一次世界大戦 Q. なぜ神は人々に戦争をさせるのか? A. アメリカ人に地理を教えるため。


第二次世界大戦



アメリカの歴史


アメリカ人の心得
一、嫌なことがあれば訴えろ
一、戦争は反感を買ってでもしろ
一、アメリカの建物を壊してはいけないが、イラクの建物は壊していい
一、法律はアメリカ企業のシェアを守るためにある
一、国連でのアメリカの発言は2票扱い。なぜなら日本がいるから
一、大量破壊兵器なんか無くたってかまわない



プーチンの戦争を斬る

「自信のなさ」露呈したプーチン大統領 〝核恫喝〟への最善な対応策、西側諸国がウクライナに迅速かつ大量に優れた武器供与を


ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2022年9月21日の演説で、核兵器の使用をほのめかし、「これはハッタリではない」と恫喝(どうかつ)した。国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアの指導者が「核の脅し」を使うかとは、あぜんとするばかりだ。

プーチン氏は、しばしば核兵器について言及してきたが、それは自信のなさを露呈している。彼は、ロシアが大量の核兵器を保有する大国であることを誇示したいのだ。核兵器を除くとロシアが大国でないことは、今回の戦争で明らかになった。彼は核の恫喝によって、2つの目的を達成しようとしている。つまり、「ウクライナ軍の反攻作戦を止めさせること」と、「西側諸国のウクライナへの武器提供を止めさせること」だ。
それでは、西側諸国の指導者は、プーチン氏の核恫喝にいかに対処すべきか。結論は、核の脅しに屈することなく、断固としてウォロディミル・ゼレンスキー大統領率いるウクライナが希望する兵器を迅速かつ大量に提供することである。プーチン氏の脅しに屈することは、彼がウクライナ侵攻で勝利することを意味する。そして、核の脅しに一度屈したら、彼は何度でも西側諸国を核で脅すだろう。
確かに、プーチン氏が核を使用する可能性は否定できない。しかし、以下のような理由で、核戦争を望んではいないと私は思う。


①ウクライナで核兵器を使用するとしても、軍事的に決定的影響を与えるためには数発の使用では足りない。数十発から数百発が必要であることは常識といえる。そこまでの核兵器を使用するハードルは高い。
②米国防総省は、ロシアの核態勢を常時監視しているが、「核態勢に変化はない」と繰り返し表明している。

③プーチン氏は「フィンランドとスウェーデンがNATO(北大西洋条約機構)に加盟すれば、軍事的な結果をもたらす」と脅迫したが、ハッタリだった。彼は「ロシア本土への攻撃は破滅的な結果を招く」と脅した。だが、ウクライナ軍はクリミアとロシア本土のベルゴロド市を攻撃したが、ロシア側は大量破壊兵器を使っていない。

④ロシアの核使用は第三次世界大戦を引き起こす可能性がある。最悪のケースでは、戦略核兵器の打ち合いになり人類滅亡の危険性さえある。
プーチン氏は核戦争を望んではいないと思うが、最悪のケースへの備えは当然であり、ウクライナはその備えを開始している。

再度強調するが、ロシアの核恫喝に対する最善の対応策は、ウクライナ軍の持続的な反攻作戦を可能にするために、米軍の高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」や、射程300キロの米軍の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」、米軍の主力戦車「M1エイブラムス」、ドイツ軍の主力戦車「レオパルト」など、優れた西側の装備を迅速かつ多量に供与することだ。


■渡部悦和(わたなべ・よしかず) 元陸上自衛隊東部方面総監、元富士通システム統合研究所安全保障研究所長、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書・共著に『日本はすでに戦時下にある』(ワニブックス)、『ロシア・ウクライナ戦争と日本の防衛』(同)など多数。




「満州事変はプーチンのやり方と一緒だ」 保阪正康が説く「歴史を知ること」の重要性
ウクライナ
2022/07/06 08:00

ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、日本の防衛のあり方が注目を集めている。この先どこへ向かうのか。『歴史の予兆を読む』(朝日新書)の共著者・保阪正康さんに聞いた。AERA 2022年7月11日号の記事を紹介する。
 日本は今後、どうなるのか。今回の侵攻を機に台湾有事など中国の脅威が喧伝(けんでん)され、「核共有」や「憲法9条改正」を訴える政治家もいる。

「ある集まりで『もし日本がウクライナのように侵攻されたら、政府はどう対応すると思うか』と聞かれ、私は三つの選択肢を示しました。一つはアメリカ依存。一つは憲法の、専守防衛の範囲内での抵抗。三つ目は、二二六事件のように政府が意図的に八百長でクーデターを起こして現憲法が作る政治的空間を全部止めてしまい、そのうえで『軍』をどうするかなど緊急対応を考えていくという道です」

国民が「よく見ておく」
「三つ目の選択は非現実的と思うかもしれませんが、誰もがあり得ないと思っていたウクライナ戦争が起きた今、考えざるを得ない。そうなったら、侵略してきた相手よりも日本のほうがもっと怖い国になります」

 保阪さんは、「大切なのは国がそんな方向に行かないよう国民が『よく見ておく』こと」だと指摘する。そのために必要なのは「歴史を知ること」だ。

「なぜ歴史を学ぶのか。歴史の中に全ての答えが入っているからです。特に明治から戦前・戦中の近代史77年の中には、『他国への侵略のために、国が国民の生命と財産をいかに博打(ばくち)のように使い、いかにひどいことをやるのか』の答えが全てあります」

「日本は江戸時代の270年間、一度も対外戦争をしませんでした。それが鎖国を解いて近代国家になったら、今度は明治27(1894)年の日清戦争を皮切りに10年おきに戦争をやる国になった。しかも極めて帝国主義的な侵略戦争です。ヨーロッパ諸国が帝国主義的な戦争の段階から脱皮していく中、日本はいわば『最後の帝国主義国』として東南アジアや中国に対応した」
軍人は営業マンだった
「そんな戦争の歴史を見ていくと、『この国は戦争を営業品目に使っていた』ことに気づきます。何のために戦うのかを考えることなく、とにかく勝って賠償金と領土を取り、帝国主義国のトップに上り詰め『一等国』になるのだと。軍人はそのための営業マンだったのです」

 現状を自国の歴史と重ね合わせる視点が大事だと、保阪さんは言う。例えば、ロシアがウクライナ東部にある親ロシア派支配地域の独立を一方的に認め、「東部の住民保護」を名目に侵攻したことは、満州国を作り、中国と全面戦争に突入した日本と重なりはしないか。
「今、プーチンを批判したときに『お前たちだって同じようなことをやっていたじゃないか』と言われたら、私たちは決してそれを否定できません。歴史を学び、『満州事変は本当にプーチンのやり方と一緒だな』とまず知ること。歴史をかみしめ、咀嚼(そしゃく)してみること。21世紀の歴史の予兆をつかむためにも大事なことだと思います」

(構成/編集部・小長光哲郎)







悪事を正当化するプーチン語録の読み解き「狙いはウクライナ全体の支配」
2022/02/26 16:00

悪いことをしている人でも、自分は悪くないと主張する、この現象はしばしばある。

「悪いのは自分ではなく、他人だ。他人のせいで自分はこうしなければならなくなった!」というわけだ。プーチン大統領は徹頭徹尾、そのタイプである。
プーチン大統領は急に酷い人間になったわけではなく、もともとそういう男だった。生まれつきのろくでなしだ。

 彼はソ連時代、泣く子も黙る秘密警察「KGB」のスパイとして生き、39歳でソ連解体を経験し、40代をロシア経済崩壊の下で過ごし、47歳で大統領に就任した。殺人経験者が最高権力者になると、同世代のKGB時代からの仲間たちを集め、強権支配を進めた。

 とくに2000年にロシア大統領になった直後から、強引に主要メディアを支配し、ロシア民族主義を扇動する宣伝工作を大々的に進めてきた。それにより、90年代に壮絶な経済崩壊を経験したロシア国民を「洗脳」し、高い支持率を得た。

 初めはロシア国内でチェチェン戦争や、ロシア国内で強大な力を持つ新興財閥(オリガルヒ)との戦いに注力したが、それに勝利すると、「大国ロシアの復活」を押し出していく。とくに注目されたのが、2005年4月の連邦議会での演説だ。

「ソ連の崩壊は、今世紀最大の地政学惨事である」
その後もしばしば、彼はソ連解体が間違いだったと主張し、東欧諸国のNATO加盟を非難し、米国批判の発言を重ねた。

 そして、米国で2009年にオバマ政権が登場し、対外的な軍事介入から手を引いたことを好機ととらえ、2014年にクリミア、2015年にシリアとロシア軍を投入。いずれも米国から反撃を受けることはなく、やすやすと勢力圏拡大に成功した。クリミア奪取の後には、ウクライナ東部ドネツク州などで「親ロシア派」と呼ばれる配下の武装勢力を使ってウクライナ軍との戦いを続けた(実際にはロシア軍が非公式に参戦していた)。

 そんななか、ロシア国内ではますますプーチン独裁が進み、暴力的な民主派弾圧が強化された。プーチン大統領は、いわゆる西側のリベラルな価値観そのものを敵視する発言を繰り返した。
その後、2020年にウクライナの北側に隣接するベラルーシで大規模な民主派弾圧が発生し、ルカシェンコ独裁政権は完全にロシアの勢力圏に入ってしまった。そんな状況で2021年春、プーチン大統領は突如、大軍をベラルーシ国境からウクライナ国境に進軍した。ウクライナへの野望の牙を剥いたのだ。

◆プーチン論文に記された野望とは?
もっとも、当時はロシアとウクライナの対立はウクライナ東部・ドンバス地方の問題が中心だった。前述した親ロシア派とウクライナ軍の停戦交渉をめぐる争いである。この問題でのロシアの建前は“ウクライナ政府に弾圧されているロシア系住民の同胞を守る”という論理だった。
しかし、プーチン大統領は同年7月、長い論文を発表してこう書いた。

ロシア人とウクライナ人はひとつの国民。ウクライナの主権保持はロシアとの協力が不可欠であり、域外の国は介入するな

 これは事実上、ウクライナはロシアの“縄張り“だと宣言したようなものだった。そして同年秋、さらに大軍を派遣すると、同年12月に要求内容をいっきに拡大したのだ。

NATO不拡大を確約せよ。中欧、東欧、バルト三国からNATO軍と軍事施設は引き揚げよ。欧米が敵対的な路線を続ければ軍事的対抗措置をとる

 (プーチンの言う)ウクライナ東部の問題から、いっきに対NATOに変わったのだ。そして、その後は「侵攻はしない」と言いつつロシア軍の増強を続けた。

 事態がいっきに動いたのは2022年2月21日だ。その日、プーチン大統領はウクライナ東部の親ロシア派支配地域の2つの自称国家の独立を承認し(ロシア下院が同月15日に承認要請を決議していた)、同地域での治安維持活動を軍に命じたのだ。それにより、ロシア軍のウクライナ東部への公式の侵攻が開始された。

 その日、プーチンは長い演説で以下のような内容を語っている。

ウクライナはロシアによって創造されたにすぎない。独立した国として存在すべきではない

ウクライナはNATOの傀儡(かいらい)。NATOから武器を提供されたウクライナは、ロシアにとって軍事的脅威だ。ウクライナはロシアに対する軍事攻撃を計画し、核兵器を入手しようとしている
これは奇妙な話だった。ロシア軍の派遣はあくまで東部の自称国家を守るという建前だが、プーチン大統領は同時にウクライナ自体の存在を否定し、ウクライナ全体が脅威だとしているのだ。東部は単なる建前で、ウクライナ全体を狙っていることを示していると言える。

(北方領土問題と引き換えにプーチンへプレゼントした)秋田犬ゆめと一緒に安倍首相(当時)を出迎えるプーチン大統領(2014年=ロシア大統領府提供)



◆プーチン流「奇妙な論理」のすり替え
そしてその3日後の2月24日、プーチン大統領は開戦を命じた。同日の演説ではこう語った。

「東部の人々を守るため、東部で軍の特殊作戦(平和維持軍事作戦)を開始する」

「ウクライナの非軍事化を目指す。だが占領計画はない」

 これも奇妙な論理だ。東部の軍事作戦としながら、“ウクライナ軍“の解体を目指すとしている。そして実際、ロシア軍はウクライナ全土での攻撃(かつてロシアがシリアをそうしたように焦土作戦)を開始したのだ。

 ロシア軍は北部、東部、南部の3方向から侵攻したが、そのうち北部ではベラルーシから南下し、2022年2月25日には首都キエフへの攻撃も始めた。

 同日、プーチン政権は停戦を呼びかける声明も出しているが、ペスコフ大統領報道官はこう述べている。

停戦はウクライナの中立化と非軍事化が前提条件だ

 非軍事化というのは、降伏せよということを意味する。また、中立化とは言っているが、それは建前であり、当然、ウクライナの指導部の退陣とロシア派の傀儡政権の擁立。そして、その要請によるロシア軍の正式な治安維持任務化、いわば“官軍”化を狙っていることは明らかだ。
こうしたプーチン大統領の言動をみると、彼の狙いは最初からウクライナ全体を支配することだったことがわかる。その手順と作戦は最初から計画されていたのだろう。そして、その過程で一貫して「自分は悪くない。相手が悪いのだ」と無理やり強弁し続けているのである。

(軍事ジャーナリスト・黒井文太郎)





池上彰「ロシアの歴史認識の違いはとても深刻」 保阪正康と語った第二次世界大戦の“真相”
歴史道
2022/07/09 07:00


大国が自らの権益を剥き出しに主張しつつある昨今。ロシアのウクライナ侵攻は、いやが応でも第二次世界大戦とその始まりを連想させる。発売中の『歴史道 Vol.22 第二次世界大戦の真実』(朝日新聞出版)では、最新刊『歴史の予兆を読む』を上梓したばかりの池上彰氏と保阪正康氏が、前(さき)の大戦の真相について語り合った。当代を代表する二人の論客は、世界大戦の「過去・現在・未来」をいかに考えたか?

*  *  *

池上:今、まさに進行中のロシアのウクライナ侵攻と、第二次世界大戦の元凶とされるナチス・ドイツによる数々の侵略行為を重ねて見ている「歴史好き」は少なくないでしょう。特に『歴史道』の愛読者には多そうです。保阪さんとは「歴史の予兆」という難しいテーマで大いに議論して対談本を出しましたが、「歴史の真相」というのも、そんなに簡単なテーマではありません(笑)。

保阪:僕は第一次世界大戦と第二次世界大戦を調べていて、一つの結論に至りました。それは「第一次大戦と第二次大戦は連結している」ということ。二つの大戦、そして戦間期と、ともすると切り離して歴史的事象を眺めがちですが、前半戦と後半戦のような繋がった形の見方をしないと、真相は見えてこないんですよ。

池上:たとえば、ドイツに対する第一次世界大戦の戦後処理の「失敗」が第二次世界大戦の引き金になったといった見方ですよね。

保阪:そうです。ヒトラーは、まさに「戦争で失ったものは戦争で取り返す」という考えの持ち主でした。そのことも、二つの大戦を繋げて見ないと、第二次世界大戦を理解できないと確信した理由の一つです。チャーチルも「戦間期とは、戦争が煙草を吸ってひと休みしていたに過ぎない」と言っています。僕の前半戦と後半戦という見方と非常に近い。さすがにチャーチルのほうがうまい言い方をするなと感心しますが(笑)。
池上:第二次世界大戦では、当然ながらルーズベルトの考えも重要でした。
保阪:ルーズベルトは1941年12月8日(ワシントン時間7日)、前日の日本による真珠湾攻撃を受けて、議会で有名な「恥辱演説」を行います。これでアメリカの参戦が決まるわけですが、その時、「ドイツは第一次世界大戦で負けたという認識が持てなかった。だからまた戦争をするのだろう」などと新聞記者のインタビューに答えています。「だから今度の戦争は無条件降伏しかない。無条件降伏を日本、イタリア、ドイツに認めさせて、お前たちは負けたんだということを徹底的に教え込む必要がある。途中の和平はない。徹底的に戦う。そして我々が望むデモクラティックな体制を作って、二度と我々に歯向かってこない国にするんだ」というようなことを言った。実際にそうなっていますよね。
池上:第一次世界大戦が人類史上初めての「世界大戦」で、それが前半戦にしか過ぎず、その後半戦があった。つまり、ひと続きの戦争だったと……。

保阪:そもそも、なぜ「世界大戦」と呼ぶのか。どちらも始まりの時点では、誰もあんな大規模な戦争になるとは思わず、みんなすぐに終わるだろうと思っていた。それが関係者の予想を超えて戦線が急拡大して、結果的に世界大戦と呼ばれるようになったわけです。

池上:今日のウクライナ侵攻も、関係国や専門家が「まさか」と思っていた事態です。どこか似ている気がします。

保阪:第一次世界大戦での「まさか」は帝国の崩壊でした。オスマントルコ、ロシア、オーストリア=ハンガリーといった帝国が次々と崩壊した。背景には民族意識の高まりがあり、帝国の網の中にくくられていた国や地域が独立していく。また、戦争にアジアやアフリカの植民地が参戦することで、世界中が何らかの形で関わったわけです。
池上:第一次世界大戦を契機に民族の独立運動や社会主義運動が世界的に広がり、それも第二次世界大戦に引き継がれたといえます。また、第一次世界大戦で「国家総力戦」が初めて行われたとされている。国の軍事力のみならず、経済力まで問われるという点で史上初めて。これも第二次世界大戦に引き継がれたといえます。保阪さんのおっしゃる連結は、こうした意味も含んだ表現ですよね。
保阪:科学技術の発展で、武器の性能が格段に進み、戦闘機や弾丸が何キロも飛ぶ高射砲が登場して、非戦闘員が犠牲になるのが当たり前になってしまった。そういう国家総力戦も第二次世界大戦で繰り返されます。

池上:ドイツにおける二つの大戦の連結でいえば、第一次世界大戦の戦後処理、いわゆるベルサイユ体制によってフランスなど戦勝国から1320億マルクにおよぶ莫大な賠償金を請求されました。ドイツは、それを払うために紙幣を増刷してハイパーインフレになってしまった。結果的にドイツには、いわば被害者意識が生まれます。先ほど「ドイツは戦争に負けた自覚がなかった」という話がありましたが、第一次世界大戦の結果、ドイツの人たちは「なんで我々がこんな目に遭わなければいけないんだ」という鬱屈した感情を持つようになった。その時、ヒトラーが「ドイツの生存圏が必要だ」などと叫んで登場した。その憂さ晴らしのような言葉が受け入れられてしまったわけですよね。




*  *  *

保阪:僕は常々、日本の歴史総括の曖昧さ、いい加減さに腹が立っているのですが、戦間期のドイツもある意味でそうだった。そのためにヒトラーが権力を握ってしまったのでしょう。実は日本の軍人は第一次世界大戦直後の大正八~九年(1919~20)頃に群れをなすようにしてドイツへ留学しています。もともとプロイセンを真似て軍隊を作ったところもあり、特に陸軍は伝統的に親独派が主流でした。たとえば、東条英機も留学してドイツ軍人たちの零落ぶりを見た。けれども、どういう結論を得て日本に帰ってきたかというと「ドイツは軍人が戦争に負けたんじゃない。後ろで支える国民が社会主義思想に幻惑されて皇帝を倒すとデモをした。戦争を支えるべき国民の裏切り、跳ね返りが敗北に追われた理由だ」というふうな理解の仕方です。同じドイツ留学組でも石原莞爾はまた違う見方をしていますが、東条のような認識から国家総力戦の本当の姿が浮かんでくるわけがないでしょう。軍の中には永田鉄山のように「国家総力戦に移行したんだから軍人だけがやるんじゃない。戦争は官僚や産業人、いろいろな人たちの総合的な力の中でやるものだ」という考え方をする人もいた。でも結果的に東条のような考えの人が権力を握っていく。これも歴史総括のいい加減さの表れだと思います。

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「ウクライナを自分のものだと言い…」
池上:一般的には「第二次大戦はナチス・ドイツの侵略によって始まった」とされていますが、実は「ソ連が大戦の引き金を引いた」ともいえます。スターリンはヒトラーとの密約でポーランドを分割したり、ルーマニアの東部を取ってモルダビアというソ連の共和国にしたりした。現在のモルドバですね。ソ連はフィンランドにも攻め込んでいます(冬戦争)。その理由は「ドイツが力をつけてきたら大変だから、我が国を守るためにフィンランドの一部に軍を駐留させろ、割譲させろ」というもの。ところが簡単に勝てると高をくくって侵攻したら、逆にフィンランドからえらい目に遭わされました。その苦戦ぶりを見てドイツは、ソ連って意外に弱いんじゃないかと判断した。それもドイツがソ連を攻撃する一つのきっかけになったわけです。こう考えると、第二次世界大戦はドイツとソ連が始めた戦争といえますよね。加えて、第二次世界大戦でのソ連の振る舞いを追っていくと、あの国は実に臆病なんだということがわかります。自分の国の周りに言うことを聞く国がないと不安で不安でしょうがない。そんな構造が見えてきます。今、ロシアはウクライナを自分のものだと言い、NATO(北大西洋条約機構)の拡大に怯えています。あの頃と実は同じ構造だから、前時代的な侵攻に踏み切ったのではないでしょうか。

保阪:ナチス・ドイツのポーランド侵攻の9日前に独ソ不可侵条約が結ばれています。この条約に秘密協定があったことがゴルバチョフ政権の時に明らかになりました。ソ連はポーランド分割の密約についても認めた。また「カチンの森の虐殺」について、ソ連は戦後、ずっとナチスの仕業だとしらを切っていました。けれども、ゴルバチョフがきちんと調査して、ポーランドに対して正式に謝罪したわけです。以来、歴史の見方が根本的にがらっと変わったんですね。現在のヨーロッパ各国の歴史解釈では、第二次世界大戦はスターリンとヒトラーの野合で始まったというのが常識になっています。
池上:2009年に欧州議会は、独ソ不可侵条約が締結された8月23日をスターリニズムとナチズムの犠牲者の追悼の日にすると決めました。さらに欧州議会は2019年、ヒトラーとスターリンによる密約を「民主主義と平和に対する犯罪」とする決議を発表しています。

保阪:19年の欧州議会の決議に対してプーチンは激高したそうです。お前たちはナチスと戦って勝ったと言うけれども、実は自分たちが起こした戦争じゃないかというのがヨーロッパのある種の常識になる。それがプーチンをいたく傷つけたわけです。もちろん欧州議会の態度は、いわゆる歴史修正主義ではありません。歴史をもう一度きちんと事実をもとに見直していこうという実証的な営みで、その意味では極めて健全だと思います。
池上:でも案の定というか、ロシアでは21年7月、第二次世界大戦のソ連の行為をナチスと同一視することを禁止する法律が採択されています。「スターリンとヒトラーは同じようなことをやったよね」とロシア国内で言うと罪に問われるわけです。それで毎年、ロシアが連合国の中で最も多くの犠牲を出してナチスと戦い抜いたんだと、対独戦勝利の日を大々的に祝っています。ロシアの人たちにとって、それしか「真相」はないんですね。この歴史認識の違いはとても深刻ですよ。

保阪:それにしても、スターリンのやったことは社会主義に名を借りた、かなり露骨な軍事主導の帝国主義的な侵略政策そのものでした。それがなぜ戦後も国際社会できちんと批判されなかったのか。社会主義が持っている先進性みたいな幻想が世界の人々の中にあって、そのこと自体が社会主義勢力を批判することをためらわせたのだと思う。これは20世紀に起こったある種の知性の衰弱と僕は見ているんです。

◎ほさか・まさやす/1939年北海道生まれ。ノンフィクション作家。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。延べ4000人におよぶ肉声を記録してきた。第52回菊池寛賞受賞。『昭和陸軍の研究』『東條英機と天皇の時代』『太平洋戦争への道』(共著)など、著書多数。



元KGBの敏腕女性スパイがウクライナ侵攻を分析「国としては存在しなくなる」=英紙報道
2022年12月26日
元KGBの敏腕女性スパイは「誰でも誘惑できる」と断言する。さらにウクライナ侵攻について「国としてのウクライナは存在しなくなる」と分析した。26日までに英紙デイリー・スターが報じた。

元KGBスパイのアリーア・ローザ(インスタグラム@aliiarpzaから)


アリーア・ローザは元KGBスパイで、現在は米在住でモデルとして活動。また、ビバリーヒルズでKGB仕込みの〝男性誘惑テクニック教室〟「ハニートラップ・トレーニング」を開催している。ローザは「KGB式のハニートラップで誘惑できない相手はいない。現在、私と同じ訓練を受けたロシアの男女のエージェントがイギリスとアメリカ中に散らばっています」と語る。

「エージェントは、アメリカやイギリスなど、さまざまな国に住んでいますが、彼らは一般人のようです。時には、男性と女性の2人のエージェントが…偽装結婚し、子供をもうけてまで普通の家族を演じていることがあります。でも、彼らは二重生活を送っているんです。世界の裏で何が起こっているのかを知っている。情報を得ることが仕事ですから」とローザ。スパイ活動は「007」のジェームズ・ボンドのように派手なアクションをするわけではない。現実のスパイは、非常に静かなものだという。

さらにローザはプーチン大統領の国民人気についてこう話す。

「プーチン大統領の夢はすべての旧ソ連諸国を旧ソ連のようなブロックにまとめることです。そのため、プーチンはKGB式の人心掌握術を悪用し、心理的トリックで国民の信頼を勝ち取っています。上半身裸で乗馬したり、釣りをしたり。戦闘機を操縦したり、潜水艇で沈没船を調査したり。これらのプロパガンダで、ロシア女性は『彼はとてもセクシーだ』と言い、男性は『私はこの男が好きだ、彼は肝が据わっている』と言い、プーチンが〝完璧なジェームズ・ボンド〟のように見えているんです。国民をハニートラップにかけているんです」(同)

さらにウクライナ侵攻について分析した。「ロシアはウクライナに侵攻するのに十分な力を持っています。今、プーチンは中国、インド、その他のアジア諸国と同盟を結び、アメリカとヨーロッパにとって危険な巨大な力を生み出しています。実際、ヨーロッパ諸国は現在、ウクライナからの難民の数が非常に高くつくため、大きな問題を抱えています」

ローザが言っていることはテレビを見ての単なる意見ではなく、ロシアとウクライナの情報源からの分析だという。

「多くの国が戦争から経済的利益を得ており、戦争の継続を望んでいるため、戦争はおそらくあと2年続くでしょう。西側の制裁がロシア経済に破壊的な影響を与えているといわれています。しかし、闇市場は旧ソ連ブロック全体で常に非常に活発であったため、経済制裁は効いていないんです。例えば、アイフォーンや高級車のような欧米製品は西側より安い」

そして、ローザは「国としてのウクライナはもう存在しなくなります。現在のウクライナの多くがロシアの手に渡り、ウクライナの半分がヨーロッパに吸収されるでしょう。ヨーロッパ人になりたかったウクライナ人はヨーロッパ各国に併合されることを受け入れ、プーチンはドンバス、クリミア、ドネツクを支配します。そんな落としどころは分かっているのに、非常に多くの人が死ななければならないのは、ただ悲しいことです」と締めくくった。




ウクライナ侵攻がよくわかる小説『カティンの森』 下重暁子が紹介
ときめきは前ぶれもなく
下重暁子
2022/04/22 07:00
人間としてのあり方や生き方を問いかけてきた作家・下重暁子氏の連載「ときめきは前ぶれもなく」。今回は、小説『カティンの森』について。

*  *  *
ニュースを見聞きするたびに辛くなる。ロシアによるウクライナ侵攻はますます激しく、その正体を見せはじめた。市民を巻き添えにした大量虐殺である。ブチャなどいくつかの都市、南東部のマリウポリでは、化学兵器の使用の疑惑も持たれている。

 その画面を見るたびに、閉館を決めた岩波ホールで見た、ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の「カティンの森」のおぞましく暗い画面と重ねてしまう。

 第二次世界大戦中にソ連軍の捕虜になったポーランド人将校や知識人ら一万数千人がソ連内にあるカティンの森で秘密裏に処刑(虐殺)された事件を元にしたアンジェイ・ムラルチクの小説を映画化した作品である。

 私は映画を見ると必ず原作を読む。いや、逆に小説が先で映画が後のことも多い。するとさまざまな細部が描き出され、私の中で腑に落ちることが多いのだ。コロナが流行し、頂点を迎えた頃、私は再びカミュの『ペスト』を読み直した。当時の人々の心の動きや狼狽ぶりなど、専門家の話よりも納得した。
今回のロシアによるウクライナ侵攻についても、小説『カティンの森』を読むことでわかったことが多い。

 集英社文庫の『カティンの森』は二〇〇九年の秋に出版されている。

 ソ連の収容所内からカティンの森に連行され、虐殺された将校の中にフィリピンスキ少佐がいた。小説に描かれるのは、少佐の妻と娘そして少佐の母。彼女たちは少佐の帰還を信じ、待ち続けた。少佐が最後までつけていた日誌や遺品だけを頼りに。その中から少しずつ真実が姿を現す。

 当初、この虐殺事件はナチス・ドイツの仕業だと信じられていた。

 ナチス・ドイツとソ連は一九三九年に不可侵条約を結び、ポーランド分割を密かに決め、ドイツが西から、ソ連は東からポーランドに侵攻。ソ連の捕虜になり、ソ連各地に収容されたポーランド人将校ら一万数千人が、翌四〇年に虐殺されカティンの森など三カ所に埋められたとされる。ナチス・ドイツに罪をなすりつけて、事実はソ連の犯行だったのである。

今、ウクライナで行われているロシアの虐殺行為も、ロシア内ではウクライナによる自作自演と喧伝されている。

 なぜ真実が伝わらないのか、この開かれた時代に。自分の身に振りかかる権力の横暴から人々は目をそむけ、プーチンの言動を信じる。皮肉にも善男善女といわれる庶民ほど。

近隣国へ逃れる難民の群れ、最も多くの人を受け入れるポーランドは、かつて悲劇の民だった。その経験が同じ境遇に直面するウクライナの民を温かく迎える。人々が歴史から学んだものは大きい。独裁者と呼ばれる権力者だけが、そのことに気付かない。

 いや気付いているからこそ、権力を守るべく一層過激な行為に走るのだ。怖れているのは、実はプーチンかもしれない。

 カティンの森の語る真実は今も生きている。

下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。この連載に加筆した『死は最後で最大のときめき』(朝日新書)が発売中

※週刊朝日  2022年4月29日号





「プーチンは人格が壊れた指導者」 ロシア政治専門家が語るウクライナ侵攻の「誤算」と核攻撃の可能性
ウクライナ
2022/03/10 10:00

第2次世界大戦以降、欧州での戦争としては最大規模となる、ロシアによるウクライナ侵攻。首都キエフを包囲するロシア軍の攻撃は激化し、市民の犠牲者も増え続けている。それにしても不可解な戦争である。ロシア、ウクライナとも、相手国民に対してほとんど悪感情を抱いていないにも関わらず、大戦火を交える事態となってしまった。ロシア研究の第一人者で政治学者の筑波大学・中村逸郎教授は、「ロシア、ウクライナの国民は何も悪くない。これは『プーチンの戦争』」と指摘し、「人格が壊れた指導者」が核攻撃さえしかねない脅威を訴えた。

第2次世界大戦以降、欧州での戦争としては最大規模となる、ロシアによるウクライナ侵攻。首都キエフを包囲するロシア軍の攻撃は激化し、市民の犠牲者も増え続けている。それにしても不可解な戦争である。ロシア、ウクライナとも、相手国民に対してほとんど悪感情を抱いていないにも関わらず、大戦火を交える事態となってしまった。ロシア研究の第一人者で政治学者の筑波大学・中村逸郎教授は、「ロシア、ウクライナの国民は何も悪くない。これは『プーチンの戦争』」と指摘し、「人格が壊れた指導者」が核攻撃さえしかねない脅威を訴えた。
「今回の戦争は、プーチン大統領がNATO(北大西洋条約機構)の脅威を意図的につくり出し、政治に利用した、いわば『プーチンの戦争』です。祖国ロシアを守るための戦争ではない。だから、彼の行動についていけないと感じているロシア軍の将校クラスからは公然と辞任要求が出ている」

 中村教授はそう話し、同様に不満を抱くロシア国内の一部勢力、FSB(連邦保安庁。旧ソ連KGB)や軍などが、軍事機密をウクライナ側に流している、という情報もあるという。

「圧倒的な兵力を誇るロシア軍の侵攻が思うように進まず、いまも(ウクライナの)ゼレンスキー大統領の身柄を拘束できない背景には、ロシア側の情報がウクライナに伝わっているのではないか、というわけです」

■8年前から始まったウクライナ侵攻計画

 中村教授によると、今回のロシアの軍事行動は8年にわたり綿密に練られたもので、2014年2月の「ウクライナの危機」に始まる流れの最終段階という。

そこで暗躍してきたといわれるのが、ロシア政府に代わり秘密裏の活動を行ってきたロシアの民間軍事会社「ワグネル」だ。

「ワグネルというのは7千~1万人の兵士が所属する世界最大規模の民間軍事組織。それが初めて実戦投入されたのが14年のウクライナ危機です」

 このときロシアはクリミア半島を一方的に併合。さらにウクライナ東部ではドネツク州とルガンスク州の一部を親ロ派の武装勢力が実効支配するようになった。

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ロシア軍が侵攻を開始した2つの要因とは…
 欧州連合(EU)は、ワグネルがウクライナ東部に戦闘員を送り込んで破壊活動や拷問など行っていると指摘し、制裁措置を課してきた。

 そんなワグネルのオーナーとされるのがプーチン大統領の側近、実業家のエフゲニー・プリゴジン氏で、「プーチン氏の料理人」の異名を持つ。

中村教授によると、ワグネルは14年以降、ウクライナ国内に潜り込み、今回の侵攻の下準備を着々と進めてきた。

「ワグネルの戦闘員は『自分はウクライナ人』と称して、ウクライナ兵のなかに紛れ込み、ロシア軍の侵攻が始まれば、内側からウクライナ軍を切り崩す。そんな役割を担ってきた」

■ロシア軍が侵攻を開始した2つの要因

 ロシアは昨年秋からウクライナ国境に近いベラルーシに兵力を集結。大規模な軍事演習を行い、ウクライナに圧力をかけてきた。このタイミングには2つの要因があると、中村教授は説明する。

 1つ目は、昨年9月にドイツで16年間首相を務めてきた旧東ドイツ出身のメルケル氏が退任したこと。

「これまでエネルギー資源の多くをロシアに頼るメルケル首相はプーチン大統領に気をつかい、さらに、アメリカなど西側同盟国との間を取り持つ調整役となってきた。そんなメルケル首相が退任したことで、『重しが取れ』、ロシアはウクライナに対する攻勢を一気に強めた」

 2つ目は、ゼレンスキー大統領の支持率低迷だ。

「ゼレンスキー氏は19年にウクライナ大統領に就任しましたが、彼は元コメディアンで、政治手腕がなかった。それで、支持率がどんどん低下してしまった。」

 一時は約70%もあった支持率は、昨年後半には30%台と低迷。さらに成果を出せない政権と財界の関係も悪化した。

「口うるさい財閥を疎ましく感じていたゼレンスキー大統領は昨年11月に『財閥解体法』を制定したんです。それで財閥との対立が決定的となり、人気もさらに下がった。そんなタイミングを狙ってプーチン大統領はウクライナへの攻撃準備を本格化した」

NEXT
侵攻はたった「2人」で決めたのか?

さらに、プーチン大統領とバイデン米大統領は、ウクライナをめぐる因縁の仲という。

「あの14年、ウクライナにポロシェンコ政権が誕生し、欧米路線をとるのですが、それをサポートしたのがバイデン副大統領(当時)だった。しかも、バイデン氏は息子ハンター氏をウクライナのガス企業ブリスマに送り込んで、テコ入れした。ですから、プーチン大統領は、ウクライナの後ろ盾となったバイデン大統領に対して大変な怒りがある」

■ウクライナ侵攻は「2人」で決めたか
 プーチン大統領の怒りの背景にはNATOの「東方拡大」がある。1949年、設立時のNATO加盟国は12カ国だったが、現在は30カ国に増加。ゼレンスキー大統領もウクライナのNATO加盟を求めてきた。米国もそれを支持した。

 これに対して「プーチン大統領は非常に敏感に、神経質に対応してきた」と中村教授は指摘し、こう続ける。

「実は、NATOは自主的に東方拡大したのではなく、東欧諸国やバルト3国はあまりにもロシアが怖いので、仲間に入れてほしかったわけです。NATOはロシアに圧力をかけるためにこれらの国々を引き込んだわけでは決してない。ところが、プーチン大統領に限ったことではありませんが、ロシアの一部の人たち、特に安全保障に関わる人は、実際に外から圧力がかかっていなくても、それを非常に過大にとらえて反応する。プーチン政権はそんなメンタリティーを利用して国内を固めてきた」

 中村教授よると、3年ほど前からプーチン政権内では軍やFSBの影響力が弱まり、代わりに対米強硬派である安全保障会議の発言力が強まってきた。そのトップを務めるのがパトルシェフ国家安全保障会議書記である。

「とにかく彼は、ロシアの安全保障が第一、という思想の人。NATOに対して、どれだけ安全を確立できるかがロシア国家の存立基盤だと考えている。14年のウクライナ危機以来、ずっとロシアは経済制裁を受けていますが、安全保障が揺らぐくらいなら、どんなに経済制裁を受けても構わないと思っている」

NEXT
指導者としての人格はすでに壊れている…
 実は、今回のウクライナ侵攻は、軍事作戦のプロが立案したのではなく、プーチン大統領とパトルシェフ書記、この2人だけで強引に推し進めたのではないか、と中村教授は推察する。その結果、冒頭のような「誤算」が生じているのではないか、と。

■指導者としての人格が壊れている
 そんな侵攻後の誤算への焦りが、3月4日、ウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所への攻撃となって表れたのではないか、と中村教授は見る。

「現場の兵士たちが暴走してやったこととは到底考えられない。ロシア指導部の何らかの関与は絶対にあったはずです。原発を狙うという、正気の沙汰とは思えないような判断に対してブレーキが効かなくなっている。プーチン大統領がこれから何をしだすか、予測できない」

 これまでロシアはNATOの脅威を訴え、ウクライナに非武装化と中立化を求めてきた。しかし、今回の侵攻に衝撃を受けた西側諸国はロシアとの亀裂をこれまでにないほど深め、NATOの中心的存在であるドイツは防衛力を強化する動きを見せるほか、NATOに加盟していないフィンランドでも、加盟を求める声が強まっている。ロシアの狙いが完全に裏目に出たかたちだ。「もう、プーチン大統領はウクライナに侵攻した明白な目的を失ってきて、戦争のための戦争という状態に陥っている。合理的な判断ができなくなっている」と、中村教授の目には映る。

 欧米諸国や日本はロシアへの制裁措置として国際銀行間通信協会「SWIFT」からの排除を決定。これによってロシアは貿易代金を得られなくなるなど、国際的な孤立を深めている。

「この経済制裁を受けて、プーチン大統領の取り巻きの富豪たちは大打撃を受けています。プーチン離れが急速に進んでいる。側近たちの心もどんどん離れていって、いまではおそらく、パトルシェフ書記しか彼を支える人がいないのではないか、というところまできている」

 プーチン氏が大統領そして首相と、ロシア国内で権力を握って22年。長年、冷徹な現実主義者と評されてきた。

「ところがもう、政策の良し悪し以前に、一国の指導者としての人格が壊れてきたことを感じます。そんなプーチン大統領の暴走を誰が止められるのか? 最悪の場合、戦術核兵器を使用する可能性だって否定できません。現実的に、いまのプーチン大統領の精神状態からすれば、そこにいつ踏み込むか、わからない状況。まさに一瞬一瞬が危機といえます」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)








ウクライナ軍「ドローンバスターズは世界を救う」米国政府が提供・ロシア軍の偵察ドローン機能停止

佐藤仁学術研究員・著述家 2022年11/4(金)

「ゴーストバスターズ」にかけて「ドローンバスターズ」
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

2022年10月に入ってからはロシア軍によるイラン製軍事ドローンでの首都キーウなど主要都市への大規模な攻撃が目立っている。

最近ではロシア軍のイラン製神風ドローン「シャハド136(Shahed136)」による無差別攻撃の報道が目立っているが、ロシア軍は主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」や「Eleron-3」などで上空からウクライナの監視・偵察を行っている。

ロシア軍の監視・偵察ドローンを迎撃しているシステムの1つがアメリカ政府が提供したFlex Forceの「Dronebuster(ドローンバスター)」だ。ウクライナ軍が公式SNSで「ドローンバスターズは世界を救う」と投稿して紹介していた。大人気のアメリカ映画「ゴーストバスターズ」と「ドローンバスター」をかけて「ドローンバスターズ」と称している。ロシア軍の偵察ドローンをゴーストに見立てて、徹底的にウクライナから敵の偵察ドローンを除去していこうという心意気だ。

▼ウクライナ軍によるドローンバスターズの紹介

ハードキルに対して目立たないが重要なソフトキルでの迎撃

ドローンバスターでは電磁波による妨害で上空のドローンの機能を停止して、地上に落下させてしまうため、攻撃や監視・偵察が行えなくなる。

ドローンは攻撃用も監視用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止させる必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。ドローンバスターは、いわゆるソフトキルの方である。

特に偵察ドローンは発見したら、すぐに迎撃しなくてはならない。偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。偵察ドローンに自軍の居場所を察知されてしまったら、その場所にめがけて大量のミサイルを撃ち込まれてしまい大きな被害を招きかねないので、偵察ドローンを検知したら、すぐに迎撃して爆破したり機能停止させたりする必要がある。回収されて再利用されないためにもドローンを、いわゆるハードキルで上空で徹底的に破壊しておいた方が効果的である。

そのようなハードキルによるロシア軍のドローンの破攻撃は目立っている。そのため報道されたり、ウクライナ軍のSNSなどにも破壊したロシア軍のドローンの動画や写真が掲載されることが多い。

だが、ドローンバスターのようなソフトキルタイプでの迎撃でも多くのロシア軍の偵察ドローンが機能停止させられている。そしてロシア軍の偵察ドローンを機能停止させることによって、ロシア軍に居場所を察知されてミサイルによる攻撃を回避することにも貢献している。


▼米国政府が提供したドローンバスター

Drone Buster | Radio Hill Tech
 2017/08/22
The Dronebuster can detect incoming radio frequency signals, which helps troops aim the device in low visibility. It can jam consumer and modified drone radios in several frequency bands, and the five custom antennae provide directional jamming over longer ranges.



英国国防大臣「ウクライナでも貢献しているトルコの軍事ドローンは現代の戦争のゲームチェンジャーになる」

佐藤仁学術研究員・著述家  2022年11/3(木)

「現代の戦争において軍事ドローンは欠かすことができないとても重要な兵器」

ロシア軍が2022年2月にウクライナに侵攻。ウクライナ軍はトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」を利用して侵攻してきたロシア軍に攻撃している。トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止することにも成功したり、黒海にいたロシア海軍の巡視船2隻をスネーク島付近で爆破したり、ロシア軍の弾薬貯蔵庫を爆破したり、ロシア軍のヘリコプター「Mi-8」、ロシアの戦車「T-72」や120mm迫撃砲2B11を爆破したりとウクライナ軍の防衛に大きく貢献している。ウクライナ軍が上空からの攻撃に多く利用しているトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍侵攻阻止の代名詞のようになっており、歌にもなってウクライナ市民を鼓舞している。

最近では「バイラクタルTB2」によるロシア軍への攻撃も日常化してきて、ほとんどニュースで取り上げられなくなってしまった。だが、開戦当初はトルコの軍事ドローンによる攻撃でロシア軍の侵攻を阻止していたことに大きなインパクトもあり「バイラクタルTB2」の知名度をウクライナ国内だけでなく世界中に広めていた。

2022年10月にはトルコのイスタンブールで防衛軍事産業の展示会SAHA EXPOが開催されていた。この展示会でもトルコの軍事企業が多くの新しい攻撃ドローンを展示していた。参加していたイギリスの国防大臣のベン・ウォーレンス氏はトルコの軍事ドローンについて「現代の戦争において軍事ドローンは欠かすことができないとても重要な兵器です。トルコの軍事ドローンはウクライナだけでなく世界中の戦場においてゲームチェンジャーになります。我々イギリス軍もウクライナ紛争を通じて多くのことを学びましたし、これからも軍備には多額の投資をしていきます」と語っていた。

2022年8月には当時のジョンソン元英国首相がキーウを訪問してゼレンスキ―大統領と面談して、5400万ポンドの追加支援を発表した。その中には2000機の軍事ドローンも含まれていた。また新たに就任したスナク首相もゼレンスキ―大統領との電話会議でウクライナ支援を約束している。

トルコは世界的にも軍事ドローンの開発技術が進んでいる。ウクライナ紛争で多く使用されているのがバイカル社が開発した軍事ドローン「バイラクタル TB2」はウクライナだけでなく、ポーランド、ラトビア、アルバニア、アフリカ諸国、アゼルバイジャンやカタールにも提供している。2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突でもトルコの攻撃ドローンが紛争に活用されてアゼルバイジャンが優位に立つことに貢献した。タジキスタンも購入を検討している。

バイカル社以外にもトルコでは多くの軍事企業が軍事ドローンを開発している。国連の安全保障理事会の専門家パネルが2021年3月に発表した報告書で、2020年3月にリビアでの戦闘で、トルコの軍事企業STM社製の攻撃ドローンKargu-2が兵士を追跡して攻撃を行った可能性があると報告していた。これは攻撃に際して人間の判断が入らないでAI(人工知能)を搭載した兵器自身が標的を判断して攻撃を行う自律型殺傷兵器(Lethal Autonomous Weapon Systems:LAWS)が実際の紛争で初めて攻撃を行ったとみられるケースと言われている。

今回のイスタンブールで開催されていたSAHA EXPOでも、標的を認識してドローンが突っ込み爆破する、いわゆる「神風ドローン」のタイプの攻撃ドローンが多く展示されていた。

▼トルコの軍事防衛展示会で紹介されていたトルコ製の軍事ドローン

Deli, the new kamikaze drone made in Turkey
As a drone-producing country, Turkey or now its official name is Türkiye, is challenged to make our drones made in the country.
A new product also appeared called Deli. This drone was developed by the Titra Teknoloji company.
For the first time, Deli's kamikaze drone was shown to the public for the first time at the SAHA Expo 2022 exhibition in Istanbul.
General Manager of Titra Teknoloji Davut Yılmaz said the Deli project started about two years ago.
They developed a fixed-wing kamikaze UAV that can be launched manually or from a catapult, to be as cost effective as possible.
Currently the testing process is nearing its end and it is hoped that the new product will be ready for use by the end of this year.
The Deli has a modular structure that makes it easy to transport.
This drone can operate autonomously or be controlled manually, Titra explained to Anadolu Agency.
It doesn't take long to prepare, just 15 minutes.
Deli has a level of security that has been enhanced with an anti-jamming device.
This drone is capable of flying at a cruising speed of 80 km/h (50 mph) and a maximum speed of 180 km/h.
Deli is capable of flying to a maximum altitude of 3,500 meters (11,483 ft). As for the operational altitude at an altitude of 150-500 meters.
As a kamikaze weapon, Deli is equipped with a 3.1 kg warhead.
The warhead was developed by the Defense Industry Research and Development Institute (SAGE), part of the Turkish Scientific and Technological Research Council (TÜBİTAK).
Yılmaz further noted that their product has three basic advantages compared to similar products on the market.
With the company's self-developed algorithm and features that can fly autonomously, Deli is expected to be a hit in the market.

Discover Alpagut loitering ammunition drone developed by STM and Roketsa...

The Turkish companies Roketsan and STM have jointly developed the Alpagut, a new type of loitering ammunition that was unveiled during the SAHA Expo, a defense exhibition that was held in Istanbul, Turkey from 25 to 28 October 2022. 

Read full news about the new Alpagut loitering munition at this link https://www.armyrecognition.com/defen...

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Army Recognition https://www.armyrecognition.com

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High-tech weapons on show at Turkish arms expo


Turkish Showcases New BAYRAKTAR Drone In field expo 2022

Turkey launches new suicide drone | iranian Shahed 136 suicide drone com...

▼トルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」
The Bayraktar TB2 UAVs will fly in the skies of the European Union

2021/05/25
Turkey's first national and indigenous UAV Bayraktar TB2 will be exported to Poland. The agreement on export was signed by General Manager of Baykar Haluk Bayraktar and Minister of Defense of Poland Mariusz Blaszczak in the presence of President of the Turkish Republic Recep Tayyip Erdoğan and President of the Republic of Poland Andrzej Sebastian Duda at the Presidential Complex.

First UAV export to NATO and EU member country

The Bayraktar TB2 UAVs, which have broken grounds in the history of Turkish aviation, after flying in the skies Ukraine, Qatar and Azerbaijan will also fly in the skies of Poland. Thus, for the first time, Turkey will have exported a high- technology armed unmanned aerial vehicle to NATO and European Union (EU) member country.

24 Bayraktar TB2 UAVs to be exported

Within the scope of the agreement made with Poland, the 4 systems to be exported from Turkey, will include ground control stations (GCS) and ground data terminals (GDT) along with 24 Bayraktar TB2 UAVs. In addition, MAM-C and MAM-L mini smart ammunition, developed nationally by Roketsan and used by national UAVs, will also be exported to Poland.

320 thousand hours in the sky

The Bayraktar TB2, being designed and developed nationally and authentically by Baykar, proved to be the best in its class worldwide in terms of technical features and operational performance, and also surpassed 320 thousand hours of successful flight. National UAVs continue to carry the title of a national aerial vehicle that has served the longest time in the sky.

180 UAVs on duty

The Bayraktar TB2 UAVs first entered the inventory of the Turkish Armed Forces (TSK) in 2014. The unmanned aerial vehicle, which was armed in 2015, is used operationally by the Turkish Armed Forces, Gendarmerie General Command, General Directorate of Security and National Intelligence Service. Since 2014, the Bayraktar TB2 UAV has been actively used by security forces in its fight against terrorism within the national territory as well as beyond it. Currently, 180 of the Bayraktar TB2 UAVs, which are present in the inventory of Turkey, Ukraine, Qatar and Azerbaijan, continue to be in service.

The localization rate at a record level

Since the early 2000s, having the team of Turkish engineers Baykar has nationally and indigenously developed the software and hardware systems, which are known to be the biggest added value in the field of unmanned aerial vehicles, and is shown as one of the world's leading technology companies, possessing engineering power in 13 different disciplines of the field. All critical components such as the design and software of the Bayraktar TB2 UAVs, which are manufactured with a worldwide known record level of 93% of domestic industry participation, are developed nationally and authentically by Baykar.

First exported UAV

The Bayraktar TB2 UAV system, being the first UAV system exported by Turkey, is followed by the world aviation and defence industry with high interest. The operational success in the countries where the national UAVs are being operated, also enabled the export of the advanced aircraft to NATO and EU member country, which takes place for the first time in the history of the Republic. Within the scope of the agreements made, at first, the Bayraktar TB2 UAVs were exported to Ukraine, a country with a long history of 100 years in aviation which produces the world's largest aircraft - the Antonov cargo aircraft, and afterwards to Qatar and Azerbaijan. Now the UAV will continue to serve in Poland, a country that is one of the largest economies of the European Union.

360 million dollars’ export in 2020

Last year, most of Baykar's revenues were derived from exports abroad. Baykar, which made its first export of national UAV in 2012, achieved great success in such a strategic field as the defence industry with the 360 million dollars of (armed) UAV system export in 2020. Negotiations continue with many countries that are interested in national UAVs.

Record holder

The Bayraktar TB2 UAV improved its own record, flying continuously for 27 hours and 3 minutes in tough geographical and climatic conditions such as high temperature and sandstorm when participating in a demo flight in Kuwait on July 16, 2019. National UAVs operate in all unfavourable weather conditions such as desert heat, freezing cold, snow and storm which they have faced in Qatar, Syria, Ukraine and Karabakh. With an altitude of 27,30 feet, the national UAV also broke the Turkish altitude record in its class in Turkish aviation history.

Robot aircraft with 40 computers 

Approximately 40 separate computer systems work on Bayraktar TB2, the robot aircraft developed by Baykar with national and indigenous design, software, avionics and mechanics.  Bayraktar TB2 UAV system, which has fully autonomous taxi, take-off, navigation and landing capability with its triple redundant avionic systems and sensor fusion architecture, has been actively used since 2014.

ウクライナ領土防衛隊「ロシア軍のイラン製ドローンでのダメージは酷いが24時間休みなしで迎撃してます」
佐藤仁学術研究員・著述家    2022年11/2(水)
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍によって上空のドローンは迎撃されて破壊されたり機能停止されたりしている。

2022年10月に入ってからロシア軍はミサイルとイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んで行き爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウを攻撃している。国際人道法(武力紛争法)の軍事目標主義(軍事目標のみを軍事行動の対象としなければならない)を無視して文民たる住民、軍事施設ではない民間の建物に撃墜して攻撃を行っている。一般市民の犠牲者も出ている。

ウクライナ軍やウクライナ領土防衛隊はキーウや主要都市の一般市民を保護するためにも、上空のドローンを徹底的に破壊するために日夜、迎撃を行っている。

ウクライナ領土防衛隊では公式SNSで「我々はウクライナ市民をロシアのミサイルとドローンから防衛しています。イラン製の攻撃ドローン"シャハド"による攻撃での被害のダメージは酷いですが、それでも小銃で撃ち落とせます。我々は24時間休みなしに防衛しており、ロシア軍の攻撃ドローンを破壊しています」と伝えていた。

ウクライナ領土防衛隊が伝えているように軍事ドローンによる攻撃は24時間休みなく行われている。夜だからといって攻撃されないわけではなく、常に防衛体制でロシア軍の攻撃を迎撃している。

 イラン政府の軍事用ドローンのロシアへの輸出が問題になっている理由は、イランの核兵器開発疑惑に対する国連安保理決議2231号で禁止されているイランの武器輸出に該当するからです。
そして、イランがこれに違反すれば国連安保理決議2231号で解除された厳しい対イラン経済制裁が復活することになっています。

しかし、イランが軍事用ドローンを売却した当事者であるロシアが国連安保理事会で「拒否権」を持っている以上、国連安保理事会で国連安保理決議2231号違反によるイラン制裁復活案が通る見込みはないと思います。
したがって、実質的にイランの輸出を止めるのは難しい。
 イランはイラン製ドローンのロシアへの供与を認めた。ウクライナは首都キーウ周辺に攻撃を仕掛けてくるイラン製「シャヘド136」を日々撃墜しているわけで誤魔化せるものではない。イランが積極的にロシアへのドローン攻撃を支援しているというのが事実であろう。

 ウクライナの民間インフラに向けてドローンで攻撃をかけ、エネルギー施設にダメージを与え、厳冬に民間人を凍えさせる算段をするなどとし、卑怯としか言いようがない。軍事施設への攻撃ならともかく、民間への攻撃は正当化できるものでも許せるものでもない。

 またイランはドローン供与と引き換えにロシアから核燃料や核物質の供与を打診しているようである。ウクライナと友好国だったイランとプーチンのロシアの裏取引があるうちは戦争の終わりはない。


▼ウクライナ領土防衛隊の公式SNS
ハードキルで上空で徹底的に破壊を
首都キーウでは地元の警察官が銃で上空のイラン製神風ドローン「シャハド136」を迎撃しており、何機かの「シャハド136」を墜落させていた。その様子は市民や監視カメラなどで撮影や録画されており、国内外の多くのメディアでも報じられていた。

ドローンは攻撃用も監視用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止する必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。

ウクライナ領土防衛隊やウクライナ軍がイラン製軍事ドローン「シャハド136」を破壊しているのはハードキルである。警察官らは銃だけで迎撃していたが、銃弾が命中しても地対空ミサイルや迎撃ドローンシステムのように上空で破壊されずに、地上に落下して爆破してしまうこともあるようだ。そのため攻撃ドローンを上空で徹底的に破壊しておくことがウクライナ国土の防衛にとっても重要である。

攻撃ドローンだけでなく、偵察ドローンはもすぐに迎撃しなくてはならない。偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。偵察ドローンに自軍の居場所を察知されてしまったら、その場所にめがけて大量のミサイルを撃ち込まれてしまい大きな被害を招きかねないので、偵察ドローンを検知したら、すぐに迎撃して爆破したり機能停止したりする必要がある。回収されて再利用されないためにもドローンは上空で徹底的に破壊しておいた方が効果的である。
Ukrainian military shoots down Russian ‘kamikaze’ drone from the ground ...
2022/10/18
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Ukrainian forces say they shot down at least 37 ‘kamikaze’ drones during Russia’s deadly strikes in Kyiv on October 17, 2022, that killed at least 19 people. New footage shows officers raining gunfire on drones from streets during the air raids.

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Ukraine war: Asia caught in rip tide of price and sanctions chaos https://sc.mp/ifaf

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ウクライナのエンジン大手トップ逮捕 露に協力か
2022/10/24 
ウクライナの治安機関「ウクライナ保安庁」(SBU)は2022年10月23日、ロシアに軍事装備を違法に供給したとして、ウクライナの世界的航空エンジン企業「モトール・シーチ」トップのボグスラエフ氏と同社幹部を反逆罪で拘束したと発表した。ウクライナメディアが伝えた。

 ウクライナの治安機関「ウクライナ保安庁」(SBU)によると、ボグスラエフ氏らは露国営軍事企業と共謀し、「東アジアや中東、欧州に供給する」との名目で、モトール・シーチの戦闘ヘリ用エンジンを輸出。しかし実際は、エンジンは露軍に供給されていたという。

 ウクライナの世界的航空エンジン企業「モトール・シーチ」を巡っては、50%を超す株式が中国企業に取得されていたことが2020年までに発覚。中国による軍事技術の取得を警戒する米国は中国企業に制裁を発動した。ウクライナも昨年3月、中国による買収を阻止するため、モトール・シーチの国有化を決定した。

モトール・シーチ:

 モトール・シーチ(ウクライナ語: АТ «Мотор Січ»)は、ウクライナのザポリージャに本社を置く航空用エンジンや産業用ガスタービンエンジンの製造メーカーである。スローガンは、飛行を生み出す為のエネルギー (ウクライナ語: Энергия, рожденная для полета)。

ソビエト連邦時代からアントノフ An-124とアントノフ An-225に搭載されるD-18TターボファンやD-36/D-436シリーズなど様々な航空機のエンジンを生産してきてきた。ソビエト連邦の崩壊後もカモフのKa-50やミルのMi-24、Mi-28のようなロシア連邦のヘリコプターの80%以上にエンジン(クリーモフ TV3-117など)を供給していた。

1991年から経営権を持つロシア系ウクライナ人実業家のヴャチェスラウ・ボフスライェウ(ロシア語版、英語版)は、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ政権に近い親露派の政治家でもあり、2014年9月にロシアとの取引が2014年クリミア危機の影響で制約を受けるようになった2015年からは中華人民共和国が主な顧客となって重慶でのエンジンの生産も合意した。

2017年9月に中国航空発動機集団の子会社である北京天驕航空産業投資有限公司(スカイリゾン)がモトール・シーチの株式の41%を取得するも、安全保障を理由にウクライナの裁判所命令で一時凍結され、翌2018年4月に強制捜査したウクライナ保安庁によれば中国共産党やロシアのウラジミール・プーチン政権との繋がりもある中国人富豪の王靖(中国語版、英語版)の北京信威集団とともに実際は過半数の56%を中国企業に買収されていた。

2021年3月11日、ウクライナ国家安全保障・国防会議は、モトール・シーチを「戦略的重要性」などを理由に再国有化することを決定。同月23日にはウォロディミル・ゼレンスキー大統領が大統領令に署名して翌日に発効した。

2022年2月よりウクライナがロシアからの軍事侵攻を受ける中、モトール・シーチがロシアの国営軍事企業と結託して戦闘ヘリコプター用エンジンを東アジアや中東、欧州向けと偽って違法にロシアに輸出していたとして、ボフスライェウと幹部が反逆罪容疑で逮捕されたことが同年10月23日にウクライナ保安庁より発表された。


露「督戦隊」で戦闘強要か 招集兵の抗議も相次ぐ
2022/11/7
ウクライナ侵略を続けるロシアで今月、「部分的動員」により招集された兵士が武器や食料、報酬に不満を表明して軍に集団抗議する事態が相次いで報告された。部分的動員を巡る混乱がなお続いている形だ。招集兵が十分な訓練を受けずに前線に送られているとも指摘される中、露軍が旧ソ連からの伝統である「督戦隊」を運用し、招集兵を背後から銃で脅して戦闘を強いているとの情報もある。

交流サイト(SNS)の「テレグラム」で140万人以上の登録者を持つ露有力ニュースチャンネルは5日、中西部タタルスタン共和国カザンで訓練中の招集兵100人以上が抗議している場面だとする動画を公開。招集兵は上官に「支給されたのは1970年代の旧式銃で、さびていて撃てない」と不満を述べ、十分な食料や水が与えられていないと訴えた。

露メディアによると、同様の集団抗議は1日にも南西部ウリヤノフスク州の訓練場であった。インターネットに投稿された動画では、上官を取り囲む100人以上の招集兵が「政府が約束した月額19万5000ルーブル(約46万円)の給与が払われていない」と叫んでいる。ロシアが9月21日に発動した部分的動員では、招集基準を満たさない多数の国民にも招集令状が届いた上、「戦闘服や止血用品を自前で調達するよう命じられた」といった証言が相次いで報じられた。ショイグ国防相は10月末に動員完了をプーチン大統領に報告した際、こうした問題が「解消された」と述べていた。

露国防省によると、部分的動員の規模は約30万人とされ、既に8万人超がウクライナで任務に就いている。ただ、東部や南部の戦線で露軍は劣勢を打開できていない。
英国防省は11月4日、露軍が督戦隊を用い、味方部隊を後方から銃で脅していると指摘。「兵の練度と士気、統制の低さの証拠だ」と分析した。督戦隊の存在についてはウクライナも10月に指摘していた。督戦隊は第二次大戦のスターリングラード攻防戦などでソ連軍が運用し、逃亡や後退を図った多数の兵士を射殺したとされる。


プーチン大統領の〝失脚と内戦〟露元外交官が予測「侵攻は大失敗」 国家分裂で「1917年のロシア革命以上の混乱に」
2022/10/18
ウクライナ侵攻に抗議するため辞職したロシアの元外交官、ボリス・ボンダレフ氏が米外交誌への寄稿でプーチン政権の崩壊とロシアの危機について予測した。プーチン氏が始めた軍事作戦は失敗に終わり、失脚や内戦、国家分裂に発展する恐れがあるというものだ。専門家は「1917年のロシア革命以上の混乱になる」と話す。

ボンダレフ氏は スイス・ジュネーブにあるロシア国連代表部に勤務していたが、今年5月にウクライナ侵攻とプーチン政権に抗議するため、20年間勤務した露外務省を辞職した。

フォーリン・アフェアーズ(11/12月号)への寄稿でボンダレフ氏は、「プーチン大統領がウクライナを征服する試みに失敗した」と指摘、「敗北でプーチン氏は国内で危険な状況に直面することになる」とし、側近によるクーデターなどで失脚する可能性があるとした。プーチン氏が追放された場合、「ロシアの将来は非常に不確実になる。後継者が戦争を継続しようとする可能性が十分にある」としたうえで、「多くのロシア人は国が分裂したり、経済的、政治的な大変動を経験したりした場合、精神的に限界を迎える」と言及。「プーチン氏より好戦的な指導者の下で団結し、内戦や、外部への侵攻を増やす可能性もある」との見方を示した。
一方、現状でウクライナと停戦しても「再攻撃の前に再武装の機会を与えるだけだ」と警告。プーチン氏を制止する唯一の手段は「完敗」させるしかないとした。西側諸国には「大規模な支援によってウクライナ軍はロシア軍にさらに深刻な敗北をもたらし、他の領土からの撤退を余儀なくさせる」と提言した。

ウクライナ戦線では、キーウ(キエフ)中心部で17日早朝、自爆用ドローンによる攻撃があり、当局によると、4人が死亡。イランにより対露武器供与も伝えられた。

ロシア政治に詳しい筑波大の中村逸郎名誉教授は「ボンダレフ氏の見解は国内の歴史家や評論家の意見とも一致し、現実味を帯びている。ロシアはプーチン氏と一体化してきた側面がある分、政権が崩壊すれば、連邦が混乱を起こす可能性はある。国内では、第一次大戦による困窮に起因したロシア革命以上の大混乱になるとみる向きもあるほどだ」と語った


タジク大統領「属国扱いやめよ」 異例のロシア批判
2022/10/15

中央アジアの旧ソ連構成国、タジキスタンのラフモン大統領は14日、カザフスタンの首都アスタナで開かれたロシアと中央アジア5カ国の首脳会議で、プーチン露大統領に対し、「旧ソ連時代のように中央アジア諸国を扱わないでほしい」と述べ、タジクは属国扱いではない対等な国家関係を望んでいると表明した。会議の公開部分の発言をタジクメディアが伝えた。

ロシアが「勢力圏」とみなす旧ソ連諸国の首脳が、公の場でロシアに批判的な発言をするのは異例。ウクライナ侵略を受け、旧ソ連諸国の多くがロシアから一定の距離を置こうとする動きを強めており、ラフモン氏の発言はそうした傾向の表れである可能性がある。
ラフモン氏は「旧ソ連時代、中央アジアの小国は(ソ連指導部から)関心を向けられていなかった」と指摘。「ロシアはタジクを食糧面や貿易面で支援してくれているが、その半面、対等な態度も示していない」と述べた。「多額の資金援助はいらない。われわれを尊重してほしい」と語り、ロシアは旧ソ連時代のような小国軽視の政策をとるべきではないと訴えた。

会議ではカザフのトカエフ大統領も、旧ソ連圏での国境問題は「平和的手段で解決されるべきだ」と述べ、ウクライナ侵略に否定的な考えを示した。

ロシアと中央アジア5カ国の首脳会議は、14日にアスタナで開かれた旧ソ連構成国でつくる独立国家共同体(CIS)の首脳会議に合わせて実施された。


モルドバとはどんな国?NATO加盟は?次にロシアが狙っているの?

2022年4月25日、ウクライナと国境を接する「モルドバ」という国の「トランスニストリア地域(沿ドニエストル共和国)」で爆発が起きました。

モルドバの治安当局によると、ロシアがグレネードランチャーを使って建物を攻撃したそうです。

ウクライナに侵攻したロシアがモルドバにも勢力を広げようとしているという話があり、緊張が高まっています。
モルドバとはどんな国?
モルドバは、正式名称を「モルドバ共和国」といいます。

ウクライナの西側に位置する国で、面積は九州と同じくらい、人口400万人ほどの小さな国です。

旧ソ連の構成国から独立した国で、ヨーロッパで2番目に貧しい国とされています。(一番はアルバニアといわれています。)

日本とも国交があり、お互いに大使館を開設しています。隣国であるルーマニアと近しい関係にあり、ルーマニアと統合しようとする動きもありますが、東部の「トランスニストリア地域(沿ドニエストル共和国)」は独立を主張し、ロシアよりの姿勢を取っています。

このあたりの事情は「ウクライナとドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国」に似た関係性だといえます。

軍事に関しては、兵力が約4000人とかなり小規模で、軍事同盟も隣国ルーマニアと結んでいるだけだとされています。

徴兵制ですので、兵の数を増やすことはできるものの、モルドバの総人口が400万人ほどですので、それほど多くの兵を徴兵することはできません。

もしロシア軍がウクライナの次にモルドバに侵攻をしたとしても、モルドバ一国でロシアと応戦するのは不可能だと思われます。

NATOに加盟している?
モルドバはNATO非加盟国です。

NATOと信頼を結ぶための協定である「平和のためのパートナーシップ」には加盟していますが、この協定にはロシアも加盟しています。

2017年時点の情報ですが、NATOに正式加盟する意思はないようです。

ということは、万が一ウクライナに攻め込んだロシア軍がモルドバに侵攻したとしても、NATOはウクライナのときと同じく軍の派遣を行わない可能性が高いということです。

なお、ロシア軍のウクライナ侵攻を受け、2022年3月にジョージアとともにEUへ加盟申請を行っています。モルドバの位置
モルドバの位置はこちらです。

ご覧のとおり、ウクライナの西南方向に位置します。

先日ロシア軍の攻撃を受けたとされる「オデーサ」から西に約65kmほどの距離に位置しています。

ロシア軍がウクライナで攻撃を行う標的の延長線上にあるともいえます。
沿ドニエストル共和国とは?
トランスニストリア地域(沿ドニエストル共和国)とは?
モルドバの東部には「沿ドニエストル共和国」と呼ばれる地域があります。

モルドバ東部の「ドニエストル川」とウクライナの間に位置しており、国際的にはほぼ独立国家として承認されていません。

モルドバ側の認識も「自治権を持つ自国領土」というものです。

この地域に住む人々は約48万人ほどです。

沿ドニエストル共和国の人々のうち約半数はロシア国籍を持っていると言われています。

そういった事情もあり、親ロシアの地域で、過去にロシアへの編入を求める住民投票が行われた際は圧倒的多数で賛成されました。

(ただし、このときの住民投票には脅し、改ざんなどの不正があったとされています。)

モルドバはウクライナの次にロシアが狙っているの?
モルドバ東部の「トランスニストリア地域(沿ドニエストル共和国)」にはロシア軍が駐留しています。

その数は1500~2000人ほどと言われています。

少ない数ですが、モルドバ軍の4000人という兵力を考えると、警戒しておかなければなりません。

というのもロシアはこの地域にも軍事介入することを示唆しているからです。

モルドバは、現在ウクライナに攻め込んでいるロシア軍が攻撃対象としている地域の延長線上に位置します。

仮にロシア軍がウクライナの「オデーサ」まで制圧したとすると、そのすぐ隣にあるトランスニストリア地域(沿ドニエストル共和国)の掌握にとりかかる可能性は高いものと思われます。




ロシア軍、博物館の美術品略奪か 南部のインフラ破壊続行  拷問部屋を設置    住民の車も略奪
やっぱりか!ナチスと同じことをやっている
2022/11/9
ウクライナ軍は2022年11月8日、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ南部ヘルソン州で略奪やインフラの破壊を続けていると発表した。博物館から美術品や備品を根こそぎ持ち去ったとも指摘した。家電などを積んだトラックの車列が2022年11月7日、州内を流れるドニエプル川沿岸にあるカホフカ水力発電所を通過したという。

ウクライナはロシア軍が川の西岸に位置する州都ヘルソンから撤退するそぶりを見せ、市街戦を仕掛ける可能性があるとみて警戒している。発表によると、ロシア軍は西岸のベリスラフ近郊で発電所を爆破した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は2022年11月8日のビデオ演説で、ヘルソンで「敵が何をやろうとしているか明確に分かっている」と述べ、慎重に作戦を進めていると述べた。東部ドネツク州ではロシア軍が「極めて大規模な損失」を被っているにもかかわらず、州境までの全域を制圧する命令は変わっていないと指摘し、前線では激しい戦闘が続いていると明らかにした。(共同)



北方領土宣言 ウクライナと連携深めよ
2022/10/12
ウクライナの英雄に神のご加護を 侵略者とその手先に冬将軍の無慈悲を



北方四島は日本固有の領土であり、ロシアに全てを返還させる好機が必ずくる。当事者の日本がこのことを信じず、然(しか)るべき行動を示さないのはもってのほかだ。

ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領が、北方領土は日本領だと確認する大統領令に署名した。最高会議(議会)も同様の趣旨の決議を採択した。

ウクライナは2014年から南部クリミア半島を、日本は戦後一貫して北方領土をロシアに不法占拠されている。ロシアをはさむ東西で日本とウクライナが連携し、ロシアの国際法違反を厳しく正していくべきである。

ゼレンスキー政権が北方領土問題を提起したのは、ウクライナ侵略戦争の失敗により、ロシアのプーチン大統領の求心力が弱まると見越しているからだ。そのときロシアには周辺の不法占領地を維持する余裕はなくなる見通しだ。

ゼレンスキー氏は7日の声明で今回の大統領令について、「ロシアにはこれらの領土(北方領土)に対する権利がない。世界の誰もが知っている。私たちはもはや行動すべきだ」と訴えた。
ゼレンスキー氏は議会の決議も北方領土に関する法的位置づけを明確にするよう、国連や欧州議会、欧州安保協力機構(OSCE)などの国際機関と各国の議会に求めた。

ロシアの不法占領地が解放されなければ、国際法に基づく秩序は回復されず、世界の安全も確保されない。これがゼレンスキー氏の問題意識である。妥当だ。

以前からゼレンスキー政権は、領土問題をめぐって日本と連携したいとの意思を示してきた。8月には、クリミア奪還を目指すウクライナ主催の国際会合「クリミア・プラットフォーム」の第2回会合が開かれ、約60カ国・機関の代表がオンライン参加した。

しかし、腰抜けの日本の首相である岸田文雄首相は会合で演説しながら、北方四島には一言も触れなかった。腰抜けの日本の首相は北方領土問題を世界に訴え、多くの国の支持を得る絶好の機会を逃した。こうした失態は許されない。


日本で一時期、北方領土の「2島返還」や「面積等分」が議論されたが、極めて問題だ。国際法と正義の原則に基づき、不法占拠は一切許さない姿勢が肝要だ。日本もウクライナの戦略を学び、北方領土返還の国際世論をしっかりと高めていくべきである。



中国メディア 岸田総理の“赤ネクタイ”に注目「偶然ではないだろう」
2022年11/18(金) 13:49


 3年ぶりに対面で行われた日中首脳会談について中国メディアは、岸田総理のネクタイの色に注目し「赤を着けたのは偶然ではないだろう」と評論しました。

 中国メディアは首脳会談のポイントとして岸田総理が赤ネクタイを着けていたことをあげ、「外交は細かいところを非常に重視している。赤は偶然ではないだろう」と関係改善の意欲を示したメッセージだと分析しました。

 ただ、台湾問題を巡っては「日本の政治屋は中国の内政に厳重に干渉してきた」として岸田総理に対して信用が大事だと釘を刺しています。

 一方、18日から始まるAPEC首脳会議について共産党系の環球時報は、習近平国家主席が出席するのに対しバイデン大統領は「孫の結婚式のため欠席する」と報じました。

 今回の会議は「アメリカの信用が試される場になる」とし、アジアが「大国の駆け引きの場になってはならない」と指摘しています。



 対面では、およそ3年ぶりに行われた日中首脳会談は、笑顔で始まりました。握手と表情から見えてくる、習近平国家主席の本音を分析しました。

■岸田総理「相手の反応は申し上げない」

 日本時間17日午後8時40分すぎに開催された、日中首脳会談。

 習主席:「ニーハオ」

 岸田文雄総理大臣:「習主席、きょうは直接会談できますことを、大変うれしく思っています」

 習主席:「きょうは、ゆっくり話しましょう。きのう来たんですか。それとも、きょう、バリ島から来たのは」

 岸田総理:「そうですね、ええと、本日こちらに移動してきました」
 
 習主席:「私もです」

 中国の習主席は終始、柔らかい表情を見せていました。

 習主席:「私は岸田総理と対面で会談することができて、非常にうれしいです。新時代のニーズに合った中日関係を築きましょう」

 およそ45分間の会談を終えた岸田総理は、次のように話しました。

 岸田総理:「日中関係の大局的な方向性とともに、課題や懸案、協力の可能性について、率直かつ突っ込んだ議論ができたと感じています」

 しかし、記者団から習主席の発言や反応について問われると、会談の詳細について語ることを拒否しました。

 岸田総理:「(Q.習主席はロシアの核使用も反対との考えを示した?)先方の発言については、詳細を私から申し上げるのは控える。これは国際会議の常識であります」「(Q.尖閣諸島および台湾情勢について懸念を表明されたが、相手の反応は?)だから、相手の反応は申し上げません」

■習主席 公の場で…カナダ首相に“苦言”

 その背景には、この出来事があるのかもしれません。

 日本時間の16日に閉幕したG20サミットで、習主席がカナダ・トルドー首相に珍しく公の場で苦言を呈した場面です。

 習主席:「適切ではない」
 
 通訳:「会談内容が新聞に漏れています。不適切です」
 
 習主席:「会話の内容が違います」
 
 通訳:「会話の内容が違います」
 
 習主席:「誠意があるなら、我々は誠実に対話します。そうでなければ、結果は知りません
 
 トルドー首相:「カナダは自由で率直な会話をしたいし、今後もそうしたい。建設的な努力は続けますが、見解が異なることもあります
 
 習主席:「まずは条件。条件を整えなさい。それでは

 実はこの2人は、前日におよそ10分間の非公式会談を行い、トルドー首相は中国がカナダの選挙に干渉した疑惑について、懸念を示したと報じられています。

 非公式会談は行われたことも公表されていませんが、複数のメディアが報道。これを受け、習主席はトルドー首相に抗議したとみられます。

 習主席は最後に握手をし、笑顔も見せましたが、明らかに表情は硬く、口調も強いものでした。

■専門家「中国のなかで日本の重要度上昇」

 一方、14日に行われた米中首脳会談では、バイデン大統領が両手で握手し、親密さをアピールすると、習主席も腰に手を添えて笑顔を見せていました。

 中国政治に詳しい専門家は、次のように話します。

 拓殖大学 海外事情研究所・富坂聰教授:「中国外交というのは、トップが笑うか笑わないというのも、習近平主席だけで決めているわけではないんですよね。ほぼアメリカと同じレベルで、笑っていましたので。日本の重要度が中国の認識のなかで、上がっている感じがしますね」

(「グッド!モーニング」2022年11月18日放送分より)




ロシア軍撤退で水力発電所やテレビ局施設を爆破
2022/11/13


ウクライナ南部のヘルソン州でロシア軍が撤退した際、水力発電所テレビ塔などのインフラ施設を相次いで破壊していたとみられることが分かりました。

 ロシアの政府系メディア「イズベスチヤ」は2022年11月12日、ヘルソン州にあるカホフカ水力発電所のダムの一部が爆発した瞬間だとする動画を公開しました。

 詳細は不明ですが、イギリス国防省は「ロシア軍が撤退する過程で破壊行為に及んだ可能性が高い」と分析しています。

 ロシア軍は2022年11月11日、一方的に併合したヘルソン州のうち、ドニプロ川の西側からの撤退を完了したと発表していました。

 また、ロイター通信によりますと、ロシア軍は撤退時にヘルソン州にあるテレビ局の施設も破壊したということです。

 

(ウクライナ・ヘルソン市)
兵士 『ヘルソンからよろしく!』
市民 『ハグしてもいいですか?』
市民 『ありがとう!ありがとう!』
市民 『優しくハグしなさい』
市民 『ウクライナに栄光あれ!』

8カ月ぶりに解放された喜びに沸くのは、ウクライナ南部ヘルソン州の州都・ヘルソン市の人々です。
2022年11月11日、ロシア側がヘルソン州の一部地域からの完全撤退を発表しました。
今回も記念切手の発売が決まりました。
「ミサイル巡洋艦モスクワ撃沈」や「クリミア大橋破壊」に続き、ヘルソン名産のスイカをデザインした切手です。

(ウクライナ ゼレンスキー大統領・11日)
『きょうは歴史的な日です。私たちは、南部の地域ヘルソンを取り戻しつつあります』

ロシア側が一方的に「併合」を宣言した4州で、唯一占拠していた州都であるヘルソン市。
ロシア軍の“最大の戦果”と言える街で、南部戦線の拠点でもありました。
ロシア軍は、そのヘルソン市を含むドニプロ川西岸地域から、3万人以上の兵が撤退を完了したとしています。
これを受け、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍の特殊部隊がすでにヘルソン市内に入っていることを明らかにしました。



アメリカの企業が公表した衛星画像からは、カホフカ水力発電所のダムの一部が破壊された様子が明らかになるなど、ロシア軍が撤退に際し、ウクライナ側がインフラを利用できないようにする「焦土作戦」が行われている可能性があります。ヘルソン州では、主要河川のドニエプル川にあるカホフカ水力発電所のダムを巡る緊張が高まっている。ロシアは6日、ウクライナ軍がダムにミサイル攻撃を加えたと主張した。ウクライナは、ロシアがダムを破壊してヘルソンに洪水を起こし、ウクライナ軍の攻勢を妨害しようとしていると警告していた。

このダムについて、マクサー・テクノロジーズは11日の声明で、意図的に破壊された様子が新たに見つかったと明らかにした。ロイター通信が伝えた。衛星画像によると、ドニエプル川にかかる複数の橋も崩落している。撤退するロシア軍が破壊工作を行った可能性もある。


ヘルソン市撤退後も「ヘルソン州はロシアの一部」と主張するロシア側は、ロシア国営通信によると、ヘルソン州の州都を州南東部のヘニチェシクに移転すると発表しました。

ウクライナのポドリャク大統領府顧問はロシアはヘルソン市を「死の街」にしようとしていると指摘した上で
ロシア軍は住宅から下水道まで、あらゆる場所に地雷を設置している。(ドニプロ川)東岸からの砲撃でヘルソンの街を廃墟にするつもりだ」と、コメントしています。

重要拠点・ヘルソン市の奪還により、ヨーロッパ最大級の原発、ザポリージャ原発の奪還にも期待する声が上がっています。
3月にロシア軍に占拠されてから、軍事要塞化が進み、ロシア兵およそ500人が常駐。
侵攻前は、ウクライナの電力のおよそ2割を供給していましたが、現在は6つの原子炉全てが停止しています。
サタデーステーションは、このザポリージャ原発を運営する国営企業のトップに話を聞くことができました。

(ウクライナ国営原子力会社「エネルゴアトム」ペトロ・コティン総裁)
ザポリージャ原発の一刻も早い解放を期待しています。もし、ザポリージャ原発が正常に稼働していれば、現在のウクライナの電力制限は必要なくなるはずです』

全土に張られた送電網を使うことで、首都キーウだけではなく、ヨーロッパへの電力供給も可能になると言います。
一方で、およそ6000人いる現場の職員は命の危険にさらされ続けています。

(ウクライナ国営原子力会社「エネルゴアトム」ペトロ・コティン総裁)
『ロシア側は職員たちにロシア側との新しい労働契約に署名するよう圧力をかけています。ウクライナを裏切りたくない職員が拷問されたり、殺されたり、たくさんの職員が行方不明になりました。現在も職員が誘拐されています』

ザポリージャ原発では所長や副所長も一時、ロシア側に拘束されました。
さらに、その前後では、砲撃で送電線が破壊されるなどした結果、何度も外部電源を失うという事態に。
その度に、非常用のディーゼル発電機を稼働させ、「メルトダウン」などの原発事故を防ぐという、“綱渡り”の状態が続いています。

(ウクライナ国営原子力会社「エネルゴアトム」ペトロ・コティン総裁)
『非常用発電機の燃料は15日分しかありません。停電が15日続けば、福島の原発事故と同じ事態になる可能性があります』

さらに、冬を迎えると、より危機的な状況になると言います。

(ウクライナ国営原子力会社「エネルゴアトム」ペトロ・コティン総裁)
『気温が氷点下になると、非常用発電機が起動しにくくなります。ザポリージャ原発の解放に力を貸してください』

サタデーステーション 11月12日OA




ウクライナ南部で停電・断水 ダム損傷か
 AFPBB News 2022/11/07 
ロシアのミサイル空爆でへルソン州のダムも一部損傷した


【AFP=時事】ロシア占領下にあるウクライナ南部の都市ヘルソンは6日、停電と断水に見舞われた。親ロシア派とウクライナ側当局が明らかにした。親ロシア派は、ウクライナ軍が空爆で送電線を破壊したためだとし、へルソン州のダムも一部損傷したと主張している。


 今年2022年2月のロシア軍の侵攻開始直後に陥落したヘルソンで停電が起きるのは初めて。

 ロシアがヘルソン州に設置した「行政府」はメッセージアプリのテレグラムで、「ヘルソンと州内の多くの地域」が一時的な停電と断水に見舞われていると発表。「ベリスラウとカホウカを結ぶ幹線道路がウクライナ側の組織的な攻撃を受け、高圧送電線の支柱3本が損傷した」のが原因と説明。「迅速な」復旧作業が行われているとして、住民に「平静を保つ」よう呼び掛けた。

一方、ヘルソン州のヤロスラウ・ヤヌシェビッチ知事は、停電はロシア軍の攻撃によって引き起こされたと非難。ベリスラウでは約1.5キロにわたり送電線が破壊されるなど「広範囲に被害が及んでいる」とし、「修復は不可能だ。専門家や設備は不足し、ロシアの占領者は修復を許さない」「ベリスラウが完全に解放されるまで明かりは戻らないだろう」と述べた。

 これより先にロシア国営メディアは、ヘルソン州にあるカホウカダムがウクライナ軍の砲撃で損傷したと報道。現地の救急当局の情報として、「午前10時ごろ、(米国製高機動ロケット砲システム)HIMARS(ハイマース)から6発が撃ち込まれた。防空部隊が5発を撃ち落としたが、1発が命中し、ダムの水門が破損した」と伝えた。地元当局は、被害は甚大ではなかったとしている。カホウカ水力発電所とダムは、侵攻開始直後からロシア軍に占拠されている。ウクライナ政府はここ数週間、ロシア軍がダムを爆破し、大規模な洪水を引き起こそうとしていると警告していた。

 ウクライナでは、ロシアの攻撃で過去1か月間に国内の発電施設の約3分の1が破壊された。政府は国民に対し、可能な限りの節電を呼び掛けている。

 一方、ウクライナ軍はこれまで、ロシア占領下の地域でロシア軍が占拠する民間エネルギーインフラへの攻撃はほとんど行っていない。
ウクライナに厳しい冬が到来しようとしている。
(c)AFP

【翻訳編集】AFPBB News



ロシア民間軍事企業ワグネル、ロシア国内初の公式暴力団事務所開設
2022年11月5日 








【2022年11月5日 AFP】ロシアの民間軍事企業ワグネル(Wagner)は2022年11月4日、同国国内で初となる公式事務所(通称、ワグネル暴力団センター)をサンクトペテルブルク(St. Petersburg)に開設した。AFPの記者が確認した。

 同社はこれまで秘密裏に活動し、ウクライナのほか、中南米やアフリカの国々に戦闘員を派遣してきた。同社の創業者であることを最近認めた実業家のエブゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏は先週、自身の会社コンコルド(Concord)のソーシャルメディアページで、ワグネルの事務所開設(通称、ワグネル暴力団センター)を発表していた。
ガラス張りのオフィスビルには、「PMC(民間軍事企業)ワグネル・センター(PMC Wagner Center)」の施設名が白字で大きく掲げられた。ビル内では、迷彩服を着た人々が廊下を歩いたり、展示品のドローン(無人機)を見たりする姿が見られた。

 プリゴジン氏は「PMCワグネル・センター(通称、ワグネル暴力団センター)の使命は、ロシアの防衛力向上に向けた新たなアイデアを生み出すための快適な環境を提供することだ」としている。(c)AFP



民間軍事会社「ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)」、プーチン氏と親しい実業家(プーチンの料理人)プリゴジンが軍事会社「ワグネル(Wagner)」創設認める
2022年9月26日
【9月26日 AFP】 ロシアの実業家でウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と親しいエフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏(61)は26日、民間軍事会社「ワグネル(Wagner)(通称、ワグネル暴力団センター)」を創設したのは自分だと公表するとともに、同社が中南米やアフリカに傭兵(ようへい)を派遣してきたと認めた。

 プリゴジン氏はワグネルが出した声明の中で、2014年にウクライナ・ドンバス(Donbas)地方に戦闘員を派遣するために同社を創設し、後に「大隊戦術軍(BTG)ワグネル」の名称になったと説明した。大統領府とケータリング契約を結んでいることから「プーチンのシェフ」とも呼ばれるプリゴジン氏は、これまでワグネルとの関与を否定していた。

 同氏はワグネルの傭兵について「シリアやアラブ諸国の人々、貧窮したアフリカや中南米の人々を守った英雄たちが、祖国を支える柱となっている」と記した。

 ワグネルは長年、ロシア政府の外国での目的を果たすために活動していると疑われてきたが、大統領府はいかなる関係もないと否定している。(c)AFP




その名は「ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)」 ロシアの“謎のよう兵集団”とは?元メンバーが語る
公式にはその存在すら否定されている、その“よう兵集団”は、世界各地で市民の殺害など残虐な行為にかかわったと指摘されています。

金でよう兵を雇い、戦場へ送り込む民間軍事会社「ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)」。

ロシア大統領府は否定しているものの、「ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)」はプーチン大統領とも関係が深いとされ、ウクライナだけでなくこれまで中東のシリア、アフリカなどで動きが伝えられてきました。

今回NHKはその元“よう兵”だという男性を取材。「ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)とロシア政府はつながっている」という証言を得ました。

闇に包まれた“よう兵集団”を使い、ロシアがひそかに進める戦略。その一端が明らかになって来ています。

(クローズアップ現代取材班)

ロシアが軍事侵攻しているウクライナで、ロシア軍に加えて送り込まれていると指摘されているのが、民間軍事会社「ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)」です。

プーチン政権はその存在自体を否定しているものの、欧米各国は、「ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)」はプーチン大統領に近い実業家・プリゴジン氏が代表を務めているとして、制裁を科しています。

そして今月(9月)、プリゴジン氏は自身がワグネルの創設者であることを初めて認めました。
イギリス国防省は、ロシアによるウクライナ侵攻で「ワグネルの武装メンバー1000人以上がウクライナに送り込まれた情報がある」と発表。また、ウクライナの捜査当局は、「首都キーウ近郊での住民の拷問や殺害に、ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)が関与していたこと突き止めた」としています。

公式には存在すらしないとされる武装集団が、規制や監視を受けないまま、暴力を市民に向けていることが明らかになってきているのです。


ロシアはなぜ「ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)」を利用?

 ロシアが正規の軍隊に加えて、よう兵を集めた「民間軍事会社」であるワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)を利用する理由はどこにあるのか。取材から見えてきた目的をまとめると、次の3点があげられます。


①責任の所在をあいまいにできる

通常の軍の場合、市民の虐殺などの人権侵害を行った場合、その兵士だけでなく上官、兵士を派遣した国の政府の責任が問われることになります。しかし民間軍事会社ならば、実際には政府が裏にいたとしても、「あくまで民間会社のやったこと」として、政府の責任はあいまいになり、追及を逃れることができると考えているとみられます

②ロシア国内の世論対策

戦地に派遣した兵士の犠牲が増えれば、派遣の判断への批判や疑問が高まりかねません。しかし民間軍事会社であれば、犠牲を公式に発表する必要もなく、その大きさを言わば“矮小化”できます。

③派遣の見返りへの期待

ロシアがワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)を派遣したと指摘されている中央アフリカでは、その見返りに金の鉱山の利権を与えられたのではと指摘されています。

  

今回、こうしたロシアの思惑とワグネルの実態について、元“よう兵”だと言う男性に話を聞くことができました。2015年ごろから2019年ごろまで、ワグネルに“よう兵”として所属していたと言うマラット・ガビドゥリン氏。所在を明らかにしないことを条件に、闇に包まれたワグネルの実態を語りました。

  

元“よう兵”の証言で見えてきた実態
かつて職業軍人だった経験を持つガビドゥリン氏。その経験を買われてワグネルに勧誘され、高額な報酬を目的に、ウクライナ東部やシリアで、紛争地での戦闘に参加。隊を指揮する立場にもいたことがあると言います。

ガビドゥリン氏は、ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)は「実質、国によってつくられた非公式の軍事組織」で、その活動にはロシア政府の強い関与があると明言しました。

ガビドゥリン氏

「私たちは自分勝手には戦えません。シリアでは私たちはロシア軍の一部として、完全にロシア軍の統制のもとで活動していました。

シリアでのワグネルの主な任務は、『戦争で勝利すること』と『犠牲者の数を隠蔽すること』でした。ロシアの指導部が、シリアにおいて最小限の犠牲で勝利をおさめると声高に唱えたので、その構想を何としてでも支えるため、よう兵部隊を使ってでも勝利をおさめるのです。公式な統計に、よう兵の犠牲者は含まれませんから。

ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)は犠牲をいとわず、前進して、叩き潰し、すべてを踏み潰すのです」 


何にも縛られない 戦うための集団 ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)
ワグネルに所属している人たちは、非常に豊富で高度な戦闘経験を有し、その戦力は「小国の軍事力をしのぐ」と話すガビドゥリン氏。戦場において、任務遂行のためには手段を選ぶことはないと言います。

 

ガビドゥリン氏

「(ワグネルは)戦争のためだけに存在しています。軍と何が違うかと言えば、彼らは兵役についてるわけではなく、何の法規や軍規にも縛られることがない、ということです。

ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)は、表向きではロシア国家と関係ありません。裏ではズブズブの関係です。だから何をしても、犯罪として罰せられることもありません」

 

さらに、ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)が活動しているのは、ウクライナや中東だけではありません。ロシアはワグネルを利用して、イスラム過激派との紛争が続くアフリカの国々でも、軍事面での影響力を強めています。

ガビドゥリン氏

「中央アフリカには希少な鉱物があります。マリには石油があります。ロシアの政治家や事業家たちに言わせれば、資源を持つ国と関わりを持っておくことは悪くない、ということになります。ただ、それをどのような手法で実施するか、そこが問題です。

アフリカのリーダーは、軍事クーデターで権力の座についた人たちが少なくありません。困難な問題でも手段を選ばず解決するワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)のやり方に共感しているのです」

 

これまでワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)の関与が指摘されている国は少なくとも7か国。

そのひとつ、マリでは軍と共にワグネルが行動し、市民を巻き添えにしているとの指摘も出ています。3月、マリ軍がイスラム過激派の戦闘員200人あまりを殺害したと発表した中部の村、ムーラでは、ワグネル所属のよう兵が加わった作戦で数百人の市民が殺害された疑いがあるのです。
マリの旧宗主国であり、過激派の掃討のために軍を派遣していたフランスは、ヨーロッパなどほかの15か国と共同で声明を発表。「これまでも派遣された国で拷問や処刑などの人権侵害を繰り返している『ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)』が、ロシア政府の支援を受けてマリに送りこまれた。マリ当局が外国のよう兵と契約した」として非難しました。

マリ当局はこれを否定しましたが、フランスなどは、「ワグネル(通称、ワグネル暴力団センター)」による処刑などの人権侵害があったとして、国連の安全保障理事会に国際的な調査を求めました。しかし安保理の議論では、ロシアの外交官が「いわゆるロシアのよう兵(通称、ワグネル暴力団センター)に関する情報操作は、地政学的なゲームに過ぎない」と述べて、全面的に否定しました。

国際的な調査は、2つのろくでなし国家ロシアや中国の反対があって、実現のめどは立っていません。2つのろくでなし国家ロシアや中国は国連の常任理事国なので、今の国連では何も決められない。

 

ワグネルを生んだロシアの“病”
ガビドゥリン氏は、ワグネルで参加したシリアでの戦闘で大ケガを負い、のちに組織を離れました。

自らの命の危険をおかしてまで、「存在しない“よう兵”」として戦地にいた期間をどう思っているのか。尋ねると、ガビドゥリン氏はワグネルで最初に派遣された、ウクライナ東部ルハンシクで感じたことを振り返り、ワグネルを辞めた理由を話し始めました。

 

ガビドゥリン氏

「初めてルハンシクに派遣された時は、私も、現地にはナチスやファシストがいると信じ込んでいました。しかし現地で見たのは、親ロシア派勢力がまるでロシア革命での赤軍兵士のように、権力を奪取しコントロールしていた。実質、軍事クーデターのようでした。

私たち(ワグネルの兵士)は、契約書にサインし、『自分たちは存在しない』ということを受け入れました。お金さえ払ってくれればそれでよかったのです。

しかし、しばらく時間が経ってから、私は自国の人材をそのように扱ってはならないと感じるようになりました。その後、2018年の終わり頃には、これは異常な状況であり、社会にはびこっている非常に重い病気、ロシア社会の病気の結果、こうなっているのだと考えるに至りました」

ガビドゥリン氏

「私はワグネルにいたことを悔いてはいません。そこで経験した、感情的な揺れによって、私は『知性の眠り』から覚めることができました。多くのロシア国民同様、上から命じられることを信じ続けていた状況を脱することができた。そうでなければ、私もいまだに国旗を手に持って振り、あの忌々しい『Z』の文字を胸につけていたかもしれないのですから」


 ウクライナで侵攻を続けるロシア軍の兵力不足が指摘される中、イギリス国防省は今月16日に分析を発表。「ワグネル」が関わる形で、ロシア人の受刑者に対して、減刑や金銭と引き換えに戦闘に加わるよう勧誘する動きを活発化させていると指摘しています。

今月、国民に対して、予備役の部分的な動員が発せられたのに加え、ワグネルによって「存在しない“よう兵”」が集められている。そのロシアの状況を、ガビドゥリン氏は「狂っている」と評します。


「法律で禁止されている組織がパラレルに存在するという、異常な状態です。この会社(ワグネル)はロシアの国内法ではあってはならない。法律の外にある、違法な軍事組織です。しかしそれは、堂々と存在し、堂々と宣伝までしています。

 権力を手にしたワグネルのトップは、刑務所の門を勝手に開け、警備や事務の職員たちを脇に立たせ、堂々と服役中の者たちに対して勧誘を行います。そして、それら服役者を集めて現地に送り込むのです。国内法では、そのような形での仮出所は認められていません。

こういうことが、ロシア国内では実際に起こっているのです。すでにこの国は、法のもとにいることをやめ、何もかも完全に狂ってしまっているのです」その頂点にプーチンが君臨して、中国、北朝鮮、イラン、シリア、ベラルーシ、・・・が協力者なのです。



ゼレンスキー氏「占領者は全て破壊したが、我々は全て復旧を」…ヘルソン住民へ支援強化
 読売新聞 2022/11/15

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2022年11月14日、ウクライナ軍が11日に奪還した南部ヘルソン州の州都ヘルソンの住民に対する支援を強化することを表明した。

 ゼレンスキー氏は2022年11月14日に州都ヘルソンを奪還後初めて訪れ、州政府関係者と会議を開いた。会議では「占領者は全てを破壊していったが、我々は全てを復旧させる」と述べ、ロシア軍によって破壊されたインフラ(社会基盤)施設の復旧を急ぐ考えを強調した。

 ウクライナ政府によると、現在のヘルソンの人口は7万~8万人。本格的な冬の到来を前に電力などの復旧が喫緊の課題となっている。

 ゼレンスキー氏は同日、南部ミコライウ州の人道支援を行う拠点施設も訪問した。


インドで「中国・ロシア離れ」がじわり進む、裏で日本が果たした大役とは
 白川 司 2022/11/15
ウクライナ軍事侵攻で

インドがロシアを支援した理由

 2022年11月8日、インドのジャイシャンカル外相がロシアのラブロフ外相とモスクワで会談して、ロシアが停戦交渉を再開するように促した。2022年11月9月にはモディ首相がプーチン大統領との会談で「いまは戦争の時ではない」と述べている。表向きの理由はウクライナ戦争が「グローバルサウス(非先進国)」「南アジア」の経済にかなりの悪影響を与えていることであるが、その裏にはインドは当初のロシア寄りの立場から、少しずつ批判的な立場にシフトしてきていることは見逃せない。

 ウクライナ軍事侵攻をしたロシアに対して西側各国が経済制裁に入る中、ロシア制裁に消極的だったインドに失望を隠さない国は少なくなかった。

 インドが積極的にロシアを擁護したわけではないが、形式的に中立の立場を貫いたことで、ロシア経済制裁は中国とインドという2つの大国がバッファになり、実効性が大きく後退した。当初言われていたような「経済制裁と金融制裁でロシア経済をとことん追いつめる」といったことは実際できなかった。インドはロシア産石油を安価で大量に輸入したのだ。

 そのインドについて、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官(当時)は「後に、このことが歴史書に書かれるとき、あなた方がどんな立場でありたいかを考えてもらいたい(Think about where you want to stand when history books are written at this moment in time.)」と、日米豪印の安全保障協定である「クアッド(Quad)」で同盟関係でありながら、アメリカに歩調を合わせなかったことにあからさまな不快感を示した。

 ただし、インドの立場に立って考えると、このときの態度も理解はできる。というのは、インドは長年、ロシアに安全保障を頼っており、現在も防衛装備品で最も大きな割合を占めるのがロシア製だからである。以前に比べればロシア製はかなり減っているが、依存状態を脱したとまではいえないだろう。

 また、エネルギーに関しても、2023年後半には、もうすぐ世界一の人口を有することになるインドにとって、ロシアの石油や天然ガスは不可欠に近いものだ。モディ政権にとって、国民生活を守ることが第一であれば、ウクライナ支援という選択肢を取りにくいのも事実だ。単純に安全保障上の問題ではなく、エネルギー安全保障を含めた国民生活においてもロシアとの連携は欠かせないのである。この地政学的環境はインド、日本との「共通点」が見える。

 忘れていけないのは、インドはもともと親ロ国であり、アメリカに対しては必ずしも良好な関係を保ってきたわけではないことだ。むしろ、インド人エリートには以前から根強い反米感情がある。中国との領土問題を抱えているインドで反中感情が強まることはあっても、直接的な脅威ではないだけに反ロ感情が高まることは考えにくい。むしろ国内で反中感情が高まるごとに、インド国民は親ロ的になりやすいとすらいえる。

インドのロシア離れにおいて

日本が果たした役割

 そんなインドが、日米豪印の4カ国連携であるクアッドに参加したのは、ひとえに日本の安倍晋三首相(当時)が推進していた点が大きい。インドの日本に対する信頼度は高く、クアッドがアメリカ中心で進んでいたら参加していたかどうかわからない。また、モディ政権が圧倒的な経済力で国境を侵食する中国への対策として、対中包囲網を主導する安倍元首相のリーダーシップに賭けたという面もある。

 また、ロシアからしても、ウクライナ戦争を継続するに当たっては、中国やインドとの連携は欠かせなかった。ロシアは欧米に売れなくなった余剰原油の大幅ディスカウントを提案し、インドもそれに応じて、ロシア産原油の輸入を大きく増やしている。

 欧米はこれに激怒したが、インドは我関せずの態度を維持して、エネルギー購入で実質的なロシア支援を続けた。

 もちろん、インドがロシアのウクライナ軍事侵攻を快く思っていたわけではなく、立場上、必要に迫られてのことである。

 上述したようにインドはエリート層を中心に反米感情が根強かったことも見逃せないが、一方で、国内でIT産業が発展し、シリコンバレーで多くのインド系経営者が誕生するとともに、インド人エリート層の対米感情が好転し始めているという。

 2020年前後はインド国民も政府もコロナ禍で大いに苦労した時期であったが、それと同時に、これまで内向きだったインドが日米連携を始める転換点となっている。

「日米シフト」に傾いていたインドにとって、ロシアのウクライナ軍事侵攻は親ロ国ゆえに厄介な問題となった。ロシアとの関係を壊したくはないものの、中国が安全保障上の脅威であることを考えると、そのまま「中ロ側」に居続けるわけにはいかなかったのだろう。

 インドの対ロ姿勢が明らかに変化したのは、6月に首都キーウ近郊のブチャにおけるロシア軍のウクライナ民間人の虐殺が明らかになったときからだと筆者は感じている。

 その後、インド政府は日本の岸田文雄首相をはじめとする西側要人との会談を増やし、日本も大型投資の約束をするなど、インドの期待に報いた。こうしてインドはロシア離れが進み、あからさまに日米寄りにシフトすることとなった

 インドがロシアと断交することはありえないものの、ロシアがインドを一つの経済バッファとして使えなくなったことは、ロシア経済には大きな打撃となり得る。

中国への経済依存と

中印対立の火種

 日米側としても、インドを中ロ側から引き離すことは大きな課題となってきた。安倍元首相が苦労して対中包囲網に引き入れたインドが、ロシアとの連携をきっかけに中国との連携を深めてしまえば、対中包囲網自体が弱体化しかねない。

 それでなくてもインドは中国経済にかなり依存しており、いまだに中国経済なしではやっていけない状況と言っても過言ではない。

 将来有望な14億人市場が中国側に付くことは、今後、日米にとって政治的にも経済的にも大きな打撃になり得るのだ。

 ただし、インドが長年、中国と領土紛争を抱えていることで、いくら経済的な結び付きかが強まろうと、安全保障で連携することはありえない。

 それは1949年に中華人民共和国が成立したことに始まる。その頃からチベット国境における両国の見解の相違が表面化して、対立がエスカレートしている。1962年には両国対立は中印国境紛争に発展する。このとき領土を失うという屈辱を味わわされたインドは、中国を敵国として認識するようになった。

 その後も紛争の危機が何度も起きたが、なんとか平和裏に交渉で解決してきた。だが、拡張主義を隠さない習近平指導部になってからは、軍事衝突が頻発するようになっている。

 特に、2020年、インド北部のラダック地方で起こった紛争では激しい乱闘戦が起き、インド軍に20人の死者が出て、インド国内では激しい反中感情が巻き起こった。

 インドのモディ政権はそれまで中国との衝突を避けてきたが、それとは無関係に国民の間で中国製品の排斥運動が起こることとなった。当初はインド政府はこれに応じなかったが、結局ファイティングポーズを取って中国製品排斥に走らざるを得なくなったのである。

各国との経済連携を進め

中国から離反し始めたインド

 ただし、中国はBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国のこと。南アフリカが加わるとBRICSと表示する)や、上海協力機構(中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタン)などの非欧米的な枠組みを使って、インドを自陣に引き入れる努力は惜しまなかった。

 インドはまだ経済的には自立しておらず、領土問題は抱えながらも経済的な依存によって敵対させないという政策を取り続けていたのである。

 実際、クアッドは、ゆくゆくは軍事同盟にまで引き上げることを目指しているのだが、それを唯一拒んできたのがインドである。インドとしては中国との経済関係を軽視するわけにはいかず、対中包囲網に参加しながらもバランス外交を全くやらないわけにはいかった。

 その一方で、インドは公的インフラに対する参入禁止中国製アプリの禁止中国企業の進出に一定の規制を設けるなど、中国からの「見えない侵略」については警戒を怠らなかった。

 それはインドがIT大国として発展する中で、その最大のライバルが中国であるとみているからだろう。インドのIT技術が中国標準になってしまうと、国際的なIT市場において中国優位に進む可能性がある。

 こうした中、インドは中国の経済依存から脱却すべく、他国との経済連携を進めてきた。2011年に日本と包括経済連携協定(EPA)を結んでいたが、2020年前後にはイギリス、EU、カナダ、イスラエルなどの各国と精力的に経済協定を結んだ。

 特に重要なのが、2022年4月のオーストラリアとの暫定的な自由貿易協定(FTA)だろう。これは豪印の通商関係の強化を目指すだけでなく、両国の最大貿易相手国である中国からの経済的依存を脱却することを目指しているのが明白だからである。ゆくゆくは包括的なFTAである豪印包括的経済協力協定(CECA)を目指して、「脱中国」の土台にしようとしている。

 オーストラリアのモリソン首相(当時)は「今回の協定は、我々の強固な安全保障面でのパートナーシップとクアッドでの共同努力の上に築かれたものだ」と述べている。豪印が手を携えて安全保障と貿易の両面で脱中国を図り、さらに中国封じ込めに動こうとしているのは明らかである。

 また、安全保障の面で転換点となったのが、2020年にアメリカと結んだ「地理空間協力のための基礎的な交換・協力協定(BECA)」だろう。

 これは高度な地図・衛星画像などの地理的な機密情報を共有するもので、中印国境付近でインド軍は米軍と高高度演習を実施している。これはかつて拒否し続けてきたアメリカの軍事的影響力を積極的に受け入れて、中国に対抗することを狙ったものである。

 今のところインド政府が台湾について明確な態度を示したことはないが、これまでに台湾海峡における中国軍の軍拡を批判したり、ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問について中国の自制を求めるなど、日米寄りの態度を示し始めているのも確かだ。

 インドの脱中ロの動きはまだ始まったばかりだが、安全保障面でロシアからNATOに依存する割合が大きくなり、貿易面でも脱中国が実現するようになれば、インドが日米側に大きくコミットするようになることはほぼ間違いない。

 インドが日米側に付けば、対中包囲網はさらに威力を増し、中国封じ込めには大きなプラスになる。台湾防衛を第一に考えなければいけない日米は、インドの「脱中ロ」を強くし支援することが必要だろう。

(評論家・翻訳家 白川 司)

サハリン1も日本の権益維持=ロシア政府、3割出資を承認
 2022/11/15 

ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」を巡り、ロシア政府は日本の官民で設立した「サハリン石油ガス開発」に対し、事業を引き継いだ新会社への参画を承認した。松野博一官房長官は15日午前の記者会見で、「決定はわが国の中長期のエネルギー安定供給の観点から非常に意義がある」と歓迎した。

 経済産業省によると、ロシア政府が15日未明(日本時間)に参画承認を発表。サハリン石油ガス開発による新会社への出資比率は、旧会社と同率となる30%のまま認められた。三井物産と三菱商事が出資する「サハリン2」に続き、日本の権益が維持されることになった。

 サハリン石油ガス開発は、日本政府や伊藤忠商事、丸紅などで設立。原油の中東依存度を下げたい日本政府は、サハリン1についても権益を維持する方針を示していた。



バンクシー、ウクライナに新作 首都近郊の損傷建物に
2022/11/12
 【ボロディアンカ共同】ロシアの侵攻を受け、多数の市民が死亡したウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊ボロディアンカに、正体不明の芸術家バンクシーの新作が登場した。バンクシーが11日、写真共有アプリ「インスタグラム」に作品の写真とともに「ボロディアンカ、ウクライナ」と投稿した。

 損傷した建物の壁に、手を突き倒立する体操選手のような人物が描かれた。集合住宅だったとみられる建物の周囲には、ガラス片や鍋のふたなどの生活用品が散乱したままの状態だった。近くには、小さな男の子が柔道で大きな相手を投げ飛ばすような壁画も。見に来た男性は「バンクシーの絵だと思う」と話した。


首都キーウにミサイル、ウクライナ全土で緊急停電 発電所などウクライナ各地に攻撃
2022/11/16
 
【キーウ共同】ウクライナの首都キーウ(キエフ)や西部リビウなど各地で2022年11月15日、ミサイル着弾や爆発が相次いだ。ウクライナの首都キーウで2022年11月15日、ロシアによるとみられるミサイル攻撃があり、中心部の住宅などのビル3棟が被害を受け、1人の遺体が見つかった。
 ロシア軍がインフラ施設を標的に攻撃したとみられ、停電が同時多発的に発生した。東部ハリコフや西部リブネの発電所など各地が攻撃され、キーウのクリチコ市長は全土で緊急停電が行われたと発表。
 インドネシアのG20サミット期間中は停戦しようとの呼びかけがあり、G20サミット期間中の攻撃を警戒する声が出ていた。しかし守られなかったようだ。


 ウクライナ軍は2022年11月12日、ドニエプル川河口部東岸から西岸にのびる半島で上陸を試みていると明らかにした。ロシアメディアは2022年11月13日、ウクライナ側の攻撃は撃退されたと伝えたが、米シンクタンク、戦争研究所は2022年11月14日、ウクライナ側の攻撃がウクライナ軍のドニエプル川東部への上陸能力を示しているとするロシア側の懸念を指摘した。

© 一般社団法人共同通信社




〈ロシアの苦境〉「動員は失敗する」徴兵逃れで指詰め、飛び降り、乱闘…プーチンの戦争の断末魔
THIS WEEK「国際」
名越 健郎2022/10/24
 今年2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻。開戦当初は、ロシアが短期間に勝利すると見られていたが、ウクライナは首都キーウを防衛し、ロシアは東部など一部地域の占領にとどまった。そして、2022年9月にはウクライナが反攻に転じ、東部地域の奪還に成功。一方、ロシアは戦死者が相次ぎ、国民への“動員令”が発令されるなど、苦境を隠し切れなくなってきた。ロシア・ウクライナで今、何が起きているのか。「週刊文春」の記事を公開する。(初出:「週刊文春」 2022年10月6日 年齢・肩書き等は公開時のまま)

◆◆◆

 ウクライナ侵攻の苦戦で追い詰められたロシアのプーチン大統領が2022年9月21日に発表した動員令は、即日施行された。部分的にせよ動員令の発動は第二次世界大戦以来初となる。
誰もプーチンのために死にたくはない

 当初は200万人の予備役から30万人を動員すると発表されたが、独立系紙は最高120万人の動員を目指していると報じた。徴兵候補者や兵士を支援するロシアの民間人権団体「市民」も、「発表から2日間で、通常の500倍の1万4000件の問い合わせや支援要請があった。パニックだ」とコメントしている。

 全国38都市で反戦デモが起こり、2000人が拘束されたが、そのうち150人以上に招集令状が出されたという。あるデモ参加者は「警察署の別室に連れていかれ、軍事委員なる人物から召喚状を渡され、明日午前11時に入隊事務所に出頭するよう言われた。断ると刑務所行きだと脅された」とSNSに投稿した。

 卒倒して救急車で運ばれたり、恐怖で2階の窓から飛び降りる者も出た。一部の徴兵事務所には火炎瓶が投げ込まれ、シベリアのオムスクでは警官隊と令状を受けた若者の乱闘が起った。

 ロシア人がビザなしで訪問できる国への航空便が満席となりフィンランド、ジョージア、モンゴルなどの国境は、車で長蛇の列だ。動員令が出てから5日間で26万人が出国している。

 しかし、国外に脱出できるのは一部の金持ちだけだ。国外に出られない人は、ネット上で「腕を折る方法」を検索するなど徴兵逃れの方法を模索している。

 独立系メディア「メドゥーザ」は、骨折は数カ月で治るため、「指を1本詰める」と話す若者も紹介する。指がないと兵器が操作できず、確実に徴兵免除になるという。また、医者に賄賂を払って偽の診断書を書いてもらうケースも続出している。

戦時中の軍脱走は“最長10年の禁錮刑”も…
 一方で、徴兵事務所が誤って令状を渡したケースも多い。HIV感染者や重度の障害者、63歳の元軍人まで出頭したが、兵役を免除された。
政府は戦時中の軍脱走は最長10年の禁錮刑、徴兵忌避は同3年の禁錮刑という法律を作り引き締めを図る。

 露の軍事専門家のパベル・ルージン氏は「動員は失敗するだろう。30万人も新兵を集めることはできないし、戦意もない。装備でもウクライナ軍が上回る」と指摘する。ロシア軍の老朽兵器では、最新の武器を供給されるウクライナ軍の相手にならないとの見立てだ。

ロシアを混乱に陥れた部分的動員令は、「プーチンによる国民への宣戦布告」(独立系紙・ノバヤ・ガゼータ)となった。




米企業の中国撤退「制度化を」 議会の諮問委
2022/11/16 
【ワシントン=坂本一之】米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は2022年11月15日、中国の軍事経済情勢をめぐる年次報告書を発表した。報告書は台湾を念頭に、中国が軍事力を行使した場合、米企業による中国事業の売却を米大統領が求められるようにする制度の創設を提言。中国の習近平国家主席が権力を強め、台湾に「より攻撃的になっている」として侵攻に強い危機感を示した。

報告書は、ロシアのウクライナ侵略で習政権は「台湾統一を強行する場合の教訓を得たとみられる」と指摘。「教訓」の例として、軍事のほか制裁の影響の軽減や情報管理を挙げた。

その上で、台湾侵攻への備えを強化するため、米軍の態勢に関する「機密報告」作成を国防総省に求めることを提案した。中国が「米国や同盟国、パートナー」への軍事力行使に踏み切った場合などには、米国企業が中国から撤退したり事業を売却したりするよう要求できる権限を米大統領に付与する案も示した。しかし中国の法律ではもともと外国資本の企業も「中国共産党の国営企業の物にできる」という法律があるのだ。
報告書はまた、中国による台湾への攻撃や封鎖措置といった敵対行動に備え、米国の対中制裁や経済措置を検討する常設委員会を行政機関に設けるよう提案した。対中制裁の選択肢を事前に整えて侵攻を抑止し、実際の侵攻があった場合も中国に大きな経済的打撃を与えられるようにする。

 中国経済とのデカップリング(切り離し)に関しては、ワクチンのような高度な医薬品材料を中国に依存しないよう国内生産や「信頼できる国」からの調達を強化することを求めた。また、中国のサイバー攻撃に強い警戒感を示し、習政権が「サイバー超大国」を目指して「恐るべき攻撃能力を開発している」と指摘した。サイバー攻撃への備えは米国の緊急課題だと訴えた。
 報告書は共産党総書記3期目入りを果たした習氏について「全ての重要な決定が1人の手に委ねられている」ように見えると指摘。軍に関する決定でも習氏の裁量が大きいと分析した。「中国による台湾への軍事的脅威の増大」などで2022年は米国の対中政策における「転換点」だと強調した。


キーウ中心部にミサイル攻撃 住居用のビル2棟が被害
2022/11/15 23:30



【キーウ(キエフ)=黒川信雄】ウクライナの首都キーウの中心部で2022年11月15日午後、ロシア軍のミサイルによるとみられる攻撃があり、住居用のビル2棟が被害を受けた。クリチコ市長が通信アプリで明らかにした。

クリチコ氏によれば、攻撃を受けたのはキーウ中心部のペチェールスキー地区ウクライナの政府関連施設が多数存在する。クリチコ氏はまた、複数のミサイルが防空システムにより破壊されたと指摘した。

ロシアは10月以降、キーウなど各地へのミサイル攻撃を強めており、ウクライナではインフラ損傷による深刻な電力危機が続いている。



「ロシア製ミサイルがポーランドに着弾、2人死亡」を確認 ポーランド外務省
11/16(水) 8:58


【AFP=時事】ポーランド外務省は15日発表した声明で、ウクライナとの国境に近い東部プシェボドゥフ (Przewodow)に同日午後3時40分、ロシア製ミサイル1発が着弾し、2人が死亡したことを確認した。外務省報道官は声明で「ロシア製ミサイルが領内に着弾し、国民2人が死亡した」とするとともに、ロシアの駐ポーランド大使を呼び出し、「詳細な説明」を直ちに行うよう要求したことを明らかにした。
【写真】ウクライナ各地でミサイル攻撃 700万世帯が停電【翻訳編集】 AFPBB News



ロシア国防省「攻撃していない」ポーランドにミサイル着弾、関与否定
11/16(水) 8:33
ウクライナと国境を接する北大西洋条約機構(NATO)加盟国のポーランドにミサイルが着弾したとの情報をめぐり、ロシア国防省は15日、SNSへの投稿で「(ロシアは)ウクライナとポーランドの国境付近を攻撃していない」とし、関与を否定した。
投稿では「ポーランドのマスメディアが発表している現場からの残骸の写真は、ロシアの武器とは無関係だ」と続けた。

 また、「状況をエスカレートさせる意図的な挑発を行った」とし、ポーランドのマスメディアと当局者を批判した。



腕だけの遺体に結婚指輪 沖縄出身志願兵がウクライナで見た「地獄」ウクライナ情勢
根本晃2022年11月8日

俺は、テキサスで働く救急救命士だったんだ。

 ロシアが侵攻を始めて間もない3月上旬に、仕事も何もかも投げ捨ててウクライナに行った。衛生兵になろうとした。

 なぜかって? ロシアの戦車が、民間人を乗せた車をひいたとして拡散されていた動画を見たからだ。

 その時、誰も何もしないなら、俺がなんとかしなきゃと思った。

 銃器の経験もあるし、父親は海兵隊員として沖縄の米軍基地にいた。軍隊には慣れていた。

 周りのみんなに反対された。「馬鹿」だとか「狂ってる」と言われた。

 でも、やらなきゃいけなかった。後悔はしていない。

 日本の人たちに一つ言っておきたいことがある。

 日本がウクライナを支援しているのはいいことだ。ただ、あなたたちがテレビで目にする光景がどんなに悲惨だろうと、現実はもっとひどいんだ。

 沖縄戦を経験した沖縄の人たちは、わかっているんじゃないかな。戦争がどれだけ地獄かって。

 《ロシア軍が侵攻したウクライナには、各国から志願兵が集まっている。沖縄で育ち、日本人の母と米国人の父を持つ男性(25)もその一人。7月下旬、オンラインで取材に応じた》



〝プーチン暗殺〟米上院議員が呼びかけ 「あの男を殺すしかない」ニュースのインタビューで発言  露出身の実業家は懸賞金も
2022/3/5 15:00

米議会上院の有力議員、リンゼー・グラム氏がロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「暗殺」を呼びかけた。ウクライナに軍事侵攻、原発を攻撃するなど暴走するプーチン氏だが、現職議員が他国の元首の暗殺に言及するのは異例だ。

「ロシアの侵攻をどうやって終わらせるか? ロシアの誰かが名乗り出て、あの男(=プーチン氏)を殺すしかない」

グラム氏は3日夜、米保守系FOXニュースのインタビューで、こう発言した。ツイッターでは古代ローマ帝国の英雄、ジュリアス・シーザーを暗殺した首謀者のブルータスらを引き合いに、「ロシアにブルータスはいないのか?」「プーチン氏を暗殺すればロシアに限らず、世界に大きく貢献することになるだろう」と発信した。

ロシア出身の実業家、アレックス・コナニキン氏は1日、ウクライナを侵攻した戦争犯罪は法で裁かれるべきだとして、プーチン氏の首に100万ドル(約1億円)の懸賞金をかけると表明している。

世界の「お尋ね者」になったプーチン氏はいま、どこにいるのか。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「居場所は最高機密情報で、不明だが、ロシア軍の特殊部隊『スペツナズ』に囲まれ、クレムリン以外の場所に潜んでいる可能性がある。KGB(ソ連国家保安委員会)出身だけに、プーチン排除の動きが強まるのも織り込み済みで、実力で排除するのはかなり難しいだろう」と語った。


戦争を支援しないなら「スターリン時代の弾圧」にあうべき? プーチン大統領の盟友の発言を受け、ロシアのエリート層は身の危険を感じている
ロシア
ウクライナ侵攻
Sophia Ankel
Nov. 11, 2022, 07:30 AM 

プーチン大統領の盟友で実業家のエフゲニー・プリゴジン氏は、ロシアによるウクライナ侵攻で影響力を発揮している。
プリゴジン氏は、戦争を十分に支援しない財界の大物たちは「スターリン時代の弾圧」にあうべきだと語った。
プリゴジン氏の発言はロシアのエリート層を不安にさせている。身の危険を感じるとブルームバーグに語った関係者もいる。
ロシアのエリート層は身の危険を感じている。ウクライナでの戦争に熱が入っていない人間は弾圧されるべきだと、プーチン大統領の盟友が発言したからだ。ブルームバーグが報じた。

プーチン大統領の盟友で、民間軍事会社ワグネル・グループの創業者でもあるエフゲニー・プリゴジン氏は、戦争を十分に支援しない財界の大物たちは「スターリン時代の弾圧」にあうべきだと語ったと、ブルームバーグは関係者の証言を引用して報じた。

スターリン時代の弾圧」とは、ソ連時代の大粛清 —— スターリン独裁体制の下、1937年頃を中心に行われた政治キャンペーン。スターリンが脅威と見なした人間を排除することを目的としていた —— のことだ。






レーニンはスターリンを書記長の地位から外し、「より忍耐強く、より丁重で、より思いやりがあり、気まぐれではない人物」を、そのポストに任命するよう提案していた



プリゴジン氏の発言はロシアの財界の大物や政府高官たちを怖がらせている。戦争の行方が心配だ、粛清や恣意的逮捕が怖いとブルームバーグに語った関係者もいる。

中には身の危険を感じるとブルームバーグに語った政府高官もいて、家族の安全を定期的に確認し合っているという。
プリゴジン氏は悪名高いワグネル・グループの創業者だ。ワグネル・グループの戦闘員はリビアやシリア、ウクライナでさまざまな戦争犯罪を告発されている。

直近では、ウクライナのブチャで起きた虐殺や残虐行為に関与したとされている。

ロシアによる侵攻が始まって以来、プリゴジン氏は強硬派としての自身の位置づけを強めていて、ロシア軍の司令官やショイグ国防相を大っぴらに批判している。

10月にはプーチン大統領と非公式に会い、不満を伝えたとワシントン・ポストは報じている。
カーネギー国際平和基金のシニアフェロー、アンドレイ・コレスニコフ(Andrei Kolesnikov)氏は、プリゴジン氏は「もう1つの政府のように振る舞っている」とブルームバーグに語った。

「プーチンの下でなければプーチンの後で、権力争いができるかもしれない」とコレスニコフ氏は話している。

Russia's elite are worried for their safety after an ally of President Vladimir Putin said those who aren't enthusiastic enough about the war in Ukraine should be repressed, Bloomberg reported on Tuesday.

Yevgeny Prigozhin, a Putin loyalist and founder of the paramilitary Wagner Group, said that Russian tycoons who are not supportive enough over the conflict should face "urgent Stalinist repressions", Bloomberg reported, citing unnamed sources.

The "Stalinist repressions" are a reference to Russia's Great Purge, a political campaign led by Soviet dictator Josef Stalin in 1937 that aimed to eliminate anyone in his party he considered a threat.

Prigozhin's comments have alarmed top Russian business executives and government officials, who told Bloomberg they are worried about the direction the war is going, and fear purges and arbitrary arrests.
The officials told Bloomberg they were concerned for their own safety, and that they were checking in with each other regularly to see if their family members are safe.

Prigozhin is the founder of the notorious Wagner Group, a mercenary paramilitary organization whose fighters have been accused of widespread war crimes in Libya, Syria, and Ukraine.

Most recently, the group was linked to massacres and atrocities committed in the Ukrainian city of Bucha.

Since the start of Russia's invasion, Prigozhin has increasingly positioned himself as a hardliner, openly criticizing generals and Russia's Minister of Defense Sergei Shoigu for the failures of the military in Ukraine. 
He met with Putin in private in October to voice his dissent, The Washington Post reported.

Andrei Kolesnikov, a senior fellow at the Carnegie Endowment for International Peace, told Bloomberg that Prigozhin is "behaving like a parallel government."

"He may be able to compete for power, if not under Putin then after him," Kolesnikov added. 



2人の富豪がロシアの市民権を放棄…「多くのロシアのビジネスマンが私に続くことを望む」
ロシア
Sophia Ankel
Nov. 04, 2022, 07:00 PM 

フィンテック企業のRevolutのニコライ・ストロンスキーCEOと銀行家のオレグ・ティンコフがロシアの市民権を放棄した。
ストロンスキーはイギリスのパスポートを取得したことを明かし、ティンコフは10月31日に市民権放棄を宣言した。
両者は以前からロシアのウクライナ侵攻について批判的だった。
2人の著名なビジネスマンが、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、戦争終結を求めてロシアの市民権を放棄した。

フィンテックのスタートアップ、Revolutの共同創業者でCEOを務めるニコライ・ストロンスキー(Nikolay Storonsky)と、ティンコフ銀行創業者のオレグ・ティンコフ(Oleg Tinkov)は、以前から公にウクライナ侵攻を批判してきた。

億万長者のストロンスキーはロシア出身だが、イギリスとロシアの市民権を持っていた。

Revolutはロンドンを拠点としており、広報担当者はストロンスキーが2022年の早い段階に市民権を放棄し、現在はイギリスのパスポートを持っているとテレグラフに話している。
「戦争に関する彼の立場は、公になっている。戦争はすべて忌まわしいもので、直ちに戦いを終えることを求めている」と広報担当者は述べている。

Revolutは、Insiderのコメント要請に対して回答しなかった。
ティンコフは2022年10月31日、ロシアの市民権を放棄したことを発表した。

彼はインスタグラムに「ロシアがウクライナに侵攻したことで、私はロシアの市民権を放棄することを決めた」と投稿した。

ワシントンポストの報道によると、彼は今は削除されている10月31日のインスタグラムの投稿で初めてこの動きについて発表し、市民権放棄に関する10月26日付けの公的書類の画像を公開していたという。

「ロシアの市民権を放棄することを決めた。平和な隣国と戦争を始め、無実の人々を毎日殺しているファシスト国家とは付き合えないし、今後も付き合うつもりはない」と最初の投稿でティンコフは述べていた。

「著名なロシアのビジネスマンが私に続き、プーチン政権とロシア経済を弱体化させ、最終的に敗北させることを願っている」と彼は続けた。

「私はプーチンのロシアを嫌っているが、この狂った戦争に明確に反対しているすべてのロシア人が大好きだ」

その後の投稿で、ティンコフは最初の投稿がなぜか消えてしまったとし、クレムリンによるものだと非難した。

ティンコフは、2006年に創業した商業銀行であるティンコフ銀行から自身の名前を削除したいと語った。
「私のブランドと名前が、殺人や流血につながる銀行と関連づけられることに嫌悪を抱いている」

Insiderのコメント要請に対し、ティンコフ銀行は回答していない。 また、ティンコフが現在どの国のパスポートを保持しているかは明らかではない。

BBCの報道によると、ティンコフはロンドンで生活していると言われているが、資産凍結や渡航禁止などのイギリスの制裁の対象だという。

フォーブスによると、ロシアで最も裕福な人物の一人だったティンコフは、欧米の制裁とロシア株の暴落の結果、2022年初めに億万長者の座を奪われた。

ティンコフは4月のインスタグラムの投稿で、ウクライナでの戦争について「狂っている」と述べ、これを支持する人を「愚か」だと表現した。

ストロンスキーも2022年の初めに会社のブログで、ウクライナの家族とのつながりに触れ、戦争について批判した。

戦争を批判して市民権を放棄したロシアの著名人やビジネスマンは他にもいる。

だが、大半の人は沈黙したままだ。

ティンコフは10月31日、他のビジネスマンが続き、それによってプーチンの努力を無駄にすることを望んでいると述べた。

「さらに多くのロシアのビジネスマンが私に続き、プーチン政権と経済を弱体化させることを望んでいる」と彼は述べた。

フィナンシャル・タイムズは2022年7月、ロシアは新興財閥(オリガルヒ)を監視し、その中には、戦争に対して反対の声を上げると罰せられると恐れている人もいると報じた。


「民間人の服に着替えた敵を発見する」ヘルソン奪還…歓喜する住民の横で起きていること【報道1930】

ロシアのウクライナ侵攻からおよそ9カ月。ヘルソン州の州都をウクライナが奪還した。ゼレンスキー大統領が、市の中心部に入り住民から歓喜の声で迎えられた。しかし喜びだけではない。ゼレンスキー大統領は「長く困難な道のりが待ち受けている」と全土の解放を目指す決意と、まだロシア軍への脅威が消えていないことを口にした。果たしてヘルソンの今後、そして全土の奪還は叶うのはできるのだろうか。
ヘルソンの兵士、ウクライナ軍の南部防衛司令部の大佐、そして英国王立防衛安全保障研究所RUSIの研究員に戦況を聞いた。

【写真を見る】「民間人の服に着替えた敵を発見する」ヘルソン奪還…歓喜する住民の横で起きていること【報道1930】

■「民間人の服に着替えた敵を発見できるように…」
今月12日、街の中央広場に住民たちの歓喜の輪ができていた。その中心にはウクライナ軍の空中偵察部隊兵士マジャル氏。我々が彼と接触したのは2か月前。その時には、詳しい場所は言えないが、ヘルソン市からまだはるかに遠い塹壕の中だった。

しかし、いま、彼はヘルソン市の中心部にいて、ドニプロ川を背負っていた。その手にはなぜかスイカ。ヘルソンはスイカの名産地で、解放のため街に入った時に住民からプレゼントされたものなのだという。

ウクライナ軍空中偵察部隊 マジャル氏

「どのくらい保管できるか分からないがいずれは切って食べますよ。敵はドニプロ川の向こう岸に撤退しました。ここ数日で東岸では140以上の市町村が解放されました」

ウクライナ軍の攻勢は確かにあった。しかし、ロシア軍は逃げ去ったというよりは、作戦としてヘルソン市を解放“させた”という見方もできる。

ウクライナ軍空中偵察部隊 マジャル氏

「私たちとて気の間にウクライナ最大の川であるドニプロ川がありますがすべての橋が破壊され川を渡ることができません。向こう岸では敵は良質な防衛体制と攻撃態勢を構築したのでそれを使って攻撃してくると思う。一時的に住民には安全な場所に移動するように伝えています」

ロシア軍の反撃を心配するマジャル氏。しかし問題は外からの攻撃だけではないという。

ウクライナ軍空中偵察部隊 マジャル氏

「ヘルソン市に残って紛れている敵を発見しないといけません。民間人の服に着替えた敵を発見できるように検問所の態勢を強化しました。ウクライナ軍や住民を狙った攻撃を行う予定の破壊工作員がいる可能性があるのです。」

ウクライナの進撃の理由にパルチザンとして、ロシア軍の情報をウクライナ軍に伝えたり、破壊活動に協力したりするパルチザンの存在があったことが伝えられているが、今度はその住民になりすました“逆パルチザン”にウクライナは気を配らなければならない。

■畑にも地雷が…
ヘルソン市の平和はいつもたらされるのか…。解放したからすべてがうまく行くというものではない。ロシア軍がこの地を去る際にインフラを壊し、ウクライナ軍の進攻を阻むものを残しているからだと南部防衛司令部のナタリヤ・グメニュク大佐は言う。

ウクライナ軍南部防衛司令部のナタリヤ・グメニュク大佐

「電力供給が不可能になり、今も問題が続いています。水道や暖房も同様です。通信インフラは破壊され、電話通信の施設には地雷が設置された可能性があります。畑にも地雷がたくさん仕掛けられています」

仮にヘルソン州全体が解放され、住民に平和が戻ったとしても、住民が名産のスイカ畑に入ったとたん地雷が…ヘルソン、いや、ウクライナの住民はそんな恐怖とも今後戦わなければならないのである。

■「ロシア軍の質は一般に言われているほどひどくない」
ヘルソン市の奪還で、ウクライナの攻勢が伝えられる中、現地の状況を1カ月間にわたり調査をしている人物がいる。イギリス王立防衛安全保障研究所=RUSIの研究員レイノルズ氏。彼はロシアの侵攻以来、2か月ごとに被害地を長期にわたり検証、ロシアの攻撃力などを分析している。RUSIはレイノルズ氏の調査をもとに、11月7日、ウクライナへの防空支援を強化しないと、今後、ウクライナ軍の勝利の可能性が低くなるという趣旨の報告書を出した。

英国王立防衛安全保障研究所 レイノルズ研究員

「現時点でウクライナは戦場では優勢ですが、今後もウクライナが生き残り、優勢を保つために何を必要としているのか、国際社会は楽観視すべきではありません」

レイノルズ氏は現地調査する中で、メディアなどでは伝えられていないロシアの防衛力の強さに気づいたという。

英国王立防衛安全保障研究所 レイノルズ研究員

「ロシア軍は占拠した地域で防衛体制を広く強化し素早く塹壕を掘っています。さらに航空システムと通信用のケーブルを敷いています。汚れて散らかったロシアの占拠地の写真が多く出回っていますが、ロシア軍は選挙地域で塹壕を掘り、防衛体制を整えているという事実を覆い隠すべきではありません。ロシア軍の質は高くありませんが、一般に言われているほどひどくはないのです」

そして今後、最もウクライナが注意すべきなのはロシアの空軍力だという。

英国王立防衛安全保障研究所 レイノルズ研究員

「ロシア陸軍は著しい損失を受けましたが、空軍にはまだ多くの能力が残っています。ロシア空軍はかなり有能です。ウクライナが今保有している装備では領空を守るのは技術的に不可能です。」

レイノルズ氏の今後のウクライナの戦況の見立ては一貫して楽観的なものではなかった。その理由はいま西側諸国がウクライナに送っている兵器は、自分たちが渡せるもの、渡したいもので、ウクライナに必要なものという観点が少ないからだという。

英国王立防衛安全保障研究所 レイノルズ研究員

「国際社会は、ウクライナ軍には地対空ミサイルの弾薬など軍事補給面で危機的な脆弱性があることを認識しなければなりません。ロシアが防空ネットワークを撃ち破ることができれば、にわかにウクライナはシリアで行われたような爆撃のリスクに初めてさらされることになります。ロシアがそうした戦略を使うことを躊躇するようには見えません」

(BS-TBS 『報道1930』 11月14日放送より)



中国が「金」を大量に購入しているワケ…台湾侵攻はすでに秒読みか 金市場で不穏な動きが始まった
謎の中銀が金を買い漁っている
11月1日、金市場を揺るがす驚きのレポートが発表された。国際調査機関「ワールド・ゴールド・カウンシル」によると、7~9月期、世界全体の中央銀行(以下、中銀)による金の購入量が399トンに及んだという。この数字は、これまでの記録の実に約2倍だ。
注目すべきは、公に名前が判明している中銀の購入が、そのうちの25%弱にとどまるという点だ。それ以外の大規模購入がどこの国の中銀によるものかは特定されておらず、憶測が飛び交っている。

だが、金相場に詳しいマーケットアナリストの豊島逸夫氏は、謎の買い手の正体は”あの国”しかないと指摘する。

「消去法でいくと、中国以外ありえません。大半の中銀は金の購入量をIMF(国際通貨基金)に報告しますが、報告をしない中銀も存在します。そのうち、これほどの購入能力を有するのはロシアか中国。ロシアは今、ウクライナ侵攻による経済制裁で中銀が金売買をできません。よって残るのは中国だけなのです」

これは「有事の金」なのか
'22年9月末時点で中国の金保有量は1948トンで、世界6位に順位を上げている。同国が大量に金を購入している理由とは何か。それは「有事の金」かもしれない。

「想起されるのはウクライナ侵攻前のロシアです。同国の中銀は'10年から'20年にかけて金保有量を4倍超にまで増やしました。当時は単に金融資産の米ドル依存からの脱却を目指すものと考えられていましたが、後になって戦争の準備だったと明らかになったのです」(在米金融ジャーナリスト)
戦争が始まれば海外資産が凍結されるが、金は有効な担保として中国やインドなど友好国との金融取引で使うことができる。そのため、ロシアは金の買い増しを進めていたのだ。それは将来の中国にも当てはまる。

「習近平国家主席が3期目に入り、台湾有事は現実味を帯びています。中国もまた外貨準備の多くを米ドルが占めており、戦争を起こせば海外資産の凍結は免れないでしょう。そこで米ドルから金への転換を図っているのではないか」(同前)

中国は「地ならし」を着々と進めている。

「週刊現代」2022年11月19・26日号より

「停戦中」ロシアがミサイル攻撃か 「これが本質」ウクライナが批判
2023年1/7(土)

ロシアのプーチン大統領が一方的に自国軍に命じた「停戦」が始まった6日、ウクライナ側によると、各地でミサイルなどによるロシア軍の攻撃があった。ロシア側は「停戦順守」を主張しているが、ウクライナ側は批判を強めている。

 「停戦」はプーチン氏が5日、翌6日正午(日本時間同日午後6時)から36時間の実施をショイグ国防相に命令。7日はロシアやウクライナの正教会のクリスマスにあたる。信者が礼拝に参加できるようにウクライナ側にも停戦を求めていた。欧米からは当初から懐疑的な見方が出ていた。

 ウクライナ軍参謀本部によると、東部ドネツク州の民間インフラ施設などに対して6日、ミサイル1発とロケット砲12発の攻撃があったという。また、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は同日、南部ヘルソン市で消防署が砲撃されたとSNSに投稿。「これが『ロシアの休戦』の本質だ。沈黙を装い、背後から殺すのだ」とした。また、この日、ウクライナ全土に空襲警報が出されたとし、「子どもたちは寒い防空壕(ごう)の中にいる」と書いた。

朝日新聞社


ロシア軍事会社ワグネル創設者、バフムト近郊の資源に関心=米国
2023年1/6(金) 


[ワシントン 2023年1月5日 ロイター] -     米ホワイトハウスの当局者は2023年1月5日、ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループ創設者でプーチン大統領の側近、エフゲニー・プリゴジン氏がウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムト近郊で採掘される塩や石こうを掌握することに関心があるとの見方を示した。

プリゴジン氏ひいてはロシアがバフムト掌握に「執念」を見せるのには金銭的動機があるようだと語った。

プリゴジン氏は西側諸国の制裁対象に指定されている。

同当局者によると、ワグネルが派遣した雇い兵約5万人のうち、4100人が死亡し、1万人が負傷。死者のうち1000人強は2022年11月下旬から12月上旬の短い期間にバフムト周辺で死亡したという。

米政府高官は先月、ワグネルがクライナに侵攻するロシア軍を支えるため、北朝鮮から兵器の納入を受けたと明らかにしていた。ウクライナ侵攻でワグネルの役割が拡大しているとみられる。


「Zマーク」車両到着=ベラルーシ大統領ルカシェンコ氏はロシア軍激励―ウクライナ北部への再侵攻が懸念
2023年1月9日
ベラルーシ国防省は2023年1月6日、ベラルーシ同盟国ロシアとの合同部隊に合流する軍用車両が新たに到着したと発表し、その写真を公開した。貨物列車に載せられたトラックが写っており、一部車体にはウクライナ侵攻のシンボルとなった「Zマーク」の塗装も見える。
2023年1月6日ベラルーシに到着した軍用車両(ベラルーシ国防省のツイッターより)
© 時事通信 提供


国営ベルタ通信によると、ルカシェンコ大統領は西部ブレスト州の演習場を訪れ、合同部隊に加わるロシア軍を激励した。ロシア軍によるウクライナ北部への再侵攻が懸念される中での視察。2023年1月6日からのプーチン政権による「一方的停戦」との関連は不明だ。 
       2023年1月ベラルーシのルカシェンコ大統領







ホーキング博士は、地球温暖化はより差し迫った脅威であると考えた。



気候変動

©Shutterstock


気候変動

ホーキング博士は特に、地球温暖化が取り替えしの付かないものになる、いわゆるティッピング・ポイントを懸念していた。



また、2017年にアメリカがパリ協定からの離脱を決定したことにも懸念を示した。



「トランプ大統領の行動(パリ協定からの離脱)によって、地球は瀬戸際に追いやられ、金星のようになり、気温は250度、硫酸の雨が降るようになるかもしれない」とホーキング博士はBBCに語った。



国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も、気温の上昇に伴い、気候の転換点を迎える潜在的なリスクを警告している。



地球は火の玉に変わる

©Shutterstock



ホーキング博士は、過密化とエネルギー消費により、2600年までに地球は巨大な火の玉になると説いた。そうなれば、地球は住めなくなるだろう。



「気候変動、小惑星衝突、伝染病、人口増加により、私たち自身の惑星はますます不安定になっている」と彼は2017年にBBCに語った。




トランプ氏関連企業、外国政府から11億円超受け取り 民主党調査

2024年1月4日

トランプ前大統領=AP

 米連邦下院の民主党は2024年1月4日、共和党のトランプ前大統領の就任直前から在任期間(2017~21年)にかけて、外国の政府や公的機関がトランプ氏の関連企業に推計780万ドル(約11億3000万円)以上を支払っていたとの調査結果を発表した。民主党は、政府当局者が外国政府から利益を受け取ることを原則禁じた憲法の規定に「違反する」と批判し、連邦議会による監視機能を強化するために法整備すべきだと提言した。


 報告書によると、中国国有の中国工商銀行は2008年からニューヨークのトランプタワーでオフィスのリース契約を結んでいた。トランプ氏の大統領就任後も契約は続き、2017年2月~2019年10月に少なくとも推計535万ドル(約7億7400万円)を支払った。「中国大使館の代表団」は、2017年8月から首都ワシントンのトランプ・インターナショナル・ホテルに滞在するため、約1万9000ドル(約275万円)の前払い金を支払った。

ペルシャ湾岸諸国が、オフィスビルに公館を置くための賃貸料や外交団が滞在するホテルの宿泊料の名目で支出した例も多く、サウジアラビアは約61万5000ドル(約8900万円)、カタールは約46万5000ドル(約6730万円)、クウェートは約30万ドル(約4350万円)を支払っていた。

 報告書は「トランプ氏は、中国工商銀行が北朝鮮関連の制裁逃れの取引に関与した疑いがあったのに、制裁対象に加えなかった。サウジアラビアのムハンマド皇太子が『政権に批判的なジャーナリスト殺害を指示した』との米情報機関の分析にも疑問を呈した」と指摘。トランプ氏が、親族企業への支払いが多い政府などに便宜を図った可能性があるとの見方を示した。

 調査は下院監視・説明責任委員会の民主党が主導し、トランプ氏の会計事務所などから入手した資料を分析した。ただ、22年下院選で多数派を奪還した共和党が会計事務所への文書提出命令を撤回したことで証拠収集が難航したため、民主党は「確認された支払いはごく一部だと思われる」としている。

 トランプ氏はホテルやゴルフ場の経営を手がける親族企業「トランプ・オーガニゼーション」のオーナーで、2017年の大統領就任に合わせて長男や次男に経営を任せた。しかし、就任当時から「完全にビジネスから離れていない」との指摘があり、大統領としての国益追求とビジネス上の利益が対立する「利益相反」が問題視されていた。【ワシントン秋山信一】









最有力候補にまさかの“出馬資格なし“判断はあるのか?独走トランプ氏が連邦最高裁に「パンドラの箱を開けることになる」


裁判で争われるトランプ氏の“出馬資格”
共和党の候補者指名レースで独走態勢のトランプ前大統領だが、そもそも大統領選に立候補する資格があるのかどうかが裁判で争われている。

最高裁の審理は2月8日に迫っていて、仮に”出馬資格なし“と判断されればトランプ支持層からの猛反発は必至だ。トランプ氏本人も「国内は大混乱になるだろう、パンドラの箱を開けることになる」と連邦最高裁を牽制している。

事の発端は、市民団体が2021年1月の連邦議会襲撃事件への関与を理由に、トランプ氏を予備選から除外するよう求めて訴訟を起こしたことだった。
コロラド州の州最高裁は去年12月、トランプ氏は「暴動や反乱に関与した者」に該当し、憲法修正14条3項に則り公職に就く資格がないとして、州の予備選挙に立候補できないと判断した。
メーン州でも同様の判断が示されたが、ミシガン州やミネソタ州の州最高裁などは原告の訴えを退けて、トランプ氏の予備選挙への立候補を認め、州によって判断が分かれている。同様の訴訟は全米50州のうち約30州で実施されていて、連邦最高裁に判断を求める声が高まっている。

トランプ氏は、これまで4つの刑事事件で起訴され91の罪に問われているが、いずれの事案で有罪となっても、大統領選への出馬を禁じる明確な法律や憲法規定はない。

しかし、トランプ氏が去年、大統領への返り咲きを目指すことを表明して以降、アメリカの憲法学者やあらゆる専門家の間で、トランプ氏が憲法に抵触して立候補できないのではないかという論争が勃発した。

出馬を制限する明確な憲法規定はないものの、解釈次第では、トランプ氏の出馬を阻む可能性が取り沙汰されている。

連邦議会襲撃でトランプ氏「地獄のように戦え」
根拠となるのは憲法修正14条3項だ。当該条項では「暴動や反乱に関与した者は、国や州の公職に就くことができない」と定められていて、コロラド州の州最高裁などは、トランプ氏が2020年の大統領選挙の敗北結果を覆そうとしたとして起訴されたことや、支持者が連邦議会襲撃事件を起こしたことが「暴動や反乱」に関与したとの解釈にあたると判断した。

またアメリカの憲法専門家は、トランプ氏が事件当時、自身のSNSで「地獄のように戦え」などと発信していたことが、同条項が適用される理由だと指摘している。

ただ、連邦最高裁は憲法修正14条が制定されて以降150年余の間、同項を根拠とした判決を下したことがない。憲法修正14条が制定されたのは南北戦争直後の1868年7月で、南北戦争で敗れた南軍の関係者を公職から追放するのが目的だったからだ。


「地獄のように戦え」

「地獄のように戦え」
「地獄のように戦え」

「地獄のように戦え」



2024年2月22日
ネパール ウクライナ ロシア アジア
ロシア軍に雇われるネパール人 その実態は?
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍。

これまでに30万人以上の兵士を失ったとする分析もありますが、それでもなお激しい消耗戦を繰り広げています。

その前線で相次いで確認されているのが、兵士として雇われる外国人の存在です。

なぜロシア軍に外国人が加わっているのか。“供給地”の1つとなっている南アジアのネパールで、その実態を取材しました。

(ニューデリー支局記者 山本健人 / 国際部記者 野原直路)

ロシア軍に雇われる外国人 ネパールが“供給地”に?
インドと中国に挟まれた南アジアの内陸国ネパール。

北海道の2倍近くの国土に、およそ3000万人が暮らしています。

国内の経済状況が厳しく、深刻な貧困や失業問題が続く中、200万人以上が外国で働く“出稼ぎ大国”としても知られています。そのネパールで、ロシア軍に雇われて兵士となる人が相次いでいます。

ネパール政府は去年12月、その数は少なくとも200人以上に上ると明らかにしました。また、すでに12人の死亡が確認されているということです。

家族の暮らし支えるため ロシア軍に
なぜネパール人がロシア軍に加わるのか。

ロシア軍の兵士となり前線で死亡した男性の遺族がいると聞き、首都カトマンズから150キロ離れた観光地ポカラから、さらに車で2時間ほどのネパール中部の農村を訪れました。

2人の幼い子どもと暮らすリマ・カルキさん(31)。夫のピタムさん(当時39歳)がロシア軍に雇われて兵士となり、亡くなりました。
パール軍の兵士だったピタムさんは2018年に退役したあと、家族を十分に養える仕事を見つけることができず、アフガニスタンに出稼ぎに行くようになりました。
アフガニスタンでは、国連機関の事務所で警備員の仕事をしていましたが、半年ごとに契約を更新しなければならない非正規雇用で、決して多くはない給料の中から家族に仕送りを続けていました。

去年9月、アフガニスタンでの雇用が打ち切られ、ネパールに戻っていたピタムさんが「出稼ぎに行く」と言って向かった先がロシアでした。

その後、リマさんに送られてきた写真には、軍服を着たピタムさんが同じ南アジア系の男性やロシア人のような男性たちと写っていました。
ネパールの平均月収をはるかに上回る、日本円にして30万円余りの月給がもらえることを条件にロシア軍に雇われて兵士になったというのです。

さらに、1年間の兵役でロシア国籍を申請することができることや、戦闘が激しい地域に配属されれば、さらに高い給料がもらえるとも話していました。

銃撃訓練を受ける様子を映した動画も送られてきたというリマさん。
夫の身を案じて「お願いだから危険な地域には行かないで」と言いましたが、ピタムさんは「安全な場所にいるから心配するな。これで、家族への仕送りを増やすことができる」と言って聞かなかったといいます。

入隊後わずか1か月での死亡通知
ピタムさんがロシア軍に入隊してわずか1か月後。リマさんのもとに、ネパール外務省からピタムさんが亡くなったとの知らせが届きました。

「2023年11月15日に死亡」

ロシア当局が作成したとみられる死亡証明書には、それ以上の詳しい情報は書かれていませんでした。

その後、リマさんは、同じくロシア軍に雇われ、ピタムさんが死亡した現場に居合わせたというネパール人と連絡をとることができ、ピタムさんは戦闘が激しいウクライナ東部の前線で手榴りゅう弾の爆発に巻き込まれたと聞かされました。

ピタムさんが送ってくれていた契約書。そこにはロシア語でピタムさんの名前が書かれ、契約期間は「1年」と記入されていました。

しかし、ロシア政府からはピタムさんが兵士として働いた報酬や補償金は何も支払われておらず、遺体も帰ってきていません。

一家の大黒柱であるピタムさんを失ったリマさん。これから10歳と3歳の2人の子どもをどうやって育てていけばいいのか。経済的に厳しい状況に追い込まれています。
外国人雇うロシア軍の事情とは?
ニューヨーク・タイムズなど複数のアメリカメディアは去年12月、機密解除されたアメリカの情報機関の報告書の内容として、2年前にウクライナ侵攻を開始した当初、ロシア軍の兵力は36万人規模だったのが、すでにその9割近くにあたる31万5000人が死亡したという分析を伝えています。

こうした中、ロシアのプーチン大統領はことし1月、「ロシア軍などと1年間契約した外国人とその家族は、ロシア国籍の申請手続きが簡素化される」と発表。

長引く戦闘で、兵士不足に陥る中、外国人を兵士として雇い、兵力の増強を進める思惑があるとみられています。

ネパール人狙うブローカーの実態は?
では、ネパール人はどうやってロシアにわたっているのか。

警察の捜査によって、ネパール側で人を集めるブローカーの存在とその手口が明らかになってきました。

ネパール人をロシアへ仲介したとして、詐欺や人身売買などの疑いで、これまでに18人のネパール国籍の男女が逮捕されました。
警察によりますと、主犯格はカトマンズにある留学を支援する会社の関係者で、外国での就労に関心を示した客に「ロシアに行けば大金が稼げる」などと勧誘。

容疑者らは、100万円以上の高額な手数料を支払わせて、ビザ取得に必要な書類を手配していたとみられています。

さらに、入管を欺くために、インドなどの第三国を経由してロシアに入国。現地では、ロシア側のブローカーが軍の訓練場に連れて行く役割を担っていたとも供述していたということです。

捜査を指揮するカトマンズ警察のトップは、摘発したブローカーは氷山の一角だと指摘し、取り締まりを強化していく考えを示しました。
中東の出稼ぎ労働者がロシアにわたるケースも
さらに、ネパール人が多く働く中東からもロシアにわたっている実態が見えてきました。

2018年からドバイのホテルで働いていたモクタン・ガンガラジさん(32)。

現地のブローカーから「いまの仕事の2倍以上の給料がもらえる」と持ちかけられ、2023年9月にロシア軍に入隊。しかし、その2か月後、戦闘が激しいウクライナ東部で死亡が確認されました。
ロシア軍に所属している複数のネパール人と連絡を取り合い、この問題の取材を続けているネパールのジャーナリスト、ビラト・アヌパムさん。

中東を拠点に活動するブローカーの正体はインド人やパキスタン人、それにポーランド人で、中東のドーハやリヤド、ドバイなどで勧誘が行われたという報告が寄せられているといいます。

中東のブローカーは現地で働くネパール人のほか、ネパールのブローカーが集めた人もロシアのブローカーに引き渡すことで、こうしたルートの構築に主導的な役割を果たし、ロシア側とネパール側、双方のブローカーから多額の仲介料を得ているとみられるのです。
ロシア軍入隊相次ぐ事態にネパール政府は?
ネパールは国連の会議でウクライナ侵攻に反対の立場を表明しており、国民に対して、ロシア軍に入隊しないよう強く呼びかけています。

さらに、ロシアや経由地となっているとみられる湾岸諸国に渡航する際は、政府の許可証を求めるなど規制を強化。

また、ウクライナ軍の捕虜になっているネパール人も確認されているとして、ウクライナ政府に対して、解放に向けた交渉も行っているといいます。
“供給地”は25の国と地域 3000人に
ロシア軍に加わる外国人はネパール以外の国からも確認されています。

NHKが各国政府の発表や報道などをまとめたところ、その規模は、少なくとも25の国や地域から、およそ3000人に上ることがわかりました。

▼中東のシリアが最も多く2000人以上、▼ネパールと中央アジアのキルギスが少なくとも200人、▼キューバが少なくとも199人以上、▼中央アフリカがおよそ150人などとなっています。

イギリスの公共放送BBCも、ロシアの独立系メディアと行った調査で、多くがアフリカやアジア、それに中米などの新興国や途上国の人たちだと伝え、実際の死者は「はるかに多い」とも推定しています。

プーチン政権は、3月の大統領選挙に向けてロシア国民の追加動員を避けるためにも、外国人を軍に勧誘する動きを強めているものとみられますが、ネパールだけでなく中米のキューバや中央アジアのカザフスタンなどの友好国からも反発がでています。

貧しい人たちが豊かな生活を求める気持ちにつけ込まれ、見知らぬ土地で命の危険にさらされながら戦っている実態。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響が、経済的に脆ぜい弱な途上国の人々にまで及んでいる悲しい現実の一端を示しているように感じました。(2024年1月26日 ニュースウオッチ9などで放送)



俳優ロバート・デ・ニーロ「あらゆる犯罪者を演じたが…トランプ氏は絶対に演じない」

2024年3月9日


米国ハリウッドの元老俳優ロバート・デ・ニーロがドナルド・トランプ前大統領に対して「いかなる良い点も見つけられない」として俳優として彼の役割は絶対に演じないと話した。

2024年3月9日(現地時間)、政治専門メディアのザ・ヒルなどによると、米映画界の代表的な反トランプ系の人物であるデ・ニーロは前日、HBOの時事トーク番組『ビル·マッハのリアルタイム』に出演し、このように明らかにした。

デ・ニーロは無慈悲なマフィアのボスや残酷な殺人鬼など、あらゆる犯罪者役を演じて名演を繰り広げてきた。だが、デ・ニーロは「彼(トランプ氏)には使えるようなものが全く、何もない」と繰り返し強調した。
トランプ前大統領がなぜ勢いに乗ると思うかという質問には「この人はまったくモンスターだ。到底理解できない」として「彼は本当に意地悪で、嫌悪感のある人」と強く批判した。

デ・ニーロがトランプ前大統領に向かって「ソシオパス、サイコパス的で悪意に満ちたナルシスト」と言うと、客席から拍手が沸き起こった。

デ・ニーロはトランプ前大統領を「危険な人」「学校で連中を駆り立てる暴力団」と表現し「彼を止めなければならない」と話した。同時に「トランプ氏に投票すれば悪夢がよみがえり、ジョー・バイデン氏に投票すれば私たちは正常に戻るだろう」と話した。

デ・ニーロは2018年に生中継されたトニー賞授賞式で当時トランプ大統領に向かってアルファベット「F」で始まる悪口を言ったことがある。

2019年のトーク番組ではトランプ前大統領を「愚か者」「ルーザー」「ヤクザワナビー」などと呼び、2016年の大統領選挙前には「トランプ氏の顔を殴りたい」と発言するなど数回にわたり毒舌を浴びせた。

このため、デ・ニーロは2018年には中間選挙を控えてトランプ前大統領の熱烈な支持者が送った爆発物の小包を受け取ったこともある。




「プーチンに『好きなようにやれ』と…言語道断だ」バイデン大統領が一般教書演説でトランプ氏を強烈批判 今回は大きな言い間違いもなし



アメリカのバイデン大統領は7日、今後1年間の内政や外交の施政方針を示す「一般教書演説」に臨み、秋の大統領選に向けて共和党・トランプ前大統領との対決姿勢を強調した。

「プーチンに『好きなようにやれ』と…言語道断だ」
2024年3月7日、アメリカ・ワシントン。バイデン大統領は演説の中で、トランプ前大統領がNATOの加盟国をロシアの侵攻から防衛しない可能性に言及したことを引用し、非難した。
「共和党の前大統領は、プーチンに『好きなようにやれ』と言った。アメリカの前大統領がロシアの指導者に頭を下げて実際にそう言った。言語道断だ。危険で容認できない」

さらに2021年の連邦議会襲撃事件や、トランプ氏がいまだ敗北を認めない4年前の大統領選挙について、「嘘や選挙を盗もうとする陰謀は、南北戦争以来の民主主義の脅威だ」と訴えた。

一方、トランプ前大統領は、演説中に自身のSNSに「バイデンは狂っている」「言葉がスムーズに出ていない」「バイデンは民主主義の脅威だ」などと批判する投稿を繰り返した。

CNNなどの調査では演説後評価上昇
秋の大統領選を見据え、同じ時間帯に批判が飛び交う異例の展開となった。バイデン氏の演説を取材センター室長・立石修はどう見たのだろうか。

バイデン氏については、認知機能の問題であるとか、言い間違いの問題が指摘されてきた。しかし、会場に入る際の映像を見ているかぎり、表情も豊かでしっかりしていて、大きな言い間違いもなかった。

CNNなどの調査によると、演説後の方が評価が上がっているということで、今回の一般教書演説については成功だったと言えるだろう。ただし、選挙戦はこれからなので紆余曲折が予想される。

トランプ氏はバイデン氏に公開討論会をやるように積極的に仕掛けてきており、直接対決の行方が注目されている。

(「イット!」 3月8日放送より)




原油価格下落で「国民は恩を仇で返された」…トランプ政権に石油業界から恨み節、関税政策への不満は爆発寸前
2025年3月21日

原油を「掘って、掘って、掘りまくれ!」とぶち上げていたトランプ米大統領に対し、石油業界からの不満の声が強まっている。トランプ関税などの影響で原油価格が下落し、採算性が悪化しているからだ。

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り、1バレル=66ドルから69ドルの間で推移している。レンジ圏は先週と比べて1ドル上昇している。市場では久しぶりに地政学リスクが材料視される展開となっている。

  まず、いつものように世界の原油市場の需給を巡る動きを確認しておきたい。

  国際エネルギー機関(IEA)は2025年3月の月報で「今年の世界の原油市場は日量約60万バレルの供給過剰になる可能性がある」との見通しを示した。米国と他の数カ国との間の貿易摩擦が激化し、原油需要が圧迫されることが主な要因だ。

 IEAはさらに「石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの大産油国で構成するOPECプラスが一部の加盟国の過剰生産を抑制できなければ、供給過剰の幅はさらに日量約40万バレル拡大する可能性がある」としている。

 OPECの2月の原油生産量は前月比36万バレル増の日量4101万バレルだった。カザフスタンの生産量は前月に比べて20万バレル増加し日量177万バレルとなり、割当量を30万バレル超過している。

 イラクやナイジェリアなども割当量を上回っている状況を踏まえ、OPECプラスは2025年3月20日、これらの国々に対して「埋め合わせ減産」を実施するよう求めたが、効果のほどは定かではない。

 供給過剰の認識が強まっていることを受けて、ウォール街も原油価格の見通しを引き下げている。ゴールドマン・サックスは2025年3月16日「今年末の原油価格は1バレル=67ドルになる」と従来の予測を下方修正した。

 需要サイドを見てみると、世界最大の原油輸入国である中国が消費促進特別行動計画を発表したことに市場は好感した。

中東で再び高まる地政学リスク
 中国の原油在庫が5年ぶりの低水準になっていることから、「原油輸入が今後拡大する」との観測も出ている。だが、「サウジアラビアの4月の対中輸出が大幅に減少する」との情報もあり、予断を許さない状況が続いている。

 需給面の悪材料をオフセットしているのが地政学リスクだ。

 イエメンの親イラン武装組織フーシ派が2025年3月11日に「紅海を通過するイスラエル船への攻撃を再開する」と表明すると、米軍はフーシ派に対する攻撃を開始した。第2次トランプ政権発足後で最大の軍事作戦であり、米政府当局者は「作戦は数週間続く可能性がある」としている。

 トランプ大統領はイランに対してもフーシ派への支援を直ちに停止するよう警告している。これに対し、フーシ派は米空母への攻撃を繰り返しており、中東情勢は再び緊張の度を増している。

 この事態に慌てたのはサウジアラビアだ。サウジ政府関係者は2025年3月17日「米軍の作戦に必要な兵站面の支援を行っていない」と述べ、自国の石油関連施設がフーシ派の標的にならないよう懸命になっている。

 トランプ政権はイランへの締め付けも強めている。

 米財務省は2025年3月20日「イラン産原油の密輸に関与した」として、イラン産原油の主な購入者である中国の独立系製油所(ティーポット)や、ティーポットに原油を輸送するタンカーなどを制裁対象にした。この措置が実際に機能すれば、イラン産原油の輸出が今後激減する可能性がある。

 一方、トランプ政権はロシアに対しては融和的だ。

トランプ大統領に石油業界の不満が高まる理由
 2025年3月18日に行われた電話による米ロ首脳会談で「ロシアとウクライナの双方がエネルギー関連施設を標的とする攻撃を30日間停止する」との合意が成立したことが、市場で「売り」を誘った。全面的な停戦で合意する目途は立っていないものの、3年以上続いたロシア・プレミアムが剥落する可能性はますます高まっている。

 就任以降、原油市場を振り回し続けるトランプ氏だが、「米国内の原油生産量を増大させる」との公約の達成は困難になりつつある。

 トランプ氏は2025年3月19日、就任後初めて石油業界の幹部とホワイトハウスで会談した。

 政権側は「国内の採掘促進に資する許認可プロセスの改革など建設的な内容だった」としているが、これを鵜呑みにすることはできない。 

 ニューヨークタイムズが2025年3月19日「米国の石油業界はトランプ氏の関税政策に不満だ」と報じたように、業界を巡る環境が悪化しているからだ。

 最初に指摘できるのは、関税付加により開発に必要な資材価格が高騰していることだ。

 2025年3月15日付け日本経済新聞によれば、油井管の2月の平均価格は1ショートトン(約0.907トン)当たり約2000ドル(約30万円)と前月に比べて4.2%上昇し、昨年2月以来の高水準となっている。

 カナダ産原油に10%の関税を課したことも打撃だ。

 米エネルギー情報局(EIA)のデータによれば、カナダからの原油輸入量(2025年3月14日までの週)は前週に比べて約54万バレル減少して日量約310万バレルとなっており、ガソリンなど石油製品の生産に支障が生じかねない状況となっている。

 トランプ関税が災いして、原油価格が下落傾向にあることも頭の痛い問題だ。


藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー

1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。




日本の元統合幕僚長、台湾の政務顧問に異例の就任…中国「外部勢力と結託し独立と挑発を企てることは成功しない」

2025年3月21日
岩崎茂・元統合幕僚長



 【台北=園田将嗣、北京=東慶一郎】台湾の行政院(内閣府)は、日本の自衛官トップを務めた岩崎茂・元統合幕僚長を政務顧問に任命した。行政院が21日、読売新聞の取材で明らかにした。 政務顧問は政治上のアドバイスを行う役割を担う。台湾当局の役職に自衛隊関係者が就くのは極めて異例だ。台湾に対する中国の軍事的圧力が強まっており、安全保障分野で日本と協力を深める狙いがあるとみられる。行政院によると、岩崎氏は非常勤で無給だという。

  頼清徳(ライチンドォー) 政権で行政院の政務顧問に日本人が任命されるのは、台湾南部・台南市の城市(都市)外交顧問を務める野崎孝男氏に続いて2人目。頼氏が対日関係を重視する姿勢の表れとみられる。

 中国外務省の 毛寧(マオニン) 報道局長は2025年3月21日の記者会見で、岩崎氏の就任について日本側に申し入れをしたと明らかにし、「外部勢力と結託して独立と挑発を企てることは成功しない」と頼政権に警告した。


ヒラリー・クリントン元国務長官「全く愚かだ」「国を危険にさらした」…トランプ政権漏えい問題
2025年3月28日
 【ワシントン=池田慶太】米民主党のヒラリー・クリントン元国務長官は28日付の米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、米軍作戦に関するトランプ政権幹部の協議が民間の通信アプリを通じて漏えいした問題に言及し、「国を危険にさらした。全く愚かだ」と強く非難した。 クリントン氏は2016年大統領選で、公務に私用メールを使い機密を漏らしたとして共和党候補だったトランプ大統領から激しく非難された。今回、現政権の情報管理の甘さを指摘して意趣返しした形だ。

 クリントン氏は、現政権が進める連邦政府職員の大量解雇や米国際開発庁の解体に触れ、「トランプの米国はますます盲目的で、失敗ばかりで、弱々しく、友人のいない国になるだろう」と批判した。





アメリカから言論の自由、学問の自由が消える...トランプ「思想狩り」「反トランプ狩り」「民主派狩りの最中に米名門大教授3人が国外に移籍
コメディアンもアメリカに居ずらい
サム・ポトリッキオ 
2025年4月3日



アメリカを去った「スーパースター研究者」のスナイダー教授 YEVHEN TITOV–ABACAPRESS.COM–REUTERS

<米名門エール大の著名な教授3人が「格下」のカナダ・トロント大に移籍するという衝撃...法律事務所からコメディアンまで「反トランプ」がタブーに>
トランプ米大統領の支配力は加速する一方だ。権力者や有名人が唯々諾々と膝を屈する光景が今日も続く。
アメリカを去った「スーパースター研究者」のスナイダー教授


学術界の不満分子に対するトランプの締め付けも、さらに強まっているようだ。先日も、学界に出席予定のフランス人研究者がトランプ批判を理由にアメリカの空港で入国を拒否されたというニュースが流れた(トランプ政権は報道を強く否定)。私が所属するジョージタウン大学でも、インド国籍の研究者がキャンパスからわずか15分の自宅で覆面姿の捜査官に拘束された。

攻撃の標的は外国人だけなのか。それとも反体制的なアメリカ人の学者も、過去の発言や著作を理由に取り締まりの対象になるのか。

1950年代に猛威を振るったマッカーシズムに関する新著『赤狩り(Red Scare)』の中で、著者のクレイ・ライゼンはこの反共産主義運動を蔓延させた政治的パラノイアがいかに前途有望な人材のキャリアを(しばしば誤って)破壊したかを描き、今日の「学者たたき」と比較をしている。さらに「今日のアメリカの強硬保守派を理解するには、『赤狩り』時代のルーツを理解する必要がある」と、ライゼンは主張する。

「反トランプ狩り」に言及するのは時期尚早だろうか。例えば日本の東京大学で講演したアメリカ人コラムニストが、トランプ外交を非難する動画のせいで帰国時に冷や汗をかく時代が到来する可能性はあるのか。

世界屈指の大富豪たちが続々となびくのを見れば、今のトランプの強さがよく分かる。ワシントン・ポスト紙のオーナーであるジェフ・ベゾスが紙面を完全に刷新し、マーク・ザッカーバーグはメタの運営方針を転換させた。そしてイーロン・マスクは政治的立場を180度変えた。

アメリカ最大規模の法律事務所スキャデン・アープスは、トランプにとって重要と思われる問題について1億ドルの無料法律サービスを提供することで合意した。別の大手法律事務所も4000万ドルの無料法律サービスの提供で合意したばかり。議論好きでけんか早い法律のプロたちもトランプの攻撃に屈したというわけだ。

差し迫った思想狩りの可能性に怯える学術界は先日、さらなる大打撃を受けた。エール大学のトップクラスの学者3人がカナダのトロント大学に移籍したのだ。アイビーリーグの超一流教授3人が「格下」の大学に移れば当然、同業者間で大きな話題になる。移籍したのが独裁政治の専門家となれば、なおさらだ。

そのうちの1人ティモシー・スナイダーは、専制政治とそれに抵抗する方法について一連の本を書いている。その中で最も強調されている主張の1つは、決して「先読みして動くな」というものだ。

だがスナイダーは、2017年のベストセラー『暴政(On Tyranny)』(邦訳・慶應義塾大学出版会)から一貫して説いてきた助言を自ら破り、アメリカから逃亡した(本人は個人的な理由による移籍であり、子供たちのことが決定打になったと語っている)。莫大な印税収入と講演料を稼ぐスーパースター研究者でも、アメリカに残ってトランプの政策に反対できないのであれば、その他の学者は言わずもがなだ。

今のアメリカで最もホットなコメディー界の新スターの1人ニッキー・グレイザーも、トランプ派の攻撃や政権による拘束が怖いのでトランプがらみのジョークを完全に避けようと本気で考えていると告白した。権威を笑い飛ばすリスキーなジョークでキャリアを築いてきた彼女が、である。

否定と風刺を生業とするグレイザーが恐怖と共に生きているのだとしたら、現在のような敵対的環境に慣れていない政治オタクの私はどうなるのだろうか。







【画像】核戦争に備え、中国指導部が北京郊外に作らせる巨大地下壕に進展
マイカ・マッカートニー によるストーリー
2025年5月


軍備増強を急ぐ一方、身を守る準備も抜かりない習近平(3月5日、北京の人民大会堂)REUTERS/Tingshu Wang

<アメリカとの核戦争を含むあらゆる軍事衝突への備えを急ぐのは、恐怖に駆られているからか>
新たな衛星画像により、中国が北京郊外の広大な敷地で密かに進めている巨大な複合施設の建設に進捗がみられることが分かった。この施設は将来的に軍事司令部として機能するものとみられている。



米国防総省の10倍になるとも言われる巨大建築現場の中央に、1月時点(下の画像)にはなかった黒い構造物がはっきりと見える()

本誌は中国外務省にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。

1月に英フィナンシャル・タイムズ紙がスクープした衛星画像の分析によれば、問題の施設の建設が始まったのは2024年半ば。一部諜報専門家の間で「北京軍事都市」と呼ばれる同施設は、北京の南西およそ32キロのところに位置する青龍湖地方にある約6平方キロメートルの現場で建設されており、予想どおりなら米国防総省の10倍近い規模の巨大軍事施設が完成する可能性がある。

建設現場の際立った特徴のひとつに「深い穴」があり、アナリストらはこれについて、核戦争を含むアメリカとの大規模な武力衝突の際に中国の指導部を保護するための強固な地下壕になると考えている。

新たな衛星画像では、1月に報道された当時の画像からさらに建設工事が進んでいる様子が確認できる。

アナリストはフィナンシャル・タイムズが最初に発表した報告書の中でこの地下インフラの規模に注目し、建設現場では少なくとも100基のクレーンが稼働しているだろうと指摘していた。

米諜報機関の元職員は同紙に対し「中国の現在の主要な安全保障指揮センターは新施設の北東に位置する西山にあるが、何十年も前の冷戦の真っただ中に建設されたものだ」と言った。「新施設の規模や一部が地下に埋設されている特徴を考えると、西山の指揮センターに代わってこの新施設が戦時の指揮本部になるものとみられる」

アナリストらは、このような施設は習近平国家主席が掲げる「アメリカをしのぐ世界最強の軍事大国になる」という野望と一致していると指摘する。


フィナンシャル・タイムズは中国のある研究者(匿名)の発言として、「この要塞の目的はただ一つ。中国軍が最悪の事態に直面した時に使う地下壕の役割を果たすことだ」と伝えた。

習は2049年までに中国人民解放軍を世界トップクラスの軍隊にすることを目指している。長年にわたるアメリカとの緊張関係や、アメリカが中国の台頭を抑え込もうとしているという認識が、急速な軍備増強に拍車をかけている。

軍備増強の一環として中国は2020年以降、核弾頭の保有数を約200発から600発へと3倍に増やしたと推定されている。アメリカやロシアに比べればそれでも保有数ははるかに少ない。

もう一つの重要な節目が2027年だ。中国が2027年(あるいはそれ以外の年)に実際に台湾侵攻を試みるとは限らないものの、習は中国軍に対し、同年までに台湾を制圧できる能力を備えるよう指示していると、米当局者らはみている。

事実上の独立国家として世界でも重要なテクノロジーの中心地である台湾への攻撃は、今も米中の衝突を引き起こす最大の火種であり続けている。

米マサチューセッツ州にあるタフツ大学のマイケル・ベックリー准教授(政治学)は、ドイツの国際公共放送ドイチェ・ウェレとのインタビューの中で「習近平はこれまでの演説の中で、中国は西側諸国によってあらゆる方向から包囲されていると言ってきた」と述べた。

「新施設の建設は習近平にとって、中国、そして自分の周りに要塞を築くための手段のように思える。北京を狙った核攻撃に耐えられるようにすることが、建設中の地下壕の大きな目的だからだ。つまりこの複合施設の建設は、中国指導部の中に恐怖が渦巻いている可能性を示している」

中国当局はこの建設プロジェクトについて公にコメントしておらず、施設の完成予定時期も分かっていない。

【衛星写真】建設のタイムラプス映像

マイカ・マッカートニー





習主席「国際社会は“いじめ”に直面している」 プーチン大統領に連携呼びかけ
中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が2025年5月8日、会談しました。習主席は冒頭、トランプ氏による関税措置などを念頭に批判し、プーチン氏に連携強化を呼びかけました。